経済産業省
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企業情報開示検討分科会(第2回)‐議事要旨

日時:平成26年10月22日(水曜日)17時30分~19時30分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

(企業情報開示検討分科会委員)
伊藤座長、秋葉委員、稲葉委員、引頭委員、小野委員、北川委員、久保委員、熊谷委員、佐藤委員、三瓶委員、関根委員、野村委員、早川委員、深澤委員、藤田委員、安井委員、弥永委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方検討分科会委員)
岩田委員、鶴岡委員(代理河合氏)

議題

  1. 本研究会のテーマに関する全般的討議 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい企業情報開示のあり方について
  2. 「検討に際しての論点」の討議

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。座長よる資料2に基づく「検討に際しての論点」の投げかけの後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • (質問)日本と米国とヨーロッパ等々の監査報告書がどうなっているかという見方をすると、日本だけが、会社法と金商法のそれぞれで監査報告書が必要となる。他方、ヨーロッパでは両方があるが、監査報告書は1つしかない。これはどう理解したらよいか。
  • (回答)ヨーロッパでは、年次計算書類は会社法上要求されるのが原則である。加盟国の中には、金商法に相当するもので、年次報告書に関して追加的な書類や情報を出させる部分もあるが、基本的には、金商法で要求される財務情報に相当するものは、半期報告書や四半期報告書である。年次報告は、会社法が基本となり、会社法上の監査に服することになる。おおざっぱにいえば、半期報告書や四半期報告書は、金商法により追加されているという印象である。
  • (回答)EUは、会社法ですべて一元化されているのが基本であり、開示規制・連結も単体も会社法で一元化されている。その他に、金商法や証券取引所規則が存在するが、それらは追加的な情報を求めているにすぎず、会社法をベースとして、一元化が図られていると理解してよいかと思う。
  • 日本の制度がもともと会社法、商法から入って、そこに戦後、米国の制度が入り、それがやや接木的になっていたため、色々なところである種の情報の重複や、あるいは少しディテールに入りすぎている部分があるなど、問題を生んでいる。各国の制度の整理の中から、日本としてどのような制度のデザインをしていくか考えると、未来志向、あるいはかなり大きな方向感の打ち出しをしていくことになるかもしれない。
  • 前回の分科会においても、四半期決算短信と四半期報告書が2つ存在する必然性はないという意見が大半であったように思う。
  • 東証の開示ガイドラインについて、ユーザーから見れば、もっと金商法なり金融庁との整合性を図ってほしいという気持ちが非常に強い。開示ガイドラインでは、決算発表の早期化を全面に打ち出しているものの、会計士と十分な調整を図ることを求めており、そうだとするとそれは速報ではなく、確定した決算の内容を早く開示することを求めていると理解できる。また、四半期報告書の提出期限が45日とされているため、東証における決算発表の早期化は行わないとしながらも、「四半期決算の内容が定まったにもかかわらず、その開示時期を遅延させることはできない」とされている。東証が考える「決算の内容が定まった」とは、どのように解釈するべきか。東証では、会計士の監査前に決算が定まると考えているのではないかとしか考えられない。それが色々な混乱を生じさせているのではないか。
  • 四半期については、レビューを早く終了し、早く決算発表をするよう求めれば、簡単に一本化できるのではないか。
  • 金商法における有報の提出期限は、なぜ90日とされているのか。かつては決算を確定させるため、多くの会社が株主総会において利益処分を確定していたことから、それに合わせるという考え方があったと思う。現在は、株主総会前に有報を提出できるという立てつけになっているにもかかわらず、なぜ提出期限が変わっていないのか。
  • 有報の意義や有用性については、より細かな情報を、時間をかけて発表する、すなわち、タイミングより情報の細かさが求められているように思う。発行体からすれば、気合を入れて、情報を早く作成しようという気持ちがなかなか起こらない。
