経済産業省
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地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会(第4回)‐議事要旨

日時:平成28年1月22日(金曜日)10時00分~11時45分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

安念座長、小田切委員、工藤委員、白石委員、武井委員、鳥塚委員、名和田委員、林委員、松元委員他

議題

国際的な社会的企業の制度及び資金面の動きについて

議事概要

はじめに事務局より、国際的な社会的企業の制度及び資金面の動きについて説明を行い、一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ、株式会社Hub Tokyo、産業能率大学経営学部中島准教授よりヒアリングを実施した後、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。

I 本研究会における議論のターゲットについて

  • 新法人の対象が不明確だと感じている。自力で収益を上げているいすみ鉄道と8割を補助金に頼っている雲南市の事例を同じ制度で対応するのは無理があると思われる。どちらでも使えるようにするとどちらにも使いづらくなる。まずターゲットを絞る必要があるのではないか。
  • 例えば、B-Corpは何のためにあるかというと、利益を上げている会社であって、配当目的の株主がいることが前提になっている。これは、原材料としてコストはかかるが自然に優しいものを使っているとか、従業員に高い給与を支払っているといったことを株主に納得してもらうための制度である。そういう株主のいない雲南市などに本来適用される制度ではない。
  • コミュニティベースかプロジェクトベースかで議論を切り分けた方がよい。
  • ターゲットゾーンをコミュニティとするのかソーシャルインパクトとするのか整理する必要がある。出来上がりの制度がどちらもカバーすることは有り得るが、これまではどちらか切り分けずに議論を行ってきた。今後は両者の相違を意識する必要があるように思う。
  • CICはコミュニティベースの話とプロジェクトベースの話をどちらもカバーしているという印象を受けた。中島准教授の資料で言えば、スカイ島フェリーの事例は個人で支えきれなくなったインフラを住民が支える点でコミュニティ型である。一方、ブリストル・トゥギャザーの事例(犯罪者や長期失業者の雇用創出)やカルチャー・スポーツ・グラスゴー・トレーディングの事例(文化・娯楽サービスの提供)はソーシャルビジネスに近い。ガバナンスの設計は多少工夫が必要だと思うが、具体的に何がどちらにも適用できない論点なのか確認する必要がある。
  • 補足すると、CICにおけるコミュニティの意味は、ローカルコミュニティとイシューコミュニティの両方を含む概念であるとガイダンス上明確化されている。そのため、必ずしもローカルコミュニティだけのための制度ではないが、実態としてはその方が数は多いかもしれない。
  • 我々はイシューコミュニティという整理である。
  • インパクト投資の観点からコミュニティかソーシャルかを区別すると、インパクト投資会社の中には、社会性があってリターンが高いものに投資するものと、社会性があればリターンはマーケットレートより低くても構わないというものがある。また、この地域だけに投資するという地域特化型のファンドもある。一つのインパクト投資会社でも、こういった地域特化型のものを含め、いくつか種類を分けてファンドを組成したりしている。そういう意味では、地域の課題解決に流れるお金もあれば、ソーシャルな課題をスケールアップしてやりたい人向けのお金もあるというように、両方の流れがあるのではないか。
  • コミュニティ型かプロジェクト型かは、両方の側面があるので区別できないと思う。ミッションロックやアセットロックは地域としては必要だと思うが、法制度としてあまりに規制が強ければ使いにくくなってしまう。もう少し議論を深めたい。

