経済産業省
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第4次産業革命スキル習得講座認定制度(仮称)に関する検討会(第1回)-議事要旨

日時:平成29年4月25日(火曜日)10時00分~12時00分 
場所:経済産業省別館3階312各省庁共用会議室

出席者

川田座長、東委員、大久保委員、住田委員(金丸委員代理)、小杉委員、田口委員、宮原委員、室井委員、高橋オブザーバー

議事概要

事務局より資料説明の後、討議が行われた。委員からの主な御意見は以下のとおり。

今回の取組の意義について

  • 情報サービス産業では、現在も多くの企業が、従来型のウォーターフォール型の開発業務を主体としている。また、これらの企業に所属する人材の中には、既存の情報システムの改修や保守等にしか携わったことがない人材もおり、これらの人材が新しい技術やスキルを学ぶ機会は限られているのが現状である。しかし、こうした人材の中にも、素質を持った非常に優秀な人材は数多く存在している。このような人材を最先端のエンジニアとして転換し、我が国の産業競争力を向上させるための取組として、今回の取組の意義は大きいといえる。
  • 本取組は、自己啓発を促進する社会的なインフラとして位置づけられる。自己啓発の意欲の高い人材は多いものの、時間と費用のほか、「何を学べばよいかが分からないこと」が自己啓発の課題になっている。特に、若い人材ほど何を学べばよいかが分からない場合が多いため、本取組は、そうした人材に指針を与えるという意味でも非常に有益である。

人材育成に対する企業の関与について

  • 今回のような講座を社会人が個人として受講する場合、数日から数週間といった一定の期間が必要であるが、そのために個人が長期の休暇を取得することは、現実的には困難な場合が多いと予想される。企業側の理解や支援がなければ、現実的に制度を利用できる個人は少ないと考えられるため、制度の検討にあたっては、企業の理解や支援等も含めた実効的な活用環境を整備することが重要である。
  • 今回の認定講座を受講するのは個人であるが、企業等が組織としてあるテーマを担当させたい人材に講座を受けさせたいというニーズもあると考えられる。このようなニーズを踏まえると、受講者を個人に限定するのか、法人としての申込みや受講を認めるのか、といった点についても整理が必要なのではないか。
  • 受講するのは個人であるが、企業が個人にスキルを習得させたいというニーズもあるため、企業派遣を対象外とするものではないと考えられる。
  • 今回の制度において、企業が個人を派遣することを対象外としてしまうと、受講者は休暇を取得して講座を受講することになるため、現実的に受講者が集まらない可能性がある。しかし、所属企業が受講を認めることで、個人は業務の一貫として講座を受講できるようになる。理想的には、企業の人材育成戦略上の重要な教育研修の機会として、今回の認定講座が活用されるとよい。
  • 「何を学べばよいか」という能力開発の方向性を個人と企業が十分に共有することができれば、個人の学習のモチベーションは高まる。よって、今回の制度の活用を促進するためには、今後の産業の動向等についてより多くの情報を有している企業が、個人に対して、今後求められる能力やキャリアの方向性を明確に示すことも重要である。
  • 自己啓発の課題の一つである前掲の「時間」について、IT業界では、長時間労働が課題とされることもある。昨今、働き方改革も注目されているが、特にIT業界においては、受託開発型のビジネス形態や産業構造の改革等を含めた「時間を作る取組」も同時平行的に進めていく必要がある。

