経済産業省
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和装振興研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成27年4月3日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

近藤委員(座長)、天野委員、石崎委員、梅原委員、軽部委員、きくち委員、斉藤委員、柴川委員、須藤委員、髙倉委員、アトキンソン委員、福井委員、藤井委員、又吉委員、丸山委員、若林委員

議題

論点に関する議論

議事概要

論点1. きものの新規需要開拓のためには何が必要か

(1) 流通の問題・価格の問題

  • 小売市場は全体で3000億円といわれるが、きもの以外も含まれるので実質2700億円程度か。販売チャネルを見ると、選びやすく価格も手ごろなネットショップがここ3年間で倍増。
  • 安価な合繊、木綿等が入り口商品として広がっているが、次のステップである小紋、紬になると一気に価格帯が上がる。今後中間の商品が求められるのでは。
  • マーケティングに関しては、裕福層、大衆市場を分けて考えるべきだが、呉服業界では区別がなされていない。
  • 呉服業界は、経営資本回転率、商品回転率が低く、売上総利益率が高い構造。人件費率、販管費率も高く、お金をかけて集客しないと人が来ないというのが現状。
  • 工程の細分化により価格が高くなるが、この分業制が成り立たないと本来のものづくりの技術が守れないという矛盾を抱えている。 
  • 米沢とコラボしてきものを展開している。その理由はきものの値段が高いから。上代を決めて全国的に同価格で販売している。エシカル、フェアトレードを説明しながらものづくりをしている。情報発信には、SNSを活用しているが限界がある。ネットやFacebookをやっていない人が意外と多く、そういった人へのアピールが課題。
  • 一番の問題は、価値と価格があっていないこと。文化が大事という話もあるが、服は服。車1台買えるような値段で服を買う人はいない。調べてみると全国の日本企業の原価率は63%、きもの原価率が40%と聞いたがこれでは買ってくれる人はいない。原価率を上げて価格を下げ、回転率を上げていくことを考えることも必要ではないか。

(2) 消費者目線に立ったビジネス戦略

  • どの業界でも発信する広告宣伝、広報にはお金がかかるものだが、お金をかけずに広報を展開するという戦略もある。ポイントは「共感」である。多くの企業、地域(伝える側)が一方的になりすぎていると感じている。言いたいことを言っても消費者は聞いてくれない。伝え方より、伝わり方(消費者側の目線)をイメージすることが重要。
  • 共感を作るキーワードとしては、(1)「伝える側も好き」ということ、(2)「日常の中で気付く(消費者の導線に情報を置いてくる)」ということ、(3)「感情移入できる」ということ、(4)「自分も関われる」ということの4つ。
  • 既にきものに興味がある人だけでなく、ファッションやクール・ジャパン等のイベントにきものの情報を置いてくることが重要だと思う。
  • 今回の研究会を通じて、メルセデス・ベンツファッション・ウィーク東京のオープニングレセプションに東京きものの女王が列席する際のきものの提供と着付けをさせてもらうことができた。ファッションとしてきものを広めていきたいと思っていたので、非常に有意義であった。ファッションという消費者の日常にきものという情報を置いてくることができたと感じた。
  • 3月19日にメルセデス・ベンツファッション・ウィーク東京に参加。バックを持たせたりストールを持たせたりと、リアリズムを追求したショーを展開している。
  • 残念なことに、きものをフューチャーするメディアやファッション誌が少ない。この研究会等を通じて、「きものって素敵でしょ」という新しい風を皆さんと起こしていけたらと思う。
  • きものでも、トレンド発信の流れができたらと考えている。
  • 先ほどのプレゼンの「日常の中で気付く」、「感情移入できる」、「自分も関われる」という点は、全て「キャプテン翼」のストーリーに当てはまると思った。最もこの漫画が盛り上がったのは、翼くんが全国大会で戦っていた選手と一緒に同じ日本代表として世界と戦うシーンだった。まるで読者自身もその世界大会に参加しているような気持ちよさがある。世界にきものを発信したとき、みんながサポーターになって応援できるような流れがある。みんなが応援していて気持ちいいというポジティブな流れになると、みんながきものを着てみようという気になるのではないか。

