経済産業省
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企業情報開示検討分科会(第5回)‐議事要旨

日時:平成27年1月16日(金曜日)17時00分~19時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(企業情報開示検討分科会委員)
伊藤座長、秋葉委員、稲葉委員、引頭委員、内野委員、小野委員、久保委員、熊谷委員、佐藤委員、三瓶委員、関根委員、野村委員、早川委員、深澤委員、藤田委員、安井委員、弥永委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方検討分科会)
岩田委員

議題

  1. 本分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい企業情報開示のあり方について
    • その他
  2. 個別テーマについての追加的検討等

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。その後、主に年度開示項目の重複部分を整理できないか、また整理することと同時に、開示内容の充実化を図れないかという視点から、企業情報開示のあるべき姿について委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • 有価証券報告書を作成する際、「関係会社の状況」の作成に時間がかかっている。開示府令でいう「主要」、「重要性の乏しい」に関して、当社としての基準を作って記載を行っているが、この基準は当年度だけでなく過去数年間のいくつかの財務指標に基づいている。従って、対象会社をどうするかについては毎年見直しを行っている。
  • 決算短信、計算書類、有価証券報告書で同一の記載を行っている項目もいくつかある。例えば、事業報告における「主要な事業内容」は、決算短信や有価証券報告書の「セグメント情報の概要」の内容を記載している。また、事業の経過・成果、業績等の概要については。決算短信、計算書類、有価証券報告書でほぼ同一であるが、府令・省令に従った記載を行っている。
  • 設備投資の状況については、有価証券報告書では投資予定金額や完了予定を記載しているが、工期の変更や、為替変動で円換算額が変わる海外での投資も多く、これらの記載内容に関しても毎期見直しを行っている。
  • 大株主の状況に関しては、その開示目的の違いだと思うが、事業報告と有価証券報告書では自己株式を含めるか含めないかで比率が異なっている。
  • 計算書類は連結3ページ、単体3ページとウェブ開示している注記表が連結6ページ、単体3ページで構成される。一方、有価証券報告書の財務諸表には前年度実績やキャッシュフロー計算書が加わり、さらに注記を54ページにわたり記載している。これら注記情報のチェックにもかなり時間がかかっている。
  • アメリカの10-Kを見ると、関係会社の情報は殆ど無く、マネジメントの情報やセグメント別・地域別の情報が充実しているように見える。有価証券報告書の提出をもっと早くするということであれば、開示内容について取捨選択する必要があるのではないか。総会の前日にこれらの情報が開示されても十分検討する時間がないであろうから、一定期間前に開示が必要だと考える。そうであれば、今のままの内容では難しい。
  • 法定書類間の調整だけではなく、決算短信を含めた検討が必要ではないか。
  • 発行体側としては、年間決算短信、事業報告・計算書類及び有報を、それぞれ独立して作成している訳ではない。まず決算基礎資料を作成し、年間決算短信、事業報告・計算書類及び有報に、それぞれの内容及び開示時期に合せて一連の業務として対応している。
  • 当社の場合、年間決算短信と事業報告・計算書類を作成するタイミングはほぼ同一時期のため、5月連休明けの決算取締役会において決算内容を確定し、開示資料として年間決算短信と事業報告・計算書類を提出している。この決算取締役会には、事業報告・計算書類に対する監査報告書も提出している。繰り返しになるが、年間決算短信と事業報告・計算書類及びそれに対する監査報告書はほぼ同時期に一体の作業として行っている。このためそれぞれ分けて考えることはできない。
