経済産業省
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クール・ジャパン 官民有識者会議(第8回)‐議事要旨

日時:平成23年5月12日(木曜日)14時~16時
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

座長

  • 福原義春 (株)資生堂 名誉会長

座長代理

  • 松岡正剛 編集工学研究所 所長

民間委員

  • 生駒芳子 ジャーナリスト
  • 伊藤直樹 クリエイティブディレクター
  • 猪子寿之 チームラボ(株) 代表取締役社長
  • 梅澤高明 A.T.カーニー(株) 日本代表パートナー
  • アレックス・カー 東洋文化研究者
  • 楠本修二郎 カフェ・カンパニー(株) 代表取締役社長
  • 鈴木一義 国立科学博物館 理工学研究部科学技術史グループ長
  • 滝山正夫 (株)ソニー・ピクチャーズエンタテイメント 執行役員
  • 玉沖仁美 (株)タマノワ代表取締役 
  • 千金楽健司 (株)アパレルウェブ 代表取締役&CEO
  • 原研哉 日本デザインセンター 原デザイン研究所
  • エバレット・ブラウン フォト・ジャーナリスト
  • 堀木エリ子 株式会社堀木エリ子&アソシエイツ 代表取締役
  • 吉川稔 (株)リステアホールディングズ 取締役副社長
  • 米澤泉 甲南女子大学 准教授

政府・関係機関

  • 経済産業省 田嶋要 大臣政務官
  • 内閣官房(知的財産戦略推進事務局) 芝田政之 次長
  • 内閣官房(内閣広報室) 加治慶光 内閣参事官
  • 総務省 武井俊幸 大臣官房審議官(情報流通行政局担当)
  • 外務省 林禎二 広報文化交流部総合計画課長
  • 文部科学省(文化庁) 佐藤透 長官官房国際課長
  • 農林水産省 田名部匡代 農林水産大臣政務官
  • 国土交通省(観光庁) 山田尚義 審議官
  • 日本貿易振興機構(JETRO) 中富道隆 副理事長

議題

  1. クール・ジャパン官民有識者会議 提案
  2. 各省庁の取組方針について
  3. 今後の進め方について

議事概要

開会の挨拶

  • 昨日、東北で100社あまりの方々とお会いしてきた。元気な方々がたくさんいらっしゃる。風評被害を乗り越えて、日本を発信していきたい。今回で有識者会議は最後となるが、今日がスタートの日でもある。
  • 日本というブランドをどう海外に発信していくか。この有識者会議は、クール・ジャパンをキーワードに検討を始めた。さらに、3.11の大震災の後に、世界に発信すべき日本のクリエイティビティは一体何なのか、ということも問われている。

クール・ジャパン官民有識者会議 提案(事務局から説明)

1.新しい日本の創造

  • 被災地の復興と日本の再生を後押しすべく、日本のブランドに輝きを取り戻すことを目指す。日本が新たな経済モデル、ライフスタイルを世界に対して提案すべく、新たな連携の和をつくる。
  • クール・ジャパンを支えるクリエイティブ・ジャパン。これを日本人が再認識し、ポップカルチャー、伝統文化、食材や農産物などの「日本の宝」を梃子として、新たな経済モデル、ライフスタイルの確立を急ぐ。

2.基本的コンセプト

  • 二分法をこえる日本的創造性、プロセスと変化を誇ること、苗代の重要性、といった「日本流を自覚」する。
  • また、ユニークな組織観や空間的な日本性など、「日本独自の社会・組織・芸術のしくみを強調」していく。
  • そして、かわいい、もったいない、おたくなどの日本語を世界語にし、贈りあう文化を海外へ発信するなど、「物語としての日本を伝える」ことを重要視する。
  • これらの3本のコンセプトを確立する。いたずらにグローバル・ワードに切り替えずに、外国語の中にそのまま通用させるよう心がける。

