経済産業省
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企業情報開示検討分科会(第4回)‐議事要旨

日時:平成26年12月11日(木曜日)16時00分~18時10分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

(企業情報開示検討分科会委員)
伊藤座長、秋葉委員、稲葉委員、引頭委員、内野委員、小野委員、北川委員、久保委員、熊谷委員、三瓶委員、関根委員(代理小倉様)、早川委員、深澤委員、安井委員、弥永委員、山田(俊)委員

議題

  1. 本分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい企業情報開示のあり方について
    • その他
  2. 「これまでの意見整理」の検討

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。その後、企業情報開示のあるべき姿について、委員より提示された資料に基づき、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • 資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」は、開示の利用者としての立場から、求められる開示の一つの方向性について、取りまとめたものである。
  • 持続的な企業価値創造のためには、企業と投資家の対話の促進が必要であり、その際に、国際的な状況を踏まえて、望ましい企業情報開示のあり方を検討することになる。それを実現する上での課題・方策は何かということが、基本的なテーマであると考えている。
  • 一つ目のポイントとして、開示書類の一元化、統合化の方向性案について、年度開示、半期開示、半期以外の四半期開示に分けて記載している。
    1. 年度開示について
      現状では、時系列的に、取引所規則に基づく決算短信、会社法に基づく事業報告・計算書類、金商法に基づく有報がある。統合案としては、速報としての決算短信と確報としての有報は、存在意義がそれぞれあるため、いずれも必要と考えている。
      速報としての決算短信の位置づけはほとんど変わらないと考えている。
    2. 半期開示について
      四半期決算短信を速報目的に存置するとともに内容を簡素化し、確報としての四半期報告書を存置してはどうか。
    3. 半期以外の四半期(第1四半期、第3四半期)開示について
      四半期決算短信は任意とし、金商法の四半期報告書は廃止してよいのではないか。
  • 利用者は、圧倒的に有報を利用するが、会社法に基づく事業報告・計算書類については、金商法に比べて注記等が若干少ないという印象があり、ほとんど使わない。利用者側では、確報として有報を頼りにしており、有報を残すことで満足である。
  • 細かな点として、会社法の事業報告・計算書類にはあるが、有報にはないという情報があれば、統合化の検討の際に考慮するべきであると思う。
  • 二つ目のポイントとして、開示内容の簡素化に関して、短信に記載される「会社予想」は任意とし、また連結財務諸表は必須。セグメント情報はどの投資家も必要とすると思われるが、その情報に意味がある場合には、必須とし、その他は任意とすれば、かなり開示が簡素化されるのではないか。
  • 三つ目のポイントとして、このように任意開示が拡大すると、法定開示と任意開示のバランスを考えることが重要になる。この場合、アメリカのボーイング社やP&G社のように、アニュアルレポートの後半に10-Kをそのまま添付するなど、アニュアルレポートと有報を合体することが考えられるのではないか。また、タイミングについて、会社法上の事業報告・計算書類を有報に寄せていくことになれば、有報を総会前に提出することが必要になるが、総会前までにアニュアルレポートと有報を合体することを求めるのではなく、アニュアルレポートはもう少し時間をかけて後で出てくる可能性があることを踏まえると、総会後にアニュアルレポートが提出される段階で、財務情報についてはあらためて有報を合体することで効率化と充実が可能になるのではないか。
  • 決算説明会資料は年々非常に充実しており、かつては説明会に出席しなければ決算説明会資料を入手できなかったが、最近ではほとんどウェブで開示されている。ただし、すべての会社がウェブ開示をしているわけではないため、ウェブ開示を奨励してはどうか。
