経済産業省
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産業構造審議会 製造産業分科会(第2回)‐議事要旨

日時:平成26年8月21日(木曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

清家分科会長、新宅委員、鈴木委員、高橋委員、田川委員、沼上委員、林委員、福田委員、松島委員、三神委員、安井委員

議題

  1. 製造業をめぐる現状と課題への対応
  2. その他

議事概要

新宅委員
  • 現在の製造業の状況について、日本の電機産業約100事業所を対象に調査を実施した。海外の工場と日本の工場を、コスト、生産性、リードタイムの長さ、新製品の立ち上げ力など10項目で比較した。その結果、コスト以外の項目では日本の工場が優れていることが分かった。労賃格差が10倍を切ってきた今、コストでも逆転する例も出てきている。賃金など要素コスト以外では依然として日本の現場が強いことを再認識すべき。
  • カイゼン運動実施の意義は3つ考えられる。(1)中小企業における意義について。現場でカイゼン活動がなされていない中小企業が多い。中小企業は、カイゼン活動により運転資金圧縮など資金繰りが良くなり、収益確保できるようになる。地方銀行や信用金庫がカイゼン活動の重要性に気付き、中小企業のカイゼン活動を支援しようとする動きもある。(2)成長戦略上の意義について。成長戦略を実現するには、一方で新市場・新事業の開拓も大事だが、もう一方でカイゼン活動による既存事業の収益確保も重要であり、この両輪が必要。カイゼン活動によって生まれた余剰資源を新市場・新事業開拓のために投入できるようになる。(3)地域における意義について。人工の老齢化は、病院や介護などのサービス需要を増加させるが、地方においては人手不足が深刻化。解決には、地方のサービス産業におけるオペレーションカイゼン活動が大事。ロボット化や機械化は生産性向上の一手段だが、導入後にすぐ生産性が向上するわけではなく、オペレーションカイゼン活動と同時に行わないと、逆に生産性が落ちることもありえる。
三神委員
  • 病院や農業等、他産業におけるカイゼン活動の依頼が日本インダストリアル・エンジニアリング協会に来始めており、生産性と質の向上に成果を出している。製造業以外におけるカイゼン活動を支援できる先のリストアップや情報提供始め、広める仕組みが必要である。
  • ドイツが成功しているのは、資料1にあるフラウンホーファー協会があるからだけではない。フラウンホーファー協会はあくまで応用研究段階のスキームだが、基礎研究から生産技術までのバリューチェーンすべてに同様の管理手法がある。例えば、民間企業が研究費の3分の2を負担する方法を、なぜ資金が潤沢にない中小企業が、日本と同様リスクをとらないメインバンク制のドイツで使えるのか。ドイツでは、そうした中小企業に対するイノベーション資金援助(イノベーションチケット配布)や国際資金調達のためのIRを代行、販路開拓を支援する専門のコンサルティング組織が、同じく民間と公の資金が折半の資本構成で中立的に存在するためだ。また、技術開発の精度を上げるため、将来の有望分野研究は、大手から個人まで交えた中立的な研究会をアレンジし、バリューチェーン上の不足を分析する専門家が州政府等から派遣される。こうした全体のシステムが背景にあることを把握しなければ意味がない。
  • また、フラウンホーファーのカバーする応用研究が成功しても、生産技術が伴わなければ事業化はできない。この点、ドイツでは生産技術については様々なサイズの中立的なエンジニアリング会社が存在するため、産業用ロボット等の新分野開拓でユーザー側に生産技術部門がない場合でも対応できるのが、日本との大きな違いである。
  • インフラシステム輸出はビジネスインテリジェンスに活かす発想を伴うべき。民間の海外展開を広げていく上で現地情報を迅速に得る仕組みづくりという認識である。フランスはその典型で、水道や治安システム整備のODAはその後のマネジメント権を落札し現地の情報を継続的に得る。設備等のモノで終わらず、例えば、電力のマネジメントを日本が担えば進出先の発電量が分かり、経済の実態をつかめる。また、世界的に都市化が進み自然災害による被害額が大きくなる中、日本製のインフラはあくまで災害対応システムを付随させて価格の高さを説得すべきだろう。
