経済産業省
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地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会(第2回)‐議事要旨

日時:平成27年12月15日(火曜日)15時00分~17時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

安念座長、岩本委員、小田切委員、工藤委員、白石委員、武井委員、塚本委員、鳥塚委員、名和田委員、林委員、松井委員、松元委員、山田委員他

議題

株式会社形態を活用した先進事例について

議事概要

はじめに事務局より、前回の討議内容の振り返りについて説明を行い、山万株式会社、いすみ鉄道株式会社、株式会社AsMamaよりヒアリングを実施した後、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。

I 山万株式会社の取組について

  • 株式会社形態で事業を行うことに何か不都合は感じているか。また、株主は金融機関がほとんどとのことだが、配当はしているのか。
  • 本格的にまちづくりのビジネスモデルに取り組もうとすると、株式会社形態では負担が大きい。ユーカリが丘地区の人々からは理解が得られたのでうまくいっているが、他でやろうとすると苦労するだろう。他にも、私はほとんどの関連会社で役員を兼務している。接点を求めて地域住民の中に入っていかないと、このビジネスモデルは成功しない。配当については、毎年2割程度配当をしている。それが信頼関係に繋がっていると思う。
  • 株式会社のみならず社会福祉法人も含めたグループ経営をしているとのことだが、ガバナンスはどう効かせているのか。
  • 山万の役員がグループのほとんどに入っている。山万の社長は関連会社の会長と社会福祉法人の理事長を務めており、ガバナンスは一元化されている。役員会も関連会社役員を集めて集約して開催している。社会福祉法人では、評議員として地元住民を中心に入ってもらっている。
  • ユーカリが丘を開発するときにどういう目的を持っていたのか。株式会社として利益を出すという強い要請がある一方で、まちづくりは背反する要請が出てくると思うが、どのような兼ね合いで事業に取り組んだのか。また、グループの個別会社が赤字になっても必要なサービスを提供すれば全体の利益が上がるとのことだったが、個々の会社が赤字でも全体の利益を優先するように山万の方で資源配分を行っているのか。
  • グループ全体の目的は、ユーカリが丘のまちづくりを日本一にするということである。そして、まちの新陳代謝を喚起するためには住宅団地では駄目で、会社も長期安定経営である必要がある。グループ全体としてガバナンスを効かせるために、山万の役員が関連会社の役員として入っている。また、グループ内の個別の会社は全て黒字となっている。そのために我々が持株会社的な思想で関連会社を指導している。関連会社も目的は同じである。
  • 住民参加の仕組みはあるか。
  • 自治会との関係を重要視している。住宅を販売する際、重要事項説明書の中に承認事項として自治会加入を入れて、半ば強制加入としている。これは我々のまちづくりの理念である。また、自治会の協議会と覚書を締結しており、年に2回両者で議論する会合がある。我々からは向こう半年間の開発計画などを説明している。その他、商店街とも連携している。
  • 新しい法人格の条件を考えるにあたり、株式会社の良さとしてここは維持してほしいが、ここはなくしてほしいというのはあるか。
  • 我々も鉄道事業を行っているが、補助金は一切ない(近年、大手鉄道会社が補助金によるエレベーター・エスカレーターの整備が一通り終わったため、そうした整備にあたっての補助が利用できるようになった。)。そこで様々な工夫をしている。例えば、鉄道事業部という事業部制を敷いて、鉄道の高架下に店舗を作って賃貸し、その収入を鉄道事業部に入れている。そうした関連事業によって半分弱は収支を合わせている。新たな法人格の検討の話では、本体からオフバランスして何かしら関連事業に参画させるという考え方はできる。

