経済産業省
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アパレル・サプライチェーン研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成28年2月5日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階第1共用会議室

出席者

委員
井出 陽一郎[代理出席] 日本百貨店協会 専務理事
上田 英志[代理出席] 日本繊維産業連盟 会長(東レ(株) 相談役)
尾原 蓉子 (一社)ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション 会長
軍地 彩弓 (株)gumi-gumi 代表取締役/「ヌメロトウキョウ」エディトリアル・ディレクター
小島 健輔 (株)小島ファッションマーケティング 代表取締役
長嶺 浩一 (株)ラクーン 社長室長
日光 信二[代理出席] 帝人グループ執行役員 製品事業グループ長
野口 一成 (株)パル 執行役員
林 弘志[代理出席] 佐川急便株式会社 営業開発部 担当部長
藤野 直明 (株)野村総合研究所 主席研究員
藤本 隆宏 東京大学大学院 経済学研究科教授 ものづくり経営研究センター長
村井 眞一 (株)AMS 代表取締役社長
保元 道宣[代理出席] (株)オンワードホールディングス 代表取締役社長
山田 哲也[代理出席] 日本繊維輸出組合/日本繊維輸入組合 副理事長
山田 敏夫 ライフスタイルアクセント(株) 代表取締役
経済産業省等
糟谷 敏秀 製造産業局長
小林 洋司 製造産業局審議官
寺村 英信 製造産業局繊維課長
宮坂 智芳 製造産業局繊維課通商室
西垣 淳子 商務情報政策局クリエイティブ産業課長
菅野 将史 製造産業局繊維課 課長補佐
長谷川 貴弘 製造産業局繊維課 課長補佐
浜野 京 内閣官房政策参与

議題概要

  • 寺村課長より、研究会の趣旨、目的などについて資料に沿って説明。
  • 議論(論点別)

1.EC販売、オムニチャネル化の取組により、どのような効率化、コスト削減が期待できるか

  • 実店舗の接客は重要だが、店に踏み入れても欲しいものが見つからない現状もあり、こうした状況を解決していくのが、IoTであり、テクノロジーの力。
  • ECの良いところは、検索に対してたくさんのレコメンドが出てきてその中で自分の好きなものを選択できる。

2.オムニチャネル対応の具体的な先行事例から学ぶことは何か

  • Uber(タクシーの配車アプリサービス)を利用したところ、4分で配車された。料金が1.4倍であるとの説明もあったが、目的地に正確に着けチップも不要。大変便利なサービスである。これは、物販とは異なるが、その様なサービスに消費者は慣れてきている。業界・企業が、モバイルを中心とした顧客が主導的立場にいるとの体制を構築するかが問われている。
  • 革新的ショッピングセンターであるウェストフィールドは、テナントと協力して、顧客情報を共有している。「顧客を共有しているため、その顧客情報を共有しない理由はない。それが可能となり、顧客に良い体験をしてもらうことが重要」と言っており、例えば、顧客が車で駐車場に入ると、プレートナンバーを読み取り、いつも利用するお店の近くへ誘導する。他には、Uberを利用し即日デリバリーを始めた。自社でデリバリーを始めるとか、専業を雇うとかは行わず、Uberとタイアップしたらオンデマンドで使う。このようなコラボレーションが、業種、業界を超えて、場合によっては敵対する相手ともコラボレーションする。「Collaboration is new competition」と言った者がいた。その様な時代になってきた。
  • パルコの「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」というアプリは、コラボレーションとテクノロジーをうまく使った取組。館の中に入っている様々なショップがアップした商品に対して、欲しいと思ってチェックすれば、ポイントがたまり、ショップからレコメンドが返ってくる。こうしたテクノロジーを生かして、売り場の機会ロスを埋めるような取組が進んでいく。他にも、「SENSY(センシー)」と言う、AIを使った、お客様の欲しいものを具体化してオススメするアプリがある。伊勢丹、メンズ伊勢丹で実際にタブレットを使って、接客に使われている。
  • 家電量販店の業績が回復している。家電量販店では、独自の付加価値物流網を整備した。例えば、地方のお年寄りは、インターネットやテレビなどの機器の設置・接続ができない。これを商品の配送と併せて済ませてくれる。カメラのキタムラの場合は、ネット販売比率32%、そのうち25%ぐらいが店受け取り。店でカメラの使い方を説明して、受け渡し。
  • スタートトゥデイは、高額商品を買う顧客を多く抱えている。国内需要はある程度飽和。これに対して、本のように、新本を買って読んだら、ブックオフに売って、また新しい本を買う、こういった仕組みがないとこれ以上伸びないと考えて、新品販売、中古販売、レンタル、これを一体化することで、商品を完全に消化する仕組みを作ろうとしている。

