経済産業省
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電力システム改革貫徹のための政策小委員会 財務会計ワーキンググループ(第2回)‐議事要旨

日時:平成28年10月19日(水曜日)12時30分~14時15分
場所:経済産業省本館17階 第1~3共用会議室

出席者

電力システム改革貫徹のための政策小委員会委員財務会計ワーキンググループ委員
山内座長、秋池委員、伊藤委員、大石委員、加賀屋委員、永田委員、松村委員、圓尾委員、村松委員
経済産業省
村瀬電力・ガス事業部長、畠山政策課長、小川電力市場整備室長、山影電力基盤整備課長、曳野電力需給・流通政策室長、浦上原子力政策課長

議題

  1. 電力システム改革貫徹に向けた財務会計面の課題
  2. 自由化の下での廃炉に関する会計制度

議事要旨

資料3 電力システム改革貫徹に向けた財務会計面の課題について、事務局から説明

  • P1の新たな制度設計というのは、記載以外にもベースロード、連系線の金融的送電権等が市場整備ワーキンググループで触れられており、これら今後議論しうると理解。また、非化石価値の取引を例に挙げれば、市場を創設せずとも、現行のCO2オフセット取引のようなものもある。取引所取引と、相対取引では財務会計上違うのかと思っており、市場整備ワーキンググループの議論にもよると思うのだが、こちら側でも心構えをしておきたい。
  • ストランデッドコストの分類において自由化に拘る必要がないということは理解。一方で、長期契約については、「ストランデッドゲイン」のようなものもあるのでは。自由化に伴ってかつての独占企業が余計に利益を得ることは現に起こりえるので、それらも含めた総合的な議論が必要。
  • 会計的に難しい議論に向けて、自分なりの整理をすると、廃炉会計は過去に投資した設備のコスト負担に関して、運転停止後一気に費用認識が生じることによる財務的負担を避けるというもの。ストランデッドコストは将来費用を認識するときに、政策変更でそれが巨額になったときに会計的なフォローをするというものであり、議論は分けて行いたい。

