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産業構造審議会 製造産業分科会(第5回)-議事要旨

日時:平成29年3月10日(金曜日)14時30分~16時30分 
場所:経済産業省本館17階 第1~第2共用会議室

出席者

清家分科会長、秋池委員、伊藤委員、大宮委員、新宅委員、橋本委員、林千晶委員、林真委員、堀場委員、松島委員、三神委員

議題

  1. 我が国製造業を巡る経済動向と重点政策課題
  2. 我が国製造業を巡る最近の主要な政策課題

議事概要

開会挨拶

三田大臣官房審議官(糟谷製造産業局長代理)
糟谷が遅れるため代わって挨拶を申し上げる。まず、お忙しい中お集まりいただき感謝。
我が国経済はこの4年間で名目GDPが44兆円増え、また雇用が110万人近く拡大、企業収益が過去最高といった形で少しずつ経済の好循環が回り始めている。さらにこれを加速化して、日本経済を成長していくことが大事。
その際に、やはり基幹産業である製造業は大事だと思っており、製造業が例えば少子高齢化に伴う人手不足の問題、あるいは高齢化、あるいは弱者、あるいは地域経済、こういった問題にどう対応するかといったさまざまな構造問題に対して、サービスも含めたソリューションをどうやって提供していくか、こういった価値をまさに生み出していくことに意味があると思っている。
その意味で第4次産業革命への対応が重要。既に、昨年来、議論いただいているが、それがどうすべきかというかということで、実際にやってみるといろんな問題が出てくる。こういった問題を1つずつ議論していく、そういった悩みに応えて、これを実装していく段階になってきたというのが実感。
例えばIT人材の不足、あるいは中小企業はどうやってこれを導入してくか、あるいはデータのオープンとクローズの問題、あるいは標準化を進めるか、さまざまな問題がまさにむしろ議論をすればするほど明らかになり、社会や規制の問題も出てきている。こういった共通な問題、個別な問題を一つ一つ議論し解決していくフェーズになってきていると感じている。
このほかにも、民生技術と防衛技術のボーダレス化によって、重要技術の把握、管理、保全というのがより重要になってきている。今回はこういった技術力の維持、あるいは安全保障といった観点もぜひご議論いただきたい。
さらに、まさに私どもも非常に懸念している、保護主義的な動き。その中でむしろ我々は国際的なビジネス環境をどうよくしていくのか、中小企業あるいは地方経済も含めたサプライチェーン、ここにアベノミクスの恩恵をどうやって波及させていくのか、あるいはイノベーションをどうやって促進していくか、さまざまな論点がある。
本日は、ぜひそういった論点について忌憚のないご意見をいただきたい。