  • 大口の機関投資家に対しては、事前にIRを行っているが、私の経験では、有報のみに開示した事項に関する質問を受けたことは一回もない。有報は、法律で求められているから作成しているにすぎない。
  • 年間の決算短信と計算書類については、決算発表と、会社法に基づく監査報告書の受領日が非常に近く、半分ぐらいの会社が発表前に会社法の監査報告書をもらっているということから考えると、法の立てつけが全く異なるものの、実態としては一本化する方向で考えていけばよいと思う。
  • (提出期限を90日とするのではなく、もっと早めるべきであると考えられているのか、という問いに対して)投資家とのコミュニケーションを活性化するという目的から考えれば、有報の提出期限を現行の90日よりも早めることができるような議論を、もっとまじめに検討してはどうかと思う。
  • 決算短信・四半期決算短信は、基本的には「会社がまとまったところで出していただく」というスタンスである。
  • 決算短信は、有報があることを前提に作られた制度である(最初は慣習であった)。有報が提出されるのは決算期末から90日後であるが、会社の内部で決算情報がもっと早い段階で分かっているのであれば、一旦短信を出して、それを契機に、株主回りなどをすると理解している。現状では、短信の開示をいたずらに早く要請しているという訳ではない。
  • 四半期決算短信は、最初は金融審からの答申等もあり、四半期の概況を開示することから始まっている。その後、監査が必要とされ、四半期報告書が制度化された。四半期決算短信は、監査(レビュー)が終了しなれば開示できないものでもないため、会社が、決算が固まったと判断した時点で開示することとしている。
  • 社数的には、30日程度で四半期決算短信を出し、45日程度で四半期報告書を提出するパターンや、40日から45日程度で四半期短信と四半期報告書を同時に出すパターンが多い。会社によって、扱いが異なっているのが現状である。
  • 四半期決算短信については、早期開示を要請していないのが現状。
  • 会計士との連携を求めているのは、公表数値である以上、発表後に大きな訂正が行われ、株価に影響を与えることがないようにするため。
  • 現在の株主あるいは債権者と、将来株主になる潜在的な株主(投資家)とでは、現在の株主あるいは債権者に関しては会社法が対応し、それからもっと広い投資家ということからすると金商法が対応している。
  • 金商法と会社法の一体的な開示を議論する中では、ひとくくりに株主・投資家として、議論すべきではないように思う。
  • 法定開示だけではなく、アニュアルレポート等の任意開示も含めて検討をするべきではないか。
  • 過去3年間、投資家より有報に関する質問が一度もなかったという意見もあったが、有報・短信・四半期報告書では重複する部分も多いため、有報にしか記載されていない事項について投資家から質問がなかったからといって、有報を読んでいないということにはならないのではないか。
  • アナリストやファンドマネージャーは、タイミングを考えれば短信が有用、タイミングかつ足元の状況を把握するためには、決算説明会資料が有用、比較的長期のビジョンをみるときには中期計画がそれなりに有用と考えている。企業の全体像を総合的かつ、特定の詳細情報も含めて把握するには有報が頼りになる。有報はバイブルであり、マストであると考えられている。
  • アナリストを採用する際、アニュアルレポート、有報、短信、会社説明会資料、中期計画等を準備し、5時間缶詰めにして、対象会社についての投資判断をさせているが、そこで面接官としてみていることの一つは、有報の情報を十分に読み込んでいるかである。
  • 有報はバイブルであり、タイミングが遅いから、有報に対する直接的な質問があまりなされていないから使われていないといわれると、私たちとしては非常に困る。ユーザーとしてはヘビーユーザーである。
  • 上場会社とそれ以外といったように会社の規模ごとに適用する法律を分けるべきではないか。
  • 事業報告・計算書類は、株主総会に必要な資料という認識で、万人向けの資料と考えている。他方、有価証券報告書は、やはりバイブルであり、企業を理解するために必要な書類である。
  • これをどのように統合していくか、が問題となるが、例えば、投資信託では、お客様に投信を買っていただく際に、目論見書を見てもらっているが、請求目論見書からエッセンスを抽出したものを交付目論見書としており、これで説明をしている。運用報告書についても、12月1日より、詳細なものとエッセンスを記載したものとに、2分化することが法制で決定している。
