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和装振興協議会(第3回)-議事要旨

日時:平成28年11月15日(火曜日)15時00分~17時00分 
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

池田委員、アトキンソン委員、きくち委員、小林委員、近藤委員、武内委員代理、中村委員、野瀬委員、又吉委員、丸山委員、矢嶋委員、山中委員、吉田委員、渡邉委員

議題

和装業界の商慣行について

議事概要

業界の商慣行について

  • 業界は委託販売を改善し買い取り比率の向上を実現するとともに、原産地表示・トレーサビリティの明確化、支払い条件の改善に取組み、産地にキャッシュが回る仕組みを作っていくことが必要。その為に、当社は来年4月から月2回の現金払い100%へ移行することにした。きもの業界は、きもので産業が成り立たなければ絶対に存続しない
  • 資料4にある、下請取引に関する様々な規制があることすら、業界はあまり知らない。上辺だけの取組では、長年の商慣行は解決できないので、業界を挙げて具体的な形で取り組んでいかないといけない。
  • 和装業界も流通革新をしないといけない。アパレルで起こったSPAの形は一つ参考になる。メーカーも問屋もエンドユーザーとのチャネルを持ってMDをし、自ら価格設定するという革新が起きないと、消費者に支持されるきもの市場の拡大はなく、業界は変わらないのではないか。
  • 資料4にある、平成12年に京都和装産業振興財団から「商取引の改革に関する宣言」が、出されたにもかかわらずなぜ取組が進まなかったのか。ネックとなった要素をよく分析した上で、乗り越えるにはどういった仕組みが必要か、行政の力も借りながら、業界として詰めていけるとよい。
  • 和装業界で、職人がないがしろにされている現実があるとすればすごく残念。自身でコラボして取り組むものづくりでは、必ず材料費を現金で先払いするなどの取り決めをしている。職人については仕事に対しての正当な評価・対価がもらえなければ、モチベーションにならないし、次に繋がらず後継者も育たない。マイスター制度のような、職人を正当に評価する仕組みがあるとよい。
  • 個人的には、問屋や小売の中には、ものづくりにも携わり、時代の変化に適応して変化している事業者もいる。きもので商売をするに当たり、ソフト面も大事で、コーディネートからアフターフォローまで含めて、消費者に満足してもらえるかということを考えて取り組んでいる事業者もいるのだということをご理解いただきたい。

委託販売について

  • 委託販売にすると返品リスクが価格に転嫁され、小売価格が高くなってしまう。例えば、委託販売で売るなら安く売るというルールにすれば、消費者にも利益になるのではないか。消費者としては、いいものを安く買えたというのが一番嬉しい。贅沢な付属サービスを提供することが、消費者サービスの本質ではないはず。
  • 本協議会の前身である、和装振興研究会において示されて非常に明確だったのは、若い人が興味があるのに買えない理由が「価格が高いから」だということ。きもの業界には、価格の不透明さと委託販売が連動している特殊さがある。委託販売はそもそもリスク分担の仕組みで、川上がリスク負担をする代わりに、販路開拓、流通コントロールを実現するもの。こうした仕組みを生かして事業を拡大したオンワード樫山のようなケースも過去にはある。ただ疑問なのは、この仕組みのメリットであるはずの価格コントロール、売場コントロールができていない点。結果として、小売サービスの価格が転嫁され、値付けがばらばらになってしまっていることが、製品の品質や価値を分かりにくくしている。市場が伸びていた時代は良かったが、今はそのような状態にはなく、この機に大きく商慣行を見直すということは非常によい事である。
  • 委託販売は、リスク分担の1つの方法。消費者の反応や価格の設定について、色々な意見を聞くにあたって、委託販売というものを利用する手があり、当社ではつくり手がテストケースとして、お客様の反応を見たいということで置いてくれというものもある。今ネット販売などの販売手法が増えており、つくり手として値崩れを防ぎ、自ら製品の管理を行うためにあえて委託販売しかしないというところもある。

長期の手形について

  • 今回、「和装業界の商慣行について」と掲げていることは、時代の変化や価値観の変化に対してどう対応していくかということ。資料4に挙げられた課題について、できない理由を挙げ連ねるのではなく、時代の変化に対応して、どう変わっていくべきなのかを考えて検討していくべき。6つ挙げられた課題については、支払いに関するものについては、当然変えていくべきだろうと思うし、総論としては賛成だが、各論としてみたときに、例えば、規模の小さい小売店の視点からすると難しい部分もあるだろう。

