経済産業省
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産業構造審議会 製造産業分科会(第4回)‐議事要旨

日時:平成28年3月28日(月曜日)15時00分~17時00分

出席者

清家分科会長、秋池委員、伊藤委員、引頭委員、大宮委員、新宅委員、鈴木委員、橋本委員、林千晶委員、林真委員、松島委員、三神委員

議題

  1. 製造業をめぐる現状と課題への対応

議事概要

製造業をめぐる現状と課題への対応

糟谷製造産業局長
  • 本日はお忙しいところ、お集まり頂き感謝。製造業の現況と課題を事務局から提示させて頂いた上で、我が国製造産業の在り方や製造産業に係る政策の方向性について、委員の皆様に忌憚なくご議論頂き、今後の経済産業省の政策に反映していきたいと考えている。
事務局(飯田製造産業局参事官)
  • 事務局より、資料1にもとづき説明。
大宮委員
  • IoTについて申し上げる。我が国の製造業が、グロ-バル競争力を強化し、持続的な成長を遂げるためには、論点に挙げられている「生産性の向上」、「新たな付加価値の創出」を更に加速する必要があることは論を待たない。その中で、特に「新たな付加価値の創出」をいかに実現するかが産業界においてもますます重要になっている。ここで、「新たな付加価値」とは、製品、サービス等に留まらず、ビジネスモデル、バリューチェーン、業務プロセス等、多岐にわたるイノベーションの実現による社会的、経済的、事業的な価値創出と考える。IoT、ビッグデータ、AI、ロボティクス等は、この価値創出を実現、ドライブする手段、ツールであり、目的ではない。目的は、これらの手段を活用して「新たな付加価値」を生みだすことである。したがって、「新たな付加価値」を発想し、具体化、実用化できるイノベーション創出力が、IoT、ビッグデータ、AI、ロボティクス等における本質であり、GE、Siemens等の製造業、Google、Amazon等のIT企業は、そこにリソースを大量に投資している。
  • ここで重要なのは、「新たな付加価値」とは、新しいアイデアに基づいたビジネスモデル、競争力のある革新的なバリューチェーン、生産性の高い業務プロセス等であり、企業にとっては競争力の源泉そのものすなわち競争領域に属するものである。ロボット革命イニシアティブ等では、ユースケースの設定、共有が推進されているが、競争領域のプロセスとの関係が強いため、その切り分けが非常に困難で、企業の競争力の源泉をどこまで開示するのかという話になるので非常に難しい。先進事例の共有やベンチマークはできても、先進事例の創出を協議会や審議会でオープンに議論するのは馴染まないのではないか。
  • 一方、技術としてのIoT、ビッグデータ、AI、ロボティクス等は、その研究開発のスピード、投資規模を考えると個社の取組みで開発、獲得できるものではなく、産業を支える共通技術、基盤技術として、産官学連携、海外も含めたオープンイノベーションで開発、獲得していく必要があると考える。更に、利用環境としてのプラットフォーム整備、規制・制度改革、サイバーセキュリティ、国際標準化への戦略や対応、ひいてはこれらの技術の普及に起因する雇用構造の変化への対応について、経産省の主導の下、総務省他の関係省庁や機関も連携して国家戦略として一体で取組みを推進する必要があると考える。その結果として、ドイツのインダストリー4.0でも提唱されているように、大企業が先導して仕組みやシステムを整備し、中小企業へ強力に展開することによって、国内製造業の競争力を向上させることができる。
  • 以上の通り、ロボット革命イニシアティブはじめ各種の協議会や委員会で活発に議論されている第4次産業革命やIoT/AIへの取組み、第5期科学技術基本計画で掲げられた超スマート社会の実現等については、共通課題として以下の4点を明確にして議論を進める必要があると考える。
    1. 競争領域と協調領域の定義と仕分け
    2. 協調領域における各課題、例えば、共通・基盤技術開発・獲得、プラットフォーム構築等に対するロードマップの作成・共有、産官学の役割分担の明確化
    3. 国主導による標準化等に対するグローバル連携、競争戦略の具体化と実行
    4. 技術革新にともなう産業・雇用構造の変化に対応した施策
林千晶委員
  • 六重苦がずいぶん改善してきていることは一国民として嬉しい。
  • 日本におけるオープンイノベーションについての議論を通じて感じたことを述べたい。p18のグラフに端的に表れているが、日本の製造業において、データの活用が、設計・製造領域では進んでいるが、IoTの本丸であるアフターサービス、ここが価値創造の場所で、非常に重要。モノをつくるという視点でIoTをみてしまうと、設計し、生産して販売して、アフターサービスになってしまうが、データの活用が進めば、アフターではなくて、こここそが真のポイントだと明確に書いていくことが必要。体験価値が重要で、これは売った後に使っている最中にどう新しい価値をつくるかということ。
