経済産業省
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二酸化炭素回収・貯留研究会(第4回)  議事要旨

日時:平成19年2月9日(金)14時~16時

場所:経済産業省別館3階第4特別会議室

出席委員:

茅座長、赤井委員、飯嶋委員、大野委員、白山委員、田中委員、 鳥井委員、福島委員、村井委員、山田委員

委員の発言、事務局の応答は以下のとおり

資料3~5について

  • 資料4の6ページ目の一番上の四角の下に、「環境に調和したCOの海底下地層貯留を許可するよう」と、ここだけ海底下地層貯留が前面に出ているが、ロンドン条約との関連で言っているのか?また、その下の(3)の、サステイナブル・コールというところでcapture readyというのを回収設備後づけ可能というふうに訳しているが、capture readyというのは非常にセンシティブな言葉である。G8のアクションプランにも出ているが、そのcapture readyというのが何であるかということについては、政策担当者や専門家の間でも定義はないというのが現状である。したがって、このcapture readyの定義の仕方について配慮が必要と考える。また、背景の情報等があれば調べていただけるとありがたい。
  • capture readyについては、我々が議論しているところでは、既存の発電設備を変更なしに、すぐそこに付けられるという意味でとらえている。また、我々のところに、最近欧州及び米国の電力からのCO回収に関する問い合わせが非常に多い。欧州の電力からは、Energy Policy for Europeと同様な説明があり、できるだけ早くある規模の実証をして商用機に持っていけるように準備をしたいという話が来ている。また、最近米国からも問い合わせが多くある。その理由を聞くと、近々政府や議会から何らかの枠組みが出るのではないか、それに対して米国の電力が相当勉強し始めているという状況である。
  • 資料5の3ページ「5.7方法論的な課題」で、CO貯留サイトからの排出量推定・検証・報告という表の1番目のサイト・キャラクタライゼーションのところで、貯留サイトの地質評価というのが出てくる。地層の貯留サイトの地質評価で、圧入する層の地層を評価しなさいということが書いてあるが、この地質評価にはそこにCOが入る可能性があるかということも入ってくると考えられる。
     資料4で、Energy Policy for Europeの5ページ目に欧州委員会のアクションについての囲みがある。その1番目の「・」のところの1行目の終わりの方に、「CCS事業認可」という言葉が入っている。CCSの事業認可には、そのサイトを調査し、地質情報を得て、どれくらい貯留可能かを検討し、それで許可が出ると思われる。したがって、その箇所と資料5のサイト・キャラクタライゼーションとはお互いに関連する項目ではないか。 CO の圧入サイトを選ぶ際には、地質情報と同時に貯留可能量も必要ではないか。貯留可能量は、当然入れている間に地質情報がふえるので変化すると思われるが、目録集約者による事業計画の認定、許可、あるいは申請といったことが必要ではないか。また、国際的な検討状況について情報があったらお願いしたい。
  • インベントリガイドラインのタイトルは、「第5章」ではなくてエネルギーボリュームの第5章である。また、今の質問の点については、これはあくまでインベントリガイドライン、すなわち地中に埋めたものが漏えいしたときの排出量をモニタリングして、国の排出量として登録するというもので、リークパスの特定等をきちんとやりなさいという趣旨である。貯留量そのものは、インベントリガイドラインを作成する時、関心の対象ではなかったため記述されていない。ちなみに地質に関しては、イギリスの地質調査所のサム・ホロウェーがきちんと記述した。
  • Energy Policy for Europeの背景で、CCSの石炭火力への導入がかなり明確な形で言われているが、従来EUは発電効率に対してはキャップを設けているが、COの排出についてのキャップが無いことから、現段階では電力会社がCCSを取り入れるというインセンティブが明確には無いと思われる。これは、石炭火力には全部付けるという規制を入れるつもりなのか、その辺の意図についてわかることがあれば教えてほしい。
事務局
6ページの海底下地層貯留について、原文ではEnvironmentally sound geological storage of CO under the seabedという文章となっている。石炭火力にCCSを付ける背景については今後調べたい。

