経済産業省
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医療機器に関する経済社会ガイドライン検討委員会(第2回) 議事要旨

日時:平成19年2月14日(水)18:00~20:00

場所:経済産業省本館17階西5第2特別会議室

出席者

池田委員、一色委員、菊地委員、栗林委員、小柳委員、佐久間委員、茅野委員、土器屋委員

厚生労働省医政局経済課
社団法人日本画像医療システム工業会
日本医療器材工業会
在日米国商工会議所
A.T.カーニー株式会社
経済産業省医療・福祉機器産業室

議事

  1. 冠動脈DESのワーキング検討報告
  2. 冠動脈CTのワーキング検討報告
  3. 脳梗塞MRの検討報告
  4. ガイドラインの基本構成案確認
  5. ガイドラインの共通理念骨子案確認
  6. その他(次回日程など)

概要

1.冠動脈DESのワーキング検討報告

配布資料に沿って、茅野委員より説明

(冠動脈DESの社会経済評価とそのパイロット試験の研究計画に関する資料)

  • 虚血性心疾患が疑われる患者に対するDESの有効性を評価するため、CABGと比較する前向きオープン試験を実施し、費用対効用の分析の実効性の検討を行う。
  • 3月中にパイロット試験を行い、DES単独での評価の実効性について、報告することを目指している。

質疑

(質問)

  • なぜQOL評価にEQ-5Dを使うのか?このような包括的な指標では、例えば膝の悪い患者がいれば、その分悪い点数となってしまうのを避けられないだろう。疾患特異的な設問も併用した方がいいのではないか?

(回答)

  • 今回は効用値の計測が可能かどうかの検討が目的である。欧米でステントとバイパスを比較する先行研究があって、そこではEQ-5Dが使われている。もうひとつプロファイリング型のSF-36という選択肢などがありうるが、これは問題数が多く患者さんの負担が大きい点が懸念される。

(意見)

  • 今後も、このガイドラインに沿った研究がされるわけだから、よく検討する必要があるだろう。
  • SF-36によるQOL評価を行ったことがある。確かに質問数は多いが、その分解析はしやすいメリットもある。EQ-5Dでも方向性はでるとは思う。
  • 今回の目的が、健康アウトカムを効用とする費用対効用分析である以上、日本語で利用できて、日本の患者の結果を反映している評価手法としては、他に選択肢はないのが現状である。

(質問)

  • 西欧の指標をもってくるとやはり日本人に合わないこともあるのではないか。日本においては、布団のあげおろし等が重要になったりするように、設問とは流動的なものだろう。
  • 将来的には何ジュール、何ワット等定量的な指標をもちこんだ議論ができれば、長く使える指標になるかもしれない。設問内容については必ず今後も蒸し返される問題だろう。

(回答)

  • 国際比較の問題も考えると、質問は安易には変えられないと思うが、パイロット調査の結果を受けて、再度検討する予定である。

(質問)

  • 最終的にはバイパスとの比較を考えているのか?予後が安定している患者において、どこまで運動できるかを全例で調査するとなると、手間のかかる研究になるだろう。簡単な指標で定量化するのはやはり難しい。パイロットとしては妥当だとは思うが、5問の設問では差は出てこないかもしれない。

(回答)

  • 外科手術との比較なら出るかと考えていたが、今あがった指摘を考慮して、他指標も加えていけるかどうか次の報告までに検討していきたい。

(意見)

  • 一概にDESといっても薬剤によっても変わってくるだろう。サイファーは再狭窄を抑えるという点では非常に有効である。問題も報告されつつあるが確率は低い。薬剤によって、またその進歩によって議論は変わってくるかもしれない。
  • 再狭窄の発生を、状態の安定する8ヶ月程度みれば、狭窄すれば再施術に繋がるのだから、経済的にも意味のある指標となるのではないか? 

2.冠動脈CTのワーキング検討報告

配布資料に沿って、栗林委員より説明

(冠動脈MDCTの社会経済評価の研究計画に関する資料)

  • 虚血性心疾患が疑われる患者について、64列MDCTによる検査を行い、三次元再構成画像に基づく判定と、二次元画像から判定した場合とを前向きオープンの比較試験を行い、費用対効果を分析する。CAGとMDCTとの費用対効果も検討している。
  • 効果としては、陽性的中患者数と定義する。費用としては、技師の人件費、機器の減価償却費など検査原価と定義する。
  • パイロット試験としては、64列MDCTによる評価について後向きにデータを収集して重症度別のセグメント評価を、内空径50%以上を有意狭窄とする感度・特異度などを計測する。4月以降からは前向き試験を検討している。

質疑

(質問)

  • 有病率はどのように測定するのか。

(回答)

  • 評価手法の資料にある通り、総検査数あたりの、疾患ありの患者数を測定することで算定しようと考えていたが、逆にご指導あれば頂きたい。

(質問)

  • 検査陰性で疾患あり(false-negative)の患者はどうやって調べるのか?MDCT検査で陰性なら、その後は何もしないから分からないのではないか?有病率の算定については、昔から議論のあるところではある。運動負荷試験等でも、追跡調査をしている。

(回答)

  • 検査陰性の患者についても、フォローアップデータをとる等、母集団の作り方を検討する必要があるかと思う。

(意見)