資料4 自由化の下での廃炉に関する会計制度について事務局から説明

廃炉会計制度について

  • 廃炉会計というのは、廃炉決定したものと再稼働がありうるものとで分けて考えるべきではないか。既に廃炉が決まっていて措置が必要というのはさておき、今後再稼働があり得るものは新たに廃炉費用を回収出来るのではないか。
    →(事務局)廃炉にかかる費用を回収する、という指摘の内容は原子力発電施設解体引当金のことではないだろうか。
  • 廃炉会計の論点(2)に関して、コスト負担と聞くと旧一般電気事業者への優遇と受け取られがちだが、エネルギー基本計画に基づく、廃炉の積極推進の観点によるものとの説明を受け、全体の誤解が解けたと思う。廃炉会計がないと積極的な廃炉判断が出来ず、廃炉の際には対象資産の減損計上となり、事業者の株価下落に繋がる。これらの議論に際し、エネルギー政策、日本経済への影響といった観点は考慮すべきと思う。他方、会計の原則は本件においても守られるべきである。将来にわたる獲得収益に裏打ちされた費用回収の担保がない場合は資産性が認められず、減損処理を免れないという考えは理解できるが、他方で諸外国での会計処理はどうなっているのか。減損会計については日本より先行して適用されており、コスト解消の仕組みは各国で違えども、参考にはなると思う。また、会計面の整理は、日本だけ特殊な方法となると、これまで培った我が国の国際的な信頼を損ねると危惧。
    →(事務局)各国の事例については、現時点で整理している訳ではないが、廃炉会計ワーキンググループの議論の際に紹介された例では、着実な回収を担保することでなだらかな費用認識を実現する、という考えは他国でも共通しており、そのための回収措置は、小売規制料金への算入や託送料金の仕組みの活用等、各国で異なっている。次回整理して説明する。
  • 論点(1)については、速やかに廃炉すべき原発において、廃炉会計の重要性は自由化前後で何ら変わらないと思う。そのために一定の資金回収が必要、という論点(2)において、残っている規制料金で託送料金の仕組みを活用するというのも理解できる。他方、自由化以降の競争環境下では、原子力事業も競争に晒されている。公平性の観点からみれば、料金で回収してきた費用に加えて、廃炉会計を措置することが競争優位にさせるのであれば、それとの見合いで原子力に由来する電気の利用の在り方は議論していかなければならない。
  • 事故炉についても、規模こそ違えども、同じことが言えるのではないか。東電委員会の議論があるのかもしれないが、資料3の記載のように、東電ができるだけの努力をするのは当然だけれども、官民の役割分担の議論があってのことと思う。事故時の巨額の費用、また安全対策等をしても稼働がままならないといったオペレーション上のリスクもあり、リスク・リターンのバランスが崩れている中、原発を好んで運用しようとする状況ではないと思う。政策として原子力を当面でも使うとするのであれば、事故炉の扱いを整理しないと、パッチワークのような継ぎ接ぎの方針になってしまう。
  • 政策方針をあまりにも変えてしまっては事業上の予見性も変わってしまう。一度決めたら考え方を変えてはいけないと思う。また、他の委員会の議論とは理解しているが、限界費用での市場投入もまた市場を歪めると思う。自由な市場というのを否定してしまう、といった懸念もあるので、総合的な議論をすべき。
  • 会計上、費用回収をどう位置付けるかという際には、廃炉は一体としての事業の一環、というのが重要な考え方。その点で、安定的な収益を担保出来る託送料金がスキームとして妥当と認識。
  • 電気のビジネスは他業界と異なる事情を考慮する必要がある。リスクも高く、他業界の企業がすぐ参入する事も困難であり、会計上も別の会計方法があって然るべき。他方で、ビジネスを営む自分ですら、議論の内容はあまりに特殊で理解が困難である。多くの人に理解して貰うには、もう少し平易な記載等に心がけて欲しい。国の決めた方針で進めば良いが、全員が納得するのは難しいとは思いつつも、マスコミが誤解して報道するリスクも増えるので留意頂きたい。
  • P11-12について、「殆どが常時バックアップを貰っていたから負担する」という理屈は難しいと思う。極端なことを言えば、0.1%でも使っていたら負担するのか。割合に応じて負担する訳でもない。常時バックアップは上限でも3割となっており、全て依存している訳ではない。JEPXでの取引に旧一般電気事業者が入札しているので、全ての事業者が対象、と言うのはあり得るが。
  • かつて制度変更に際し、再処理の引当不足を託送料金で手当てしたという過去の例は、参考になるのではないか。過去にきちんと回収すべきコストを当時認識しておらず、後で判明した時点で、過去に遡って取るべきだった費用をおもむろに原価算入するのは、原則としてあるべき発想ではないが、回収しないと事業が立ち行かないことから、実施したと認識している。こちらの方が、常時バックアップの議論よりは筋の良い理屈ではないか。とはいえ、経緯として電力業界からこの手の手法は「二度とやらない」と言っていた事情があり、「維持しなければいけないので公益的目的としてやる」とする等の整理だと思う。ただし、その場合は原発を公益電源と位置付ける等の手当がなされるべき。この部分の方法は色々あるので、このワーキンググループで議論するかどうかは別だが。
    →(事務局)バックエンド過去分は指摘の通りヒントになるかもしれない。次回紹介等もしたいが、他方で廃炉会計は、過去想定していない費用が顕在化したというのではなく、予め費用を配分していたものをどう回収するか、と言うことで区別していたことは留意頂きたい。
  • 常時バックアップにどれだけ原子力が入っているのか。火力等も入っている訳で、原子力が入っていると言われても、どれだけ寄与があり、どれだけ負担するかは分からない。また、確実な回収のために託送回収というのは、託送料金に入ることで、費用の全貌が見えなくなってしまうことに抵抗感がある。方法が他にないとは思えないし、きちんと説明をし、見える形で国民に払わせることも出来ると思う。
    →(事務局)常時バックアップについての説明については、皆が裨益しているので負担すべきと議論する目的ではなく、制度維持のために着実に回収する目的で託送料金の仕組みを使うとした上で、費用負担を考慮する際に、どう考慮すべきかを検討するための材料として提示している。常時バックアップの受益というのは一つの観点であり、それに対して実態での利用の程度が違うという御指摘も含め、今後議論して頂く際の材料として位置付けている。
  • 託送料金に入れてしまうことで国民の負担が明確で無くなってしまうという懸念がある。再エネ賦課金のように分けた形で見せることを考えてはどうか。
    →(事務局)再エネ賦課金等のように、料金請求時に見える化を手当することは託送料金の仕組みを使った場合でも可能と認識。
  • 国策でやるという考えについては、通信業界におけるユニバーサルサービスコストのように、全体利益のために広く皆で負担するという考えが近いのではないか。会計上の処理も含め、事務局で調べて頂きたい。

