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ローカルベンチマーク活用戦略会議(第3回)‐議事要旨

日時:平成28年11月10日(木曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17 階第1特別会議室

議題

  1. 開会
  2. 活用事例のご報告
    • TKC全国政経研究会 政策審議委員 鈴木 信二様
    • 株式会社TKC 代表取締役専務 飯塚 真規様 (当日御欠席)
    • 秩父商工会議所 中小企業支援課 課長 黒澤 元国様
  3. 事務局説明
  4. 討議
  5. 閉会

議事概要

問(1) ローカルベンチマークを活用した取組みとして具体的にどのようなことを行っているか。また、今後どのような取組みを検討しているか。

まずは周知活動に取り組んでいる。「(1)当所から各地515商工会議所への周知」と、「(2)各地商工会議所からその先の事業者への周知」の2段階に分かれる。「(1)当所から各地515商工会議所への周知」では、経済産業省による当所会議でのご講演に加え、イントラネットや役員会、9ブロックでの中小企業相談所長会議、研修会などで、ローカルベンチマークの情報提供を行っている。「(2)各地の商工会議所からその先の事業者への周知」では、会報やホームページ等での情報提供のほか、諸会議や長野県の佐久商工会議所のような個別相談会、金融機関との連携などが行われているところである。今後も引き続き、推進してまいりたい。
推進にあたっては、全国3,400人の商工会議所経営指導員の資質向上が重要である。先ほど、秩父商工会議所の黒澤課長から素晴らしいご説明・ご提言をいただいたが、研修などを通じて、黒澤課長のような経営指導員を多く輩出したいと思っている。
ちなみに、2年前の小規模支援法(商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律)の改正を契機に、全国の商工会議所では、「伴走型の事業計画策定・実行支援」に取り組んでいるが、この取り組みは黒澤課長などがなされていた取り組みをコンセプト化して、法律の検討の際にご提言申しあげたものである。

秩父のような事例はまだまだ少ないと思っている。黒澤さんのようなスーパーマンがいないと難しいということか。

仰る通り。今後、このような事例をたくさん増やしていきたいと思っている。

これまでの取り組みということだが、文書やイントラネットでの通知は行ってきたが、正直に申し上げると、商工会の会員は個人事業主が多くを占めているため、反応があまり良くなかった。そのため、先週、私共の47都道府県商工会連合会の経営安定対策事業の担当者の研修会で、産業資金課の方に来て頂き講演をしてもらった。実際に話を聞くと、反応が良くなり、例えば地域ごとの財務分析の切り分けは無いのか、今回規模別の分析ということで帝国データバンク様からも説明があったが、規模別の切り分けは無いのか、業種別の切り分けもあると良いのではないかということを出席者から申し上げたという状況である。
一方で、本日黒澤様のプレゼンを聞いていてまさしくそうだと思ったのだが、小規模事業者であるが故にいきなり社長の所のEBITDAはどうですねという話は出来ないと思う。まずは、非財務の観点から社長が何をしたくて現状どう考えているのかの引き出しが非常に重要だと思っている。
それから、私共が推進していくためには、非財務からのアプローチのボリュームを大きくしないといけないと思っている。最近中小企業庁でも小規模事業者持続化補助金のようなサイズ感の合う補助金を作っていただいたので、そういうものを取るためにはビジネスプランをしっかり作っていかなくてはいけないというのは、小規模事業者にも分かっていただけているので、ビジネスプランはレベルの高低があるのかもしれないが、私共は改めて組織を挙げて小規模の皆さまにも作っていただきたいと考えている。そのためにも、小規模事業者に対しては、非財務から入っていって、財務に落としていけば良いと思う。そして、最終的にビジネスプランを作っていただきたいということが大事だと感じている。私共は、研究会を内部に設置しているが、ロカベンそのものもそうだが、非財務のボリュームを大きくして、どうやったら現場で引き出し易いかということを我々なりにアレンジして推進していく方がしっくりくると思う。

