経済産業省
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クリアリング機能の強化に関する研究会(第1回) 議事要旨

日時:平成20年2月28日(木)13:30~15:20

場所:経済産業省本館17階西5第2特別会議室

議題

  1. クリアリングを巡る現状
  2. 株式会社日本商品清算機構の概要
  3. 取引所における関係の取組(例:東京工業品取引所の場合)
  4. 検討すべき課題
  5. 今後の議論の進め方(検討スケジュール)
  6. その他

出席者

尾崎委員、池尾委員、大崎委員、加藤委員、川本委員、高井委員、多々良委員、中島委員、南學委員、吉田委員、渡辺委員

議事要旨

1.資料説明

事務局より資料3「クリアリングを巡る現状について」、株式会社日本商品清算機構より資料4「株式会社日本商品清算機構の概要」、東京工業品取引所より資料5「東京工業品取引所のリスク管理」、事務局より資料6「検討すべき課題(案)」、資料7「今後の議論の進め方(案)」について説明

2.意見交換

  • 本日は第1回目ということで、我が国のクリアリングハウスがどのような状況にあるのか、その機能、位置づけ、今後検討すべき問題点について、共通認識をもつことが本日の最低限の目的と考えている。
  • 清算機関がアウトソース化されてから、これまでに3社の決済不履行が生じたとのことだが、この時の処理は(資料4、P17)どの辺りまで食い込んだか。また、証拠金については、過去の値幅変動率の95%をカバーする額を1.5倍した額との記載があるが(資料4(参考3)P14)、これはやや粗っぽい決め方との感がある。経営がしっかりしていることも重要だが、クリアリングハウスの根本は(清算参加者の)自己責任と考える。その意味で、証拠金を正しく徴収するというのが何より大事と認識している。この証拠金制度についてどのような認識でいるのか。
  • JCCH(株式会社日本商品清算機構)スタート以来の3件の決済不履行については、これら清算参加者の先物以外の事業での失敗によって発生したケースが多く、いずれも決済不履行を起こした本人の自己の金で、全ての処理が済んでいる。また、証拠金制度については、従前から取引所において、過去の価格変動率の95%をカバーする制限値幅を算出し、それを、2日分の値洗損益金に対応できる取引証拠金があれば十分との考えから1.5倍し、証拠金を算出している。4取引所とも同様の制度をとっている。
  • カウンターパーティーリスクの遮断は、我が国の先物市場の維持発展のために必要不可欠。カウンターパーティーリスクが遮断されず、決済の履行が保証されない可能性があるならば、そのような市場で取引を行おうとする者は激減する恐れがある。取引所の競争力強化策とJCCHのクリアリング機能強化が車の両輪となって推進されて、初めて我が国の商品先物市場の発展が確保される。JCCHの将来の理想像を描くことで関係者の意識を同じ方向へ向けていき、また、現状を踏まえて、早急に対応すべきことと、中長期に対応することを峻別して、実現に向けたロードマップを明らかにして欲しい。
  • IOSCO等の勧告の5番目を現状では満たしていないとの説明だが、現在の7億円を不足と認識しているのは、どのような制度的前提により不足という認識になっているのか補足説明してほしい。また、これは証拠金制度のあり方ともリンクしている話だと考える。
  • 一点補足すると、勧告5では「最大のエクスポージャーを有する清算参加者の破綻に耐える」となっているが、世界の取引所では、プラス1という言い方をして、上位2社の同時破綻に耐えることを目標にしている。
  • ご指摘のとおり、破綻の発生確率、発生した場合の最大損失額の推計が必要。これらがなければ、7億円は、7億円までの損失を補填できるということに過ぎない。決済不履行積立金がどれくらいまで必要かという議論は、スパン証拠金導入等の議論にもなると思うが、どのくらいの最大損失がどのくらいの発生確率で見込めるのかということと表裏一体。ご指摘のとおり、世界の有力な清算機関は、ランファルシー+1と称し、最大エクスポージャーを有する2社が同時破綻した場合、瞬時的にも耐えるという考え方に立っている。JCCHの場合は、緊急の対応措置として、銀行と300億円のコミットメントラインを結んでいる。
  • 資料3のP5に記載しているとおり、日本のクリアリングについては、その経緯等もあり、役割分担や違約対策財源等を、JCCH単体で見るのが正しいか、取引所も含め全体で見るのが正しいかという問題もある。また、IOSCO等の勧告については、今後、世界的要請も踏まえながら、どうあるべきかについてJCCHと共に検討したい。
  • 一点補足すると、委託者保護基金というものがあり(資料4、P14)、委託者の証拠金等が毀損している場合、委託者保護基金がペイオフを行うこととなっている。
