経済産業省
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和装振興協議会(第1回)-議事要旨

日時:平成27年11月16日(月曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

井出委員代理、きくち委員、小林委員、近藤委員、五月女委員代理、武内委員、中村委員、野瀬委員、又吉委員、丸山委員、矢嶋委員、山中委員、吉田委員、渡邉委員

議題

「業況、ビジョン、きもの産業の課題と論点について」

議事概要

1. 業況・ビジョン

  • 売る側の課題として、「買ってもらった後のケア不足」、「きものが高い理由の説明不足」、「販売員の能力・知識不足」が挙げられる。
  • ターゲットを分析し、きものを着る仕事に就いている人、着る必要のある方だけに販売するのではなく、「きものは好きだが、きっかけがなく、なかなか手を付けられないお客様」に対し、リサイクルなどを提案することも大切だと思う。より安く、身近で、長く使えることを知って頂くことでファンも増えてくるはず。そして使う機会が減れば、愛着のあるきものを、次の人にバトンタッチするポテンシャルがあることも忘れないようにしていきたい。
  • 一番の懸念は材料がなかなか手に入らないこと。型の材料である和紙、合成紙も手に入らない。様々な部分でやることがタイトになってきている。
  • 生活様式の変化と家族愛の希薄化がきものの売上が落ち込んだ原因。核家族化などから、地方におけるきもの文化の担い手であるおばあちゃん世代が、従来の役割を果たせる機会が無くなってきてしまっている。
  • きもの業界にも、「リサイクルという新しい分野の定着」、「レンタル分野の確立」など様々な変化が起きている。
  • ライフスタイルの変化により、きものが似合うシーンにも変化が起きている。売り手側が、従来のシーンにとらわれず、今の時代に合わせて着る場面を想定し、提案していくことが重要。
  • ここ40年間の大きな変化は、家需要からパーソナル需要に変わったこと。自分が着たくて欲しいものを購入するという需要に変化してきた。
  • きものの潜在需要は無尽蔵。女性のみならず、男性や海外の方も視野に入れつつ、たんすに眠っている推定7億点、40兆円分のきものと帯をうまく活用することで、潜在需要を顕在化できるのではと考える。
  • フォーマル需要は人口減少の影響をまともに受ける。カジュアルなマーケット育成が必要。
  • リサイクル、レンタル、お下がりも重要。長年、業界は自分たちに都合の良い、絹のフォーマルを画一的に売ってきた。そうではなく、絹以外の素材、カジュアル、リサイクルなど様々な選択肢が存在し、消費者が自由に選択できるマーケットを。様々な樹種が存在し、様々な鳥や小動物が集まってくる豊かな森のようなイメージ。産地を護ることがきもの市場を創る「きものの森」づくりという提案をしたい。
  • 普通の値段では高過ぎて、業界の人も誰も買わない。高級品といわれるものは一般的に値段で判断されているが、それを作っても産地にはほとんどお金は入ってこない。
  • 面白いから着たらいい、楽しいから着たらいい。その中で産地がいかに生き残っていくか、それが課題。
  • 地域振興、インバウンド観光の観点から、産地として、地方、外国のお客さんの需要を取り込むべく、様々な振興策がとれれば。その一つとして、各地のシルク関係の博物館の活用を考えてはどうか。海外からの観光客の多い、横浜や富岡製糸場などを活かして、日本の和装の伝統、歴史を示していければ。
  • これからの課題は、シルクの用途拡大。遺伝子組み換えで蚕の中に蜘蛛の糸を混ぜて強度を増すことや、クラゲの発光物質を混ぜた光る糸の開発など、研究開発が進められている。
  • 3年ほど前に、義務教育である中学校の教科書への記載が実現されたが、教えられる先生がいない。家庭科の教員資格を取る上で、大学・専門学校においてきものについて学んでほしい。
  • 様々な女性が皆きものが好きというのに、着る人が増えない。「自分できものが着られない」「縫えない」「選べない」「高くて買えない」「買っても着ていく所がない」「装う喜びを知らない」「きものの真価を知らない」「きものを伝える人がいない」「たんすの中はいっぱいでしまう所がない」という9つの「ない」が原因。これを解決することが未来のきものの発展になる。
  • 多くの方にきものの素晴らしさを伝えるためには、「教育」こそが大事。「教育」を通して、全ての女性にきものを着る喜びを伝え、一方でその喜びを未来の人に伝えられる先生を育てていくことが、未来のきもの人口を増やすことに寄与すると考えている。