原子力発電施設解体引当金について

  • 解体金の引当が完了したものはどれだけあるか。
    →(事務局)東京電力第一原発の1~4号基は、事故後に引当の対象外となった。また中部電力浜岡原発の1、2号基は既に廃炉に入っており、引当は完了している。
  • 今後我々は何をどれだけ払わなければ行けないのか。総額何兆円と言われても、規模感が掴めないが、他方1月100円とだけ負担額を言われても、使い道や必要性が分からない。今、廃炉に際し、足りない額がどれだけあるか教えて欲しい。また、引当金は現在も廃炉が決まっているものはさておき、今後再稼働する炉は今後の回収見込みがあるのだから、その電気を使う者が払えば良いはず。再エネ賦課金のように政策的にこれだけ払わなければならないとなれば、国民も理解して払うはず。再稼働するということは収益が見込めるということであり、事業者もある程度負担できるのではないか。
    →(事務局)「足りない額」という考えは誤解を招くかと思う。電気料金の考え方においては、向こう3年の費用を見積もり計画的に回収しているように、見通しを示したときに「足りない」という考えではない。廃炉している炉と稼働中の炉を分ける、という御指摘は論点(5)での措置が近いかと思う。今後は50年での引当スケジュールを前倒し、40年で完了となるよう引当ペースを上げていく一方、既に廃炉している炉は扱いを変えるという考えである。
  • 引当期間の変更は合理的な説明であり、反論はない。経過措置料金についても、今後の改定で引当額が上がっていれば、それは当然認めるべきだと思う。他方で小売原価に算入するということと、託送料金に算入するということは分けて考えるべき。小売原価に算入されていれば、契約相手を変える等の選択の自由があるが、どうにも逃げられない託送費用に廃炉コストが乗るのは、かなり身構えてしまう。
  • 制度変更でコストが上がってしまうという話は、本来は事業者のリスクと認識しており、稼働停止により生産高比例法を当て嵌めると引当不足になる部分を手当てする話と分けるべきと考える。制度変更によるコスト増を考慮して、幅を持った概算程度は示すことが出来るはずなのに、事業者に何度求めても「コストはこれ以上増えない」と頑なに拒まれてきた経緯がある。事故炉はの議論は別にして、想定していた以上にコストがかかった費用の回収を認め続ければ、最終的にコストは青天井となってしまう。一定の上限を示した上で、それ以上は事業者負担とすべき。これまでの経緯も含め、安全基準の変更も、いずれ水準が上がる事は分かっていたはずで、それでも電力業界は「絶対に変動はない」と幅を持たせたコスト試算を拒んできた。現状の水準も荒唐無稽な規制でないのだから、そこまでは想定しておくべきだったはずで、当初想定よりコストが上振れたことによる未引当分は、期間変更の議論と区別してほしい。
  • 本件は、合理的に見積もられる解体費について、それが妥当かどうかはさておき、生産高比例法という一定の方法論で引当額を算定して引き当てていたところを、50年の期間で定額制に切り替え、引当不足のないように回収するとした制度である。その上で、引当期間が50年から40年に短縮したときに、差額10年で引き当てるつもりだった費用をどうするかという議論は、償却不足が一気に減損するのを防ぐ、という廃炉会計の議論と、費用を分割計上するという点では近い。方法として会計上仮勘定のような項目を立てる等、実務的なところは今後細かな議論が必要であり、また廃炉会計は既にコストをキャッシュアウトしていることから、将来廃炉する費用を確保する引当金とは若干違うが、いずれにせよ今回の議論の方向性は本質的には望ましい。費用が確実に確保できるよう見積もりを適正に補正する、というのは分かるが、論点(6)について、速やかに見積額に反映させる要素は、その判断に恣意性がないか注意が必要であり、また費用負担の在り方も含めて検討が必要。
