経済産業省
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地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会(第5回)‐議事要旨

日時:平成28年2月23日(火曜日)15時00分~17時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

安念座長、岩本委員、工藤委員、白石委員、武井委員、塚本委員、名和田委員、林委員、藤岡委員、松元委員、山田委員他

議題

研究会の検討の取りまとめについて

議事概要

はじめに事務局より、取りまとめに向けた案について説明を行った後、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。

I 本研究会における議論のターゲットについて

  • 雲南市や四市協議体の制度提案の中では、地域代表性を持つと同時に事業性も高く、かつ地域が使いやすいものを求めている。地域代表性の問題は、確かにこの研究会の議論の枠を超える部分があると思う。また、自治体が条例等を活用して様々な集団を地域代表性を持つものとして認知する仕組みが進んでいる。地域が使いやすい事業法人が出れば、地域コミュニティの側からも歓迎されると思う。事務局説明資料の(1)・(2)の領域について新たな制度が提示されればよいと思う。
  • 地域代表性のある組織というのは一人一票が基本だと思うが、地域まちづくり協議会のような組織だと、会員は誰かという問題がある。地域代表性を踏まえると地域住民全員が会員だと言いたくなるし、そういう規約を持った地域自治組織も実際あるのだが、これはかなり危なく、住民から会員になったつもりはないとの異議申し立てがあるリスクがある。実際裁判で争われたケースがある。千葉県佐倉市のように、会員を地域内の「団体」とする制度設計もあり、これならリスクをなくせる。会員という概念は地域ベースの組織を考えるときに鬼門になるが、それでも法人化するときは法人の実体として何らかの会員を定義する必要がある。
  • 10年ほど前の最高裁判例で、沖縄の入会団体につき、入会団体といえども完全にプライベートな組織にはできないとするものがあった 。入会団体は通常世帯単位で構成されているという考え方だったと思うが、そのような考え方もあるか。
  • 入会団体は千差万別であるので、あるといえばあろう。新たな団体を構想するときに、構成員を世帯単位とすることもあり得るとは思うが、世帯をどう定義するかという問題が出てくるように思う。
  • 1991年に認可地縁団体が地方自治法に規定されたが、地域の側からすると、認可地縁団体は個人会員制なので、自治会・町内会が世帯会員制であることと矛盾しており、また世帯構成員すべての名簿を作成させられるので極めて面倒である。ただ他方で、名簿の更新を厳しく言われるわけではない。これは、認可地縁団体が財産の保有しかできないことと関係するのではないか。認可地縁団体が事業まで手を出せるとすると、責任の所在を明らかにするために名簿を毎年更新して管理しろと言われてしまうと思うが、それは地域コミュニティでは非常に手間なのでできない。ただ、民主的な運営ということを考えると、いずれ世帯的な考え方ではなく、個人会員制をベースにせざるを得ないだろう。
  • 法人格を考えるなら法人の構成がはっきりしていないといけないし、構成員の定義から始めないといけない。もっとも、ここでの議論はそこまで視野を広げなくてもよいだろう。
  • 地域まちづくり協議会は、行政の条例により作られている場合がほとんどである。構成員は、概念図には様々な主体が入っているが、基本的に自治会が参加する。しかし、活動内容を見ると、実態は自警団的な組織であり、あるいはお祭りなど従来の自治会の延長が中心である。これでは実態的な地域の問題の解決に繋がらないと考え、我々はNPO法人を作った経緯がある。まちづくり協議会は行政の補助が中心となり、中にはそれだけというのもあるが、継続性を担保するのは厳しいと思う。
  • 都市自治体のうち、あの種の、いわゆる都市内分権、自治体内分権の仕組みがあるのは半分で、条例を作っているのはさらにその4分の1程度である。こうした仕組みを作る必要があるのは、自治会の加入率が低下しているため、新たに制度を作ってまちづくりの当事者を広げようとしているのである。自治会が担ってきた「コミュニティ・ニーズ」が供給されなくなる恐れが出てきたので、補充的に組織を作っているとも言える。地域が先駆的なニーズに応える事業性の高い活動を行うにあたり、これを法人として切り出して行うときに適当な法人格があればよい。雲南市のような地域を丸ごと法人化するニーズがないところでも、福祉的事業などだけを切り出して法人化する例はあるので、都市部でもそういうときに使いやすい法人のニーズはあると思う。そういう場合には、事務局の整理するところの(1)や(3)、(4)といったところにも分類されうると思う(夢未来くんまは、事業収益も比較的大きな割合あると理解)。