  • 投資家は、決算説明会における質疑応答に非常に興味をもっているが、質疑応答内容がウェブ開示されている例は、残念ながらそれほど多くはない。その場合、証券会社のアナリストが決算説明会に出席し、録音や速記録等を投資家に配っているが、本来であれば、会社側が質疑応答内容をウェブ上にアップをすることが公平な開示ではないか。
  • こうした統合案・変更により期待する効果として、まず、企業側が力を入れて丁寧に、表現も考えながら作成しているアニュアルレポートに、そこに行けば相当詳しい情報が分かるという意味で企業情報利用者を誘導することができ、また非財務情報への関心・理解向上が見込まれる。加えて、もともとアニュアルレポートは、海外投資家向けに作成されていたため、英文で作成されている。アニュアルレポートと有報を合体させることになれば、有報部分も英語で作成することになる。英語版の有報が作成されれば、開示情報量・丁寧さとしては格段の向上になる。
  • こうした統合案・変更により期待する効果の二つ目として、発行体にとって、企業情報開示の自由度が向上し、非財務情報に注力することができ、また利用者にとっては、情報の一元化による利便性の向上が期待できる。
  • 短信について第1・第3四半期を任意にすると、機関投資家は、第1四半期・第3四半期情報(会社予想の上振れ/下振れ)を追う代わりに、オフサイクルにビジネスモデルや経営戦略・課題について深堀りすることができ、中長期視点の対話を促進することができる。具体的には、3月末決算企業については、7,8,9月及び1,2,3月の時間の使い方が変わり、四半期情報のトレースとレポート作成の代わりに、非財務情報も分析して対話の準備にあてることができるのではないか。
  • 有報では、事業報告・計算書類とは異なり、沿革や事業等のリスク等の重要な情報が記載されている、他方アニュアルレポートは有報とは異なり、製品イメージ(写真)等の非財務情報が充実しているため、財務的な根拠が見える有報と、企業の活動をビジュアル的にイメージをもって理解することができるアニュアルレポートを合体させ、一元化すればよいのではないかと考える。
  • (経団連で実施したアンケート調査の概要について説明)経団連企業会計委員会企画部会、経済法規委員会企画部会/同コーポレートガバナンス部会に所属の企業71社にアンケートを送付し、55社より回答を頂いた。主な質問項目は、金商法・会社法開示の一元化、金商法開示・会社法開示の役割を尊重した開示の合理化について、どのように考えるか、四半期報告と四半期決算短信の開示の一元化についてどのように考えるかについてである。
  • アンケートでは、少数意見もいくつかあるが、おおむねの最大公約数は、会社法開示及び金商法開示は、目的に照らして過剰な開示や開示の重複感があり、制度趣旨が異なるとはいえ、開示内容の整理を十分に行うべき。
  • 開示内容の整理について、1つの方向性の例示として、金商法開示では、法定ベースで連結のみ、会社法開示では、法定ベースで単体のみ求めることにより、各開示制度の役割に即した開示の簡素化・合理化を追求するべき。
  • 企業ごとに、会社法上の連結開示については、抜本的な簡素化・合理化の上で開示を継続するか、任意での開示とするべき。
  • 株主総会の提出資料として、有報の提出を義務付けること(有報開示の一本化)は、スケジュール面で実務上困難であり、株主と企業との対話の促進に一律に寄与するとは考えられないことから、追求すべきではない。同様の理由から、有報を株主総会前に開示することを推奨することも避けるべきである。有報の開示時期は、あくまで各社のニーズを踏まえた、自主的な判断に任せるべき、との意見が多数寄せられた。
  • 投資家への適時の情報開示、企業のコスト負担の観点から、会社法では、電子開示の更なる拡充を検討すべき。
  • 四半期決算短信と四半期報告は、四半期決算短信の開示内容で一元化すべきである。その際に、監査人による四半期レビューを残す必要があるかどうか、更には四半期開示を義務付けとするか任意とするかについては、更に検討すべき。
  • その他として、会社法の単体開示について、単体開示は存置すべきだが、注記項目レベルの簡素化は可能。「有価証券に関する注記」や「税効果会計に対する注記」はtoo muchである。東証の適時開示と金商法上の臨時報告書について、開示内容が重複しており、開示時期もほぼ同じであるから一元化すべき。業績予想については、2011年の東証での検討で、業績予想の開示が自由化されたが、ほとんどの企業はそれまでと同様のフォーマットでの開示を続けているため、廃止を含めて検討されたいという意見があった。以上が経団連アンケート調査の概要である。
