経済産業省
文字サイズ変更

医療機器に関する経済社会ガイドライン検討委員会(第3回) 議事要旨

日時:平成19年3月23日(金)18:00~20:00

場所:経済産業省別館5階第513共用会議室

出席者

池田委員、一色委員、大日委員、鎌江委員、菊地委員、栗林委員、小柳委員、白木委員、土器屋委員、福田委員

厚生労働省医政局経済課
社団法人日本画像医療システム工業会
日本医療器材工業会
在日米国商工会議所
A.T.カーニー株式会社
経済産業省医療・福祉機器産業室

議事

  1. 冠動脈DESの検討報告
  2. 冠動脈CTの検討報告
  3. ガイドラインの共通理念案及び基本手法案確認
  4. ガイドラインの課題と方向性確認
  5. その他(次年度の予定)

概要

1.冠動脈DESの検討報告

配布資料に沿って、大日委員より説明

(冠動脈DESのパイロット試験の結果報告に関する資料)

  • 効用データの収集として、術前、術後、2週間後のQOL評価を行った。
  • 2月中旬から3月中旬にかけて20症例を収集してきた。
  • 外来時のQOL評価も今後全例分の回収が見込まれている。
  • 費用データは診療報酬額として、入院・外来時レセプトを20症例分収集した。
  • EQ-5Dの痛み/不快感、不安/ふさぎ込みの指標、VASおよび効用値においては、術前・術後で有意差がみられた。
  • 参考として、費用効用比の試算を行った。
  • EQ-5Dを用いた効用評価およびレセプトによる費用評価は可能ではないかと考えている。
  • 以上のフィージビリティ試験を踏まえ、来年度に向けてご議論いただきたいと考えている。

質疑

(質問)

  • 術後1年間のQOL推移を術後~2週間後の変化の線形近似で求めるのは過大評価となるのではないか?

(回答)

  • ご指摘の通りである。あくまで試算としてお考え頂きたい。

(質問)

  • 原価ではなく診療報酬をもって費用を算定しているのはなぜか?

(回答)

  • 議論のあるところだと思うが、今回はQOL評価のフィージビリティ試験が目的である。

(質問)

  • EQ-5Dは0.8と1.0の間の感度が低い。VASと比較することで、その感度を確認する必要があるのではないか?

(回答)

  • 現段階では比較ができていないが、VASデータもとっているのでぜひ今後解析したい。

(質問)

  • 経済社会評価にむけては、EQ-5D以外に評価手法の選択肢がない中で、本当に費用効用分析を第一優先とするべきなのか。他に時間得失法や標準的賭け法もあるし、VASでとることも検討してよいだろう。

(回答)

  • 指標としての妥当性をまず検証したかったので、データの収集を行ってきている。今回の報告はあくまでデータの収集状況の報告がメインであり、本格的な解析はこれから進めるところである。今後検討していきたい。

(質問)

  • 来年度の本格試験でもしCABGと比較するという場合、タイムホライズンはどうとるのか?6ヶ月の短期で差が出るのか?それとも、その後のことはモデル化等で予測できるという考え方なのか。

(回答)

  • まずBMS対DESでは、1ヶ月~3ヶ月で再狭窄率に差が出る。BMSでは20%程度だったのが、DESになって0~5%程度となった。ここで再手術のコストを考慮したときに、費用面でどれだけ差が出るかは一つの検討課題である。
  • 他方、CABGとの比較では、BMS対CABGでは、再手術の発生等によりBMSの方がかなり経済的コスト面で劣っていたが、DESの登場で変わってきたのではないかということで検討している。
  • タイムホライズンについて言えば、BMSとDESの比較は再狭窄率などの指標なら、短期で差が出ると思う。CABGとの比較では長期の試験が必要だろう。コスト面ではバイパスは1回400万、DESは120万程度だが、枝数によって変わってくるだろう。

2.冠動脈CTの検討報告

配布資料に沿って、栗林委員より説明

(冠動脈MDCTのパイロット試験の結果報告に関する資料)

