経済産業省
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二酸化炭素回収・貯留研究会(第5回)  議事要旨

日時:平成19年3月9日(金)10時~12時

場所:経済産業省別館3階第4特別会議室

出席委員:

茅座長、赤井委員、大野委員、白山委員、田中委員、 福島委員、村井委員、山口委員、山田委員

委員の発言、事務局等の応答は以下のとおり

資料3~5について

  • 資料5は石炭火力発電に関するものか。
事務局: そうである。

  • 資料5図2において、2020年でCCS導入と併せて、火力発電所の効率が向上しているが、どのような技術を導入するのか?
事務局: 参照した文献において具体的な技術の説明が無い。

  • CCSがないと長期的な安定化は難しいということは明らかだと思う。IPCCの議論では、税や排出権取引などの政策を強化することにより技術開発が進展するとしている。しかし、かなり公的支援がないと技術開発が進まないという点を日本から主張すべきという印象を持った。
     また、資料3の1ページにおいて、IEA GHGの報告で「これまで消極的であった電力会社も関与し始めており、各国政府からの支援が無いにもかかわらず、投資をしようという傾向がある」との記述がある。報告の通りであれば、CCSの状況はかなり違うように思える。
  • 各国で事情が異なると思うが、IEA GHGの報告では、オーストラリア、カナダ、ドイツ、ノルウェー、UK、USA等ではこういう動きがあるとの指摘があった。EOR等を利用するなど、バリューチェーン(経済的システムの中でのコマーシャライゼーション)を意味しているのではないか。
  • EORは現実に行われているので理解できる。公的R&DがなくともCCSが進むのであれば一番良いが、本当にそうなのか。政策を強化すればCCSがどんどん入るのか、懸念がある。
  • IEA GHGの報告は、米国で非常に積極的であると言っているのではないと思う。欧州は発電に対してキャップがあり、電力会社はある程度CCSを自分がお金を出してやっても、その分を料金に上乗せできるため、インセンティブがある程度働くのではないか。
  • EUにおいて、かなり大きな10数基のゼロエミッションプラントの建設の計画があり、米国でも同じような計画がある。IEA GHGと議論したところ、投資をどうするかについて、まだグレーであり、公的な投資が必要だとの指摘があった。プライベートセクターと公的部門がどう持ち寄るか、かなり交渉の部分がある。特定の企業が企業価値アップのために進んで投資する例もあるが、一般的に企業が自ら進んで投資することはないように思う。

資料6について

  • 地中貯留ポテンシャルにおいて、陸上の部分と海域の部分と比率どの程度か。
  • 具体的にはわからないが海域の方が広い。
  • 資料6の内容は、IPCC特別報告書に含まれている内容ではないと思うが、新しいものであれば、G8の委託を受けたEnergy Technology Perspectives 2008の機会を利用して、アジアの状況を発表すれば、つながりがよくなるのではないか。
  • 堆積量などを具体的に計算したことは、今まであまりなかったと思う。個別の堆積盆の評価がなされているのは、北米とヨーロッパがほとんどであり、東・東南アジアについては具体的に評価したものは出ていない。CCOPなどを通じて具体的なポテンシャルの評価を進めていきたい。
  • こういう研究は非常に大事だと思う。評価の方法論は、グローバルスタンダードを用いないと国際的な信頼性がでないため、世界各国のジオロジカルサーベイとのネットワークづくりを進めて戴きたい。

資料7について

  • 極端に言うと1年間漏れないという場所が1万カ所あると、10-3以下の放出率という計算になる。時間の長さと量との関係を完全に同等に扱っているが、こういう考え方が成立するのか疑問である。
  • この考え方は、原子力事故のリスク評価に関する議論と同じで、1基あたりの事故のリスクが年間10のマイナス何乗であっても、何百かの発電所があれば、リスクは何百倍かされるということになる。地中貯留の場合にはサイトが増えるとそれだけ漏れる確率が高くなるということになる。しかし、適切に選ばれたサイトであれば、どこもリスクは10-7とかそれ以下であって、単純に確率とサイト数の掛け算でトータルの漏れの期待値が計算されるのはおかしいと思う。
  • 現存する油ガス田は、10-7/年の逆数の1,000万年~数千万年という期間は漏れずに、その地域にトラップされ、たまっているものである。適切な帯水層でもシールやキャップを十分備えたものを考えれば、10-7というのはむしろ大きな数字であり、ほとんど漏えいしないという数字と理解した。
  • 偶発的な要因によってリーケージが起こるのであれば、場所の数と年率を掛けてもおかしくないと考える。
  • IPCC特別報告書の地中貯留の章の執筆に際して、引用が許される公表論文があまりなかったため、駆け込みでかなりの数の論文がパブリッシュされたという経緯がある。COの漏洩率や確率などについては科学的というよりも過去の経験に基づいた知見の蓄積が多く、そうした知見を根拠とした執筆者達の専門家判断をベースに地中貯留の章の漏洩確率などが記述されたという側面がある。確率をどう考えるかなど、議論が十分煮詰まっていないように思える。