  • (経団連アンケートの結果と異なる見解の部分もあるため、委員の意見をコメント資料に基づき説明)日本のみ3つの開示規制(会社法・金商法・取引所規制)があり、かなりの情報が重複している。ヨーロッパ等とは異なり、開示規制間の調整が図られていないという印象を受ける。
  • 年度決算は、会社法、金商法で2つの独立した監査報告書が求められる。制度上、会社法の監査が実施され、その後に金商法の監査が実施されるが、実務は別として、基本的には、両者ともゼロベースで監査することとされている。そのため、かなりの重複感がある。
  • 前回の分科会で提示された日本公認会計士協会の資料に記載されていたとおり、開示書類の役割は、情報の内容と範囲、情報の適時性、情報の信頼性とに分けて考えるべきである。開示情報は、広く深くあるべきであるが、同時にある程度のスピード感を持つべきであり、さらに信頼できるデータでなければならない。
  • 有報では膨大な情報が開示されているため、バイブルであるという機関投資家の意見もあるが、他方で、株主総会の参考資料としては、大方の個人株主が読みこなせないのではないかという意見もあった。ただ、それぞれの開示資料の内容と範囲をどうするかについては、誰に対して、どのような目的で、どのようなタイミングで開示するのがベストかについて、きちんと分析して議論するべきである。したがい感覚的に有報がtoo muchであるかどうか等々については意見を差し控えさせてさせていただく。
  • 決算情報であることを考慮すると、情報の適時性と信頼性については、どちらか一方では片手落ちで双方を成立させる必要がある。双方を同時に成立させるべく、開示資料をどうするか考えるべき。
  • 四半期開示は、四半期短信と四半期報告書は統一させるべきである。東証提示資料では、四半期短信と四半期報告書の開示日数差は平均6日程度とのことであるため、実務的にも統一は十分可能と考える。さらに、情報の信頼性を担保するため、監査レビューは必要と考える。現在東証では、公認会計士との緊密な連携を求めているが、「緊密な連携」を担保するため、監査レビューを必要とするべきである。したがい四半期報告書のフォーマットをベースとして、監査レビューを保持した決算発表・短信の開示を行うべきと考える。その上で、開示時期の早期化の努力をするべきである。
  • 年度開示について、会社法の監査報告書の取得は平均42日、金商法の監査報告書の取得は、平均44日後の86日であるとのことであるが、会社法と金商法では、財務情報の一体化が進んでいることを考慮するならば、監査業務についても法令上の重複部分を見直すことにより、44日からの大幅削減はできるのではないか。
  • 年度決算発表は平均37日に行われ、年度の会社法監査報告書の取得は平均42.5日にされており、日数差は5.5日である。当社を含め、決算発表の前には会社法の監査報告書を取得している会社が多数あることから、年度決算発表は会社法監査報告書で信頼性を担保したらどうか。
  • 会社の手続きにおいて招集通知の送付よりもかなり早い段階で監査報告書を入手している。招集通知の送付までの時間短縮の1つの解として、会社法の開示に関しても、電子化をもう少し検討すべきと考える。
  • 実際、当社では、事業報告書を作成してから、40万人の株主宛に、招集通知を印刷し、袋詰めし、宛名をチェックし送付するまで、16日かかっている。弊社の場合は6月上旬に発送しているが、その16日前には全部完成している。電子化を制度化して開示すれば、早期開示になるとともに、その後の印刷、発送手続きに余裕ができる。その余裕を活用して有報の早期作成と株主総会前の開示を検討してはどうか。
  • 現状似たような書類を短期間で複数作成しなければならず、その作る作業もさることながら、チェックにも多大なエネルギーと時間が奪われている。その時間とエネルギーを、投資家と上場会社が高質な対話を行うための投資家と向き合う時間に振り向けられないか。また、投資家とどのような関係を構築し、どのような情報を開示するかについては、個々の上場会社の判断とし、裁量権を与えてはどうか。
  • 案としては、決算短信は速報として利用されているため残して、有報と事業報告・計算書類は統合し、現状より少し早めの60日以内の提出を目指してはどうか。将来的には、アニュアルレポートとも統合し、参照方式の形になると非常に望ましいと考えている。
  • 四半期については、四半期決算短信と四半期報告書は、開示日数がほぼ近いということを踏まえ、両者を統合すべき。その際に、しっかりきちんと監査(レビュー)を受けた数字をあまり遅くならないタイミングで公表する、という形が望ましいのでないか。
  • 年度の決算短信の内容については、(期末の)短信部分は必須とし、添付書類等は個々の上場会社の判断に委ねることでよいのではないか。