  • 実際に、モノを販売した後の価値をどう作っていくかということを考えると、製造業の人材だけではサービス設計ができない。具体的には、ソフトウェア領域とモノをつくる人間との提携、異業種間の連携、オープンイノベーションが重要。これは、IoTが非常にいい後押しになる。IoTで最も競争が激しいモビリティ、都市開発、ヘルスケア等、国の国家戦略とも関わる領域について、経産省が主導して、どうやったらものづくりからサービス感覚に変わっていくかということをテストしていく必要があるのではないか。イノベーション小委員会でもやっているが、具体的な7つのレイヤーを設定して、何を共有して、何が課題でどうクリアしていくか、省庁横断でオープンイノベーションを推進していくことが重要。特にデータ領域に期待したい。省庁横断したデータがないと産業が進んでいかない。
橋本委員
  • 中小企業という立場から、民間がやって欲しいと思っていることをお伝えしたい。
  • 技能継承が上手くいっていない。現場で感じているのは、モノをつくる思いが伝承できていない。昔のOBに話を聞くと、ひとつのモノをどう効率よく作れるかにものすごくこだわっていたが、技術は伝承できても、そうした思いが伝承できていないので、良いモノができていない。多くの経営者が人材育成と言っているのは、勉強ができるということではなく、どうやったら良くなるかという部分が大きく後退しているのではないかと思っている。
  • 何らかの形で自動車に関わっている中小企業が多いので、自動車産業の動向に左右される。下請け体質からなかなか脱却出来ない、それが日本の強みでもあり、弱みにもなっている。自動車一本から多角化していこうというのがもう少し分かりやすく見えてくるとよい。
  • IoTについて、アフターサービスの部分が主戦場になるということはものすごく危機感を覚えている。アフターサービスは差別化していかねばならない、競合他社がIoTに取り組んだら、我々は消えてなくなっていく、このままいったら100年近く続いた会社があっという間になくなると危機感は持っているがどうしたらいいかはわからない。少なくとも、中小企業はIoTについて何もわかっていない。しかし、危機感を持てば、なんとかしようと動き始めるので、まずは危機感を抱かせること、「これをやっていかないといけないよ」という発信を経産省からして欲しい。
林真委員
  • 付加価値を考えた時に、例えば化学物質について、安全安心とよく言うが、なかなか付加価値として認めてもらえていない気がしてならない。また、リスクはゼロリスクが当たり前という風潮が残っている。安全性をもっとポジティブに捉えて、様々な面で付加価値としてもっとアピールしていくことが今後求められるのではないかと思っている。
伊藤委員
  • 製造業の強み・弱みという観点で申し上げると、ちゃんと性能の良いモノを作り続ける一方で、コストにばかりとらわれてしまう、いかに安く効率良く作るかに重きをおいて、どうやってこれを上手く売るか、いかに付加価値をつけるかという発想がないのが現状。これは、そうした人材を育ててこなかったのが原因。そういうことができる人材を教育していきたい。
  • めっき等をやっている会社だと、土壌汚染問題などで、過去に許されたことが、新しい規制ができることで、急にダメになることがある。その時のフォローがまったくなされていない。これまで日本の発展を支えた企業がこれから次のステージにいく際に、上手くやっていける環境整備をしていかないといけない。
  • 人材については、もっといい人を入れていきたい、定職につけていない人材に仕事を与えたいと思うが、一度雇うとなかなか辞めさせられない労働基準の中では、チャンスを与えづらいのも現実。労働者に対して優しいことは、企業の競争力を低下させてしまう傾向もある。もっとメリハリをつけたルールにしていく必要がある。
鈴木委員
  • 人材の視点から申し上げる。MRJに搭載する高度な装備品は海外からの輸入に頼っているが、高度な技術を我が国で伸ばすチャンスでもある。大学の工学教育で、もっと専門性の高いことを教えるべきと考えている。フランスでは、高等職業教育機関が大きな役割を果たしているが、産業界の国際競争力を考えると、もっと高度化した教育を学部教育から行っていくべき。数年前から、文科省で高度な職業教育を行う高等教育機関について、検討を進めていると承知しているが、御存知であれば、現在の状況を御教授いただければと思う。
  • どう人材を育てていくかも大切。その道のマスターを育てるだけでは不十分。いかにイノベーティブな人材を育てるのか、産業界と一緒になって考える必要がある。一つのヒントとして、エアバスは、世界中の大学生を対象としたアイデアコンテストを行っていて、約500の大学が参加。世界中の大学生がそれに向かってアイデアを出している。興味深いのはエアバスの職員がメンターとして入って、学生のフレッシュなアイデアに触れることを、会社として組織的に行っているところ。そういった取り組みを日本の企業も是非取り入れて頂きたい。