II 類型化について

  • 今回事務局に類型化してもらって、新たな法人が何を対象にしているかがすっきりしたと思う。新たな法人は主に(1)と(2)の類型を対象とするということであり、出資による資金調達をやりやすくするという観点からは、(1)・(2)の類型は配当を行うことが想定されるので親和性がある。(3)・(4)の類型は、資金を寄付金や補助金でまかなっているので、配当は認められない。この類型は理論的にはすっきりしている。(3)・(4)の類型は切り捨てるわけではなく、いずれ経済的事業を行って(1)・(2)の類型に上がっていくことも想定でき、そうすれば新たな制度を使うことができる。
  • この整理はわかりやすくて良かったと思う。非営利組織を現場で支援している立場から言うと、現状、そのようなサービスを提供している人達は様々な壁に当たっている。(3)・(4)の類型が(1)・(2)の類型に行きたい場合、制度上の障壁があって行けないという問題意識は共有している。特に、会費や寄付金ではなく稼ぐことを重視していくためにはとても良い。制度面の障壁としては、出資できるかどうかがポイントである。また、今の非営利組織は収益事業に課税される。稼いだお金を社会貢献に回そうとすると課税される。認定NPOになるには寄付をたくさん集めないといけないが、そうすると事業ができなくなる。CICのような株式会社ベースの法人形態の在り方を検討するのがよい。問題はコミュニティの利益をどうチェックするか。そこが一番大事である。
  • 類型化には賛成する。英国のCICのような類型を日本でも導入できたらよいとは考えていた。しかし、日本の会社法と英国の会社法は違う。英国の会社法には非営利会社も入っているが、日本にはない。新たな類型を入れるときに、会社法上の課題として何があるかは検討しないといけない。そもそも、社会的事業をやっている人達に新たな法人格のニーズはあるのか。英国の場合は社会的企業の中間支援組織などのロビィーングもあってニーズがあったので、政府と一緒に作ってきた。日本でそういったニーズがあるのかは分からないが、少なくとも投資する側にはニーズがあると思う。日本政策金融公庫もソーシャルビジネスに対して6000件以上融資しており、社会的事業体に投融資したいニーズはある。企業にもCSR的な投資のニーズがある。むしろ投資家サイドにニーズがあると思う。
  • 私もこの4象限の軸については異論はない。ここでいう「経済性両立型」にいう経済性とは、継続した事業収入が上げられていること、いわゆる事業モデルが継続性を有し、投融資を受け入れることができることだと感じた。収益の最大化ではなく受益者を広げるためのお金の流れだとして類型化されたものと理解している。英国のCICの例にもあるように、全体のエコシステム(資金の出し手、中間支援組織等を含む)の中であるべき法的事業主体を考えるべきである。そういった全体感の中で、出資という資金調達手段があり、また融資も受けやすく、事業性を担保しながら社会的インパクトを拡大できるような認証制度を考えるということかなと思う。
  • 新制度を世の中に伝えるときに、出資や融資などの資金調達のためだけの制度だと言うと狭く感じる。出資や融資を受けなくても事業収益等で自立して活動できる事業体もあるし、NPOだとスピード感やガバナンス、柔軟性の点で限界があるため、(1)の領域に移ろうとするニーズがある。必ずしも資金調達だけが新制度の価値ではないと強調する必要があるのではないか。投資家のニーズという意味では、同じ事業をしていても法人形態が株式会社だと助成金を出せないという限界を超える必要がある。休眠預金の話が動き始めると、公的な助成金を株式会社も対象にしようという話が出てくる一方、株式会社は営利だが良いのかという議論も出てくると思うので、その観点からは中間的な法人があればよい。
  • 英国でCICが増えた背景は、出資が受けられる主体であるということもなくはないが、主にはブランド力である。チャリティとは異なるCICというブランドがあることで、社会性のあるビジネスと認められて取引がしやすくなる。自治体との関係でも同じである。また、チャリティとはイメージが違う。イメージが変わることで資金調達をしやすくなる。事務局説明資料の中に「公的資金依存」という言葉があるが、英国のソーシャルエンタープライズには委託事業によって公的資金がある程度入っており、それは競争の結果である。政府のお金を有効に使っているのである。公的補助金への依存度が高すぎれば問題だが、公共サービスを提供する担い手としてCICに期待する向きもある。公的資金に依存すること自体が駄目だと言うのは良くない。
  • 公的資金の使い方が問題だと理解した。CICの肝はブランディングとのことだが、日本のNPOも元々はそういう志だったと思う。
  • 恐らく最初はNPOになれば良いことがあるかもしれないということだったとは思う。しかし、今の個人的な印象としては、NPOには「内向き」と「外向き」の機能がある。内向きの機能とは、NPOにはNPO内部で社会貢献を行う機会があるということである。しかし、外向きの機能、すなわち社会にとって良いサービスを提供することはできていない。法人格自体に対する期待が高すぎ、経営をどうすべきかという観点が重視されない風潮だったのかなと思う。もっとも、会費やボランティアでやることが悪いということではない。稼いで社会にサービスを提供することが不足していた。CICは経営が主体なのでとても良いと思う。

