経済産業省
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企業情報開示検討分科会(第3回)‐議事要旨

日時:平成26年11月7日(金曜日)17時00分~19時20分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(企業情報開示検討分科会委員)
伊藤座長、秋葉委員、稲葉委員、引頭委員、小野委員、久保委員、佐藤委員、三瓶委員、関根委員、早川委員、深澤委員、藤田委員、安井委員、弥永委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方検討分科会委員)
岩田委員

議題

  1. 本分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい企業情報開示のあり方について
    • その他
  2. 「分科会において提起された論点等」の検討

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。座長による資料2「分科会において提起されたご意見等」に基づく投げかけの後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • (席上配布資料に基づき説明)開示書類の役割としては、「情報の内容と範囲」、「情報の信頼性」、「情報開示の適時性」の3点が重要ではないか。
  • 「情報の内容と範囲」に関して、法定書類としての計算書類及び有報は、最終報告として投資家が必要とする情報であるが、決算短信は、速報値としての情報ではないか。また「情報の信頼性」に関して、法定書類としての計算書類や有報は、最終報告であるため、第三者である監査人による信頼性の担保が必要であるが、決算短信は、全く関与しないというわけではないものの、監査は要求されていない。さらに、「情報開示の適時性」に関して、決算短信は早期開示が必要であるが、最終報告としての計算書類や有報は監査による信頼性の担保を前提とした作成期間が必要と考えている。
  • 計算書類及び有報は、最終報告としての位置づけでは同じであるが、それぞれの監査報告書の提出日が異なる。時点がずれれば、その間に状況の変化が起こり得る。
  • 会社法の監査報告書は、有報の監査報告書より先に提出されるが、会社法監査報告書日後、金商法監査報告書日までに発生した修正後発事象について、計算書類と財務諸表の単一性を重視し、有報では開示後発事象とする取扱いは、日本固有の取扱いであるため、海外の投資家からの理解が得にくいのではないかという懸念がある。
  • 金商法に基づく内部統制監査において、有報の作成に係る決算財務報告プロセスなど、会社法監査報告書日には認識できない内部統制上の「開示すべき重要な不備」が特定された場合、金商法の財務諸表監査の意見形成にも影響を与える可能性があり、結果として会社法と金商法の監査意見が異なることになったり、時点が相違することによる監査役監査の結果との不整合が生じかねず、株主・投資家への混乱を招く恐れがあるのではないか。
  • 開示・監査の一元化ということは、開示の情報で同じような情報が公表されるという議論とともに、作成者・監査人、そして利用者の視点から、二重作業と複数開示を前提とした時の経過による状況変化への対応といった問題を克服することができないか。この施策としては、例えば次のような案が考えられないか。
    (案1)会社法監査報告書日付と、金商法監査報告書日付の期間を極力短縮することで、複数開示を前提とした「時の経過による状況変化」の発生の可能性を軽減する方法。現在では、会社法の監査報告書がかなり早く、5月には提出され、金商法の監査報告書、これは監査報告書だけの問題ではなく、財務諸表もその時点で作成するという建付けであるが、それが1カ月以上離れているのと、例えば数日しか離れていないのとでは、かなり状況が異なるのではないか。
    (案2)計算書類と有報について、それぞれの目的を達成するために必要な情報を整理し、互いに参照し合える部分は参照する(又は引用する)といった形で、実質的に一元化する方法
    (案3)計算書類と有報について、それぞれの目的を達成するために必要な情報を整理し、重複部分については一元化することで、一つの開示書類への集約を目指す方法
  • 株主総会のあり方分科会に関連するが、議決権行使のための十分な準備時間を確保しなければならないのではないかという問題意識を持っている。分科会資料において、招集通知の発送時期は日本が最も早く、開催日は日本だけが突出して早いとされているが、株主総会の開催日までの期間を確保しようとすれば、招集通知の発送を今以上に早めるか、株主総会の開催日を諸外国並みに遅らせるかということになるのではないか。