不十分な表示について

  • 生産背景を見ると、現状では「和装」ではなく、文字通り「呉服」になってしまっているが、それが分かる表示がない。それなりの金額がするものだから表示をきちんとすべきだし、消費者には知る権利がある。義務を課していないことは悪質な業者のモラルハザードを温存している状態になるため、行政としてもこれを開示させる制度を整えて欲しい。
  • 一消費者として、日本人が作ったきものを買いたい。まじめに作っている職人を応援することにもつながる。表示をすることで売上に影響があるなら、それは真っ当な商売と言えないのではないか。表示した上で本物ならば値上げしても良いと思う。
  • 10年ほど前から純国産絹マークを導入しており、養蚕の段階からトレーサビリティを確保し、高付加価値化を目指した事業として展開している。議論にあるような、流通段階の透明化というのがつくり手としての取組にとっても非常に重要なこと。
  • 職人には、食べていけないためにアルバイトをしながら仕事をしている者が多い。このままいくと職人は減る一方。職人を守るためにも、(染加工について)手描きのものについてはトレーサビリティを確保すべく動いており、スマートフォンで確認できるような仕組みを作ろうとしている。ただ、議論を聞いていると、(工程の一部分である)染加工部分だけではトレーサビリティ確保には不十分ではないかと思う。
  • 当社の海外生産比率は金額ベースで約10%で、アパレルと異なり海外比率は毎年低下し続けている。しかし、買取りのものは部分工程も含めて表示できるが、委託販売で借りた商品については情報がなく表示できないため、トレーサビリティ確保のためにも、委託販売を減らし買取りの割合を高めていく必要がある。
  • 原材料までしっかりトレーサビリティを確保することは産地にとってもメリットがある。

消費者に関連して

  • 消費者としても、誰が作ってどういうものであるか分かった方がもちろん安心して買えるし、職人さんがどんな想いと技術を込めて作ったものか、という物語性も生まれる。それは服を着る上で、自分が好きな部分であるので、消費者に伝わる仕組みがあった方がよい。
  • 業界全体を盛り上げていくというときに、消費者が置いてきぼりにされていると感じる。今でも、業界の残念な売り方、作り方によって、消費者が不信感を持つケースが散見される。
  • 国産の丁寧な技術で作られたものは着心地が違う。どうやって作られたのか、という情報がきちんと得られる場所がもっと欲しい。
  • とにかくきものを楽しんで来てもらう人を増やすという方向を真剣に目指している。女性の方にとっては美しくなることが最大の喜び。褒められればきものを着る人がどんどん増える。「装道」という教育をしているが、きものを着る人を増やすのが和装振興の一番の近道ではないか。

後継者育成について

  • 資料4で挙げられている6つの認識とそれを踏まえた5つの方向性については100%賛同。業界の問題の80%は網羅されており、あとの20%は産地後継者の育成問題である。特に大島紬や加賀友禅などの、手作りの産地において急務である。鹿児島では5年後に59%の織子が、奄美では51%の織子が引退すると予想されている。ここがこの5年の最大の課題。
  • きもの振興は、どうしても短期的なイベントを各産地で分散してやる、という目先の効果に引っ張られる。国としては、産地が短期的ではできない、5年から10年の長期的視点に立った後継者経営者と後継技術者育成に対する理解と支援について、現行制度の活用を含めてより考えて欲しい。
  • これまでは、必要な時に必要なだけ外部の職人を集めてやっていればよかったが、これからはそれでは成り立たず、社員として抱えないと仕事が回らない。ちなみに他業種ではあるが、我が社の若い職人は日当8,000円。それでも毎年4、5人は新たに雇っていて、離職率はほとんどない。正社員化はやろうと思えばできないことはない。需要と雇用形態が不透明である現状を考えると、この職人の後継者不足問題をどう解消していくかということは非常に重要。
  • そもそも求人していないということが大きな問題。我が業界の中で、文化財修理の塗装の部分では、業界が研修制度・資格制度を作り、国から応援するための補助金が出ている。しかし、文化財修復の業界のうち数社以外は人を募集していない。和装業界にも同じ事が言えるが、募集していない以上は若い人が来ないうんぬん言ったところでしょうがない。
  • 後継者育成については、京都市も京都府も非常に力を入れてやってくれているが、残念なことにどれだけ育成しても、食べられるようにならなかったら脱落するだけ。食べられる職業にすることが、本当の後継者育成である。
  • 作る人と売る人の後継者不足という話があったが、着る人の後継者も育てないといけない。どれか1つが解決するだけでは状況は改善されないので、それぞれの観点で全てを同時並行でやらないといけない。作る文化、売る文化、着る文化が1つのテーブルの上でこうして継続して論議されることが重要。

今後議論すべきテーマに関する意見について

  • ものづくりだけでなく、「着る」という観点から、具体的に着る人の数字を増やすための分科会があってほしい。
  • 公益財団法人京都和装産業振興財団において、「和装(きもの)文化」のユネスコ無形文化遺産登録を目指して活動を進めている。本協議会においても、ユネスコ無形文化遺産登録に向けた会議を開催していただきたい。
  • 「2020プロジェクト」を提案したい。日本の和装の凋落の1つの原因は豊富なはずの夏素材きものの凋落であり、例えば、デザイナーと協業し、この各地の夏素材を生かして製作した、オリジナルのコスチュームを着て開会式の入場行進をすることで、世界に向けてきものの素晴らしさと無限の可能性をアピールすることが案の1つ。本協議会が中心となって、この計画が実現できればいい。

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電話:03-3501-0969
FAX:03-3501-0316

最終更新日:2016年12月13日
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