経済産業省
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独立行政法人評価委員会経済産業研究所分科会(第28回)-議事録

日時:平成21年3月3日(火)14:30~16:15
場所:経済産業省本館17階東5第4共用会議室

出席者

分科会委員:
小野分科会長、小笠原委員、古城委員
独立行政法人経済産業研究所:
及川理事長、菅沼監事、藤田所長、佐藤副所長、星野研究調整ディレクター、河津総務ディレクター、入野通商産業政策史編纂ディレクター、尾崎研究コーディネーター、山田副総務ディレクター
経済産業省:
松井経済社会政策室長、大西経済社会政策室室長補佐、冨田経済社会政策室室長補佐

議題

独立行政法人経済産業研究所の平成20年度の業務進捗状況について(経過報告)

議事概要

  • 小野会長
    それでは、皆さん、おそろいになりましたので、第28回独立行政法人評価委員会経済産業研究所分科会を開催したいと思います。
    早速、「独立行政法人経済産業研究所の平成20年度の業務進捗状況について」という議題に入ってまいりたいと思います。
    最初に、事務局から本日の配付資料のご説明をお願いします。
  • 松井室長
    本日は、冷え込みが厳しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
    本日の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。初めに「座席表」がございます。次に「議事次第」、その次に配付資料一覧がございます。資料1としまして「経済産業研究所の最近の活動状況」、資料2としまして「平成20年度プロジェクト概要」、資料3としまして「アウトプット指標」、資料4としまして「政策提言・成果普及活動状況」、それから参考資料を1つ、つけさせていただいております。また、参考資料とはくくっていませんが、RIETIさんから新聞記事と「RIETI High Light」4冊をご準備いただいております。お手元の資料に不足等ありませんでしょうか。
    本日は、まず、経済産業研究所から業務進捗状況についてご報告いただくということで、この資料に沿って報告いただくこととしております。
    また、議事録及び議事要旨につきましては、「独立行政法人評価委員会運営規程」の定めに基づきまして、公開することとなっておりますので、ご承知おきください。
    事務局からは以上でございます。
  • 小野会長
    ありがとうございました。
    それでは、資料の確認もできましたので、早速始めたいと思います。
    去年、いろいろな角度から評価していただいて、経済産業研究所は、結果的にはA評価となったのですが、今年は、独立行政法人に対して一層強い風が吹いているように思います。独立行政法人を取り巻く環境がどうなるかわかりませんが、独立行政法人の在り方についても議論が出てくるのではないだろうかと思います。それに対して、我々評価委員としても、国民の負託にこたえられるようなきちんとした評価をしていく必要があると思います。
    その一方で、RIETIは研究所ですので、仕込みから成果が出るまで時間がかかるということなのですが、我々実体経済の中にいる人間としては、スピード感みたいなものが非常に大事な時代になっているわけです。去年のリーマンショック以来、経済環境が激変しているわけで、例えば私どもの会社もそういった経済環境を肌に感じる状況下にあります。このように日本経済は大変な環境の変化に直面しているわけですが、研究所というところからスピーディーに、経済政策についていろいろなことを発信して、研究の成果を出すのと同時に、行政への提言につながっていくような仕事をしていただけるとありがたいなと思います。そういう意味で、過去何年かの蓄積について今年、各委員には評価をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
    前置きが少し長くなりましたが、早速、経済産業研究所から報告をお願いいたします。
  • 及川理事長
    本当に寒い中、ありがとうございます。
    詳細については、後ほど副所長からご説明申し上げますが、アウトラインについて、私からご報告させていただきたいと存じます。