ローカルベンチマークへの取り組みという所だが、私共は、税理士法に基づいた全国15の税理士の連合会である。全国に76,000人の税理士がおりますが、税理士には強制入会制度を導入している。先ほどお話のあったTKC全国会の税理士の先生も税理士会に所属している。税理士は税務の専門家であるとともに会計の専門家でもあるため、記帳指導や予算の作成まで幅広く会員先の財務状況に精通した存在。したがって、経営支援の必要性や重要性は認識しており、日々の日常業務として経営支援を行っている。経営支援を行うには、正確な会計処理による財務情報がその前提となる。日本税理士連合会では中小企業の財政の適正化を図るべく決算書類の作成に当たって、中小会計要領と中小会計支援の二つの定着に推進してきた。
ローカルベンチマークについては、各種中小企業支援施策の中に取り込まれているという事もあり、現在まで研修や会議での周知を行ってきている。適正な会計、財務情報を活用した経営支援を広げていくためにも、中小会計指針、要領と併せてローカルベンチマークの普及・定着の推進をしていくことで相乗効果が現れて来るのではないかと思っている。今後も引き続き、会員への周知をすすめていく所存。

TKCのような会計ソフトと連携していくような予定はあるか

当連合会はかなり大きな組織である。会計システムを提供しているベンダーがTKCをはじめとして(例えばミロク情報サービスや日本ICS等、たくさんの会計システムを取り扱っている企業)、それぞれがシステムを構築する中でローカルベンチマークの手法を取り入れて、会員に提供していくという形になるかと思う。

問(2) 地域企業との対話において、非財務情報として把握するものとして、特に重要と考えられる具体的な項目は何か。 Ex)知財の把握、海外展開、インバウンド対応の状況

サービス業は他業種とベースは一緒だが、特徴としては生産と消費の同時性があり、サービスの提供が行われる現場は管理・把握がしづらいという現実がある。そこで大事なのは対峙するお客様と従業員の2つの視点。黒澤様のプレゼンの旅館の事例でもあったが、顧客満足度が(ロカベンでも顧客リピート率を上げているが)もし把握できれば重要かと思う。顧客満足度が低くても競合相手が少なく、なかなかスイッチできない場合もあるので、そうすると顧客リピート率に直接満足度の変化が現れない。逆に競合関係が変わることによって一気に変化すると言う事もあるかと思う。
私共は、日本版顧客満足度指数(JCSI)というものを、7年間やっており、業績の先行指数的な位置づけとして見られてきている。顧客満足度の把握は、小さい企業では難しいと言う事もあるが、最近はネットで簡単にできる仕組みも出回っているし、大掛かりとなるが、突っ込んだ形だとミステリーショッパー・覆面調査などの手段もある。経営者がそういう視点を持っているかどうかが大事だと思っている。ミステリーショッパーを頼まなくても、観察という形で実際にお客様と従業員が対峙している場面を、そういう視点で見ると変化が把握できる。また、クレームやネガティブな情報を意識してチェックし、改善に活用することもできると思う。
もう一つ従業員の視点は、ローカルベンチマークでは従業員の定着率を主に見ているが、クオリティの高いサービスをする上では、従業員のスキル、知識が重要になってくる。定着率が低いという事は、知識やスキルレベルも低い従業員が絶えず入れ替わっているという事になるので、習熟度という視点からも意味はあるのではないか。

弁理士というのは、知財を権利化したほうがよいのか、営業秘密にしたほうがよいのか、公開情報にした方が良いのかという視点で把握しています。例えば特許だと、どういう効果を狙って開発されたものなのか、その効果を発揮する部分はどの構成のものなのかというのを視点に判断している。
健康診断という点からいうと知財の場合は、基本、事業と一緒と考えたほうがよいかと思う。例えばブランドであれば、企業のイメージが下がるとともに商標の価値も下がる。特許の場合でも事業を守るという観点からすると、特許権の移転というのは事業と一緒にされることが多いので、そういう観点からも事業と一緒に捉えるという事が大事。その他には、営業秘密の管理ができているかといった観点も必要。

