経済産業省
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産業構造審議会地域経済産業分科会(第7回)‐議事録

開会

大西分科会長
それでは、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。
産業構造審議会第7回地域経済産業分科会を開催いたします。
本分科会の会長を務めさせていただいております大西といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
前回、御欠席された委員について、お名前だけ御紹介させていただきます。
きょう、御出席の豊田商工会議所会頭、大豊工業株式会社相談役の渡辺祥二委員です。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

横田地域経済産業政策課長
お手元の資料、上から順番に資料一覧。
それから、その次に議事次第、次に委員名簿、座席表がございます。
それから、資料1として富士通の八木委員からいただいた資料、それから、メーンテーブルのみIT利用活動事例集、富士通さんの資料を配布させていただいております。
資料2としまして、私ども近代産業遺産の資料。
資料3-1、2といたしまして、桐生市の取組み、活動事例でございます。
資料4といたしまして、立地センターの鈴木委員の資料がございます。
もし足りないものがございましたら、事務局の方にお申しつけいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

議題

農商工の連携について

大西分科会長
それでは、最初の議題、農商工連携のあり方、これは前回、幾つかのプレゼンテーションで研究したテーマでありますが、きょうは、八木委員から、前回に引き続いてプレゼンテーションをお願いすることになっています。
八木委員、どうぞよろしくお願いいたします。

八木委員
おはようございます。八木でございます。
今回、プレゼンの機会を与えていただきまして、テーマが「IT活用による農業の高度化」ということで、多少大ぎょうしい名前でございます。富士通という会社はITベンダーですが、この農業分野に対する取組みにつきましては、そんなに昔からやっているわけではなくて、体系的に取組み始めたのはここ数年でございますので、そういう意味では、まだまだ実態把握、不勉強な点がございますが、我々の考え方とか、それから、実際にいかにITを使って農業分野の高度化をされているかという事例を中心にお話しをして、そして最後に、こういうことを政府並びに関係機関に要望したいという形で、短い時間ですが、お話しをさせていただきたいと思います。
最初のページでございますが、フィールドイノベーション、また横文字なんですが、とにかく我々といたしましては、ITがいろんな意味で貢献、効用が働く分野は、やはり聖域がございませんので、どういう業種、業務でも、1つのフィールドとみなして、そこでいかにイノベーションを起こして、そこのお客様のビジネスが発展するかという考え方をフィールドイノベーションという言葉で表現しております。
人と、プロセスと、ITの一体化ということで、今回、我々は農業という1つの分野を地域の主力産業の1つと位置づけまして、そういった農業の強化と地域の活性化はまさに一体であるという考え方をとっております。
農業を産業化するとか、工業化するとか、そういう話の前に、やはり地域の活性化の大きな主力産業の1つであるという位置づけです。
それで絵にございますような、強い農業とは何かということは、新しい価値を生み出して、継続的に発展していくような農業、魅力的、人が集まりやすいということも含めまして、そういった継続的な成長をとげるような形にしたいということで、それを強いという表現にしております。
こういった強い農業を実現するには、やはり下にありますように、現場の可視化、見える化を行って、従来の経験と、例えば勘だけに頼る作業から、プロセスを転換して変革をしていくといったようなことを行って、その作業プロセスの転換にあたりまして、ITというものが非常に効用を発揮するというふうに思っております。それでプロセスの変革とIT活用を行いながら、PDCAを回して、地域活性化と強い農業の実現に向けていく。こういった概念的な考え方、こういった一連の流れを農業のフィールドイノベーションという言い方でとらえております。
これがもちろん行政の支援とか、地域の理解なども得まして、ひいては国際競争力のある強い農業につながっていくのではないかというのが1枚目の絵でございます。
2枚目ですが、それではIT活用による農業の高度化、具体的に高度化とは何かということなんですが、ここで強い農業の目標を我々は農業の持続的な発展と新しい付加価値創造、これを支援できるITという形で高度化を実現したいと思っておりまして、事例を幾つか紹介させていただきたいと思っています。
まず1つ目の緑のところですが、農業の持続的発展を支援するIT、ここは必ずしもいい悪いという議論ではなくて、どちらかというと人手に頼っていた作業というものを自動化、省力化するITという視点、それから、経営体質のさらなる健全化を支援するIT、健全になることで受け継がれていくという、この2点を農業の持続的発展を支援するITという文章で述べています。
もう1つは、新しい付加価値の創造を支援するIT、ここには魅力的なものも含まれていると思っておりまして、新しい生産方式とか、流通を含めた販売、当然生産の工程の中には土壌、土の中のこともありますから、そこも含めた見える化を支援するIT、それから、もう1つは、技術とかノウハウの伝承なんかもサポートしながら、次世代につながる生産者を支援していくIT、さらにはできた農産物の販売から、いいものを高く売るという農産物の生産への転換をさらに支援するIT。ここを新しい付加価値創造を支援するITというフィールドととらえています。
こういったことがうまく組み合わされれば、農業が新しい付加価値を生んで持続的に発展することで、強い農業になって活性化につながるというふうに考えています。
例えば3ページ目で事例の紹介を1つあげておりますが、これはJAの越後さんとう様で既に実施されているものです。
人工衛星の画像処理を活用したお米の有利販売ということで、このねらいは、農場ごとの米のタンパク含有量を衛星画像を使って解析して、土壌改良など、おいしいお米づくりに活用しているという例です。
ここでIT活用のポイントは、一番上の情報収集のところにございますように、衛星から可視画像と、それから、近赤外線の写真というものを撮影しまして、同時にサンプル農場からは実際のタンパク質の量とか、葉っぱの色のデータなんかを採取し、ここのデータから相関関係の式をつくってマップ化しています。
そこでちょっとそこに大から小の、赤からブルーのようなマップのところがございますが、この上の方の赤いところがタンパク質の含有量が多いところで、下にいくに従ってその量が少なくなります。一般的にお米では、タンパク質6.5%未満が高品質といわれておりますので、これを見ながら、なるべく下の方にいくような、そういった分析をしております。
このシステムの効果は、今まで最上級米といわれたお米をさらに緑と、ブルーと、黄色の、下の方に3つありますように、さらに3つに分類することで、一番下が一番高品質ということで、販売価格をここで差別化するなどアップすることで有利販売につなげる。当然タンパクマップからは土壌分析も行っておりますから、土壌の改良にもつなげていく。
衛星画像を解析したこういったシステム、これが結構効果を発揮しております。これは1つの人手に頼っていた作業をITを使って自動化、省力化するITという例でございます。
それから、時間の関係で全部の例、紹介できませんが、お手元に置かせていただいたIT利用活用事例集というものの中に、結構たくさんの事例がございますので、詳細は後ほどごらんいただきたいと思っています。
3-2はとばしていただきまして、その次、3-3、ここは宮崎県の農家経営支援センターさんの事例でございまして、個別農家の収支分析を行って、負債を減らし、健全経営の経営指導を行うというのがねらいで、こういったITシステム導入、この結果、これは5年間で627戸の農家に経営指導を実施した結果、627戸のうち407戸の農家で25億円の負債が減少したということを達成しています。
それから次の3-4の農業経営管理のSaaSサービス、SaaSという言葉は最近、よくいわれるようになっております。TKCさんなんかもサービスしているようなシステムに似ているのですが、要するにソフトウェア・アズ・サービスということで、いわゆる真ん中にありますように、SaaSのセンターというものをつくりまして、生産者とか、農業法人さんなんかがインターネットでそこにアクセスして、実際には専門的な、例えば会計とか、給与とか、税務申告といったようなこと、経営分析まで一貫したサービスを中小の生産者、農家が得られるというサービスです。自分で導入するよりも、やはりこういう先端方式でもってやることで、利用者がいいサービスを受けられるようになる。これは今、中小企業さん向けに結構こういう分野のサービスを行うという政策も今、出ておりますが、これを農業分野にも展開するといったことで、当社の九州にあるグループ会社が20年度の頭からこういったサービスをしようというふうに思っております。
ねらいは、重複をしますが、小規模農家や農業生産法人の経営管理、これを手軽に利用していただくということでございます。これからのことなんで、どうなるかはわかりませんが、有効に働くように我々も努力したいと考えています。
それから、次の3-5ですが、ユビキタス農場、土の中の見える化を支援するIT、ITの効用の1つにやはり可視化、見える化ということもございます。このねらいは、経営の透明性の向上に向けた農場の管理といったことで、この絵にございますように、センサーネットワークで土中の温度とか栄養分をモニターする。それで今までどちらかというと、比較的経験とか勘に頼っていた農作業を、こういったセンサーを使ったデータに基づくものに変えていく。当然計測されたデータは生産工程管理のデータにも活用できます。結果的には、肥料、水分のやり過ぎ、あるいはむらとか、勘違いの様ないわゆるむだなものを極力防いで、コスト削減、環境負荷の低減に貢献するといったことで、このような考え方を我々はユビキタス農場という形で呼んでおります。
想定される場所としては、そこにありますようなJAさんと生産農家、それから、農業生産法人の本社と契約農家とか、こういったところの情報共有なんかにも非常に使えるし、またITですから、遠隔地や海外農場の適用も可能になると思っています。
それから、3-6は省略させていただき4番目ですが、ITの活用されるフィールドは農業に関わらず広がっているわけですが、事農業についていうと、現在、個別農家といわれる小さなところが180万戸あるといわれています。私の義理の父も、兄も、ここで農家をやっていますのでいろんな話を聞きますが、ITのことを言っても、全然ITって何という感じでなかなか採用されない。むしろ左側にございます8,000社といわれている農業生産法人さんとか、800団体のJAさん、ここがやはりITを導入し、個別の農家に対してサービスを提供することで、個別の農家が質の高い農産物を生産し、供給する。いってみれば、この左と右、黄色いところと右側がWin-Winの関係になるような形にならないと、なかなか魅力ある農業にはならないということで、そこにITをうまく活用すれば、そういったことがさらに向上するのではないかと思っております。
こういったことを長年の間、いろんな事例を収集して事例集にまとめたのですが、やはりいろんな農家とか、JAさんとか、8,000社ある生産法人さんの中でも先進的なところは、最近では非常に活発な動きをしておりますので、さらにそれを加速して、魅力ある農業として人が集まるようにして、地域活性化につなげるには、やはり我々としましても、ITの技術、テクノロジーの発展はどんどん研究したいのですが、やはり政府におかれましても、いろいろやっていただきたいということで、5番目、最後に政府への期待を3点ほど書かせていただきました。
1つは、地域の単位で小規模生産者が農業とか、農業経営に活用できる他産業のノウハウを共有できる仕組みが必要だ。他の産業の経営管理とか、流通、生産の仕組みは非常に役に立つと思いますから、それをうまく情報共有できるような仕組みが必要ではないか。
2点目は、政府の中におかれまして、農業分野のIT活用促進を支援するための、いわば体制、横串的な体制の構築、経済産業省さん、農林水産省さん、その他が一体となった体制というものを明確にして、効率的な予算配分等々を行っていただきたい。
3点目は農業のフィールドイノベーション、これをサポートするITをツールとして導入するために、予算的な措置、税制も含め強化していただきたいと思っております。
大きな農家とか、農業生産法人の先進的なところは、どんどん農業の産業化を目指して取組みは加速されておりますが、やはり180万ある中小のところ、非常に厳しい経営環境にあります。自分の田舎のことなんで、あんまりどことか言えませんが、例えば1俵60kgをJAさんが買い上げるときには、種まき前は1万4,000円だった。それが収穫が終わったときに、5割は1万4,000円だけれども、残りは7,000円にするといわれて、ではそれで売らざるを得ない。大きなところは、自分で脱穀したり精米できます。機械を持っています。小さいところはやはりそういう大変な投資ができませんので、結局7,000円で売るわけです。そうすると非常に困窮をしていくので、そういうところにやはり政治的ないろんな対策を練ると、そういった中小農家は政策に頼っていくということで、むしろ中小のところをいかに鼓舞するというか、支援の手をあてるかというのがやはり活性化のポイントになっていくと思います。
したがって、先進的な農業生産法人さん、8,000社の中の非常に先進的なところがリーダーとなって、そういった中小の農家を救っていくような仕組みと同時に、政府におかれましても、こういった施策を練ることで、我々もIT技術をもっと研究することで、三位一体的な感じで進めていけば、強い農業が実現して、地域活性化に幾分でも貢献するのではないかというふうに考えております。
すみません、ちょっと時間をオーバーしましたが、以上で私の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