  • 開示内容を個々の上場会社の判断にゆだねると開示の後退につながるとの意見もあるかもしれないが、小規模・少人数の会社では、現状いくつも似たような書類を作成することに時間やエネルギーを費やしているため中身の充実まで手が回らないという面があると思う。企業側にある程度の裁量権を与え、自分達が必要だと思う情報を開示させた方が、中身が濃くなり、投資家にとっても有益な開示になるのではないか。
  • 資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」では、有報を株主総会前に提出し、招集通知への添付は決算短信でも可と記載している。これは、招集通知を発送するタイミングでは、有報を添付することは実務的に難しい可能性があるため、その時点では決算短信でも可とし、総会までには有報を作成している状態にすることを考えている。それは、ウェブ開示が適切なのかもしれないが、そうなっていれば、更に有報でも確認したいという株主は、いったんそれを見てから総会へ臨むということができるのではないかということで、ここについては、若干のフレキシビリティがあってもよいと思っている。
  • 発言された3委員のご提案内容は、いずれも投資家と企業の理想的な関係構築に必要な情報の有効性と有益性を高めるものであり、不要な業務に伴う不正確な情報のジャッジを避けることを含め、関連作業の効率性を高めるということに集約されると思う。ご提案内容は、大きなフレームとして、全く異存はない。
  • 資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」では、招集通知への添付は決算短信でも可とされている。だが、個人投資家や機関投資家が株主総会で議決権を行使する際に、単体情報を必要とする利益処分案などが議案に含まれているケースでは、決算短信を添付することで足りるか。決算短信に記載されている情報だけで、議決権行使に十分な情報であるといえるか。会社法との関係をどのように整理するべきかという実務的な問題がある。
  • 事業報告・計算書類では開示されず、有報のみに記載されている情報(事業等のリスクなどの経営戦略的な記載)については、有報と事業報告・計算書類を統合し、それを総会前に提示することでカバーされるのではないか。ただし、総会前とは、実務的には総会の前日も含まれるため、総会の前日に有報が提示されても、株主側にとっては遅すぎることになる。
  • IFRSでは膨大な注記が求められるが、それらの情報を、総会前に余裕をもって開示することは実務的にはかなり難しい。経団連で実施したアンケート調査において、「有報を株主総会前に開示することを推奨することを避けるべきである」と記載されていたのは、その意味ではないか。
  • 一体化の案として、有報の情報で、議決権行使に必要な会社の戦略やリスク情報については、有報の現状の開示から一部切り離し、有報と会社法を統合させるのではなく、決算短信と会社法を統合させた方がよいのではないか。すなわち、招集通知に決算短信を添付するのであれば、決算短信の情報に、事業報告に記載されている情報の中から、ある程度会社の姿勢なり体制なりを示す情報を短信に盛り込み、議決権行使してもらう。一方、有報と会社法については、それ以外の部分を統合するのであれば、総会前でも間に合うのではないか。あるいは必要な情報が短信のタイミングで開示されているのであれば、敢えて総会前に出す必要は無いのかもしれない。
  • 第2四半期には、四半期決算短信と四半期報告書を作成し、第1四半期・第3四半期については、四半期報告書を廃止し、四半期決算短信を任意開示とする考えには、実務負担の観点から同意したい。
  • 四半期決算短信を任意にし、対外開示がなくなったとしても、これだけ四半期決算が企業側に定着している中では、企業内でもっている四半期決算数値が、投資家との対話上有用と判断されるのであれば、企業側は開示をするであろうし、また投資家も開示を求めるのではないか。
  • 短信について、開示内容を簡素化することにも同意したい。短信に記載されている会社予想を出すか出さないかは、実務負担の軽減の観点からはあまり変わらないが、任意性が認められれば、自由度が増す。「連結財務諸表、セグメントは必須、その他は任意」という記載について、年度の短信を招集通知として添付するのであれば、連結財務諸表とセグメント情報だけでは会社法を満たしていないため、別途調整が必要ではないか。
  • 任意開示と法定開示のバランス思考促進について、弊社では、既に決算説明会資料及び質疑応答のウェブ開示を行っている。ウェブ開示をすることにより、内外の投資家とも対話が有効に機能していると考えているため、提案内容に異存はない。