(3) 国内できものを着る人を増やすための方策

  • 和装の業界はピーク時に比べパワーが落ちてしまった。日本のきものを再び元気にするため、オールジャパンで業界関係者が連携して、きもの最大市場である東京できものを発信する「きものサローネ」というイベントを立ち上げた。きものの文化発信の場として、着る人、作る人たちの交流の場を広げていければと考えている。
  • きものサローネは、スポンサーや国の支援に頼らず、自助努力で風穴をあけようという思いでやっている。
  • 「きものカーニバル」というきものイベントを開催しているが、きもの好きは集まるが、少し興味があるという人は集まらない。次回は「和」に関わる異業種(日本酒)とのコラボを予定している。異業種コラボによって、相乗効果を生み出せればと考えている。
  • きものサローネに参加している。非常に新しい試みで、作り手、問屋、プライベートブランドなどが集まり非常に楽しいスタートだった。だが3回目を終え、消費者が固定化しているという問題がある。若手が引っ張っていかなければと感じている。
  • きものサローネが次のステップに行くためには、視点を固定化させないために、異業種のプロデューサーが必要である。また異業種とのコラボレーションも必要。
  • きものを着る人を増やすためのイベントにするためには、新規参入者や異業種、自分達で着こなして楽しんでいる先端的な消費者などがオープンに挑戦できる場にすることが大事。常に実験していく場としてどう位置づけるかが重要。
  • きものを着る人を増やすために江戸時代の環境を復活させて欲しいと思うが、現実的ではない。これが少数派、非日常であることは変わらない。一方、最近、音楽の世界では、レコードやカセットの人気が再燃していると聞いた。今こそ「非日常」にあることこそを逆手にとるチャンスなのではないか。アナログの要素は先が読めないという不確定要素があるからおもしろい。コピーも作りにくい。江戸のきものはそういう要素を持っている。現代の人達が振り向いた時にそこに本物が準備されている状況を作っておくことが必要。
  • 俳句を2年前から習っているが、自分が「季語」、「旧かな」を使うことに違和感を感じる。そういうときに、きものを着るだけで、きものが「舞台装置」となり、違和感がなくなる。
  • 事務局資料に「きもの議会」の資料があったが、レンタルきものの人が多い。スーツとして着られる、受付の人も着られるきものは世の中に沢山ある。それをビジネスシーンで着ることを許す流れになって欲しい。特に、市役所の受付の人は自分の産地のものをかっこよく着てアピールして欲しい。
  • きものファンへの特典を考えるイベントが多いが、きもの需要の底辺拡大に向け、きものファンでない人たちへの取組が必要と考える。

(4) 中長期的にビジネスを継続するために必要な人材育成

  • きもののものづくりをしている職人が70代に入ってきている。跡継ぎを養えるだけの給料も払えないので現実的にものが作れなくなっている。なんとか行政の力で詳しく現地調査をやって頂けるとありがたい。
  • 新しいものづくりをするには、職人のクリエイティビティを刺激することが大事だと感じている。例えば、売る物を作るだけでなく、自分の主義主張をアピールできるような場が組合や地域の枠を超えてあると良いと思う。

論点2. 地方創生に向けて、地域資源としてのきものの活用策を考える

(1)きものの素材の異業種への活用

  • きもの・和装を守っていくことは大事なことだが、若い人には、きものの生地を日常的に使って欲しいと思う。例えば、小地谷縮は少し高いが夏に最適な織物。
  • 一方供給側は、産地と問屋とが一緒になって、例えば小千谷縮みや伊勢崎絣等のきもののすばらしい生地を使い、今の生活にマッチするものづくりをしていくことも、重要なのではないか。
  • 三越のショッピングバックが友禅のきものの文様を基にしたデザインにモデルチェンジされた。光琳も当時の京都のきものの風景を見て、琳派の様式にたどり着いている。供給側が江戸時代の「文様を遊ぶ」という視点を再認識することが重要ではないか。

(2)地域資源としてのきもの活用したまちづくり、インバウンド振興

  • 地元の西尾市は綿の到来地であり、400年来続く伝統的なお祭りがあるということを知った。地元には三河木綿という地域資源があるが、なぜこの地元の産品がきもの業界に流通していないのかと残念に思い、地元で綿の栽培を始めた。
  • 自分が関わって、好きなこと、感情移入できることを、地元業界を巻き込んだプロジェクトとして着手している。三河という産地の発信ができればと考えている。
  • 地域創生の一環として先月、「京都きもの特区構想」を提案した。秋には、京都染織青年団協議会が中心となって京都で「きもの文化祭(仮称)」を開催する予定。案として、きものでしか入れないお店、きもので無料乗車出来る公共交通機関を提案し、きもので京都を活性化したいと考えている。
  • 事務局の資料にあるような、各産地や城下町をきもので歩いて観光するなどの各自治体の取組はすばらしいと思う。ハレ着以外のきもののシーンの提案にもなる。例えば、下鴨神社をジーンズで歩くより、きもので歩く方が得られる満足感は大きいだろう。
  • 最近、博物館、美術館できものを着て楽しむ人が増えている。リアルクローズとして日常の生活の楽しみを倍増させる手段としてきものが広がるということが大事。
  • 今からオリンピックに向けて海外から大勢の人が来る。海外から来る人のきものを着る機会を増やすよりは、きものを着た日本人の写真を撮りたいというニーズが高い。日本人がきものを着る機会を増やすことが大切。
  • きものを着る機会を増やすだけではおもしろくないので、文化財も含めて様々なイベントを開催してきものであれば特典があるということもあっても良いと思う。
  • 霞ヶ関の職員全員が1週間きものを着るということもあってよいのではないか。そうすれば観光名所にもなるし、みんなが写真を撮りに来る。同時に、官僚が着ているなら自分も着てみようという気になるのではないか。

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最終更新日:2015年5月1日
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