経済産業省
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新ものづくり研究会(第3回)‐議事要旨

日時:2013年11月12日(火曜日)9時15分~12時00分
場所:経済産業省 本館17階 第1特別会議室

出席者

新宅座長、朝比奈委員、京極委員、柴沼委員、田中委員、新野委員、野口委員、渡邊委員

議題

  1. デジタルものづくりの現状に関するプレゼンテーション
    • 渡辺 欣一 株式会社ファソテック 取締役 メディカルエンジニアリング センター長
    • 森川 利昭 東京慈恵会医科大学 教授
    • 田中 昌行 パナソニック株式会社モノづくり本部副本部長(兼)生産技術開発センター長
      (以上、ゲストスピーカー)
    • 朝比奈委員
    • 柴沼委員
  2. ビジネス、人材育成、政府の取組等に関する議論

議事要旨

出席者からの主なコメントは以下のとおり。

  • 日本が考えるべき課題として以下3点が挙げられるのではないか。
    1. 1点目は、プリンタ本体や材料の議論だけではなく、ノウハウや医療における個人情報など、その上を流れるデータがシームレスに流れるためのデータ作りについて先手を打っていくことが必要。また、積み重ねたデータも、垣根を越えて活用できるような形式で蓄積していくことが重要。
    2. 2点目は人材育成。企業OBを小中学校における教育に生かすなど、シニアパワーの活用も重要。
    3. 3点目はオープン・クローズ戦略。既存欧米3Dプリンタメーカーがクローズ戦略なのであれば、日本は逆に基幹ソフトをオープンにして、材料開発の多様化、ユーザによるカスタマイズ化において外部活力を取り込んでいく戦略も考えられる。ただし、どこで収益を上げるかについては上手に設計する必要がある。

3Dプリンタにおけるビジネスモデルについて

  • ビジネス向け、パーソナル向けで考え方は違う。装置などハード、ソフト、ビジネスモデルに分けて整理する必要がある。
  • 放っておくと企業はクローズ戦略をとるため、どこを戦略的にオープンにして社会的に共有できるようにするかが重要。3D-CADからプリンタに送る造形データの変換は単純ではなく、ノウハウが詰まっている。近年ユーザが丸ごと出力を外注するケースが多く、そこにノウハウの集積が起きているのではないか。
  • ビジネスモデルで何をしたいか、そのために何を作るかを一体で考えないと、ものづくりはできない。オープンにした場合、どこで儲けるかが重要。また、どれぐらい人を雇用できるかといった視点では、匠の技など手間がかかるところを残すことも重要。自分で手を動かして物が作れる人材が重要。NAMIIでは、ビジネスモデルまで含め、コンソーシアムとして補助をするといった事例もあると聞いており、政府の取り組みは、開発だけで終わるのではなく、ビジネスモデルの構築まで支援する必要がある。
  • 少量生産における産業育成が重要。特に、ユーザインターフェイスに関する部分は市場が大きいと思われる。例えばリモコンでは1人1人のニーズが多様化しており、障害者のために音声認識を装備したり、ボタンの数を少なくしたりするなどがある。ファブラボも地域毎への展開が進み、こういった個別ニーズへの対応が可能になってきている。
  • ポイントは発想。ユーザニーズやアイデアが流通することで、モノの形が表現されることになる。場合によっては、その発想を企業が数億円のプリンタで出力するケースも出てくる。
  • データの集積が重要だが、誰がリードするのか。ルール作り、パターン化するのは誰か。生態系をどう作るのかが重要。
  • データ収集が主たる目的ではうまくいかない。例えばボイストレーニングアプリのように、ユーザニーズのある仕組みを提供する中で、副次的にデータを集める仕組みが必要。そのデータの集積が価値を持つようなところであれば、非常に個別のビジネスが大きなビジネスにつながっていくのかもしれない。
  • 知り合いの医療関係者からは、メニュー化、オープン化されたら自分だけの手術や技術が評価されなくなるとの意見を頂いている。そのため、ノウハウを提供するとステータスが付くといったインセンティブが必要ではないか。当社でもノウハウをメーカーにはフィードバックしない。ボタンを押すと同じモノができるのであれば、人件費だけの勝負になってしまう。
  • 当社では3Dプリンタと鋳造を行っているが、鋳造というアナログが差別化につながっている。このアナログの部分が今後も日本に残るのではないか。
  • 3Dプリンタの普及のために、データフォーマットを標準化してオープンにする必要性は分かるが、企業は差別化のため基本的にクローズが前提。特許に出すか、隠すため特許に出さないかといった検討を行っているのが現状。