1.我が国製造業を巡る経済動向と重点政策課題

〇事務局(風木製造産業局参事官)
事務局より、資料1にもとづき説明。
〇新宅委員
第4次産業革命について2点申し上げる。1つ目は、IoT等の活用でリアルデータを集めて活用する取組が、約3分の2の企業で始まっていることは大変望ましいこと。ただ、今後は複数の企業がからんだ場面でのデータの活用が、大きな潜在的な可能性をもっているが、さまざまな利害関係もあってなかなかそこに入り込めていけない。他方でそういう分野が非常に大きな今後可能性をもっている。ここはグローバルなプラットフォームになる可能性があり、そこに対する取組をどうやっていくか、1つモデルケースを支援して作りながら、日本企業主体でできればいいのではないか。
2点目。IT、ロボット活用で今後の人材不足に対応するという点について、工場現場での機械化、自動化は、単純に人がいらなくなるのではなく、必要な人の種類が変わるということ。例えば中国の製造現場も賃金高騰が進み、中国政府の舵取りで機械化、自動化がどんどん進んでおり、機械のメンテナンス工が重要となっている。今、中国政府ではそういった分野の人材育成に注力している。日本でもそこの人材育成をしっかり行うことが競争力になる。
〇大宮委員
第4次産業革命は非常に多くの企業が興味をもって参画している。ただ、企業間連携の具体的な動きに結びついていない。この問題は、知財の問題とからんでいて、データとプロセスを開示する部分と開示しない部分というのが企業秘密としてある。この点について、法律か何か仕組みをもって、データを流通させる制度設計をしないといけない。
ビックデータも含めた活用は、個別産業ではおそらく自動車が進んでいると思うが、労働集約産業である航空産業でも、一部製造工程でロボットメーカーと組む取組が進んでおり、日本の航空産業の底力を上げる可能性がある。ただ、まだ工場内だけの取組であり、これをサプライチェーンにどう広げるかが課題。
〇林千晶委員
2点コメントさせていただきたく。1つ目に先日米国コンサルより、人工知能やロボット化、自動走行、要は自動化して人が減るという政策に対して米国は遅れているのではないか、という発表があった。そういう中で、高齢社会が進む日本は、ロボットや自動走行によって人手不足を克服しながらも生産性を高めていくという、世界でも数少ない環境ができておりこれはチャンス。これを活かすためには、どれだけ実験や実績を増やせるかに懸かっている。世界に先駆けた施策を進めるためには、ベンチャーなど実験をやりたい人がどんどん集まる実験場を、2020年に拘ることなく国が用意すべき。その際、他領域かつ世界中から横断的な人材が集まるような場所にすることで、真に先駆けた取組になると考える。
2点目は、データの収集が進んでいる一方で、集めたデータをどう使ったらいいかわからないという課題に直面している企業の声を聞く。自社内に活用をテストできる人材がおらず、Sierに外注しないといけないためコストがかかる、それに見合う投資ができないという構造的な課題がある。データ活用、人工知能と言われているが、データ活用による生産性向上のうち8割以上は汎用ではないかと思う。データ活用により生産性を上げる上で企業の競争優位性に関わるところはクローズでよいが、汎用的な部分は、多くの企業が使えるような仕組みを国が調達するような仕組みを作ることが望ましい。
〇三神委員
Sierの人材が追いついていないという点について、日本は独立して生産技術プラスソフトウェア開発を支援する、中立の大企業が産業構造的にないことが一因。今後こうした中立的な業界を、あるいは各社に汎用的に転用できるような仕組みを国が支援するときに、カーブアウトの手法で、例えば生産技術部門の一部をM&Aで統合させて、そういう組織を作るような誘導を経産省として行うこともあり得ると感じる。
重要技術の管理について、いわゆる鉄のスクラップ会社の経営者に伺ってみると、なるべく丸ごと持ち込んで処理してくれるというところにものが集まりやすく、ここに競合国というか、表の窓口だけ日本人を置いて、中は全く異国のメンバーといった会社であるとか、下請事業者に適切な対価を払わずに引き取っている例があり、こういう安いところにどんどん流通している。かつ現状は、こういった分野は自治体の管理になっているので、こういう流通の最後のところまで、国として慎重な管理をお願いしたい。
もう1点。機能性素材のインキュベーション施策の説明があったが、日本で基礎研究に近い領域で大連携を組む場合に欠けるのが、スイスの製薬業界がやっているような、組織体制がどれだけバランスがとれているか、将来の産業化を念頭に置いた簡易デューデリを途中経過で入れていく、その簡易デューデリを受けたという認証をもってより投資を募りやすくするという視点。よく日本では経営者の目をみて判断とか、情緒的なものが多いのですが、より海外の投資家も含めて説明可能な、客観的なそういったプロセスを作っていく必要があるのではないか。