    本年度のRIETIは第2期計画の折り返し点、ちょうど3年目に当たりますので、昨年度の後半以降、かなり増大していたプロジェクトが本格的に稼働した年に当たります。全体のプロジェクト数では、前年度に比べて4割、研究参加者数では3割を超す急激な増大になっております。質的にも、所長が叱咤激励しておりまして、お手元にお配りしてございますが、日経の「経済教室」やフィナンシャル・タイムズ等海外のメディアにも投稿しておりまして、かなりの数が採択されている状況でございます。まだまだ改善の余地があるかと思いますが、内外の認知度も着実に向上しているかと思います。
    また、RIETIの一つの特徴だと存じますが、かなり大がかりなデータ整備に関しましては、3年来続けてまいりました高齢化に関する調査、「J-Star」が、試行期間を経てようやく整備され、先月、DPの検討会が行われたところでございます。我々からみても大変興味深い、さまざまな結果が出ているところでございます。
    また、従来から続いているJIPデータベースにつきましては、本年3月、2009年版が集計されまして、引き続き、OECDの公的資料に採用されることになっております。
    いずれも国際的な連携のもとに実施されているものであり、高齢化、生産性といった各国共通課題の検討に当たってのプラットホームになるような役割を担いつつあるのではないかと思っております。
    今年度のもう一つの特徴は、計画の折り返し点ということもございまして、今、小野会長からお話がございましたように、学際研究テーマ、いわゆる包括プロジェクト等を中心に、中身の濃いシンポジウム、セミナー、ワークショップなどを行ったことでございます。代表的なものといたしましては、労働法、企業法、大学のあり方、ワーク・ライフ・バランス等のテーマでございますが、経済学者、法学者、経営学者、社会学者、経済界の方、官界の方等が一堂に会して進めてまいった研究成果を総括していただき、大変示唆的で有益なプレゼンテーションをしていただいたと思っております。その幾つかはマスコミ等でも取り上げられております。
    また、進めてまいった海外機関や国内機関との連携も一層の深化を遂げられたと思います。欧州とは、今月末にも予定しておりますが、CEPRとの3回に及ぶワークショップを開催し、アメリカとは、所長の努力によって、ハーバード大学との交流も実現しております。また、中国の国務院発展研究中心というセンターとは、引き続き連携をとりながら研究者の往来が進んでおりますし、国内でも、京都大学経済研究所との共同シンポジウムが本年1月に開催されております。クルーグマンがノーベル経済学賞を受賞したわけでございますが、ノーベル財団発表のコンクルージョンで、共著者として所長の名前が挙がっていることもございまして、全世界に紹介されたこともあり、海外からRIETIをみる目つきも大分変わってきたのではないかと思っております。
    昨年9月のリーマンショックについて、小野会長からもご案内がございましたが、まさにこの危機に対応いたしまして、RIETIとして何ができるかを早速検討しております。
    RIETIのホームページをごらんいただきますと、トップに「世界経済危機フォーラム」と題した画面が立ち上がるようになっており、この画面には既に30弱のコラム、エッセーを掲載しておりますし、昨年夏には、このテーマに関しまして、CEPRとのワークショップ等を開催いたしました。また、これは本省との連携のもとに取り組むべき課題であるということで、両者をつないだ組織的な連携体制を図ったところでございます。今月末には再度、CEPRとのセミナーを予定し、さらに来月4月2日には、労働法のシンポジウムを通じて、これまでの成果をぶつけていきたいと思っております。6月には、この世界経済危機に関し、内需拡大、通商面での保護貿易主義対策といったものをそれなりに深めるべく、3つのセミナーを開催したいと思っておりまして、その一部は東大との連携で行うべく、現在、準備を進めているところでございます。
    以上が研究内容でございますが、今年度、1つ大きな課題でございましたのは、財務・業務面でございまして、プロジェクト数の急拡大、本格化に伴いまして、予算が極めて逼迫いたしました。昨年秋ごろまでに、かなり深刻な局面になったわけでございます。職員挙げて支出の見直しを行い、また、大変申しわけないことでございましたが、ファカルティフェローの諸先生、研究協力者の諸先生のご協力を得まして、謝金、旅費単価等の切り下げをし、また、委託費の節減を行いまして、ようやく先月、今年度も利益計上の目処が立ったところでございます。RIETIの場合、ご承知のとおり、先生方に熱心にやっていただけばいただくほど支出が増えることになります。したがいまして、現在は、その熱心さに水を差さないよう、しかし、計画的に支出予想が立てられるように、プロジェクトの運営、研究会の開催予定を事前に把握するような体制を講じつつあるところでございます。
