経済産業省
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産業構造審議会 製造産業分科会(第1回)‐議事要旨

日時:平成26年3月19日(水曜日)9時30分~11時30分
場所:経済産業省本館17階西7第1特別会議室

出席者

清家分科会長、伊藤委員、新宅委員、鈴木委員、田川委員、沼上委員、林委員、福田委員、堀場委員、三神委員、安井委員

議題

  1. 今後の製造業の展開について
  2. その他

議事概要

新宅委員
  • 収益力を上げながら成長するためには、増産や新規事業と現場の改善をセットで行うことが大切。トヨタでは生産技術(機械技術)と製造技術(ヒトを介した流れづくり、TPS)を使い分けてきた。機械化する、というのは非常に重要な技術ではあるが、全体の生産リードタイムの中での加工時間は1%くらいしかないことが多い。流れを改善することで、部品在庫、仕掛かり在庫、製品在庫を少なくすることが非常に重要。
  • 流れを改善することによってコストも下がるが、それ以上に、生産リードタイムが短縮される。例えばリードタイムが1/3になれば在庫は1/3になる。これにより資金回転率が上がる。特に、中小企業では、銀行が財務体質の改善を求めるが、現場の流れ改善こそが財務体質改善の有効な手段である。
  • 財務体質が改善されれば、既存事業の収益性は上がる。同時に生産性があがるので、生産能力に余力ができる。その余力で増産や、新規事業を手がければよい。流れ改善なき投資は、新しい赤字を生み出すだけの可能性がある。流れ改善と拡大、新規事業が一体になることで、収益力のある成長が可能になる。
  • 現場の流れ改善はヒトづくりである。日本の国内工場は40歳以下が激減している。その一方で、40歳代、50歳代は多い。さらに定年になった60歳代が多い。そういったシニア人材を「ものづくりインストラクター」として再教育し、中小企業の現場改善で活躍してもらうようなしくみ、政策が求められている。
安井委員
  • 製造業に限った話ではないが、たとえば次世代自動車等の新しい技術の信頼性をどう担保していくか、安心をどう作っていくかが重要。日本は、技術は強いが認定や認証といった指標作りが弱い。
  • 原子力に代表されるように、EHS(環境・衛生・安全)の向上が新しい価値になりかかっており、企業に対する新たな社会的指標を作っていく必要がある。日本の自動車、家電はかつて、故障しないというのが指標だったが最近よく壊れる。ものづくりに一番基本的な、EHS的な価値を日本の製品にうまく組み込んでいく産業構造が必要なのではないか。
  • 化学物質政策審議会の知見から言えば、化学物質管理のスキームをアジアに輸出していくことが有効。
鈴木委員
  • 航空機はアジアの成長産業であるが、我が国の航空機製造事業は欧米諸国に比べると非常に小さい。航空機は認証、認定がグローバル標準であることが必須。国内ではこの認証づくりが省をまたいでおり、スピードが非常に遅い。また、作る側と認証する側が一体となって産業を盛り上げるような人材交流がもっと柔軟に行われるべき。過剰な規制がグローバル展開のボトルネックになる可能性がある。
  • 航空機事業はインフラ輸出としても魅力的。航空機製造事業だけでなく、航空管制やアフターサービスといった関連産業を、パッケージで輸出していくことが競争力強化につながる。
  • 航空機事業において高い技術力を持った中堅企業は、企業規模が参入障壁になっている。企業同士が連携して取り組める枠組みを。
沼上委員
  • 日本の企業構造は、従来の垂直的に強く連結されたシステムから、徐々に、緩やかに連携するシステムに変化している。ちょうどGNT(グローバルニッチトップ)企業の選定を終えたところであるが、「下請け企業」が直接海外市場を取りに行くようになってきている。今回の企業は、開発を国内で行い、販売を海外でという例が多かった。この種の企業を支援することは、国内ものづくりの維持にもつながる。
  • GNTの課題は人材。特に、海外販路の開拓ノウハウ、マネジメントの欠如が課題。営業系の人材が足りない、というのが印象的。製造業におけるマネジメント、顧客とのインターフェイスができる人材育成が必要。
  • 落選した企業の中にも良い企業が多数あり、自動車や家電の下請け系列にも、高度な技術を持っていながら自らの力でマーケットを取りに行けず、受動的に対応している会社がまだまだ眠っているのではないか、という印象。これをどういうやり方で市場ニーズと結び付けていくかが課題。
  • GNT企業は大規模企業とは違い、熱気がものすごい。経営者に非常に強いアントレプレナーシップが見られる.この手のエネルギーをつないでいくことが重要。
田川委員
  • GNTを含め、日本のものづくりは観光素材として非常に面白い。2020年のオリンピックを始め、海外からの観光客が増える中、観光素材としてものづくりを有効に活用していく必要あり。
  • ドイツの例は興味深い。ヨーロッパのものづくりは、スイスの時計のように、ニッチな生産財が地方にしっかり残っている。日本でもこれから何を作るのか、メリハリが必要。
