経済産業省
文字サイズ変更

産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 IT人材ワーキンググループ(第2回)‐議事要旨

日時:平成27年3月25日(水曜日)15時00分~18時00分
場所:経済産業省本館17階第1共用会議室

出席委員

有賀委員(座長)、岩丸委員、大場委員、辻田委員、暉委員、冨田委員、西野委員、三谷委員

議題

  1. 第3回情報経済小委員会(3月4日開催)におけるIT人材に関する指摘及び前回WGの御意見を踏まえた検討テーマについて
  2. 情報セキュリティ分野の人材ニーズについて
  3. 海外IT人材の活用について
  4. IT産業の受託開発ビジネス及び多重下請け構造について

議事概要

以下、委員等からの主な意見

1.第3回情報経済小委員会(3月4日開催)におけるIT人材に関する指摘及び前回WGの御意見を踏まえた検討テーマについて

  • 受託開発や下請がだめという単純な議論ではなく、労働集約になっていること自体が一番大きな問題。ある種のビジネスのやり方や契約のあり方自体に関する議論に飛び込まないと、ここに対する解決法はないと思う。これが難しいのは、契約なので片方だけではどうにもならないから。ユーザーとベンダが双方で話をすることが、多分重要になってくる。個人的な意見だが、パフォーマンス・ベースド契約みたいな話は取り入れるべき時期に来ている。うまくいったらインセンティブが得られる、失敗したらディスインセンティブが与えられるのかわからないですが、パフォーマンスの視点に取り組めば、大分潮目が変わると思う。
  • 同時に、労働集約になっているもう一つの原因は、要は誰がつくっても同じものをずっとつくり続けていること。これが一番大きな問題。これもベンダ側だけでは改善できないので、ユーザーとベンダで両方でつくっていかないと、そういう仕事が生まれない。ベンダが悪いとかユーザーが悪いというよりは、両方で解決すべき問題。

2.情報セキュリティ分野の人材ニーズについて

  • 自社のセキュリティポリシー管理や配布、モニタリング等が出来るマネジメント系の人材が不足しており、情報セキュリティマネジメント人材の試験は非常に期待するところが大きい。こういった試験を活用して、あと2~3人このような人材が欲しいと考えている。教育が難しいので、こういった試験を活用して教育できれば非常にありがたい。
  • 例えばマネジメント人材の育成とセットでこういうところを活用して、余り技術に明るくない人間でもマネジメントができる、一種のツールのような形で情報が提供されるようなものがあると良い。ぜひご検討いただきたい。
  • (情報セキュリティについて)資格制度をつくったとしても、多分ほとんど担保はできないと思ったほうがいい。資格制度だけつくって、会社案内に「うちは何人います」ということを書いているだけでは、ほとんど実質的な内容がないというのが、残念ながら、我が国のプロジェクトマネジメントとITサービスの現状。セキュリティについては非常に大事なことなので、今後の議論にぜひ生かしていただきたい。
  • 資格制度だけをつくっても、組織的な成熟度を上げることの一助にはなるものの、資格制度だけでは現状を大幅に変革することは、残念ながら日本では難しい。人間とプロセスとITをどううまく組み合わせて、組織的成熟度を上げるかという道筋がみえない。
  • 先ほどのプレゼンで、14歳のときに憧れからスタートしたというお話があった。情報セキュリティの人材にしてもIT人材にしても、日本では憧れの存在が少ないことが、人材が育っていない要因の一つ。米国ではコンピュータ科学やセキュリティの技能をもった人たちの扱いや待遇が、日本と全く違う。米国や韓国だと、Ph.D.をとっていたり、特殊な技能があると、会社に入りたての新入社員でも、すぐにプロジェクトマネジャーや部の統括者となったり、給料も全然違う。そういった何かわかりやすいものがないと、なかなかセキュリティ人材を目指すきっかけにならないのではないか。資格でわかりやすい指針をつくるというのはすごく大事だが、例えばこの資格をもっている人には、何かわかりやすい待遇を与えるようにしないと、その資格が広がっていかないのではないか。
  • セキュリティエンジニアにおいてトップガンを目指すとしたら英語力は必要。なぜなら、本当に最先端のセキュリティの技術情報は英語しかないので、トップガンだと英語は必須。他方、トップガンになるまでには、技術的なベースを身につけることがどうしても必要になってくる。したがって、英語ありきというよりは、まずベースとなる技術を身につけさせた後で英語に取り組むほうがいい。
  • セキュリティキャンプやSECCON、CTFなどが結構盛り上がってきていて、本当のトップの方は徐々に育ってきているのではないかと思う。ただし、それに携わる人間が、手弁当に近いような形、ボランタリーに近いような形でやっているのが現状。セキュリティは特に大学で教えればOKということではなく、産学連携という形で、社会人が学生に教えることで、学生がどんどん経験を積んでいくことが必要。このような取組が、先ほどお話したように手弁当やボランタリーでなされているので、状況が改善されることを望む。
  • 今のセキュリティ教育に関するご発言に対してひと言コメントしたい。文部科学省のenPiTという大学院の教育事業があり、地域・分野を超えた実践型人材育成教育を行っているが、その中でセキュリティ分野がある。日本ネットワークセキュリティ協会も、恐らく関与されているかと思うが、実際の課題等を産学連携で既に実施している事例はあるので、同様の取り組みがもっと広まると良い。