    最後に、独法改革や評価委員会でのご指摘についてご報告申し上げます。
    まず、RIETI-STATの廃止や、中国語のホームページを一般競争入札に移行せよというご指摘がございました。これにつきましては、内閣府との調整も終えて、入札にとりかかるところになっております。
    残るJIPのデータ収集についての入札でございますが、これについても、予定のスケジュールに従いまして、現在、仕様書の作成に入っているところでございます。
    随意契約につきましては、一昨年12月に公表しました随意契約の目標金額1億900万円、件数6件に対して、今年度は、現在時点での見込み金額1億1,300万円、件数9件とほぼ目標値になる見込みでございます。しかしながら、20年度の契約全体に対する比率ということで換算いたしますと、金額では28.4%、件数では12.5%となりまして、一昨年公表の比率の18.9%、7.1%に比べると大きなものになっております。19年12月試算の際の分母となった契約額、契約件数に比べまして、今年度のそれは、先ほど申し上げましたような事情で、支出見直しを行った結果、大幅に減少しております。分子はほぼ目標値なのですが、分母の方が大幅に減っておりますので、結果、このような数字になっております。随意契約のほとんどは、当初目標に掲げた国際共同研究にかかわるものでございますが、6件以上増えましたものは、緊急支出のため、やむを得なかったものがほとんどでございます。しかし、若干でございますが、目標額を上回ってしまった点はおわびを申し上げたいと思います。
    詳細については、後刻、副所長からご報告申し上げたいと思います。
    どうぞよろしくお願いいたします。
  • 小野会長
    では、藤田所長。
  • 藤田所長
    きょうは、大変お忙しい中、我々研究所の評価のためにお集まりいただきまして、ありがとうございます。
    先ほども小野会長からありましたように、世界金融・経済危機の真っただ中で、もっと深刻化するプロセスにあります。その中でRIETIは、先ほど小野会長もおっしゃいましたように、スピード感をもって、今までの研究成果の蓄積を生かしながら情報発信して行きたい、また、いろいろな形で新たな研究を立ち上げて行きたいと一生懸命全員でやっているところであります。
    ただ、皆さんに外部から見ていただいたとき、お気づきになった点や、こうあるべきだということがたくさんあると思いますので、今日は忌憚なく、いろいろな形でご指摘していただき、今後の経済産業研究所の研究活動の発展方向につきましてご指導いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
  • 小野会長
    ありがとうございました。
    それでは、佐藤副所長から報告をお願いします。
  • 佐藤副所長
    佐藤でございます。資料に基づきましてご説明させていただきます。
    まず、資料1に基づきまして、「最近の活動状況」につきまして、新規プロジェクトを中心とした取り組み、2点目として世界経済危機への対応、3点目として国際ネットワーク等の深化、4点目として業務効率化ということでご説明させていただきたいと思います。
    1ページめくっていただきますと、まず、「政策立案に寄与する研究プロジェクトの進展」ということでございまして、(1)にございますとおり、今年は、平成18年度から22年度までの第2期中期計画の中盤の年、20年度ということで3年目に入っております。研究活動が徐々に活発化してきておりまして、19年度と比較いたしますと、プロジェクト数で49が68、研究会メンバーの数も403名が535名、書いておりませんが、ファカルティフェローの数も、46人にお願いしていたのが50人ということで、それぞれ大きな数字となってきております。
    こういう中で、仕込んでまいったさまざまな研究が徐々に発芽・開花するような状況になっておりますので、それの幾つかについてご紹介させていただきます。