III 新たな法人の制度設計について

インセンティブのあり方について

  • 地域コミュニティには保守的なところがあり、株式会社という名詞が出るだけで拒絶的になる側面がある。そういうときに、ミッションロックやアセットロックがあることによって地域の側に安心感と信頼感が生まれうるし、名称もわかりやすいものであれば、初発の段階のアレルギーは解消されると思う。何らかのロックをかけることは地域コミュニティの立場からは重要だと思う。税制優遇について言えば、制度設計にどの程度の公益性がビルトインされていると、どの程度の税制優遇が可能なのか。出資や配当についての優遇なのか、法人自体の税制優遇なのか、あるいはみなし寄付が可能になるのか、きめ細かく考えておかなければならない。四市協議体でも税制上の扱いについては関心を持っているが、法制的に完璧に詰めて提案しているものではないので、相場観をご存じの方がいればお伺いできればと思う。
  • 税制優遇は今後検討されるかと思うが、英国の例で言うと、CICを選んだ人は税制優遇を期待していないと思う。チャリティのままなら税制優遇がある中で、チャリティの資格を失ってでも、事業を拡大することによって社会的利益に繋げようということで、CICをあえて選んでいるのである。あり得るインセンティブとしては、投資家に対する減税である。英国のSITR(Social Investment Tax Relief)のような投資家向けの減税を行うことで投資を促進することが考えられる。
  • インセンティブは必要だと思う。SITRのような投資家に対する税制優遇は、チャリティにもCICにもある。それがあれば資金の流れは活発になる。その他、制度融資や公共調達でも恩典があればなおよい。
  • 我が国でも公契約条例を作っている自治体がいくつかあるが、それほど規制力が強いわけではない。他方、英国では、公共サービス(社会的価値)法(Social Value Act)において、公共調達の際には社会的価値に配慮しなければならないという努力義務が課せられており、ある意味社会的企業のために作られた法律である。こういった仕組みがあれば、障害者をたくさん雇用していることをアピールするなど、新法人が公共調達で有利になる余地はある。
  • 税制優遇やそのほかの公益性の有無の判断をする場面を考えると、その有無は、他人がその法人の公益性をどう安心して認められるかに関連していると思う。例えば、横浜市の市民協働推進条例を根拠としているよこはま夢ファンドという助成基金があるが、実は条例上の明示の根拠がないのに、助成対象をNPO法人に限定している。これは、書面だけ見ても公益的活動かどうかに疑義が出てきたとしても、とにもかくにもNPO法人として制度上認証されているという安心感がどうしても審査側にあるからであろう。こういったことに鑑みると、公的に認証されたというファクターが必要ではないかと感じている。
  • 税制優遇を考えるのであれば、ミッションロック、財産処分の制限、情報開示、評価の仕組みをどうするかがポイントだと思う。
  • ミッションロックもアセットロックも、基本的には株主を始めとする関係者が判断すべき事柄だろう。それで不十分かどうかが制度設計上の論点になる。官の関与というのは税制と深く絡む。そこをいかに設計するかということが肝要。
  • 新制度は、認証であれ新たな法人形態であれ、地域を支える「サービス」が量的・質的に厚くなるようにすることが正に「ミッション」ということであろう。他方で、新制度ができたとしてもそれを利用しない事業主体も出てくると思う。地域を支えるサービスの総量は、新制度を利用する人と利用しない人の合算であるので、優遇が地域に提供されるサービスの総量を増やす目的に照らして合理的でなければいけない。新制度を利用する人を優遇すると利用しない人は劣後することを考えると、制度を利用しない人が事業から撤退するようになるとよくない。
  • どの程度優遇が受けられるかにもよると思う。優遇した結果として本末転倒な使われ方がされる可能性があるので、それに警戒しておかなければならないというのはその通りだと思う。
  • 優遇と言っても使おうと思えば誰でも使える制度であり、公的資金に伴う自由経済への歪みとは話の性格が違う。
  • 社会性のアピールというのが難しいのは確か。新制度を用いることによって世間的・社会的に認知されたりするなどのメリットがあるのなら、個人的には新法人に移ることを考えてもよいと思う。