  • 経団連のアンケートでは、あるべき開示制度の方向性について、金商法は連結ベース、会社法は単体ベースを法定開示とするべきであるとのコメントがあったが、それでは単体と連結情報が分離されてしまうため、有報と会社法を合体させ両方を使えるとした場合には調整が必要なのではないか。
  • 経団連のアンケートでは、有報開示の一本化について、実務上の困難さからネガティブな意見が多いとのことであるが、有報の情報を分離させ、決算短信と合体させるのであれば作業的に可能であり、工夫次第ではないかと思う。
  • 資料「企業情報開示のあるべき姿について」では、上場会社は書類作成に当てている時間とエネルギーを投資家と向き合う時間に振り向けることができるとされているが、それは同意である。使ってもらえない情報を作成するのは、徒労感のみが残るため、その時間は投資家との対話に振り向けたいというのは、全く異存がない。
  • スチュワードシップコードが入ってから、会社をあげて対話を積極化しているが、決算シーズンは本当に時間がなく、アナリストは疲弊している。
  • 中期の方向性を示している会社のトップとは、非常に対話がしやすい。対話が双方にとって有意義なものになるかどうかは、IR担当者が十分理解をしたうえで、マネジメントと投資家とのつなぎ役をすることができるかどうかが重要と感じており、IR担当者の育成は重要。
  • 法定開示書類だけではなく、ウェブ開示やアニュアルレポート等も含めて、IR担当者が時間をかけることができれば、よりよい対話になるのではないかと感じている。
  • 時間を作るために、四半期決算のあり方をもう一度見直すべき。しかしながら、四半期決算を廃止することには反対である。対話をしていく中では、インサイダー情報を入手しないように気を付けているが、仮に四半期情報を任意にした場合、会社内で持っている四半期決算数値情報が対話の最中に出るリスクもあるため、こうした状況を避けるためにチェックポイントとして四半期決算は必要。
  • 他方、開示については、四半期決算短信と四半期報告書を一体化し、簡素化することでよいのではないか。資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」では、第2四半期は特別であるとされていたが、私は、第2四半期を第1四半期・第3四半期と分ける必要はないと考えている。
  • バイサイドアナリストの役割として、議決権行使やガバナンス面のチェックに使う時間がこれからますます増えるだろう。ガバナンス面については、会社をよく理解しているバイサイドアナリストが、ガバナンス面を含めてチェックする体制にするのが理想形であると思う。セルサイドアナリストは、かつてのように、産業分析や魅力的な企業の発掘を行う、企業に対して事業戦略についての提案をできるようなディスカッションをすべきではないか。セルサイドとバイサイドの役割分担を明確化できればいい。
  • 会社法と金商法の制度開示の重複感を議論する際に、私たちは資料の重複の話ばかりを考えがちであるが、監査手続きが重複していることやもとは同じ財務諸表にも関わらず異なる形式のものを2つ作成しなければならないといったことなどについても考えなければならないのではないか。例えば、監査については財務諸表について参照方式を検討するのと同様に、会社法の監査と金商法の監査の手続きを別個のものとして実施するのではなく、相互に利用して進めることができるような制度設計をしてはどうか。単に開示資料の合体・簡素化について議論するのではなく、このような抜本的な提案も必要ではないか。
  • 電子開示については、ホームページで参照リンクを貼るなど、企業の裁量に任せることができると考えている。これは、法定開示とは関係がない任意開示としての電子開示の話であるため、すべての企業はこのように開示すべきだ、という議論というよりも、各企業が独自に考えて、例えば、アニュアルレポートと有報を合体させるとか、相互参照させるといったような思い切った開示をどんどん行うようにしたら良いのではないか。
  • 業績予想について、2011年に東日本大震災があって、業績予想が不可能となった会社も多々あったため、2012年3月に「業績予想開示に関する実務上の取り扱いについて」というものが提示されている。これによると、引き続き業績予想開示は奨励されてはいるが、その開示形式については、決算短信等における「時期の業績予想」の形式に限定されるものではないとされている。すでに業績予想開示はある意味で自由化されているわけであるが、日本企業の場合、開示しなくてもよいとされている場合を除いて記載していることが多いなど、皆と一緒という護送船団的な気持ちが残っていることが問題ではないか。任意開示の場合、開示をするか否かは企業の判断に委ねるべきである。もちろんその判断を下した理由についての説明は必要であるし、開示しない場合にはリスクが会社側に生じるという点も留意する必要もある。