3.海外IT人材の活用について

  • 中小企業では、ほとんどの会社で外国の方が働いている。外国人がいなければ、会社が回らないぐらいに重要になってきている。制度としてもっと人材をとりやすくして欲しい。小さい会社だとその人材を探しに行くのも大変。海外だと人材を紹介してくれるところが公的にあるが、日本では余りそういうところがない。公的に何か登録ができて、必要な人材の有無を調べられる仕組みなどを構築してもらえるといい。
  • 当社だと英語ができる人材が枯渇している。採用を試みるが、当社の給与レベルでは、応募していただいてもなかなか入社に至らない。当社はただ英語ができるだけの人材を求めているのではなく、ITと英語を兼ね備えた人材が欲しい。人材市場ではそのような日本人の人材はそれほど多くなく、非常に苦労している。海外人材の採用ニーズはあると思う。
  • 去年、シンガポールとマレーシアの大学等で調査を実施。情報系のことも調査をしたが、2国は驚くぐらいに進んでいる。正直日本は10年おくれているという感じ。確かに英語という言葉の壁はあるが、それは大きな問題ではなく、実は「技術」の教育内容において、日本の工学部系とかなり差がつき始めていることが大きな問題。
  • 海外IT人材を受け入れるには、企業としては覚悟が必要。例えば、社内通知は英語と日本語の両方を出さなければいけないなどのいろいろなインフラづくりが必要。そのようなコスト負担を前提に海外人材の採用に踏み切った。加えて、マネジャー以上、俗にいう管理職にもTOEIC600点以上ということを課した。2年の猶予を与えて、600点以上をとれなかった人は全部役職から外すというルールを設けたら、本当に7人が管理職を外れた。このくらいのことをやらないと、本気度が社内に伝わらない。

4.IT産業の受託開発ビジネス及び多重下請け構造について

  • このテーマは、「労働集約型」というモデルから、いかにIT業界が脱却するかということに尽きる。例えば今の多重下請構造は、労働集約型なので存続している。これが、付加価値向上型のサービスをつくり込むような仕事に変われば、「労働集約型」の仕事のやり方ではできなくなる。
    セキュリティ人材の話のときに、資格や技術や経験をもっている人にたくさんお給料を出すべきという話がでたが、IT業界ではこれがなかなかできない。元々のビジネスモデル自体が労働集約になっていて、凄い人につくってもらっても、凄くない人につくってもらっても、値段は同じで何のインセンティブもないから。そもそも、たくさん給料を払おうにも原資がなくて払えないという構造が一番大きい。下請け構造を変えていくためには、インセンティブをもらえるような取引を増やす取組が必要。
  • パフォーマンスベースのような契約を結ぶことが重要ということだが、実は一番それがやりやすいのは、「攻めのIT」領域だと思う。攻めのITでお金がどんどんとれるのであれば、十分な対価も払うことができるという、とてもわかりやすいストーリーが実現できるのではないか。
  • 日本は、いわゆるITシステムの調達、ITシステムの開発・運用に関するマネジメントの仕組みが本当に弱い。発注側と受注側が相互依存になっている。価値創造ではなくて、まさに納品が目的となっている。時代は今まさにタイム&バリューで、時間も少なくバリューが高いということでしか勝てないという時代に入ってきている。
  • 当面2020年ぐらいまで人材が足りないという話が先ほど出ていたが、2020年以降は、もしかしたら半分要らないという話になるかもしれない。インドは完全に変質しつつある。いわゆるソフトウェアのオフショアではなくて、完全に次世代をにらんだ人材育成を始めている。プログラマーといっても、非常に先端的な能力をもつ人を何人育てるというところに非常に注力をし始めている。
  • ITの技術やマネジメントも大事だが、やはりビジネスをデザインする、ビジネスをアーキテクトできるといった、ITも理解しながら、ビジネスの能力をもつ人材が本当に重要。デザイン・シンキングには実は明確な方法論がある。そういうものを知らないで、アイデアを出していてはいけない。このような産業構造の変化によって、下請け構造は変わらざるを得ない状況に来ている。
  • 業界全体がシュリンクして雇用を支えられなくなれば、その人材を別のところで活用するプログラムをもたないといけない。IT産業の状況は、IT人材をどうするかという単純な議論だけではおさまらなくなって来ているのではないか。その典型的な例が、利益率の低さだと私は思っている。今の利益率では人材育成も研究開発もできないと思われる。そこが変わらない限りは、だんだん狭いところに追い込まれていってしまうように思う。
  • IT人材に対して思い浮かべるイメージが人によってバラバラ。今の時点ではいろいろと新しい概念も出てきてバラバラになっていると思う。そういう中で、類型ごとに議論していくことは非常に大切なことだが、これまでの議論では、IT人材をいろいろな形で類型化した後、知識体系(BOK)まで具体化してきた。そこまでやらないと具体的な議論にならないと思う。

以上

関連リンク

お問合せ先

商務情報政策局 情報処理振興課

 
最終更新日:2015年6月1日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.