〇林真委員
人材の確保という点で、ロボット等の導入、定年の延長、再雇用、いろいろ進められているが、経験豊富な団塊世代の人たちが抜ける部分をロボットが肩代わりしてくれるというのが理想ではあるが、その猶予はもう短い。団塊の世代が抜けて一気に人員が減ってしまうようなことも、特に中小企業等では考えておかないといけないのではないか。
〇松島委員
長年自動車業界をみていたアナリストの立場で、自動走行とモデルベース開発について意見を述べる。モデルベース開発は、マツダの開発を筆頭に、マツダデジタルイノベーションというので十数年前からやっていて、完全にものにしてきた技術なので、これからはモデルベース開発をベースにしたオープンアーキテクチャーの部分と個別のアプリケーションをどうやって色分けしていくのか、という発想が必要。
また、自動走行では、サイバー防衛というのが非常に重要になってくるので、そこを従来のように、個別の自動車メーカーがばらばらに防衛システムを作るのではなく、共通化したものを一緒に作っていく、そこでこのモデルベース開発の基礎の部分を使っていくという発想が必要。
さらに自動走行について、日本の技術に危機感をもっている。入り口の技術である自動ブレーキでは、各社は今、これを搭載したモデルをどんどん出しているが、明らかにコンチネンタルはじめドイツ系メーカーが中心。こういったベースの技術で敗退すると、次のステップ、いわゆる自動走行のレベル3に向けたような展開の中で追い越せるのか疑問。特に今の自動車産業の構造は、自動車メーカーがトップに位置して、その下に1次、2次サプライヤーというピラミット組織。ヨーロッパではこの関係が逆転して、ロバート・ボッシュ、コンチネンタルのようなメガサプライヤーがいろいろな技術領域の開発を強化して、自動車メーカーに対する逆支配体制を強化している。特許の公開件数をみても、フォルクスワーゲン、ダイムラー、BMWに比べて圧倒的にボッシュ、コンチネンタルの方が多いし、研究開発投資をみても、自動車メーカー以上の研究開発投資を行っている。ヨーロッパはメガサプライヤーであるボッシュ、コンチネンタルが技術をもっている部品メーカーを買収しながら領域を広げており、明らかにスピードが速い。日本の自動車産業もこの1、2年間の間に、これに対抗し得るようなビジネスモデルのチェンジ、これを意識した業界再編のスタートを切っていく必要がある。
論点1②について、重要技術管理にどう取り組むべきかは非常に重要なポイント。重要技術が海外流出し真似されて、日本の産業が被害を受けることを阻止するための制度がしっかり整備されているかというと、外為法の改正だけでは不足していると感じる。このため、この領域については新たな法整備をして、もっと海外へタダ取りされるような技術流出を食いとめるような動きを国策として出すべきであり、GDPでこれから引き上げないといけない防衛技術をいかにして民間転用も同時に考えて応用していくかという点も国策として必要になってくると考える。
〇橋本委員
IoT活用と業績の関係についての報告があったが、中小企業の経営者は大体多忙な方が多く、アンケートに回答するという時点で大体そこは回答する余裕がある会社だとみていただいた方がよい。このため、中小企業の回答数が増えているとしたら、中小企業でもこういうところにも回答できる余裕が出てきたのかな、とみていただいてよいと思う。
加えて、業績に余裕が出てくると、この先、何をしなければいけないか、どうしていこうか、といったことを考える余裕が出てくるので、恐らく中小企業に関していえば、余裕が出てきたからもっとIOTを活用していこう、社内のデータをとって、もっと活用していこう、ということと思われる。
中小企業の経営者では、自分で起業した方もいるが、やはり親の会社を継いだという方が非常に多く、経営者が世代交代したときに、今までやってきたことを見直そうとか、自分はこれから何をやっていこう、といったことを必ず考えるので、そういった経営者の世代交代が進むと、中小企業の活力や新しい取組が進んでいくと感じる。
人材の確保の取組、現場力の向上について、人材不足、現場力低下は非常に大きな課題ではあるが、人の数としての「量」が不足している場合と、能力的な「質」、マインドやスキルといった質的な部分の不足もある。シニアベテランの活用が多いというのは、その量と質の両方一遍に解決できるので、その意味で一番効果的な対策ということでとられるところが多いと思う。それは永久的な解決策ではないことは分かっているが、まずはそこでしのぎつつ、という実態がある。
ロボットやIOTの活用は、量の不足をカバーするには取り入れやすい一方で、今までやってきた仕事をロボットに置きかえることについて、明らかに効率的、効果的になっていくということがわかっていても、今までその仕事をやっていた人が、いきなり別の付加価値の高い仕事に移れるわけではなく、そういう論理的ではないところで経営判断が働いている部分もあると思う。
