経済産業省
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地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会(第3回)‐議事要旨

日時:平成28年1月14日(水曜日)13時00分~15時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

安念座長、岩本委員、工藤委員、白石委員、武井委員、塚本委員、名和田委員、林委員、藤岡委員、松元委員、山田委員他

議題

非営利法人等の形態における取組事例について

議事概要

はじめに事務局より、各法人制度が直面する課題について説明を行い、雲南市、特定非営利活動法人ヒューマンフェローシップ、特定非営利活動法人あいあいよりヒアリングを実施した後、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。

I 雲南市の取組について

  • 地域自主組織の仕組みは、講学上、都市内分権と呼ばれる。ドイツでは法律的に整備されている。日本では地域自主組織が協働の仕組みとして事業を行っているが、それが高じると法人格が必要になる。新たな地域事業法人制度ができるとして税制優遇を与える場合、他の法人との法律的なバランスをどうするか。法律上の根拠をしっかりしないといけない。また、雲南市の地域自主組織は儲け本位ではなく地域全体の課題を取り上げており、地域代表性がある。地域代表性は条例なり法律で根拠付ける必要があると思うが、どう設計するか。よくあるのは条例に基づく市長の認定である。また、出資をどうとらえるか。撤退した店舗の後に住民が出資して店を構えるケースは多い。出資は住民に強い関わりを求めるものだが、それだけに住民の主体性を引き出せる可能性も持つ。その際どんな条件をつけたらよいか。
  • 税制優遇については、NPOのようにみなし寄付ができないかと考えている。何らかの税制優遇措置はあってよい。ふるさと納税を参考に寄付控除も検討したが、自治体を経由すると公平性が念頭に置かれるので難しい。制度的なバランスについては専門家の指導を仰ぎたい。地域代表性については、自治体によっては条例で規定するところもあるが、雲南市ではまず実体を整えて、必要に応じて条例で規定しようと考えている。現在は条例ではなく基本協定を締結している。全国的な傾向として、法令上規定しなくても結果的に地域代表性を帯びてくる。地域代表性の付与は、議会の関与により民主性を担保することもあり得ると思っている。出資については、我々の地域でも賛助的な会費を募って出資のようにしているところもある。波多マーケットのように大きな出費を伴う場合には出資が必要かも知れない。もっとも、法人を切り分けてリスク分散することもあり得るだろう。
  • 税制優遇には、法人に対する優遇と、法人への資金提供者に対する優遇という二面性がある。そうした問題意識にも触れていければと思う。
  • 地域自主組織の財源は、収益事業や会費なのか、それとも市として財政的措置をしているのか。また、地域自主組織に対する住民の加入率はどうか。地域自主組織と町内会の関係性はどうなっているのか。
  • 財源は地域により多少異なるが、平均で自主財源が2割、依存財源が8割ほど。自主財源は会費や負担金収入、事業収入で、依存財源は指定管理や行政の支援などである。また、地域自主組織の中に単位自治会があり、自治会の加入率は9割程度。地域自主組織の加入率は自治会と連動しており、未加入自治会もあるが、9割近くあると思う。
  • 地域自主組織での活動は概して手間がかかるし、事業を行うには責任や手腕、リソースが必要。しかし、それに見合う経済的リターンがあるとは思えない。やろうという人はそんなにいるのか。