  • 3施設における64列のMDCTによる診断精度の評価を行った。コスト評価としては、時間調査等をおこないモデル的に算定を行った。
  • 診断精度評価はレトロスペクティブに連続10症例を3施設でサンプリングした。
  • 目標症例数は達成された。精度評価はAHA分類に基づくセグメントベースで行った。
  • 費用算定としては、スタッフの稼働状況、消耗品の消費量を1施設1症例について調査した。医師の診断料・技術料に関わる調査は行っていない。
  • 診断精度については、海外の先行研究と類似した結果が得られた。
  • 時間調査結果としては、検査に30分弱、画像解析は1時間弱要するという結果が得られた。今後他施設でも調査を行い、平均やばらつきを解析していきたい。
  • 専門職の人件費設定、トレーニングに要する費用の算定などは今後の課題である。
  • 以上を踏まえ、本格試験では、2次元画像からの診断と3次元加工処理後の画像からの診断とでの費用効果分析を行う予定である。
  • 本格試験での診断精度評価をレトロスペクティブに行うかプロスペクティブに行うか議論があったが、64列MDCTが動き出してから1年半くらい経過しデータが揃いつつあるのでレトロでもよいのではないかと考えている。

質疑

(質問)

  • 費用の計算において、単純な拘束時間のみを測定していて、知的ファクターが考慮されていないとのことだが、技師にも言えることであるものの、専門的な知識を要する技術上の負荷をどう評価すべきか議論を要するだろう。

(回答)

  • ハーバードでの研究にあるようなRBRVsの難易度の概念や、内保連の医師技術料などの先進事例を踏まえて、技術のバリュー評価と連携すべきと考える。
  • まさに医療機器が医薬品と大きく異なる点である。全体に共通する課題として、医師の技術をどう組み入れていくかは、常に考えていくべきものだろう。

(意見)

  • 画像解析に要する時間は、技師の経験や今後の技術進歩によってかなり変わってくるだろう。病院側がトレーニングとしてコストをかけるのか、メーカーが改良の形でコストをかけるのかといった議論もあるだろう。
  • 画像解析の人件費の部分も、本来は報酬として評価して頂きたいところである。

(意見)

  • 単価の設定方法としては、タイムスタディを行い、患者と直接接する時間と間接的業務の時間とを測り、間接時間は適切に配賦するといった方法も検討すべきだろう。
  • 稼働率で言えば、CTはずっと動かせるから90%近くできるが、平均で言えば70%程度である。ただし内視鏡検査では患者の胃液の問題で午前中しか行えず、稼働率50%程度になるケースもある。
  • 人件費の考え方としては、国家公務員の値を採用するのが、国民の皆様が納得してくれるのではないか。昇給の額も妥当であると思われる。
  • 人件費には確かに納得のいくものさしが必要だろう。ただ当然幅は出てくるものだろう。幅を許容するような結論となるとよいだろう。

(質問)

  • パイロット試験においては費用効果分析に言及していないように思われるが、どう考えるのか?効果指標として何をとるのか?

(回答)

  • 費用効果分析の形となると思うが、指標は今後の検討テーマである。陽性診断者数を使うことを中心に議論を重ねていきたいと考えている。

3.ガイドラインの共通理念案及び基本手法案確認

配布資料に沿って、事務局より説明

(経済社会評価ガイドラインの構成、共通理念および基本手法に関する資料)

  • 基本理念の大きな構成としては、経済社会評価の必要性、経済社会評価ガイドラインの目的、経済社会評価ガイドラインの基本的な考え方に続き、投入資源(費用)の計測、効果(効用)の計測、評価結果の提示方法についてその考え方をまとめた形となっている。
  • 基本手法の資料は、費用系データと効果系データについての主だった概念・方法論をまとめたものである。現時点の内容は、イメージとして用意したものであり、今後精査していくものである。

質疑

(意見)