  • したがい、年間決算短信と事業報告・計算書類は、ほぼ同一のタイミングの中で信頼性のあるデータを作成することが求められていると考えており、速報や確報といった考え方はできないと思う。
  • 東証の規則では「会計士と密接な連携」を図ることが必要とされているが、解釈の混乱を避けるため、監査報告書の取得を義務化する方がベターと思う。
  • 年間決算短信と事業報告・計算書類は、同時並行的に作成している。事業報告・計算書類を作成した後、その中から必要な情報を抜粋して決算短信を作成しているため、重複感はほとんどない。
    ただし、東証で開示する際には、メディアやアナリスト向けに、見やすさを重視して自主的にパワーポイント資料を作成し、またアナリストから頻繁に受ける質問については、補足資料を作成するなどして対応している。
  • しかしながら当社では、監査対象とされている財務情報と、監査対象ではない非財務情報では、開示資料の作成方法が大きく異なっている。
    財務情報は、数値情報がベースのため、決算基礎資料は最も細かい有報に合わせて作成し、それに対して会計監査を受けている。決算基礎資料の監査後、要約版として決算短信、計算書類を作成している。同一の決算基礎資料から三つの決算書類を作成しているため、財務情報の基本的なところについては、あまり重複感を持っていない。また、有報の注記に必要となる情報についても、大半は事業報告・計算書類の注記と同時期に準備しているが、有報だけに求められるオフバラ情報等についてのみ、4月下旬以降作成している。このため、大きな重複感はない。
  • 監査手続きについては、上述の作業スケジュールにもかかわらず、決算日後42日後に計算書類の監査報告書が出て、それから44日経過した86日後に金商法の監査報告書が出るということである。これは、それぞれの提出期限に合せていると考えられ、監査手続きの法制度面の調整が進めば、多分大幅に時間を短縮できると思う。
  • 非財務情報については財務情報と異なり、大きな問題があると感じている。事業報告と有報の非財務情報は、同じ内容のものであってもそれぞれ独立して作成せざるを得ないものが多く、重複感が大きいとのことであった。例えば資料3-2 7ページの有報の関係会社の状況では、関係内容の欄に役員の兼任の状況や資金援助、設備の賃貸借といった情報を追加して記載することになっている。データ作成者によれば、これらの非財務情報を入手するには、かなり手間がかかるとともに、事業報告のデータとチェックポイントが異なるため、有報は事業報告を細かくしたものとの感覚はなく、全く新しい資料を作成しているとの感覚のようである。
  • さらに有報では、決算日ではなく提出日現在で書く必要のある項目が幾つかある。例えば事業等のリスク(決算日でも良いことになっているが、作成者にとっては明らかに提出日現在まで含めて記載せよとなっているように感じている)について提出日現在で記載するためには、決算日以降のデータを取らなければならない。このように有報の提出期限が遅いことによる追加作業もあり、今後提出期限の早期化による負担増と追加作業の軽減のメリットの双方を、検討しなければならないのではないか。
  • また有報の非財務情報は、要請により追加で増える一方であると感じている。必要な情報を追加することは止むを得ないが、相対的に役割が低くなったものについては思い切って軽減することも必要なのではないか。この考え方なく一本化を進めると、細かい情報を開示する方に一本化されてしまうのではないかと強く懸念する。
  • 有報は、単にプロの投資家向けということだけではなく、広く株主総会でもそのデータを使って議論できるようにするべきではないか。限られた時間の中では、必要な情報は入れ、相対的に手間がかかる割にはバリューが少ないデータについては、思い切って見直すことを検討する必要がある。さもないと早期開示の検討が進まないと考える。
  • 四半期決算短信と四半期報告書については、それぞれの開示時期に大きな差がないため、一体化は十分可能ではないか。
    当社では、少しでも早期開示をする趣旨から、レビュー報告書取得前に四半期決算短信を発表している。しかし、決算発表前日に会計士と正式なファイナルディスカッションを行い、「これで開示して問題ない」という手続きをとっている。一体化との観点で考えた場合にはレビュー報告書取得後に、四半期報告書の様式をベースとしながら四半期決算短信を開示する方が良いと思う。