II 新しい制度を検討するにあたっての論点

  • そもそも、営利法人をベースに新法人を作ることがよいのかどうかという問題があるだろう。営利法人と非営利法人の違いとして言われるのは、営利法人だと株主配当でお金が法人外に出て行くが、非営利法人だと分配されずにお金が法人本来の目的のために使われるということ。このような営利法人の特質から、営利法人をベースにすると寄付金や補助金が集まりにくくなるという懸念がある。
  • また、仮に現存する一般法人や株式会社の中で地域サービスに役立っているところとして認定を行うような制度を作るとした場合、その目的は税制優遇を受けたり補助金の受入れをやりやすくしたりすることであろう。もしそうするのであれば、なぜ認定された法人だけ優遇するのかという話になるので、パブリックな認定や監視が必要になってくるのではないか。すると、法人にとっては、監視を受けたり開示をしたりすることに伴うコストがかかってくる。
  • 新法人の制度ができたとして、議題を自社に持ち帰ったときに取締役にどう理解してもらうかという問題がある。そうした部分も落としどころとして考えつつ、空論にならないようにしてほしい。
  • Hub Tokyoに聞きたいが、ベネフィット・コーポレーションは法人格の話だが、B-Corpは認証制度である。新法人を考えるとき、制度論としては新たな法人格を作るのと認証の2つが考えられる。仮に新たな法人格ができたとして、どんな法人格なら使いたいか。また、仮に認証制度を国が取り扱うとしたときに、民間で既に存在する認証との関係で、やってほしいこと、あるいはやってほしくないことは何か。
  • 法人格を変えることは考えていなかった。新たな法人格の事業体ができて組織を移そうとなったときに、今のNPOの制度だと、経営者と異なる考えを持つ理事による乗っ取りを防げない。オープンにしたいが、そのリスクをどのくらい飲み込めるかという状況にある。法人格の検討にあたっては、ケースバイケースだとは思うのだが、創業者と投資家や理事、監事といった人たちとのガバナンスの関係性が、やりたいこととどのくらいフィットするかが重要だと思う。今の当社の状況だと、プロジェクトによっては、CICのようなものがあると良いなと思うことはある。
  • 制度の検討にあたっては、(1)何でもできる緩いものにするか、(2)一つ一つのニーズに沿った細かいメニューにするか、の二つの方向性があると思う。これをどのように考えていくのか、考えをまとめていく段階である。

III 地域における新たな法人制度の必要性について

  • 地域の店舗がなくなったので住民が作ったというような事例は今の農山村にたくさんある。そのため、地域に使いやすい法人制度が必要だと思っている。出資という観点は重要なので、仮に株式会社等の定款を制限する手法が提唱されたとすると、地域コミュニティにとって使いやすい取っかかりがあればよい。その際、株式会社のように一株一票とするのは地域住民の考え方に合わないので、合同会社のように一人一票とすることを検討すべきではないかと考える。
  • これまで、「コミュニティ・ニーズ」(身近な地域社会で一人の力では調達できないが誰もが必要としている公共サービスニーズ)は自治体がすべて満たしてきたわけではなく、地域コミュニティもその役割を担ってきた。今の日本の課題はコミュニティ・ニーズを満たすことである。先進的な資金提供の仕組みなども必要かもしれないが、同時に、自治会が営々と取り組んできたベーシックなコミュニティ・ニーズを満たす営為が今立ちゆかなくなりつつある。これを乗り切るのに適合的な法人制度を考える必要がある。
  • 現在総務省でアンケート調査を行っており、全国に地域自主組織は1,500から1,600団体ほどあるのだが、そのうち法人格があるのはNPOで約10%、株式会社で約2%、残りは法人格を持たない。そこに対応しようとするのは、おそらくここでの議論の枠を超えると思う。地域が何らかのプロジェクトを立ち上げるときに適合的な法人格は何か、そのときにミッションロックやアセットロックをどうするかという方向の議論になるのではないか。
  • コミュニティ・ニーズを満たすために制度を作るという議論は理解できるが、そこだけを突き詰めても地域はいずれ立ち行かなくなると思う。そのため、例えば、ビジネスとしては、山の中で都会向けの商品を開発して地域外にアピールするなどしていかないといけない。

IV その他

  • 現行法上不便なところをヒアリングしてはどうか。前回の研究会で、雲南市になぜ地域自治組織が現行の一般法人ではだめなのかを確認したら、皮膚感覚の問題という結論だったと理解している。どうすれば使いやすい制度ができるのかを検討するにあたって、現場の声をもっと集めるとより検討に資するのではないかと思われる。

以上

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最終更新日:2016年3月10日
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