引頭委員
  • 我が国製造産業について3点申し上げる。
  • サービスやソリューションに価値が移っているという指摘はその通り。なぜ製造業のサービス分野が弱いのかについて考えると、多くの大企業の場合、アフターサービスは子会社がやっているケースが多い。本社はモノの設計・製造の工程では付加価値を創造するとして質・量ともに優秀な人材を配置している一方、アフターサービスなどサービス分野については、必ずしもそういう位置づけになっていない。加えてサービス分野の現場の方々は必ずしも本社の意図するところを理解していない場合もある。同時に本社がサービス分野について深堀していない側面もあるかもしれない。つまり、サービスやソリューションで儲けるための、確たるバリューチェーンが形成されていない。大事なことは、企業として、サービスやソリューションが価値を産むのだという大きな意識改革であり、サービス・ソリューションのイノベーションが求められているのではないか。
  • 製造業としてグローバルで勝ち抜くことが生産性の向上に繋がる。ただし、今までのように日本の製品を海外で生産して売るというのは少々発想が古い。各国・各地域のカルチャー・価値観はそれぞれ違う。例えば、日本では、品質や安全などは当然のこととして受け止められているが、海外に目を向けると自国の製品は安心できないという国もある。国や地域によって何に価値を見出しているのかは異なる。日本と同じモノを売っても売れないこともあり、地域ごとにきめ細かな戦略の構築が必要。
  • R&Dについて。R&Dの初期段階から、製品に付随するサービスやソリューションを、様々な国で売っていくというビジネスモデルを意識することが必要であり、そうした開発の視点が求められる。すなわち、様々な国の事情が反映できるように、設計段階から仕掛けをしておく必要がある。これがなければ、1点目と2点目の実現は難しくなる。これら3点が有機的に繋がってこそ、グローバルバリューチェーンが形成できると考える。
松島委員
  • 自動車産業について、連続的なイノベーションが続いているうちは心配する必要はない。ただ、非連続なイノベ―ションが今後10~20年の間に突然やってくる可能性が高い。それを前提にイノベーションの議論をしなければならない。連続的なイノベーションで培った技術の生き残る道は新興国で残り収益の源泉となり、逆に、電気自動車や燃料電池車のような非連続なイノベーションの技術は先進国で展開すればよい。必要なのは両面戦略。一元的にやってもしかたない。
  • 大事なのはビジネスモデルの範囲の拡大。これまではモノを売って終わりというのが製造業だったが、バリューチェーンの中で、保有期間の中で、いかに付加価値を稼いでいくかが重要。情報でつながる車をどのように考えていくか。IoTがBtoCに活用できる方法を検討していく必要がある。
  • 企業経営での問題点は、経営者の経営判断のスピードが遅いということ。社外取締役の導入も一つの手段だが、例えば、一橋大学では伊藤先生が中心になり、CFO教育センターをつくって、CFOのあり方を教えるような動きが出始めている。企業経営者に対する教育をどうするのか、企業変革を行う経営者を生み出す変革をどう後押ししていくかは重要な課題。産学の仲介も当然必要だが、国にお願いしたいことは重要な法制度のスピードアップ。例えば、水素社会の水素スタンド整備でも様々な省庁が絡んで法整備がおくれたが、このスピードでは世界に太刀打ちできない。グローバルに勝ち抜くには、先進技術を用いた法整備を素早く行い、これを日本発のグローバルスタンダードにしていく位の決意がないとだめ。
三神委員
  • イノベーションという用語を使用する際には、プロダクトとプロセスとシステムの三種を明記し、システムイノベーションは、日本ではITシステムと誤解されるので、括弧書きで社会システム、取引システムを含むと記載していただきたい。日本のイノベーションはプロダクトとプロセスで止まってしまうので、システムまで含めた広い概念であるという注意喚起を含めて、具体的に記載いただければ。
  • 産学連携を行っても、日本の大学は、論文を書くのがゴールというタイムスケール。システムイノベーションまで考えた場合には、研究開発等の投資額が大きくなってくるためこれでは通用しづらい。日本の大学に、スイスの投資会社からエネルギー分野で投資をしたいという話があったが、研究開発における進捗管理をコンサルが入って行うことに嫌悪感を持ってしまい断った事例がある。大規模な産学連携を強化していく際の組織づくりは、国主導でやる時には担当者が数年単位で異動するので、ある程度時間がかかるものになじまない場合が多い。海外では、専門の中立的な機関や大学からスピンアウトした民間のコンサルが入るなどしている。重要なのは、何が産業をつくっていく時に足りていないか、バリューチェーンと法整備をみて中立的に検討していく機能。その際、ロビイストや戦略コンサル、知財周りの専門家も一緒にチームに入れていくことが大切。大きいグランドデザインができたら、次にWG単位でテーマを具体化して、その際予備軍になりうる有力な中小企業等を捕まえてチーム編成をしていくという実務的なチームを作ることが大切。