業界で把握している知財把握に関する有効事例はあるか。

だいたいうまくいかないことのほうが多い。適切に判断出来るような仕組みを国として作って頂きたいという事を色々な政党に回ってお願いしている。ビジネス評価書等を活用しているが、事業一体、企業全体としての知財の価値を判断出来るような仕組みを作っていただけるようお願いをしている。

問(3) 対話の結果出てくる地域企業の課題の中で、特に優先して取り組むべきもの何か。また、その打ち手としてどのような支援策が考えられるか。 Ex)IT活用等によるバックオフィス業務効率化、事業承継

経済産業省が作成した資料に、金融庁の出したベンチマークの資料も掲載しているので、そちらも合わせてご覧いただきたいと思う。資料6の9ページ目に記載の内容は、9月15日に、金融機関向けに金融仲介機能のベンチマークという形で公表した。ここに記載があるものは抜粋だが、共通ベンチマークと選択ベンチマークが分かれており、共通ベンチマークが金融仲介の目的を表すもので、それらについて具体的にどういった取り組みをしているかを選択ベンチマークの中から選ぶということになっている。もちろんこれは例示で、各金融機関が自由にこういった項目を自らの仲介機能の自己診断によって選んでいいという仕組みにしている。しかしながら、この共通のところはすべての金融機関にお願いしていくことになっている。重要な項目として、「取引先企業の抜本的事業再生等による生産性向上」がある。これは特に地域金融機関に対して地域のサービス産業であるとか、地元の企業に対して生産性向上の支援をしてほしいという意味も込めてこの項目を掲げているわけである。また、この中に「 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況」というベンチマークを設けた。これは金融仲介改善に向けた検討会議で話し合ったのだが、金融円滑化法が終わった現在もかなり高水準な企業が、まだ貸付条件の変更状態に陥っているということがあり、そこに対する地域金融機関の企業に寄り添った支援が必ずしも十分ではなかったという金融庁の調査結果が背景にある。これから地域のローカル企業の生産性向上においては、貸付条件の変更先に対してどのようにソリューションを提供いただくかがとても大事だという考えになった。ですから、そういった企業に対する支援をお願いしていきたいという風に思っている。
ここでは対話の結果として出てくる地域企業の課題ではありませんが、いずれにしても地域企業の課題の一つである貸付条件の変更状態に対して支援を行っていくという観点を、是非とも金融機関の方にお願いしたいと思っている状況。

企業へのヒアリングを通じて、地方においては人口減少が一つの大きなテーマになっており、そこから各企業の社長が、将来を見据えた場合に先細り感というか、漠然とした不安感、先行きの見通しが立てないところへの不安感を持っていらっしゃるということを非常に感じている。それから中小企業だと、色々な面でネットワークに限りがあるので、例えば会社の業績や業況を維持していく上で、具体的にどのような方法をとったらいいのか中々自身の力だけでは及ばないところがあるかと思う。当然そこは金融機関としてご支援すべきところだが、中々身近に相談相手がいない、具体的に売上を伸ばすにはどうしたらいいのか、どういうところにどういう風にアプローチをしていったらいいのかという考えが広がっていかないように感じている。
それから、いよいよ業況が厳しくなって業態転換をしなくてはいけない時や、M&Aや会社を売ったらどうかとか、先程のプレゼンにもあったが後継者をどうしたらいいのかとか、頭の中では悩んでいる経営者も多いと思うが、中々専門性も高く、センシティブで簡単に相談できる内容ではないので、そこを社長ご自身が抱えていらっしゃるということも多いように見受けられる。そういったことの解決の手立てとして、当然金融機関の役割も重要ではあるが、もう一つ外部の有力というか、力のある方が必要なのかなと思う。地方でそういう方をマッチングできればもちろん良いが、そういう方が常にいるわけではない。都市部ではすでに色々な取組みをされているが、そうした人材面での流動化、特に都市部から地方への流動化というのも今まで以上に促進していただいて、地方の企業が少しでも経営改善に役立てることが出来るような仕組みができればいいと感じている。