  • 招集通知の発送を今以上に早める方法については、色々な方法で対応することは考えられるが、現状を鑑みるとその方法では、適正な期間を確保することが実務上困難ではないか。最終報告である以上、信頼性確保のためには、確認する時間が必要となる。作成者の方はもちろんのこと、第三者が監査をする期間を確保した上での対応を前提とすべきということになる。
  • 株主総会の開催日を諸外国並みに遅らせるというと、株主総会を1カ月遅らせるという発想が出てくるが、必ずしもそういうことだけを考えているわけではない。株主総会を実際の対話の場とするためには、株主総会開催日の集中化を回避する必要があるが、全ての会社が同様に開催日を遅らせてしまっては分散化にはつながらない。議決権行使のための十分な準備期間の確保を前提として招集通知の発送を今以上に早めたとしても情報の質を確保することができる会社においては、株主総会を無理に遅らせる必要はない。このあたりを整理して検討することがよいのではないか。
  • すべての上場会社が自らの会社の実情に応じた選択により、情報の質と株主の議決権行使のための準備期間を確保できるような、株主総会スケジュールを組むことが重要ではないか。信頼性のある情報を作成するためには、適時性の観点からは劣るものの一定の期間の確保が必要ではないか。情報の信頼性は、会計監査人だけではなく、監査役監査の実施によって、さらには企業の方がきっちり作成することによる信頼性の担保が必要となるのではないか。
  • お話ししているように、現状でもかなりタイトなスケジュールであるのが実情であるが、これは書類を複数作成し確認をしているためタイトという部分もあるため、そういう整理も必要かと思う。招集通知の発送までに情報の信頼性を維持できるだけの適切な期間を確保できなければ、結局最終開示の意味がなくなってしまうということを前提としている。今まで、現場においての早期化も進めてきたものの、限界にまで進んでいるのではないかということで、開示情報の作成期間を更に短縮化するという方向性は望ましくないのではないか。
  • 他方で、株主が情報を入手してからその内容を分析するためにも十分な期間が必要であり、例えば1週間でも株主総会開催日を後倒しにすることによって、株主の検討期間を確保するといった検討も有益ではないか。
  • 招集通知の早期発送には限界があるという前提のもと、有報の総会前提出が有効ではないかと考えている。現行制度では有報の方が計算書類よりも多くの情報を含んでおり、上場会社を前提とすると、諸外国のように株主が議決権行使の検討期間において有報の情報を利用できるようになれば、議決権をより有効に行使できる環境の実現につながるのではないか。
  • (「フランスにおける市場別開示規制の概要」に基づき説明)資料は、同じ上場会社であっても、その規模に応じて開示情報量が異なるのではないか、その開示実態について調べたものである。
  • 規制市場(Euronext Paris)では、例えば会計基準で言うと、フランスは連単分離をとっている。連単分離というと聞こえはいいが、その分、企業に多大な負担がかかっている。とりわけフランスの場合には国内とIFRSとの間に非常に大きな差があるため、規制市場の中でもBとCという比較的中規模・小規模の企業の負担をどのように軽減するかということが、いつも問題となる。
  • 1頁の表は、規制市場及び非規制市場においてどのような開示規制の体系になっているか、年次、半期、四半期を簡単にまとめている。2頁の冒頭では、年次、半期、四半期についてどのような法規制があるかを示している。
  • 年次の開示規制について、実線部分が強制、点線部分が任意を表している。この表から、企業の裁量に委ねられている部分が大きいことがわかる。開示が義務づけられている情報について、まずコアの情報が会社法で定められており、それから証取法、それから市場当局の規則が追加的に情報開示を求めていく形になっている。
  • Document de referenceはECが2004年に規則としてまとめたものであり、企業の透明性を高めるためにこういう情報を出したほうがいいのではないかということで、色々な情報項目を列挙しているが、ECが多様な情報項目を列挙しているため、その中でも特に推奨するべき情報として市場当局であるAMFがガイドラインを示している。
  • 任意であるDocument de referenceは、アニュアルレポートの形でも公表してよいということがAMF規則の中で明記されている。Document de referenceを、アニュアルレポートの形で公表する場合には組替表、クロスリファレンスを作成することが義務づけられている。
  • 実際に企業はどのような形で公表しているかを、簡単に調べたが、一番大きい区分Aの中でも、特に指標として使われるCAC40の企業というのは多国籍の企業が非常に多いため、だいたい英語版とフランス語版の両方でアニュアルレポートを作成している。英語版にはアニュアルレポート、フランス語版にはDocument de referenceという名称が付されており、両方見ると言語が違うだけで中身は一緒なのではないかと思う。ただ、やはり最後にはクロスリファレンスが添付されており、それぞれ会社法のマネジメント・レポートの要求のどの部分に該当するのか、あるいは証取法が決めている年次財務報告書のどの規定にあたるのかということがきちんと説明されている。