データと知財の関係について、中小企業は交渉力が弱く、大企業が有利となるような利用関係によって、中小企業がデータを活用できなくなると非常に困る。
最後に、スマートものづくり応援隊のような取組は非常にありがたい取組。IOTやロボットの活用をきっかけに、会社の経営課題がどこにあるのか、そういったアドバイスをいただけるとすごく助かる。
〇秋池委員
リアルデータの部分で日本がプラットフォームを獲得できる可能性があるという点について、やはりこれはよく考えて、日本の企業なり、日本の競争優位性をそがないような取組であることが非常に重要。海外の例も含めてだが、例えば自社のリアルなデータを機器メーカーあるいはITのシステムインテグレータに渡したことによって、それが汎用化してしまって競争力が失われてしまった産業、企業が多々存在。何を、何のためにデータを集めるのか、何で勝ちにいくのかというところをよく考えないと、ただデータを差し出すだけになってしまうということはないように取り組んでいくべき。
〇堀場委員
AI、IoTは大事だが、中国や韓国など労賃の安いところと対抗していくには、日本はどんな工場、どんな商品を作っていくか考えないと、単なるアプローチだけでは勝てない。当社の日本の工場では、8割は協力会社を使って生産をしているが、売上が伸びても在庫が減らない、利益が上がらないという状況があった。多品種少量ということもあるが、検出器をつくって分析を組み立てて、システムをつくりあげる間に、協力会社とのロジスティックで30~40回行き来していることが問題と分かった。協力会社を含めた中間在庫をなくすために、協力会社を工場の中に取り込めばということで、提案したが、当然簡単にはいかない。しかし、リードタイムを短くし、生産性を上げることで、当社と協力会社がとともに成長する、一緒にグローバルで戦える、という論理を持ってうまく取り組めている。
もう1つ、半導体の製造装置につけるマスプロメータという一番キーのコンポーネントの当社のグローバルシェアがこの20年間で10%から50%まで上がった。ただ、日本だけで開発したかというと、実はアメリカ、ドイツの部隊を連合させて日本が主導して開発して、欧米の企業と戦ってシェアを上げた。半導体ではシリコンバレーとネバダのリノに研究開発部門を置いて、日本の研究部隊と連合して開発をすることによって欧米の企業に対抗して勝ってきた。つまり、日本人だけで研究開発や生産、IoTをやることは、タケヤリでB29を撃墜するようなアプローチで、むしろ日本の資本がそういうところをきっちりおさえて人材をマネージする人を育てながら対応することが重要。当社では今7000人の従業員がいるが6割が外国人。フランス人が1000人、あとドイツ、アメリカ、イギリスが800人ずつで、実はこの6割の従業員がもっている技術は、日本の本社でもってない技術の分野がたくさんある。しかしマネージしているのは我々。これがやはり日本の強さ。そういうアプローチをしないと、中小企業がグローバルで戦えない。
最後に電気自動車について、1年前にテスラの最新モデルに乗ったが、自動車が進歩するパフォーマンスとアプローチは今までの自動車産業の技術のアプローチとスピードが違う。いわゆる開発時間軸が全然変わってきた。運動性能や耐久性は分からないが、完成度がすごく高い。これはアメリカだからできることで、テスラが日本では起こり得ない。なぜかというと、優秀な人材をアメリカは非常に短期間に集めることができる。人の流動性という観点で、特に日本は優秀な大企業がたくさんあるが優秀な人が全く流動しない。これが新しい産業が競争力をもたない一因で、優秀な人たちが若いうちに衰退産業から強い産業にいい時期に移動できるようにすることが、競争力につながる。
〇伊藤委員
当社は手作業で貴金属メッキをしており、また高付加価値の多品種変量生産が強みであり、人の手が絶対不可欠。人を育成していかなければいけない部分と、ITやロボット化でもよくなっていく部分は、分けていく必要があると思う。今後の政策の方向性で、全面的にロボット化・IT化になるという誤解を企業が受けてしまうと、そこでハードルが高いのでチャレンジすらしない中小企業が現れる。IOTやAIを分かっている中小企業はごく一部であり、どこに焦点をあてていき、余力の無い部分をどう底上げてしていくかがすごく重要。
人材確保について、高齢者の活用も確かに必要だが、マインドが前向きな方と後ろ向きな方がいらっしゃって、やはり新しいものにチャレンジしようという活力が低くなると、新しい時代に乗りおくれてしまう。
IOTでも何でも操作するのは人間なので、教育が変わらない限り人は変わらない。日本の教育で、もっと個性とかを伸ばすような教育を今入れていかないと、短期ではもちろん20年後、30年後には日本の競争力がますます低下してしまう。