優先的に取り組んでいる課題として、事業承継についてお話しさせていただきたい。弊行の地元では、他の地域と同じように経営者の高齢化が進んでおり、後継者不足は深刻な状況。特に後継者不在率が全国平均を大きく上回っており、後継者不足による事業所の廃業は高水準で推移しているので、円滑な事業承継が喫緊の課題。
弊行では、平成21年よりお客様の円滑な事業承継に向けて、本部専門部署による事業承継・M&A提案を実施してきた。具体的にはエリアを4地域に分けて、エリア担当者を各1名ずつ配置し、あとM&A専門担当者を1名、合わせて5名を営業店の担当者と一緒にお客様のところへ訪問させて自社株の評価、それから経営事業承継スキームの提案等、円滑な事業承継へ向けたサポートを行ってきた。今後、事業承継支援を継続することで、従業員の雇用維持等で貢献していきたいと考えている。
政策的な支援としては、中小企業等に対する事業承継の支援策の一つとして、事業承継における専門家のコンサルティング料へ対する補助金制度、地域の人材やM&Aの情報に対して、共有化やマッチングのためのプラットフォームというようなものが出来ればいいと感じている。

本日は事務局の方から2題副題を頂いている。まず地域企業の課題解決に向けた公認会計士の活動で、注力している分野にはどのようなものがあるかということで、まず1件目として、今のローカルベンチマークにおいては想定外ですが、公認会計士に求められているのは海外展開支援です。法律や税法は国によって違うが、会計には国際標準というものがある。地域企業の海外展開支援に、海外在住の日本の公認会計士が協力して支援する事に注力しており、日本公認会計士協会ではアジア在住の会計士の名簿を作成し、公表している。また、対話を通じた地域企業の課題解決について、これは個人的な見解だが、最近ITに向けた相談事項が多くなっている。IT化の準備として業務フローの明確化や見直しを含め、対話を通して整理が求められている、何をどのようにIT化したいのか要件定義を纏めるのが苦手な経営者が多く、その結果かなりコストアップにつながっているというのが現状となっている。公認会計士は日頃から業務の流れを見て、その事象を理解したうえで、そこから出てくる数値を見ている。第四次産業革命に向けて、IT専門家の方々と協力して支援する事が今後大切になると思う。
さらに、経営力向上のためには、事業計画を策定するだけで良くなるわけではないというのはご承知のことだと思う。的確な現状把握、計画策定のフォローというのが経営分析のプロとして私たちに求められていると思う。先程、秩父商工会議所からも未来に向けた出口というお話があったが、私たち公認会計士も我が国の経済を支える会計・監査唯一の国家資格者として、注力していくべきだと考えている。
もう一つのお題が、私が中小企業政策審議会委員を務めており、その経験を踏まえて特に優先して取り組むべき地域企業の課題は何だと考えるかということである。先程のお話にもあったが、事業承継が最優先課題であると考えている。ご存知のように、中小企業の経営者の平均年齢は66歳。この約5年間で多くの経営者が引退期を迎えられると予想されている。全ての政策に事業承継をキーワードとした共通の視点が必要であると思う。7月1日に施行した「中小企業等経営強化法」の基本方針にも、事業承継を契機とした経営力向上が記載されている。「未来への投資を実現する経済対策」にも、中小企業の経営力向上・生産性向上の支援においても、事業承継円滑に向けた対応の検討が求められている。
先日ある委員会で、期限を区切って経営者に今引退するとご褒美をあげるとしたら、引退が早まるのではないかと提案したところ、個人保証を外してくれたらいいのではないかという意見があった。ローカルベンチマークが対話の糸口となり、金融機関の事業性評価と経営者の誠実な情報開示によって、経営者の個人保証が解除されることを私は望んでいる。これは事業承継の加速にとても大きな力になると思う。
最後にこの事業承継の課題解決のためには、難しいかもしれないが、ローカルベンチマークにフローだけではなく、ストックの概念もご注目いただき、そのバージョンもご検討していただけたらと思う。