  • これを金商法と会社法でどのように適用するかというのは技術的に難しい部分もあるかもしれないが、エッセンス部分を株主総会用の資料として、それを含めたプロ向けのものを有価証券報告書のように整理してはどうか。
  • かつてアメリカのSECも主としてフォーム10Kの見直しをする際に、ユーザーも同様に措定するかという議論がなされ、その際にユーザーを「洗練されたユーザー(sophisticated user)」として、一つの割り切りをした経緯がある。各開示書類とそのユーザーの属性を視野に入れ、またプロユーザーかそうではないユーザーであるかも視野に入れて議論を進めていきたいと思う。
  • 投資に興味を持っている個人投資家に対する情報開示の視点も必要ではないか。その手がかりとして2012年6月号「日経マネー」個人投資家調査(6500人程度を調査)を紹介したい。この調査によれば、銘柄選びの情報源としては、決算報告書を参考にすると回答した個人投資家が15%であった。これを詳しく見ると、投資で成功している人は20%を超えている一方、失敗した人は10%程度であり、こうした点で、決算報告書を読み込むのはやはり重要なはず。その他の情報源としては、複数回答で3割を超えたものとして最も多かったのがネット証券の情報サービスで47%程度。次に割合が多かったのが新聞の経済面、証券面、マネー面。それからマネー雑誌、投資専門誌。また3割前後が、日経会社情報、四季報等を参考にすると回答していた。
  • 決算報告書をあまり読み込まずにチャート派であるかというと、そういうわけでもない。銘柄選びの際に重視するのは、配当が魅力的であること、予算内で購入できること、株主優待が魅力的であること、という回答がベスト3であったが、将来性のある業種であることも考慮されているようである。
  • 個人投資家は非常に短期派か、というとそうでもなく、6割程度が、長期投資スタイルであると回答しており、8割が日本株の個別銘柄を購入している。
  • 決算報告書に関連して、より早く情報を入手するためには短信を活用している方も見受けられる一方、投資の上級者であっても、有報等を個別に読み込むのはかなり大変なようであり、アナリストレポートなどをかなり活用している。
  • 投資家に情報開示で何が必要かを質問すると、決算報告書に関してというより、株主総会にサラリーマン投資家も参加させてほしい、せめて質疑応答も含めて株主総会の動画を同日中の夜までに掲載してほしいという声や、情報格差がないよう、個人投資家向けに、決算説明会の動画を、質疑応答を含めて、当日中にアップしてほしいという声を聞く。
  • 最近のNISAやDCの対象拡大といった話などを念頭に置きつつ、広義の個人投資家(初心者)に対しては、有価証券報告書の読み込みは負担が大きいと思われるので、サマリーエッセンスの開示が必要で、従来通り、メディアがこうした役割を果たしていくのではないか。
  • ユーザーにとって、有報はバイブル。なぜ有報がそれだけ信用されているかと言えば、数値が監査によって裏付けされていることが大きい。
  • 他方、四半期等の決算短信は、結構間違えが多いように思う。短信であればちょっと訂正すれば足りるが、法定書類になるとそうはいかない。こうした点も含め、四半期決算短信と四半期報告書では、法的な裏付けが異なるため、記載内容が一緒であるから統合すればよいという議論ではないのではないか。
  • むしろ、決算短信という名のもとのボイラープレート的な開示を見直す時期に来ているのかもしれない。米国やヨーロッパでは、決算発表日にプレスリリースとして、3枚から5枚程度で(1枚の会社もある)企業情報が開示されるが、記載内容は、会社によって異なっている。発行体自らが考えて適時開示する、という時代が来ているのではないか。
  • この問題点として、利用者側にとってはボイラープレートではないのでデータをプレスリリースから探すのが大変ということなどが挙げられるが、どうにかして乗り越えていくべき話ではないか。最低開示しなければいけない事項があり、それ以上はどのようなものを開示するのか、どのように見せやすくするのかは発行体が工夫して、投資家との対話の中で決めていく、そのような方向にもっていってはどうか。
  • 年度開示については、監査報告書あるいは年次報告書と基準日、招集通知の関係を見ると、日本は定時総会までの日数が各国と比べて短く、また、基準日の考え方が諸外国とは異なっている。年次報告書における監査と会社法監査をどのように考えるか、基準日をどのように考えるか等、大きな問題と思われるので、株主総会のあり方検討分科会と一体となって検討していくべき。
  • なお、会社法の開示と金商法の開示について、今年から金商法における単体開示の簡素化がなされており、一歩一歩近づいているという面もある点だけ、最後に付け加えさせていただく。