  • 大きな原動力は、その地域で暮らすことに誇りを持つことだと思う。
  • 波多マーケットは銀行から借入れをして黒字にしないといけないと言われたとのことだが、これは誰が経営しているのか。
  • 地域で、赤字になったら誰が責任を取るのかという議論があったと聞いている。結局、会長や副会長が関係者を説得されたと伺っている。なお、借入れは認可地縁団体としてでは銀行から借り入れできなかったため、実質会長個人となっている。
  • 地域自主組織では決定と実施の分離が必要だと考えている。役員はどう選ばれているのか。組織図には総会が示されていないが、通常は総会が最高意思決定機関だと思うがどうか。また、地域代表性を付与するのにもっとも民主的で納得的な方法は選挙であるが、条例で団体を指定して地域代表制を与える場合、民間組織なので選別は難しいと思う。そこはどう整理をしているか。
  • 役員の選任は地域により多少異なるが、通常は選考委員会が行っている。本来は立候補制がよいが、なかなか立候補者がいないので、選考委員会で選定し、選定された人に選考委員が就任を依頼している。候補者から承諾されればその案を総会に諮って正式に選任する。総会も地域により多少異なるが、通常は自治会長や各種団体の長といった地域の代表的な人が集まってその場で決定する。条例指定の要件については、地域自主組織の仕組みを入れるときに議会にも説明して理解を得ている。議会では地域自主組織を地域の主役とみなしており、議会報告会も地域自主組織単位で行っている。
  • 前回研究会は配当できるような会社の問題を検討したが、今日の話だと配当は想定されていない。そうであれば、地域自主組織が法人化するときに配当のない一般法人を使うのは駄目なのだろうか。
  • 駄目ということはなく、NPOでも一般法人でもできると思う。しかし、法人格の性格が異なる。地域自主組織は地域の自治を担うものである。
  • 一般法人で行うことの現実的な不都合はあるか。
  • 一般法人でもできるとは思うが、住民からは一般法人でよいのかということは常に言われる。
  • 不都合があるというよりは皮膚感覚の問題なのかも知れない。
  • 地域自主組織は雲南市のまちづくり基本条例に基づいているのか。基本条例には市民、議会、行政がまちづくりを進めるとあるが、よくあるのは商店街や地元企業などを包含するものだと思う。実態はどうか。
  • 地域自主組織は基本条例で位置づけられていない。議会からは条例で位置づけてはどうかと言われるが、既に実態として地域代表を担っているので、タイミングを見計らってからでよいと思っている。また、雲南市には吉田ふるさと村という住民出資の株式会社があり、経済活動を担っているが、目的は雇用を創ること。地域自主組織は小さな自治を担おうとするものであり、両者は性格が異なる。
  • 決定と執行の分離について、ドイツでは住民が決定し行政が執行を行うが、日本の都市内分権では、住民が決定も執行も行う。民主的な意思決定を確保することは地域にとって重要である。また、現状、利益を上げたり配当したりすることが想定されないのはその通りだが、住民にボーナスを支給して話題になった鹿児島の集落「やねだん(柳谷町内会)」のようなケースもある。出資も視野に入れて法人制度を考えていければと思っている。出資は当事者の主体性を目指すもの。新たな制度を作るとすれば、出資型と非出資型の2種類を選択できるようにするとよいと思う。
  • 当初は地域自治区の仕組みを使うものの、うまくいかず一体でやるケースが増えている。他人事ではなく自分たちのこととしてやりやすい仕組みであるため、そのような傾向になるのだと思う。
  • 出資についてはどう考えるか。
  • 出資と配当はあり得ると思うが、我々では資金を地域活動に還元して投資していくのが一般的。