3. 製造から小売に至るサプライチェーンの再構築に、IoTが役に立つのではないか

  • 当社は、インターネット販売のみの工場直販ブランド。設立3年。私自身が見て回った600工場のうち、優れた工場を厳選し、現在、30工場と直販ブランドを展開。
  • 広告費は0。それでも、例えば、10万円近い商品も売れる。情報は、SNSでの拡散、口コミで広がっている。顧客の年齢層は、30~60代。上質なものを適正価格で買いたいといった人が多い。
  • 接客については、全て動画。工場の音を伝えることで、本当に工場にいるといったような臨場感を持たせることで、購買意欲をかき立てている。昨年末から、海外対応も行っており、すでに100カ国以上からの注文を受けている。また、銀座、熊本に試着も可能なショールームを設けている。その場では買えないが、「i Pad」がおいてあり、ECで購入可能。翌日には工場から商品が発送される。
  • 工場直販のECブランドの商品は、原価率が約半分と高い。セレクトショップや百貨店とかではなく、新しい流通(ホテル、「uber」、「ブルーボトルコーヒー」など)と新しい取組を進めている。
  • ファクトリエの取組は、消費者の要望をピックアップして、欲しいものをストレートに、原価率を上げて、消費者に必要なものを作っていく、まさに消費者動向を実際にものづくりの現場に上げていく、ボトムアップの好事例。工場にダイレクトにいけるような仕組みをもっと増やす必要がある。
  • 製造と顧客がダイレクトに繋がるのは大きなメリットである。これまで、当社では生産プロセスへのコミットメントが弱かった。消費に柔軟に対応することが中心であった。生産プロセスとは、これまで以上に強めていく必要があると考えている。より川上企業と連携を強めていくということを社内で検討している。

4. オムニチャネル対応、IoTの活用により、新たな市場を開拓することができるのではないか

  • グローバルな視点で、ZARAのモデルを見ると、世界中に600人の情報収集屋、200人の社内デザイナー、1シーズンに30000点のモデルを自社で開発。これだけの規模で常にフレッシュなものを生み出している。こうした巨大なシステムを持っている会社と戦っていかないといけない時に、日本のデザイン力が問われる。海外からいかに情報収集をして、日本の企業に取り込んでいくかが重要。
  • デザイン・生地開発、特に生地開発での日本の優位性をもっと発信していく場を、ECの世界でもどのように組み立てるか。もう一度検討する必要がある。
  • オンワードとラオックスの取組は、輸出、インバウンドに展開していける。インバウンドが来る前にその情報を提供し、ECを活用して帰国した後も継続して輸出をしていく流れが作れるのではと期待。
  • 百貨店協会加盟82社を見ると、eコマース全体の売上は300億円ぐらい。全体の売上高は約6兆2000億円。こう見ると売上全体の0.5%に過ぎない。これだけ広がりを見せているeコマースの世界だが、百貨店としてはまだまだ手つかずの状態。
  • 当社では、百貨店流通向けが四半世紀前の最盛期に比べ大幅に減少、地方中心に販路が縮小傾向である。ECは、それに対する新販路として位置付けている。
  • 社内の商品企画部隊を中心にマーケティング力が不足しているのではないかとの危機感もあった。オムニチャネルは販路でもあるし、直接、お客様とのコミュニケーションを取れるというマーケティング強化を目指してスタートしている。
  • 当社では、婦人服を中心にEC販売が伸びているが、その先、革命的にビジネスモデルが変わっていくかは懐疑的。
  • 当社のオムニチャネルのプラットフォームをグループ内の中小規模企業に展開中。壁があるかもしれないが、これを中小アパレルに一部使ってもらうか、類似した商材を扱っている企業に利用してもらうといったビジネスモデルもあり得る。
  • システムと消費の変化が同時に今起きている。消費者自体の性質が変わってきてしまった。消費が縮小する中で、もちろんオムニ化によってカバー出来る部分はあるにしても、消費者にとって何が欲しいのかという論点がないといけない。そうでないと、結果的に売れないものばかりを大量生産しまうのではないか。
  • 長い間ものの売れる動向を見ているが、今は全く雑誌・メディアの力が及ばない。どのように欲しいものを作っていくかが起点として大事なところ。天候状況、心理状況などで、ものづくりの現場では、先に作ったものが売れない時代がますます加速していくのでは、と危惧している。
  • 国内消費の縮小は止められない。アパレル各社が越境ECを取り入れていくだろうが、日本のブランドは海外で買えるものが少ない。売上げを立てるためには海外に目を向けていかなくてはいけない。
  • 一人一人が工場に欲しいものを発注する新しい仕組み(スターテッド)や物々交換するサービス(メルカリ)が出てきている。これが浸透すると、若い人たちが服を買いにお店に行かないのではという恐れもある。若い人の間で、今は古着ブームで、新品に価値を必ずしも見出していない。また、物々交換になると産業の中にお金が回らない。ファッション業界に回るお金が減ってきている。物欲が減っていく側面も見ないといけない。
  • 雑誌もメディアも見ない田舎の子たちにとって、ファッションの情報は近くのイオンやショッピングモール。これだけテクノロジーが発展したスマホ社会なのに、情報弱者が増えている。そういったところにどう情報を伝えていくか。ウェアのようなアプリも含めて考えていかなくてはいけない。
  • オウンドメディアなどでメディア化されているブランドは多いが、そもそもブランドを知らない人はオウンドメディアを訪れない。
  • 着てみる、触ってみる、現場で接客して楽しんで買ってもらう、これが買い物の醍醐味。日本の店舗とお客様の距離が近く、情報を見ながらすぐにお店に行ける楽しみがある。ECの選択肢は今後広がるだろうが、これは将来に渡って必ず残っていく。リアル店舗に来てもらうという呼ぶための情報を、SNSを使って、入りやすく、分かりやすく、見やすく発信。そこに革新性、革命性が必要になる。趣味のもの、自分だけのものについては他の人が着ているものを着たくないというニーズもある。そこにしっかりと対応していく。