資料6について

  • この事業については安全性が非常に大事であるが、超長期の安全性と短期の安全性は全然違う要因だと思われる。そこについてどう考えるのかを、しっかり検討する必要がある。そうでないと、説明ができないしシステム全体の最適化も難しいと思われる。
     信頼性醸成については、関係者が寄り集まって決めて、パブリックはアクセプトしなさという進め方でいいのかどうか考える必要がある。
  • 長期と短期の安全性は、現象論的にも違うし、パブリックに対する説明責任という面でも当然異なってくる。CCSについては、パブリックアクセプタンスが重要だというのは、国際的な共通認識であるが、どのような説明が求められているのかについてまずよく把握した上で、一般の人々や分野が違う専門家などに対して、CCSを推進する側は、透明性を大切にしつつ情報発信しなければいけない。また、そのために研究者はどういう研究をやらなければいけないかというフィードバックのサイクルが非常に重要である。
  • 防災研の元理事長ですらCCSに対して「CCSをやって大丈夫なのか?」という反応であることを踏まえて考えていく必要がある。
  • 今までの国際会議等で、長期、短期、それから直接人体に係るリスク、リークのリスクなどが分けられ、ランク付けされるというようなことはなされていないのか。CCSで、直接人体に影響が出るようなリスクで安全性などを考える仕事と非常に長期にわたるリークを扱うのとでは、扱いが違ってくる可能性がある。それを常に同じレベルでモニタリングをひとくくりにしてしまうのは非常に違和感がある。コスト面等にも関係してくるのではないか。
  • モニタリングのスキームもリスクの分類も、きちんと意識して議論されていると認識している。
  • 選択されたサイトのリスクが非常に低いと誰かが認めるなど合意に達しないと事業はできないと思う。そういう意味で、サイトの地質状況を調べ、地下状態をモデリングしシミュレーションするという裏付けが信頼性の醸成に重要ではないか。その中には、貯留可能量やそれに対する注入量といったことも必要になるかもしれない。入れる前の貯留可能量も含めて、事業の開始を許可する体制についても議論が必要ではないか。

資料7、8について

  • 現在のCDMの枠組みや京都メカニズムひいては議定書そのもの自体がCCSのようなものを想定しないで作られている。CCSの世界的な実行に適した新しい枠組みというのを提唱できればおもしろいのではないかと思う。
  • 1つは国際協力の推進の中で、Early opportunityと言われているEORについて現在余り記述が無いが、産油国としてもインセンティブが高いので、産油国との連携によって、排出権の獲得やエネルギーの安定供給を図るような枠組みも是非必要ではないか。また、その一つの発展形として、例えば回収・液化したCOを日本から運搬し貯留するという選択肢も将来的にはあるのではないか。
     2つ目は、現在行われているモニタリングは、ほとんどが地層内におけるCOの挙動を画像的に見ているだけであるが、最終的には境界面、すなわち地表面でのリークが本当にあるのか無いのかを確認する必要がある。日本のハイテクを使うと、相当瞬時的に数値が出る。余りお金もかからず広域でモニタリングできるような技術もあることから、そういうものを早く実用化してワールドスタンダードにするような取組みを進めてはいかがか。
  • 一つはEORに関して、中東など非常に規模が大きくスケールメリットが高いところとあらかじめ協力関係を結んで進めていくというのが一つの方法論ではないか。現在CCSを強力に進めようとしているEU、米、豪、欧、加では、自らの庭先に油田を持っている。日本はそれが無い以上、早めに何らかの協力関係の構築が一つの重要な要素ではないか。
     一方、いずれは国内の帯水層に入れなければいけない。これに関しては、国内での信頼性の醸成という意味で、少しずつ規模を拡大して精緻にやっていくことが重要ではないか。EORではそれほど精緻にやらなくても絶対に漏れないと我々は自信があるが、帯水層の場合にはもう一段精緻度が違うのではないか。
  • 一つ目は、全体として、モニタリングというのを非常に強く意識されているが、リスク評価がほとんどされていないというのが問題ではないか。社会的な合意を得るためには、リスクを評価してリスクについてきちんと説明する必要があるのではないか。漏れてもこういうことであり特に人体に影響はありません等、きちんと踏み込んだ議論をする必要がある。
     途上国との国際協力の2番で、アジアで実証試験を行いその知見を蓄積して国内で大規模実証実験を行うと書いてあるが、これは逆ではないか。きちんとした国内実証実験のデータをもって海外でリスクを理解してもらった上で、CCSを海外でも行い、CDMとして活かすというストーリーの方がよいのではないか。
  • 一つは国内制度について。日本では地表は全て土地の所有権、使用権が決まっているが、国家のものである地下を、どういう形でCCS、地下貯留に使うか、その許可を与える根拠、制度、そういったものがないと混乱を起こすのではないか。それが、貯留量の認定、事業の認定等につながってくるのではないか。
     また、地下の貯留層の挙動は、圧入時のモニタリングが一番精度よく地層のモデルを作ることから、圧入時の作業をどのようにその後の挙動予測に持ち込んでいくかが重要かと思う。
  • 一つは、先ほど出たリスク評価の話をきちんと政策としてやる必要がある。
     2番目が、信頼性醸成や国民の理解の促進という言葉を使うのは非常に思い上がりだと受け取られやすい。本質的には、「信頼される体制と技術の確立」である。
     3番目として、原子力では将来の廃棄物に対してお金を積み立てる制度を作っているが、何らかの仕組みでお金を積み立てていくようなシステムが検討できないか。排出権取引とリンクしてもいい。
     4番目に、モデルプロジェクトを行う場合には、お金の支援が終わった後に、いかに活かしていくかということを考える必要がある。
     最後に、各地で地下水位がすごい勢いで下がっているが、CCSの利用が考えられないか。
  • ルールや制度の整備に先立ち、まず技術的な課題を解決するのが先ではないか。非構造性帯水層での貯留メカニズムや生物影響などの技術課題を解決した上で、実証試験を行うなど、ステップ・バイ・ステップで進めていくべきである。
     2点目として、ルール、制度の関係について、CCSというのは超長期にわたりCOを地下に貯留するという意味で、漏えいリスクも含めて、一民間事業者で責任を負うことは困難であり、今後の推進において、国の責任分担や支援のあり方が非常に重要になるのではないか。特に電気事業からのCO排出は、実際に電気を使われるご家庭や産業界の需要に基づいているという面があり、この点からも、CCSに関する負担を一事業者で持つというのは非常に難しいのではないか。
  • 1つ目は、ロンドン条約や鉱業法に関しては、圧入までと、圧入後というような分け方が可能ではないか。特に圧入までの過程では、環境影響、地層、地下のデータ取得に時間をかけて十分やっておく必要がある。
     2つ目に、コストの点では、パイプラインのコスト低減もかなり重要ではないか。高圧を使うような可能性がないのか、法令面でも可能性を追求する必要がある。
     3番目には、地中貯留はサイト別の特性が異なり、日本では特にその影響が強いのでプロジェクトも複数実施する必要があると思われる。
  • 経済インセンティブの記述について、日本の場合にはインセンティブは無いが、事業が見えた段階で官民でコスト負担をする、経済インセンティブを付与する、という記述になっているが、経済インセンティブが無いところで、国が半分コスト負担したら事業が推進されるというわけではないと思う。そもそもコストの負担のあり方についてよく議論する必要がある。
     これに関連して、資料4の7ページの(2)に「CCSが電力生産コストの穏やかな増加を招いたとしても、その全体が電力消費者価格に反映する可能性は低いと見込まれる」という記述があるが、これはどういう意味なのか。
事務局
  • 資料4に関する点について。現在の電力料金は、基本的にマージナルな発電のコストを元に設定されている。それに対して石炭火力はベースロードであるので、それがそのまま電力価格に反映されるという可能性は低いという説明となっている。
  • 技術開発について今回の資料には詳細は入れていないが、技術ロードマップの中でどういうステップを踏んで技術開発を進めていくかという中長期的なロードマップを作っており、それに則って進めていく。どんどん積み上げていくという意味で、ステップ・バイ・ステップになっている。
     また、コストについてはパイプラインにおける輸送時のコストの削減の問題等々についても、全体のプロセスで削減できるところを幅広く精査してコストを削減していくということは重要だと考えている。また、日本は地層が非常に複雑なので、さまざまな調査を行っていく必要もあろうかと思う。
     リスク評価やモニタリングの問題については、EUの取り組みやEarly opportunityなど外国の事例をよく調べ、参考にするということも重要だと思う。CCSに関する国際的な枠組みは、炭素隔離リーダーシップ・フォーラム、IEAの枠組み、規制制度のあり方について各国の事例を持ち寄って議論しているような場もあることから、そうした状況も十分踏まえ、国内の対応を考えていくということも重要かと思う。
     また、外国との関係でどういうふうな枠組みをつくっていくか、どういう協力なりビジネスへの参入をしていくかという点についても検討させていただきたい。
  • リスク評価、信頼を得るシステム、技術、モニタリング、コスト、補償等の問題を含めた後処理は相互に関連することから、相互のバランス、あるいは相互の相関について整理して、議論をしていただきたいと思う。
     それから技術開発のステップ・バイ・ステップは良いが、そのスピードをどう考えるかというところも、少し整理して考えなければいけないと思う。