その他ご意見

元々ローカルベンチマーク自体は、ベンチマークを作ることによってPDCAをまわし易くするという話と、他で起きている成功体験を横展開することによって、より効率的にやっていきましょうという話だと理解している。今の定性情報(非財務的な情報)を整理した上で、外部環境がこうやって変わったから事業としてこうすべきで、従って実行体制もこう変えるべきで経営としてはこうすべきだ、というストーリーみたいなものが色々な業種や地域にあれば、経営者としても分析し易いし、実際に経営方針を作る意味でもひな型になっているものが沢山あるのが望ましい気がしている。ヒアリングをする上では非財務の4つの視点というのは良いが、それを実際に経営方針としてどういうストーリーにするのかというものが沢山あった方が良いと思う。
一方で、経営方針という話と財務諸表を結び付けるのは、個別の打ち手とその改善効果を一旦可視化した上で、そのPDCAを回すということになるでしょうから、色んな滝グラフみたいなものを作るなど、ローカルベンチマークの中に入れるのかは分かりませんが、そういったひな形もどんどん出していった方が良いと思う。

TDB様より、前回の会議を踏まえて、財務データのセグメントをより細かく分析した結果を報告いただいた。ローカルベンチマークの持つ「分かり易いツール」という制約の中で、有効かつ有益な分析をしていただいたことに非常に感謝している。
ただ、やはりローカルベンチマークのメインは、非財務情報のヒアリングをして企業とのコミュニケーションを深めていくことであると思う。今後、コミュニケーションの具体的事例がどんどん積み重なってくることに伴って、さきほど黒澤課長様のご報告にもあったように、よりヒアリングに結び付きやすい、あるいは、ヒアリング結果をうまく説明できるような財務情報が求められてくると思う。そういった観点から、財務情報のブラッシュアップを今後何年かかけて行っていく必要があるのかなと思う。
もう一点、TKC様のご報告に関連して、会計ソフトなどへのローカルベンチマークの組込みという話が出たが、CRD協会が会員の信用保証協会、金融機関に現在提供しているMcSSという経営診断ツールにおいても、ローカルベンチマークの帳票や項目を出力できるように現在検討しており、近々システム対応の予定である。ロカベンのツール自体は経済産業省のホームページで無料公開されているが、ユーザーが日頃から使用しているツールにおいてロカベンが利用できることによって、例えば財務情報を入力する手間が省けるし、既存のシステムから直接ローカルベンチマークの帳票が出すことができ、ツールをそれぞれ開いて切り替える手間が減るというメリットが非常に大きいと思う。今後、もし、他のツールなどにおいてもそういったことが可能になれば、ローカルベンチマークのさらなる普及に効果があるのではないかと思う。

2点コメントをしたい。問(2)については、経営者そのものだと思う。経営者といっても、必ずしも経営者=社長や会長ではなく、中には社長や会長が経営にあまりタッチせず、№2や番頭さん、№3の方が実際の経営をみられているケースもあると思う。そういったケースも含めての「経営者」と考えている。
問(3)については、地方企業の悲鳴と感じていることは「人」の問題。「人」の延長線上に事業承継の問題があり、「人」の観点から事業承継は大切であると。当社はファンドなので、資本性の資金を提供することも重要ですが、プラスして同時に「人」もセットで送り出している。「人」だけがいっても能力が発揮できないという状況があるので、「人」と「お金」のセットが必要。かつての地方銀行もそうだったように、そういった状況を作りだすことが企業の支援になるのではないかと思っている。
もう一つは、地方でも中堅企業になると「県」という堺で仕事を閉じることはなく、「国」の堺も越えて、もともとは生産地としての中国・ASEANをのぞんでいた企業も、今日本の市場が縮小していくのは皆様ご存じの通りで、マーケット(消費地)として海外進出を考えている企業は非常に多いので、かなり小さな企業だとしても、海外をみていない企業はないと思っている。そういう意味では、地方銀行がそういうところをサポートすることはなかなか難しいが、私どもはタイに事務所を構えASEANに進出する企業を支援している。各金融機関は、自分で解決出来ない場合は、解決できるパートナーを抱え、企業がやりたいことをワンストップで叶えてあげるという姿勢が重要だと考えている。