II 特定非営利活動法人ヒューマンフェローシップの取組について

  • 出資か寄付かで受け手との関係性は変わるのか。出資といっても感覚的に寄付と同様に返ってこないものと思っているのだろうか。また、グループ内に持株会社のような最高意思決定機関がない状態で、グループ内の財務や人材のやりくりはどうやっているのか。
  • 最近、特に利用者である若者とその親の高齢化が進んでいる。20年前であれば働き盛りの親の10代の子供を支援するケースが多く、特に自分の子供を含めた生きづらさを抱えた子供たちに対しての支援ということを望む傾向があり、利用者の親から出資や寄付、無利子の貸付を受けていた。しかし、最近は親も高齢で年金暮らしが中心で、以前ほどお金を集められなくなったので、何か事業発展が目に見える形にしようと考えて一般財団法人を立ち上げた。グループの意思決定については、最高意思決定機関として各法人の代表者が週一回集まる会議がある。一般的にはグループの代表者に強い権限があるが、当グループでは次の世代の者が小さい法人格の代表として意思決定機関に入ってバランスを取っている。
  • 意思決定のスピード感は、株式会社とNPOでどう違うのか。
  • 我々の活動にはスピード感が不可欠。NPOだけだと、新たなことを始めるのに理事会を開いて総会を開くというプロセスを踏む必要がある。年間を通して計画を立てて実行していく形ではやりにくい。株式会社の柔軟性やスピード感が必要。
  • 株式会社でも当然、一定の事項は株主総会や取締役会で決定する必要がある。これも皮膚感覚の問題ではないか。
  • 推測だが、NPOでも執行が常勤者に任せられているならスピード感はそれほど変わらないかもしれない。しかし、株式会社だと正社員がいるが、NPOだとボランティアもたくさんいるため緊急時に人が機動的に動けないとすれば、現場ではそういう皮膚感覚があるのかと思った。
  • 常勤者を置いたのはここ10年ほどの話。今では利用者と同じくらい社員がいる。支援を受けた若者を雇用しており、全社員の5~6割を占める。確かに株式会社だとできてNPOだとできないという理解ではないが、皮膚感覚としてはそうである。それと関連する話として、NPOは対外的に透明性を持たせて事業を行うが、株式会社は収益を上げていくなど、法人間でミッションを明確に分けている。
  • NPOは社員になりたい人を拒めないが、株式会社は株主一人でできる。NPOは半公共的でステークホルダーが広がりやすいと思う。
  • 社会福祉法人という選択肢は考えなかったのか。
  • 考えたことはあり、今後もその可能性はある。団体が世代交代していく中で、社員の身分保障を考えたときに、社会福祉法人の方が事業として継続できるかと思う。しかし、既に社会福祉法人でやっている人によれば、行動が制約される場面があるとも聞いている。
  • 社会福祉法人はスタートアップも大変かもしれない。
  • 株式会社が社会的事業を行っている場合、利益処分についてどう考えているのか。利益が出たら株主に分配するのか、それとも社会的事業に投資するのか。現在、株主は内部の関係者が多いと思うが、今後、社会的事業に投資したいと思っている外部の投資家から資金調達を行うことは考えているか。
  • 我々は事業を行って雇用を作るのが基本的なスタンス。株主分配という考えはほとんどない。株式会社は柔軟性があってフレキシブルに動ける形にしている。一方、NPOや一般財団法人では、協力者や利用者の親を理事に入れてバランスを取っている。
  • 一般財団法人で支援金を集めるとのことだが、一般財団法人では寄付者に対する寄付金優遇はなかったはず。優遇があるに越したことはないが、なくても寄付してくれる人がいるという認識なのか。
  • 確かに寄付金優遇のあるNPOに寄付してもらった方がよいかもしれないが、そういった働きかけはしていない。
  • ポイントが4つあると感じた。すなわち、(1)やりたいことができるか、(2)出資や投資、(3)税制優遇、(4)外からのイメージである。(1)については、主務官庁を外せばよい。(2)について、出資は参加型であり、地域課題の解決に資するので重要だと思う。寄付は集まりづらい。なお、出資ができる組織としてワーカーズ・コレクティブを含む協同組合という形態が存在する。(3)について、例えば社会福祉法人には税制優遇がある。(4)について、私はNPO関係者を支援しているが、たいてい株式会社や農業生産法人など複数の法人を作っている。その理由は、取引先や顧客に合わせて使い分けるため。行政相手だと非営利組織が、商品取引の場面では株式会社が主体となる。そのような意識で各種の法人を設立したのか。
  • そうした意識はある。例えば、補助事業を申請するとき、株式会社では現実問題として難しい。株式会社の事業とNPOの事業が分かれているので、両者で見せ方を変えている部分はある。
  • 最近、株式会社に対する行政の見方はフラットになってきた。地域だとまだ株式会社に対して先入観があるが、次第になくなりつつある。寄付より投資が重要という意見には同感である。総務省の研究会で高知県の限界集落を回ったが、出資を求めているところがある。また、協同組合は、地域コミュニティの側から見て非常に重要な選択肢だが、日本の場合、現行法上、特定目的のものしかできず、そこが一つのネック。出資して事業を行うというのがどんな分野でもできるわけではない。
  • 出資の話は大事。出資を遺贈で行うとか、労務のような形のない出資もあり得ると思った。出資の窓口を広げて、出資という形で当事者のコミットメントをつなぎ止めるとこともあり得ると感じた。

III 特定非営利活動法人あいあいの取組について

  • 銀行から多額の借入れをして事業を行っているが、どう銀行を説得したのか。
  • 人とのご縁は大きいと思うが、個人保証人を多数立てることによって説得したという側面はある。

以上

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最終更新日:2016年2月18日
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