各検討事項に対する意見

検討事項1:IT分野の対象範囲について

  • 先週、米国の教育機関を視察し、先端的な領域に関する研修は2種類あると感じた。1つは、IoTやAI、データサイエンス等の個別の技術を徹底的に学ぶための研修である。もう1つは、仕事の仕方やマインドセットを習得するための研修である。例えば、米国では、スタートアップに必要な人材として、高いプログラミング技術によって新しいものを生み出す「ハッカー」、事業運営やビジネス上のコーディネーションを担う「ハスラー」、デザインを担当する「ヒップスター」の3つのタイプの人材が必要であるという考え方がある。こうした人材には、「リスクを恐れずに挑戦する」、「カスタマーニーズを柔軟に捉える」といったマインドセットが求められるが、我が国には、このようなマインドセットを持った人材は少ないのが現状である。しかし、個別の技術に関する研修に加えて、このようなマインドセットを習得できるような研修を実施することで、我が国のIT関連業界の文化そのものを変えていく必要がある。また、その実現に向けて、今回の認定制度は有益であると考えている。
  • 海外と比べて人材の流動性が少ない日本では、新しい発想が生まれにくい。技術に関する研修だけではなく、全く異なる人材が集まって新しい発想を生み出すような研修も必要ではないか。
  • ITを使って社会の課題を解決する上で最も重要なのは、解決できる課題(テーマ)を見つけることである。資料6(p.5)の「デジタルビジネス力」として、社会のどのような課題を、技術を使ってどのように解決できるかという点を、自ら考えられるような人材を育成できるとよい。
  • 資料6(p.5)の「新技術・システム」に記載されている「クラウド、IoT、AI、データサイエンス等」といった技術は、常に入れ替わるため、変化に合わせて新しい技術に更新していくことが重要である。
  • データサイエンスやAIは、ややレベルが高く、基礎が身についていない人材が受講するのは難しい。こうしたことが分かるよう、教育研修を体系的に整理することも望まれる。
  • ITエンジニアとして、文系の人材も数多く活躍している。特にデザイン思考やサービス企画といった顧客に近い部門では文系の人材の活躍が顕著である。しかし、一方で、データサイエンス等、数理的な素養や専門性が求められる領域もある。
  • データサイエンスの領域には、統計解析等を十分に学んだ経験がないと理解が困難な知識もある。このような一定の専門性が前提となる領域については、前提知識や学習経験等を示すことが望まれる。
  • 今回の講座は社会人を対象としているため、無理に受講者の専門分野を変えたり、そのための徹底した基礎教育を行ったりすることは受講者の負担になると考えられる。講座のレベルは多様であると思うが、必要があれば、受講者の専門性やバックグランドに応じて受講対象を分けることについても検討できるとよい。
  • ITの中心は開発であるともいえるため、今回の教育対象として、例えばRuby on RailsやGitHub等の開発手法を含める必要があるのではないか。
  • 最近では、GitHubだけでなく、コンテナ型の開発やCICD(Continuous Integration and Continuous Delivery:継続的な統合・提供)等の新たな手法や考え方も注目されている。資料6(p.5)の対象分野の枠組では、開発手法は「デジタルビジネス力」の「アジャイル」に全て包含されていると考えられるが、アジャイル開発は「新技術・システム」にも関連しているといえる。
  • 現在の情報サービス産業では、システムエンジニアやプログラマは現業で非常に忙しく、新しい開発手法を学ぶことのできる機会は少ない。こうした人材に対して、業務とは全く異なる新たな開発手法を学ぶ機会が与えられれば、彼ら自身も大いに関心を持つと思われる。
  • システムエンジニアの中には、画面デザインを含めた人間工学的なデザインを得意とする人材が少ない。このようなデザイナーや文系の人材に、IT業界で活躍してもらえるようにすることも必要なのではないか。
  • 人間中心デザインを学習することで、既存のエンジニアの活躍の場も広がると考えられる。
  • Fintechの領域で注目されている「ブロックチェーン」は、今後も広範に利用される可能性がある技術であり、新技術として対象にしてもよいのではないか。加えて、ものづくりに関する技術として、3Dプリンタのほか、3Dプリンタを活用するためのデータのデザイン等も重要である。また、人間型ロボットに加えて、自動運転を含めたロボティクス等も対象になり得る。
  • ITの活用側(ユーザー側)の多様な産業における最新技術を例示することで、ITが広範な分野で活用されていることを示せるとよい。
  • IT以外の分野からIT分野に転向する人材も、今回の認定制度の対象としてはどうか。
  • ユーザー企業の業務系の人材は、ITが専門でなくても、新規事業開発等の場面でITに強い関心を持つと、自ら積極的に学習して知識を収集する。こうした事例を踏まえると、IT以外の分野の人材を今回の対象とすることも可能性としては十分あり得る。
  • 昨今、ITを活用した新サービスの創出が重視されており、これまでITを専門としていなかった業務側(ユーザー側)の人材のIT活用が重要となっている。「デザイン思考」や「サービス企画」等に関する教育研修は、業務側の人材にとっても非常に有益であり、その重要性は高いといえる。

検討事項2:講座のレベルについて

  • IT技術やその利活用に関する最先端の情報の発信源は、常に米国である。このような米国と比べると、日本には「技術を徹底的に追求する」という姿勢が欠けていると感じる。創造性やデザイン力なども、高い技術力による裏付けがあってはじめて競争力につながるのではないか。先端技術に関する研修は、入門や概要を学ぶレベルではなく、それを実際に使いこなせる水準を目指すべきである。
  • 従来型の業務に従事している既存の人材を対象とする講座について、どのようなレベルを想定しているか。
  • すでに業務経験がある人材は、要件定義や設計、プログラミング等の一連の基本的なスキルを有しているため「新しい手法や手順等を利用すると、現在の手法からどのように変化するのか」という点に重点を置いた教育が効果的であると考えられる。また、概要を広く学ぶといった位置づけの講座よりは、ある程度のスキルを持った人材が、IoTやAI等の先端領域を集中的に深く学ぶことで、受講後に新たな業務に就くための基礎が築けるような講座が望ましい。
  • エントリレベルの知識がある人材は、IoTやAI等の新たな分野であってもレベル4程度の水準を目指したほうがよい。
  • 企業のCEOやマネージャークラスの人材が経営やマネジメントを担う上で、ITに関する知識は、もはや必須となっている。デザイン思考やサービス企画等に関しては、こうした人材を対象とするエントリレベルの講座も必要ではないか。
  • デザイン思考の高度化のイメージが難しい。どのレベルにおいて、どのようなデザイン思考の技術が必要なのかについて、検討したほうがよいのではないか。
  • デザイン思考では、通常のシステム開発とは異なる視点や方法論が重視される。従来型の業務とは求められるマインドセットに違いがあることを念頭に置く必要がある。