大西分科会長
どうもありがとうございました。
今、八木委員のプレゼンテーション、農業とITについて、少し時間をとって質疑応答をさせていただければと思います。御質問、御意見がおありの方は名前の札を立てていただくと認識できます。よろしくお願いいたします。

野坂委員
八木さん、大変ありがとうございました。
この活用事例集を見ましても、大変幅広くやっていらっしゃるということ、大変感銘を受けました。それで質問ですけれども、今、おっしゃられたように、特に中小の方はなかなかITはよさそうだと思っても手を出せないという問題があると思うのですね。特にコストの問題があるのではないかと思うのですけれども、特に初めて始める初期投資の段階とか、軌道に乗るまでどうやって、相当金をかけてなかなか成果がすぐには出てこないというようなこともあるのではないかと思うのですが、その辺の初期投資、コストの問題とIT投資、どういうふうに現状を見ていらっしゃるのか伺えればと思います。

大西分科会長
いかがでしょうか。

八木委員
私の知る範囲では、結構中小の農家は兼業もやっていまして、もちろん会社の法人的になっておらず、実家の場合ですけれども、お米の消費量も減り減反もしています。そういう中で、ITがあれば、お米の量が増えるのかとか、高く売れるのかなんていう質問をされます。農家の主人には年齢のいった人が多く、どう効果があるかということが不明なために、適正な投資についてそれがペイするかという議論をしたこともございますが、例えばパソコンを1台入れて、ここにデータを入れ、土壌管理から、流通の仕組みから、ほかの県のお米の品質、値段といろんな意味でデータを見て、横串で比較してできると言っても、このエリアではそれはいいんだ、ここでうまく賄って、JAさんとうまくやればいいんだという、発想がまだまだ根強い保守的な田舎だったので、なかなかその導入ですら満足にいかない。
私も感じたのは、先進的に若手が取り組まれているところは、農業を経営と見てバランスシートを見ながら、投資を入れながら、利益を出していき、そういう計画をされているところもたくさんあるのです。ところが大多数のところは、例えば機械でなくて、情報共有も、私の田舎だとなんとか連絡放送というか、ある時間帯にチャイムが鳴って放送が流れますね。あれをやはり離れられない。人と人がつき合っているようなものがあるから、パソコンのボタンを押して情報だなんて全く受け入れられないという年代がまだ多いです。
だから初期投資の前に、そういう環境から直していかないと、なかなか投資に結びつかないようなところが多いと思っています。
ただ、先進農業さんの中で、前回お話しいただいた門脇さんのところもそうですが、農業経営者は本当にたくさん出ておられまして、全く農業を経営と見立てて、ITは単なるツールと見て、利益の出る農業に取り組んでおられますから、そういったところがどんどん刺激したり、リーダーシップをとれば、私が今話したようなところも、数はどんどん少なくなっていくのではないかと思っています。
そのためには、後を継ぐ若手の人がどんどん入っていかないと、結局人が集まらなくなりますので、どうも初期投資の問題の前に、そういう環境と、それから後を継ぐ人が経営的な発想で農業にトライするという、そういった仕組み、バックアップ体制が必要ではないかと考えております。

門脇委員
ITの現場でのフィールドイノベーションというのは、前回、私もプレゼンさせていただき、概念的には非常に整合をとれて、メーカーさんもいろいろアプライされているなという関心を受けました。
その中で、IT活用をされるフィールドの広がりということで、生産法人、それから個別農家という、このWin-Winの関係をどうするかという問題提起でございますけれども、やはり今、農業者が農業者だけで取り組んでも、1つの変革というのは無理だと思うのですね。やはりいろいろなコラボレーションという、そういう意味ではIT業界とか、あるいは地域のいろんな農工連携ということがテーマですから、ITばかりではないですけれども、そういう意味で、特に知恵の伝承といいますか、どんどん今、後継者がいない、それから、高齢になって離農していくという、そのマッチングの部分については、いろいろと農家の勘と経験を得られているすばらしい人がいるのですが、その中で伝承されてないという、そういう意味ではコンテンツといいますか、やはりやっていることをちゃんと丁寧に蓄積していくという部分でもITの1つの効果というのは発揮できると思うのですね。
そういう意味では、経済産業省側から見たときに、いわゆる農業生産法人なり、あるいは農家個人でもいいですけれども、もう少しいわゆる工業側から、農業と、農協という組織ではなくて、いわゆる経営体とリンクする、そういう施策という部分に対しても何らかの施策、ここでいう八木さんが提案されています最後の政府に対する要望というようなことを書いてありますけれども、最後のページですね、5項。この農業フィールドイノベーションをサポートするITツールの導入支援という、こういう部分では、1つの補助金的な部分ですとか、あるいはそういういわゆる伝承するための今、GPSを含めた部分の簡単な端末が出ています。そういう意味では、実際の作業をしたものを完全にトレースして、どのぐらいの実時間がかかるか、どういうトラクターの入り方がいいか言葉でいうのではなく、デジタル化されるというツールもある。個別の農家が導入するというのはなかなか難しいと思いますので、地域のIT産業がそういうものをサポートあるいはレンタルする。そういう産業も可能かと思います。ぜひ地域のIT産業なり、中小地場産業が農業と連携するという部分について支援するというよりは、事業創出みたいなものに対して、何か施策を与えられたら、農工連携の1つのきっかけとなるのではないかという気がいたします。ぜひこの5項については真剣に整理して、施策として反映されればという期待を含めてコメントさせていただきました。

大西分科会長
ありがとうございました。

田子委員
消費者の立場で感想を述べさせていただきますと、見えるという言葉は大変に魅力的でございまして、やはり生産者法人なり、JAなりが組織的に導入するにしても、消費者としてはやはり生産者の顔や声が聞きたいですし、それから、農産物の土とか、水とか、空気とかという生育している環境を目にしたいというニーズが大変高いと思っています。それが満たされていけば、お米にしても何にしろ、消費量は必ずふえてくるのではないかなと思うのですが、そのIT化を担う人材、これがキーになるのではないかなと思っておりまして、要するにシステムが幾らできあがって、あるいは例えば土中の微生物の状況が見えるとか、水質が見えると、より付加価値の高い情報として提供できるのではないかと思うのですが、データをそのまま提示しても、消費者にとってはわかるわけはないので、その情報を加工するとか、あるいは日々、消費者が見たいと思っている世界を見せてくれるとかいうのは、システムも大事ですがそれを担う人材、情報を加工したりあるいは農家のリテラシーを支援していくような人材がいないと、なかなか本当に消費者までは声が届かないのではないかという気がしております。
そういうときに、例えば富士通さんのように、ITに強い団塊の世代を大量にお持ちで、そういう方がどんどん定年退職され、Uターンとか、Iターンとかされて、空気のいいところに住まわれたりなんかされていくときに、そういう担う人材となって地域貢献をされるとか、そういう人材も含めたシステムの展開みたいなものは何かお考えではないのでしょうか。

大西分科会長
お願いします。

八木委員
うちの場合も、おっしゃるとおり、団塊の世代を迎えた人たちについての次のセカンドライフについて、結構人事的にも手を打っておりますが、1つには、国の方でも先般できた協議会でも、やはり地方への移住、交流を進めようという動きもあって、そういう中で実際に自分が生まれたところに戻って、そこで今、おっしゃったようなスキルを活かしたところにつくことを奨励するという動きもしております。
それはリタイア者だけではなくて、今、実際に現場にいる人間でも、単にITのシステムをPRして、説明して、お客様に紹介するのではなくて、お客様がやりたい業務に自分がいかに精通するかが多分キーになりますので、それが農業の場合には、やはり農家に飛び込んで訓練して戻ってくるというのは現実的でないかもしれませんが、農業の話をどれだけお客様の目線でできるかといったような教育を今年度から実は始めていまして、いろんな分野で。それでそこのプロになろう、これをさっきのフィールドイノベーションにもじってフィールドイノベーターという職種をつくりまして、農業のプロとか経営のプロ、そういった勉強を始めるような全社体制もできていますので、今、おっしゃったような展開も近い将来には可能になるのではないか。おっしゃるとおり、人材がいないと、幾ら説明しても、それを実際に使う立場になったものが農家にどんどん排出しないとだめなわけですから、現場に飛び込むような人材育成、モチベーションの教育を今、始めたところでございます。

持永委員
大変興味深いお話をありがとうございました。
個別農家の180万戸というところをどうしていくのかというのは、やはり地域再生なり農業再生の大きな課題ではあるかと思うのですが、実態として、ただ非常にその180万戸の圧倒的多数の高齢層の農家の方々が、多分パソコンの導入率、普及率もほとんどないような状況ではないかと思います。
そういう中で、その方々にITを活用していただくのは至難なわざではないかと思います。あえていえば、先ほど八木委員がおっしゃられたように、農協に対して非常におんぶにだっこというところがあるわけで、そういったところを活用していくしかないのではないかと思うわけです。
それから、農協なりがいかにこのIT活用ということについて理解をし、それを個別農家に普及させていくかということについて農協が真剣に取り組むというのは多分キーになるのだと思うのですが、ただ、一方で、農協にとってみると、ITの普及というのが、長期的に見ると、自分の存在基盤にも関わるようなところになるという感じもしますが、その点、お伺いしたいのは、JAの今のIT化について、富士通さん、御社が営業なりに行ったときに、どういう感じで対応されているかということをお伺いしたいと思います。