  • 昨年は取引所の強化策の目途がつき、あとは実行という状況になっている。清算は、取引所がこれから国際的競争力を向上されていく上で、足枷になってしまう最大のリスクをはらんでいる。世界的なエクスチェンジ・ビジネスの潮流は、取引(マッチング)と清算(セトルメント)を分離し、清算は、取引とは別の所で競争力を発揮すればよいというもの。先月、米国法務省が、CME(Chicago Mercantile Exchange)に対し、マッチングと清算機能を分離するよう勧告して大議論が起こっている。この考え方の根本は、マッチング部分への新規参入者が、その分離された清算を利用することで、取引コストを削減できるというもの。CMEはインハウスでやっており、クリアリングフィーは収入の大部分を占めるため、分離することは死活問題と思われるが、市場全体の成長、ユーザーの取引コスト削減、競争力強化を考えると、分離する方向に向かっている。この潮流の中で、現在の日本商品清算機構はジャパン・コモディティー・クリアリング・ハウスということだが、実質的には、ジャパン・セントラル・カリキュレーション・ハウスだと思う。平成16年の法改正でネッティングが可能となったのは素晴らしいが、その後3年間そのままできた。タイミング的に国際競争力を高めていくべきなのかどうか議論する時期にきている。冒頭に申し上げたが、これから東工取や東穀取が国際的に大きくなっていく上で、清算機構が足枷になり取引所も伸びていけないという可能性や、更に言えば、CMEや大証のクリアリングを使えばよいという可能性も出てくる。本質的な競争力強化のためには、JCCHを、独立した清算で成り立つ形に転換する必要がある。これが出来ないなら、金融市場において大きなクリアリングハウスを作るのであれば、それを使わせてもらう方が、ユーザーにとっての利便性が高まる。
  • どこの何を使うかという問題よりも、実際に清算されるかどうかという信用性、信頼性、そして、コストの問題だと思う。現状のJCCHをどう改善するのかとの議論よりも、白紙に絵を描くことから始めてほしい。
  • 基本的に、現実にはJCCHがあり機能している。将来どういうクリアリング機関を作るのかという大きな目標を立て、すぐにそこに到達できれば一番良い。しかし、資本金や株主構成等の問題があるため、短期・中期・長期という段階を踏まないと混乱して上手くいかない。3年又は5年の計画をきっちりと設計することが必要。
  • 今の委員のご指摘にはやや強い違和感を覚えた。市場におけるリスク管理は、サブプライム問題等も起こり、世界の当局の大変な関心事である。日本商品市場において、リスク管理をきちんと行うことは、3、5年という話ではなく、来週、再来週には全部変えないといけないという話である。目標としては、来年には相当強固なリスク管理システムを構築すべきとしなければ、大変な問題を引き起こしかねない。
  • スピード感の遅さに驚いている。このように脆弱な基盤の上で取引が行われていることにも驚き、主務官庁も責任を持つべきではないのかと思う。本業が大幅な赤字であること、取引所の会員が清算手数料をきちんと認識できていないこと等の問題もあり、本研究会できっちりしたビジネスモデルを示すことが、国民経済的に大切なことなのではないかと考える。取引所の理事長が清算機構の代表取締役を兼任することは、利益相反ではないか。
  • 指摘は受け止め、JCCHの中でも議論していく。
  • CPSS-IOSCOのグローバルスタンダードの策定等にも関与し、資金や証券の決済や清算機関については、多少知っているかと思う。しかし、話を聞いている限り、商品の清算も、基本は証券と同じであると認識している。CCPは、カウンターパーティーリスクの遮断や事務コストの削減という意味で、市場参加者にとって非常にメリットがある。逆に、全ての市場リスクは、CCPに集中するため、CCPのリスク管理が不十分であると、市場全体は機能不全に陥る可能性がある。欧米はCCPの発達が早かったため、このような認識が非常に強く、CPSS-IOSCOの世界標準のような議論につながった。CCPはリスク管理をしていればいいものだが、しっかりしたリスク管理をしないまま、リスクを集中させてしまうのは最悪のシナリオであり、本日の説明を聞いて、我々が議論しようとしているということは、そういう状況にあるのではないかとの危惧をもった。清算機関と取引所の役割分担が必ずしも十分でないようである。JCCHが取引所の機能に依存して業務を行っている面があり、一人前の機能を持っていない印象がある。取引所と清算機関の間には、コンフリクトがある。取引所はコストをできるだけ下げて取引を増やしたいと思う一方、清算機関はリスク管理の見返りとして、必要なコストを払ってもらいたいと思う。説明の中で、手数料が低いとの話があったが、これは、取引所側の要望で、コストが本来あるべき水準よりも低く抑えられている可能性がある。利害が衝突する関係にある中で、全てのJCCHの役員が取引所の方であることは、ガバナンスとしてかなり不十分ではないか。日本証券クリアリングの場合、株主は取引所だが、取締役構成は、取引所を半分以下にして、残りを市場参加者や公益代表にすることで、ユーザーニーズを反映し中立性や公共性を確保するカバナンスになっている。JCCHは、CPSS-IOSCO勧告の遵守状況の自己評価はしているのか。