2.我が国製造業を巡る最近の主要な政策課題

〇内田委員
伝統的工芸品は、極めてローカルな産業だがクールジャパン政策とは深い関わりがある。クールジャパンは1997年の英国の労働党のブレア政権が行った選挙キャンペーンの「クール・ブリタニア」をモデルにしたものと理解しており、そこでの中心はいわゆる創造産業、クリエイティブ・インダストリーで、個人の豊かさと創造能力を源泉として富と雇用を創造すること。こうした概念によって、美術の立場からすると、アートの概念が非常に拡大した。
英国ではこの創造産業を進めるために政府の施策でクリエイティブ・パートナーシップというのを進めており、芸術の事業化という観点でアーテストを学校の授業に招いている。英国政府の調査では、この芸術の授業を受けた子供は主要教科、国語、算数、理科が非常に向上したということを報告している。つまり伝統的工芸の強みというのは非常に日本の文化のあらゆるところに共通していて、そして人の心に働きかけたり、人の心を癒す力をもつということ。今は第4次産業革命でロボット、宇宙開発などが話題になっているが、人間中心の社会をつくるという意味で、伝統工芸というものをそういった側面から見直すことは重要な意義をもつのではないか。
先日、文化庁でユネスコの世界遺産の無形文化遺産の特別委員会があり、お茶、華道、和装、書道、これを世界遺産に推薦していくということでその調査を始めるという決議がされたが、そのすべてに伝統的工芸品は関わる。今後、クールジャパンの中で、アニメや漫画がフューチャーされているので、それらと伝統的工芸品が結びつけられないかというようなことをぜひ一度ご提案させていただきたい。
〇新宅委員
産業の新陳代謝という観点で、中小企業政策について述べる。素形材産業等の製造基盤技術を活かした「稼ぐ力」研究会を半年程やってきたが、日本の製造業の中で重要な基盤となってきた素形材の分野で、中小企業が今非常に大きな転機を迎えている。自動車等大手がどんどん海外に出ていく中で、中小でも大きなところ、ティア1、2は海外に出ていけるけれども、そういった規模をもっていないところがこれから日本の中でどう生き残っていくかというか、事業転換を果たしていくかということ。
そういった環境の中でも、自動車から航空、宇宙、あるいは医療・介護に事業転換をしていくとか、自動車業界の量産ビジネスから多品種少量、試作品だけに特化した企業とか、あるいは海外に出ていく、あるいは航空分野でも日系の大企業だけではなく、海外のメーカーと直接取引をしていく中小企業などがいくつか出てきて、その結果としてかなり高収益を上げているということがわかった。
こういう企業をみていると、中小企業ではあるけれど、事業継承、あるいはリーマンショックのような危機を転機にして大きく変わって、いわば第2、第3の創業をしているというイメージ。既存の中小企業のこういった事業転換等に対する新しい取組への支援、ある種の雰囲気づくりや情報出しというのも重要。
もう1つ、そういう先端的な中小企業の現場をみてみますと、やはりものすごく設計のところでCAD、CAMをうまく自分なりに使いこなして、例えば試作品ビジネスをやっている企業は、設計データをもらってからいかに速く加工データをつくり込むかというのが重要になってくるので、IT活用をすごくうまくやっている。一方で先ほどから指摘があるように、IT技術者が中小企業にいないという状況があり、例えばITベンチャーと従来型の製造業をマッチングさせるとか、そういう政策をが必要。
〇林真委員
資料の3(5)「化学物質管理」について意見を述べる。化学物質の製造は我が国の製造分野の中でも重要な分野だが、化学物質といっても医薬品から、農薬から、食料関係といろいろな種類がある。医薬品の場合は、患者に投与して、それが利くかどうかということで効果がみえやすいが、例えば農薬だと無農薬のほうが安全だというような神話ができているし、工業化学物質でも、今回話のあったさまざまな要素技術を支えているのはやはり化学物質であることには間違いないので、それらがどういう形で産業を支えているのかをもう少しみえるような工夫が必要と思う。そういう化学物質を速く開発、上市するために安全性というものもみていかなければならず、そのために化審法が今回改正された。今回の改正で確かに一歩前進だとは思うが、さらにドラスチックな改正なり、考え方の転換、AIやQSARなどを使った、非常に危ないものだけは見つけ出すというようなストラテジーに立った政策というのも必要と考える。
もう1つ、国によって化学物質の安全性評価の基準にかなり温度差があるということがいわれている。医薬品の場合にはICHという日米欧で基準化を図られているが、そういう動きが化学物質の分野でもあって然るべきと考える。
〇三神委員
国際会計基準の関係で最近、いわゆる在国品の扱いが従来は資産扱いだったものが、損失もしくは費用計上になるという、日本が高度部品で稼いでいく上で、非常に不利になっていくであろう基準になっている話を聞いた。将来、部品を海外に供給していくということを中小企業政策で打っていくならば、これは当然国際会計基準適用会社になってくる、こういったところのロビー活動というか、日本に不利でない形に誘導していただけるようにお願いしたい。
大手の製造業が新しい流れに乗り遅れないために、米国型のイノベーション・アクセラレータという仲介事業者がいて、いわゆるAI分野はシアトルに非常に集積があって、ベンチャー企業と大手をコラボレーションさせている。国内では残念ながらこの間をとりもつ機関、名乗ってはいても、米国のクオリティーと比べるとかなり遅れている状況。従来よくあるのは、コラボレーションといいながら、ベンチャーのノウハウを取ってそれきりということが大手にあるものですから、そうではない対等な競争環境の整備、あるいは概念を導入していくということが必要。