  • 技能人材を評価することが重要。ヨーロッパでは年収1億程度の職人もいる中、我が国では技能オリンピックで金メダルをとっても新聞にすら載らないばかりか、場合によっては生活もできない。政府として旗振りを。
三神委員
  • 現場の人材が価格競争に巻き込まれないためには、農業高校、工業高校、高専の強化が一つのカギだ。同じライン内での「多能工」ではなく、川上から川下までが見られる「複合工」を育て、プロセスイノベーションの質を上げる。また、工業とバイオ、農業、食品等の分野融合が必要性を増しており、農業高校と工業高校の単位互換なども考えられる。
  • 企業の海外進出には、ロビー活動、知識サービス業が事前に進出できているかが非常に重要。あくまで日本「発」の国際会計事務所や法律事務所等と連動して現地政府等に働きかけなければならない。こうした周辺のシステム、マネジメント、中立組織といった販路開拓に必要なツールとセットになった産業政策の展開を。
福田委員
  • バイオ部会の小委員長として見ても、安全安心というのは日本の強み。たとえば今後、アジアで衛生状況の底上げが図られる中、日本の安全、安心は強みになるのではないか。
  • たとえば遺伝子組み換えでも、遺伝子の解析結果はオープンになっている。しかし、日本からの技術、知識の流出は非常に大きな問題であり、いい状態を長く続けていくためには、ある程度意識して囲っていくことも必要。
伊藤委員
  • メッキ加工だけでは市場をコントロールできない。大手のコストダウン要請は相変わらずあり、今年はベアの結果、若者の就職も大企業志望に傾きがち。下請け構造から脱却し、GNTになるだけの資金力、時間的余裕がない。
  • 特に人材は、ほとんど大手がかっさらってしまう印象で、マネジメント力のある人材を中小で育てるのは非常にハードルが高い。特にリーダー層となる40代、50代の層が非常に薄く、OB人材も活用してうまくリーダー養成を行っていきたい。
  • ドイツの話も出ているが、国全体が、「安くいいものを作る時代」から抜け出してほしい。日本車はデザインが悪く魅力的な車がない。どの家庭でも車の購入を決めるのは女性が多いと思うが、日本ではデザインの段階で女性の案を採用していないのではないか。短時間で物が壊れていくのではなく、いいものを長く使うという発想で、教育や思想を作り直す必要がある。
堀場委員
  • 当社はグローバルニッチトップ企業として表彰されたが、売り上げはニッチでも、やっていることはニッチでない。たとえば、世界の自動車の8割が当社の分析機器を使い、半導体生産現場での製造用コンポーネントは世界の4割のシェアを占めている。つまり、我々が生産を止めると世界中の自動車や半導体の生産が止まる。シェアは小さくても、非常に核となる技術を持っており、売り上げを追うのではなく、ナンバーワン、オンリーワンを目指す方向。
  • 売り上げの5~10%の開発投資を継続しているが、実はほとんど人材への投資。グローバルに成長していく製品は、育てるのに5~10年かかる。このスパンで考えないと真に競争力のある製品は育たない。
  • 生産については、海外が一巡したのでこれから国内に積極投資する。計画中の新工場ではロジスティクスを短くしつつ品質、納期を確保する体制構築を指向する。わが社は、生産の7~8割は協力会社に頼っており、製品が行ったり来たりして無駄が多かったが、工場内に協力会社を組み入れて生産性を上げれば市場の動きに対応する力も高まり、あらゆるコストの高い日本でも競争力のある製品を作ることは十分に可能。
林委員
  • デザイン思考をいれながら、どうやって新しい価値を見出していくかが重要。シリコンバレーに企業を連れていくと、ほとんどの技術はすでにその会社が持っている技術であることが多い。しかしそこからビジネスが出てこない。MITメディアラボからも通じてみえる課題は、どうやってオープンイノベーションという仕組みを、我が国製造業の一つのプロトコルとして持っていくか、という点。
  • いかに品質を高めてプロセスを改善していくか、というところで濃い関係ができている分、つながっていく、ネットワークのビジネスができていない。新事業創出においては、自社の中で完結していく事業というのはほとんどなく、個社に閉じないで広がっていく仕組み作りが重要。まさにメディアラボは、世界で80社スポンサーがいるが、18社は日本であり、そういった場として有効に機能しており、今まで社外に見せなかった基礎技術や研究テーマをメンバー企業に共有し、コラボレーションの機会を追求しながら新規事業開発を行っている。
  • ハッカー(技術者)、ヒップスター(デザイン)、ハスラー(マーケティング)、この3人の会話が不可欠であり、これらの人材を企業の中で持っていくことが必要。
  • 新規事業と既存事業は、たとえば製品開発上も違うルールを作るべき。品質に対する過度な意識の高さが、新規事業に対する障壁になっている。10万個量産する製品と同じガイドラインを、100個や数千個といったテストマーケティングに近いモノに対して求めるのはナンセンス。