  • アナリスト・機関投資家がカバーしている会社はよいが、個人投資家が多く、海外投資家が投資対象としていないような会社については、東証にアドバイスをしていただき、業績予想開示を促していただくことが必要かもしれない。運用面で対応を考えられないか。
  • 資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」に記載されている事項について、計算書類の代りに決算短信を付けるとすると、決算短信公表のタイミングで、株主総会で議論する中身(配当や取締役の情報)はほとんど出ていることになる。そういう意味では、決算発表と同時に招集通知も出せることになるが、会社法との関係が不明。
  • 当社では監査を終えて5月の半ばに決算取締役会を開催し、それから印刷に入るため、株主総会の3週間前に招集通知を送付している。決算取締役会の終了と同時に、ウェブ開示をすれば、株主総会より1ヶ月程度前に情報を開示できることになる。
  • 有報について、今の会計は非常に複雑で、注記を全部見ないと分からない、比較できないということがあり、総会前に有報を見たいというニーズを専門家が持つことは分かる。有報の総会前開示について、現在の作業的には事業報告・計算書類の作成後、有報作成に取りかかるので、これらを統合するというイメージが具体的に読めれば、もう少し検討できると思う。
  • 財務諸表の利用者として、資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」に記載されている内容について非常に共感するところが多い。分科会では、取引所規則、会社法、金商法の3つの開示制度を統合していくのはコンセンサスになっているのではないか。正確性・内容の豊富さの観点からは有報を利用し、適時性という観点からは短信を利用するという中では、取引所規則、会社法、金商法の整理は必要と思う。また、四半期開示の簡素化は必要であると考えている。
  • アナリスト協会としては、レビューが抜けることについて警戒感があり、また単体開示を現状より後退させることについても、反対意見も根強くある。
  • 個人的には、仮に四半期開示の簡素化を受け入れるのであれば、連結開示をむしろ充実させてほしいと考えている。また、非財務情報、アニュアルレポート等を使って、ある種立体的な開示により企業をよく理解したいという気持ちがあるし、企業も投資家やアナリストによく理解して欲しいとの思いを持っているのではないか。
  • IFRSでは求められる注記が膨大であるため、IFRSの任意適用拡大の流れの中では、現状の四半期開示制度のままでは、作成者側の負担が大きいのではないか。開示制度がIFRSの任意適用をする上で阻害要因になってはならないので、そのような形についても、合わせてこの場で考えていかなければならないのではないか。
  • 会社法の監査の後、金商法の監査をゼロベースでやり直すことは全くない。会社法の監査でほぼ本表の監査は終わるため、その後金商法の監査で行うのは、会社法で監査をしていない財務諸表と注記についてである。
  • 他国の監査報告書の発行日は期末日の翌日から平均50日程度であるところ、日本では、会社法の監査報告書が期末日の翌日から平均42日で発行され、非常に短い期間の中で監査を実施している。監査業務の見直し統合化が進んでいないので日数がかかるのではなく、制度の問題であることをご理解いただきたい。
  • 企業集団の財政状態及び経営成績を適正に表示する財務諸表を監査することが、監査人の使命である。日本には、会社法と金商法の2つの制度があることが非常に分かりづらいのではないかと考えている。制度の目的は2つ存在するが、財務諸表は、どちらも企業集団の財政状態及び経営成績を適正に表示するものであり、監査はその財務諸表の適正性を見るものである。果たして本当に2つ必要かどうかについてはご議論いただきたいと思う。経団連が提示されている金商法開示は連結ベース、会社法開示は単体ベースといった見直しも含めて検討していくという方向には賛成する。
  • 四半期財務諸表については、レビューするべきである。平時には監査やレビューの重要性を理解してもらえないかもしれないが、有事には、例えば継続企業の前提に重要な不確実性があるケースにおいては、レビュー報告書を提出する時点で、監査人の目が入るため、特に個人投資家を考えれば、情報の信頼性の観点から、監査とレビュー制度は引き続き、ご利用いただきたいと考えている。