  • 発行体の方々の負担を必要最小限にすることは非常に重要である。新たに重要な情報を提供するためには、どこかでスクラップ・アンド・ビルドをしなければならない。できるだけ重複感をなくすことも重要であり、また見直すことも重要である。
  • 個人的な意見ではあるが、例えば現在金融商品取引法のもとでは、EDINETで電子的開示が行われているが、半報にしても四半期報告書にしても、動いた部分だけ開示することでよい情報もある。有報との関係においても、毎年同様の記載がなされている箇所が多いが、それを毎年書かせる必要が本当にあるのかどうか。変わった部分こそが投資家にとって非常に重要な情報だということもあり、現在の開示の方法では情報が埋没してしまうリスクもあるので、それらも踏まえて見直したほうがいいのではないかと感じた。
  • 会社法上の事業報告・計算書類と、有報の記載事項は、重複部分がかなりある。中期的には、有報が開示されている状況では、株主に紙で提供する範囲を絞るという工夫もあるのではないかと感じた。
  • 電子的な開示が可能になった場合、制度間の重複をなくすとともに、より現実的なスケジュールで丁寧に情報を作り、かつ監査できるのかということも考えていく必要がある。
  • 取引所規則に基づく決算短信を、計算書類と切り離して考えられないということについては同感である。会社法と金商法との重複事項もあるが、決算短信と会社法と金商法の重複項目も結構ある(事務局より提示された項目のくくりで見てみると、会社法で決算短信では12項目重複し、金商法で16項目重複している)。さらに、決算短信と会社法と金商法という重複だけではなく、金商法の中での重複や、会社法の中での重複もある。
  • こうした中、どのような工夫をして開示要請に対応しているかというと、当社でも、計算書類の作成と決算短信をほぼ同時並行的に行っている。取引所から要請されている開示の早期化に応えつつ、一方で会社法では、監査を含めた数字の妥当性に対し担保が必要となるため、まず監査を必要としない決算短信を速報的に出している。ただし、速報とはいえ誤った数字を出すわけにはいかないので、計算書類の作成作業は、決算短信作成者と同一の人間が担当するといった工夫もしながら対応をし、計算書類については監査を経て、その後総会の2週間前に出している。有報は、総会後に提出するため、計算書類の作業が落ち着いてから、ある意味気持ちも落ち着けて作業を開始している。
  • しかしながら、このような工夫でも対応できないのは有報情報の総会プロセスでの活用。特に有報の非財務情報は、投資家にとって有用な情報ではあるが、総会に活かされていないという問題がある。その観点からは、重複作業の排除について、決算短信を含めて会社法・金商法の一体化を図ることをぜひ進めていただきたい。
  • 一方、開示内容の充実・対話促進のためには、例えば決算短信を招集通知に引用することによる時間の短縮・確保という方法が考えられるが、それでは有報情報の活用という問題自体は解決できない。
  • 日本再興戦略の中には、「IFRSの導入を促進する」ということが掲げられているが、IFRSを導入すれば注記項目もますます増えることになる。有報を総会で有効活用するためには、総会の前日ではなく、十分に内容を読めるタイミングで出す必要があるが、IFRS導入下においては、注記項目が増えていく中で、実務的に対応することはますます難しくなる。
  • こうした状況を解決するために、有報情報をスプリットし、少なくとも短信と事業報告と有報間で共有出来る情報は相互にそのまま使えるという状況にしておいた上で、決算短信においては有報情報の中で、投資家の関心が強い会社の戦略や、ガバナンス、リスクマネジメント等といった情報を開示し、当該決算短信を招集通知に添付して提出できるという体制にすることはできないか。それ以外の有報情報については、従来のタイミングで提出すればよいのではないか。