  • 工場の現場労働者のミスマッチについて。派遣業法に問題があるのではと思っている。季節労働者は企業から直接仕事を受けて段々スキルアップしていたが、派遣会社から仕事を受けると、最初から天井が決まっていて数年で雇い止めになり、スキルアップがしづらい構造になっている。また、工作機械の使い方がメーカーごとにバラバラで、使い方を覚えるのが一苦労で、教えてもらえる場もない。福祉政策でやるべき分野、職能団体がやるレイヤー、パブリックでやること民間でやることそれぞれがあるかと思われるため、ミスマッチの技能内容と訓練の場について整理が必要。
秋池委員
  • 第四次産業革命、IoTを使って安く生産できたから安く売るでは意味がない。値段の付け方が大事。価値を作る人も使う人も理解すべき。価値を形式知化したり、流通に値段を握られないよう検討したり、同じ産業の事業者が多すぎて差別化要因が価格しかなくなってしまうということを避ける必要がある。高付加価値の分野に人材を回していくということが重要。
  • 規制緩和について、何かを作ったり実験したり、簡素化出来るところがあれば検討して欲しい。全て国が見ていて、世の中に売っているモノは全て安全なんだということから社会の見る目を変えていく、購買する側が自己責任を持って商品を選んでいくという世界にしていくべき。買う側が、価格と質は結びついているという意識を持つべき。
  • 強みと弱みについて。ソリューション化、サービス化は非常に重要だが、価値を説明しにくいという意味において、難しさがあるのも事実。一つの障壁は語学力。モノはモノが語ってくれるが、ソリューションやサービスは言葉で語らねばならない。必ずしも短期間に個々の中小企業方の語学力や契約力を上げるのは簡単ではないと思うが、専門のエージェントの派遣など、最終的にいくらで売れるのかという契約の場面が重要なので、何らかの支援を検討いただければと思う。また、日本企業のものづくりの強みはそう簡単には揺るがないという点に目をつけて、得意なモノに乗せて売っていくという発想も大切。
新宅委員
  • 生産性の向上についてまず指摘したい。人手不足の解消のためにも必要。生産性向上のための活動をどこに重点をおいていくかというと、トヨタ等の先端的なところではなく、生産性の低いところ、つまり生産性向上の余地が大きい中小企業や、非製造業のサービス分野の生産性の向上を日本全体のために上げていく必要がある。サービス業については、賃金が低いことが指摘されているが、賃金を上げるためには、生産性を上げることが打開策のひとつになる。生産性を向上すれば、地方経済あるいは製造業の期間工の人手不足の解消にもつながる。生産性の低い分野を上げていく仕組み作りを政策的に検討いただきたい。
  • 付加価値の創出について。付加価値の作り方について、サービス化について異論はないが、日本の製造業の強みは安全性、品質、生産性で、昨今日本回帰の動きが出てきているが、回帰現象が起きるベースには、現場の強みがあったからこそであると認識したい。賃金構造や為替等の要因もあるだろうが、本当の理由はやはり強い製造現場があったから。それと付加価値をどう結びつけるかを考えた時に、レベルの高いものづくりをしているものは、国際的に認められるように、安全標準や耐久性等の品質標準、省エネ基準を国際的な標準にどう取り組んで行くか。一つのポイントはそこにある。例えば、インダストリー4.0で、どの工場に発注するかを考える際に、どういったKPIを設定するかが重要。ただ安いところが良いというKPIでは、日本の工場は選ばれない。どういうKPIを仕掛けていくのか、今から標準化の議論に入り込んでいくことが重要。
糟谷製造産業局長
  • 多岐に渡る御意見を頂き感謝。
  • 大宮委員から指摘があった、付加価値が新たに付くところは、競争領域に属しているので協調は難しいという問題は様々な場面で感じる。ただ、何らかの付加価値があるから競争領域だといってきた結果が今のそれぞれの企業が囲い込んだ状態なのではないかと思う。競争領域にも程度はあるはずで、全体像のなかで、小異を捨てて大同につくといったことができないのか、もう一つギアをチェンジするために何ができるのか、お知恵をいただきたい。
  • 政策的にも、特に、法整備のスピードアップが必要だという意見を頂いた。インフラ輸出の公的ファイナンスの決定に1~2年かかっている。誰も待ってくれないので、結局、アジア開発銀行・AIIBに行ってしまう。経営のスピードが問題だと言いながら、政府のスピードが一番問題と痛いところを言われた気がする。我々もよく考えないといけない。