  • 一応、自己評価はしているが必ずしも十分とは考えていない。
  • 白紙に絵を描いて議論するのには時間がかかる。CPSS-IOSCOの世界基準は、清算機関の果たすべき機能の基準であるため、そこからのギャップを分析し、その自己評価をたたき台として議論してはいかがか。勧告の中でも最も重要なものは、勧告2から5のリスク管理の分野。勧告2は、清算参加者の参加要件を厳格に定めるべきというもの。JCCHは、設立時に、参加者全員が清算参加者に移行したとのことなので、どこかで線を引くべきであり、見直す必要がある。勧告3は、信用エクスポージャーを、清算機関が最低1日1度は測定すべきというもの。また、日中においても必要な場合はマージンが取れるよう、日中の価格変動もモニタリングすべきというもの。勧告4は、マージン要件であり、通常の市場環境下においては、証拠金でリスクをカバーするべきというもの。勧告5は、財務資源について。通常のマ-ケット環境の時は証拠金でカバーするが、ブラックマンデーのような通常でないマーケット環境の時は、証拠金以外のものでカバーすべきというもの。マージン以外のものでカバーされればいいので、(資料4、P17の)(7)の決済不履行積立金だけでカバーされるべきというものではなく、いろんな積立金や取引所の保証などトータルで、ランファルシー基準やプラス1を満たしていればよい。現在の7億円の積立金をさらに積み増すべきというものではなく、トータルでリスク管理をみるべきというもの。グローバルスタンダードに照らして、清算機関のあり方を追求すべき。
  • CPSS-IOSCO勧告に照らして、日本や海外の取引所はどのように評価されているのか。もし、そのような資料があれば、次回にでもご説明なり、資料として提出していただくと参考になる。
  • 商品市場の品目は多岐に分散している中でJCCHに一本化した点は評価。長い歴史や慣行の中で積み上げられてきたものをまとめて上げたという意味で、当初のグローバリゼーションをどう見るかという話だと思う。勧告14が想定している参加者はグローバルプレーヤーであり、それを意識してそれなりの規制をしているというのが大前提。資金決済において、例えば大口決済と小口決済を分けているように、国際基準に照らすべきところは、速く、確実、安全、安くを大前提に、競争力を持ち、取引を活性化させるための方策を検討してみてはいかがか。一方、現在、取引所を活用している方にとって、値幅制限を撤廃若しくは拡大した場合、VaR(Value at Risk)の計算による金額は高くなり、コストが高くなることが考えられる。よって、ある意味において、小口には、ある程度の今までの値幅制限などを残しつつ、国際的に戦えるような基準にしていくような考え方もあるのかもしれない。技術的に1つのクリアリングハウスでできるのかという点はあるが、一律にグローバル基準または国内基準かを議論するのではなく、プレイヤーやニーズに応じて、ベターレギュレーション、ベターコントロールを目指すという対応について検討するというのも一つの視点ではないか。
  • JCCHに対する期待は大きい一方、各取引所毎に長屋となった共同計算センター的な実態があるため、白地の上に、スピード感や到達すべき中身について注文を出してもらう方法が一番実行しやすいと考える。JCCHにおいても、ワーキング・チームを設置して、清算システム、リスク管理、清算参加資格要件、決済不履行積立金、清算手数料の問題等について議論をしている。手数料はコストの3分の1しか賄うことができないが、取引所の出来高が減少している中で、清算手数料を上げられるかどうか。預かっているお金があるからその利子運用で埋めており、こういう出生のいきさつと生育環境が引っ張っている。また、清算会員と非清算会員を分ける話にしても、ビジネスモデルとして成り立つ絵姿を描き、そこにできるだけ早く到達するという手法を取るべきではないか。JCCHワーキング・チームで検討した内容についても、エンドースする進め方をしてほしい。
  • 大証では主要株主ファンドとの関係で、資産として保有している現預金の保有根拠、適正規模を把握するという問題意識からCPSS-IOSCO勧告への認識が深まり、証券業界の中では一早く、勧告を基本的に全部満たす体制をつくったという認識。JSCC(株式会社日本証券クリアリング機構)は大証を見本にしながら検討したと聞いている。
  • 証券との違いも含め、比較対象として証券業界が適切かどうかについても考えて頂いた上で、検討を進めていきたい。