  • なお、決算短信などを総会の招集通知にも活用しつつ、かつ総会での対話の促進に使える内容に充実させようとすると一方で、東証による開示の早期化に対応することができないという問題が生じる。東証のガイドラインでは「少なくとも30日以内に出しなさい。遅くとも45日までには出しなさい。それを超えたら理由を言いなさい」とされているが、この点、多少の緩和の余地はないか。内容を充実させた上であっても、招集通知の発送期限との関係上、決算期から45日くらいのところで決算短信等を開示できる状況にはなると思われるので、現行の「実務的に対応が可能な早期化」の日程のガイドラインについて、是非検討して欲しい。
  • 当社では、決算の情報であれば、招集通知の事業報告部分にも決算短信にも有報にも使えるという印刷会社のシステムを活用している。
  • 他方、招集通知については、個人株主の方に読んでいただくために、カラーにしたり、候補者の写真を載せたり、数値を大きくするなどの工夫をしているが、それらは印刷会社のシステムでは対応できないため、別途校正に時間がかかっている。
  • 招集通知と決算短信については、ほぼ4月1日から開始し、決算短信を5月13日に発表しているが、事業報告と決算短信の定性情報の記載については、こちらを直したらあちらを直すというように、その整合性を図ることには相当時間がかかっている。財務情報については、決算短信で一度情報を作成すれば、有報にはそのままデータが流れるため、情報が正確に流れたことだけ確認すればチェックは不要である。その後はアニュアルレポートのほうに力を入れるのと、有報の足りない注記のところを作成するといった作業をしている。
  • システムに情報を入れれば、その後、それがいくつもの書類に分かれることになるのだが、システムに一回入れたものを、なぜ形を変えて印刷し直さなければいけないのかという点で、それが本当に必要なのかという疑問はある。
  • 例えば、事業報告では、大株主上位10名の比率について、自己株式を除いて計算する一方で、有報では含めて計算することとなり、小数点第2位が違うのを皆が必死になってチェックするとか、役員の報酬の開示についても総額は同じであるにもかかわらず、開示区分を分けて開示することが、本当に必要なことなのか。特に、持株比率の単位チェックなど意味のないことに時間をかけているのであれば、それはやめたらいいと思う。
  • 当社は2011年に上場したばかりで、2012年の総会から、連結注記表と個別注記表をウェブ開示している。ウェブ開示の際に、「紙で欲しい方はお申し出ください」としているが、今まで1件しか「紙でください」と言った方はいなかったため、もともと必要ないのではと感じる。
  • 会社としては、株主総会が決議無効になることを恐れているので、「要らない情報かもしれないけれども皆が書いているから」とか、「株懇でこう書いたほうがいいと言われているから」という理由で、あまり使われていない情報を必死に、しかも「有報とちょっと違うけれど、こっちはこういう書き方でないといけない」というようなことをやっているような気がする。株主の望む情報を、重複なく出すということが望ましいのではないかと思う。
  • こうした点などを考えると、事業報告と決算短信が重なっている部分については、決算短信を参照する形にできないか、と思っている。
  • 連結と単体について、「ROEを上げることがよい」とされているが、そのROEは連結であり、単体のROEを上げるということはないと思う。
  • 有報では単体を載せているが、資本政策やROEを高めていく際に、必ず配当は考え方として出てくるが、単体は配当可能利益がないから配当できないとなること自体がおかしいと思う。未上場の会社はともかく、上場の会社は連結決算で、連結のROEをどう高めていくか、それに合わせて配当も自由にできるように会社法も変えていいのではないかと思う。
  • (資料3-2の7ページ「親子・関係会社等」について)先ほど米国では、関係会社の状況の開示が詳細ではないというご発言があったが、そもそも米国企業などは、経営を完全にコントロールするためにほとんどが100%子会社として、フル連結されているため、重要性のある関係会社としての開示すべき場合が少ないという実態がある。
  • 日本の場合は、連結であっても100%ではないという子会社が非常に多く、また持分法適用会社も非常に多い。そのため出資比率や議決権の所有割合、役員の兼任等、その他といった情報が重要になるが、それらの情報は有報の開示がなされることで情報提供がなされている。