  • 人材についても御指摘をいただいた。また、過去にできたことが新たな規制で突然できなくなることについて、現在、土対法の見直しの検討が進んでいるところだが、どういったことができるのかを考えている。
  • 新宅委員から指摘のあった、生産性の向上が進んでいない分野に力を入れるべきという御指摘について、自戒を込めていうと、我々は大企業とは付き合いがあるが、中堅・中小企業と十分な関係を築けているのか。中小企業政策はやっているが、それ一本でいいのか、製造産業に特化した政策を打ち出すべきではないのかと考えている。こちらについても気付きのきっかけになるようなお知恵をいただければと思っている。
事務局(飯田製造産業局参事官)
  • 鈴木委員からの御指摘のあった実践的な教育を行う新たな高等教育機関の制度化について、平成27年3月に、新機関の在り方について、基本的方向性が示されており、「質の高い専門職業人養成のための教育」を目的として、実習、実技、演習、実験等を重視し、教育課程編成や評価に産業界が参画するといった方向性が決まっていると認識している。その後、平成27年4月から文科省中教審での審議が始まり、具体的な制度設計について、平成28年年央までに結論をまとめ、平成31年度の導入を目指しているものと承知している。
大宮委員
  • 大同小異という観点で協力ができないかというお話だが、ドイツは比較的上手くいっていると認識している。ドイツの例を見ていると、一つの業種で大手の競合会社がないので、代表企業を中心に、異業種が集まって中小企業を引っ張っていくという構図が比較的できやすいのではないかと感じる。
  • 弊社も、日立との火力発電統合や、製鉄事業、これは国内で日立・IHIと統合した結果、規模が我々より大きいシーメンスが主導権を我々に譲って一緒になった。国内の企業が大同団結すると、海外の企業にも認められるという事例。
  • 日本の企業のスピード経営が送れているという視点だが、先に述べた合弁会社が独自経営の向上を図っており、かなりスピード感が出てきたと思う。本体に残ったところは原子力や航空宇宙など、国の政策とも連携しなければならない長期のビジネス。ただ、独自経営会社について戦略的事業評価制度等による統制とシェアドテクノロジー等の支援も行って求心力となる施策をとっている。
  • 火力発電事業については、国際的にと戦える大きさになってきたので、中小企業を含めて、バリューチェーン全体にITを活用していくことは上手くいくのではないかという感触を持っている。規模を大きくてして国を代表するような企業をつくることで国際競争力も高まるし、ドイツの様に中小企業との連携プレーも上手くいくように思う。
  • 自前主義を捨てて、他の企業と合弁を作る際に、産業競争力強化法は非常にありがたい。日立さんとの火力発電事業の統合の際には、一番に制度を使わせていただいた。
新宅委員
  • 中小企業へのアプローチについて。既に、我々もお手伝いしている生産性改善のためのスクールが地方に、十数カ所ある。こういうところが地域に根ざした中小企業にアプローチしていくプラットフォームになりうる。ここでは、比較的大企業の現場で活躍してきた方が、いわゆる現場のカイゼンを中小企業でお手伝いしているが、サービス業への展開がなかなか進まない。やっていることは、個別の機械ではなく流れを良くしてカイゼンするということなので、様々なサービス業・小売にも適用ができるのに、あまり進んでいない。我々も考えているが、思い切った仕掛けをしないと突破できないと思っている。例えば、製造業で育った方が、サービス業へのコンサルをやりやすくするためのマニュアルやテキスト作り等をするのも一案。また、大企業の人材が中小企業を支援して、中小企業の技術・製品を地域を超えて大企業のニーズに結び付けるようなマッチングサービスも重要である。中小企業支援には、地域に地盤がある地銀を上手く活用できれば良いと思う。
鈴木委員
  • ドローンに関わっているが、ドローン自体は軍用機として使われてきたが、ここ数年、民間の産業利用に関する議論が活発化してきている。複数の省庁にまたがっていて、どう協調の部分を作るかが難しい。総理がドローンを物流に使うとコミットしていただいて、官民協議会を作って、そこで関係団体・関係企業・関係省庁で、一緒になって議論する機会ができて非常によかった。制度の更なる整備や技術・サービスに対してはっきりしたスケール感を持った目標を共有して、議論しながら協調と競争を見極めていくことが重要と感じた。
秋池委員