  • 次に区分Aおよび区分Bについて、Document de referenceの形が多いが、一番小規模の区分Cの企業になると、証取法の年次財務報告書の形で公表している企業が比較的多いのではないかと思う。もちろん全部の企業を見たわけではなく、たまたま見た企業が10社ぐらいそうであったということにすぎないかもしれないが、最低限のところで作っている企業が多いと感じた(それでも150ページぐらいのボリュームがある)。これは会社法が要求しているマネジメント・レポートの内容が非常に濃いということと、IFRSの要求事項が非常に多いので、そのあたりでボリュームが多くなっているように見受けられる。
  • 市場当局であるAMFは、上場会社の中でも区分B、区分Cの企業への負担を意識しており、その負担軽減にむけてガイドラインを出している。例えば、オフバランス事項、あるいはリスク要因、あるいはガバナンスや内部統制に関連する記載については簡素化してよいということが記載されており、中小企業に対する配慮が伺える。
  • 企業の開示例ということで、区分Aの中でもCAC40に入っているDanonの例と、区分Bに挙がっているLANSON-BCCという企業を例に、どのようなタイムスケジュールで決算を行っているかを簡単にまとめている。決算短信に係る規定はないがLANSON‐BCCであれば2月6日、Danonでは、2月20日に決算短信ともいえるような簡単な業績発表をしている。
  • どういう内容で短信を発表しているかについて、Danonの例とLANSON-BCCの1枚ものを添付しているが、Danonの方は相当詳しい短信、業績が添付されている一方、区分BのLANSON-BCCについては売上だけが記載されている。
  • このように、規定上は強制されていないが、企業は年次報告書を作成する前に年次の業績を発表している。それ以外のスケジュールについては、区分A・Bの企業も見たが、それほど大きな差はないと考えている。
  • ヨーロッパでは、プレスリリースは、会社間で非常に差があるというのが一般的な状況である思われるので、提示していただいた事例は両極端に近いのではないかと思う。
  • (席上配布資料「四半期決算短信と四半期報告書の開示日比較」に基づき説明)四半期決算短信はだいたい30・31日あたりに多くの会社の開示が集中しており、次に、曜日の関係もあるが、38・39日あたりに集中している。四半期報告書は、39日にかなり集中しており、その後は45日に向けて順次出ていく。四半期決算短信と四半期報告書の開示には、平均すると6日位のずれがある。
  • 四半期報告書と四半期決算短信を同日に提出している会社は353社であり、かなり多いことが分かる。次に1~2日のずれをもって提出している会社は409社あり、合計すると700社位が1~2日しかずれずに四半期報告書を提出していることになる。
  • 四半期決算短信と四半期報告書の開示日数差の平均の6日を境に分けてみると、かなり早いタイミングで提出している会社と、間を空けて出している会社がある。非常に極端な例ではあるが、四半期決算日の翌日に四半期決算短信を出し、四半期報告書は45日目に出し、その間は44日もある会社も存在する。四半期決算短信と四半期報告書を非常に近い日程で開示している会社もあると思うが、一方で1,000社ぐらいの会社はかなり間を空けて提出しているという実態もあることを理解した上で議論いただければと思う。
  • 一体化といっても、どのように一体化するのかが重要であり、会社としての早期に開示したいニーズを満たしつつ、監査や数字の正確性が必要な点も踏まえる必要がある。単純に「一つにすれば良い」という議論のみでは十分ではない。
  • (席上配布資料「四半期決算短信の記載内容」に基づき説明)実際の開示事例についても紹介したい。A社~D社(A社・B社は時価総額が1兆円を超える会社であり、C社・D社は200億円未満の会社である。)の4社の事例を比較すると、先ほどのフランスの事例と同様に、大きな差が見られる。
    A社の場合、四半期決算短信の必須記載事項であるサマリー情報、B/S、P/Lのほか、経営成績・財政状態について詳細な説明があり、四半期決算短信の後ろに4ページの補足説明資料が添付されている。これだけでも非常に充実した内容であるが、それに加えて四半期決算説明会資料として約30ページの資料を作成し、適時開示を行った上で、自社のHPにも掲載している。これだけ作っていると、四半期報告書では追加的に記載する内容が無いかもしれない。
    B社の場合は、四半期決算短信の必須記載事項であるサマリー情報、B/S、P/Lを記載し、2ページの補足説明資料を載せているが、特に文章での説明はない。また、別途15ページほどの四半期決算説明会資料を作成し、自社のHPに掲載している。四半期決算短信はシンプルにしておき、投資者とは説明会資料でメインのコミュニケーションをとろうという考えのように感じられる。
