経済産業省
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アパレル・サプライチェーン研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成28年1月19日(火曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

委員
岩﨑靖璋 日本アパレル・ソーイング工業組合連合会 会長
雲内 崇[代理出席] (株)豊田自動織機 東京支社長
遠藤雅也[代理出席] 帝人グループ常務執行役員
軍地彩弓 (株)gumi-gumi 代表取締役/「ヌメロトウキョウ」エディトリアル・ディレクター
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング 代表取締役
茶村俊一 日本百貨店協会 会長
下村彬一 日本繊維産業連盟 会長(東レ(株) 相談役)
髙木義秀 福井経編興業株式会社 代表取締役専務
中村宏[代理出席] JUKI(株) 取締役 常務執行役員
林弘志[代理出席] 佐川急便株式会社 営業開発部 担当部長
廣内武 (一社)日本アパレル・ファッション産業協会 理事長
藤野直明 (株)野村総合研究所 主席研究員
藤本隆宏 東京大学大学院 経済学研究科教授 ものづくり経営研究センター長
山田哲也[代理出席] 日本繊維輸出組合/日本繊維輸入組合 副理事長
経済産業省
鈴木淳司 経済産業副大臣
糟谷敏秀 製造産業局長
小林洋司 製造産業局審議官
寺村英信 製造産業局繊維課長
西垣淳子 商務情報政策局クリエイティブ産業課長
菅野将史 製造産業局繊維課 課長補佐
長谷川貴弘 製造産業局繊維課 課長補佐

議題概要

  • 研究会冒頭、鈴木副大臣よりご挨拶。
  • 寺村課長より、研究会の趣旨、目的などについて資料に沿って説明。
  • 議論

1.市場の二極化、アパレル企業戦略の多様化の動きの中で、我が国のアパレル製造が目指すべき方向としてどのようなものがあるか。

  • 「ファッション」を切り口として捉えることが必要で、単に「ウエア」として考えると時代に取り残される。消費者にとっての魅力は「クリエーション」であり、その魅力に対価を払うという比重が多い。
  • 日本のブランド力については、10年前は、日本から(ファッションを)発信するということあったが、ここ数年で力を失い始めている。
  • 海外で活躍するデザイナーは、海外ブランドからピックアップされている。何故、日本がこのようなデザイナーに投資することで、産業の拡大につなげることができなかったのか。