  • 一つ目の最先端分野でどう協調するかという点だが、両者が同じような市場を目指しているが故に共有すると競争力が失われるからやりにくいというのはあるのだろう。違う物であれば補完できるはず。そう綺麗にすむ話ではないとは思うが、それが民間の経営が目指すべき理想。利益を配分するスキームの成功事例を蓄積していくことも大事。例えば、事業の売却等であれば既に経験が蓄積されていて、利害関係者が納得しやすい型というのが何種類か既にできている。民間企業同士が試行錯誤しながら、これなら納得感がある、ということをやっていくことが重要。
  • もう一つのご下問の中小企業について。中小企業120万社全ての生産性を上げることは難しいが、もう少し細かく見ると出来ることがあるはず。例えば産業ごとにとらえて取り組むことはできないのか。典型的な生産性が上がらないパターンが見えてくるはず。特定の産業を取り上げて改善策を作ることは、政府の取組としては公平性を欠くかもしれないが、そこから何かを学んで他の産業に活かすといった形で、ひとうひとつ解いていくことがあり得るのではないか。
松島委員
  • 自動車の産業構造を日独で比較すると特許の件数で大きな違いがある。ドイツはボッシュが出している特許が多くて、ダイムラー・BMW・フォルクスワーゲンの件数は少ない。日本はトヨタが圧倒的に多くて、それを補完しているのがデンソーとアイシン。ドイツでは、サプライヤーによる完成車メーカーの逆支配がかなり進展している。ドイツの完成車メーカーはサプライヤーから高い値段で部品を買わないといけない、結果的に高い車を売っているメーカーが多いという構造が確認できる。インダストリー4.0を考えるとき、ドイツはそのような産業構造である点を考慮しないといけない。日本に丸々あてはまることはできない。日本もドイツ流になったほうがいいのか、日本流を進化させていくのがいいのか考えないといけない。
  • 中小企業への対策について、やはり現場力の向上が重要。大手の企業でも、例えば伊藤レポートで、ミニマムROE8.0以上、できれば、10%以上を目指すよう書いてあるが、ROE8.0%の意味を全従業員の何%が理解しているのか。ほとんど理解していない。本来ならば、そういった教育を全従業員に行わなければならない。例えば、オムロンでは、ROEではなく、「ROIC」として、全従業員に現場の人が理解しやすいやり方で教え込んでいる。従業員にも分かる「ROIC」の簡単な翻訳式を作って、現場にあったKPIをその要素として説明、従業員がKPIを達成することによって会社全体のROICが向上していくということを徹底させている。こうした考え方が現場の従業員の方々の頭に入ってくると、部分最適ではなく全体最適を意識しながら生産性の向上に取り組むようになる。現場力の向上という観点では、こうした成功事例があるのであれば、経産省のHPに紹介するページをつくって中小企業に紹介するのがよい。
橋本委員
  • 中小企業の生産性向上がまだまだというのは事実だが、中小企業の生産性向上については、ここまでやったら良いというものは中々ない。単純な発想だが、会社の中の状況をみると、仕事に波がある。例えば、設計部門が忙しく、製造部門が空いている場合、この手待ちを他の会社の生産の手伝いに充てられたらお互いプラスになるのにと思う。全国的に製造業の会社減ってきているので、製造派遣という正式な形ではなくとも、もっと気軽にできたら日本全体がもっと効率的になるのではないか思う。そう思っていところ、ドイツのインダストリー4.0はまさに国全体でもっと効率的にものを作っていこうという発想で、そのためにIoTを活用しようという考え方で非常にわかりやすかった。こうした考えを日本が最初に考えられたらよかったのにと思う。
  • 安く作って安く売るということで、中小企業は余裕がない。安く作って高く売って付加価値をちゃんととっているところは中小企業では本当に少ない。どうしても買いたたかれてしまう。当社が長く続いているのは、常に社会のために、相手の信頼を得られるかという観点で仕事をしてきたから。あまりに、商業の道徳に欠けている方が最近増えているのではないか。もう少し道徳感を持って、価格の交渉を行うなど、お互いプラスマイナスがある取引をおこなうべき。中小企業が頑張って生産性を上げても、利益を上げられない仕組みがあるのではないか。大企業の方々の意識を変えていただければと常々思っている。
引頭委員
  • 3点申し上げたい。
  • 1点目は、研究開発について。ドローンを開発したのはDARPA、アメリカ国防総省国防高等研究計画局。ダーパの規模は、予算が年間約30億ドル、研究員も250人程度とそれほど大きくないが、常時200件程度のプロジェクトが動いていると聞く。日本には、様々な国立研究開発法人がある。例えば、産総研は研究員が2200~2300名程度、予算は1200億円規模、NEDOは職員数で800名程度、予算が1300億円規模であり、金額から見れば日本の予算がそれほど低いわけではない。ただ、産総研やNEDOのHPをみると、エネルギーの分野に重点がおかれているようだが、外からみると、それが重複しているのか、棲み分けがうまくいっているのかよくわからない。そこで、日本のすべての国立研究開発法人が行っている基礎研究のロードマップを、分野を問わず外部からわかる形で示すことが必要ではないか。いったいどの分野でどのくらいの研究が進んでいるのか、足りない部分はどこか、そうしたことについて、産業界にはっきり分かる様な形で見える化して、示してもらえないか。さらに、日本の基礎研究の分野において、今後どのような研究、開発が必要かについて情報を収集し、その鳥瞰図を世の中に示すことが必要。