問(2)について、内部情報を把握するのに重要なのは間違いなく経営者であると思っている。単に経営者個人ではなく、経営陣。後継者を含めたリーダーシップの継続が最も重要だと思っている。扱っている商品、製品のレベル・シェアなどの問題もあるが、経営者の意欲がないと企業の業績に直結する。優れた経営者がいる企業は、その後の増収増益率も高い。経営者を分析してデータに落とし込むことが重要だと思っている。

信用組合の取引先は10人以下の小規模な事業者であり、ロカベンの周知・徹底を行っている。一般的な印象だと、ロカベンは中小企業が対象という捉え方をされた面があるので、取り組みが進んでいなかったが、ここにきて君津信用組合のような先進的な事例が出てきたので、こういった好事例を周知徹底していきたいと思っている。また、金融庁からのベンチマークも出ているので、その取り組みをどうするか各信用組合が検討している状況なので、検討し実施した中から好事例を集め取り組みを広めていきたいと思っている。

7月に施行された中小企業等経営強化法をもとに経営力向上関連保証を展開している。これは、事業者が作成する経営力向上計画について国の認定を受けると、一般の保証とは別枠で保証が受けられる制度で、この経営力向上計画の作成にあたってローカルベンチマークの活用が推奨されている。スタートしたばかりということで、この保証制度の9月末までの実績は、現状全国で5件にとどまっているが、今後利用が広まることを期待している。
ローカルベンチマークそのものについては、今年2月に産業資金課の協力を得て全国の保証協会を対象とした説明会を実施した。今後必要に応じて、説明会の開催や、協会向けの機関紙で解説や活用事例などの掲載を考えている。

中小企業等経営強化法とワンセットでローカルベンチマークを普及しているところ。業種別に経営力向上を進めるということで、先般、事業分野別経営力向上推進機関というものが、自動車整備、運送業界で出来た。認定機関が出来たので、その団体へ出向き、ローカルベンチマークを通じた経営力向上計画の作成をお願いした。次の段階では研修会に参加していただき、具体的な取り組みについて各地の指導員とともに交流を図っている。幸いなことに、今後、事業分野別経営力向上推進機関が、旅館、小売り等の業界でもできるとのことなので認定され次第、ローカルベンチマークとのセットでロットでの普及に努めていきたいと思っている。また、先般、産業資金課に出向いていただき、各地の指導員と懇談した。その際の各地の協会担当からは、地域創生、産地地場組合への活性化につながるようなものにならないかということで、具体的には、事業推進機関に鹿児島の焼酎の組合がなれるのかという話もあがってきた。引き続き中小企業等経営強化法とセットで活動して参りたい。