社会性の担保について

  • そもそもミッションロックとは、どのようにすればよいのだろうか。法令や定款で書くのが出発点だと思うが、書いたからといってそのとおり行動するわけでもない。
  • ミッションロックは当然必要だと思う。ミッションロックの時に、本当にロックされているかを評価する仕組みが必要である。例えば、お金のあるNPOは乗っ取られるリスクがあるが、そうするとミッションから離れてしまう。定期的な社会性評価の仕組みが必要である。ステークホルダーへの情報提供の中には、ガバナンスに関する開示と、コミュニティ利益の成果をどう出しているかに関する開示の両方あると思う。しかし、社会的な成果を測定することは難しい。
  • 新制度を作ったら、ブランディングに利用するだけではなく、その主体がインパクトを出していかないといけない。きちんとインパクト評価を行い、第三者も評価して、レポーティングもセットにすれば制度自体の信頼性も高まると思う。
  • 社会的ミッションの変更(ミッションドリフト)には株主の多数が承認すれば十分かというと、少数株主や株主以外にもお金を出している人がいた場合には、それらのステークホルダーとの関係が問題となる。多数派の株主が合意したから今までと正反対の事業目的に変更してもよいというのは違うのではないかと思う。なお、現行法制下では、公益法人が目的(公益目的事業)を変更するときには行政庁の認定が必要であることが参考になるかもしれない。
  • 従来の公益法人は行政の許認可だったが、それが公益認定等委員会による第三者機関の認定に変わった。新制度でも評価は第三者でなければならないと思う。公益申請は公益目的事業の対象をかなり縛っているので、新法人では事業の自由度を上げることが必要である。契約で縛ることも考えられるが、色々なステークホルダーがいるので難しいように感じる。
  • 株主以外にもお金を出す人がいるなら、お金を出すときの契約で縛ればよい。お金を出す意味によって変わってくるはずである。デフォルトの契約でもよいのではないか。柔軟性がなくなってしまいかねない。契約でだめなので制度を作るというのは特に官にスクリーニングをさせる場合には硬直的になってしまう。
  • 契約で毎回縛るのが大変だから制度として縛ろうというのが新制度の出発点だと理解している。契約で縛るなら新制度を作る必要はなくなってしまう。適切な契約を結べる人ばかりではない。
  • デフォルトの契約書のひな型のようなものを示すということでも良いのかもしれないが。
  • 株に譲渡性があれば、株主が変わることもある。将来上場する法人が出た場合には株主が一般株主に広がる。そのような場面を考えれば、お金を出している人と会社との関係だけでミッションドリフトを防ぐのは難しいのではないか。従って、仕組みとして、第三者が継続的に社会性を測る必要があるのだと思う。
  • また、法人の定款が変わって完全に営利目的で社会性がなくなったような場合、最初に出資した人は退き、新しい株主に取って代わるのだろう。このようなミッションチェンジの場合には、最初のインセンティブが残るのはおかしいため、一度、社会性に基づく恩典をなくすことが必要。
  • ミッションドリフトが生じた場合、税制上の優遇を剥奪するのは当然だが、法人が構成員の意思で法人の機能を変えることはある程度やむを得ないかもしれないとも思う。
  • 出資者がいることで出資者からのガバナンスの規律が働く。こうした株式会社に似たガバナンスが、今回の新たな法人では非営利法人と違って加わっている。それなのにさらに加えて官がなお関与すべきかどうかは、その射程についてよく考えるべきである。ガバナンスと官の関与の両方があるのは厳しい規律のある制度であり、そこまでの厳しさを備えるのなら、税制優遇を受けることに活かせることを期待したい。
  • 株式会社と非営利法人の中間領域の法人があった方がありがたいと感じることが多々ある。新制度を作る場合には、地域課題に取り組む事業主体を考えるということなので、例えば東京の会社が地方に関連会社を作って活動するような場合にはミッションロックとして社会性の担保という縛りをかけても良いと思う。