  • (質問)資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」では、第1四半期・第3四半期では、速報ベースの四半期決算短信を任意とし、四半期報告書は廃止するとされているが、監査人のレビューを求めることを想定しているのか。
  • アニュアルレポートは法定書類ではなく、投資家とのリレーション、対話をする、あるいはエンゲージメントをする一環で任意に作成されている書類である。そこに含まれている財務情報は、開示を含め、基本的には有報に含まれている情報を最大限にして、そこで新たに付け加えるものは全くないと理解している。仮に将来的にリファレンス方式などを作ったとしても、有報に入れるデータに関しては、国際的に見ても遜色のないものを含める必要があるのではないか考えている。
  • (回答)第1四半期・第3四半期では、四半期決算短信の開示すら任意であるため、レビューは想定していない。一方で、第2四半期では、四半期報告書についてレビューが必要、四半期決算短信については、レビュー不要と考えている。
  • アニュアルレポートでは、注記等において有報と同じレベルで開示を行っているわけではなく、利用者の関心は高いが発行体が出したくない注記情報等ほど、削られているケースがしばしばある。私の考える有報とアニュアルレポートの合体とは、アニュアルレポートに記載されている財務諸表の記載を全て取り払い、代わりに有報を付けるというイメージである。
  • 資料「企業情報開示検討分科会における議論の方向性について」における提案内容については、基本的には賛成である。統合レポートは、ワンストップサービスであると考えており、発行体・投資家とも同じ材料で議論ができることになる。
  • 招集通知については、決算短信やそれに付随する資料を添付することでよいのではないか。
  • 四半期報告等の任意開示等々について、委員より「インサイダーのことがあるので開示すべき」というご意見があったが、それは任意でもいいのではないか、アナリストが規律を保っていけばいいのではないかと思う。コーポレートガバナンス・コードにおいても、その範囲をマザーズまで拡張するのか、東証一部や二部まで限定するのか、それぞれ議論があるかと思うが、適用範囲については、別途検討するべきである。
  • 四半期開示に関してだが、新興企業については業績変動が激しいので情報開示の充実を求め、四半期開示が義務付けられたとのことであった。新興企業に対し安心して投資家が投資するような最低限の仕組みは必要ではないか。新興企業はフルスペックで開示する必要はないが、企業が経営上重要と考えている指標(小売りであれば月次・四半期の売上等)については開示した方が良いのではないか。フランスの会社でもそのような会社があったように記憶している。東証において投資家の指標・判断基準になるようなメルクマールを決めて貰ってはどうか。
  • 業績予想については、個人投資家を含めて開示の仕方を検討するべきである。
  • 私は、速報と確報については、情報をどれだけ幅広く深く開示するのか、それとも本当に必要な情報だけを速報という形で出すのかという、内容と範囲で決めるべきであると考えている。
  • 決算の情報であるので、適時性と信頼性は両方を担保する必要がある。年度については、会社法の監査報告書取得は、決算発表から5.5日遅れた42日であるため、私は会社法の監査報告書取得をもって、決算発表の信頼性を担保するべきであると考えている。信頼性ある情報を開示するためには、監査手続きは必要であり、かつ適時性をもって開示するべきである。
  • 金商法の監査は、会社法で実施した監査以外の部分でよいと、制度上規定することで、監査手続きの重複を回避することができるのではないか。
  • (質問)経団連のご意見は、四半期決算短信を開示して、後で、四半期報告書におけるレビュー報告書が出ればよいということを意味しているのかどうか。例えば、四半期決算短信のサマリーに、レビュー前の四半期報告書の内容を添付し、その後にレビュー報告書の付いた四半期報告書が出るというイメージなのか。
  • (回答)経団連のアンケート結果は、決算短信だけで統一すべきとのことなので、自動的にレビューはなくなる可能性もあるが、それは別途検討してもよいかもしれない、というものである。
  • (質問)四半期報告書と四半期決算短信の一元化についていろいろご意見をいただいている中で、一元化と言ったときに、レビュー前の四半期決算情報を出すことがまかりならないというイメージなのか、レビュー前の四半期決算情報を出したい人は出していいということなのか、その辺のご意見があれば教えていただきたいと思う。