    まず、マル1の「暮らしと健康に関するパネル調査」でございますが、「J-Star」と呼んでおりまして、「ジャパニーズ・スタディ・オブ・エージング・アンド・リタイアメント」の頭文字をとったものでございます。欧米では「HRS(ヘルス・リタイアメント・スタディ」と呼ばれておりまして、日本のほかにも、米国ではミシガン大学を中心として研究が行われておりますし、欧州でも行われておりまして、将来的には国際比較ができるのではないかと期待しております。
    主に中高年の方々の健康や生活に関するデータを収集しまして、パネルにしまして、健康と生活習慣の関係とかさまざまなものを研究した上で、今後の高齢化社会に備えるという研究でございまして、東京大学の市村先生を中心として研究を進めております。ディスカッションペーパーの検討会を既に開いておりまして、間もなく第1回目の結果が出る予定でございますし、来年度につきましては、引き続き、2回目の調査に当たりたいということでございます。現在は全国5ヵ所の調査を行っておりますが、それをさらに広げることも含めて検討しているところでございます。
    マル2の「労働市場制度改革」は、上席研究員の鶴研究員を中心として平成18年12月にスタートしたものでございます。今日までに研究会を15回開催いたしまして、昨年の4月にシンポジウム、今年の1月にワークショップを開いております。今年の4月には、今まで労働時間と雇用情勢の関係が中心でございましたが、先ほど小野会長からご指摘のあったスピード感をもちまして、最近の失業率の上昇等を踏まえて、さらに雇用調整等の状況を入れたシンポジウムを開催する予定にしております。
    マル3の「ワーク・ライフ・バランス」は、働き方と生活、人生の過ごし方とのバランスを取るためのさまざまな課題について研究するということでございまして、法政大学の武石先生にファカルティフェローになっていただきまして、平成20年の6月からスタートしております。今までに研究会を7回開催しておりまして、今年の6月ぐらいにDPの検討を進めることにしております。現在、内閣府の経済社会総合政策研究所と共同で海外調査を実施するための準備をしているところでございます。
    マル4の「グローバル化・イノベーションと競争政策」は、京都大学の川濱先生をファカルティフェローといたしまして、20年9月にスタートしておりますが、19年5月から、検討会という形で14回開催したものを踏まえて、研究会としてスタートしてございます。東大の大橋先生等、法学者と経済学者の両者に参加をいただきまして、法と経済学の観点から競争政策の評価をするための議論を行っております。特に大型合併ということで富士・八幡の例もございますので、そういうものの研究も行いまして、最終的には学術書を刊行する予定でございます。
    マル5の「水産業における資源管理制度に関する経済分析」は、食料自給率の向上ということで、特に水産業の資源管理が非常に重要になっておりますが、マグロ等の資源管理につきまして、水産庁、行政当局の参加も得まして、その状況、課題等について検討しております。ファカルティフェローは、南山大学の寶多先生と横浜国立大学の馬奈木先生ということで、検討会を5回行った後、平成20年5月にスタートしておりまして、以降7回の検討を行っております。21年5月ごろにDP検討会をする予定でございます。
    マル6の「新しい日本のコーポレートガバナンス」は、一橋大学の宍戸先生にファカルティフェローになっていただいておりまして、19年から23回に及ぶ検討を続けております。これはインセンティブ構造ということで、企業にかかわる経営者、株主、金融、従業員、取引先、消費者といったさまざまな主体のインセンティブと企業法のあり方についての総合的な理解を深めていこうということでございまして、ワークショップ、セミナー等を2月に実施しておりますし、今後、その成果を学術書として刊行していく予定にしております。
    それらの研究に加えまして、第2期からスタートした通産政策史の編纂事業も活発化してきております。各分野の中間報告会を行いますとともに、編纂委員会を開催しておりまして、本年の6月が一次稿の締めになっております。編纂主幹は一橋大学の尾高先生、副主幹は東大の武田先生、同志社の中田先生、東京理科大の松島先生にお願いしておりまして、この事業が徐々に本格化してくるということでございます。
    ちなみに、今回の通産政策史は、1980年から2000年までの通産政策の歴史とその評価について行うといった内容となっております。