  • 基準となるゴールド・スタンダードを何にするのかが不明確である。MDCTでFalse-negativeの患者については別途CAGやらないとわからないだろう。そうしないと、精度の高いほうの検査が的中率100%になってしまう。
  • または有病率を、サンプリングする60例から算定するのではなく、別途大規模スタディに基づいた医学的データがあるならば、それを利用するという方法もあるかもしれない。いずれにしろ、有病率は費用対効果に強く影響する要素である。
  • エンドポイントとして陰性的中率をみるのも経済的な意義があるのではないか。余計なCAGをやらなくていいわけでコスト削減になる。むしろ有意差がでやすいのではないか。
  • 陽性の場合、その後の手技など考慮すべきファクターが多いのに対し、陰性のほうは検査で終わりだからシンプルな研究になるのではないか。

(質問)

  • 一般に検査の感度を上げれば、特異度は下がる関係にあるので、ROCカーブ等で関係を見る方法がある。今回の試験では、感度・特異度が一点で決められる印象を受ける。MDCTにおける検査精度は読み方によって変わってくることはないのか? 

(回答)

  • 理想的には、センター化して判定委員を設けて評価するのが望ましいとは思うが、そこまで厳密に実施できるかは検討を要する。

3.脳梗塞MRの検討報告

配布資料に沿って、事務局より説明

(脳梗塞MRの社会経済評価の背景に関する資料)

  • 血栓溶解療法におけるMRIの有効性に関する信頼される評価試験の成果は十分ではないものの、今年度中に本事業がそれに対応することは困難な上、大規模試験が他方で検討されていることから、その結果を踏まえて社会経済評価を行う方が効率的と考えられた。
  • よって、本年度は発展的に一旦中断し、今後の臨床的な有効性評価を待つこととした。

4.基本構成案の確認

配布資料に沿って、事務局より説明

(ガイドラインの構成、経済社会評価ガイドライン共通理念骨子に関する資料案)

  • ガイドラインの先が見えないというご議論があったので用意した。たたき台のたたき台として構成イメージをお持ちしたものである。内容・方向性についてはご議論いただきたい。
  • ガイドラインの構成は、理念、手法、個別の評価ケースという3層構成を考えている。理念、基本的な手法については経済産業省が策定し、個別のガイドラインは医療機器は多種多様なので、各学会で検討頂くという想定である。この点はご議論いただきたい。
  • ガイドライン策定の背景として、医療機器の客観的な評価が不足していることが、医療機器開発のモチベーションの阻害要因となっているのではないかと考えられる。
  • 医療機器の政策や診療報酬を議論する上でも、客観的な評価手法がなく、事実に基づいた議論が行われにくい状況がある。
  • 課題としてはデータソースの不整備、評価の質のばらつき、評価体制の不整備などがあげられるが、特に評価の質のばらつきを解決する目的で本ガイドラインを策定すべきと考える。
  • 以降の資料内容については、評価ガイドラインの大枠としての理念、手法について、事務局として考えているごく荒いイメージをご提示するものである。今後も意見を伺いながらすすめたい。

(質問)

  • 評価の時期はどうなるのか?医療機器の価値はどんどん下がっていくものである。どの時期で評価するのか明記する必要があるだろう。自分の専門領域の現場でいうと、20~30年前の機械が40~50台ある一方で、最新の機器も運用している。

(回答)

  • 評価の時期とその目的はリンクしてくると思う。確かに診療報酬額の議論に反映させていくことは一義的な目的ではある。その観点で言うと、まだ市場に出ていないものをどう価格付けするべきかという評価と、市場に出たけども価格付けが適切かどうか見直しのための評価とが考えられる。
  • ただ評価の結果を、どう報酬へ結び付けるかのロジックはまだ整理されていないことも確かである。きれいに整理されるものではないと思うが、議論が必要と考えている。

(意見)

  • 英国では各施設が医療機器を自由には買えないという背景がある。一方日本はお金さえあれば買える。このとき、評価ガイドラインとはどのような意味をもつのか。
  • 医療機器にはライフサイクルがあり、確かにどのフェーズで評価するかは重要だろう。評価時期の重要性についてはガイドラインとして明示しておいて、具体的には各機器の議論において落とし込んでいくべきだろう。
  • 診断機器では電子デバイス寿命が7~10年、ハードは10年といったところである。米国では検査費用が日本の3倍程度のフィーとなっているようだが、それはこのライフサイクルと回収の議論が考慮されているからだろう。

(意見)

  • 医療機器と医薬品との違いは改善が漸進的である点である。BMSかDESかという問題は業界では大きな議論だが、その比較において差がでないという時に、評価指標としてそもそもQOL、QALYでよいのかという議論もあるだろう。
  • 今回の研究計画を見ても、DESはQOLだが、MDCTはQOLを使っていない。本当に主要な評価指標としてQOLでよいのか議論があってよいのではないか。検査機器と治療機器という違いもあるだろうが。

(事務局)

  • このような議論を踏まえて、われわれも体制作りをしていきたいと考えている。ただ、今後どう使われるかは、どれだけ国民の共感を得られるしっかりしたものができるかどうかにかかっている。世論として巻き込んでいく形になるとよいだろう。

(意見)

  • みんなが使えて、みんなが納得のできるものが確立されることが前提となるだろう。現実性のないものでは、価格決めのシステムに組み込むのは難しいだろう。現場でも適正な評価という考え方は、あったほうが良いこともあると思うので、みんながつかえる仕組みが出来ていくのはよいことだと思う。

※ 次回は平成19年3月23日で、パイロット試験の結果報告などが中心となる予定

以上

 
 

最終更新日:2008年1月4日
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