  • 短信は即時性が高く、時期的にも早いため、短信については少し別の議論になるのではないか。計算書類と有報をどうするかは、古くて新しい議論。
  • 短信に関しては、設定側は柔軟性を設けているようだが、作成者側にとっては拘束されているという意識が高いように見受けられる。この意識の差がどうして生じているのかについては、検討が必要ではないか。
  • 金商法と会社法の一体化については、スケジュールを一体化しても、内容をどうするかという問題は別途生じる。長期的に金商法・会社法の2つの法律が変わっていくことまで視野に入れると別であろうが、短期的に2つの法律が併存している中にあっては、タイミング・スケジュールのズレを前提とした従来型の議論があってもよいのではないか。
  • こうした観点からは、連単の問題が出てくる。例えば、会社法の連結計算書類は決算短信を参照し、有報では、単体について計算書類を添付するという方法も考えられるのはないか。
  • 開示の目線をどこに置くかは重要。一般的には個人投資家も視野に入れることが多いが、むしろそれが過剰開示やオーバーロードになる可能性もある。できれば、洗練された投資家を前提にしていることを示した方が、全体としては理解を得られる開示になるのではないか。
  • Informational Intermediaryという、証券アナリストなど情報を解釈して、また場合によっては個人投資家に情報を提供している人たちについて、その役割をどう捉えるかということも一つ重要な要素にはなり得ると思う。
  • 事業報告、計算書類については、決算短信を参照することとし、狭義の招集通知を送付すればよいと思う。というのも、事業報告や招集通知はあまり読み込まれていない感がある。決算短信は速報性では意味があるため、短信を出した後、監査を受けて、ESGの観点や経営戦略を盛り込んだ有報をきちんと出すという形でよいのではないか。
  • 四半期の決算については、企業が四半期開示をするか否かを含めて決めていいのではないか。どのような方に株主になってもらいたいか、どのような投資家から評価されたいか、それには何をどのタイミングで情報として開示すべきか、これらを含めて企業が判断すればよいのではないか。また、監査についても不要と考えている。監査は、年に1回で十分ではないか。
  • IRの実務では、わかりやすく迅速に説明することが必要となるが、その際に、大元になるのは正しい情報であり、有報や短信を基礎としてIR情報を作成している。
  • 有報は、実務上は使われていないように見えるが、それは監査を受けて、数値が正しいことを前提としているので、敢えて話題にしていないだけではないか。ただ、大元になるのは、現状であれば、決算短信であり、四半期でいえば、四半期報告書よりは、四半期決算短信である。
  • 制度開示間の調整等を考える上では、そもそもこれらの制度はどのような人を念頭に置いているかを考える必要があろう。会社法は株主、金商法・取引所規則が投資家、が主な対象となるであろうが、これに関連して、直近、10月3日にSECのDivision of Corporate FinanceのDirectorが、Shaping Company Disclosureというテーマでスピーチを行っている。それによると、米国(SEC)では、証券法の根本概念はReasonable Investorというプロの投資家・アナリストを対象にしており、それに基づく議論がなされている。他方、ディスクロージャーの効率化を考える上では、会社が重要な論点になる。SECでは中小型の会社については単純な情報開示を求めるなど軽減措置をとってきたが、線引きが難しいとされていた。これらも参考にするとよいのではないか。
  • なお、SECでは情報開示の公平性にも意識が高く、Reasonable Investorを通じてRetail Investor(個人投資家)に情報を届ける、Retail Investorとプロの投資家との間に情報格差があってはならないという点について非常に意識的。日本でも個人投資家をいかに市場に呼び込むかが重要とされており、このような観点から、業績予想のような個人投資家がよく使うものは無くしてはならないのではないか。
  • タイムスケジュールの問題については、個人的な印象では、IR担当者など実務担当者の人数やスキルがまだ十分とはいえず、結果としてスケジュールがタイトになっているという面があり、IR担当者を育てていくことも重要である。
  • 短信は速報であるため、もう少しシンプルにできないか。東証の要請は限られており、基本財務諸表とセグメントを開示することとされているが、作成者側が必要と判断して追加で開示する事項もあり、短信で間違えないようにするためには、監査人側としてもそれなりに対応が必要となる。そこまでの対応が必要かについては、もう一度議論してもよいのではないか。