    4ページに行っていただきますと、2点目の「世界経済危機への迅速な対応」ということでございまして、本来、RIETIは、中期的あるいは長期的な課題についての研究が主でございます。ですが、それだけではなくて、まさにスピード感をもって、こういう必要とされている研究に迅速に取り組んでいこうと考えており、理事長の指示によりまして、まず、本年1月に、研究所内に、理事長、所長をヘッドとする世界経済危機対応プロジェクトチームを設置いたしました。常勤研究員、マネジメント、経済産業省からも経済産業政策局あるいは産業技術環境局の審議官、課長クラス、本分科会事務局の松井室長にも入っていただき、課題を整理した上で、研究のあり方をどのようにしていったらいいかということを検討しております。この中で、先ほど理事長からもお話がありました、6月に3つのテーマについてセミナーを開いていこうといったアイデアが出てまいりまして、それを実行すべく、準備をいろいろとしているところでございます。
    このプロジェクトチームで整理しながら、以下に掲げているようなさまざまなイベントを並行して実施しております。
    まず、iとして2008年11月18日でございますが、「サブプライム金融危機に関する所内ワークショップ」ということで、藤田所長、小林上席研究員を中心としまして、現在の世界経済危機をどのように考えるかということについてプレゼンテーションを行っていただきまして、意見交換をしております。
    この所内ワークショップには、明治大学の刈屋先生や、私どもの顧問をしていただいている小宮先生にも参加をいただきまして、刈屋先生からは、金融工学自体は学術的な成果であって、使用方法に問題があったのではないかというご指摘、小宮先生からは、多少のバブルは不可避だけれども、国際通貨としてドルがナンバーワンであること自体は変わらないのではないかというご指摘など、いろいろなご指摘をいただいておりましす。そういう成果を、通商政策局、経済産業政策局の担当者にもフィードバックしているということでございます。
    iiに書いているのは、2008年12月19日に行ったヨーロッパの研究機関であるCEPRとRIETIとのワークショップでございまして、タイトルは「労働市場と金融政策-サブプライム金融危機ととまらない格差拡大にどう立ち向かうのか」でございます。労働市場と金融市場は非常に密接な関係があるということで、CEPRからJordi GALI先生というインターナショナルマクロで非常に高名な先生はじめ、3人の労働とマクロのエコノミストの方にお越しいただきまして、藤田所長、小林上席研究員、京大の中嶋先生にも参加をいただきまして、議論を行いまして発信しております。
    iiiは、1月19日でございますが、「リーマンショック後のWTO・貿易金融政策に関する所内ワークショップ」でございまして、リーマンショック後、世界で保護主義の台頭がみられたり、途上国でファイナンス支援が必要ではないかといったさまざまな新たな問題が生じております。そのような問題につきまして、国際経済、あるいは、法律の専門家である上智大の川瀬先生、横浜大の荒木先生、中央大の鶴先生をはじめといたしまして、経済産業政策局、通商政策局、大臣官房、また、NEXI(日本貿易保険)という貿易保険を扱う独立行政法人があるのですが、そこの担当の方にも集まっていただきまして、WTOの補助金協定の取り扱いとか、各国の保護主義の台頭にどのように対応すべきかとか、途上国のファイナンス支援、貿易保険も含めまして、どのような対応が必要なのかという議論を行いました。
    1月29日には「現下の雇用情勢と働き方の柔軟化に関する所内ワークショップ」ということで、労働時間法制の実証分析、理論の再構築ということで、鶴研究員を中心といたしまして、一橋の黒田先生、東大の水町先生等関係の方々にお集まりいただいて議論を行ったところでございます。
    3月27日には「保護主義と貿易政策に関するCEPR-RIETIワークショップ」を予定しておりまして、CEPRのボールドウィン先生という国際経済の著名な先生にご参加いただきまして、私どもの主幹の若杉先生、藤田所長を中心として発表いただきますとともに、通商政策局にも参加をいただく予定になっております。
    そのほかに、ハーバード大学との意見交換なども行っておりますが、これは「国際ネットワーク等の深化」のところでご紹介させていただきます。
    「迅速な対応」のマル3でございます。先ほど理事長からもご紹介がありましたが、私どものホームページのトップ、ホームのところの一番上に「世界経済危機フォーラム」というウインドーを設けまして、ここから先ほどのような成果を発信するようにしてございます。「一覧ページへ」というのが丸のところの一番上にありますが、ここをクリックしていただくと24のコンテンツ、先ほど申しましたような内容が全部一覧でみられるような仕組みになっております。表のところだけですと今3つ入っておりますが、絶えず中身を入れかえまして、最新のものを発信する努力を続けております。