2.分断的な産業構造による問題点は何か、また、克服に向けた取組の方向は。

  • 縫製業界は、他社の工賃を示され、その比較で決められる業界。縫製工程にかかる原価計算を行っていない。その結果衰退を招いた。
  • 縫製業では、単に生産性の向上を目的として導入しているのみでは無い。例えばボタン付けの外注先である家庭内職先が廃業したことに対応するため、自社の内製化が必要となり自動ボタン付機を導入する場合もある(技術的な技能の取り込みの観点から導入)。
  • 2000年に、縫製部門や同業他社が人件費の安い中国や海外に生産拠点を移す中で、テキスタイルにおいては、機械代と電気代はあまり中国と変わらないとの判断から国内に工場を増設した。
  • 当研究会における「アパレル」の定義をある程度はっきりさせることが必要。定義をある程度厳密にして、分類して、検討していく必要があると思う。参考になるのは、資料7頁の4つの分類。自社がどれを狙うのかということを良く考えるべき。
  • 資料の中では、縫製からSPAまで含めているが、それぞれの業態によってコンピタンスのあり方、収益の取り方が違うので、それぞれの類型で課題を明確にすべき。
  • 資料9頁の分断的産業構造による問題については、国内で上から下まで繋がるという想定をするのか、仮にそうすべきとして繋がっていないとすると、何故繋がっていないのかを検証する必要がある。
  • 素材メーカーから、非常に完成度が高い素材を作っても価格が高く、国内では売れないと聞く。国内のアパレルでは買ってくれないので、結局欧州に持っていき、メゾンに売っている。メゾンが買うとその下のブランドも買うという形で、海外に頼らざるをえない状況。何故このようなことになるか、リスクテイクの在り方も含めて考えるべき。
  • 資料9頁の産業構造の問題は、分断されている産業構造のデメリットを如何に克服するシステム化ができるかがポイント。今流行のIoTを進めていくことが重要であるという認識。企業の統合は必ずしも経済的ではない。
  • 日本のサプライチェーン構造は、利益の源泉がどこにあるのかというスマイルカーブを見たときに、昔と今では、バランスが崩れた。プロフィットプールが川下へ依っていくことにより、パワーバランスが川下、川上、川中という順番になっているが、バランスが崩れる過程の中で、川下ではSPAの規模の大きい競合業態が出現により、川下の中でプレーヤーの入れ替えや配置換えがあり、それに引きずられて川上、川中が振り回されるという混乱状態に。結果、サプライチェーンの結びつきが崩れた。
  • 商社は間に入って、ファイナンスや在庫機能を含め潤滑油的な動きを行ってきたが、今や機能しなくなったのはこういう理由がある。
  • サプライチェーン再構築のためには、事業モデルを国内で作り、海外に横展開していくこと(事業モデルの展開と市場開拓)が、持続性のあるゴールと考えている。
  • 国内サプライチェーン再構築は、ものづくり起点の発想になりがちなので、消費者起点からどう発信するかを考える必要がある。
  • 投資は、ハードウエア・ソフトウエアへの投資、それらをつなぐ流れへの投資、動かすための人への投資の3つが三位一体となる必要がある。
  • 産業構造として、開放型のビジネスプラットフォームが求められているのではないか。
  • 日本のアパレルが壁にぶつかっている最たる要因はビジネスの仕組みが委託販売システムであること。この部分が世界に通用しない壁となっており、解決が必要。
  • 消費者が求めるきちんとした日本ならではのものづくりを高めていくためには、高い技術力も持つ工場をネット上でまとめ、マッチングシステムをつくっていくことが重要。海外から引き合いに応じるため、マッチングシステムはバイリンガルでつくっていく。
  • 繊維・アパレル産業は、日本最古の近代産業。日本最古の近代産業が、もう一回再生するための取組。新興勢力の産業政策は、「輸入代替」と「輸出振興」となる。この2つを緻密な形で連動する政策になると考えている。

3.サプライチェーンの再構築に向けて、業界特有の商取引慣行の改善の方向は。

  • 取引ルールの透明性の強化は、サプライチェーンをつなぐシステムを作るポイントの一つ。
  • 設備投資はバイヤー・サプライ間の信頼関係が必要。信頼関係を構築するには、返品・未引き取りなどの慣行をなくしていかないとシステムが動かない。商慣行の問題も踏み込んでいく必要がある。

4.サプライチェーンの再構築の具体的な先行事例から学ぶことは何か。

  • 今後の縫製機械の発展の方向としては、工程の自動化のみならず、例えば、サンプルを縫う時の制御データ(ノウハウ)があれば、ネットワークでつないだ工場で再現可能。IT技術を活用したレベルアップが可能。
  • 中国に勝つには、設備投資による効率化を高めるという結論に至った。しかし、機械が非常に高性能となり沢山の製品が作られる。効率的に大量にさばかないといけない。そのため、少子化により内需だけ見ていると厳しいため、グローバル戦略として海外に物を売っていこうという動きをしている。例えば、秋冬物は起毛加工をする機械は、内需のみでは稼働が3~4ヶ月。そのため、世界中の需要を追いかければ、機械は稼働し続けるという発想。しかし、これを実現するには時間がかかるだろう。
  • トリコットという経編機械で作る製品は、資材用途が多いが、高収益を目指しニッチな医療品をやろうという方針。
  • 合繊メーカーの昨今の設備投資に対する考え方は、クローズド、オープンの使い分けをしている。(囲い込むべきところは自社で投資、そうでないところは海外メーカーと提携)。
  • サプライチェーンの流れづくりは、クローズドでやっても意味がない。輸出側と輸入側の間において、国内の実力ある目利きと実力ある作り手が自ずと繋がって、国内のサプライチェーンが強化されるのが良い。
  • 国内サプライチェーンを作ってからグローバル展開では間に合わないと思われるので、グローバル展開しているプラットフォーム(例:米国の「ECビジョン」)に乗るのが早いのではないか。
  • ベターゾーン、ブリッジゾーンの市場開拓には、生産、流通、マーケットを繋ぐ単品化の思想であるグローバルなファクトリーブランドの構築が不可欠。トータルコーディネートは生産性が悪い。点で戦える企業を支援する政策に転換すべき。

