新ものづくり研究会(第4回)‐議事要旨(METI/経済産業省)
経済産業省
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新ものづくり研究会(第4回)‐議事要旨

日時:2013年12月17日(火曜日)13時00分~17時00分
場所:経済産業省 本館17階 第1特別会議室

出席者

新宅座長、朝比奈委員、内原委員、小笠原委員、京極委員、柴沼委員、田中委員、冨山委員、新野委員、野口委員、山中委員、渡邊委員

議題

  1. デジタルものづくりの現状に関するプレゼンテーション
    • 山中委員
    • 岩佐琢磨 株式会社Cerevo代表取締役 (ゲストスピーカー)
    • 野口委員
    • 富山委員
  2. 新ものづくり研究会報告書骨子(案)に関する議論

議事要旨

出席者からの主なコメントは以下のとおり。

  • 新しい産業構造が生まれてくる中で、日本の組織構造や企業のあり方は相性が悪いと言って良い。特に、人に対する考え方を変えていく必要がある。トライ・アンド・エラーが重要になってくる中、できるだけ少ない人材で多くの生産をしていく「人材」という発想ではなく、資本として蓄積できる「人財」と捉えていくことが必要。
  • 人の命にかかわる、インフラ・自動車・医療・航空機などの日本の製造業はまだ競争力があり、「繰り返し品質」や「トレーサビリティ」で企業の実力差が出せるため、生き残り戦略を考えている。(プレゼンテーションを聞いて)弱電や家電の分野で生き抜いていくのは逆に非常に厳しいという印象を持ったが、3Dプリンタが普及しても、残っていく部分があり、見極めが求められる。
  • 海外では例えばシンガポール系EMSのフレクトロニクスは200億円ほどのファンドを設立し、適量生産をサポートしてくるところへのファンディングや、大手企業の知財などが日本のこれからのインディーズメーカーに開かれることが大切である。
  • 日本の弱電の一部は人件費の点で負けてしまうかもしれないが、海外において日本人の高いマネジメント品質に安い労働コストの組み合わせで十分に競争力を持っている事例もある。
  • 企業が(3Dプリンタを活用して)どういう製品を作っていくか、という話もさることながら、デザイン性など、製品で勝っていくための性能を実現するためには装置の開発が重要であり、日本全体で装置、材料などとあわせて考えていくことが必要。
  • この研究会ではユーザーがいかにうまく使っているか、という話は多いが、装置メーカーがどう作るか、という話がないように感じる。レーザー加工機などを見ても、黎明期は構造とレーザー発振機が一体で開発されたが、その後、別々に開発されるようになった。3Dプリンタもメーカーを鼓舞して、構造体、造形部分、それぞれ分化したメーカーを出すことが大事。装置メーカーの議論が十分になされておらず、中核になるところが少ないと感じる。
  • 3Dプリンタと技術的要素が似ているのは、実は人型ロボットである。ちなみに日本に人型ロボットのエンジニアが多いのは人型ロボットのアニメや漫画の影響であり、米国で3Dプリンタのベンチャーが多いのはスタートレックの影響があると言われている。人型ロボットは普及が期待されながらなかなか普及していない製品であるが、必ずしも人型にこだわる必要もなく、ちょっと違うものを作っていく、ということが重要。その際、創造、発想のツールとして3Dプリンタを活用していくことがあり得る。
  • 例えば、田中研究室では長さ2メートルの造形が可能な3Dプリンタを開発している。このサイズでは、義足などの直接造形が可能になってくる。これまでとは異なったアイデアが生まれる技術であり、リスクがあるが、誰かが取り組む必要があるものだと考えている。
  • 3Dプリンタを加工機として捉えれば、造形には装置、材料、レシピが必要であり、メーカー推奨の材料とレシピがあるのであれば差別化していかない。「3Dプリンタ」と言うとあたかも消耗品ビジネスのプリンタと同じものと捉えられがちであるがそうではない。日本企業はアディティブマニュファクチャリングへの取り組みに対して迷いがあるようだが、欧米はかなり前から進んでいる。特に金属の分野ではドイツが20年来取り組んできており、日本は後塵を拝しているのが現状である。
  • 高付加価値の製造にアディティブマニュファクチャリングを活用するだけでなく、一般の雇用を生む組立工程をどのように残していくかも重要な政策的な論点になると考えられる。NC工作機械でも特定分野の加工について強い企業が存在するように、3Dプリンタの分野でも、特定の加工やレシピに強みを有した企業が出てきてほしい。
  • 3Dプリンタを装置と捉えてしまうと、設備産業になってしまい、コスト優位の議論になりがちである。しかし、量産・試作のロット数もケースバイケースであり明確な線引きはない。1、000個でも試作というユーザーもいれば10個でも量産というユーザーもいる。弊社では3Dプリンタ事業を始めた後に、アルミ鋳造企業を買収した経緯があり、先日のコイワイの事例とは逆ではあるが、いずれも最新のデジタル技術を(アルミ鋳造のような)アナログ技術に埋め込んでいくということ。こういった組み合わせで新しい価値が出てくることを実感している。日本のものづくりはそう悲観的なものではない。