    C社は、必須記載事項であるサマリー情報、B/S、P/Lに加えて、一定の文章による説明がなされており、全体で10ページ程度の四半期決算短信である。
    D社は、必須記載事項であるサマリー情報、B/S、P/Lのみを開示している。
    四半期決算短信でかなりの量の開示事項が義務づけられていると考えている方もいるかもしれないが、実際は必須の開示事項は限定されており、上場会社の開示実態を見てもかなり情報量に差があることが分かる。
  • これほど実態に差があると、どこを指して四半期報告書との重複感と呼べばいいのかという点に疑問がある。B/S、P/L、四半期決算短信を開示するタイミングで出すのが難しいということなのか、それとも、投資家との対話の中でいろいろな要請があり、四半期決算短信において色々な情報を出されようと会社が努力されている中で、情報量が増える一方で減らず、そういうところで四半期報告書との重複感が出てしまっているということなのか。出席されている委員の方々の会社の開示は充実していると思うが、それがすべての上場会社に当然に当てはまるものとして議論すると、上場会社が3,400社ある中、議論がずれてくる可能性がある。
  • 会議の趣旨をもう一度確認させていただきたいと思う。まず日本全体の企業ないしは産業の活性化を最終目的として、そのために企業と投資家の対話を促進させ、相互に刺激し合って本当にあるべき持続的な企業価値の創造につなげていくということである。したがって、現状の企業と投資家の対話を前提に物事を考えることは多分違うと思う。もっと対話を促進するためにはどうするべきか、ということをきちんと議論すべきではないか。
  • 日本のみ3つの開示規制があり、一見すると無駄な作業が多くなっており、ややもするとかなりの情報が重複していると思う。もし重複をなくせば、もっと投資家と企業との本来やるべき対話にエネルギーを傾けることができるのではないか。そうであれば、個々の開示書類に意味があるかないとかいうことではなく、海外の開示事例と比べて、日本は改善する点があるのかないのかについて、もう少し問題点を整理すべきではないか。
  • 日本公認会計士協会より提示された資料は、私が考えてきたこととかなり一致している。開示の目的に関して、「情報開示の適時性」とは、東証の求めている、どれだけスピードを上げて早期開示をするかということである。情報開示をする際にスピードは非常に重要であると思う。開示の2つ目のポイントとしては、「情報の信頼性」である。いくら早期開示しても、その情報に正確性がなかったり、結果的に信頼性が劣っていたりというのでは意味がないと思う。やはり情報の正確性・信頼性をきちんと担保しなければいけない。「情報の内容と範囲」については、端的に、どれだけより細かく多くの情報が必要とされるかということと思う。
  • 情報の量と内容、信頼性、早期開示は、それぞれバラに考えていいのだろうか。とりわけ、早期開示と信頼性については、いくら早く情報を開示しても信頼性のない情報であれば意味がないと思う。
  • 東証の「決算発表の早期化の要請」という文書では、早期化は義務であるが、「公認会計士または監査法人との緊密な連携の確保にお努めいただくようお願いする」という、会社から言えば非常に重たい言葉が書いてある。監査が必要とは記載していないものの、実質、監査と同様の重みと考えている。
  • 東証より提示された資料における、四半期決算短信と四半期報告書の開示日比較も非常に参考になった。平均を取ることには意味がないというのは分かっているが、日付のずれが平均6日だということであれば、早期開示を正確な信頼性あるデータで開示する考え方から、この6日を受け入れて、信頼性を増すために開示が少し遅れるのを認めるべきである。一方、同日とか1~2日のズレということが全体の2,300社のうち3分の1であるとの事実から、できるだけ投資家との対話促進ということで、関係者が努力して過半の会社が700社になるように検討することも必要である。レビュー報告書の取得を四半期短信開示に合わせるべく努力をすべきである。
  • レビュー報告書が四半期短信とほぼ同日の取得が可能となれば、四半期報告書の財務諸表は四半期短信のコピーでも可、との考え方につながってゆくと思う。
  • 年度開示については、分科会資料によれば、2つの監査報告書が必要とされているのは日本だけである。アメリカは基本的には証取法の監査報告書しかない。欧州については証取法と会社法が2つ存在しているが、調整されており、年度決算については、会社法の監査報告書が全部代表していると私は理解した。日本においても、会社法が監査する箇所については、そのまま金商法でも使用できるようにしたらどうか。