  • 2点目は、人材育成について。日本のエンジニアの方々は、担当分野においては非常に専門性が高いとされる一方で、その他の分野については全くの門外漢であることも多いと言われている。たこつぼ的と表現するむきもある。グローバルにみると、ある分野の技術がまったく異なる分野で活用されているという事例は非常に多い。従来とは異なる発想が必要になるわけだが、それには、技術者のインスピレーションを培う必要がある。例えば、異業種のエンジニアを一同に集めて、まったく異なる分野の研究開発や事例についてディスカッションしていただくなど、普通では全く出会う機会がないであろうエンジニアの方々に、そういった場を提供するということも大事。
  • 3点目は、FDI、海外からの直接投資を増やすという観点。様々な取組が必要だが、直接投資をする際の、手続きの簡素化に取り組むべき。海外をみると、新興経済国ではそうしたことに真摯に取り組んでいる。例えば、ジョージアでは、外資が会社設立に要する期間は、1日か、かかっても2日と聞く。今や、優秀な人材を呼び込むためには直接投資は必要不可欠。日本は先進国であるからそうしたことには取り組む必要ないというのがこれまでの整理であったかもしれないが、基本に立ち返り、経産省が音頭を取って取り組むことも必要ではないか。
伊藤委員
  • 中小企業対策について。製造業は二極化しており、IoTやAIがわからない人もたくさんいる。HPもない、メールすらやっていない企業もたくさんある中で、国が求めている水準にもっていくにはどうしたら良いのかと常に考えている。例えば、補助金について、情報すら取りに行けない人たち、取りに行こうともしない、毎日の業務が忙しくて、自転車操業になっている人たち、そういう企業が衰退してしまっていいのか。その中に、失ってはいけない技術をもっている場合もあるのではないか。
    何もしないで、下の部分を放置するのは問題。下の部分を持ち上げるには、経営者のマインドを変えることが重要。古くから社業に専念している方は、外の情報を欲しがらない。外部の言うことを聞かない、職人気質の人たちには、耳を傾ける相手、例えば、銀行などの金融機関や信頼できる税理士、商工団体等を、上手く刺激をして、閉鎖的な経営者に刺激を与えることでチャレンジを促すことも必要なのではないか。それでダメならば、おしまいだが、技術を失ってはいけないので、次のステップでM&Aなどを考えればよい。ただ、継続が重要なので、雇用を守るための場所を確保しないといけない。末端を掘り下げないで、技術を失ったときに戻れないので、こういったアプローチが必要だと思う。
林真委員
  • 法制度自身の運用のスピードアップも重要。化審法の中で、安全性を評価するのは外部委員だが、外部委員の人材が枯渇している。人材育成ということで、国の委員会なので企業からは委員も入ってこられない。大学や公立の研究機関から入ってくるが、人材の育成が必要。
  • 安全の価値を測るのは難しいのは事実だが、安全性を評価する事業について、国からの入札がひどい。価格の1/3じゃないと取れないことになっている。国からの仕事をもらっていること自体が付加価値になるので、安くても仕事をとってくるということが起こっているが、安全の価値を下げているのではないか。安全を調べることにはお金がかかるということを、国からの委託時に正当な価格で出してもらうことで示すべきではないか。
三神委員
  • 中小企業にどのようにIoTに対し意識を持ってもらうかについてだが、前回の白書で分析していたコネクターハブ企業を取り上げていたが、これらのうち、まずは製造業について、差し水的にアプローチしていくのが一つのやり方ではないか。またスーパー下請けと言われるレイヤーからより強化することも、顧客の多様性を鑑みると効率的に波及効果があるのではないか。ここから優先順位をつけて、セキュリティ対策も並行し単年度ではなく長期計画で進めて行くことが大事。産業用ロボットやインダストリー4.0について、経営者とディスカッションする機会があったが、2020年段階で、消費者の嗜好の動きがより多様性を増し、マス・カスタマイゼーションの時代になってくると見られている。それに向けて、今は日本車も、オーバースペック、オーバープライスで販売する傾向があるが、国・あるいは消費者によって細かなニーズが出てきた際に、短期間で対応できるかという話になってくる。IoTやインダストリー4.0について、日本の大手企業は、工場間も既に情報網がつながっているため目新しい話ではないという反応だが、その下のレイヤーがマス・カスタマイゼーションに対応出来るよう、2020年をまずターゲットにして中期的にやってもらえないか。