最後に防災BCPについて、例えば中小の水道管メーカーが、福島の事故のときにも、火力発電所を大急ぎで再開させるのに活躍されたところだが、各社のボランティアな取組で、いつ、どこで地震が起きてもいいように倉庫を分散させて水道管を保管しているといったことをされている。他方で、こういった取組に対する優遇措置がない。加えて、世界防災サミットなどで日本が参加すると展示会どのイベントで終わっている印象。欧州では展示会を行う場合は、必ず企業のデータベースを作って何らかの案件につなげていくという動きをしている。日本でもそういった防災に関わるコンサル会社を本気で作っていくことも検討してはどうか。
〇松島委員
ソフト、特にOSに関する支配体制をグーグルなどが狙ってきているというのが明らかな中、これに対抗できる企業や政策があるのか。ハード面でいうとやはり半導体が不安要素。特に自動車の場合、これからはパワー半導体という新しい領域が非常に重要になるが、ここで外国製のパワー半導体を使うようになってくると日本の真の強さというのはなくなってくるのではないかなと思う。
よくある例が99ページにある機能性素材で、リチウムイオン電池が強いといいつつ、部分的に強いが、総合的にリチウムイオン電池で大きく利益を出しているかというとそうでもない、というのが典型的な日本のパターン。部分で勝って全体で勝つための産業構造の設計図を新たに書く必要がある。
その中で特に重要だと思っているのが、新素材シンドロームがこれから起こる可能が高いという点。現状自動車をつくるために自動車メーカーは4つ大きな工場をもっている。プレスの工場、溶接、塗装、最後に組み立て。これが仮に樹脂製に変わるとしたら、最初がプレスから射出成形に変わる。金型というノウハウは残るが、機械そのものが完全に代替されてしまう。溶接は、樹脂だと接着という新しい技術力が必要になる。自動車や部品メーカーは化学的要素の技術をほとんどもってないので、これは新たな脅威の技術になる。樹脂はさびないから防錆の塗装は不要になり、最初から色がついてくる可能性があるから簡易塗装になる可能性が高い。EVを意識すると、自動車メーカーのノウハウの塊だったエンジン、トランスミッションがモーター、インバーター等に変わってしまう。サプライチェーンそのものが完全に変わるので、新素材をベースにする産業構造の大転換というのが、恐らく早ければ2030年ぐらいに出てくると考えている、このため、旧来型のものづくりの戦略からこのような新しいタイプのものづくりにシフトしていくというのも前提条件の中に入れておく必要がある。
〇大宮委員
日本のこれからの産業構造について、質の高いインフラ、自動車産業の先にもう少し高付加価値として航空機、さらに客船といった非常に高付加価値船というものをこれからも作りあげていくということが日本の未来にとっては必要と強く思っている。
先ほど話のあった自動車のソフトウェアの数、ライン数が多くなっているということと、お客様の要求が厳しくなって部品の点数も非常に増えてきている。例えば客船では1200万点ある。これをスクラッチからすべてお客様と仕様を決めなければいけない。そこに飛行機などは規制当局の規制も入るといった、非常に規模が大きく複雑になってきているということ。
先ほどの自動車でもありましたけれども、巨大なサプライヤーがいる。特にMRJでは、装備品になると日本にはメーカーがいない。海外をみると非常に巨大に集約されており発言権が大きい。例えばエンジン、それからコックピットの周りなど操縦装置といった非常に重要な機関の装備品がほとんど海外の巨大メーカーに握られている。これをどうやって管理するのかというのが非常に難しい。
複雑さという点でいえば、例えば客船ではビール工場を船の中に作ってどこでもビールが飲めるように、というような要望があったとき、大きな大規模システムをまとめる、ということになる。先ほどモデルベースとディベロップメントという話が出たが、それのさらに先を見据えると、何か巨大なシステムをまとめるためのツールが必要かなということが1点。
それから、もう1つは人。堀場委員から出ていたように、優秀な人の流動性が非常に高める必要がある。一気に優秀な人を1000人位集めて、というのは日本ではほとんどできない。MRJでは今、外国人の数をものすごく増やして20%ぐらいになっている。そのくらいの人を一挙に集めるような仕組みがないといけないなということと、先ほど申し上げた巨大なサプライヤーが海外でなく、国内にある程度構築されていて、巨大なシステムを仕上げるための意思疎通がうまくいくための仕組みを作っていただけたらと思う。
〇清家分科会長
新しい技術と特に雇用の問題については、林千晶委員が触れたように、海外で議論をすると、日本は第4次産業革命と少子化がウィン・ウィンの関係になるかなといわれるわけだが、しかしそれは黙っていてもそうなるわけではない。雇用と技術の関係というのは19世紀のランカシャーのラッダイト運動以来、繰り返し出てきているわけだが、それが今までうまくウィン・ウィンになってきたのは、やはり生産性が向上した部分がきちんと分配されるということによってそれが成り立ってきたのだろうと考える。したがって、この第4次産業革命においても、それによって生産性が向上した部分を雇用の改善とか、今はまさに賃上げとか、労働時間の短縮というような形で課題にうまくもっていけるかどうかが大切。