  • 実際、当社の会計実務では、会計士は計算書類と財務諸表の単一性を重視している。仮に、単一性を重視して、事後情報を有報で開示後発事象で処理をすると、これはまた複雑な取扱いをしているということになる。したがい、会社法で監査したものをベースとして、金商法の監査は会社法での監査との重複を避け、追加情報の監査にのみ絞るべきである。欧州と同様、会社法と金商法が調整し、監査の重複を見直すべきである。
  • この際に、金商法では会社法に記載されていない追加情報だけを監査すると考えると、日程の早期化も検討課題となる。日本では、会社法の監査報告書の取得が42日、金商法の監査報告書の取得に86日要し、この間が44日もあるということである。追加情報だけのために44日もかかるような作業が必要だろうか。追加情報だけに絞れば、日程の大幅短縮が可能となると思う。
  • この結果、有報の作成日程が早期化できれば株主総会の開催日を遅らせることなく、参考資料となる。加えて、投資家とのより充実した対話の促進にもつながるのではないか。
  • 今議論したことは、上場している会社、公開会社だから当てはまることかもしれないため、公開会社に関してはそのような整理が可能なのではないかということで検討していただきたい。
  • 短信から報告まで短い会社に関して、(東証から提示された資料における)A社B社に関しては大規模な会社との説明があったが、短信からのタイムラグが短い会社には、例えば外国人投資家の比率が多いとか、規模的に大きな会社が多いという特徴があるのかどうか。そうであれば、フランスの規制市場のA・B・Cというのが実質的にはそういったことで動いているのではないかと類推できるのではないか。
  • 四半期報告書と短信を一致させる方法としては、開示府令の様式に縛られているところがあるのではないかと思われるため、(経産省の管轄ではないが)それらを改正して、海外の組替法、参照方式をとれば、一体化することができるのではないか。
  • フランスにおけるA・B・Cという会社について、日本でも実質的にそのような会社があった場合、Cという会社がそのままCでいってしまう懸念がないのか。かつて日本の会社でも、上場するまでに30年ぐらいあり、実際には創業者がその利益をとって、その後全く発展がないような会社、いわゆるリビング・デッドというような会社については、持続ある成長というところからは違う会社は放っておかれるということが起こるのではないかという懸念がある。
  • 日本の短信とは異なり、ご紹介いただいたフランスの開示事例では会社のロゴが入っているなど、フォーマットも違うことが確認できた。また、開示事例のうち、一社については売上高しか開示していないなど、開示の範囲や水準も企業の自由にまかされていることが大きなポイントであると思う。この各社のバラツキが意味するところこそ、企業と投資家との対話だと思う。
  • 対話を充実していかなければならない、ということは疑いがないが、別の視点からみると、それほど十分な対話をしないことを選択している会社もあり、そうした姿勢についても投資情報としては重要であると考える。換言すれば、マーケットは、対話を一生懸命する会社をもちろん評価するが、他方で対話を積極的にしない会社についても、それを別の形での投資情報の提供として、捉えていると思う。
  • 法定ではない適時開示については、基本的には会社が開示の内容を企業自身で考えることこそが、投資家との対話の大きな糸口になると考えている。
  • 短信は適時開示である一方、四半期報告書あるいは有報は法定開示であり、そもそも建付けが違う。ただ短信については、東証がフルセットで開示することを求めていないにもかかわらず、多くの会社がフルセットで開示しているのが実情で、それが負担感につながっているのではないか。極端に言えば、1ページ目のサマリーだけを義務化するのでもいいかもしれない。
  • 有価証券を発行する際に使う目論見書の場合、をしている発行体は参照方式でよいとされているなど、法定開示の枠組みの中では、既に参照方式が取り入れられていることについても一言申し添えておきたい。
  • 企業と投資家の対話のツールとして、法定開示書類というのは非常に重要なものである。そのようにみると、有報の提出時期を、もう少し前倒しすることを検討できないか。制度や規則を変える必要はなく、企業側の運用で十分できるのではないか。
  • 制度と運用は分けて考えるべきである。今出てきている論点について切り分けを行いつつ、運用面でできるはずなのになぜできていないのか、何か問題があるのではないかなど、そういう議論を深めていくことも、今回の議論のアウトカムにつながるのではないかと思う。
  • 私はIR部門であるため、アニュアルレポートや、有報・決算短信の定性的な情報を作成している。アニュアルレポートではモチベーションが上がり、アピールしたいという気持ちになり、色々な情報を書いたりアピール箇所をはっきり言ったりもする。だが、有報や決算短信では、ボイラープレート型の記載をし、横並びしたくなる。言語の問題なのかもしれないが、日本語の文章では自慢することは恥ずかしいが、英語の文章のときは自慢しても恥ずかしさを感じない。