3D造形におけるソフトウェア及びデータフォーマットに係る課題について

  • (3D造形のデータフォーマットの状況について)現在はSTLという1980年代に策定されたフォーマットが使われている。しかし、表現力が乏しいため、新しい標準を作ろうという動きが出てきている。自分としては日本の工作機械の強みを生かせる仕様を盛り込みたいが、米国主導で進んでいるため、逆に日本の工作機械の性能が制限される仕様になる恐れもある。
  • STL の課題は、3Dならではの発想が表現できないこと。例えば弾力などをデータとして表現できると良い。材料の特性を踏まえた設計やデザインが可能になると、新しい発想を具現化できる可能性が高まる。
  • STLは1980年代後半に策定されたが、三角形を敷きつめたイメージであるため、なだらかな曲面等を表現できない。そのため2008年3月頃、米国で新しい標準の話が持ち上がった。2009年1月には新しい標準規格としてAMFの策定が始まり、2012年度にAMFVer1.1としてISO化されている。
  • AMFはWebブラウザでファイルを開けるため、一般ユーザでも使いやすい。
  • STLは精度が悪いため、スムージングや構造化を行うためのソフトが必要となる。3D-CADのデータを3Dプリンタ用に流し込む変換部分はクローズにする、といったハードからソフトを見据えたビジネスモデルが重要。
  • 誰が3Dプリンタを使うのかを考える前に、三次元データを扱うCGやお絵描きソフトのほとんどが米国製であることに留意する必要がある。

パーソナルユースの将来性について

  • 個人的にパーソナルユースの3Dプリンタ市場は大きくならないと思う。日本におけるパーソナル向けプリンタは年賀状印刷のために広まったが、大部分は画像を貼り付ける程度の使い方しかしていない。そのため、一般ユーザが3Dプリンタのソフトを使うかは疑問。DMMのように出力を外部化するビジネスモデルも立ち上がっている。
  • 付加価値を高めるためにはブランディングが重要である。EOS社は自社の3Dプリンタで出力することをブランディング化する戦略をとっている。また、3D-CADソフトについては1日500円程度で使えるクラウドサービスもあるので、高額なソフトを買う必要はない。
  • 現在3Dプリンタに対する期待値が高すぎる。技術者は一家に一台と意気込んでいるが、DTM(デスクトップミュージック)の状況のように、一般ユーザへの普及はシンセサイザー程度にとどまるのではないか。
  • 現在一番流行っている3Dプリンタの用途はフィギュアづくりだが、今後は治具やネジなど「接着剤」のような使い方が広まるのではないか。そのためには様々なパーツが作れるようなソフトの進化が条件になる。
  • 3Dプリンタの価格が10万円を切ると購入希望者が増えるだろう。これまでも「スケーラブル」がキーワードになると主張してきたが、一般家庭での発想を形にしてアイデアが流通すると、利用内容や形状などがビッグデータとして価値あるものになる。データからモノができるだけでなく、同時にそこから新しい価値あるデータができるということは重要である。ものづくりとデータの両輪により付加価値が高まるのではないか。

3Dプリンタに係る教育及び人材育成について

  • 近年、軽いCADソフトがどんどん出ている。スケッチと設計は別物だが、その間をつなぐソフト教育が必要。また、自分の教え子は1996年生まれだが、モノを作った経験がほとんど無い。ネット上での二次元しか触れていないため、立体感覚を持たせるためには小学生のうちに教えることが重要。
  • 3D-CAD導入初期は、図面づくりの必要性について他の先生とよく議論になった。自分はモノを思い浮かべる時は三次元のため、二次元の図面はいらないと考えた。但し、子供はモノを描くとき、まず横から見た絵と、縦から見た絵を描く。これはまさに投影法による設計図面である。そしてもう少し成長すると斜めから全体を描くようになる。初めから子供に3Dを教えるとどうなるのか興味深いが、発達段階に合わせた教育を考える必要があるのではないか。
  • 人材育成におけるシニアの活用は技術継承が目的。若手は図面が書けない人間が多く、抜けない金型を作った例もある。メーカーでのものづくりにあたっては、三次元だけでは駄目であり、寸法を出すために二次元の図面に落とす必要がある。

その他

  • 医工連携は車の両輪であり、3Dプリンタの活用で次のステップに進み、日本の高い医療水準に合わせた精度を実現していきたい。また、日本の国民皆保険は世界に誇る制度ではあるが、これに合わせて機器等を開発することは難しい。まずは世界の医療のニーズに合わせて開発を進め、その成果を日本に還元することが必要ではないか。
  • 3Dプリンタで何が変わるかを考えた時、思い浮かぶのは印刷の世界である。30年前は活版、オフセットなどちょっとしたことでも印刷会社に依頼することが普通であり、20年前頃から企業、家庭にプリンタが広まったため、現在印刷企業がどうなっているかが参考になるのではないか。

以上

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最終更新日:2013年12月24日
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