安井委員
  • 日本の強みとされるすりあわせの中身とは大きく2種類あると思う。一つ目は、素材。炭素繊維やセラミックコンデンサーなど、処理の仕方がよく分からないためノウハウを隠すことが出来る。二つ目は、ハイブリット自動車、デジカメ、複合機など、組み込みソフトウェアを活用するもの。これらすりあわせを支える人材をいかに育てるか考える必要がある。
鈴木委員
  • ロボットの社会への普及のためには、制度作りが重要。技術的に可能でも制度により不可能になる場合がある。例えば、アメリカでは、無人機で荷物を運ぶサービスは安全が確保できないとの指摘があり制度上どう取り扱うか議論になっている。また、無人機による空中撮影はプライバシー保護との関係を整理する必要があり、法整備が必要。
  • 航空機産業を始め、急成長分野においては研究開発人材が不足し、産業の成長のボトルネックになる。教育制度はすぐに変えることは難しいが、例えば、大学におけるインターン制度の充実はすぐにできるのではないか。また、もっと長期的には、フランスのグランゼコールのような、技術に特化した教育制度を日本でも拡大するように文部科学省に働きかけて欲しい。また、定員削減もあり、大学だけでものづくり人材を育成するのは難しくなっている。企業と大学の連携が人材育成において求められている。
  • 飛行機は電気で飛べない。一方でCO2を削減する必要があり、バイオ燃料のジェットエンジン用燃料としての活用が世界的な流れ。一方日本では、航空機で使う道筋が描けない。コストが高いため、何らかの政策インセンティブが不可欠だと考える。また、廃棄物由来のバイオ燃料の生産について、海外で実用化が進む中、日本としてどう取り組んで行くか考えていく必要がある。
田川委員
  • 製造現場を回る産業観光が市場として認識されつつある。昭和30~40年代においては、生活と製造現場が近かったが、現在では離れているので懐かしさが魅力となっている様子。
  • 日本が製造大国になるべきか技術大国になるべきか整理すべき。製造拠点は海外に出て行く傾向があるため、技術を磨くことに力点を置き、技術大国を目指すべきではないか。
  • 宮大工などがいなくなり、ベーシックなものづくりが衰退してきている。地方にあるそうした産業へしっかり対応して欲しい。
  • 市場を創る取り組みが少ない。例えば、電気自動車で東京から北海道まで行くことは考えられないが、エコツーリングとして、観光地の自動車を電気自動車にするなどははまるのではないか。
  • ものは豊かになったが、生活は本当に豊かになったか。昔はものの豊かさと生活の豊かさのバランスがとれていたが、今はアンバランスになっている。ものづくりが生活の豊かさにつながるようにしてほしい。例えば、自動車は多機能化しているが、田舎ではカーナビは不要。スズキがインドで成功しているのは、機能を絞り込み低コスト化を実現しているから。高付加価値化のために付けた機能が、本当に生活に付加価値を与えるものかもっと考えるべき。
松島委員
  • 自動車産業について、いくつか強調したい点を説明したい。
  • コスト競争力ついて、ほとんどの企業は過去最高利益であり、利益率は世界的に見ても突出している。円安も一因だが、コスト改善と売れる車の創出が要因。自動車メーカーや部品メーカーがコストハーフなどの取り組みを通じて、1ドル77円のような円高でも利益を出せる体質になったことが大きい。また、生産技術だけでなく、その上流の開発技術の開発にも取り組んだことも大きい。
  • 注意すべきは、非連続的なイノベーション。日本の自動車は、素材や電子部品の強さがそのまま自動車の競争上の強さになっている。しかし、プレス、溶接、塗装、組立それぞれについて、例えば、素材が鉄でなくなれば強みの溶接技術は不要になる、電動化すれば、組み立ては強みのエンジンからモーターやインバーターになる、というように日本の強さの源泉がなくなる可能性がある。よって、非連続的なイノベーションへの対応が今後大事になってくる。