人材について

鈴木委員
  • 技能検定は一定の量がないと設立が難しく、特殊でパイの小さい技能についても技術をたたえる資格を作るべき。
  • 若者が持っておくべきスキルを可視化することも大切。フランスは見習い制度を作って必ず社会を体験することが制度化されている。また、初中等教育に職業教育の概念がほとんどない。働くことの意義、企業の意義が強く認識されないまま、社会に出て行ってしまう。ドイツは職人になることを早期に選択させている。
三神委員
  • キャリア教育はその根底にある日本の人事制度の硬直性を見直さなければ機能しないだろう終身雇用である日本は職「能」給(過去の勤続年数による等級評価)の色彩が強い。ジョブサイズとスキルセットで評価する職「務」給の発想も今後は一部導入しなければ以下のようなリスクがある。
  • プロジェクト単位で動くデザイン系人材やシステムイノベーションに貢献するプロフェッショナル職、女性の登用、海外との人材獲得競争の中では、硬直的な等級制度では適正な対価の評価や柔軟な雇用が実現しない。
  • 日本のJIS規格の履歴書はその典型で所属名を古い順に書くが、国際市場は逆であり、実施した実務の具体的内容とスキルセットを新しい順に書かせることが重要。50代を過ぎても人事部の作った等級表に従っているだけで、自分の市場価値を問われても食べていけない人材ばかりが出てきている。
  • 日本的な職「能」給は、むしろ人をコストではなく「資産」と捉える長期戦略である、という利点を伸ばすには、人的資本会計の研究で日本が主導権を握る政策も並行する必要がある。
  • 安井委員
  • 学生の偏差値指向と研究者のインパクトファクター指向がよくない。大企業の経営者にも、戦う武器を持っている経営者が非常に少ない。ただ、必ずしも米国流の経営が悪いかというと、ジャックウェルチは20年間、イメルトも15年程度舵取りをするはずであり、そうではない。GNT企業の創業者、経営ポリシーの連続性が、GNTになる際にどれくらい影響しているかぜひ調査していただきたい。
  • 4年という短い経営期間では製造業でリスクを取っている暇がない。これは制度の問題ではなく、思想、打ち出しの問題。経産省も護送船団ですべての企業を助けるのではなく、経営のポリシーのないところは助けない、というメッセージを。
田川委員
  • たとえば小中学校の教育を考えると、生産現場のものづくりの要素が義務教育の中では語られていない。ものづくりの大切さを語るメッセージを文科省などと連携して作らないといけない。そうしないと、小中学校の子が、製造業や農業ではなくITなどに流れすぎてしまう。
新宅委員
  • ものづくり改善人材をもっと広げていくことが必要。ものづくりインストラクタースクールを実施してきたが、もっとすそ野を広げて日本製造業全体の底上げに寄与したい。これにはシニア人材の活用という意味もある。
  • 今後は、様々な事業をやっていくための「軍師的な存在」を大学、企業連携して養成していくための仕組みが必要。企業の中でも既存の経営学教育の中でもできていない。その際重要なのは、出口を先に見据えて必要な事業モデルを組んでいくこと。各企業とも一生懸命変えようとしており、オープンに広がり、つながり、ネットワークのハブになるための企業の位置づけができる人材が重要に。
伊藤委員
  • バランスのいい人材が少ない。今後は、技術者であっても、売り込むためのコミュニケーションスキルが求められる。自ら売り込んでいく、せっかく生んだ技術を活用していく人材が必要。そういった点では、上の世代に良い手本がいない。大企業であっても、長い視点で経営を見られる人がすごく少ない。
  • 幼いころからの人材育成も大事。当社では社員の子ども向けの工場見学を始めた。自分の両親が作っている商品を目の当たりにし、ものの大切さやものづくりのおもしろさを知る非常に良い機会。
沼上委員
  • 経営人材の育成は総合判断力。成長段階にある大企業は様々なポストを早く経験できるので内部労働市場に頼っていても総合的な判断力を養成することが可能だが、成熟した大企業は各職能分野の専門家として育っていくパスが多く、内部労働市場に頼っているだけでは経営の意思決定を担う人材の育成が難しい。経営者には経営意思決定の「現場」を多数経験させないとならない.
  • まさにメディアラボのように、新しい情報が集まる場所を日本にどのように作っていくかがきわめて重要な課題。企業の経営人材がそういったところに関与できる仕組み作りを。

(以上)

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最終更新日:2014年04月03日
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