5. アパレル企業によるオムニチャネル対応、IoTの活用を促進するためには何が必要か

  • オムニチャネルは、改善ではなく革命。企業・産業が中心ではなく顧客中心である。顧客が主導的立場にいる。ものづくりの点でアパレルは重要であるが、顧客との接点から、小売りをもっとフォーカスすることが必要ではないか。
  • 3年前の全米小売協会の大会では、消費者との接点である小売りに起きており、産業革命以来の大きなものであるとの話があった。今回は、更に進み、従来の秩序・仕組みを壊すdisruptionと言う言葉が頻繁に使われた。
  • 個別のチャネルは既に崩壊してしまった。マルチチャネルからオムニチャネルに変わり、ホームショッピングのリーダー的女性経営者は、「オムニチャネルの時代からdistributed Commerceの時代になった。つまり、顧客のスマホがPOSとなっている。決済も発注もすべでできる」とのスピーチがあった。時代の変化を顕著に表している。この状況を我々がどの様に捉えるかである。
  • Eビジネスの簡便さや効率性(企業にとっては、在庫が少なく、売場のスペースなど少ないメリット)と、顧客のリアルなハイタッチの体験をどうハイブリットするのかが重要。
  • オムニチャネルには、商品のデリバリーと情報のデリバリーの2つの側面がある。これのマトリックスで様々なビジネスモデルが生まれる。商品のデリバリーは、商品の持ち帰りか配達かである。クリックアンドコネクト、訪れた店舗で無い場合は他店舗から配達してもらう、最近ではベンダーの工場や倉庫から直送するのも始まった。工夫で進んでいく。情報のデリバリーは在庫情報、諸元情報もあるが、顧客が欲しいものを探せる仕組みが重要。今は、商品も情報も山ほどある。顧客は昔のようにファッションを一生懸命に買う気が失せている。簡単に探せないと買わない状況。購買履歴に基づくパーソナルな提案とか、様々なことができる仕組みを作る必要がある。
  • オムニチャネルは、ムービングターゲットであると全米小売協会の大会で盛んに言われた。オムニチャネルは、最終の完成形が見えない、常時進化する。企業にとっても、どの部分に焦点を当てるかが異なる。テキスタイル・アパレル・小売りを含めデジタルで共有できる情報・行動について、共有できる基盤を如何に作るかが重要。
  • オムニチャネルは、第3段階の革命の時期に入っている。O2O、顧客・在庫の一元管理から、実際に一元運用する上で、店舗を巻き込んで、全社の収益構造、在庫効率を変えていこうという状況になっている。ここで、各国の事情により、オムニチャネルの方向性が変わってきている。
  • 現在、オムニチャネル化の方向は2方向に分かれてきている。アメリカでは、店をラストワンマイル拠点化し、店舗からの出荷を増やしている。メーシーズも店舗出荷の肥大により、減益に(810店中、650店で店舗出荷)。アマゾンは、全米に85箇所ある物流センターから商品を発送しても、3日以内に届く商品は70%。GAPも店舗出荷がメインとなっている。
  • 他方、日本のアマゾンは、8箇所の物流センターで、翌日配送を99%カバーできている。日本の物流インフラのレベルは高く、コストも安い(アメリカの1/3)。これを考えると、日本のECはもっと拡大する。
  • 一方、国土が狭く翌日配送が容易な国、フランスやイギリスでは、店舗をショールーミング化。ショップにはサンプルが置いてあって、消費者がそれを気に入ったら、ECで購入するといった仕組みを作り上げている。こういった方向に動いているのは、物流インフラレベルが高い国。日本はこちらに行く。従って、アメリカが進んでいるという見方は疑問である。
  • SCはテナントの自由なオムニチャネル化を規制している。しかも、出店コストが高い。規制した館のなかで、商売を進めることにメリットがあるか疑義を感じているテナントも出ている。そうした中、パルコの「ゼロゲート」というビジネスモデルが出た。これは、固定家賃のリースバックのビジネスモデル。営業を一切規制しないし、固定家賃で安い。自信のある小売はこちらの方がメリットを感じる。
  • 自社の利益を守ろうと、オムニチャネルをクローズにすると、顧客としては、選択が小さくなるから、結果として、企業の売上が減るということに気づいていない経営陣が多い。
  • 農林水産商品のように、オープン市況流通の中で、それぞれがリスクを持って、ネット上の市場を構築し、常時在庫を見える化し、在庫を処分していくこと流れが重要。このような市況流通システムをアパレルのプラットフォームで作ることが重要。