大西分科会長
いかがでしょうか。

八木委員
JAは800団体もあって、うちのシェアはそんな圧倒的ではないとは思うのですが、ただ、さっきの衛星の例がございましたね。あれはもともとうちの北海道にある会社が開発して、それから、衛星から飛んできて、地面を見て、来年の気候とかを見ながら、来年どこに植えると一番いいお米になるかということから始まった。これを導入したのがJAの越後さんとうさんなんですね。そういう意味では、非常に先駆的に導入し、いいものをつくろうという意欲は結構JAさんにはあると思います。
そうなると、いいものができれば、いいものを適正な価格で買えるという、好循環を目指して導入されたのだと思うので、それぞれのJAさんを知っているわけではございませんが、中には非常に先進的にITを駆使していい環境をしようというところは、私はまだ多いと思っています。
そういう意味では、むしろJAさんのようなところがもっと理解を示して、導入を促進することが、180万戸のところの何%かに徐々に影響を与えていく、いい影響を与えていくと思いますから、持永委員がおっしゃったように、やはり180万戸という本当に膨大で想像もできないような対象よりは、左側の先進的な生産法人さんとJAさん、ここがやはりリーダーをとって、別にITだけといっているわけではなくて、伝承の仕組みも含めまして、やはりこっちをリードするようなことをやっていただくことがWin-Winにつながるというふうに感じております。
ちょっとJA自身の動向については、私も詳細に把握しておりませんので、この程度でよろしければ。

大西分科会長
鈴木直道委員でこのコーナーを一応締切りたいと思います。

鈴木(直)委員
簡単に申し上げますが、第1点は、門脇さんがおっしゃった地域のIT産業とおっしゃるような農業自体のIT化全体を一体的な地域発展の手段として考えたらどうかという、全く賛成でございますので、例えば札幌バレーというのは、まさにIT関係でもソフトでは非常に優秀な技術を持っておられるので、そういうものの活用を大いにするという視点、つまり地域発展と結びつけるというのをぜひ考えていただきたい。
第2点は、今、おっしゃったのでいいのですが、いわゆるデモンストレーションプロジェクトの重要性といいますか、我々も含めまして、目で見ないと納得しないという面がございますので、恐らく政府もやっておられるだろうと思いますが、こういういいプロジェクトはどんどん、恐らく政府支援で結構だと思うのですが、デモンストレーションをやって見せていくということが非常に重要ではないかと思っております。
農業の重要性はみんなわかっておりますので、その方法論については、非常にオープンな気持ちで対応していただきたいというふうに思っております。
どうもありがとうございました。

大西分科会長
どうもありがとうございました。
いろいろ御意見をいただきまして、前回に続いて、農業に焦点をあてた多角的な目で農業を見ていこうということで重要な視点が提示されたと思います。

産業遺産を活用した地域活性化について

大西分科会長
産業遺産を活用した地域活性化についての議題です。
これについて、最初に事務局から、資料2に基づいて説明をしていただきまして、その後、事例としてきょう、お見えの北側館長さんにお話をいただくというふうになっております。古屋統括地域活性化企画官に御説明をお願いします。

古屋統括地域活性化企画官
お手元の資料2で御説明を申し上げたいと思います。
1枚めくっていただきまして、なぜ、今、私どもで近代化産業遺産を取り上げておるのかということでございますけれども、地域の活性化を図っていく上で、さまざまな地域で困難がある。それを乗り越えて活性化をしていくというためには、非常に地域の人々の中で活力が生まれてくる必要がある。ではそういう活力というのはどこから手に入れられるのかというと、その1つとして、地域の先輩方、先人たちの歩みを知って、まさに過去に触れて、それを受け継いでいるのが今の自分たちだという思いを新たにして、未来への活力につなげていくということが1つあるのではないか。
ではそういう先人たちの歩みはどこに見ることができるのかといいますと、私たちの周りで、非常に幕末から戦前にかけて、日本はいろんな困難を乗り越えて世界史的にも非常に例を見ないスピードで近代化をなしとげたわけでありますけれども、そういう我が国の近代化を支えた工場だとか、機械だとか、そういうものは私たちの周りに残っている。それを私ども近代化産業遺産という呼び方をしておるわけでございますけれども、そういった中には、活力のもとになる先人たちの歩みが端的に残されている。そういうことでございます。
したがって、そういう近代化産業遺産の価値を地域の方にわかりやすい形で提供していくということが地域の活性化につながっていく。そういうふうなことでございまして、近代化産業遺産を取り上げさせていただいているということでございます。
近代化産業遺産の価値の普及というのを図っていく上で、1つ近代化産業遺産の持っている特徴というのがございまして、2ページのところでございますけれども、まさに見た目、もう壊れかけの工場みたいなものが多いわけでございまして、非常に単体ではその価値というものは伝わりにくいわけでございます。したがって、その価値を最大限に活用するためには、ほかの関連する遺産と、産業史だとか、地域史だとか、そういう歴史を軸に組み合わせて、編集をして地域の方にフィードバックしていくということが非常に大事かなというふうに考えております。
それで私どもことしの5月に地域の方から近代化産業遺産でいいものがありますかというので公募をいたしました。400ほどの公募が上がってまいりましたので、それを組み合わせて編集をし直して、足りないところはこちらの方で足しまして、33の近代化産業遺産群という、まさに地域史、経済史を軸にしてまとめた近代化産業遺産の群をつくったわけでございます。
どういう群かというのは3ページ、4ページにございますけれども、こういうまさにストーリーを軸に33まとめておるということでございます。
こういう形のものを今後、もう1枚めくっていただきますと、5ページにその例がございます。どういうストーリーかというのが例でございますけれども、例えば3番でありますと、鉄鋼業というのが発展してくる過程というのがあります。私ども歴史の中では、今まで八幡ということが非常に強調されるわけでありますけれども、その前にやはり釜石というものがあって、それがちゃんとつながっているということでございます。釜石にも近代化産業遺産があるし、九州にも近代化産業遺産があるので、それを全部つなげて1つのストーリーで提供していく。そういうことでございます。こういうものを33をつくっております。
6ページ、7ページのところに、その近代化産業遺産をとりまとめる際に、地域の方といろいろ御相談もしました。その際に、地域の方でどういう声があったかというのを御紹介をしておりますけれども、1つは大阪の方でございますけれども、やはり誇りというものにつながっていくというようなお声を聞いたりしております。
それから、吉岡銅山についていきますと、これは中国地方の銅山でありますけれども、この吉岡銅山というのをまとめる際に、四国の別子の銅山とまとめて1つのストーリーにしている。吉岡の方は、あんまり今まで目立たなかったわけでありますけれども、別子と一緒になることによってクローズアップされるので非常に助かっているというようなお声を聞いたりしております。そういういろいろな地域の方で、元気が出るというようなお声もいろいろ聞いておるところでございます。
ではこの33の近代化産業遺産群というものを今後どうしていくかというのは8ページでございます。近々、今月30日に、この近代化産業遺産群33というものを公表いたしたいというふうに考えております。それから、さらにこの近代化産業遺産群を構成いたします個々の近代化産業遺産につきましては、これは575、33のストーリーの上に575の近代化産業遺産が乗っておりますけれども、その所有者の方々に対しましては、認定証とプレートを授賞したいというふうに考えております。それから、同日、これ自体も近代化産業遺産の1つでありますけれども、横浜の赤レンガ倉庫の方でシンポジウムを開催するということにしております。
9ページのところでございますけれども、これはプレートのデザインでございます。こういうプレートを大体575、ほうぼうの近代化産業遺産にはっていただくというようなことを考えております。これはまさに個々の近代化産業遺産ということではなくて、ちゃんとシリーズでシリアルに載っているんだよということを強調したいがために、こういう統一的なロゴも考えて地域の方に提供していくということを考えております。
それから、さらに10ページでございますけれども、ではこの33の群を使って、今後、どういうふうな施策展開をしていくかということでございますけれども、1つは、この33のストーリー以外のストーリーの公募、追加ということもありますし、さらに継続的にストーリーというものを充実させていただく。それも地域の人々の手でみずから充実させていただくということが1つあるのかなということを考えておりまして、そのためのシステムを検討中ということが書いてございますけれども、これは例えばウィキペディアのようなシステムというのを考えて、地域の人々が今の33のストーリーをちゃんと肉づけしていくというようなことを考えております。
それから、2つ目には、週刊誌等いろんなメディアを通じてさらなる普及を図っていくということ。それから、3番目は、中小企業の地域資源活用促進法の枠組みを使って、この近代化産業遺産というものを活用して、地域資源に指定をして、それを活用していかれるということに対して支援をしてまいりたいというふうに思っております。
それから、4番目でございます。これが今後の一番の柱になると思いますけれども、まさに近代化産業遺産というのを持続的に保存して活用するためには、ビジネスモデルを地域でつくっていただく必要があるというふうに考えております。
近代化産業遺産、それ自体、文化財として直ちにその価値が認められて、その保存の手当てがなされるというようなものは数少ないわけでございまして、そういう近代化遺産を保存していくためには、やはり地域の方で、それを活用してビジネスモデルができて、ちゃんとそこで対価をかせいで、それが保存につながっていくというシステムが必要だというふうに考えておりまして、そういうものについて研究をしていきたいというふうに考えております。
11ページの方は、その前提になる今の問題意識ということでございますけれども、1つには、地域の方であらゆるものを残しがちだということでございまして、厳密に全部とっておくものと、それから、利活用するものと、あるいは廃棄するものとちゃんと仕分けて費用対効果を考えてやるということとか、あるいはそれを使っていろんな近代化産業遺産の情報を提供していくときに、これはまさに今、単体で情報を提供するというようなことではなかなか対価を取るというクオリティーが得られませんので、ほかの産業遺産と組み合わせて、きちっとストーリーに沿って学習できる対象にするとか、そういう形でクオリティーを高めて対価のとれるものにしなければいけないのではないかな。そういう問題意識を持っておりまして、そういうところをクリアするビジネスモデルの開発というものをやっていきたいと思っております。
12ページはそのイメージでございますので省略をさせていただきます。
それで私どもこういうことをやっている過程で、3ページの方の33の遺産群をつくりましたが、その過程で、15番のところで、これは非常にいい遺産だと思っておりますけれども、優れた生産体制等により支えられる両毛地域の絹織物業の歩みを物語る近代化産業遺産群というのがございまして、両毛地域というのは上州と下野、群馬と栃木でありますけれども、これは群馬の桐生と、栃木の足利を結びつけるストーリーでございます。
きょう、その一方の桐生の方から、北川館長においでをいただいてお話を聞くことにしておりますが、北川館長の方は、桐生にノコギリ屋根の絹織物の工場がございますけれども、それを活用されて、クリエーターズファクトリーというクリエーターの居住空間みたいなものをつくっておられる。そこの館長でございます。
さらに桐生の商工会議所が中心になって、ファッションタウン桐生というまちづくりの推進協議会がございますけれども、そこの運営委員長もされております北川館長においでいただいておりますので、あとは北川館長の方からお話をいただきたいと思っています。