  • アナリストが企業価値を評価する際、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定する方法があるが、例えば持分法適用会社については、将来キャッシュ・フローに入れるか入れないかという観点からは、入れないという考え方が出てくる。それは、持分法適用会社は連結経営の範囲外であるから連結開示企業の戦略方針に沿った将来キャッシュ・フローは期待しにくいと考えるためである。しかしながら、会社の説明をよくよく聞いてみると、戦略的意図が十分にあり、また事実上連結の会社として経営しているが、何らかの理由で持ち株の比率が低いというケースもある。その場合には、将来キャッシュ・フローに含めることもあり得る。持ち株比率だけではなく、どのぐらい経営に関与しているのかという経営関与の度合を示す情報が重要になる。その点、米国企業などでは持ち株比率イコール経営関与の度合と読めるので、その他の情報を特段必要としない違いがある。
  • 前回の研究会において「ガバナンスコードに魂を入れていくような施策も大事」というご提言があったと認識している。コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方の中でも「公表すべきである」「説明すべきである」というようなことが記載されているため、開示をしないと対話の土台ができないということかと思う。
  • 開示をする場所は、投資家が使いやすい場所にすることが望ましい。有報・事業報告書・コーポレートガバナンス報告書のどこに開示するかという方向性を提示することが、対話の出発点としては効率的ではないかと思う。
  • (資料3-2の17ページ目、新株予約権等の発行について)事業報告と有報では、新株予約権の数や発行価額が異なっている。これは定義が違うためであると思われるが、事業報告と有報を並べてみたときには違和感がある。対話を効率的に行うためには、これらについて開示の定義を整えることも重要ではないか。
  • 財務情報、非財務情報の制度間の比較をした上で、整理し充実も必要であるとする研究会の基本問題意識について、何をどう充実するのかが議論されていない。これについて、投資家の意見も伺いたい。
  • 非財務情報について、コーポレートガバナンス原案では、非財務情報は財務情報以外の部分とされているが、その中には、財務諸表に関連するものもある。財務情報は帳簿を基にしているため整理されているが、非財務情報は必ずしも整理されていない。非財務情報でも、財務諸表に関係するものについては、一定の監査手続が必要でありこの辺りの整理も必要である。
  • 監査上は、財務情報を中心に見るが、ガバナンスコードの原案でも出ているように、非財務情報は、株主との建設的な対話を行う上で非常に重要であると認識しているため、対応することが必要である。
  • 開示の早期化への対応について、会社法の監査報告書を出すタイミングよりも早めることは、現実的ではない。すでにかなり努力しているので短信との整理をする際には、むしろ有報の提出タイミングを早めた方がよいのではないか。
  • 取りまとめにあたっては、会社法と金商法であれば関係省庁が関連するため、制度を動かすことが必要になるのか等も含めて、考えていかなければならない。制度改正についてのとりまとめも期待している。
  • (質問)資料3-2 30ページ「これまでのご意見に基づく開示資料の相互活用等のイメージ」について、で記載されている、イメージ1,2,3の意図するところを、もう少し具体的に教えていただきたい。イメージ1では、「異なるタイミング」と「同一タイミング」のどちらもあり得るとなっている。しかし、記載内容の一部を抜き出して参照するということで、同一タイミングの場合は理解しやすいが、異なるタイミングとした場合は、どのようになるのか。決算短信の一部を抜き出して有報を作成することを想定しているのか、教えていただきたい。同一タイミングでは、参照しやすいが、異なるタイミングだと時の経過により、後から出てきた事象と齟齬がないようにする必要がありイメージが掴みづらい。
  • イメージ2の矢印について、詳細なものが先にあり、その中から一部を抜き出す又は、同時にあるものの中から一部を抜き出すというのはわかりやすい。しかし、要約されたものが先にあり後から詳細なものとなると相当計画的に作成する必要がある。具体的にどのようなイメージをお持ちであるのか。