    「世界経済危機への迅速な対応」のマル4でございますが、各方面の専門家をお招きいたしまして、BBL等におきまして、世界経済危機に関する情報発信をしております。
    例示でございますが、1つは、Jay ROSENGARDさんというハーバードの先生にお越しいただきまして、「The Global Economic Crisis:Causes、Consequences and Responses」ということでございます。このときは英語でやられたのですが、100人を超える登録がございました。先生は、米国を中心とした金融産業について、「アルケミー」と呼んでおりましたが、錬金術である、これは誤りであったとおっしゃっていました。また、ブッシュ政権の政策も、ハウジング産業やファイナンス産業に対して非常にフェーバリットを与えたという意味で誤りがあったということで、非常に大きな政策上あるいは産業上の誤りがこういう事態を招いたという分析をしておられました。
    2つ目は、内閣府の世界経済白書を書く担当の参事官(海外経済担当)でいらっしゃいます林課長におみえいただきまして、「世界金融危機と今後の世界経済」ということで、このときはさらに多くて、133人の方の登録がありました。参加される方は大体8掛けぐらいで少し減るのですが、100人を超える参加をいただいております。このときは、過去の石油ショックと違って、新興国の成長というプラス要因はあるけれども、世界の経済に占める米国の割合は4分の1以上あるし、BRICsは18%なので、デカップリングは起きていないと見るべきであって、先進国だけで世界を牽引するのは難しいと。そうすると、米国はいつ立ち上がるかだけれども、過去の例をみても、やはり2年以上かかるのではないかということで、かなり厳しい状況がしばらく続くという分析をしておられました。
    2月23日には、ヨーロッパの状況ということで、VERONさんというブリューゲルのリサーチフェローの方から、「Banking Supervision in Europe」ということでお話をいただきまして、ここでは、EUの金融機関が国際的にどんどん統合していって、国を超えた活動になっていると。ところが、銀行に関する規制はEU全体ではなくて、各国の規制が中心になっていて、EUとしては緩い規制しか行われていない。そこに非常に大きな問題があって、ヨーロッパにおいては、EU全体として、あるいは各国との関係でどういう体系をつくっていくかが課題であるといったお話をしていただきました。
    また、資料には載っておりませんが、経済産業政策局から、これまでの小泉改革等の構造改革のレビューをしてほしい、そして今後の方向について提言してもらえないだろうかという要請がございまして、労働、企業、会計制度、独禁法、財政といったさまざまな分野について、ファカルティフェロー、常勤の研究員をはじめとしまして、あるいは、私どもの監事をしておられる八田先生にもご参加いただいております。八田先生は非常に著名な会計の先生でいらっしゃいますが、今までの構造改革の取り組みについて、どういう分析・評価ができるのだろうか、また、どういう改善点の提案ができるのだろうかということについて、ご相談をさせていただきまして、今、取り組みを進めているところでございます。
    このような動きを踏まえまして、6月に内需進行、イノベーション、WTOと保護主義というテーマで、それぞれ午後ぐらいを使ったセミナーをする。労働につきましては、4月に鶴研究員のセミナーをするという形で、まとめて発信していきたいと考えております。特に内需進行の部分につきましては、吉川先生は私どもの研究主幹でいらっしゃいますので、吉川先生からの提案で、東大と共催という方向で準備を進めているところでございます。
    3点目の「国際ネットワーク等の深化」でございますが、これもさまざまな形でネットワークが深化してまいりました。