社会性の判断は誰が担うべきか

  • 認証を行う主体は、機動性という意味で必ずしも国ではなく、都道府県単位の自治体でも良いと思う。一方で、規制ばかりになって新制度の利用が進まないのはもったいない。Bラボも民間組織であり、民間でもアセスメントはできると思う。米国型と英国型の良いところを集約すべきである。
  • 基礎自治体(市町村)が認証する仕組みについて、確かに市町村は身近ではあるが、市町村も単純に認証の権限を委譲されたら困ると思う。認証のための委員会を作るなどする必要が出てくるだろう。そこはどの程度の優遇があるかとの兼ね合いで考える必要がある。結論としては市町村が認証するような仕組みとせざるを得ないと思うが、それほど簡単なことではないと思う。
  • 米国のBラボのように民間が認証することも考えられるが、Bラボの認定はやはりムーブメントがあったからできた部分があると思う。日本の状況を考えると、公的機関の認証の方が、コミュニケーションコストを下げる意味でパワフルだというのが現実だと思う。だからといって厳しすぎる制度になるのは良くないので、インセンティブとのバランスを考慮した制度設計とすべきである。
  • 認証を各省庁が行うとすると、従来の規制監督と同様のチェックや指導を行い、狙っている制度の良さが活きないのではないか。
  • 例えば公益法人の場合、各省庁ではなく公益認定等委員会という第三者組織が実際の判断を行うことになっている。新制度においても、第三者組織に判断させることが考えられる。
  • 税制のところも含めて、官がどこまでやるかということは問題である。個人的には、官が担う前に、距離が近い人がチェックした方が効果が元々高い。例えば民間の第三者組織でスクリーニングをさせるとか、コミュニティの中で重しになる人、社会的に信用性の高い人として、法人の中で公益を見る非業務執行役員として監事、監督役、公益取締役等を別途選任し、その人から同意を得るといった仕組みもあり得ると思う。
  • 社会性判断というのは個別事業により様々。そこまで官が縦割りで見ていくのは土台無理な話だと思う。株式会社のガバナンスのようなフレームワーク(例えば、社会的利益報告書、社会的利益取締役等)があるかどうかが大きいと思う。
  • 我々がアズママに投資したときは契約で縛った。5つほど条件を挙げて、内部規定で承認を取って、これに基づき投資するというプロセスを踏んだ。その中で、違う事業で収益を稼ぎながらソーシャル事業をやっている事業者をどうとらえるかを議論した。最終的には我々の中では100%ソーシャルでないといけないという整理をしたので、上記のような事業者は対象にならなくなった。その辺も一つの基準になりうるかと思う。

利益・財産処分規制

  • 財産処分規制のあり方は、株式会社ベースならよいと思う。
  • アメリカのベネフィット・コーポレーションの制度は配当制限がかかっていない。おそらく、原材料として多少高いが地域の農作物を買うとか、多少高い賃金を払うとかして、利益は少ないが皆幸せにするということを想定していると思う。その上さらに配当を規制するという立て付けにはなっていないはずである。配当や分配の制限を個別に選択できるという制度であれば良いと思うが、すべての法人について配当・分配制限をかけるのはやり過ぎだと思う。