  • これまでに紹介された諸外国との比較や実現可能性を踏まえると、一般論としては、イメージ1が望ましいように思えるがどうか。皆様のご意見も伺いたい。
  • (回答)資料3-2 30ページ「これまでのご意見に基づく開示資料の相互活用等のイメージ」は、文面だけではイメージがわかないのではないかというご要望があったためイメージ化したもので、必ずしも厳密にこの3つに分かれるものではない点や、法律上なのか実務上なのかどうするのかという点については触れていない概念的なものである点、ご留意いただければと思っている。
    イメージ3は、法定書類を1つにまとめ、同一タイミングにするもの、イメージ1、2は、イメージ3のバリエーションであるが、イメージ1については、事業報告の内容をモジュール的に使えないか、あるいは事業報告で使ったもの以外の部分を有報に記載してはどうかいというご意見を表現したものである。イメージ2は、記載内容を合わせるので、必ずしも事業報告で書いてあること全てが有報にないかもしれず、そうではないかもしれないが、なるべく近づけていくと同じようになっていくのではないかという発想である。
    なお、短信を含めた検討も内部で行ったが、短信の場合には一律に記載を要請している事項と、投資判断に有用な情報の追加に係る要請とに分けられており、後者に関して、記載の充実を図るのは企業側に委ねられている部分が多いことから、短信を含めた比較は行っていない。
  • (回答)言葉を付すと誤解を招きやすいが、多少議論を分かりやすくするために説明すると、次のようになる。
    • イメージ1(モジュール方式):事業報告・計算書類を1つのモジュールとして、これを有報にそのままはめ込むタイプ。イメージ図では、決算短信を別扱いにしているが、有報をいくつかのモジュールに分け、そのうちの1つのモジュールを決算短信にはめ込むことも考えられる。
    • イメージ2(マージ方式):事業報告の内容を有報の中に入れ込むというタイプ。
    • イメージ3(インテグレーション方式):事業報告・計算書類と有報の双方を整理して、インテグレーションをするタイプ。
  • 作成者の方々の負担を軽減することはよいが、一方で内容の充実を図らなければ、対話の促進につながらない。そこは忘れないでいただきたいと思う。
  • 先ほど、有報と事業報告・計算書類の一体化だけを追求してもあまり意味はなく、短信も視野に入れていかなければいけないというお話があったが、これは短信を一緒に考えないと事業会社の負担感の軽減につながらないということが一つのポイントかと感じていた。
  • 一体化の追求に際して、少し欠けていると思われる切り口として、コンテンツの適時性と非適時性があるのではないか。なお、財務情報についてはシステム化が進んでいるため、適時にまとめていくことができるように思いつつ、開示内容が微妙に異なっているため、負担感はあるのではないかと感じている。
  • 適時性と非適時性について、財務情報はやはり適時性がとても大切であり、ユーザーとしては譲れないところである。そのタイミングをどこに合わせるかという論点はあるが、財務情報はオーバーラップ部分が多いため、これらを一本化し、1つの媒体に統一することは可能ではないかと考えていた。
  • 他方、ユーザーの視点からは、有報等で提供される非財務情報については、適時性が求められるものとそうではないものがある。例えば、当期の業績についてマネジメントがどう考えていて、リスクはどこにあって、どのような施策を打ってきたかということは、財務情報と併せて適時に出していただきたいと考えている。一方で、関係会社の状況のような作成に相当程度手間のかかる情報については、長期的にその会社の方向性を理解するために重要ではあるが、適時性は求められないのではないか。
  • 開示情報に適時性が求められるものとそうでないものがあるとすれば、公表のタイミングを工夫することにより、開示の質を、あるいはコンテンツの質量を落とさずに対話を高めていく工夫ができるのではないか。例えば有報も、最初に財務情報が出てきて、最終的に非財務情報が徐々に揃っていって完成するなど。