検討事項3:教育内容・教育方法について

  • 集合研修のみでは、受講できる人材が限られてしまうため、受講者の拡大という観点からも、eラーニングも組み合わせた多様な学習方法を整備することが重要である。
  • 都市圏に比べて学ぶ機会が少ない地方の人材も学べるように、教育方法としてeラーニングが含まれていることは評価できる。また、eラーニングにおいては、一方的にコンテンツを発信するだけでなく、質問を行うことができるなど、双方向でコミュニケーションが取れるような仕組みが含まれていると効果的である。
  • eラーニングを活用することは重要であるが、学習が続けられるような支援も重要である。例えば、クラス担任のように適宜コメントを行うことで受講者をフォローし、受講者が意欲を持って学び続けられるような仕組みが望まれる。
  • 教育方法としては、集中的なワークショップが最も理想的であると考えている。eラーニングであっても、何らかの実践を伴うものが望ましい。
  • 社会の課題を発見できるような人材を育成するためには、座学以外の形式を取り入れることも必要である。
  • 社会人にとっても受講しやすいよう、講座の時間枠を短く設定したり、チームで協力し合える体制としたり、遠隔で受講できるようにするなど、柔軟に教育目標を達成できるような工夫を取り入れたい。
  • 社会人は、業務が繁忙になると受講できない可能性があるが、そうした場合のフォローアップ等の仕組みがあるとよい。
  • 講座を提供する教育事業者が設計しやすいように、eラーニングが必要であるなどの教育方法に関する要件を、ある程度定めたほうがよい。その際、高度な教育手法や複雑な要件を設定すると、教育事業者側の工夫の余地が小さくなってしまう可能性があるため、資料6(p.7)に記載されている程度でよいと考えている。
  • ビッグデータやインダストリー4.0の最新のテーマについては、インターンシップの機会等も活用しながら現実感を持って学ぶことが重要である。現場で実践的に学ばなければ、IT分野における急速な変化に対応することは難しい。
  • 教育を通じて学んだIT技術が、企業や社会の課題解決にどのように役立つかを理解することは、受講者のモチベーションを高める上でも重要である。
  • 昨今のIT関連の教育には、ツールの使い方に関するものが多く、ツールがどのような目的で作られたものかを十分に教えることができていない。教育を通じて、ITに関する技術が、社会のどのような期待に応えているのかということを、実感として理解することも重要である。また、今後、ツールを使うだけの社会にならないように、人格や人間力を含めて育成すること必要である。

検討事項4:事後評価について

  • 教育の成果を把握する上では、まずは講座の終了時に受講者のスキル評価を行うことが重要である。知識やスキル、コンピテンシー等については、計測するためのツール等も広く使われている。
  • 講座を受講した実績を、資格や認定等の形で外部に示せるようになると、受講者個人にとっても、研修の効果を示しやすいのではないか。
  • 講座を受講した結果、例えば受講者の3割が成功裏に転職できたといった実績を教育の成果として示せるとよい。
  • IT分野では、技術の変化のスピードが非常に速いため、継続的に学習する仕組みを実現することが重要である。また、そのような仕組みが実現できれば、受講者とのつながりも維持されるため、学習内容が実際に業務に役立っているかといった点についても、講座修了後に把握することが可能となる。
  • 講座の評価について、認定講座を掲載したWebサイトを作成し、受講者による口コミ等を発信・共有できるような仕組みを実現してはどうか。教育事業者側にとっては講座の改善に向けた情報が収集できるほか、受講者にとっては講座を選択する際の情報として活用できる。このようなフィードバックループが実現できるとよい。
  • 教育の成果を明確に示すことは重要である。その方法としては、アンケートだけでなく、受講者に関する情報、例えば受講前後の給与の変化等を把握・分析することなども考えられる。
  • 教育の成果の確認は重要であるが、例えば成果発表や修了テスト等の実施を認定の際の必須要件として求めないほうがよい。そのような要件を設定とすると、要件を形式的に実施することにつながりかねない。それよりも、教育事業者の工夫が認定の可否に関わるような要件を設け、各教育事業者の自発的な創意工夫を引き出せるようにすることが望まれる。
以上

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最終更新日:2017年5月30日
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