水銀等による環境の汚染の防止に関する計画告示案について

〇事務局(風木製造産業局参事官)
事務局より、資料2-1~3にもとづき説明。
〇清家分科会長
ご説明のとおり、今般の水銀汚染防止計画案は、本分科会の下部組織の化学物質政策小委員会の制度構築ワーキンググループで十分にご議論をいただき、パブリックコメントの手続を経て成案を得たものであり、皆様から異議がなければ、本計画案を分科会として了承したい。
(異議が無いことを確認。)
ありがとうございます。今後、水俣条約が発効し、水銀汚染防止法が施行されると、同法第3条第3項に基づき大臣から産業構造審議会に本計画の策定について諮問をいただく運びとなっている。その際、改めて事務局より委員の皆様へ、書面審議のために文書を送付させていただく。

閉会挨拶

〇糟谷局長
本日は、お忙しいところお集まりいただき感謝。半導体、電子、電気産業をみていて、こういうことが他の産業で起きるということがないのかということを非常に心配している。半導体というのは非常に多額の投資を非常に短いサイクルで繰り返す、その中でいろんな技術がシステム化され、機器に対応されて、誰でも同じことができるようになったために、スピードと資金力の強い人がどんどん勝っていくゲームになってしまった。デジタル化がものづくりの世界に広がる中で同じことが起きかねないという危機感をもっている。ただ、それを恐れていても仕方がないので、積極果敢に自らそれを試し進めながら、オープン化による水平分業を進めつつ、ただしかし自分の強いところをしっかりとクローズドで守る、そういう形の競争が進んでいくために我々はどんな環境整備ができるか、ということをいろいろ思っている。
本日いただいたご指摘を参考にさせていただきながら、来年度の新政策に向けてさらに検討を進め、さらに製造産業の環境整備をしっかりと図ってまいりたい。

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お問合せ先

製造産業局参事官室
電話:03-3501-1689
FAX:03-3501-6588

最終更新日:2017年5月29日
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