  • 株主総会では、財務情報は欠かすことはできず、また株主総会で必要となる非財務情報もある。こうした情報については早めに対応をして頂きつつ、他方、例えば、会社の長期の経営方針や中長期の経営計画については、おそらくどのタイミングでも企業のマネジメントは対話することができるのではないか(その意味で適時性は薄いのではないか)。
  • (資料3-2の30ページ「これまでのご意見に基づく開示資料の相互活用等のイメージ」について)非財務か財務情報によって、さらに財務情報については連単によって、イメージ1、2については少し一体化のウェイトが異なってくるのではないかと感じた。
  • 有報では、「主要な経営指標等の推移」の中でROE(自己資本利益率)を開示する。この分科会では、ROEが重要なキーワードであると思うが、会計的にいえば、有報におけるROEは、実現した当期純利益を分子にしながら、分母は未だ実現していないその他包括利益累計額を含んでいるという点で、分子と分母があっていないという論点が以前からある。
  • さらに、IFRSやUS基準を適用している場合には、名称自体も自己資本利益率ではなく、IFRSの場合には、親会社所有者帰属持分当期純利益率という、よく分かりづらい名称となっているケースが多い。これは、短信のサマリー情報の様式の影響かもしれない。
    こうした名称はともかく、IFRSを適用した場合には、例えば、非上場株式を時価評価する際に利益には反映しないが、評価益を分母に反映することになるため、他の条件が同じであっても、ROEが下がることになる。そうした内容についても検討する余地があるのではないか。一部の企業では、補正ROEを開示しているケースもあるため、コミュニケーションを図る上ではそのような点も重要ではないかと思う。
  • (資料3-2 16ページ)事業報告と有報では、発行済株式数から自己株式数を控除するかしないかという点で相違があるが、日本の場合には発行済株式数から自己株式数を差し引いた、社外株式や流通株式の概念(英語ではoutstanding)がないこと影響しているかもしれない。発行済株式数といっても、自己株式数を控除するか否かということはあり得るので、こうした点も整理することもコミュニケーションを図る上では重要である。
  • アナリストは、4月末から5月中旬ぐらいにかけて決算短信を見ている。5月下旬から6月にかけては招集通知に事業報告が入ってきて、その後に有報が出てくるため、事業報告は最初からなべては見ておらず、招集通知の議案を見ながら、必要な箇所のみ参照している。先ほど提案のあった有報情報の一部を決算短信に記載するという方法について、「ここは決算短信の○ページを見てください」というように、参照できる仕組みにできれば使い勝手がよくなると思う。
  • なぜこのガバナンスの形をとっているのか?そこに込められた経営者の思いは何か?社外取締役についてもなぜこの方を選んだのか?などについて、決算短信などで早期に示していただければ、総会前の対話促進につながるのではないかと感じている。欲しい情報を断片的でもいいので、モジュールとして早く得られる方法(イメージ1(モジュール方式))に賛成である。
  • 決算短信は、表紙の1ページこそ東証規則で開示義務が定められているが、それ以降のページは適時開示プラス任意開示の性格を持っている。任意開示部分をどの程度充実させるか否かは企業側に委ねられている側面がある。今回の事例では海外企業のプレスリリースは十頁以上もあるものから2頁程度のものまで幅広かったが、それは企業が投資家との対話をどのように考えているかを表している部分でもある。こうした海外の実務、具体的には企業間によって大きく異なる開示の状況というのは、日本でも参考になるのではないか。
  • 年次開示の法定開示について、事業報告と有報では、数字が違う・概念が違うというように似ているようで異なるデータが開示されているという箇所(新株予約権など)がある。これらについては、プロでも最初は困難が伴うので、同様の概念への収斂など、整理検討が必要ではないか。仮に事業報告と有報で同じ情報を開示することでよいとされた場合には、有報の分割開示、すなわち有報情報で事業報告・計算書類等の中でも必要となる情報について、事業報告・計算書類等のタイミングで出せるのであれば、それを出してしまい、有報部分を参照方式のような扱いで使っていく、といった方法が考えられるのではないか。例えば、最初に財務情報関連を提出し、その後で定性情報が中心となるガバナンス等の情報を出すというようなことが考えられよう。