大西分科会長
それでは、北川さん、よろしくお願いします。

北川館長
御紹介いただきました桐生市からまいりました北川でございます。
時間がありませんので、かいつまんでダイジェスト版の様な形で御紹介をさせていただきます。古屋企画官様には、過日、桐生においでいただきまして、御講演をいただいたり、御調査をいただきました。本当にありがとうございます。また、きょうは桐生ということで御指名いただきまして、いろいろ報告をさせていただくことに大変感謝申し上げております。
桐生は、御承知のように織物の産業都市でありまして、今、古屋さんがお話になりましたような、織物に関する産業遺産がたくさんあります。戦災にもあわなかったものですから、非常に今でもたくさん残っております。また、織物産業が構造的な不況があったものですから、そういう形でリニューアルというか、スクラップ・アンド・ビルドが行われなかったということで、いろんな産業遺産といわれるもの、近代化遺産が残っている宝庫都市であります。恵まれた環境ですから、今、ちょうどそれが活かせるということになりました。お手元に桐生地域における近代化産業遺産を活用したという紙がありますので、これを中心に御説明しながら進めていきたいと思います。
まず1番目に、ノコギリ屋根についてということでございますが、桐生の近代化産業遺産、いわゆる織物産業遺産のうち、現存するノコギリ屋根、建造物の現況はおよそ220棟程度であります。平成元年の調査では312棟ありましたので、16、17年で100棟は解体処分されたことになります。桐生は、一番隆盛のときには1,000軒以上の工場がありました。その中の半分以上がノコギリ屋根でした。ぎざぎざのノコギリ屋根です。これがあったのですけれども、どんどん取り壊されまして、今、危機的な状況にありますということです。これでも今、調査してみますと、現在、世界一の集積度ということになっております。まさに日本の近代化を支えた産業遺産ということで非常に誇りに思っておるところです。
2番目ですが、地方の自立とストックの活用ということで、地方が自前で生きていくために、環境問題や持続性の視点でストックを活用することが、個性的自立のためには最も重要であるという認識から、桐生のノコギリ屋根の活用を考えてまいりましたということで、古いものを壊して新しいものをつくるという時代ではないんだということを認識して、産業廃棄物も出ないし、こういうストックを活用していこうということでございますが、これは実は平成に入りまして、桐生でまちづくりの動きがありまして、そういう中で、そのムーブメントの中で気がついたわけです。これは実は平成4年に、もとの東大の名誉教授だった村松貞次郎先生が桐生に来て、こういうことを御示唆いただいたわけです。そういうことで、ほとんど古いもので、きたない工場なんてだれも気がつかなかったのですけれども、ここではっというふうに気がついて、いろいろと活用法のことを考え始めました。
3番目が桐生型の活用法ということで、1,000年にわたり織物産業で伝統を培ってきた桐生は、デザイン性に優れた超上質な布づくりが行われてきましたので、総合的な繊維産業の底力と高い文化性、創作性などの都市のDNKが存在しています。また、先人の教育にかけるエネルギーは、現群馬大学工学部を一地方に生みましたということで、これらの特性を活かすことに注目をいたしました。
4番目ですが、21世紀を生きる先進国の役割として、桐生には、1つ、文化・芸術・デザイン・コンピュータグラフィックやインダストリアルデザインなどの文化産業力、それから、超最先端の科学技術系の研究開発型の事業の地場産化、さらにこれらと世界遺産レベルのストックの融合からの都市型の新文化産業観光と名づけていますけれども、これは御説明しないとわからないのですが、ちょっと後で時間がありましたら御説明します。こういうようなものの複合的なまちづくりがにあうというふうに思っております。まさに知的で生産性の高い創造発想型産業の集積する街として、先進国日本のモデル都市としての役割を牽引できる都市となる可能性を秘めていますということで、こういう形に少し突然変異をさせようということであります。
それから、5番、ノコギリ屋根の活用ということですが、先進国がなすべき産業の中で効率性の高いコンパクトな知的地場産業の振興を考えたとき、ノコギリ屋根の建造物は最適な要素を持ち合わせているといえます。つまりデザイン性が高く、高度な技術と上質な布づくりの生産性など平和産業のものづくりをベースとした芸術と科学が融合した産業史が桐生のノコギリ屋根にしみ込んでいます。芸術、工業、科学、教育、文化などの全方向オーラが渦巻いていて、感性の高いクリエーター(文化、芸術、デザインコンテンツ、科学者、その他)にとっては、この中で創作・発想活動は、そのオーラを背に受け、エネルギーと対峙してさらなる高まりの中で創造・開発・研究等を続けることになります。特に桐生は山に囲まれ山紫水明のところですから、そういう天然の環境も非常にいいことであると思いますけれども。
6番目、集積する力で世界平和をということで、桐生にこれらのクリエーター達が次々と世界中から移住してきて集積が始まると、美しく、新鮮な山紫水明な天然と相まって、クリエイティブな活動のマグマが国際社会へ大きく影響していき、ヨーロッパを越えた日本型を示唆していくことになります。150棟のノコギリ屋根に例えば5~6人のクリエーターが入りますと、800人程度の知的バレーの街というふうになります。800人はその周辺に何千人の家族、知人、友人、先輩、後輩がついています。まさに20世紀型の工場誘致を越える人財あるいは地財誘致による産業発展と国際的な人財の集積による世界平和運動というようなものにつながっていくというふうに思っております。
7番目、最後ですが、無鄰館による実践ということで、これは別紙参照とありますが、あとで無鄰館がこういうコンセプトで運営しているよというのがありますので、これはあとでごらんいただきたいと思いますが、無鄰館はビジョンや夢で終わってしまわないように、上記コンセプトのもと1999年から実践が始まりました。現在は彫刻、油彩画、服飾デザイナー、バイオリン制作、バーブの講師、建設設計等9人のクリエーターたちにより活動が行われております。今後の課題は、桐生市内のノコギリ屋根の保存とか保全、それから、外国人や科学者たちのクリエーターによる活用の促進、それから、国際社会への情報提供などとなっております。こういうことで概略説明をさせていただきました。
あと映像で見ていただきながら、桐生の現況をカラーでお見せしたいと思います。こちらの方は、桐生商工会議所の総務課長の石原が一緒に来ておりますので、その映像を見ながら説明をさせていただくことにいたします。石原さん、よろしくお願いします。

石原桐生商工会議所総務課長
それでは、映像を中心にごらんになっていただきたいと思います。お手元の資料とこちらのプロジェクターを合わせてごらんになっていただきたいと思います。
桐生のノコギリ屋根工場、いろんな形がございます。数は先ほどの資料では220という話もありましたが、平成16年の調査では237棟ございました。ただ、その後かなりのスピードで壊されていますので、今、230は切っているような状態にあると思います。
それでも数は日本一だと思います。三河地方ですとか、一宮ですとかそちらにかなり多いという情報は入っているのですが、確かな数がほかの地域がわからないものですから、桐生は日本一であろうというふうに自負をしております。そのデザイン、意匠は、すべて異なっております。こういうものづくりのためのいろいろな形がございまして、桐生の市内全域に広がっております。こちらの方はレンガづくり、これは桐生に1棟しかありません。レンガづくりの工場。こちらの方は、かなり郊外の山里の中にありますかつての織物工場の寄宿舎ですとか工場、住居、これは一体となった風景をこういうふうに示している工場もございます。こちらの方は大谷石という素材でつくられた工場であります。これは現桐生商工会の会頭が使っている建物であります。こちらはちょっとごらんなりにくいと思いますが、右と左に対峙してノコギリ屋根が相対応しているのですけれども、日絹織物といいまして、右側が古い工場であります。左側は4、5年前に新しくつくられたものでありまして、その目的は、お年寄りのデーサービスのセンターになっております。こういう形をつくることによって、お年寄りが過去の郷愁をよびさますといいますか、そういう癒しの目的でもってこういう建物も新たにノコギリの目的ではないのですけれども、つくられております。こちらはちょっと小じんまりした工場であります。こちらももう既にくち果てそうなものを、東京芸大のアーティストたちがボランティアで直した。桐生再演という、これは街とアートの融合のような、越後の方でアートトリエなりをやっていますが、これを桐生では13年前からやっておりまして、そのメンバーたちが直した工場になっております。
活用事例なんですけれども、繊維産業で現役の工場ももちろんございます。こちらの方は後藤織物といいまして、明治3年から帯をつくっている工場です。今、七五三の帯、最近では「さゆり」という映画の帯をつくったということでも結構知られております。
博物館、資料館、こういう形で使われている工場もございます。織物参考館 紫というものでございます。ギャラリー、工房、これが桐生森芳工房、先ほど言いましたアーティストの拠点になっている建物でございます。ここで東京芸大の学生さんやアーティストたちが、再演の時期は、ここでかなり拠点的に活動して、普段は子供たちの美術のワークショップですとか、そういうものをやっております。
美容室に使っているヘアーメイク アッシュ、これも古い大谷石の工場ですけれども、結構これが若い人たちに人気を集めていまして、そういう若者たちの1つのにぎわいの拠点になっています。こちらも大谷石なんですが、自動車の博物館になっております。これは桐生のお医者さんなんですが、こういう方がコレクションをしていまして、ノコギリ屋根を使って日曜に開放をしております。こちら飲食店、豆腐料理の店、おそば料理の店、こういう活用もございます。これが北川さんの無鄰館の全景であります。大正年間につくられた絹織物の工場がもとになっております。クリエーターズファクトリーという形で活動をしております。こちらが入り口にあります無鄰館に工房を構える作家の方々の看板なんですけれども、いろんな方があります。
例えば彫刻家、これは丸尾さんという方なんですけれども、彫刻家の方のアトリエ、北側に採光窓があるのですけれども、これが間接光で非常に創作活動にはいいという評判であります。テキスタイルのデザイナー、若い人ですけれども、岩田さんという方の工房であります。バイオリンの制作工房、伊藤さんという方、この方は最近入られたのですけれども、ここでオリジナルのバイオリンをつくっております。
ハーブ工房ということで、ハーブの工房としても使われております。中には大きなスペースですので、仕切りをして、いろんな目的に沿って、ラウンジですとか、ホールですとか、こんなふうにつくっております。ですから、小さな集会等では、こういうところでいろんな会議等もできるようになっております。こちらの方は展示会の場面なんですけれども、こういう展示会もときどき開催をしております。
裏庭はハーブ作家がおりますのでハーブガーデンになっております。こんな形でかなりいい雰囲気のハーブガーデン、ちょっとお茶も飲めるような形にもなっております。いろんな方が訪れております。
こういうことで、いろんなお客様、視察の方も多いのですけれども、こういうノコギリ屋根の使い方にしても、かなり無鄰館が桐生の中でも一番先鋭的といいますか、そんな使い方をしております。こちらは裏から見た全景なんですけれども、こういうノコギリ屋根であります。そういうクリエーターたちのインキュベーションの場としても機能しておりますし、桐生商工会議所としても、その辺の使い方を期待をしております。
以上、ちょっと写真の方を中心に御説明を申し上げました。
以上です。

北川館長
ありがとうございます。
それでは、よろしくお願いいたします。

大西分科会長
ありがとうございました。
それでは、近代化産業遺産と、それから、今、事例の1つとして桐生の事例を報告していただきました。御質問、御意見のある方はどうぞ。

渡辺委員
大変すばらしい事例の御発表をいただきましてまことにありがとうございました。参考にさせていただきたいと思いますし、お話の中で出ました愛知県の一宮をちょっと想像しておりました。全くそのお話が出たわけでございますので、大変喜んでおる次第でございます。
質問は、こういったことに対して現在、建物が多分随分古いと思うのですね。それに対するいわゆる維持とか、例えば地震対策であるとか、あるいは冷暖房の関係での費用とか、こういったことに対する商工会議所さんの関わりとか、あるいは行政、地方自治体の関わりということに対しまして、どういった形でやっていらっしゃるかをお伺いしたいと思いまして、お願いいたします。