色々報告をうかがい大変参考になった。改めて感じることは、財務、非財務は決してバラバラではなく一体のものであるということ。その中で表面の数字だけでは何もわからず、見誤ってしまう。本当に大切なのは、プラスアルファ、すなわち管理会計的な事業につながるところが大事で、この視点が重要であると改めて感じた。
その役割は誰が担うのかとなると、支援者(町医者、かかりつけの医者のようなもの)すなわち経営指導員や税理士の方がこの役割を担っていただければ非常にいい成果が出てくるのではないかと思う。本来、ローカルベンチマークは、企業と金融機関との対話が欠けているから必要だろうということで国が提示してくれたものではないかと思う。企業とかかりつけ医との距離はわりと近いが、金融機関とかかりつけ医の距離はわりと遠いのではないかと思う。つまり、かかりつけ医と金融機関の距離が縮まればこれはすべて良い形で進んでいくのであろうと思う。金融機関との距離を縮めながら、いろいろなサービスが提供されるようになってきていることが大きな変化だと思う。さらに一番大切なエッセンスは、表面的な資料の提供だけではなくて、継続的なモニタリングではないか。そして、エッセンスがプラスアルファされ、それが続けばより機能していくのではないではないかと考えている。従って改めて整理すると、かかりつけ医と金融機関との距離を縮めることにフォーカスした取り組みがあればいいと思った。

2点ある。ひとつは非財務情報の重要性、もうひとつはローカルベンチマークの今後の課題である。
1点目の非財務情報の重要性については、資料6の12ページにうまく整理されている。今日の話にもあったが、財務データだけでなく非財務事項もあわせてコミュニケーションツールとするのが重要ではないかと思う。あえて付け加えるとすれば、社内で審査の研修で教えていることの1つとして、縦と横というものがある。縦=沿革と横=同業他社比較である。どういう会社の歴史を描いているか、どういう風に経営者が変わってきているかも会社の特徴を表すので、沿革は重要になる。もうひとつは、同業他社比較、いわゆる市場環境の調査です。さきほどの黒澤課長のプレゼンでもあった、エサ釣りからルアーに変わった釣り具店の話もそうだが、市場環境の大きな変化は、経営者がどうあってもどうしようもない部分もある。従って市場環境についての調査も非常に重要と思っている。
もう1つ思うことは、ローカルベンチマークのローカルとはどういうものだろうということです。私の理解では、地域や地方というのではなく、コミュニティと理解している。そのコミュニティとともに生きる金融機関、支援者と事業者との間でコミュニケーションが必要であり、そのコミュニケーションツールとしてローカルベンチマークを理解している。そういう風に考えると、こういった項目に整理しておくということは、それぞれのコミュニティにおける金融機関においても、それぞれノウハウを継承していくということにおいてもわかりやすいことだと思っている。
2点目の今後の課題として思うことは、財務情報の平均値を求めるというものがあるが、これは将来更新していかないといけないものになると思う。今後どのように捉えていくのがいいのかが課題としてあるのではないかと感じた。また、黒澤課長の素晴らしいプレゼンがあったが、金融機関の中にも専門人材はそんなにいないのではないかと思っている。信用金庫・信用組合の中には、税理士のような外部人材を随分役立てている方もいらっしゃると聞くので、そことの連携をどのようにサポートしていくのかということも課題になってくるのはないか。

まず問(1)についてだが、金融機関などの支援機関がローカルベンチマークを活用する際に、支援機関独自では非財務情報を必ずしも事業性評価できない分野について、私共は専門機関として活動している。これは、金融庁のベンチマークの40番「外部専門機関を活用する」ということと重なってくる。非財務情報の金融機関独自で評価できない具体的な事例についてだが、事業性資産をオンバランスとオフバランスにわけると、まず、オンバランスは、特に製商品の販売によって将来キャッシュフローが決まってくるので、棚卸資産の実地調査をして、簿価ではなく時価評価をすることで、事業再生の可能性の有無の判断を支援している。例えば、簿価が100に対して、時価評価が150あれば債務超過ではなく事業価値があるとの判断が可能となる。商流と組み合わせることで営業キャッシュフローの改善も可能になり、実抜計画も組むことができる。先ほど、金融庁の日下室長が強調されていた事業再生の実践に対応するものである。また、棚卸資産を時価評価することで事業価値がわかると、事業承継において、息子さんが躊躇しているようなリスケのケースでも、わたくしどもが関与することで事業価値を捉え、アセットベースドベンディングを活用することで先ほどの事業再生や業績改善とともに経営者保証を外し、スムーズな事業承継ができるという事例が全国で広まっている。
また、事業性資産のオフバランスの方だが、知財の評価がかなり重要と感じている。商標権や特許権などの知的財産の評価と商流とリンクさせることで、将来キャッシュフローの確度が高まり、事業再生や成長支援にも直結する。
問(2)だが、非財務に関して特に重要と考えられる具体的項目は知財だと感じている。例えば、地域ブランド牛や和魚の商標権を海外、例えば、シンガポールで取ることで、マーケッティング情報とのリンクが必要だが、将来キャッシュフローの絵を描くことができる。地域ブランド牛や和魚の海外展開につながるし、同時に、それを食べた各国の方々のインバウンド需要、日本で実際に和魚や地域ブランド牛を見たい・食べたいなど、つまりクールジャパン戦略の実践そのものと考えている。