新しい法人格か認定・認証制度か

  • 新制度を認定にするか新たな法人形態を作るかで、ミッションロックのやり方は変わると思う。認定制度を作る場合、通常の株式会社が一定の要件を満たせば役所が認定して認定株式会社とするのだと思う。この場合、その会社が定款の目的を実行せずに利益追求だけ行っていれば、監督主体が認定を取り消し、認定株式会社は元の株式会社に戻ることになる。しかし、新たな法人形態を作る場合は、一定の要件を満たすかどうかが設立の段階でチェックされ、要件を満たさなくなったら法人として存続できなくなる。このように、認定にするか新たな法人形態にするかが重要。個人的感触としては、認定の方が使いやすいと思う。既に(1)の領域で株式会社として事業を営んでいる法人を考えると、認定であれば制度を使って認定を取り、使いにくいと感じたら株式会社に戻ることになろうが、新たな法人形態の場合、そこにトライするだろうかという疑問がある。また、新たな法人格を獲得しようとする労力を考えれば、株式会社として一日で設立した後、認定を得るための準備をするとした方が、スタートアップは容易になり、使いやすいのでは。
  • 実質として認証を付した株式会社というものと同じ働きをする主体ということは分かるのだが、新しい法人を作るべきだと思う。株式会社というものに対してすでに各所や世間で形成されているとらえ方や規律にいかに引きずられることなく、新たなものをつくるのかが今回の重要なテーマであると思う。
  • そのような問題意識からしても、認定でも問題ないのではないか。例えば、一般法人は認定されると公益法人になる。名前は公益法人だが、実際は公益認定を受けた一般法人である。名前が重要だということなら株式会社という字面を含めない名前にすればよい。株式会社以外の法人を作ることまでしなければいけないのかは議論の余地があると思う。
  • 一般法人が公益法人になる建て付けとは、今回は解決したい点が違う。今回は、株式会社であることによって公的な側面等においてできていないことや受けている不利益をどう直すのかが論点である。株式会社の枠内でそこに認証等の特例をつけるだけだと、結局株式会社としての負の遺産を色々ひきずって、課題の多くが解決されないで残るだろう。現在、株式会社であることをベースにできている周辺制度が山ほどあるわけで、それを一つ一つ修正を調整していくのはそれこそ困難である。株式会社の上に認証をつけただけだと、解決されない問題が多く残ったままになる。ちなみに、設立のスタートアップについて懸念するのなら、新たな法人を株式会社や合同会社並びに簡単に設立できる設計にすればすむ話である。
  • 事務局の提案は、株式会社の仕組みをベースに考えるというもので、名前や認証には現在のところ触れていない。株式会社はよく使い込まれていて使い勝手が良い。それを出発点にすることは異論がないと思う。
  • 株式会社だとできないのは、公益法人に準じた情報開示や社会性の認証等である。機関設計という意味では株式会社が柔軟で使いやすいため、株式会社に準拠すべきことは皆同意していると思うので、株式会社をベースとした上でどのような制度設計とするかを議論した方が建設的だと思う。
  • 株式会社制度を参考にして新たに法人格を作るという制度設計・選択肢と、制度自体を株式会社に基づき認証をつけるという制度設計・選択肢とでは、現実に達成できる効果や意味合いが全然違うと思う。株式会社が有しているガバナンスなどの良い点だけをインプラントすれば良いわけで、株式会社制度に認証を付加する認証株式会社の建て付け(すなわち後者の選択肢)では、株式会社で持ってくるべきでない要素・引きずるべきではない要素まで一緒に持ってきてしまう。後者の認証株式会社の選択肢では色々な文脈で生じる効果が中途半端となり、あくまで新しい法人格を作る前者の選択肢で考えるのが良いと思う。認証株式会社という、あくまで株式会社の中に新たな一類型を追加するだけという選択肢には反対である。

意思決定のあり方について

  • 株式会社だと一株一票になるが、合同会社だと一人一票である。地縁型は一人一票が好ましい。一方で、新しいニーズに応える活力を活かす意味では、一人でもリスクを取っていける一株一票がよいかなと思う。両類型あって欲しい。
  • 一株一票も一人一票も両方あってよいと思う。株式会社型も合同会社型もあって良いと思う。
  • いずれが優越するということではないように思う。

IV 今後の方向性等

  • いくつか課題が指摘されているが、現行の株式会社制度で乗り越えられないのか、問題は制度的なものか、それとも事実上の障害かといった整理が必ずしもされていないと思う。現行の株式会社でできるから株式会社でやってくれという趣旨ではないが、新しい法主体についてどういったニーズがあるか(株式会社でできるけれども何らかの手当てが必要であることの理由の整理)についてより検討してもらえればと思う。
  • そもそも会社法でできない領域があるのかどうか、頭の整理として考えてみるとよいかなと思う。
  • 個人的には株式会社でもほとんどできるように思うが、会社法の理屈の上でできることと実際にできることの間には谷間があると感じる。
  • (1)・(2)の領域を念頭に置いて、株式会社の仕組みをベースにすることは概ね賛同いただいたかと思う。認証の仕組みを作るか新たな法人形態を作るか、官の関与を税の部分にとどめるか通常の事業まで考えるか、社会的利益代表者を入れるかといったところが論点になったと思う。

以上

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経済産業政策局 産業組織課

 
 
最終更新日:2016年3月25日
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