  • アメリカでは、決算発表日にシンプルなプレスリリースをしているとのことであるが、その後の投資家との対話をどのように行っているのか。細かいデータは出ていない、数字の監査も終わっていないとなると、対話に際して実際にはどのようなことをしているのか、何とか調べられないかと思う。
  • 法定書類について実質的な一元化が図れないか。例えば、有報のエッセンスを会社法の開示書類に利用するということもお話しさせていただいた。それに加え、有報を事後的な開示書類としてではなく、対話のツールとしても利用できないか。
  • 例えば、他の国では、アニュアルレポートにすべて情報が入っているとのことであるが、米国のプレスリリースとの関係では、投資家との対話はどこでどのように行っているのか。総会前に有報を提出している事例が参考にならないか。この点についての投資家のご意見も伺ってみたい。
  • 監査等の質を高めるための十分な時間を確保できないかという点については、現状、監査人側もスケジュール的に相当厳しい。特に、様々な情報をタイミングごとに見る必要があるので、その意味でも重複をなくしていく必要がある。もし今よりも早く情報を開示するとなれば、監査スケジュールだけでなく、作成者側の情報の質も現状より低減することがないようにする必要があるが、相当の困難を伴うのではないか。加えて、監査スケジュールについて言えば、監査人は、期末監査の集中を和らげるため作業の前倒しも行っているが、業種によっては3月末取引が膨大な会社もあるため、期末監査は既にかなりタイトなスケジュールで行われている実態がある。
  • 日本の制度と諸外国の制度を比較した場合、財務諸表については大きく見劣りしている訳ではないと思う。しかしMD&A等の情報は、非常に内容が貧弱だと思っている。まさに、ボイラープレート型になってしまっている。こうした非財務情報が充実していないのは、3つの開示制度間で財務情報の重複があまりに多く、これを作成するための実務負担が大きいためではないか。
  • 事業報告や計算書類は、一般の機関投資家はほとんど利用していないため、一定の整理が可能ではないか。その際に、空いたリソースを、本当の意味での情報開示の強化、質を高める、具体的には非財務情報等の強化に使えないか。なお、決算説明会資料では、有報に書かれていない情報がカバーされており、インフォメーションのコンテンツとしては重要になっている。これは制度開示の外でやっている部分であるが、こうした点も重要。
  • 開示情報について、ベースになっているのは、監査済みの有報があるという事実である。有報の質問をしないというよりも、短信・説明会資料で、有報に記載されている情報がカバーされているためではないか。
  • 短信における誤りは、軽微な誤りであり、多くのケースは、株価インパクトがあるような重大な過誤ではないように思う。
  • 分析に利用する数値は、まず短信で提供される基本財務諸表の数字を財務モデルに入力し、有報が出てから確定値を入力し直すという実務が一般的だと思う。しかし短信に大きな過誤がない場合には特に修正しないことも多いと思う。
  • 四半期は、進捗状況を把握するためには非常に有用である。コンテンツとしては、諸外国に比べ、日本の四半期開示レベルは詳細過ぎるかもしれない。
  • 証券会社では通常、通常機関投資家向けに作成したアナリストレポートを、個人投資家向けに作成し直している。監査済みの有報で提供される情報が基礎となる。有報がいろいろな意味で投資のベースになっているのは確かであると思う。
  • (MD&Aに関する情報は利用されているのかという問いに対して)MD&Aに相当する情報として、有報ではマクロ的な背景を記載することに費やされているが、その中身は外部環境に左右された結果としての業績を記載しているにすぎない。他方、海外では、外部環境の中でどのように状況を判断し、対処して結果を導いたのかマネジメントによるディスカッション(Discussion)とアナリシス(Analysis)が行われている。当該情報に対する目的のとらえ方が異なるのではないか。
  • (MD&Aに関する情報は利用されているのかという問いに対して)企業と投資家の対話を促進するというわりには、ボイラープレート型であり貧弱であると思う。個人的には現行の開示制度で不満に思っていることの一つである。
  • 会社側としては、自分たちの会社をどうしていきたいか、という考え方を示す部分となるため、投資家との対話を活発化させるために能動的に開示を充実させて欲しい。