3.日本ブランドの強力な発信

  • 戦略的・包括的なコミュニケーション戦略を推進すべく、クリエイティブ・ディレクター・チームを設置する。

4.東日本大震災からの復興への貢献

  • クール・ジャパンとして、東日本大震災からの復興への貢献として、復興物語の記録と情報発信、産業再生・雇用創出、文化の再生、まちづくりを推進する。

5.創造的活動基盤の構築

  • 「創る人を、創る」をモットーとして、創造的活動基盤の構築を進める。
  • 地域活性化と発信力の強化のために、クリエイティブ・ハブを構築する。クリエイティブ東京に加えて、直島、富良野、沖縄、札幌、高松、長浜、山口、沼津などの例に見られるような各地のハブの整備を進める。
  • 新たなライフスタイルや産業の創造として、日本を変えるインフォグラフィクス、ボランタリー経済社会モデルの実践、豊かな住まいの実現を目指す。

6.クール・ジャパンの海外展開

  • これまでの各回でもっとも重点的に議論した項目のため詳細は説明しないが、海外展開戦略としては、カテゴリーごとの各重点地域における「面による展開」、「カテゴリーをまたがる取り組み」の推進など、これまでの議論を5つの指針にまとめている。
  • また、これらの指針を実現するためのプラットフォームの組成、現地タスクフォースの設置を進める。
  • 分野別には、ファッション、食、コンテンツ、地域産品、すまい、観光のこれまでの議論を取りまとめている。また、市場毎には、アジア、欧州、米国、他の地域の別に課題を取りまとめている。
  • すでにフランスのJapan Expo、シンガポールのファッションのプロジェクトは先行して推進中。その他の海外展開プロジェクトについても例示している通り、議論を踏まえて実施していく。