  • 参照方式になり、アニュアルレポートを日本語でも継続開示作成し、有報や短信に該当する箇所はここである、と示すことができれば、企業側は自由度が増して、投資家も本当に知りたいことが分かるのではないか。
  • きちんと開示をしない会社は、おそらく市場からも全く注目されておらず、その会社の情報は誰からも必要とされていないので、そうなっているのではないか。海外投資家から投資されれば、自然と開示するようになる。結果、時価総額が大きくなっていく会社と、そうならない会社に分かれていく。それはごく自然なことであり、時価総額が小さく、開示に対して消極的な会社は市場から排除されていけばいいのではないかと思う。
  • アニュアルレポートでは、CEOメッセージで、この総会で選任された人が次に「私はこの1年間何をする」というメッセージを出すが、欧米の会社を見ていると、総会の方が後にあるため、例えばCEOメッセージとして出した人が総会で選ばれないこともあると思う。そのあたりの実務はどうなっているのか。
  • (東証から提示された資料について)ABCDの4社に関して、経験的にこれらの開示パターンがあるということは実感している。ある種、開示の姿勢を表しているという捉え方ができると思う。
  • A社とB社について補足説明資料の内容が記載されているが、これはそれぞれの会社がIR対応する中で、いわゆるFAQ(Frequently Asked Question)として蓄積した経験知を、あらかじめ開示しておこうという項目が選ばれているように見受けられる。そういう意味で、ここにIR経験知と開示の姿勢が表れている。
  • 他方、開示資料だけで全てが決まるというわけでもない。時価総額の小さい企業はIRスタッフの人数も少ないこともあるが、企業に直接面談を申し込むと社長自らが出てこられることが多く、気持ちのこもったメッセージが伝わってくることもある。あまりコストをかけて無理矢理開示資料を作ることが本当に必要かという観点も重要。
  • (東証から提示された資料について)前回の分科会では、四半期報告書と短信のずれは、平均で6日ぐらいということであったが、実際に直接会っている会社は、たいてい同日か2日ぐらいである。そしてこの資料を見てなるほどと思ったのは、やはり同日から1~2日のところに相当数があるということで、実感はこのあたりにあったということが確認された。
  • 決算発表が同時期に集中するため、同じ会社から似かよった資料で2回公表(短信と四半期報告)されるときにアナリストが2日後にもう一方の開示資料に目を通すかというと、2日後に同じ会社の開示資料にもう一度目を通すぐらいであれば、別の会社の新しい開示資料に目を通す。日がずれて同様な複数の開示資料が公表されるという状況では、多くの場合後から出てくる資料は見ないというのが一般的であると思う。(時間の効率的な使い方が僅かな情報の差に優先)
  • (席上配布資料を用いて説明)この資料は、先進国各市場で代表的なインデックス、米国S&P500、日本TOPIX、英国FTSE100、ドイツDAX30、フランスCAC40を選定し、本決算期末後何日目に決算発表をしているのかを調べたものである。
  • サンプル数としてそのインデックスに入っている企業数が異なるが、例えば欧米であれば12月末決算の会社が多いため、12月末から1週間ごとに累計ベースでどれだけの企業が決算発表をしたかを調べている。同様に、日本の場合は大多数が3月末だという前提で、3月末から1週間ごとにどのように業績発表をした企業があるかを累積で見ている。
  • 日本の企業の決算発表のタイミングが欧米に比べて劣っていないのかどうかという点では、1ページ目の左下のグラフの通り、全体を見れば欧州の企業よりは早いというのが分かる。一方で、決算が終わってからスタートダッシュで出されるのはアメリカで、タイミングが早い。ただ、あるところまで来ると日本は一斉に発表があるので追い付いてくることが、ここで見える。
  • 同じ企業からかなり重複のある資料が2つ3つ公表されたとすると、後から出てくるものについての注目度は一段と下がる。具体的には、短信が公表された後、速やかに決算発表会を行っている場合もあり、決算発表会の資料では、Q&A対策を考慮した補足説明付きのものが用意され非常に読みやすく分かりやすいため、そこで相当満足できてしまい会社法計算書類、金商法有報、アニュアルレポートを待って読み返すより、別の会社の情報収集に時間を割くということがあると思う。
  • たくさんの相当企業を抱えているアナリストは忙しくて、有報まで目を通せず、また最も気持ちを込めて作っているアニュアルレポートを読んでいないかもしれない。それこそがまさに「あるべき対話をするためにはどうすればよいか」という観点から、問題であり、対話のレベルを引き上げるために必読資料としての価値を考える上での大きな課題であると思う。
  • 投資家(利用者)として開示に求めているものは、透明性と比較可能性と予見可能性である。終わった期のデータは先の予想を考えるために使っており、公表された開示の内容が透明性・比較可能性・予見可能性にうまく合致しているかということが最も大事である。