  • (回答)私個人としては、四半期報告書のフォーマットを利用して、監査レビューの後、迅速に決算短信として開示するということが良いのではないかと考えている。
  • (回答)短信は出してはいけないということではなく、出したい会社は自由なフォーマットで開示すればよいと考えている。第2四半期については、これがなくなると1年に1回しか開示されないことになるので、それではあまりにも情報量が少ないため、もともとある四半期報告書を存置することで担保されると考えている。
  • 私の考える簡素化とは、四半期開示が強制ではない欧州の事例を想定している。簡素化の事例としては、売上と純利益を開示しているのみである。その会社のことをきちんと理解しビジネスモデルが分かっていれば、売上はどの程度かの予想が立てられ、その結果、会社から四半期で売上が出てきて、想定の範囲か否かが分かる。予想した売上が立っていれば、ボトムラインである純利益はこのぐらいであろうということも、だいたい想定できる。それがまるで異なるということは、そもそもその会社のビジネスモデルが分かっていないか、またはその会社にとんでもない何かが起こっているということであり、そのようなケースでは、通常会社側で進んで開示をするはずである。そこで相当頭の体操をしなければいけない。最終的に期末に通期開示が出てきた時に、「あっ、なるほど、こういうことだったのか」ということが分かり、そこで答え合わせをするので、答え合わせまでの時間が少し長いことによってとても深く考えることになる。この思考プロセスによって、市場参加者のレベルが高くなっていると私は感じている。それに比べ、会社予想が公表され、四半期で細かい財務諸表の開示がどんどん出されると、利用者にとってそれはありがたく、開示姿勢としては丁寧ではあるが、利用者が頭の体操をする時間はなくなり、出された情報を追いかけるだけになる。
  • 総会前に招集通知に短信を添付することについては、機関投資家であれば5月上旬の決算発表時点で決算数値に目を通し、中旬には決算発表説明会を通して、大部分の情報を理解している。そのため、招集通知に何が添付されているかは、あまり意識していない。他方、個人投資家にも様々いるが、少なくとも現在提供されている情報はよく読まれていないように思う。誰もが知っている大規模企業でかなり問題のある注記があったが、その役員選任議案は90%以上で可決されていて、誰も見ていないのだと実感した。そういう意味で、招集通知に短信だけ添付されていても、最低限必要な情報は提供されていると考えられる一方、精査したい人との関係では有報が総会前に提出されていれば、そうした限られた人ではあるがその要求を満たせると考えている。
  • 四半期は、日本において定着しており、作成者側にとってそれほど負担ではない。むしろ四半期情報に絡み予測値を企業側が出すことによってアナリスト・投資家がイベントだとして騒ぎたてることのほうが重要である。そういう意味では、企業側のスタンスとして、開示の粒度(粒の度合い)を下げることも必要である。しかし誤解を受けずに言えばそれば開示の質を下げると言うことでなく事実のみを淡々と開示することが必要だということである。予想・予測はアナリスト・投資家の仕事であり企業側の予測開示に甘えてもらっていては困る。
  • 第1四半期と第3四半期についての決算開示は補足資料まで含めWEB・開示で十分ではないか。
  • もっとも四半期のトレンドを詳細に見なければならないセクターもあるため、情報の有用性をオールオアナッシングで議論することはできない面もある。このことはCFAIにおいても10年ほど前に盛んに議論された。だからそのような自覚のある企業はどんどん自らの判断で出せばいい。
  • 有報とアニュアルレポートの合体は、米国の例では読みにくい。有報は法定開示であり、アニュアルレポートは任意開示であるため、その点に関しても問題がある。一つの解決策としては、ヨーロッパの優れた開示にあるように思う。例えばロッシュは、非財務情報が250ページ、財務情報が200ページほどあるが、非常に読みやすい。投資家を意識した内容になっているが、これが10-Kや有報のような形式になってしまうとこうした配慮ができなくなってしまう。任意開示において、ロッシュのような形を奨励しても良いのではないか。

以上

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最終更新日:2015年1月20日
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