資料8について

  • CO分離に伴うエネルギーの消費増やそれが埋蔵量に与える影響が、全く触れられていない。どういう規模か認識が必要ではないか。
     また、CCSに関する新たな国際的枠組の構築に関し、新しいCDMのような仕組みが提案されているが、地球全体でCCSを促進していく時に、どのような方法がいいか考える必要がある。CCSを現在の京都議定書の国別削減目標に絡めるのか、最も効率の良い場所で行うのか(負担の仕方は要検討)を考える必要があるのではないか。
     さらに、事業モデルの構築の中の「官民のコスト分担」という表現が気になる。CCSというプロジェクトが決まった後に、どうやって効率的に実施するのかという場面において、民間の知恵や技術力が発揮される。そもそもインセンティブがないCCSをやることについて、官民が分担して実施するというのは、違うのではないか。
  • 国別ではなく、国際的に見たセクター別のアプローチが議論されている。CCSに関する新たな国際的枠組の構築に関し、そのような枠組みとして考える可能性もあるのではないか。単にCDMの肩代わりのような枠組みでは、納得されないだろう。
     また、官民のコスト分担について、単純に論じることに危惧を感じている。そういう意味で、「官民の役割分担」という言葉があったが、タスク・シェアリングではなく、むしろパートナーシップという言い方の方が良いのではないか。パートナーシップの中でそれぞれの役割は当然出てくるため、わざわざ役割分担という言葉を使わなくてもよいのではないか。
  • 目次の国際的枠組の動向において、まずG8があり、APP、FCCC、ロンドン条約と続いているが、むしろFCCCが最初で、次にG8、APP、ロンドン条約という流れか、あるいはFCCC、ロンドン条約、G8、APPの順が良いのではないか。各国の政策動向も並べ替えた方が良いのではないか。
  • 地球温暖化対策におけるCCSの有効性の記述において、国際的動向に含まれる内容が含まれており、整理が必要と思う。
事務局
  • 枠組みの議論において、2012年までの議論と2013年以降の次期枠組みの議論が混在しているという認識をもっている。CCSの位置づけも異なると思う。2012年までは既に日本がマイナス6%というキャップを受け入れ、CDMという枠組みが現に動いている。我が国は、少しでもCDMによる排出権の国際的供給量を増やすために、CCSをCDMとして位置づけるべきであるというアクションを強力にとっている。2013年以降については、京都議定書の評価を行うとともに、新しい枠組みをどう構築するのか、日本がどういうポジションをとっていくのか、検討が必要。さらには、それを実現するためのツールとしてどういう国際的リンケージを作っていくのか(現在のシステムとしてはCDM)については、さまざまな解決すべき課題が伴っていると考える。
  • 国際的枠組みの動向の記述の順序に関し、IPCCが大変大きなインパクトを与えたことは事実であるが、これを踏まえて国のリーダーが技術あるいは政策手段をどう位置づけていくのかというのが重要と考える。各委員の御意見を戴きながら、良いものに仕上げていきたい。
  • CO分離に伴うエネルギー消費の増加は、IPCC特別報告書にも指摘がある。記述を加えたい。

委員から追加コメント

  • 現在のCO分離回収技術では、エネルギーロスが2~3割くらいあり、化石燃料が余計に必要になる。エネルギーロスを少なくする技術開発が今後も重要である。また、分離回収コストの削減に向けた革新的技術開発を行うことは、非常に重要であり、推進して戴きたい。技術開発に関しては、いきなり大規模実証ではなく、様々な分離回収技術のうち、どの技術が適用できるかをプロジェクトの中で評価していただきたい。
  • 貯留ポテンシャル調査等の環境整備には、実際にCOを貯留する実施面が記述されていない。貯留量の検証・認証の仕組みの整備の前に、精密な貯留サイト調査の実施と認証を記述すべきではないか。貯留したCOの漏えいを最小限にするためには、よい地質構造を選定する必要がある。よい地質構造の選定に当たり、どのような調査を行い、どう評価したのかを検証する必要がある。
     また、圧入過程におけるモニタリング結果に基づきモデルを修正していくことになるが、実施面における検証内容を整理しておくことが必要だと思う。
  • 貯留サイト調査のための民間支援に関し、国内に専用の機材を確保していただくのは非常に結構だと思う。ただし、機材は非常に高価であること、機材を使いこなすエンジニアは、石油開発業界にしかいないことなどから、機材を有効に活用し、コスト高になることを防ぐ方策が必要である。東・東南アジア等で貯留ポテンシャルがあるのであれば、国際的な枠組みでCO専用の装置をプールし、機材を有効に活用し、コストダウンにつなげる工夫が必要である。
  • 日本におけるCCSの位置づけにおいて、経済産業省以外の政府の活動があれば記述してはいかがか。
  • 「はじめに」は、いろいろな意味で大事だと思う。CCSは温暖化特化技術であり、排出を抑制する技術とは全く異なる。CCSは、今すぐというよりは100年後の地球全体の安定化にどうしても必要であることを最初に書くべきではないか。
     また、京都議定書には「適応」のことが書かれていない。今後、適応は温暖化必至という中で大きな問題になってくると思う。排出の抑制、CCS、適応を組み合わせて、将来の地球規模の温暖化に備える必要があり、その流れの中でCCSの位置づけを記述した方が良いのではないか。
事務局
  • 経済産業省以外のCCSへの取組みとして、ロンドン条約96年議定書の批准の関係で、環境省が海洋汚染防止法の改正に向けて取組んでいる。中環審の専門委員会で先月報告されており、その内容を盛り込みたい。