大西分科会長
お願いします。

北川館長
大変シビアな御質問で、まさにここのところを一生懸命、今、悩んでいるところであります。私のところでは、もちろん雨漏りもしますし、土台も腐り、いろんなことがありまして、これは現在は全部自費で直すしかありません。特にそういった補助制度もありませんし、実は地域のいろんなファンドみたいなので、あるいはまちづくり会社みたいなのとか、そういうもので資金集めをしながらやりたいなということもあります。この維持は、固定資産税も、結構広いところが多いものですから、そういうものに対しても非常に大変な思いで、まだ解決策、特効薬は何もありません。
市の援助あるいは商工会議所の援助というお話ですが、これも全く今のところは期待なしであります。ただ商工会議所としては、いろんなボランティア活動の中で、例えばお掃除隊を組んでみたりとか、そういうような形の関わりはしておりますけれども、いずれにしても個人の所有が多いものですから、なかなかその辺が難しいという現状であります。

渡辺委員
どうもありがとうございます。

松原委員
私も大変興味深く聞かせていただいたのですが、北川さんに1つと、それから、古屋さんに1つお尋ねしたいのですけれども、最初に北川さんにお尋ねしたいのですが、保存という言葉をあえて使っていないのか、どういうふうに考えていらっしゃるのかなんですが、保存と活用と、いろいろ両方あって、両立する部分もあるでしょうし、両立しない部分も結構あって、ここでは主に活用という言葉を使われているかと思うのですけれども、その辺のある種の文化財的な要素だと、かなり保存というのが重要になってくると思うのですけれども、お聞きしていると、桐生の場合にはどちらかというと積極的に活用しよう、地域活性化に使おうというようなニュアンスを多く受けるのですけれども、そういうような話になっているのか、それともやはり保存といったようなものを重視もされているのか、その辺をちょっとお尋ねしたいのですが。

北川館長
その件について、文化庁さんなんかは、もちろん保存ということで、それから、ただ、先ほど私がちょっとお話し申し上げました村松貞次郎先生が桐生に来て、いろんなまちづくりの示唆をいただいたときには、古いものを残せ、残せという今までの文化財行政で、いろんな疑問があった。ところが活用すれば残せるんだよというようなことをお話しいただいたので、そこで活用ということに踏み切りました。
ただ、今回、世界遺産のからみがありまして、御承知の富岡製糸場とか、シルクカントリーということで、桐生がまだ暫定リストには載っていませんが、いずれ挑戦するかと思います。そういうときには、文化財的な保護がないとなかなかそこに向かっていけない。それでさっき映像で出ました森芳工場という東京芸大の方々がリニューアルしました。これは全面改築しまして新しくなりました。これは当然文化財というふうに認識されません。こういう問題もありますし、ただ、文化庁の建造物課長をやっていらっしゃった宮沢先生のお話ですと、保存しなければ活用もできないということで禅問答みたいな話になっています。ですから、保存が先か、活用が先かという、卵と鶏みたいなもので、いずれにしても、まちづくりについては、その両方を一緒に進めていかなければならないという形で今、取り組んでおります。よろしくお願いいたします。

松原委員
もう1つ、古屋さんによろしいでしょうか。
リストを33あげられて、私も関心を持っていて、イギリスの例えば産業遺産の保存であるとか、フランスあたりでももう大分前から議論にはなっている話だと思うのですが、非常にフランスあたりでも批判の意見などもあるようでありまして、それはむしろこういったようなものが数が非常に多くなってきていて、先ほどの保存ともからんでくるのですけれども、本当に力を持ってくるような近代化遺産というか産業遺産というものは、そんなに1つの国にたくさんあるわけではなくて、そういうもの自身の絞り込みといいますか、そういうものがある面では必要なのかなと私自身は思っています。
それでお聞きしたいのは、ストーリーをつくられているわけですけれども、桐生の場合はかなり地域が限定されてくるのですけれども、このストーリーになりますと、かなり地域的に離れたものを、いわば点と線を結ぶような形で33あげられているかとは思うのですけれども、地域活性化のときに、特にイギリスなどではツーリズムがNPOなどと運営していて、そこにお金がかなり入ってきて、そのお金が地域なりに回っていくような形で保存と活用がうまくいっているようなケースというのも聞くのですけれども、そういう面でいくと、かなり地域的に離れたものになると、どういうような形で、指定はいいのでしょうけれども、これから地域活性化につなげていくときに、どういう戦略を考えられるのかなというのをお聞きできればと思うのですが。

古屋統括地域活性化企画官
ツーリズムという観点で申し上げますと、非常に広域、ストーリーでつながないと、ツーリズムの意味もなかなか伝わらないわけで、何のために見に行くかというのはよくわからないので、ストーリーでつなぐということは必要なんですが、ストーリーでつなぐ結果、非常に広域的な場合もあり得るわけです。
そのときに、ちゃんと順序だてて広域的に人が動けるようにちゃんと情報提供ができるかどうかということは非常に重要だろうと思っておりまして、すなわち個々の地域的に離れていても、1つのところに行って、次へ行きたいと思ったときに、何月何日に次ここで何々の講座がありますよというようなことがちゃんと一元的にワンストップで入ってくるというような、そのシステムを含めて、そういうものの整備が必要かな、そういうふうに思っております。

松原委員
イギリスなどの事例とかいうのは参考にされて、こういう話になっているのでしょうか。

古屋統括地域活性化企画官
ヨーロッパの方は、まさに今回、プレートを整備しようというのはそういうことなんですけれども、産業遺産の道というようなものがヨーロッパでございまして、EUの中のいろんな国で統一的な基準でもってそこを訪ね歩くというようなツーリズムがございます。これはかなり広域的な話でございます。
それと比べると、日本ですから広域的でもないわけですが、そこは参考にしております。

松原委員
ありがとうございました。

中西委員
古屋さんにお尋ねしたいのですが、今、松原先生と関連があるような感じがして、聞いていました。どうしてもこういう遺産に認定を、第二次されるということでございましたですけれども、観光資源として、地方の地域としては使いたいということが前面に出てくると思うのです。そうすれば、やはりそれの保存と維持管理、あるいは自治体が、先ほど言われたように、補助金とか、保存に関してのそういう金銭的な補助というようなものは余りなされていない。ただ、地域としては、認定されれば、観光資源として保存をしていき維持管理をしていく。そのためにいろんな補助といいますか、そういうものの考え方は今のところ持ってないのかどうかということをお聞きしたいと思います。
先ほどツーリズムという言葉が出ておりましたが、観光とツーリズムを加え、それに文化財的なものも多種多様に組み合わされると思うのです。そうすると、そういうことの自治体と国との補助関係みたいなものは今後どのように考えているのかなというふうに感じるのですが、この辺、いかがでございましょうか。

古屋統括地域活性化企画官
補助の関係で申し上げますと、まず国との関係でいきますと、大体大きくいって2つあると思うのです。1つ文化庁の重要文化財で行われているような、非常に文化的な価値が高いものについて、何も改造せずにそのまま保存してください。そうしたら半分補助金が出ますという、そういうやり方があるわけです。
もう1つは、それを使って、改造するなりして、活用し、それが対価を取れるようにしていくというような使い方があり、その場合には国から補助というのはあまり出ないんだけれども、自分のところの地域で金を生み出していくビジネスモデルができている。そういう2つのやり方があると思うのです。
私どもが今考えているのは、後者のお手伝いをしようかという方向で考えている。地域支援活用促進法というのはございますけれども、その場合だと、例えば近代化産業遺産を地域資源として都道府県の方でちゃんと構想の中で位置づけて、それを活用して、例えば中小企業がそれを使っていろんなビジネスをつくっていくときに、さまざまな局面でマーケティングとか、いろんな面で支援をしていく枠組みがございますので、そういう形の支援というのは私どもとしては考えている。そのものの保存について半分出すとか、そういう方向ではなくて、むしろそっちの方で考えている。今、そういうことです。
問題なのは、今回、33で非常にいいものだというところの掘り出しは進んだわけであります。今後、地域の方で、おっしゃるように、さまざまなバリエーションがあると思います。近代化産業遺産の中で。重要文化財的に取っておかなければいけないものと、それから、それを改造して利活用するものといろいろバリエーションがあるので、そこをきちっと仕分けていくということがまず必要になってくるので、そこのところは地域の中で独自にというのはなかなか難しいかもしれません。そこのところをまず第一弾として後押しをしたいというのがビジネスモデルをつくっていきましょうという、そういうことでございます。

鈴木(直)委員
地域の問題を考える場合に、そこにどういう資産があるかどうかという観点で、ちょっと例でいきますと、例えば米沢とか、浜松とか、そういう地域が非常に発展しつつあるわけですが、1つは、いずれも高等専門学校が昔ある。きょうの桐生のお話もそういう視点でいきますと同じだと思うのですけれども。つまり人材を育成する高等専門学校がある。かつまた米沢の場合は、そこに東大を出た直後の若い先生方が先生として赴任して、その人たちが人造繊維という新しい技術を開発して、いわばベンチャーを興しているわけです。それは今のテイジンになっているわけですが、いずれにしろ、申し上げたいことは、単に遺産を、もちろん交流人口をふやすという形で活かしていくというのはいいのですが、同時に地域をどのように将来、発展させていくかという視点からいって、やはりそこには人材とか、技術だとか、いろんなものが蓄積されているという視点、そういう点と同時に、今、申し上げた工業高校、今でいいますと静岡大学工学部だとか、山形大学工学部とかというのがあるわけで、それがある意味で非常に地域の発展の源泉になっているわけなんで、金沢でも、福井でも、あるいは広島の福山でも、みんな新しいベンチャーがどんどん発展している地域というのは、みんなそういう地域なんで、そういう現在のベンチャー育成みたいな話と、こういう遺産とうまく結びつけたストーリーも同時に考えていただくと、現代のいろんな大きな流れとマッチしてくるような気がいたします。

大西分科会長
ありがとうございました。
いろいろ御意見をいただきましてありがとうございました。
私も感想を一言述べさせていただきますと、結構ストーリーをつくって、松原先生、御指摘のように、地理的にはかなり飛んだところへストーリーがつながっていっているということですが、見方によっては、それぞれの地域で、このストーリーとは違うストーリーも組み立て得る、つまりその地域にどういうふうにして当初出てきた産業が根をはっていったのかというふうに考えれば、地域史として、ある地域でずっとストーリーを組み立てていくなんていうこともできると思うのです。
そういう意味では、ストーリーが結構多様であり得るのかなという気もするのですが、そういうときにやはり何といっても、何かものが残ってないとストーリーも組み立てにくいので、どうやって、ものの残し方も、世界遺産なんか見ていると、文字どおり文化財として残してきた経緯もあれば、シンボリックな、ユーゴスラビアかなんかで橋を復元したという例もあるのですね。戦争で破壊された。もともと世界遺産も戦争で破壊されるのから遺産を守るということだから、破壊されないものは守れたのはいい例ですが、破壊されてしまったものもあって、それは復元したりもしている例もあるようですので、そこは位置づけが歴史の中でいろいろ変わってきているように思います。
もちろん貴重なものが残っているのを保存するということも大事だけれども、いろんなバリエーションがあって、そこは地域がどういうふうにしてそこを位置づけられるか、あるいはそのことを世の中にアピールできるかということにかかっている面もあるように思いまして、そこの第一段階として、こういうのが指定されたというのは非常に新しい方向を打ち出されていいことではないかなというふうに思いました。
経産省的にいうと、単に文化財として鎮座ましますということよりも、活用して現代の発展に結びつけるといいますか、活性化に結びつけるという説明もあると思いますので、いろんな活用方法を考えていただくといいのかなというふうに思います。