  • 製品競争力について、大きい車はどこの会社も作れるが、小さい車すなわち軽自動車は日本企業しか作れない技術力の結晶。途上国市場を獲得する上でも、小さくて安い車は重要であり、日本が失ってはいけない優位性である。
  • 知財戦略について、コカコーラのようにノウハウのブラックボックス化も重要だが、いかに知財で守りつつロイヤリティーを稼ぐかも大事。少なくとも、世界水準と同様なレベルのロイヤリティーを取れるように交渉すべき。
  • ユーザーから見ると、リセールバリューが高い方が良い。一方で、電動化が進むとリセールバリューの低下速度が上がる。よって、現在の完全に買い換える形式ではなく、新しい機能をどんどん付けていけるモデル開発を考えていく必要がある。車において、この考え方に基づくものは今世界にはない。
  • 作って売って終わりではない。中古車については、国内市場だけでは吸収できないため、いかに輸出していくかが重要。そのときには、日本車の10年乗ってもまだ乗れる強みが活かせたら良い。
  • 業界再編について、電気自動車の時代が来ると、エンジンが不要になり、部品メーカーが不要となる。一方で、部品メーカーが完成車メーカーを逆支配することもありえる。例えば、アイドリングストップのためには、すぐにリスタートする機能・部品が不可欠であり、その部品がライバル社系列のものであっても自動車メーカーは使用せざるをえない。最終製品である自動車を中心に据えるか、部品を中心にするかで、戦略の立て方は変わってくる。
福田委員
  • 技術教育について。長岡技術科学大学は高等専門学校の受け皿大学。ずっと求人は厳しい状況だったが最近は回復してきた。従来、製造現場では技術軽視の傾向があり、求人が少なかった。一方で、団塊の世代が現場から離れ、人材不足になっている状況がある。製造現場における意識は問題であり変える必要がある。
  • 企業向けインターンについて、長岡技術科学大学では大学4年生向けに4ヶ月インターンの制度がある。学生はインターン期間中アルバイトが出来ないため、企業がお金を出す必要があり、かつ宿舎の確保が問題となる。ただし、社宅の減少などで、宿舎の確保は難しくなっている。何かサポートする制度があったらいい。
  • バイオ燃料についてはコストがかかるのが問題。バイオ燃料については、エタノールから航空機燃料など高度利用のための変換技術開発に注力すべき。高度利用を進める環境整備及び高度利用のための技術開発を行う人材の育成が重要。
  • 求められるのは、ものづくり人材ではなくイノベーションを起こせる人材である。ものづくりで終わりではなく、ビジネスモデル全体として稼げるよう、企業間ネットワーク構築への支援が重要。
沼上委員
  • グローバルニッチトップ(GNT)企業の創出・育成は、経常収支回復に有効だと考えられる。中小企業をGNT企業に育成することも大事だが、GNT企業をさらに大きなスケールの会社にしていくことも大事。GNT100選の授賞式において、GNT企業は資金が十分にあり資金需要があまりない印象を持ったが、資金需要は将来の成長意欲とリンクしており、小さなニッチ市場に安住している恐れもある。それゆえ、GNT企業の成長意欲をかき立てていくこと、そうした成長意欲を満たすだけの資金調達を可能にすること、が重要。
  • 自動車について、経営学者としては、プロダクト及びマーケットの定義が気になる。自動運転など新技術による自動車の差別化における自動車と、自動車の端末化における自動車とは、全く異なるもので、関係するプレーヤーも全く異なる。自動車の差別化で儲ける時期と、自動車の端末化で儲ける時期に分けてシナリオを考えるべき。
林委員
  • 0から1を、日本企業と一緒に新規事業を作っていくものとして2つお話ししたい。
  • 今月ミャンマーのボガレという陸路の果てに行ってきた。そこでは、世界的金融機関が、サービスデザインコンサル会社と、現地のNPOとタッグを組み、社会インフラのないところで金融システムを数年掛けて作ろうとしている。多くの日本企業は、グローバル戦略を、日本の会議室で、日本人で作っている。それでは駄目で、現場を見てそこから洞察を得て、それを元に製品の開発、バリューチェーン上どこを押さえるか、どこでコストダウンするか戦略を立てるべき。