  • 米国では、MD&Aの記載を設ける際に、一般の人も親しみやすい表現にしたという経緯がある。日本側ではそういった米国の趣旨が検討されずに、MD&Aに相当する記載が導入されてしまい、ややもったいない感じがする。
  • 短信にはセグメント情報を載せずに、四半期報告書で載せるといったように、報告書と短信で記載内容を変えている会社もある。こうした点で報告書をチェックするアナリストもいるが、結論としては、1つで良いという点では一致している。内容を盛り込んだ上で、一本化していくべきではないか。多少の間違えは、適時開示で開示すればよいのでは。
  • 有報は必要である。ただし、マネジメントとの対話では、有報の細かい数字を確認することは稀であり、IR担当者とやりとりしている。マネジメントとはもっと将来の話など、限られた時間で話し合いたいことはたくさんある。
  • マネジメントが交替しても、IRが重要であるという意識を常に持ってほしい。現行の業績予想の開示は、個人的にはなくてもよいと考えているが、上場企業でセルサイドがカバーしている銘柄数や個人投資家を含めた様々な投資家を考慮すると、現時点では業績予想を出さざるをえないのではないか。企業規模などで分けてもいいとは思うが、一律に廃止することは難しいのではないか。
  • 四半期決算が入ったことによる、アナリスト側の仕事のプレッシャーは相当なものである。忙しくはなったがその分ファンダメンタル・リサーチにかける時間が少なくなったのではないか。
  • 企業による丁寧な業績予想はアナリストのレベルをある意味下げる効果を持つ。本来アナリストの仕事でありそれを奪ってはいけない。
  • 四半期導入以降にアナリストを始めた人は今の状況が所与のものと思っている。IR担当者もそうである。やたら忙しい。それで充実したと仕事ができていると勘違いしている人もいる。しかしショートターミズムの渦の中に巻き込まれてうごめいているだけのことではないか。
  • ディスクロージャーは、過去10年進捗したと思うが、一方でセグメント情報は改悪したと思う。また製造原価報告書にいたってはホールディングカンパニーになった企業については開示されていない。
  • 主要な経営指標等の推移などの情報が開示されており、有報はある意味依然素晴らしいと考えている。優秀なアナリストならばかなり読み込んでいると思う。
  • アナリストは経営者と高いレベルの対話を行うべきであるが一定の年月と能力が備わっていなければならない。トップティアのアナリストは相当なレベルにあり企業から尊敬を集めているセクターもある。
  • どちらかというと業績予想はなくなった方がよいと思う。業績予想を開示するがゆえに、会社が予想を外すと、アナリスト側が会社に対して文句をいう。これは海外ではありえない状況である。それはアナリストの実力がないことを示しているのと同じである。
  • 業績予想がなくなれば、マーケットのボラディリティは高くなるかもしれない。米国では、会社予想を出していないが、CFOがマーケットを理解し、自社の株価に何が織り込まれているかをよく見ているため、過度な楽観や悲観が反映しているようであれば、ガイダンスにより不必要なサプライズを払拭しようと働きかける。結果、マーケットのボラティリティを健全なところに下げていく作用がある。海外ではなぜガイダンスがうまく運用されているのか、実態と背景を理解しておかなければならないと思う。
  • 世界の中で日本のマーケットがより健全になり、発行体と投資家のコミュニケーションがよい方向に向っていくためには、企業と投資家の両者が実力アップしていかなければいけないと思う。
  • 業績予想について、各位のおっしゃるとおり原理原則は会社が発表するのではなく、アナリストが実力を高めて行っていくべきと思う。
  • 実際の運用という点で考えた場合、アクティブ・マネージャー、個々に銘柄ピックアップをするマネージャーに関してはそれでよいが、運用業界ではクオンツ・マネジャーがいる。クオンツ・マネジャーは、業績予想を成長性というファクターで取り込んでいるケースが多い。その場合、データベースから情報をすべて持ってきて、分析を行うが、時価総額の大きい会社についてはアナリストが予想を出しており、データベースにもデータがあるので、投資対象になるが、一定以下の小さな会社は、アナリストがカバーしておらず予想がないため、投資対象のユニバースから落ちてしまうことも考えられるため、そこについては慎重に検討した方がよいのはないか。

以上

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最終更新日:2014年11月7日
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