  • 研究機関の間で様々なダブりがあるのではないかという指摘について、ドイツでは、例えば、どこにどのような研究機器があるのか情報共有できる仕組みが整っている。また、それぞれの研究機関がどのような研究をしていて、関連する技術をどの中小企業が持っているか分かるデータベースが存在している。メッセ会社が、展示会をやる度にデータを蓄積して、全欧州間で情報共有してもいる。このデータ共有グループに日本は入っていない。日本は、技術的なライティングができる専門家が文書を作成しておらず、展示会はイベント扱いで代理店に丸投げしていて、プロ向けのBtoBで本格的な交渉をする作りになっていない。そもそもDBをつくるという発想になっていない。産学連携を考えるときに、欧州勢が「全大陸で」良い人材を探そうという感覚で周知活動をする際、地理的な意味で韓国は入っているが、これに日本が入ってこないことがある。
  • 国防系の予算について企業の研究開発がどれだけ手を出せるのかについては避けて通れない議論。デュアルユース目的で開発していくということになると思うが、大企業は入っていけると思うが、中小企業が手を上げたときに、スクリーニングが相当必要。まずはコネクターハブやスーパー下請けになっている企業に任せるなど、少し中期的に審査手法やセキュリティ等、仕組みづくりを進めることが必要。

終わりの言葉

清家分科会長
  • 本日は、大変有意義な御意見を多数頂いた。今後の製造業のあり方を考える上で、大変示唆に富む議論ができた。
  • 労働供給制約の時代、これから15年間の間に労働力人口が700万人以上減っていく。30代の女性、60才の男性の労働力率を毎年1%上げていっても、労働力人口が200万人以上減ると予測されている中で、これから製造業が数少なくなっていく労働者をどのくらい引きつけられるか、どのくらい魅力的な職場になっていけるかどうかが重要。それがなければ、どんなに素晴らしいストーリーも絵に描いた餅になってしまう。
  • もう一つ、何人かの委員から価格付けについて指摘があったが、生産性の向上は、付加価値生産性の向上でなければならない。どんなに物的生産性が上がっても、価格が下がってしまったら付加価値生産性は上がらない。労働供給制約ということは、もう人は安い賃金では雇えなくなるということで、その価格では人がとれませんとなると、製品・サービス価格も上がっていくのではないか。最近、建設業界などでは、建設労働者の賃金が上がって、安い価格では受注できませんとなってきている。長期的に労働供給制約がこうした形で価格にプラスの良い影響を与える可能性もあるのではないか。
糟谷製造産業局長
  • ひとつひとつ非常にありがたい、中身の深いコメントを頂いた。特に、後半、地銀との連携であるとか、スーパー下請けといった優先順位をつけて取り組むべきといった指摘や、中小企業について産業ごとに取り組むことが一つの切り口ではないかといった意見を頂いたので、参考にしながら進めていきたいと思う。
  • 引頭委員からの御指摘のあった、異業種エンジニアリングの交流の場だが、商務情報政策局を中心に行った「IoT推進ラボ」でマッチングイベントを行った。参加されたある製造業の方から、これまで想定していない方と組めることが分かり、これは大きな気づきだったと直接伺った。こういう機会をつくることには価値があると改めて思った。異業種エンジニアリングの交流の場について、どういう切り口があるか、色々考えたい。
  • それから、橋本委員から御指摘があったように、ドイツにインダストリー4.0という旗を先に立てられたのは残念だが、ただドイツでも中小企業がお互い組んで、手持ち時間を使って作業をするという取組ができてということはまだ聞かないので、日本が先にそういう仕組みを作り上げる余地はまだまだあるのではと思っている。いずれにしても、中堅・中小企業が、第四次産業革命の中で、出遅れない形で、どこまで何ができるか、これから非常に大きな課題と認識している。
  • 本日の議論の内容については、今後の製造産業政策に反映していきたい。具体的には、第一に、現在作成中の平成28年度ものづくり白書への反映、第二に、平成29年度に向けた経済産業省の新政策への反映、第三に、現在、新産業構造部会で検討中の新産業構造ビジョンなど産業構造審議会全体への反映等、こうした形で本日頂いた議論を改めて整理させていただいて、活用させていただきたい。

(以上)

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最終更新日:2016年5月10日
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