  • 「ファッションに興味はあるけど目立ちたくないという人」が最も多い層だと思う。その人たちにどのように接していくのか。こうした消費者が、店舗、雑誌、ストリート、インターネット、どこのチャネルから入っても、それが一つの流れになれば、購買につながる。
  • 店舗はコミュニケーションやソリューションといったところに特化し、「売上げがどこで立った」というような考え方ではなく、チームプレイの考えを重視すべし。重要なのは、流れ全体をチームでサポートする体制を作ること。どこで決裁したかは関係ない。
  • 各百貨店がそれぞれ持っている基盤の中で、工夫をしながらeコマースのレベルを上げていく。個別企業が具体的にアクションをする。セブン&アイグループのように領域が広い場合もあるが、まずは企業単位で動いている。
  • 百貨店の委託在庫の管理が一元化できていないという課題がある。それに対して、例えば、ブランドごとのプラットフォームを作る。情報の共有化・在庫の共有化を図りながら、消費者に情報提供をして、お買い上げいただく。こういったシステム作りが必要。
  • 店頭で販売スタッフが接客をして、気に入ってもらっても、そこでは決済されず、帰ってからECで買う。このような消費行動はどんどん増え、店舗がショールーミング化していく。現状、当社を含めた小売企業の販売員の評価制度は売上げに連動しているが、売上げと連動した形は難しく、新たな指標を考えざるを得ない。また、小売店、百貨店、デベロッパーに出店するとき、「リアル店舗での売上げ」に対しての売上げ歩率という形での支払になっている。しかし、昔はお店でしか買えなかったものが今は何処でも買える。「売上げ基準」にしているところが限界。売上げを基準に評価制度ができてきたこの業界で、新たに何を基準にして評価、支払すれば良いかが見いだせていない。
  • 評価制度においては、今までの店頭での売り方がオムニチャネル対応となっていないし、リテラシーもある。教育の充実、実行して成果を上げた社員への評価、これらは人的サービスを強化するための評価の確立が必要。
  • ECの数字を店舗の販売員や店舗の売り上げに計上されているが、それをやると、ECスタッフはラインスタッフとして見なされ、きちんとした評価がされていない。そのために、ECスタッフが会社を転職するといったことがしばしばある。EC戦略はブランド横断の組織。ブランド横断的な組織が評価されない。縦横両方の組織を評価する仕組みを作らなければいけない。
  • 自社の商材を売るためには、店頭中心のコンサルティングサービスが必ず必要。人と人とのコミュニケーションのなかでニーズがハッキリし、売上げに繋がる。これは、オムニチャネルでは対応しきれない。
  • Eコマースの中に、当社の1万人の販売員の商品知識、コンサルティング能力をかけ合わせていくことで、お客様の満足度を上げられるため、結果としてECビジネスが伸び、店頭ビジネスの再活性化に繋がると考えている。
  • eコマースで成功している全ての企業が自社で在庫を持っているわけでない。サイトを持って、多くの企業とコラボしながら、情報・在庫を管理し、共有化しながら、広い範囲でお客様に商品を選べる状態にしていくといったアクションを企業の枠を越えて行う必要あり。百貨店のみならず、生産から販売も含めて協力していく体制が大事。
  • オムニチャネルを進めるにあたり、共通のインターフェイスがない。例えば、オムニチャネルで、自社の基幹システムやECサイトをいろんなところを繋げていく(マッピング)際、カラーコード、SKUの取り方、サイズ表記など、各社バラバラ。全てをマッピングしなければならないので非常に大変。小さなアパレルやファクトリーブランドなどはそういったことができず、産業障壁となっている。
  • 物流倉庫は、棚卸しが大変。例えば、アパレル各社がRFIDに対応するのを待って、それを読み取るような仕掛けを作るということはできないし、小さなところまで全てがRFIDに対応できるかというと否。従って、倉庫内の流通だけはRFIDで管理する。効率は格段に上がる。近い将来、アパレル側のタグにもRFIDがついてバッティングする場合は、アパレルはアパレルのものを使い、ついていないものに関しては倉庫のものを使う。なお、倉庫内のものは出荷時に外して使い回してコスト削減へ。物流面からRFIDを使うのも一つではないか。