企業立地促進に向けた取組みについて

大西分科会長
それでは、きょうはもう1つ話題がありまして、企業立地促進に向けた取組みについてということで、企業立地支援センターの活動についてというのがありますので、そこに移りたいと思います。
北川さん、どうもありがとうございました。
それでは、最後の話題ですが、これは鈴木直道委員よりプレゼンテーションしていただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。

鈴木(直)委員
昨年のこの審議会で御答申があって、それで新しい法律がことしの春できまして、その実施段階に今、入っているわけでございますが、お配りしてございます資料の第1ページにございますように、この法律そのものは各地域が地域の将来を担ったグランドデザイン、いわゆる地域活性化計画をつくって、認定を受けて、それに基づいて地域に進出した企業に対していろんな助成をし、人材育成補助をするとか、いろいろ政策を進めておられるわけですが、それをある意味でバックアップする仕組みということで、この企業立地支援センターという仕組みをお考えになったわけです。
その事業につきましては、ここに書いてございますように、私の立地センターと、お隣の中小企業基盤整備機構が共同で提案をいたしまして、仕事を実施しているわけでございます。
企業立地は、企業と、誘致活動をなさっている地方自治体、あるいはその関連団体との間の問題でありまして、企業はいい適地を探し、地方自治体は自立のために何をやるかということを必死に今、考え、その一環として企業立地を進める。こういう政策でございまして、我々が今、ここで考えております企業立地支援センターというのは、その主役ではございませんで、まさに脇役ではございますが、それをバックアップするという仕事で、今、スタートしたばかりでございます。
これに入ります前に、この政策がいかに意味があるかということをちょっと簡単に御紹介したいと思うのですが、工場立地動向といいますのは、ずっと御存じのとおり、不況の間、低迷しておりまして、平成14年が底であったわけでございますが、平成15年から工場立地件数がふえてまいりました。世の中のいわゆる民間設備投資の流れとほぼ一致するわけでございますけれども、ただ、企業立地の流れとしては、平成16年、17年は非常に大企業中心の地方展開がスタートした時期でございまして、立地件数よりは取得した面積、面積と件数と両方統計数字が私どもあるのですが、面積の伸び率が非常に高いのです。すなわち大企業が地方展開を始めた時期でございます。昨年、つまり平成18年から実は件数の伸びよりは面積の伸び率が下回る、すなわち中小企業、あるいは中堅企業が地方展開を始めたのが昨年からでございまして、ことしの前半も同じ傾向は、大変いいことでございます。続いているわけでございます。
その企業立地の場合、大企業の場合は当然自分のリスクで、必死でコストをかけて、どこへ立地するかを検討されるわけですが、中堅・中小企業の場合は、当然ながらそれが難しゅうございますので、当然私どもがお隣の中小企業機構とともに、いろんな情報提供をする。あるいはコーディネーターとしていろんなお願いをするというようなことの役割が当然ながらふえてきておりますが、そういう段階で、この組織ができたということでございます。
かつまた大企業の場合は、非常に大規模な土地を最近は取得されます。従来の常識とちょっと違うのでございますが、よくお聞きいたしますと、当然ながら不況を脱しまして、7カ年計画とか、5カ年計画、中長期の計画を大企業はお立てになって、非常に戦略的な投資をやられますので、第1工場だけの土地でなくて、第2工場、第3工場という非常に広い面積の土地の取得を企画されるわけでございます。非常にその辺になりますと全国的には難しいわけでございますけれども、そういう場合に、後でちょっと御紹介いたしますが、既に農地になっている地域などを含めまして、大きな土地の獲得というのを目指しておられる方が非常に多いというようなことでございます。
もう1つは、企業立地は、関東、北関東とか、近畿の大阪の周辺とか、いわゆる大都市周辺が今、活気を呈しているわけで、群馬県、茨城県、あるいは埼玉県。ところが昨年からそれを乗り越えて福島県あるいは山形県というあたりに東京、この辺の地域でございますが、企業立地の広がりがございまして、そういう地域は、当然ながらどう対応するかということで、いろんな情報提供を中小企業に対してする必要が出てくるわけでございまして、申し上げたいことは、非常にこの企業立地サポート機構というものが果たす今の役割は非常に大きくなってきているということです。
1ページの一番下に書いてございますが、サービスする対象は企業と自治体でございますけれども、企業の方は、下に書いてございますように、大企業の方々は当然ある程度準備なさっているわけですが、中堅・中小企業の場合は、いろんなこういうアドバイスが必要でございますし、自治体に関しては、従来は都道府県が中心になっておられたのですが、御存じのとおり市町村合併が進みまして、現在の企業誘致の主役は、いろんな全国の市でございます。ところが市は合併したばかりで人材不足でございますし、いろんな支援を皆さんが必要となさっているというようなことで、今、私どもが対応している点は、中堅・中小企業と市というところが中心になっているわけでございます。
左の上に書いてございますように、全国10地域に一応ブロック分けいたしまして、いろんな専門家を配置いたしまして、アドバイス等々をやるわけでございますが、ちょっと1枚開けていただきますと、大変申しわけないのですが、個人の名前がずらっと書いてございます。どういう人たちがこのサービスを担当しているかということで、目的は私どもはワンストップサービス、この方々ができればあらゆる問題について対応できる。もちろんできない場合は、その人たちを活用するわけですが、ごらんのように、銀行御出身の方、ゼネコン御出身の方、あるいは商社御出身、電力会社、商工会議所、あるいは建築士、あるいは元地域公団の方、シンクタンクの方、つまりあらゆる分野からお願いをしているわけで、この方々はこちらが御指名したわけではなくて、実は全国に応募をお願いをいたしまして、公募いたしまして、応募された中から選ばせていただいた方々で、地域ごとのトップの方、いわゆるプロジェクトマネージャーとして働いておられる方は、今、こういう方々が中心になって、それをサポートするいろんな人が下におられるわけでございます。
その次のページを見ていただきますと、現実にどういうことになっているかというのはもう既にお話をある程度しておりますが、やはり市町村、自治体の中では、今、既にスタートして5カ月ぐらいになりましたでしょうか。約500件の御相談があるそうでございますけれども、企業ももちろんいらっしゃいます。中小企業の方はたくさんいらっしゃいますが、今、主に対応しているのは市町村の方々なんですね。これは先ほどちらっと申し上げましたが、その地域で産業政策をやるというのは今まで市の方はやったことがない。都道府県にお任せしていた。あるいは国に任せていたという面があるのですが、どんどん体制は自治体の方も変わってきまして、むしろ市町村レベルが主役になってきているわけです。
ところが先ほどちょっと申し上げましたように、まだ経験不足でいらっしゃる面が相当おありのようでございまして、非常に私どもに頼ってきておられるということでございます。
相談内容は多種多様にわたるわけでございますけれども、いろんな規制関係等々が中心になっているわけでございますけれども、用地の選定まで企業の方は依頼されてきているというような面もございます。また、市町村の場合は、こういう需要が急にふえてきておりますので、どのような形で団地開発をしたらいいかとか、そんなことまで御相談にいらっしゃっております。
次のページを見ていただきますと、一番いろいろ問題になりますのは、やはり従来からございます、それぞれがいろんなほかの目的を持った規制でございます。農地の関係、都市計画の関係、文化財、建築基準法、あるいはアセスメント等々いろんな面がございまして、それぞれをどううまくクリアしていくか。私どもの企業側から、あるいは市町村からいらっしゃる方々はスピード、すぐ返事をしなければ、企業はほかへ行くよとおっしゃっている。したがって、速やかにいろんなことを解決してほしいというスピードというのは非常に重要な要素になってきておりまして、ここに書いてございますいろんな規制の関係も、実は各地域で関係省庁の方がブロック会議を開いていただいて、そこで議論して、最終的な結論をお出しいただくというような仕組みが既にできておりますから、そこを大いに活用していただければと思いますけれども、右の欄に書いてございますように、従来でございますと、これはどうも難しいということで断念するようなお話も、支援センターに来て、支援センターの専門官がいろいろ関係省庁にお願いに行き、方法論を議論し、いよいよどうも動きだしたというような面もあるようでございますので、きょうも各省からいらっしゃっておられますが、ぜひ地方の方々におっしゃっていただいて、スピーディーに解決していただくというのをポイントに、できないことはできないで当然ながらやむを得ないのですが、ちょっとでもできる可能性があれば、できるという方向でスピーディーに解決していただくということが非常に重要ではないのかなというのが私どもの感じでございます。
いずれにしろスタートしたばかりでございますけれども、地方は最近の財政事情その他からいきまして、どんどん地域の自立といいますか、活性化とか、きょうの文化財遺産をいかに活用するかというのは1つの方法論ですし、もちろん農業と工業との連携というのも非常に大きな主題ですが、企業を誘致するということも1つの重要な手段として大いに考えているということで、こんな仕組みができたということを御紹介したいと思います。
ありがとうございました。

大西分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、今の企業立地支援センターの発足と、その活動についての紹介だったわけですけれども、これについて御意見、御質問がありましたら。

松原委員
大変御苦労されている話をお聞きしまして、こういう企業立地促進法を推進していく上で、非常に重要な役割を果たしていらっしゃることがよくわかりましたが、前回、ちょっと時間が足らなかったので、企業立地促進法の説明をされて、質問したかったことがあったのですが、それと関連するのでちょっと話をさせていただきたいのですけれども。
企業立地促進法、私は非常にいい法律だと思っておりますけれども、いろいろな1号、2号合意のところで出てきたもので、空間的なスケールを見てみますと、1つは県を中心にした単位のもの、それから、県を割るような形で2つ、3つに分けるようなタイプのもの、それから都市ですか、点を中心にしたようなものというのが出てきていると思うのですけれども、ここでちょっと私自身としては、いろんな空間スケールが出てきて、また、その地域の側からいろいろな発想が出てきて、非常に多様な産業集積ができてくるのはいいことだと思うのですけれども、それにあたって、もう少し強化していくべきだと思うような空間スケールとして2つあげたいのですが、1つは、きょう、企業立地支援センターの設置のところで出ておりますいわゆる地方ブロックといいますか、広域ブロック圏域でのやはり県を越えたような広域的な連携で出てくるような産業集積といったようなものを私自身はやはり幾つか出すべきではないかというふうに思っております。
それにあたって、この企業立地支援センターの役割というのも、そういうものを担っていくということも期待できないかなというふうに思っております。
といいますのは、ここで出ていますように、各広域ブロックでプロジェクトマネージャーの方がいらっしゃるわけですから、その広域ブロックのいろんな情報というのをいろいろ苦労されて集められて、それを結局広域ブロックの中での集積をつくっていく上での新たな戦略なども非常に出しやすい環境ができているかな。
それから、関係の6省の連絡会議というのを今回、新たにつくられたわけですので、そういったようなものをもっと機動的に動かしていく。これは国土計画の方との連動というのもあると思うのですけれども、そういう意味では、広域ブロックでのやはり動きというのをもっと強めていただきたいというのが1つです。
もう1つは、今度は逆なんですが、非常に小さなスケールということになるのですけれども、どうも見ていますと、まだ1号、2号のところは、全体としてやはり県の計画といったようなものがかなり前提になった形の出方が多いかなと思っています。これから進めていく上では、もっと先ほど出てきたような市町村、その市町村の連合体のようなものということでいいますと、もっと下からいろいろな形で産業集積をつくるような動き、企業立地を進めるような動きというのがもっと出てきてもいいのではないかな。それが格差是正とか、地域の広域的といいますか、もう少し全国的に広がるような形での動きをつくっていくのかなと思いますので、その面でもこの企業立地支援センターの方の活躍に期待したいと思います。
要望になりましたけれども、以上です。