委員からの追加コメント

  • 信頼醸成(英語でConfidence Building)の大きなコンポーネントは一般的に言うリスクアセスメントであり、そのコミュニケーションまで考えた枠組みをつくろうということである。
  • Energy Policy for Europeに書いてあるように、まさにヨーロッパを中心に結構スピード感をもって海外は動いている。そのスピード感をつかまえた上で、我が国だけが遅れるようなことがないようにしたい。
  • 貯留ポテンシャル調査の推進では、カテゴリーAとカテゴリーBとに分けてやっている。カテゴリーAはかなり信頼性があるが、カテゴリーBは実際のところ今まで世界のどこにもない。カテゴリーAとBとでは、研究調査の目的が違うのではないかと思うので、もう少し議論して技術開発の促進案を作っていただけたらと思う。
  • EUがCCSを積極的に推進している背景として、EU内の石炭資源や日本との地層の違いなどもあると思われる。そうした諸外国との背景、環境の違いというのも踏まえて、報告書に記載していただきたい。
  • CCSについては、やはりそのインセンティブをどうするかという問題が一つ。2番目は、技術的にどういう点の開発に力を入れるか。3番目は信頼性の向上をどのようにやるか。こうした幾つかの側面を踏まえ、このディスカッション・ペーパーを事務局側とも相談し、もう少し整理し直して報告書の案の原案の形にまとめさせていただこうと思う。
以上
 
 

最終更新日:2007年2月19日
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