  • 日本のクリエータ、コンテンツが育つ上で、キャノンやWacomの入出力装置は重要な役割を果たしてきており、これで日本のコンテンツ産業が育ったと言って良い。3Dプリンタについても、日本の装置メーカーが本気でこういうツールを作ることがとても大切。その際、何を作るか(コンテンツ)、と一緒に育てることが大事であり、コミケの事例で見たように、ニッチなものを面白がっている人と一緒に産業を育てていくことが必要である。
  • 海外事例を事務局でまとめているが、例えば、米国のNAMII(2013年10月にAmerican makesと改名)の事例で重要なポイントは、中小企業が参加できる枠組みと、政府資金の投入を5~7年に区切っており、その後の出口を見据えている点。開発したものを事業化するところまでのシナリオを描きながら政策を打っていくという視点が大事。7年超の事業計画を最初から作り込むことは難しく、最初の段階で計画を立てきらず、見直しやライセンスアウトなど、事業の広がりを担保した政策運営が必要ではないか。
  • 柴沼委員の指摘の通り、シナリオをあらかじめ描いた開発は可変要素が多く、シナリオが外れた時のリスクが大きい。イノベーションを想定するのであれば政策はフレームワーク型のほうが良いと考える。経産省ではコンソーシアム型でイノベーションを進めていく方式が多いが、あれも一定のシナリオを念頭においたものであろう。イノベーションは予測できないことなので、イノベーションの種を複数走らせておくことが必要なのではないか。
  • 「稼ぐ」ということが重要であり、稼げないと次の開発もできない。ここ20年の経営では利益率と成長率には相関があり、「日本企業は短期的利益を追い求めず、長期的な成長を目指す」と言われるようなトレードオフの関係にはない。政策パッケージの中に、稼いだ人にちゃんと投資する仕組みを作ることが大事。
  • こうすべきだ、というのはわかっているが現実問題、動けないという大企業が多いのではないか。今回の研究会では、工作機械、プロセスといった議論が多く、最終製品をどう作るか、という議論が少ないのではないか。装置や材料に我が国の優れた企業が多いことも事実であるが、多くのGDP、雇用を創出してきた家電、自動車などの最終製品を作る型、作る会社、作る仕組みをどう支えていくか、どう上を向けていくか、という議論が大事。こういった会社や個人がもっと多くなって、ソニーなどを生み出していく、という気概が大切ではないか。
  • 我々のようなベンチャーを増やしていくためには、起業を促すような風土、成長を後押しするファイナンスの充実が必要であるとともに、ノウハウの共有が重要である。例えば、当社の製品は特別な技術で作られているわけではなく、誰に売るのか、誰から買えばいいのかというノウハウが非常に重要になっている。
  • 3Dプリンタを使って既存の産業をどう元気づけることができるのか、というのは非常に大事な視点。装置開発が遅れている、という議論もあるが、装置のモジュールを提供する会社がでてきてもいい。オープンソースのコミュニティもたきつけつつ、みんなが廉価にデザインできるところが必要ではないか。また、装置開発についてはオールインワンでの戦略が強調されすぎていたのではないか。あるモジュールに特化して強みを作っていくという戦略も十分考えられるだろう。
  • 日本企業の強みが生かせるように考えなければならない点は確かに重要であるが、装置、ソフト、材料を全て組み合わせて開発しないと威力が出ない、ということ。現状、これらをまとめてディスカッションできる場が少なく、機械学会にもようやく3Dプリンタに関する分科会を立ち上げたところ。多くの若い人たちにこのような場に参加してもらい、新しいアイデアを生み出していきたい。
  • 多くの方が興味を持っている一方で、地方などでは情報が行き渡っていない。委員で全国行脚するなど、多くの人に知ってもらうことが必要である。限られた人にしか知られていないという現状があり、これからの政策の中にも入れていきたい。
  • 地域に拠点を作っていくだけでは、相乗効果がでない。ネットワーク化していくことが重要だと考えている。相乗効果を生み出す意味で、ファブラボでは来年からファブリーグを作ろうと思っている。分散されたファブラボ同士が自律分散的に連携し、ネットワークで常に共有できる状況を作ることで新しいものを生み出していきたい。
  • 当社でも北九州市と連携して造形技術の拠点を作るプロジェクトを来年2月から始める。ものづくりにこだわりを持っている地域は日本全国にあり、地域の力を使っていくことも必要である。

以上

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最終更新日:2014年2月20日
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