鈴木(直)委員
広域連携の話は、まさに大賛成でございまして、先ほどちょっと触れました。例えば米沢の経済圏は、当然ながら仙台、福島、郡山とか、その辺との広域的な関係が既にできているわけで、お聞きいたしますと、東北地区の方々も、知事さん同士がお会いになって、岩手県、秋田県、あるいはまた宮城県、福島県とか、その辺の連携で、なんとか自動車産業のクラスターをつくりたいという議論をなさっている。そうなりますと、当然ながら今、おっしゃったような広域ブロック的な連携が当然将来、必要になってくるわけですが、これは案外、やはり時間がかかるようでございまして、今、直ちに計画には出てきてないわけでございますけれども、各県のトップの方々の意識の中には、今、既に間違いなくそういうのが芽生えはじめていると私どもは理解しております。
2番目の小さなスケール、これは全く私どももミニクラスターといっておりますが、やはり産業クラスターをつくる場合には、当然ながらミニクラスターができて、それが相互連携をしながら、広域なクラスターになると思っておりますので、小さな集積、特色を持った集積をいかにつくるかというのは全く賛成なんですが、計画を作成する段階で、計画作成能力とか、あるいは時間の制約とか、いろんな面で、やはり県の方々の方がより今は力がおありなんで、県の方が市町村に声をかけながらやっておられる段階なんで、今、おっしゃったような形になっているのですが、数年たちますと、市町村も先ほど申し上げたように、必死になっておられますので、力がついてきますと、みずから何をやろうか。きょうも桐生市の方も恐らくそうだと思いますが、市として何をやるかという意識が非常に強くなってくる時代がくると私どもは思っております。

横田地域経済産業政策課長
事務局から2点補足したいと思いますけれども、松原先生の御指摘、非常にごもっともだと思います。鈴木委員からも御紹介があった東北6県の自動車の企業誘致に向けた動きとか、あるいは北部九州4県、やはり自動車産業集積をつくろうといった動きがございます。
あるいは東海3県、愛知、三重、岐阜の方で、これはグレーター・ナゴヤ・イニシアティブということで、むしろ外国企業誘致みたいなことを一体にやっていこう。既存の複数県連携の動きみたいなのもございますので、こういったものがぜひ企業立地促進法の中での基本計画策定に発展をしていただければいいなと思いながら、私ども働きかけといいますか、地域の主体性を尊重するというのが企業立地促進法の建前でありますけれども、推奨しております。
補助金の採択なんかにあたっても、法律の複数県連携のものを最優先で採択するといった方針にしておりまして、これからまた新しいものが出てくるとか、既存の基本計画が合併するような形でまとまっていくとかいったことがぜひ進んでいくことを期待しています。
それから、もう1つ、小さなスケールというのも私ども非常に期待をしておりまして、今、実は企業立地促進に取り組む市町村、20選ぐらいになるかなというふうに思っておりますけれども、そういったものを国として表彰するといったことを年末に向けてやっていきたいなというふうに思っております。きょう、御出席の三浦市長の佐久市も手を挙げていただいているのですけれども、恐らくそういった個々のきらりと光る市町村みたいなものが中心となってまた基本計画をつくっていただいたり、それがまた全国に広がっていくといったような動きになればなというふうに思っておりますので、そういったミクロの動きを推奨するといいますか、エンカレッジするような取組みも合わせてこれから進めていきたいというふうに思っております。

大西分科会長
今、4つ名札が立っておりますので、こちらから順番に御意見、御質問をお願いしたいと思います。

門脇委員
センターというより、ちょっと当地、北海道の北見というのも産業立地区の指定を受けて今やっているのですけれども、行政といろいろな形で施策をどうやるかという話の中でも、私も委員となってやっているのですが、1つは、いろいろ固定資産税を含めた行政で考えられるものはできるのですが、いわゆる国税に関する部分、これが今の立地法でいう66業種という、このしばりがあるということの中で、北海道はいろんな形のフードクラスターの中で、単独でやる部分もありますし、ある機能性のものの1つの研究所を誘致しようだとか、そんなような動きも仕組みとしてスキームをつくりつつあるのですが、食品の製造あるいは加工というようなところの部分が66業種に入ってないということでは、国税の、特に特別償却を含めた部分のメニューがつくれないという、そんな問題があるものですから、この66業種というものの見直しなり、あるいは北海道らしい1つの食なり、機能性という部分のものを含めて、その辺のところの問題がありますものですから、その辺の変更なり、あるいは拡張なり、あるいは特別な部分での地域提案としてオプションできるような、そんなことが可能であれば、もっと北海道らしい1つのメニューづくりができるかと思っていますので、質問になりますけれども、今後、こういう部分についての地域の要望を受けることが可能なのかどうか、その辺ちょっと質問したいと思います。

山本立地環境整備課長
事務局がお答えします。
今、御指摘の点でございますけれども、今、私ども経済産業省と農林水産省の間で、いわゆる農商工連携によります地域の活性化ということができないかということを今現在、検討してございます。
そのためのいろんな対策なりあるいは手段を今、検討しているところでございますが、もちろんその中には予算面での措置、それから、今、御指摘がありました税制の面、御指摘のように、企業立地促進法は、食品とか農商工関係の業種が対象になっておりません。したがって、こういった業種がこの企業立地税制の中で対象にできるかどうかといったことも含めて今現在、検討をさせていただいております。
できれば今年度税制改正になんとか反映できないかということで今、作業を進めておりますので、またその結果が出ましたら御報告をさせていただきたいと思っております。
いずれにしても対象に含める方向で今、検討させていただいているということでございます。

中西委員
企業立地促進法に基づく施策のもともとの基軸は、地方と都市部との地域間格差の是正ということが大前提であろうというふうに認識していますが、我々地方の人間も、これを何とか企業誘致に結びつけるべく力いっぱいの努力をしなければいけないということは当然のことだと思っているのですけれども、もともと産業インフラの格差がついている上に、全国自治体に一律に横並びにスタートということになりますと、財政基盤が整っている地域はそのままそれでスタート、基盤が整ってなくて、財政力がなかなか生み出せない地域、そして財政力がもともとある地域、そういうものも一律にスタートするということが格差是正につながっていくのかどうかということがまず第一の疑問でございます。
例えば11月19日の日経に出ておりますけれども、企業誘致の自治体からの補助金が高額化しています。最高は大阪府の150億円で、我々の鳥取県は力いっぱい頑張って30億円という格好になってくるわけです。企業誘致でせり合っていくということになると、どうしても財政力のある地域が企業の補助金を高額に出せるということは理の当然でございまして、高額に出していただければ、やはりそちらの方に向かっていくという流れがあって、最初から格差がもうついているところということは、いつまでたっても格差が縮まっていかない状況にあるのではないか。これでは競争にならないのではないか。
先ほど税制のことがございましたけれども、果たして平等にそれをすることが地域間にとって公平なのかどうかということを少し考えていただきたいなというふうに思いますのは、中小企業あるいは零細企業が多く集まる地域は、そのメリットをなかなか受け入れられにくい状態があります。例えば特別償却、設備が3億円で、建物が5億という投資が必要だ。それが対象になる。これをクリアできない企業が鳥取などはもう何%どころでなくて、すごく多い。それはクリアできなければ、それのメリットが受けにくい。
先ほど自治体の合併ということがございましたが、例えば米子市、企業立地の減免に対する交付税の措置というようなことで、財政力指数を市町村では0.67未満というような数字が出ております。米子市はたまたま0.69、微妙な数字になっておりますが、周りの町村は0.2前後なんです。何で米子がそうかというと、合併をして周りの町村から米子にただ集まってきている。人口増もそうなんですけれども、ただ、そうすると先ほど先生が言われましたように、広域的な視野でもってそういう考え方をしていただかなければ、10万、15万の市という考え方をしていただくと、ちょっとこれもメリットが受けにくいのではないかなというふうな感じがいたします。まだ質問になってないか、あるいは要望なのかもわかりませんけれども、この辺を十分お考えいただいて、どの地方にも分散ができるシステムというようなものを根本に考えていただいたらとってもありがたいなというふうに思います。

大西分科会長
ありがとうございました。
最後に事務局からお答えいただきます。

持永委員
私も実は今、中西会長がおっしゃられたことと全く同じというか、新聞記事、まさに懸念をしておりまして、今、自治体が非常に自治体独自の助成金を多額に積んで企業を誘致しようという動きがありまして、こういう新聞が出ますと、弱小の自治体、この前もある自治体の市長さんとお会いしましたけれども、あの自治体は補助金を10億出すのですよ、20億出すのですよ、うちはとても出せません。財政力格差がどんどんこれから広がる中において、財政力がないところには企業は来ないというようなことになるのは非常に懸念されるところであります。
ただ一方、企業が本当にどうやって立地を決めるのかというのは、本当の補助金の多寡で決まるかというと、実はそうでもないのではないかという気がしておりまして、例えば今の理事長からお話があった、いろいろな要望を見ますと、やはり規制の問題ですとか、その辺が企業にとってのスピード感と、追いついていけるどうかというのが自治体選定の1つの大きな決め手ではないかというふうに思っております。
そういう意味で、ぜひこの立地センターなり、経済産業省にお願いしたいのは、そういった財政力がないところでも十分企業を引っ張ってこられるんだ。その企業に対していろいろ許認可なり、手続を簡便にすればできるんだというようなところ、そういうのをぜひまさに財政力がなく困っている自治体に対して、企業に魅力的な事業環境を提供すれば立地が進むのだという雰囲気というか、そういった情勢づくりというのをぜひお願いしたいなというふうに思います。
以上です。