きもの業界について

  • きものはファッションの一つであって、洋服の隣にきものがあるという距離感が自然なのでは。
  • 着ていく場所がないという声もあるが、好きで着始めた人はそんなことはない。どこへでも、いつでも着ていく。いつも洋服で行くところにあえて着ていくのがお洒落だと分かっている人が増えている。きものが円熟してきていると感じるし、これからのきものの未来に悲観はしていない。これからもっときもの好きは増えていくと思う。
  • 今、きものが好き、着ている、着てみたいという人たちはシビア。安ければ買うというわけではない。本当に好きなものをちょっとだけ持つというのが今の人たちのスタイル。
  • 世の中の着付け教室を、全て「着方教室」という名称に改めるべき。他装ではなく自分が着方を楽しむ方向にするべき。着付け師を目指している人は別として、普段の着方を教える着付け教室が増えればいい。
  • 業界関係者の方たちは、きものを市場に出すにあたって、自分の財布を痛めるとしたらどれぐらいの価格なら買うのか、具体的に想像を働かせることが必要。
  • 産地マップに記載のあるものは文化的価値があるものが多い。この価値を客観的に評価しているのが文化庁。ただし、文化庁にも限界があり、現在の重要無形文化財の指定については、昭和30年に始まり、指定時の条件でしか認定されない。結城紬、越後上布は化学染料で染めても良いことになっている。もともと結城紬などは藍で染めないといけないのだが、昭和30年当時には既にその技法は無くなっていたため。そこで、文化庁にはできない新しい価値基準を、経産省でリードして作って欲しい。例えば、江戸時代当時のそのままの技法で作られたものの価値の客観的評価など。
  • 現在きものに興味を持って着ている人は、もし全国的に流行ったら、半分は着なくなるのではないか。誰も着ていない、誰も目をつけていない、でも確かに価値のあるものという点に惹かれているのでは。
  • 20代に強く発信できるモデルとしてハロウィンの例がある。ものすごい広がり方をして、今やバレンタインと同等の市場になっていると聞く。きものでも同じことができないか。ハロウィンがここまで広がりを見せたのはSNSの力が大きい。皆で示し合わせて街に出ることができ、いい意味で、一斉に勘違いできる。きものに興味はあるが、誰も着ていないから着づらい。うまくSNSの力なども活用できれば。
  • 他ジャンルとの結びつきも大事。もともと好きな人たち以外に広げるには、一般的に価値が既に認識されている他ジャンルのものと横並びにして、別の切り口から価値を認識させることができるのではないか。
  • きもの市場の現状の特徴として、衰退期と導入期の様相が同時に見られることがある。導入期の様相が起こってきた背景として、2000年以降のリサイクルきものの台頭と、インターネットでの購買・情報収集の普及により、きものに関する知識が蓄積され、消費者が育ってきたことが挙げられる。産業側がこれに対応していかないといけない。
  • ものづくりの場やユーザー側には新しい動きが見られる。買い手の立場からすると、きもの市場へのハードルとなっていて改善の余地があるのは、唯一の顧客接点である小売業。多様な小売サービスがあるため、水準の違いが初心者には見えにくく、消費者ニーズとのギャップが起こりやすい。市場をいくつかのカテゴリーに分けて考えられるべきであるが、それができていないのが現状。
  • 市場をマニアからマスに広げていくにあたり、参考となるのはiPhone市場の例。購入者はスマートフォン自体が欲しいのではなく、スマートフォンがあることによって実現する新たなライフスタイルを求めて買っている。それをきもの市場で実現するためには、きものだけでは不足。消費者にとって価値を実現するための製品・サービスを、組み合わせて提供する必要がある。それにより、裾野が広がることに期待。

「きもの産業の課題と論点」について

  • 論点資料6ページのピラミッドにおいて、高級市場に対する憧れがそこまでないのではと感じる。下層の部分との区分が無くなってきている。ピラミッドの頂点を示し、明確な三角形を改めて作ることは、底辺拡大に寄与するのではないか。そのために、ピラミッドの頂点として江戸時代に作られていた技法で作られた本物を提示することは、一つの有効な手段ではないか。
  • きものの新規需要開拓をするには、「買える」と「着られる」の二つが最重要。「買える」価格とは経産省繊維課のアンケート結果のとおり、5万円以下、10万円以下の価格帯。5万円以下は合繊や綿、10万円以下は絹でも可能。その提供を実現するには、(1)合繊・綿に始まり、絹までの素材開発と合理的価格化、(2)合理的価格にするための買い取りを前提とする取引条件の変更、が必要。
  • 産地には、製造ロットを超えた年間計画発注と、買い取り現金払いの実施が重要。同時に、後継経営者と後継技術者の育成を前提とした家内工業から合理的生産への脱皮が前提。
  • レンタルやリサイクルは体験の入口として重要。レンタカーや中古車、賃貸住宅と同じで、体験する、試すことが不可欠。ゴルフをしない人にクラブが必要ないように、きものを着ない人にきものは必要ない。まず「着る」体験の入口を低く広くする。
  • きもの着用シーンの拡大には、きものの露出をあらゆる機会を使って増やすことが必要。地域観光との連携については、各地域のきものを軸にした町興しへの支援が重要。一方、国際発信に関しては、「自称」も多いので、スタンダードなきものスタイルを発信しないと誤解を生じるので注意が必要。
  • 作り手の維持・復活には、まずは40代の後継経営者への世代交代。後継経営者が確定しない限り、後継技術者や設備投資へ資金は流れない。それらを整備しながら、「食べられる工賃」を、製造合理化努力とともに実現していくことが重要。産地が「食べられる」ことで産業としてのきものを確立させる。
  • きもの産業振興に向けて解決すべき課題は、(1)きものを「買いたい」「着たい」と最大に望んでいる20代マーケットへの市場づくり、(2)産地の後継経営者と後継技術者の育成、(3)産地が「食べられる」仕組みと環境づくり。
  • 論点資料4ページで、呉服小売金額がピーク時の1兆8,000億円から現在3,000億円と減っているが、ピーク時の産地の取り分が3分の1(6,000億円)程度だったのに対し、現状は6分の1(500億円)。産地の取り分だけ見ると、10分の1以下。小売金額が減るのは仕方ないが、なぜ産地の取り分がそれ以上の割合で減るのか。ここが一番の問題で、どう解決していくかが課題。

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FAX:03-3501-0316

 
 
最終更新日:2015年12月17日
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