    まず、「米国ハーバード大学」でございますが、ヨーロッパと中国に加えまして、米国ともぜひネットワークをつくりたいということで、今年の1月に、藤田所長、根津理事、尾崎上席研究員がハーバードを訪問いたしまして、ビジネススクール、ケネディスクールの、例えばジョルゲンソン先生、ヘイグ先生、あるいは サイチ先生といったそれぞれの分野で著名な先生方と意見交換をするとともに、ワークショップということで、所長からは「リシッピング・イースト・エイジアン・アンド・ザ・ワールド・エコノミー・イン・ザ・ウェイク・オブ・フィナンシャル・クライシス」ということで、世界経済危機を踏まえた東アジアの再構築の講演をしていただいておりますし、根津理事からも「ホワイ・シュド・U.S.サポート・コンプリヘンシブ・エコノミック・パートナーシップ・イン・イースト・エイジアン」ということで、ASEANプラス6、日中韓にオーストラリアとニュージーランドとインドを加えた地域のいろいろな取り組みについて、なぜ米国はサポートする必要があるのかという講演をしていただきまして、意見交換をしております。多くの聴衆が集まりまして、活発な意見交換が行われました。
    次は「欧州CEPR」でございます。これは、先ほどご説明したワークショップのほかに、若杉研究主幹が、スイスで開催された企業の国際化に関するワークショップに参加したりしております。繰り返しになりますが、3月にボールドウィン教授をお招きしまして、さらに意見交換をする予定でございます。
    マル3でございますが、「中国CRC」でございます。これもいろいろな動きがございまして、昨年の5月には、国務院発展研究中心(ディベロプメント・オブ・リサーチ・センター)の張玉台主任、閣僚級でございます、がRIETIを訪問されまして、理事長、所長と意見交換をいたしました。
    実務レベルでは、若杉先生とDRCの陳小洪さんという企業研究所の所長間で協議が整いまして、中国における日本企業をはじめとした外資系企業が、R&Dや生産性に関してどのような活動をしているかといったことについて、中国の地場の企業のデータとあわせて比較研究していくということでございます。後ほどまた、個々のご関心のところで出てまいりますが、それに基づいて、研究者が中国に2回ほど行きまして、意見交換をしております。
    そのほかにも、韓国のコリアン・インターナショナル・エコノミック・ポリシーというところでセミナーがありまして、アジアの経済統合と各国の危機の状況などについてのシンポジウムに私が出ておりますし、台湾TIERに理事長、長岡主幹が訪問しまして、日米の発明者サーベイと中小企業に対するインプリケーション等についてのワークショップを実施しております。
    次のページのマル5でございますが、OECDとMETIとRIETIの共催で、ソフトウエア分野におけるイノベーションについてのコンファレンスを、高市経産副大臣や天野OECD事務次長もお招きして行っておりますし、日仏会館では、組織とパフォーマンス、企業の多様化をいかに維持するか、理解するかということにつきまして、早稲田大学の宮島先生を中心としたシンポジウムを行っております。APFA7は、アプリケーション・オブ・フィジックス・イン・フィナンシャル・アナリシスということで、応用物理と経済の融合ということでございまして、東工大、一橋大との共催で、3月5日にシンポジウムを行う予定でございます。京都大学との共催のシンポジウムも引き続き行っておりまして、イノベーションと人材育成ということで、藤田所長、京大の西村経済研究所長ほかから講演をいただいているところでございます。
    マル6の「BBLの国際的認知度」でございますが、先ほど申しましたとおり、RIETIの看板事業として定着しているとともに、外国でも有名になっておりまして、例えば日仏会館や米国の大使館などから、ぜひ講演させてほしいという依頼が結構来ております。2月28日までに64回やっておりますが、そのうちの23回は外国人講師ということでございます。大概はオールイングリッシュでやるのですが、英語で非常に活発な議論がされております。
    ちなみに、国際ネットワークとはちょっと外れますが、1月はワーキングデーが19日あって、そのうち9回、BBLが開催されております。ほぼ2日に1回以上ということで、しかも、そのうち5回以上は100人超の登録があったということでございます。できれば毎週100人が集まる研究所を目指したいなと思っておりましたら、1月は毎日やった日もありまして、毎日100人集まる研究所になってしまったという状況もありまして、いろいろな形で、かなり充実してきているのではないかと考えております。
    4点目のテーマは「業務効率化の更なる進展」でございます。