  • 効用という表現は、医療経済の専門家には別の概念をイメージさせるので、使わないことも検討してはどうか。例えばQALYをアウトカム指標とした費用効果分析もありうるのでご検討頂きたい。
  • 現在価値への割引率を個々の研究で正当性を説明させるのは困難だろう。適当な値をガイドラインで決めてあげてよいのではないか。
  • 割引率による現在価値修正の議論は、診療報酬改定に沿って修正するとか、インフレにそって修正する等の議論と混同されやすいので説明があってよいのではないか。
  • HUIは、質問票は日本語だが、効用の換算表はカナダのものしかない。CUAを第一優先にするのであれば、質問票の開発も併行して検討するべきだろう。
  • 分析のタイムホライズンは適切に設定されるべき旨は必要だろう。
  • QALYで差が出ないときに、費用対効果分析を選択するのはおかしい。その結果を受け入れるべきだろう。差がでないから差が出そうな分析手法だけをとるのは適切でないだろう。
  • 費用効果分析を原価ベースとするのは分かるが、むしろ報酬ベースで評価したほうが、データ収集の手間や価値をより高くするべきといった議論がしやすいのではないか。あくまで原価ベースで議論するならば、原価と価格は一致している原則が必要となるのだろう。
  • 確かに価格の議論は原価からは難しいが、原価と乖離した価格で議論するのも問題だろう。現状のDPC環境下では、医師の技術料や医薬品、医療材料など込み込みで算定されている。価格と原価の乖離をリセットする意味でも、まずは原価ベースでの整理が必要だろう。
  • ガイドラインの評価の観点は、社会的評価とあるが、確かにそうあるべきだとは思う。ただ家族による看護等も評価することになるが、実際には抜け落ちがちである。保険収載や価格決めの議論とは結びつかないかもしれないが、社会が豊かになるという視点では重要だろう。

(厚生労働省)

  • 先日厚生労働省の「ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会」でも、審査に優先順位をつけようというときに、死亡や障害による健康の損失を数値化したDALY(Disability Adjusted Life Year)の手法も参考とすることを検討しており、オランダで風邪から癌まで横断的に出した値がありそれを参考に算出してきている。今年5、6月には報告書の形になる予定である。

4.ガイドラインの課題と方向性確認

配布資料に沿って、事務局より説明

(評価推進のための課題と方向性に関する資料)

  • 来年度の議論となると思うが、議論のたたき台として提示しておきたい。ガイドラインの活用方法として下記のような項目で提示している。
  1. 評価が行いやすい環境をどう整備していくか?
  2. 評価結果の検証体制を如何に整備していくか?
  3. 評価結果の活用方法(保険収載基準への応用、適正な価格決定への応用)
  • 最後の価格決定に関しては、幅の議論ができるのではないかと考えている。ある程度の幅を設定して、ベネフィットが高ければ価格の上限も高くなるだろうし、コストが低くなれば価格の下限も低くなるという考え方を、頭の整理として提示している。

質疑

  • 理想的には必要な議論であると思うが、医療財政での政策の中で決まるので、すべてを受け入れられるものでもない事情はある。なんらかの形で活用できるものとなればよいと思う。

(意見)

  • 立場上受け入れられない形となっては無駄なので、双方歩み寄りを期待したい。いいものを作ればそれを参考にして頂ける形となるとよいだろう。

5.その他(次年度の予定)

(事務局)

  • 本研究は来年度も継続したいと考えており、今回パイロット的に実施した研究については来年度で早急に本試験に進めていきたい。共通理念については委員および外部の有識者の意見を頂いて、次回(未定)最終案としてご提示したいと考えている。基本手法についてはまだ議論があるかと思うが、共通理念については、次の回で最終的な合意を頂きたいと考えているので、ご指摘、ご要望はお知らせ頂きたい。来年度は評価を進めていく上での課題や対策等を議論していきたい。
  • 非常に短期間で精力的にご検討いただいてありがたい。来年も続けて、さらなる成果に繋げていけるものとしたい。

以上

 
 

最終更新日:2008年1月4日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.