  • 引当金というのは将来の費用を予測した上で引き当てるというもので、将来の総見積額は変わりうるのだとすれば、安易に総見積額を示さない方がよいのではないか。出したイメージが先行し、額が増えてしまった時に誤解を招くのではないか。また、確定した見積もりに基づき引当金を積んでいき、あるとき予想外にコストが増えた場合、普通は内部要因なら事業者の責任で捻出して引き当てるし、外部要因であっても自社努力を目一杯した上で、初めて値上げ等の議論になるのだと思う。コスト増が必ず料金反映の議論に繋がるといった誤解を生じているように感じており、料金値上げに至るまで部分の説明が欲しい。
    →(事務局)原子力発電施設解体引当金は、事業者が独自に見積もり引き当てを行うものではなく、毎年、経産大臣の承認を得た総見積額に対して、必要な引当てを行うことを省令で課されているものである。料金に算入される際は算入額としてきちんと示される。
  • 論点(6)について、上振れるコストを勘案するとき、恣意性が入らぬようという意見には同感である。会計の本質から言えば、ひとまとめにした数式でコストを求めるのではなく、個別の実態を積み上げて計上する手法は素直な方法だが、個別の追加要素を勘案するとき、外部から利益操作の調整弁と誤解されないための手立てが重要。料金審査等の監視の目は入るが、上振れに対し、淡々と認める訳ではないという認識を全体で共有したい。
  • 論点(4)の50年から40年への短縮は運転期間との関係で健全な整理だと思う。一方で、本件の背景的な議論では、廃炉会計の議論もあったが、償却期間に準じて引当期間を考えていたのではないか。短縮の提案は財務の健全性との関係もあり望ましいが、償却期間との乖離についてどう整理するかも重要。
  • 引当金の見積もりについては、当初の見積もりから上振れたとしても、合理的な理由があれば回収出来るよう手当てすべきではないか。事業者に最後まで廃炉させるのが大事であり、資金が足りないから廃炉できないとなってしまっては本末転倒。
  • 50年から40年への短縮についての議論は、自由化に伴い垂直一貫体制が解消した環境下において、原子力発電事業が独立することもあり得る中、40年で稼働停止したら、原発でキャッシュを取れなくなるのだから、稼働中に引き当てるという考えは理にかなう。その上で、既に廃炉している炉はこれからキャッシュを得ることが出来ないので、緩和手当を講じる、と言うことで論点(5)も理解できる。しかし、論点(6)については、上振れを無条件に認めるというのは、モラルの問題があるため、上振れを一切認めないとはせずとも、合理性、納得のいく説明というのは求めていくべき。
  • 上振れた分を規制料金原価に算入する時は、料金審査があり不合理なものが入る事は想定されないが、仮に託送料金原価に算入するのであれば、単に合理性程度のハードルで良いのだろうか。当初、原子力のコスト算定をする際には低く見積もり、実際に料金で請求するときには高くなっていく、といった行為は信用を損なうため、見積もる際に予め上振れのリスクをふまえて幅をもって示す事を求めるべきではないだろうか。現に核燃料サイクルの費用については実施しており、廃炉についても同様にすべきと思う。これまで、必要な費用を幅で提示するよう提案しても、事業者は「上振れはすることは無い」と言い続けてきた経緯もある中、後から「実はもっとコストがかかった」と言われても需要家は納得できない。託送料金で手当てする際にはその点を考慮頂きたい。
    →(座長)過去に幅をもった算定を行わなかったことの是非についての議論は難しい。今後の議論において、コスト算定の際には合理性を求めていく、という点はその通り。

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最終更新日:2016年10月27日
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