  • 開示資料は「分かりやすさ」が重要である。アメリカの例で言うと、かつてはアニュアルレポートと10-Kは別々にあったが、現在はボーイングやP&Gのように一冊にして利用者の利便性を高めている例がある。三百何ページや二百何ページという分厚い資料であるが、一冊にすべての情報がまとまっている。必ずしもどの資料を見ればいいかということに慣れた投資家ばかりではないことを考慮すると、一冊に集約されていることは、非常に分かりやすい。
  • 弊社のグローバル経営会議において、日本の開示制度の概要を海外と比較して説明した。3つの開示規制があり、年次開示は3つの書類、四半期は2つの書類、株主総会の前に米国の10-Kのような頼りとなる資料はでてこないといった点を説明すると、欧米のように情報が集約して開示される方向で検討が進められているのであれば、それは非常に好ましいという反応であった。ユーザー側からすると期待値はそういうところにあると思う。
  • 開示をする企業側の多くの自由度を持たせること、そして最低限押さえなければいけないところを押さえておく、例えば、一冊の開示資料の中に、Auditの対象になる部分とそうでない部分があり明確化されていることなどであるが、こうした先進的な対応が大事ではないか。
  • ユーザーとしては、非常に自由があって工夫の余地がいくらでもあるというものと、最低限絶対に守らなければいけない、信頼性の確保で絶対これは年に1回大事というようなものがあって、そういう二本柱のようなシンプルなものにしていくことが、最も望ましいと思う。
  • アニュアルレポートは、本来読むべきだと思う。米国のように、有報とアニュアルレポートが最初から合体していることになれば、アニュアルレポートというのは非常にナレーティブに書いてあって読みやすく、また企業の理念というようなこともたくさん表現されている。それに加えて、有報があり、注記も細かくあれば、必ずその1冊にたどり着き、すべての人がアニュアルレポートの色々なページに目が誘導される。せっかくこういう議論をしているのであるから、そういう仕掛けを考えられないか。
  • 資料2では、制度改正を念頭に置いた発言が多く記載されているように感じる。我々は、対話を充実するためにどうしたらいいかということを議論しているのであって、その目的を、報告書なりを作成する時にはきちんと書いた方がよいと思う。
  • 長期投資家と話をしていると、対話も大切であるが、現在の経済環境はグローバルなリスクが非常に大きく相場変動にも影響する、そうしたリスクがたまっている中では、一定の頻度できちんと開示することも重要であるという声もあった。したがって、簡素化のみを重視すると、日本市場に長期投資家も注目しているのに、彼らが信頼する日本企業のよい部分をなくすおそれがあるような気も少しする。
  • 決算短信は、有報に並ぶ正確性と適時性を兼ね備えたものであると思っている。したがって、四半期報告との統合については、できるだけ短信と一緒にできればよいのでないかと思う。
  • 決算短信は個人投資家も使っており、マスメディアや情報ベンダーも短信から数字を取っている。その意味で、 TD-netで決算短信の数字が取れることは利便性が高い。特にマスメディアは個人投資家と企業との間に立つ立場から、そうした体制をぜひ維持してほしいと思っている。
  • (東証より提示された資料に記載されていたABCD社の開示について)日本IR協議会の会員企業の中でもこうしたパターンがあるように思っている。開示が充実しているAB社のパターンについては、私の印象では、情報量を減らしつつあるのではないかと思う。例えば医薬の会社では、「決算長信」と評されるぐらい記載していた会社が、開示内容を整理しつつある。
  • 短信の自由化・多様化が進んでいることも視野に入れて、必要最小限の情報と、企業が自発的に加えるもの、それから、整理や削減してもいいものということで段階的に判断をしていけば、こういったパターンも少し変わっていくのではないかと思う。
  • 開示量が少ないCD社のパターンについては、対話を拒んでいるという意見があったが、中・小型株企業の中には、拒んでいるわけではないが、会社に色々な意見があるのでなかなか情報を出せないというケースもある。対話をしたくないというわけでもないが、社外に数字を出す場合は、一定のフォーマットがあった方が逆に出しやすいという会社もあると感じている。
  • 海外との比較感ということでは、海外企業のシンプルな表現や自発性を尊重した形式はよいと個人的に感じている。例えば米国企業の業績発表のニュースリリースは、各社で表現や形式が異なり、比較しにくいが、日本企業に比べると、投資家視点のキーワードが入っている企業が多いと感じる。
  • さらに米国企業は、上場企業の株主・投資家に対する意識が高い。そのため、例えばアナリストは、「若干比較可能性は低いが、投資家目線で作っている」と受け止めているのではないだろうか。日本企業の場合は、やはりステークホルダーの利害を考えて経営しているところが多いので、米国企業のような考え方や、それに基づく情報開示というところまで一気に行くのは難しいと思っている。
