経済産業省
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地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会(第1回)‐議事要旨

日時:平成27年11月27日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階第3特別会議室

出席者

安念座長、岩本委員、小田切委員、工藤委員、白石委員、武井委員、塚本委員、鳥塚委員、藤岡委員、松井委員、松元委員他

議題

地域を支えるサービス事業主体の現状と課題について

議事概要

はじめに事務局より、本研究会で議論すべき論点案、本研究会の進め方などについて説明した後、討議を行った。頂いた主なご意見は以下のとおり。

I 議論の前提

  • 研究会のタイトルにもある「地域」とは、いわゆる「地方」すなわち田舎のみを意味するものではない。全国どこでも同じ問題が起こりうるので、本研究会では、都心部と限界集落の双方をスコープに入れて議論することが必要。
  • 議論の出発点として、コミュニティベースで議論するかプロジェクトベースで考えるかという仕切りがありうる。
  • 議論を進めるにあたっては、営利か非営利かという軸に加え、社会性重視か経済性重視かという軸を設定し、四象限で考えるべきではないか。
  • 法人制度において、公の部分と私の部分はもともと峻別されてきたが、公益法人改革の流れを背景として、中間的な主体について90年代から意識され始めた。ただし、平成17年に成立した会社法で会社制度がかなり柔軟になったので、会社制度の活用を検討してみても良いのではないか。むろん、イメージとして株式会社では営利色が強く、組織運営上好ましくないということであれば、新たな法人格を考えるということもありうるかもしれない。まずは、会社制度のあり方と中間的な制度のあり方を比較検討し、一般的な制度を作る方がよいのか、特定の目的の法人を作る方がいいのかを含め、議論していくとよいのではないか。

II 地域を支える取組の実態

  • 移住者や子育て世代が増えている地域に共通しているのは、地域で産業や雇用を作り出している点。この組織の持続性を考える際に、資金(社会的投資など)を呼び込む仕組みを作る必要がある。
  • 過疎地域では、市町村合併等を契機として、行政区分とは別に新たなコミュニティ(自治組織)が現れた。商店街の代替に始まり、ガソリンスタンド、デイケア、地域の公共交通など、様々な地域の困りごとに対応している。その特徴は、比較的広域である点と、経済活動も行っている点である。このコミュニティを法人化する場合、もっとも適合するのは協同組合の理念だと考えられるが、我が国の協同組合は一般法がない。国交省・農水省・総務省・内閣府で「小さな拠点」づくりに関する施策があり、総務省ではRMO(Region Management Organization、地域運営組織)の検討を行っている。現状では、法人格を持たない自治組織が大多数。その理由は、税制面(法人税、寄付控除等)などで、法人格を取るインセンティブがないから。
  • 当方では地元が潤うことを第一に考えており、地域から食材を調達するとか、地場企業・商店等と競合する事業を行わないといったことを意識している。ただし、地元には個人業者が多いため、大型店に比べて割高である、高齢になって引退するため供給が安定しないなどの問題点はある。
  • 当方では、不登校や引きこもりを経験した若者を雇用しているという点で、働き手の見つけ方が特殊。また、資金源は事業収益が主であり、NPOで寄付や補助金をもらうこともあるが、そういった公的資金ありきの事業モデルではない。

III 株式会社関係の現状・課題

  • 現場感覚として、ここ10年で、公益的な事業を行う主体として、株式会社形態の事業者がかなり増えたと思う。
  • 株式会社制度は、元来は営利事業を行う主体との想定だったが、現在は非営利的な事業も行っている。その中で営利・非営利という観点に基づくステレオタイプな反応、すなわち株式会社は営利事業のみを行うものといった反応が出てきている印象がある。株式会社の良さ、即ち資金調達に関する強みやガバナンスの仕組みを取り込んで、いかに現場で使えるものにするかが重要。マクロの中で拾われていないミクロを拾う作業であり、現場の真のニーズに即した、柔軟な法人格が作れればと思う。
  • 選択した法人格によって、資金調達の手段が事実上決まってしまう。株式会社を選択した場合は、剰余金等が構成員に分配できることから、公的資金や寄付金の呼び込みが難しい。したがって、事業収益で自立することが基本となる。
  • 一部の柔軟なケースを除き、一般的には、社会的な事業を行う株式会社に対する理解がまだ十分に浸透しておらず、助成金等の支援が受けづらいという実態がある。
  • 株式会社であっても、地元の学校の同窓会から寄付を受けたり、ファンビジネスとして実質的な寄付(メルマガが配信されるだけで経済的リターンはないが、個人から会費を得ている等)を呼び込んでいるケースはある。
  • しかし、寄付という文化は地方ではまだまだ浸透しておらず、「寄付をするほど私は偉くないので」といったような声すらある。とはいえ、例えばお祭りのために地域住民からお金を集めて貯めておくようなことはあるので、出資と寄付の中間のような手法のニーズはあるのだと思う。
  • 日本人は寄付はあまりしないが富裕層の個人投資家はいる。社会的投資をいかに増やしていくか、そのための法人格を検討すればよいのではないか。