  • ただし、仮に例えば大不祥事を起こしてしまった会社については、ガバナンス情報についての情報開示をより早くするといったようなことも考えられる。
  • 有報と事業報告の一体開示に際して検討を要する点として、事業報告は、個人株主を念頭においてあり、表現が優しくなっていたり、ビジュアル化していたり、分かりやすくなっているということ。この点については、仮に法定開示として一体開示が認められるのであれば、法定開示としての開示に加え、分かりやすさについては、例えば株主通信など、企業がご自身の考えに基づき開示することも考えられるのではないか。現在の事業報告も、株主にとってすべての情報が必要と企業が考えているわけではないのだろうから、特に株主に伝えなければならないことや、伝えたいことを企業側で考え、自由に作成していただくことで、法定開示の問題はかなり解決するのではないかと思う。
  • 「関係会社の状況」の開示が大変ということであるが、かつては単体開示において関係会社株式明細表があり、企業が期中に実施した増減資や、貸付の増加、役員の就任の状況等が記載されていたため、企業の連結経営の考え方が見てとれた。しかしながら、連結開示の充実と引き替えに関係会社株式明細表はなくなり、現在に至っている。
  • 再興戦略の中では、ICTの活用が記載されていた。関係会社の状況に関する情報を集めるのに時間がかかるという問題については、ICTの力を使ってそのデータをタイムリーにそれほど人手をかけずに集められる方法を考えることのほうが、開示をする、しないについて議論するより建設的ではないかと思う。
  • 開示内容の充実化に関して、ガバナンス報告書に、社外取締役の選任のプロセスが書かれており、過去のこと、あるいは現在の状態については確認できるのだが、今後当該企業がどこに向かおうとしているのかについてはよく分からないのが実情である。また、社外取締役の実際の活動についてもあまり記載されていない。例えば社外取締役が、どれぐらいの時間をかけて、会社の方々と取締役会の議題について事前にレクチャーを受け議論したのかという、いわゆる取締役会の場外での活動の様子等について、自発的情報を開示していただけるとユーザー側としてはありがたい。
  • 有報では、MD&Aの記載内容が充実してきたように思う。ガバナンスについても、いわゆるコーポレートガバナンス・コードが出て、2~3年経った頃にでも開示の充実化について再度点検、検討するようなことが必要という提言がこの研究会でできるのであれば、非常に時流に合っているように思う。
  • (資料3-2の30ページ 「これまでのご意見に基づく開示資料の相互活用等のイメージ」イメージ1について)有報では、キャッシュ・フロー計算書があるという点や、注記が多いという点で、計算書類とは異なる。それをモジュール的にどのように織り込むのかについては、興味がある。計算書類を有報の中の財務諸表に参照方式で取り込むには、なかなか難しい面があるので、よく検討しなければいけない。
  • 政府の再興戦略の一環でIFRSの任意適用の会社が着実に増えている。IFRSでは一組の財務諸表ということを非常に重視しているが、その中で、財務諸表外への情報のクロスリファレンスに関しては、極めて限定的な扱いがなされている。諸外国の利用者や作成者も、IASBに対して、クロスリファレンスをもう少し使い勝手のよいものにしてほしいという要望を出しており、今議論がなされているところであるが、同一タイミングで作る書類の中でなければならないとか、あるいは一組の書類の中でなければならないといった様々な制約が出ている。
  • 仮に、資料3-2の30ページに記載しているイメージで、財務諸表についても考えているのであれば、そのあたりについても将来的に十分検討が必要ではないかと思う。
  • 重複感があると思われる非財務情報については、参照方式を十分に検討する価値があるのではないかと思う。

以上

関連リンク

お問合せ先

経済産業政策局 企業会計室

 
 
最終更新日:2015年3月5日
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