  • 繊産連で、日中韓のデジタルファッションアワードを実施予定。韓国、中国からは相当の応募数と見込まれている。中国や韓国は単に人材教育というだけでなく、eコマースを活用した商品化まで考えており、非常に前向き。デザイナーなどの人材教育も含めて日本は遅れている。
  • EC投資は、中小のアパレルにはなかなか難しい。例えば、我が国のこども服業界は品質もいいし安全・安心が、業態としては小さい。そういうところが乗ることができるプラットフォームをいかに作っていくか。
  • 変遷として、20年前は総合アパレルが中心、その後GMSが入り、近年はファストなどが新規に入る状況。物流は、「いつでも、どこでも、なんでも」とのキーワードで捉えると、過去から行ってきた。この傾向は弱まることは無い。資料にあるシームレスで繋げるのが使命である。
  • ファーストリテーリングのように物量が大きく、グローバル指向の会社は自社指向で進むと思われる。そのため、物流事業者の積極的な関わりは少ないと思われる。外資系SPAは、グローバルスタンダードでの物流システムの作り込みであり、求められるとおりの対応となる。他のアパレル企業に対し、どの様な物流システムを提供するかが当社の取組となる。提供する物流では標準化は可能。進まないのは、システムやITの問題では無く、荷主様の問題。その気になれば、すぐできるもの。
  • 「いつでも、どこでも、なんでも」との観点から、プラットフォーム的なロジスティックの構築にあたっては、一緒にやる余地がある。統合集約するとEC在庫の統一は当たり前、分散していた在庫拠点は規模に合わせ集約する。究極は1カ所とする。その観点から、アパレルが自社の製品のみに頼った物流ではなく、寄り合いとして配るものを増やしていくのが、消費者の満足感の向上につながる。
  • 越境ECは、物流サイトから言えば、既存のシステムを利用することで早く実現できる。
  • 標準化、集約化、コラボレーションは避けられない。ここ2~3年で対応できる仕組みを作らないと、消費者のニーズに添えないと思われる。「いつでも、どこでも、なんでも」は、宅配事業は対応可能。そのように売りたいとのインターフェイスの対応が課題である。
  • 店舗にあるPOSシステム、会社にある販売管理システム、アパレルであれば生産管理、会計、ERPといったシステムが存在するが、ECの立ち位置はまだまだ低い。在庫の一元化をするためには、POSシステムのデータをもらう必要がある。POSはリアルタイムの管理だが、販売管理となると、1日1回といったバッチ処理といったものが普通になっている。中小のPOSベンダーは協力的だが、大手ベンダーからは、なかなか情報をもらえない。こういった理由から、オムニチャネルといっても、実際には達成できていないことが多い。
  • 店舗在庫の一元化については、販売店は抵抗があり、「ECで売れたら、うちの売上にならないから」という理由で、指示に従わない。また、ブランドを複数持つアパレルでは、ブランド同士の競い合いや、ブランド間での温度差が足かせになっている。
  • アマゾンのクラウドを使っているが、非常に安い。EC200億円ぐらいをやっているが、年間かかるコスト6000~8000万ぐらい。POSシステムも1000台入れて5000万程度。ハードの投資はほとんどないといってよい。標準化を使うと、もっとローコストでできる。比較的小さい規模の企業でも投資できる。
  • こうした問題に対して、経営トップでなくても、CMOがいて、そういった立場の人間がしっかりと理解し、指示をしているといった企業は、ECも店舗の売り上げも伸びている。EC化率45%、25%といったメーカーもあるが、割合、売上が15~20億円程度の小さいメーカー。そういった会社は社長が直接判断し、ベンダーなどに指示をするので、ベンダーはそれに従うしかない。
  • 日本では、商品マスターの同期化、EDIの特に情報の標準化が進んでいない。この2つがオムニチャネル構築のための大きなインストラクチャーである。
  • 日本固有のIT基盤を作るのは大変である。開放経済において、全ての業態が一気にグローバル化する中で、このような点を解決していくことが、拡大均衡の中での取り組み方として正しいのではないかと考える。グローバルマーチャンダイジングにおいて、RFIDの国際標準がある。標準化で工場をリソースマーキングするには、国際標準に対応するのが最適。次代のインフラを見据え、国際標準を採用し、各社がグローバル展開できる環境について、ビジョンに盛り込んではどうか。