委員から追加コメント

  • 国際的枠組の動向において、(意図を持ってG8、APP、FCCC、ロンドン条約という記述順序にしたとの事務局の説明に対し)、G8での議論では、CCSを含むCO削減策をエネルギー問題の立場から論じるとの方向性を明確に示し、そのためにIEAに重要な役割を与えたという点で高く評価しているので、そういう意図を持って記述の順序を選択されたのならば納得する。その場合、CCSの有効性を示すシナリオ分析結果の記述は、まずETP2006で主張しているCCSの意義づけを載せ、次にIPCCの図を併記した方が、整合がとれるのではないか。
  • 「はじめに」のところに、CCSが代替エネルギーとは違うタイプの技術であるということを、初めに触れた方がよいと思う。従来からしばしばCCSに対して反対意見が出ているが、その反対意見のほとんどが、再生可能エネルギーのように本来温室効果ガスを出さないものが対策として望ましいというものである。従来型の公害技術は、それを阻害するという意見が結構ある。それに対して、将来を考えていった場合、CCSのような技術を併用しなければ絶対に問題は解決できないと考えているが、CCSの特徴を考えても、総合的な技術の一環として入れるべきだという議論を、ぜひ初めに書くべきだと考えている。これは後ほど事務局と相談させていただきたい。
     もう一つは、コスト負担の問題である。「CCSとは」において、CCSが温暖化特化方策で他とはかなり性格が違っているということが記述してある。このあたりにコスト負担に関する文章を少しつけ加えるのも一つの方法と考える。省エネルギーの場合は、明らかにそれだけでインセンティブになり得るので、排出者が全てのコストを負担することが十分あり得る。再生可能エネルギーの場合は、ある程度の官の補助があればやる気になると考える。一方、温暖化特化方策は一切排出者がお金を出す気にならないため、全部官が負担するという論理になるかというと、そうは思わない。官はあくまでも国民全体であり、国民全体がそれを負担するのか、それとも排出者が一部を負担するのかといえば、やはり一部は排出者が負担するのが筋ではないか。これは他の公害問題と全く同じことだと思う。
     その場合に問題は、どの程度を排出者が負担するかということで、これについてはまだ議論がほとんど行われていない。現実に自主行動計画あり、企業が温暖化対策に対してある程度のコストを負担している。コストの負担がどの程度であるべきかという議論を今後きちんと行うべきであることを報告書の中に書くべきだと考える。温暖化特化方策だからといって、民間が一切負担しないというのは、論理的にあり得ない。官がある程度出し、民もある程度出すというのが筋であって、その場合、どういう考え方でどっちがどの程度出すかは、今後の検討課題であることを書くべきだと考えている。
  • 今後の分担をこれから決めるにしても、民の方でそれをやりたくなるような何か仕掛けがないと難しいと思う。例えば金融や保険などの投資を引き込む仕組みにより、リスクを分担することを考えていけばいいと思う。
  • 負担の仕方を考えるときに、排出者に削減インセンティブが働く仕組みが当然必要だとだと思う。CCSという手法は、国や場所によって相当条件が異なる。国際的に活動している企業にとって、CO削減が義務づけられ、そのための対応コストが全然違うという状況は回避したい。フェアな競争条件が担保できるような状況の中で考えていきたい。例えばEORが簡単にできるところとできないところがあり、同じ量のCOを排出しているから、同じ条件となった時に、本当に国際競争力を維持できるのかという観点で考え、十分配慮していく必要があると思う。
以上
 
 

最終更新日:2007年3月20日
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