IV NPO法人や任意組織関係の現状・課題

  • 資金ソースとしては、返済が不要なものとして(1)寄付(2)助成金・補助金等(3)事業収益、返済が必要なものとして(4)融資が存在。

(1)寄付について

  • 寄付者は組織のミッションそのものに共感していることが多く、使途は制約されないので、法人サイドからは使いやすい。実際に寄付だけで事業を回しているところや、事業収益と寄付をミックスしている団体がある。
  • NPOにもエンジェル投資的な寄付はある。団体のスケールに持続性があって、収益のみならず社会性がありスケールがあると、ベンチャー・キャピタルや銀行が来る。他方で、社会の緊急性のある寄付は、東日本大震災以降出てきたが、地域も含めた社会課題への寄付となると、継続的に寄付しようというのは、日本の個人や機関投資家からはなかなか出てこない。個人との関係では、ミッションへの共感を呼ぶことに加え、会社のIRのように成果を「見える化」することが重要。欧米ではロジックモデル、セオリーチェンジなど、社会性を評価し「見える化」するフレームワークが存在する。
  • 一過性の資金ではなく、今は都会に出てしまっている地元出身者等が「ふるさと」に対して継続的に資金を提供するような仕組みが必要。

(2)助成金・補助金等

  • NPOに助成金を出すと、株式会社と違ってNPO側に税金はかからないというメリットはある。
  • しかし、助成金・補助金はその性質上、継続的に出せるものではない。単年度で、特定の目的のためのもの、つまり紐付きの資金である。そういう意味で法人側からは使いにくい。
  • 本来、投融資の道がないとガバナンスは効かないが、助成金で実質的なエクイティを行おうとすると、現行制度の下では個別契約でやらざるを得ない。例えば、事業計画を作って投資家にリポーティングさせるなど。

(3)事業収益について

  • NPOであっても、事業で対価をしっかりもらうようにすれば、事業収益で回すような事業モデルはありうるだろう。

(4)融資について

  • 一般的に、NPOが借り入れを行おうとすると、代表者が個人保証をしなければならないなどのボトルネックが存在。昨今では、保証協会がNPOを支援対象に追加し、日本政策金融公庫や一部の信用金庫ではNPO向け融資を始めるなど、先進的な取組が登場しているところ。

V 営利・非営利その他の組織のあり方

  • 寄付等の資金を引きつけるためには、非営利法人であること、すなわち剰余金と残余財産は分配しないことを約束することも重要な要素。つまり、この組織は地域課題解決のための組織であり、利益を上げるためではない、と約束して初めて、このサービスを使おうという効果が働き、資金が引きつけられ、結果として経済的循環が生まれるのではないか。
  • 資金の集め方として、寄附を前提にした制度でなく、融資でも寄付でもどれでも対応できる制度設計にしないと使いにくいのではないか。剰余金分配の論点については、どうするかを各法人が決めればよい話であって、制度上禁止する必要まではないように思う。むしろ、事業者が目指した目的に向かってちゃんと活動していることをモニターする仕組みが重要ではないか。なお、法人格があることは、資金を出す側からもガバナンスの面からもニーズがあるのだろう。
  • 寄付する人が毎回その団体の定款をチェックするのは手間であり、また、寄付をした後で分配できるように定款を変えられても困る。となると、英国のCIC(Community Interest Company)や米国のBenefit Corporationのように制度として作った方が楽なのではないか、というのも一つの考え方かとは思う。
  • 資金ソースとしては、寄付も投資も組み合わせて行うべきだろうから、ハイブリッド型の資金調達を可能にする組織を目指すことが重要。イギリスで成功している社会的企業は、株式会社で出資を受ける一方、NPOで寄付を集めるなど工夫している。また、上がった事業利益については肯定的にとらえて、社会的事業に再投資はするが、イギリスのCICのように、制約をつけた上であれば投資家に一部還元することもありうるのではないか。英国ではSITR(Social Investment Tax Relief)という投資家に対する税制優遇(所得税減税等)がある。投資的な資金を調達できる仕組みとともに、株式会社の良さを活かしながら新しい法人格を検討してもらいたい。ニーズは確実に高まっている。
  • 事業主体そのものだけではなく、持株会社型的な主体(下に株式会社やNPOをぶら下げることができる法人)についてもニーズがありそう。
  • ただし、非営利法人には持分が観念できないので、ぶら下げるには工夫が要るかもしれない。

以上

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最終更新日:2015年12月28日
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