提案に対する委員からのコメント

  • クール・ジャパンの検討当初に議論したように、重点を決めること、そこには躊躇なく資源を投下すること、そしてその取り組みが継続されることが重要。
  • これまで日本は、文化の輸入過多だったかと思う。報告書には各委員の専門性が集約されているが、1点補足するとすれば、教育に光をあてても良いと思う。クリエイティブ・ジャパンの次世代を育てるために、10代、20代、10歳未満も含めて、文部科学省とも連携をして、教育プログラムに落とし込む必要があるのではないか。
  • おっしゃるとおり、教育という観点は重要。若年向けだけではなく、再教育を含めて、日本ブランドを育む素地を創っていくことが大切。
  • 日本ブランドはどこまでを含めるのかという定義が曖昧なような気はする。
  • 震災以後、生活物資が優先され、ファッション・化粧は二の次になっているように思う。Cosmetic Japanと言われるように、化粧好きな方が存在するのも、日本の勤勉さが背後にあるからだと思う。化粧と言えば日本という位置づけになるように、コンテクストを発信すべきではないか。
  • 海外の人は今、かわいいやアニメではなく、東北を見ている。したがって、東北の復興に関する情報をどうしていくかが大事。
  • 今回の災害は、途方もないエリアに及ぶ被害となっている。この災害から立ち直るためには、大きなビジョンも小さなビジョンも、全ての人の叡智を結集する必要がある。それを日本中、世界中の人が見られるようにする。
  • 東北から未来のアイディアが噴出していると見えるように、世界に示していくことが重要ではないか。3.11が転換点となっており、これを契機とする必要がある。その可能性を可視化出来る人がクリエイティブ・ディレクターになるべき。
  • 観光も震災の影響を強く受けている。米国は放射能リテラシーが相対的に高く、過剰な反応はしていないように見える。反対に中国では日本への観光の抵抗が強い。まずは、日本の放射能リテラシーを高める情報発信が必要ではないか。
  • デザインという言葉をしっかりと位置づけて頂きたい。日本では、デザインという言葉を軽く使っているように見える。デザインとは何をやる営みなのか、用語の使い方を認識した上でアクションを取るべきではないか。
  • 東北の被災の規模感を踏まえた対応が必要。これまで世界は、何かが起こったときに変化してきた。何かあるからこそ未来が作れるということ。
  • 今必要となっている「無常との共生」は「非常識への対応」と同義であり、そのためには「知恵」や「叡智」が必要となる。これは「情報」や「知識」の時代から脱していくということ。
  • 温故知新ではなく、温故創新という考え方が必要。そのためには、苗代という考え方は大切。さらに国内だけでなく海外にも苗代の場を広げることで、日本の温故創新が広がっていくのでは。
  • 福沢諭吉に「一身にして二世を得る」という言葉があるが、震災前の世界と震災後の世界の、2つの世界を日本人は経験をしている。その生き方を海外に広めることを通じて、日本は信頼を得るべきではないか。
  • 文化を活かしながら経済効果を得るという両立が強調されていることがこのレポートの良いところ。
  • 日本人の皆が、このレポートを知っている、という状態をつくることが大事。米国では9.11の際にジュリアーニ市長が“terrorism can't stop us”いうスピーチをし、ニューヨーク市民が皆口にしていた。
  • 海外展開については、中小企業の参加マインドのハードルを下げることが必要ではないか。地域産品などを扱う企業では、海外展開というのは大手がやることという固定観念もある。これを取り除き、改革の動きを広めることが必要ではないか。
  • 時間軸を明示する必要がある。記載している項目のどれを優先して、この1年で何をやるのか、3年でどれくらいの範囲をやるのか、を明確にして、提示する必要があるのではないか。
  • 時間軸だけでなく、配分できる予算も明らかにしなければならない。
  • このレポートは委員の共通認識に基づいて作成されているので違和感はない。あるとすれば、クリエイティブ・ディレクターはどう選出するのか、現場で頑張る人はどう選出するのか、という具体的な進め方が少しでもあると良いのではないか。
  • 今あるものを海外に出すだけでなく、海外のものを取り込んで、新たなものを創りだすという目線も必要では。
  • 提案書は野心的であり、目標としては適切。これをどう実現するかが今後の課題になってくる。
  • 地方は、地域産品を売りたい、観光客を増やしたいと思っている。でも、そのためのお金の出所が分かりにくい。
  • プロジェクトの内容を初めからカッチリ決めるのではなく、広く募集をすることで面白いプロジェクトを見出していくことが大切ではないか。また、一般の人でもわかりやすい窓口、情報提供をしていくことが必要ではないか。
  • ここに書いていることを1日も早く具現化することが大事。
  • ファッションのジャンルで言えば、95%が輸入。日本の企業はグローバルビジネスのノウハウを持っていない。ブランディングが分かっていない。
  • 有名ブランドとコラボレーションをすることで表舞台に立てることもある。特に、アジアでの小売商とのネットワーク構築は大変だが大切である。
  • 欧米のリアルクローズのブランドは、海外展開にあたっては、坪単価50~60万円の外装費をかけて、商品は安いという仕掛けでブランディングをしている。こういったノウハウを持って、戦っていくことが大切。
  • 東北を起点に仕掛けていくことに賛成。また、原宿をはじめ東京にも旗艦店を置いていくことも必要。
  • この報告書は、ビジョンなのか、事業計画書なのかを決めなければならない。
  • 東北では、農家、水産系の方々と会ってきたが、小さなヒーローがたくさんいらっしゃる。食は、今まで内需産業であったが、チームジャパンとして、創る人材を創って、戦略的に糾合することが災害からの復興にもつながるのではないか。
  • この報告書を事業計画書とするならば、誰が、どう、同時多発的に発信するのかのデザインが重要。
  • ヒーローを集めて連携すること、例えば、復活祭を企画することを考えてみてはどうか。
  • 報告書はよく書けていると思う。
  • 発信と継続性がとても大切。私企業で考えても、さまざまな人が集まるジョイントベンチャーは継続が難しい。片道切符とは言わないが、新たな組織をつくり、アクションプラン、予算と人を決めていくことが重要ではないか。
  • 目標を立てて、レビューして、次にどうするか、をマネージできる組織を組成すべきではないか。
  • 今、被災から立ち直るために、戦略的、継続的に、情報を発信することが大事。海外に発信するメッセージは、日本からの贈り物だと思う。
  • 成田空港に展示してある金箔、漆に違和感を覚えることがある。この国は平均年齢が高く、クール・ジャパンというのは、高年齢の方にとってのクールなのではないかと思う。一方で、アジアは格差があるものの、若者にクールの主体がある。
  • みんなでやろう、というよりも、目的の達成に対しては手段を選ばないでやろう、という議論があっても良かったのではないか。また、今回の議論は、東北復興を大きく超える取組であると少し思った。