6. 製造事業者によるオムニチャネル対応、IoTの活用を促進するためには何が必要か

  • ICTの世界では、上空、低空、地上に整理される。上空で行われている「IoT」など革命の世界がある一方、地上の世界、例えば、実際に縫製、物流などを行っている現場のように、既にあるものを前提にして地道に改善していくしかないといった世界がある。他の産業では、「この2つの世界がつながる」といったことが起きている。
  • 日本の繊維産業では、オーダーが入ってから2日で製品を仕上げるといった非常にフレキシブルな企業もあるが、上空の世界とこうした企業がつながっていない。工場の社長に「POSシステムが拡大すると、工場の在庫が増える。あれは悪いものではないか。」と言われたことがある。(アパレル企業が)POSシステムによって、正確に未引取をやられたら意味がない。(こうした商慣行のことも踏まえ、)全体を作っていく必要がある。全体を見据え、2つの世界を上手くつながらないと、作りの世界のディスラプション(崩壊)が起こる。
  • 川中において、新しい取引、設備を増加させるためには、3つのことが必要。1つ目は需要をさらに開拓していく展望。2つめに取引慣行。3つめに情報化事業。これまで業界の取組としては、繊維産業流通構造改革推進協議会などで、取引慣行、情報化事業に関しては数年間かけて取組をしてきているが、まだ道半ば。グローバルに見た場合、業界の中でどのようなことができるのか、評価、今後の方向付けの必要がある。
  • 天候に対しての予測の精度が高まれば、生産体制には苦しいかも知れないが、在庫削減には寄与するのではないか。
  • 小売の世界からオムニを活用してある程度の販売を確保したとしても、半年前じゃないとものづくりはできない。どれだけ短納期でも数ヶ月の世界。糸の世界まで考えるともっと長い。それが現実。その中でIoTをどう活用するか。我々の中で取組を進めたとしても、その手前の段階の染め屋、織り屋の中小企業が対応できるか。中にはいまだにFAXで受発注している企業もある。設備投資資金負担をどうするか、どういった支援を展開するかという課題もある。
  • ある産業では、デリバリーの都度決裁を行い、代金がちゃんと振り込まれるということをメリットにして、中小企業向けのEDIを導入しようという取組を行っている。なにかしら、導入される方にとってメリットがないといけない。公的支援で全部補うのはとても困難。仕事のやり方をうまく変えて、お互いメリットがあるような形にできないか。
  • アパレル企業と縫製工場のマッチングサービス「SDファクトリー」を運営。日本の縫製工場が、どういうものが作れるか、ロット、納期等の情報を載せ、それを見た、ものを作りたいアパレルメーカーやデザイナーが工場を探すというサービス。
  • 日本では、ものを作りたい人と工場との出会える場がすごく少ない(ほぼ口コミしかない)。中国で生産していたメーカーが、十数年ぶりに国内回帰したいというとき、(国内工場は)もう廃業されていた、といったことが起きている。ほとんどの工場がHPなどでの情報発信を行っていないため、マッチングができていない。まずはこの状況の解消が必要。