  • クリアリングシステムとしてどういうものを備えるべきかというあるべき姿へ、スピード感をもって到達すべきと考える。そのための方法として、JCCHをうまく改善していくという選択肢もあるが、その選択肢においても、理想的な姿を一方において議論しておかなければならないと考える。クリアリングシステムとして担うべき機能、組織のあり方については、フューチャーズ独特の特性を踏まえたものになると考えるが、証券と違うと言っていてもなかなか前に進めないので、クリアリングシステムとして備えるべき共通要素を確認しながら、JCCHは、それに近づけるように可能な限り改善する必要があると考える。その際は、デフォルトのカバーの方法等において、取引所が一方的に決めていて、クリアリングハウスは長屋で場所を貸しているだけというのはまずいので、クリアリングハウスは主導的に機能する必要がある。CPSS-IOSCOのモデルは、全く無視はできない一つのモデル。ビジネスモデルとしてコストを賄えないというのは変な話である。独立した事業体としてのあり方、利益相反の問題も踏まえガバナンスのあり方等、次回以降、多岐にわたる議論があると思われる。
  • CPSS-IOSCOの勧告は商品においても適用される。農水省と経産省もIOSCOの準会員であり、米国CFTC(商品先物取引委員会)も入っている。コモディティーに適用しないという考えは世界のどこにもないので、これが世界標準という前提で議論すべき。
  • 清算機関として、CPSS-IOSCOの勧告は、ベースのモデルとなる。
  • アジアの証券取引所などはスピード感をもって競争力強化に取り組んでいる。もっと危機感を持って取り組むべき。国際標準とJCCHの実態とのギャップ分析を行い、その実態を対外的に明らかにすべき。総合取引所の議論が出てきたのも商品取引所の取組姿勢への危機感から生じた。今の法律で普通の取引所が他のクリアリングを使う際にバリアがあると思うが、どのような法律が障壁となっているかを教えてほしい。
  • クリアリングシステムが機能しない限り、市場の活性化は図られない。場合によっては、足枷となってしまう可能性もあるため、真剣に議論したいと考える。
  • 次回の会合は3月17日(月)16:00~18:00を予定している。
  • このような形で全4回を予定しており、短期間に議論をまとめ、産業構造審議会等に反映させていきたい。

以上

 
 
最終更新日:2008年3月17日
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