皆様のお話を伺い、診断自体ではなく、診断後のアクションが重要だと考える。企業の抱える課題を聞き出し診断し、その後のソリューションにつないでいく役割を担う相談員・担当者などの力量が非常に重要で、黒澤課長様の事例があるとおり、そういった人材を育成するためにも、研修や、成功事例を共有する場が重要だと考える。
2点目は、ローカルアベノミクスの目的に照らし、財務・非財務の情報をもとに企業を診断するということだが、最終的には企業の存続、発展、さらに地域雇用・所得の好循環を生み出すために、企業が財務面のみならず事業力の向上が必要になる。事業承継、海外展開、知財(イノベーション)は企業の抱える大きな課題で、各分野の担当者だけでは解決できない分野があり、専門性の高い知見が必要になる。企業の相談員・担当者の役割を担う人のネットワーク、連携の仕組みを作り課題を解決する枠組みをこういった場を通して構築していくということが大事だと思う。

事業承継の個人保証の問題について、お客様からも、個人保証の免除で事業を後継者に引き継ぎしやすくなったという声をいただいているところである。今年度からさらに保証人を必要とする範囲を必要最小限にする取り組みを進めるなど、今後も担保保証人に過度に依存しない融資を行って参りたいと考えている。

今日のお話を伺いながら、「聞く力」が非常に大事と感じた。我々も「聞く力」を重視して研修をすすめている。ローカルベンチマークの非財務の視点を踏まえて、何とかお客様と課題を共有し解決に導けないかということで取り組みをはじめているところである。加えて、黒澤課長様からの素晴らしいプレゼンをお聞きして、お客様の強みをどう引き出していくのかが重要と感じた次第である。また、日本政策金融公庫だけで、お客様の課題すべてを解決できるとは思っていないので、外部の専門家の先生方、商工会議所のみなさま、地域の金融機関のみなさまとの連携を深めて取り組んでいきたい。

今日の時点でどういう風に取り組みが行われているか確認することができたので、それを踏まえた上で帝国データバンク様にブラッシュアップをお願いしたいと思う。資料5についてより詳細なご意見がありましたら、事務局にご連絡をいただければと思う。

本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。本日プレゼンをいただきました方々ありがとうございました。TKC様の取り組みはローカルベンチマークの普及に向けてこういったシステムができてくると中小企業の皆様も使いやすくなり普及が進んで来ると考える。黒澤様の事例につきましても、先ほど今後事例を積み重ねていくことが大切だとありましたが、当課で行っておりますモデル事業を引き続き続けていくと共に、皆様方からもいろいろな事例をヒアリングさせていただき、ぜひご紹介していきたいと考えている。その他にも貴重なご意見をいただいたので、それを踏まえて今後の普及活動を行っていきたい。次回は1月の年が明けて落ち着いた頃に開催させて頂く予定である。

以上

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経済産業政策局 産業資金課

最終更新日:2016年11月30日
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