  • GNTとビジネスエコシステムをつくれる専門家がタッグを組み、例えば日本産業の重点5領域について、現地に行って日本の技術が生きる仕組みをデザインするようなプロジェクトチームを作れば、新しい世界とのつながり方ができる。
  • モビリティについて、自動車の運転が自動化されたときに、人々は乗り心地にどこまでこだわるか。映画などエンターテイメント重視に走るとアメリカが優位。日本の文化に合うのは、交通渋滞を起こさない自動運転システム。都市部に人口が集中し、交通渋滞は大きな問題となっているため、世界一渋滞のない都市を目指し、プロジェクトをしたら面白い。
高橋委員
  • 医療産業のすりあわせ先は基礎研究分野の学者だが、基礎研究分野の学者が産業へ関心がなく参加がないのが一番の問題。ビジネスやベンチャーについて、悪とする見方を変える必要がある。
  • バリューチェーンとサプライチェーンが重要。再生医療の周辺産業のピペットなど日本製のシェアが低い。再生医療など先端の点で産学連携を考えるのではなくもっと一般的なところから面で考えるべき。ビジネスに興味を持ったのは眼科手術の経験。手術に関係する機械・人工レンズがほとんど海外製だった。医療・研究においては、産業・消費財の部分と人件費の部分に分けるべき。産業・消費財の部分をいかに日本がとっていくかが大事。ライフサイエンスは医療もあわせると40兆円以上のアーケットがすでにある。
  • 日本製を広げていくためには、キーパーソンをいかに押さえるかが重要。科学は、論文の条件をいかに再現するかが大事。国産の機械等を使ってキーパーソンに論文を書いてもらうことで、日本製の機械を世界で使ってもらえるようになる。
三神委員
  • 製造業は鉱物資源由来原材料を元にした製品を想定しがちだが、不可欠な生物資源由来の原材料もある。例えば、市場が拡大している航空機のタイヤは天然ゴムが不可欠だ。一方で、その天然ゴムは東南アジアが独占している。全て日本で内製すべきかは論点だが、伸びる産業に不可欠な生物資源由来原材料も素材、あるいは農業の高度化という概念に入れて支援を考えるべきではないか。
新宅委員
  • 人不足の問題について、業界や規模により異なるものの、工場現場の傾向としては、40~50代が多く、20~30代が少ない。多くの企業が年代構成の偏りの問題を抱えており、偏りの調整のためには、これから10~20年で若い人を多く採用するほか、いくつかの手段が考えられる。一つ目は、上の年代を少しずつならして退職させること、例えば、元気なGNT企業へ早めに転職してもらう等、二つ目は、非正規職員を正規職員へ転換すること、しかし、正規職員へ転換するにあたってはやはり教育が必要なので、その教育への補助等がありえるのではないか。
  • 自動車について、2000年で5000万台だったものが2倍になる予測について、倍に増えれば環境・エネルギー問題や素材問題がより深刻になるだろう。こうした問題に対して、日本の部品メーカーが課題解決を先導することも考えられる。例えば、燃費改善のためには、軽量化、エンジンコントロール、エンジンの精密加工機械、が必要だが、日本はいずれも有している。よって、日本の部品メーカーの海外展開支援も有効な施策。
高橋委員
  • ライフサイエンス分野の基礎研究分野の学者への啓蒙について、若い人は世の中の役に立ちたいと思っている。シーズの受け渡しは上しかできないと思っているが、若い人でもプロダクトを開発するなどを通じてシーズの受け渡しができると思わせるだけでも変わっていく。
福田委員
  • 遺伝子組み換えは工業的にかなり利用が進んでいる。そのうちの一部が、コストが安ければ植物で作るという話になっていく。

(以上)

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最終更新日:2014年10月20日
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