II いすみ鉄道株式会社の取組について

  • 出資者として今後行政以外の主体を巻き込むことはあり得るか。また、多くの思い切った企画を出しているが、社員はどう企画を出して、誰が引っ張っているのか。
  • まず1点目の質問に関し、当社の出資者は基本的に行政だが、その他に多くの地域事業者が小口出資者として入っている。資金調達については、取締役会としては、クラウドファンディングを含むファンドや企業の出資を受けることに反対している。この夏、総務省の補助金で、銀行と国が折半するスキームで観光列車に適用できるものがあり、双方からも内諾を得ていたのだが、取締役に否定されてしまった。脱三セクして民間資本を入れようとすると、既存の地域の利益が損なわれるのではないかと言われる。2点目の企画者に関する質問については、社員には地域貢献したいという30代・40代の人がたくさんおり、企画は言い出しっぺが最後までやる前提でやっている。なお、三セクのローカル鉄道は、元JRのベテランの出向運転手を低賃金で受け入れることができる。当社でも私の就任前は15人中13人がそのような出向運転手だったが、私が社長に就任後、国交省の関東運輸局から、「将来運転手が高齢化したら電車の運行ができなくなるのではないか」と指摘を受けて、運転手の募集をかけた。しかし、正規雇用すると人件費がかかるので悩ましい。
  • 1点目の回答に関連して、社長の提案が取締役会で否決されたのか。
  • 行政と会社の考え方が異なるということだと思う。第三セクター鉄道は当時の国の意思(バス転換)に反して地域が残したものであるため、鉄道の補助金は自治体が出さなければならないが、バスへの補助金は国から出る部分が多い。そのため、鉄道がなくなると地域としては楽になる部分がある。
  • 現在、お金はどこからどれくらい出ているのか。総務省の補助金を取締役会が拒否したとのことだが、他のところからお金が出ているのか。
  • 会社で稼いでいるのが約2億円で、経費は約3億円。行政からは、路盤の維持管理費として約1億円入ってきている。これは枕木交換や信号設備の維持管理などに充てられる。観光列車は購入から維持管理まで当社で行っている。
  • 会社の稼ぎは2億円もあるのか。
  • 2億円のうち、運賃収入は1億円弱で、その他関連事業収入が約1億2000万円ある。私が来る前は関連事業の収入はゼロだった。定期旅客はどんどん減っているが、一般旅客はここ6~7年、年間10%近くコンスタントに増えているがこれは観光客の増加によるものだ。
  • 車両は自社で保有しているのか。
  • 国交省の輸送対策費が出ている。ただし、観光車両には使えない。
  • 山万がグループの持株会社的な役割を果たす一方、いすみ鉄道は鉄道のみで限界があるという話を聞いて、新しい法人格は地域の持株会社的に使われる方法もあるのではないかと思った。いすみ鉄道の場合、地域のKPIを考えるときに、どんな社会的インパクトが測定可能なものとして経営の目標になるか。
  • 鉄道路線はある程度距離があるので、一つの自治体の中で完結しない。二つ以上の自治体が絡むときに共通するものとして、観光産業がある。少子高齢化対策と移住促進をターゲットにすれば、ある程度普遍性のあるKPI作りができるのではないか。もっとも、現実問題として自治体が足並みを揃えていけるかどうか。国や県が指標を出すとよいのではないかと思う。
  • 会社を総合的に評価する仕組みができたことで消費が増えたとか、雇用が増えたとか、何か経済効果を見える化したことはあるか。
  • 地域経済については数字として売上が上がったなどということは把握していないが、地域を歩いている観光客の数は明らかに増えた。また、地元の人が東京でいすみ鉄道の話を聞くようになったと言っており、そういう意味では貢献していると思う。
  • 新しい法人格の条件を考えるにあたり、株式会社の良さとしてここは維持してほしいが、ここはなくしてほしいというのはあるか。
  • かつての国鉄のように、本体は鉄道運行管理に専念して附帯サービスは鉄道弘済会が担うというのがよいのではないか。今考えているのは、鉄道のオペレーションは三セクが担い、附帯の部分は地域事業者を構成員とする企業組合に担ってもらうということ。しかし、それだと国鉄時代に戻るという部分がある。

III 株式会社AsMamaの取組について

  • 営利事業と社会課題を解決する事業が共存している点が山万と共通している。営利事業が主に顧客を中心に置くのに比して、社会事業は、ステークホルダーの広がりがもっと大きい。したがって、受益者に対するインパクトと収益の拡大が一致しないことある。つまり、収益は受益者拡大の手段であるが、社会課題解決の目標ではない、と整理できる。我々の基金は寄付金を原資にしており、AsMamaへの投資からキャピタルゲインが生じても、それは他の社会事業に再投資される。また、今回はミッションロックをどう担保するかということが議論となった。事業者が社会事業を行う中で、収益を優先して受益者の社会的インパクトを軽視しないようにするため、転換社債の期限の利益喪失条項の中で、AsMamaの事業が社会性を失った場合には、社債が償還できる形にした。現行法の下でミッションロックを行おうとすると、個別契約の中で工夫して行わざるを得ない。
  • 公共サービスを提供する株式会社の評価基準として、どういった性質を持っているところを認証なり法人格で認めるか。この点、定性的な議論に入ると主観が入って終わらなくなる。いかに定性的な議論を避けるかがポイントだと思う。
  • 今後の展開の中で、こういう法人格があれば良いというのはあるか。
  • 非営利部門だけを切り出してNPOにすることは何度も考えた。株式会社だとまるごと税金がかかるし、税金の分は社会貢献に回したい。また、法人格が株式会社だと、行政の見方として、公共施設が借りられなかったり、補助金や助成金の対象外となったりすることが少なくない。しかし、そのような不便を避けるためにNPOを作った場合、NPOと株式会社とで会計を2つに分ける必要があり、スピード感を鈍化させる可能性がある。このため、当社は株式会社一本でやっている。
  • 「子育てシェア」について、顔が見えるコミュニティ内で子供の面倒をみることをお願いすることには窮屈さが生じがちだが、AsMamaのシステムではどのようにこの気兼ねを取り除いているのか。
  • 支援を依頼する際、半径何キロ以内の人と指定した上で、送りたくない人を個別に外せる。また、数十人に依頼の連絡が行くので、断ることが負担にならない。そして、一人が引き受ければ、指定されたターゲット全員に対して、問題は解決したという連絡がシステムで行く。謝金についても、システムでいくらと提示し、支援した人にはその額をもらってくださいと言っている。

IV その他

  • 山陰の一畑電鉄は、鉄道の他に関連事業に取り組んでいて、鉄道事業は赤字だが会社としては利益が出ているため補助金が出せなかった。そこで、赤字の鉄道事業だけ分割して一畑電車とし、維持管理費を行政から出してもらっている。同様に、静岡の岳南鉄道も鉄道事業だけ切り離して岳南電車とし、施設の維持管理費を行政から出してもらっている。
  • 新しい法人類型については、地域として必要だという声が出ており、全国民的課題だと思う。

以上

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最終更新日:2016年1月21日
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