  • 「海外のよい部分を取り入れ、日本のやり方を改革する」ことは必要だが、もともとあったよいものがなくなって、その先に進むために必要な基盤ができていないのに、形だけ取り入れることの危うさもあるのでは、と感じている。
  • (日本公認会計士協会から提示された資料について)案(3)がとれれば実質的に一つの開示書類への集約ができるため最も望ましいが、なかなか難しいとは思う。
  • (質問)案(1)では、会社法の監査報告日と金商法の監査報告日が縮まればいいと記載されているが、1日でも差があれば、理屈の上では、この問題そのものは解決しないと思われる。そのあたりをどのように考えるか。
  • (質問)案(2)では、海外でもクロスリファレンスということが最近議論されており、国によっては、フランス等で実行されている。(日本公認会計士協会から提示された資料では)財務情報のクロスリファレンスなのか、非財務情報のクロスリファレンスなのか、あるいはその両方を想定されているのか。
  • (質問)参照方式なりクロスリファレンス方式は、利用者からは実は使いにくいという話も聞いている。それに対してどのように考えているか。
  • (回答)案(3)であれば課題は少なくなるかもしれないが、そこまでの道のりの課題もまた大きい。案(1)であれば、1日でも違えば当然この問題を完全に解決することはできない。ただ、先ほど40日という話があったが、40日違うのと1日しか違わないのでは意味合いも異なるため、少しでも縮めるという言い方をしている。実際にこれらを詰めていき、もしこういう案を考えるとしたら、ご指摘の点などをきちんと詰めていかなければいけないと考えている。案(2)は、監査の観点からいえば、参照する際に監査報告書をどうするのかといった問題もある。
  • 年度と四半期の議論が混在しているような気がしている。年度の有報と、(委員のおっしゃった)モチベーションを上げて作成されるアニュアルレポートについては、我々も気合いを入れて、見なければいけないと思っている。ただし、四半期報告書は少し意味合いが異なる。
  • (東証より提示いただいた資料に記載されているABCD社の開示例について)私の担当している会社はAのパターンが多く、その会社を簡素化すべきであるというのもおかしな話である。簡素化してもよいが、そこは会社の自由度に任せたい。C・Dの会社は、開示したくないから簡素化しているというよりも、多分シンプルな事業構造でセグメント開示も必要ないのではないか。決算短信はシンプルだが四半期報告書はすごく充実しているというパターンよりも、決算短信がシンプルならば四半期報告書もシンプルというパターンの方が多いと思うので、ここはそれぞれの会社で充実した決算短信で一本化する、シンプルな決算短信で一本化するということでもいいのではないかと思っている。
  • 12月に株主総会を開催する予定の会社で、これまで3年ぐらい法務の担当者による議案の説明だったが、今回初めて副社長が行うという会社があった。そうなると、議案の説明だけにとどまらず、マネジメント同席の上、ディスカッションしたいという意思が企業側にも生まれてきているという感じを受け、投資家側も対話するために準備をする、そういったリレーションも始まっているのではないかと感じたので、ご紹介させていただく。
  • 制度開示の問題は、タイミングの問題と内容の問題の両方について考える必要がある。タイミングが一致しても内容がずれることもあるし、タイミングがずれても内容について、短信や計算書類をリファレンスにより活用するというアイデアもあり得るので、その部分は必ずしもタイミングだけではなく内容の問題でもある。
  • 分科会の一つの方向性が、株主総会を後倒しにすることで一体化させようということにあるように思うが、その検討の際には、なぜ有報の前倒しというのができないかということを考える必要があると思う。ベストプラクティスをどう作るか、そのためのインセンティブをどう作るかについても議論することが必要ではないか。
  • 当社では、9月ぐらいにアニュアルレポートを作成している。アニュアルレポートは、英文で作成し、同時に和文の簡略訳をしてホームページに載せている。
  • 有報と一体化できればいいが、有報なり事業報告なり、法定開示についてはかなり意識して作成している。
  • アニュアルレポートは色々なことが記載されていて結構面白いが、必ずしも投資家は財務情報だけを望んでいるわけではないという気もする。どうしても財務情報の話に偏りがちであるが、必ずしもそれだけではないのだろうという気がしている。

以上

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最終更新日:2014年12月16日
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