  • 小売店からは、どこのアパレル企業も同じような商品が多い、欲しいものがなかなかないという声をよく聞く。彼らもものづくりをしたいが、ノウハウも工場も知らない。メーカーは、展示会に出たら、受注がついたものだけ量産し、つかないものはドロップする傾向。そうすると、横並びで、よく似た商品が増えてくるのは当然。その先は価格競争となり、上代をさげて売ろうというメーカーの考え方になる。そのツケは全て工場へ跳ね返り、工場は厳しい条件・工賃で受けざるを得ない。すると設備投資も若い人の採用も出来ず廃業。これが、5年くらいの間に多く見受けられている状況ではないか。従って、まず、ものを作りたい沢山の人たちと日本の工場を結びつけたい。そうしないと日本の技術などが継承されない、発展しない。
  • 「欲しいものがない状況」は解消しないと、様々な仕組みができても、産業としては発達していかない。最近はSNSやネット販売で、実店舗をもたなくてもモノを売れる時代になったので、ものづくりの環境の垣根を工夫することにより、様々な商品が日本に生まれてきている。当社でも越境ECをやっているが、それらが海外に出ていければ、優秀な若い人たちがアパレル・ファッション業界にもっと入ってきて、産業が発展するのでは。
  • 地方の工場で70、80歳の方が働いていて、10~30人規模のところをいかに救っていくか。テクノロジーで得られるものをちゃんと理解してもらいながら、PCの貸出し、訓練などのサービスも必要なのでは

7. 上記の課題に関して、政策として何が必要か。

  • アパレル業は、店舗、不動産、什器への設備投資が大きかった。これからは、システム投資へのウェイトは上がっていくだろう。しかし、システムの陳腐化に対するリスクもある。大規模なシステム投資、RFIDも含め全面的には踏み切れない。システム投資を円滑にするような環境整備をご検討いただければと思う。
  • スマートテキスタイル、ウェアラブルを中心に開発が進んできている。例えば自宅医療など医療分野への活用が見られる。そうした市場が拡大していく中で、設備投資、規制改革などへの、何らかの国の支援を検討してほしい。
  • 情報、物流の一貫インフラ体制が重要。RFID、コード体系は、マイナンバーのように、国家がある程度強制力をもって行うもの。指導力を発揮する必要がある。標準化すれば、RFIDタグは循環使用することができ、タグの価格もタダ同然になる。
  • 自社で越境ECサイトを開発するのはとても手間がかかる。かなりの投資も必要になり、越境ECを組み立てられない。海外に売り出してたくとも、店舗を出す資本力がない。ECでカバーしたいが、多言語化への対応、デリバリー、カレンシー対応の問題もある。国が、それをプラットフォームとして、まとめてやることはできないか。
  • 個人に対し、いつでも届けるのはコスト増となる。最後に届けるのは人である。今後、日本の人口は増えない。インフラを支えるラストワンマイルを担う人が不足する。その対策を考えないと将来像は語れない。当社はコンビニ受取を始めた。最後の消費者へ渡すのは、コンビニにお任せする。今後は、スーパー、駅、ガソリンスタンドなどで受け取れるのが当たり前になる。その様な場所で荷物を受け取れるような法規制の緩和が必要である。
  • オムニチャネル化の拡大に伴い、物流各社の宅配網はパンク。物流についても、相互乗り入れできる1つのプラットフォームが必要。行政は、業界に対してこうしたオープンプラットフォーム化を指導すべき。

以上

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最終更新日:2016年3月1日
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