大西分科会長
ありがとうございました。
今の点についても最後にまとめてお答えいただくことにして。

渡辺委員
この企業立地というのは大変結構だと思っておりますが、これからの特に製造業という、あるいは工業を前提に考えた場合は、国際的な競争というのが非常にますます激化するのではないか。こう思っております。そのためのいわゆるコスト低減といいましょうか、現在、場所によりましては、非常に交通インフラの関係からいきまして物流コストが非常に高くなっている。これが足を引っ張っているという状況がございますので、道路とか、あるいは空港、あるいは港湾、こういった交通インフラを絶対の条件として考えていただくと、国として、日本のいわゆる工業がさらに国際競争力を持っていけるのではないかな。こう思っておりますので、ぜひその点をお願い申し上げたいと思っております。
以上です。

鈴木(直)委員
今、いろいろおっしゃったことの中で、ちょっとコメントを申し上げたいと思うのですが、大阪府、確かに高額の補助金を用意したのですけれども、武田薬品が大阪地域にある研究所を統合して総合研究所をおつくりになるのに、大阪を選ばないで神奈川県を選んでいるのです。その最大の理由は人材確保という面でございまして、決して補助金ではなかったということで、最近、私どもも拝見しておりますと、持永さんのお話もちょっとございましたけれども、いろいろ判断する場合に、必ずしも補助金ではなくて、人材が確保できるかどうかが非常に重要な要素になってきているというのが1つと。
ある企業のトップの方にお聞きしますと、絶対必要なのは国税の方である。あるいは固定資産税、地方税、補助金ではない。補助金は当然ながら利益が出ている企業にとっては課税対象になりますから、決して仮に100億いただいても、事実上はその3分の1ぐらいしか意味がない。むしろ国税で対応していただく、あるいは地方税で対応していただく方がずっと企業にとってはプラスである。こういう議論がございますので、いろいろ補助金競争の意味というのは、何といいますか、企業の片方から見ると必ずしも意味を持ってないような面があるように私ども理解しております。

鈴木(孝)委員
私どもの中小企業基盤整備機構は、国の実施機関として、企業立地については先ほどの立地センターの鈴木理事長のところと一緒に、全国10の拠点に企業立地相談アドバイザーを設けて支援をしているのですが、その他に正しく地域の活性化、或いは中小企業の振興が国のたいへん大きな課題になっているということで、ここ数年をとりましても、地域の活性化関連のいろいろな支援事業が行われております。私どもは国の実施機関として企業立地の促進法の他に地域資源活用促進法で地域資源活用促進のマネージャーを60名近く、10ヶ所の支部に置いておりますし、それから、まちづくり中心市街地活性化というのは昨年つくった法律で、まちづくり、これも地域の活性化に重要なのですが、そこにもサポーターも置いております。また、強みのある中小企業が集まって新連携事業をやるという事業についても私どもは推進の事務局として全国にプロジェクトマネージャーを配置しております。更に、産学官連携ということで大学と連携したインキュベーション施設には、インキュベーションマネージャーを置いております。今日も議論が出ていますように、今の地域の格差、或いは中小企業の状況、農業、そういったものを踏まえてどうするかということを我々としてはできるだけ各支部に置いている外部の専門家が連携して支援することを考えています。予算とか事業が違いますから、なかなか総合化するのは難しいのですが、今日伺っておりますと、そういうことがますます必要なのかなと思っております。
先ほどの農工商という議論のときも、既存の支援事業の対象にもかなり農業関係が多いのです。地域資源活用というのは、そもそも3つの分野の1つが農林水産関係ですから、これは農工商関係が多いのは当然ですが、新連携事業や或いは産学官連携でも、その定義をどうするかはありますが、大体3割近くはあります。そういう意味で、今、地域の活性化が非常に大きな国の課題になっている時に、既存の政策もうまく使いながら、そこに不十分なものを、我々としてはできればそういう各外部の専門家をどうやってうまく総合化するか、私ども外部の専門家はいろいろなものを含めますと、常勤でも約200名、登録数でいけば約3,000名いるのですが、そうした人を今の時代のニーズに応じて、どういうふうに効率的に使っていくのか、そういった視点も必要かと思っております。
以上です。

大西分科会長
それでは、幾つか特に格差問題、特に大都市圏ではないところに少しハンディーをつけて政策を運営していく必要があるのではないかという観点からの御意見だったと思いますが、実際にはそういう議論、あるいはそういう制度が一たんかなり整理されて、その上でこの新しい法律ができているところもあって、考え方の整理が難しいところでありますが。

山本立地環境整備課長
地域格差の是正の中で、自治体のそういう財政力の差をどう考えていくかという御指摘だと思います。
先ほど幾つかの委員からも御指摘がありましたように、企業がその立地場所を選ぶ要因はさまざまな要因がございます。先ほど補助金の多寡の問題ももちろんあるのかもしれませんが、御指摘がありましたように、地域での人、人材としてのインフラ、あるいは関連産業の集積といったことも非常に重要な点でございます。
そういう観点から、私どものこの企業立地促進法の関連では、人材育成に関する支援制度を有しております。これは各地域におかれまして、戦略的にやろうとされます業種とかその分野におけます人材育成事業に対しての補助をする。こういう形をとっております。
その補助事業の採択にあたりましては、各地域の財政力の問題であるとか、あるいは有効基準倍率とどうこうとか、そういったものを勘案して、そういったところの厳しい地域を優先的に採択をする。こういう形での採択方針をとっているところでございます。したがって、一定のそういう地域性の配慮をしているといったところでございます。
それから、あと税制の関係で、企業立地促進税制は確かに中堅・大企業の平均投資規模であります5億円、3億円程度を1つの下限にしてございます。中小企業は対象でないのではないかという御指摘がございますが、今、幾つかの委員がおっしゃいましたように、既に中小企業につきましては、中小企業基盤強化税制というのがございまして、これはいろんな分野の法律を束ねた法律でございますけれども、ほとんどの分野がそこでカバーされているところがございます。したがって、中小企業につきましては、既存の基盤強化税制、しかも特償率が企業立地促進税制ですと15%から30%、さらに税額控除がついているという手厚い税制が用意されてございます。一応そこがカバーできているというふうに考えております。
それから、あと交付税の関係の財政力指数の関係でございます。これは総務省の方でこの判断基準をつくっていただいているところでございます。確かに1つの国税措置の対象として、この財政力を1つの目安としてやっているわけでございます。1つの数字としまして今、0.67という数字が確かに設定されているところでございますので、何らかの形でこの総切りといいますか、対象域を決めてからいかんというところが少々課題だと思っております。
この数字自体は一応設定はされておりますけれども、今後、地方の財政力のいろんな格差是正のための対策などがいろいろ検討されている中で、そういったところの足らない分を少し補っていくというようなこともこれから行われていくのではないか。これは政府全体としての動きでございます。
それから、物流コストのお話がございました。物流コストの低減というのは大変大きな課題でございます。特に国際競争力の観点から、このコストをいかに下げるかということで、これは実は企業立地という観点のみならず、日本の産業競争力強化という観点から政府全体として取り組んでおります。
具体的には、物流政策大綱というものをつくりまして、これは政府全体として対策を決め、インフラの整備は当然でありますけれども、物流関係の手続のワンストップサービスでありますとか、あるいは規制緩和であるとか、さまざまな対策が今現在、講じているところでございます。そういう意味での物流コスト低減対策は国全体として取組ませていただいている。こういう状況でございます。

横田地域経済産業政策課長
少しだけ補足させていただきますけれども、補助金競争という話がございました。持永委員が御指摘されたように、私どももいろんな企業に聞いてみますと、やはり企業が立地をするときに、工場を建てて30年、50年、本当に採算が取れるような操業ができるかどうかということで判断をするので、立地の際の補助金というのももちろん考慮要因にはなるけれども、むしろ立地後のフォローアップとか、人材の確保とかいったことを非常に重視されているようです。もとより立地の国際競争の中で中国、アジア諸国と競争することを考えると、補助金の多寡よりも、よほど海外立地の方がコストが安いですから、そういった意味で各自治体のサポート体制をどういうふうに高めていくのかというのが非常に重要なポイントだと思っておりますし、この5月に企業立地満足度調査というのを公表させていただきましたけれども、ああいったものをベンチマークにしながら、ぜひ企業の目線から継続的にサポートするということを国、自治体、協力しながらやっていきたいなというふうに思っております。
それから、きょう、国交省の渡邊課長に来ていただいているので、一言御発言があるかもしれませんけれども、地域のいろんな産業インフラの整備の問題につきましても、ブロックごとに経済産業局と国土整備局が話をしながら、産業ニーズを踏まえたようなインフラ整備を進めていくといったことを話をしておりますので、そういった面でも各省連携を通じながら取り組んでいきたい。渡邊課長、もしよろしけば一言。

渡邊国土交通省総合政策局政策課長
今、お話のあったとおりなんで、余りつけ加えることもないのですけれども、やはり国際競争力を強化していって、それを我が国の活力にし、それをまた各地域に及ぼしていくというのが私ども政府全体としての大きい政策だと思っています。
例えば九州の北の方では、自動車産業、各地で立地をして150万台生産拠点化というようなことをやっているのですけれども、それにあたって、新北九州空港とか、各港湾ですとか、それから、それをつなぐ高速道路などを集中的に投資することで相乗効果を生むような、そういう政策をとっています。
公共投資そのものは非常に逆風の中で、重点化、効率化を求められていますけれども、その枠の中で精いっぱい私どもは経産省とも連携させていただきながら頑張っていきたいと思っています。
国交省でも、国土形成計画というのを今、つくっております。来年の1月、2月には全国計画というのができるのですけれども、それを受けて各ブロックの広域地方計画というのができることになっています。そういうときにも、それぞれの地域で協働をさせていただきたいと思っております。
以上です。

大西分科会長
ありがとうございました。
時間になりましたので、きょうはこのくらいにしたいと思いますが、非常に盛りだくさんの話題を提供していただきまして、プレゼンテーションしていただいた方、どうもありがとうございました。
最後のところでは、地域政策ということで、特に人口が減少しているような地域における産業立地という視点でいろいろ御発言がありました。振りかえると、日本ではそうした地方圏への工業立地ということの政策をずっと展開してきましたけれども、ほとんどの政策が打ち止めになって新しい時代に入った。その中で格差がまた拡大しているのではないかという指摘があって、今の政策が導入されたり、今また格差是正策について議論されている。しかし、単純に数十年前の政策に戻るということもできないわけで、国際競争が厳しいといいますか、激化しているという環境の中で、全体としては国際間競争に勝たなければいけない。その中で地域格差の問題をどう解決していくのかというか、改善していくのかという二重のテーマがあるのかなというふうに思います。
基本的には自由な企業の立地ということを保証しながら、それぞれの地域が創意工夫でこれはと思う企業を引っ張ってくるという戦略が重要なのかなということではないかなというふうに思いますが、共通した問題として前から物流については言われておりまして、まさに内外格差にもなっているわけでありますから、大きなテーマについてはこの研究会でもアウトプットとして整理して、次の政策展開に結びつけていく必要があるのかなというふうに思います。
それでは、最後に、次回のスケジュールについて事務局からお願いします。

横田地域経済産業政策課長
次回は12月12日の午後1時半から3時半まで2時間予定をしております。また場所等決まりしたら、追って確定し次第御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

大西分科会長
ではきょうの会はこれで終わりにいたします。
どうも皆さん、ありがとうございました。御苦労さまでした。

閉会

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最終更新日:2008年1月7日
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