5.製造事業者にはどのような設備投資の余地があるか、設備投資を促進するためには何が必要か。

  • バブル崩壊後、他社と差別化するために、廃業したステッチ加工会社から多種のミシンを譲り受け、1000種類に及ぶステッチ縫い加工ができるようになった。この縫製技術により、価格交渉力が付いた。
  • 現在の縫製機械、ミシンの国内向け出荷は全体の5%。ここ1~2年、中国において、人件費上昇、人手の確保が困難となり、自動機、省人化、生産性向上に対する需要が高まってきている。そのため、中国の大手縫製工場向けに自動機を開発、販売している。
  • 国内縫製工場の平均規模は10~20名規模であり、生産能力はジャケット換算で50~60着。最新の自動ボタン付機は400着/日のように過剰である。導入費を償却できない。縫製業界にはこのような問題が発生している。
  • 繊維機械の生産規模は、ここ数年、2千億円から2千3百億円規模で推移。出荷は、中国、インド及びアジア向けの輸出が太宗を占めている。主要な繊維機械の性能と価格を、X軸とY軸として捉えると、性能も価格も高いハイエンド機は我が国とヨーロッパ。性能と価格が中位の汎用機は中国製の状況。
  • エアージェット織機は、日本が世界の生産の約4割強を占め、輸出先は、中国が約半分、インド、インドネシア、パキスタンの順で、近年ベトナム向けの伸びが高くなっている。国内の導入事例として、タオル産地ではエアージェット織機を導入することにより、これまでの約2.5倍の生産性の向上を実現し、少量多品種生産に活用されている。
  • 横編み機は、「ホールガーメント」という生産技術により、縫い代がないので、ニット本来の手触りと軽さを引き立てるとともに、縫製工程が不要となりますので、コスト競争力が増している。また、生産工程でボトルネックとなっていたサンプルの製作において、従来約100時間程度の時間が必要なサンプル設計が、「デザインシステム・3Dバーチャル」により約1時間で出来てしまう。さらに、型紙作成や3D技術といった特殊な知識がなくても、サンプルが短時間で作れ、製品の仕上がり、装着イメージを画面上であらゆる角度から確認できる。

6.若年人材の確保・育成を進めていくためには何が必要か。

  • 48年前、職業訓練校を会社に持込み、全社員を技能士にする取組を始めた。その結果、社員は技能士や訓練指導員の資格を取得でき、この取組が広がり洋裁に携わりたい人が集まるようになった。近年、中国の台頭が有り、実習生の質やグレードが低下してきたことや、日本人が来てくれることもあり、昨年、外国人技能実習生の受入れを止めた。
  • 技能士を育てる取組を始めると、人が集まり、よい物ができるようになり、生産性が向上するという良い循環が生まれた。

7.上記の課題に関し、政策として何が必要か。

  • 国内において設備を導入すれば、自動化、生産性の向上は図れると思っている。国内のアパレル産業の力をつけるため、最先端の設備を導入しやすい施策を打ってもらえるとありがたい。
  • 近年、経済産業省の補助金や税制を活用して、国内設備投資を行っている。
  • 福井は繊維とメガネの産地だったが、中国の台頭で商社が手を引いたため、リスクを取って自販が必要となる。しかし、製造のみならず販売に至るまで全てを分かっていないと商売できない。自立化やTPPを含め、上手く売れるような国のバックアップを是非してほしい。
  • ミラノウニカに日本のテキスタイルメーカーも積極的に参加できるようになり大変好評。問題点としては、売り方を支える商社がなくなり、対応レベルがまだまだ低い印象。モノは良いが売り方が悪いということ。日本の素材産業は中小企業主体。これらが海外を対象に伸びていくためには、ものづくりの力だけでなく、売っていく力を身につける必要有り。国内のみに目を向けていてはだめ。TPPなど外で使えるものはどんどん使う。
  • 川中の中小企業は設備投資にかける資金力がないので一定の補助は必要。
  • 若手ブランドは、資金面の問題や海外進出の問題などを抱えている。国の支援や海外におけるバックアップが必要。
  • 国内工場がSPA化に向かう場合、マッチングを支援してくれるコーディネータ不在であるため、国による支援が必要ではないか。

以上

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最終更新日:2016年2月3日
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