各省庁の取組み方針

  • 自分の高い出席率は、クール・ジャパンへの高い期待を表している。災害により痛手を受けた東北の復興にとってもクール・ジャパンは重要。
  • すでに支援を開始しているが、被災地の食を販売していく「食べて応援する」という取り組みにおいて、クール・ジャパンとは一緒になって進めていきたい。
  • 政府一体となって、クール・ジャパンを推進するためのアクションプランを取りまとめていく。
  • 3.11を境に海外からの日本の見え方が変わっている。暖かい目、畏怖の目が向けられている。その畏怖の念が、この3ヶ月、6ヶ月に失望と忘却に変わってしまう可能性もある。そうならないように、この提案を早期に具現化していくことが求められている。官も民も、当事者意識を持って、少しでも進めることが必要。
  • これまでのクール・ジャパンの議論を踏まえて、海外との共同製作の推進などのモデル事業を仕掛けていきたい。
  • 主要施策の1つとしてJapanブランドの発信を位置づけている。カンヌ映画祭では、復興に向けた映像を放映した。さらに、クール・ジャパン6分野のイメージビデオを作成して、海外で放映していくことを予定している。
  • メディア芸術祭、東アジア文化技術会議などの開催、キュレーターなどの滞在支援などを進めていく。
  • 3月、4月は予定していた9割の外国人観光客がキャンセルした。当初は、徹底した情報発信を心がける。現在はB to Bに力を入れ、渡航規制の緩和などを進めているが、時期を見計らって、個別消費者への情報発信へと移行していきたい。
  • 観光にとっては、クール・ジャパンは頼り。クール・ジャパンとは海外で連携をして、進めていきたい。
  • この取り組みをサポートしていきたい。厳しい財政状況の中で、識者・国・民間のネットワークを永続的に持つべく、プラットフォーム・タスクフォースを組成することをサポートしたい。また、見本市などを仕掛けていきたい。
  • ネットワークづくりに向けては、国ごと、モノ(展開商材)ごとにチームを作って、具体化を進めていけるようにして頂きたい。

今後の進め方について(事務局から説明)

  • クール・ジャパンのクリエイティブ・ディレクター、モデル事業展開などは、予定している10億円の予算の中で、公募を実施する。これらは、あくまできっかけ作り。タスクフォースは重点国をはじめ、早速に立ち上げていきたい。
  • 今年で言えば、秋口など、半年ごとにお集まり頂いて、事業計画書である本報告書の進行状況をご確認頂きたい。

閉会の挨拶

  • クール・ジャパンということで始まり、8回の議論を経て、コンセプトも成長し正しい認識になった。
  • あらゆる業界の人たちがJapanブランドに興味を持って、取り組みを広げておくことが必要。報告書ができるということは、運動の始まりでもある。事務局で、アクションプランを作り、推進していく。
  • 積み残し課題が1つある。人材育成。米国の食の大学院、欧州のファッションの大学のようなものを創っておかなければならないのではないか。官でやるのか、民でやるのか分からないが、次なる宿題として検討を進めていただきたい。
  • また、東北震災を受けて、新しいJapanブランドに再生しなおすことが必要である。
  • 過去にない、意欲的、集中的、多様な才能を集めた会議ができた。ここからがスタート。縁あって、この場に立ち会っているメンバーが、クール・ジャパンを広げていく起点となって頂きたい。
  • キーワードは「覚悟」だと思っている。中小企業にとっての海外展開のハードルの高さ、クール・ジャパンの目標の高さを乗り越えていかねばならない。ここがシンガポール、香港だったら、最初から海外を見るのが当たり前。日本も、大企業だけでなく、中小企業も、皆が海外を見ていくようにしていきたい。
  • 今後のアクションプランを作り、皆様の力を借りて、進めていきたい。

問い合わせ先

経済産業省製造産業局クール・ジャパン室
電話:03-3501-1750
FAX:03-3501-6782

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最終更新日:2011年5月23日
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