    まず、「随意契約の更なる低下」でございます。昨年度は、件数が59.5%、金額が61.5%でございましたが、今年度は、件数が12.5%、金額が28.4%ということで低下いたしました。金額を絶対額でみていただきますと、ここに掲げておりませんが、19年度は4億3,400万円が随契であったのが、20年度は1億1,300万円。これは主に不動産賃借の関係や共同研究に係るものでございます。昨年ご説明したときの目標額が1億900万円でございましたので、残念ながら、目標額よりも400万円ほど高くなっておりますが、かなり近いところまで行けたかなという感じでございます。
    マル2の「謝金単価等の見直し」でございますが、活動が活発化しまして、予算が足りなくなることが秋時点から明らかになってまいりましたので、研究会の参加謝金や検討会の発表謝金等につき一律20%ほど、先生方にご協力をお願いしまして、見直しをさせていただきました。
    「外部資金の獲得」でございますが、これも一昨年の評価のときに非常に問題になった点でございます。科研費が6件、1,143万円ということで、前の年は110万円でございましたので、それの10倍ぐらいの額。また、資源エネルギー庁からも447万円の受託。これはゼロからでございます。グレイトブリテンからの助成金は、70万円だったのが今回は60万円ということで10万減っておりますが、それぞれ獲得してございます。
    最後のページでございますが、「官民競争入札」では、中国語のホームページにつきまして、官民競争入札の作業を行いました。一昨年の閣議決定に従ったものでございまして、JIPにつきましても、今、作業を進めております。
    「情報セキュリティ」ということでは、情報セキュリティ運営委員会を設置いたしまして、改善点の洗い出し、見直しを行っておりますし、業務につきまして、やはり“見える化”の定着を図ることが大事だろうということで、今、マニュアルをつくる努力を進めております。所内業務の“見える化”が進展することによりまして、効率が非常に向上いたしました。これは一部の先生方からいわれたことですが、例えば旅費や謝金の支払いが、前と比べて随分早くなったとお褒めをいただいたこともございまして、業務の効率化につきましても、いろいろな形で改善ができているのかなと思っております。
    次に、資料2でございますが、予め委員の先生方からご関心の研究テーマをいただいておりますので、それについて、簡単にご紹介させていただきたいと思います。
    まず、資料2の10ページの8番をご覧になっていただきたいと思います。小笠原委員から説明のご要望がありました「持続可能な公的年金制度構築の為のマクロ経済・財政シミュレーション分析」でございますが、常勤の中田研究員に研究してもらっています。中田研究員は、17年からRIETIにいる研究員でございます。これにつきましては、将来にわたる年金財政シミュレーションモデルを使った分析をしておりまして、今年の2月にDPが出ております。「長寿高齢化と年金財政-OLGモデルと年金推理モデルを用いた分析」ということでございまして、発表会、検討会をやったのですが、そこに厚生労働省の年金担当の課長さんも出席されまして、活発に意見交換をしていただいております。政策的にこれというのを示して、これでやればうまくいくとはなかなかならないのですが、このような論文の発表会のときに、そういう政策担当の方に来ていただいて、それを参考にしていただいて、その後もいろいろやりとりをやっているのだろうと思いますが、そのような形で政策に反映していってもらえれば一つの成果なのではないかと考えております。
    次、13番でございます。小野会長から説明のご要望がありました「生産性向上に関するマクロ・産業・企業レベルの統合的アプローチ」でございますが、これは19年の4月から研究を進めているものでございまして、企業レベルの生産性の計量分析ということで、平成20年、昨年の6月にDPを出していただいております。これにつきましても、特に技術開発の成果が生産性にどのように影響しているかということで、産業技術環境局の政策担当者の方に参加をいただきまして、意見交換をしていただいているということでございます。
    次、32番でございます。23ページでございます。「中国の台頭と東アジア地域秩序の変容」ということで、古城先生から説明のご要望をいただきましたものです。これにつきましても、実は昨日、報告、DP検討会を行っているところでございます。東大の高原先生初め、全部で7本のDPを出していただいておりまして、その中には「中国の台頭とその危機、近隣外交」というテーマでの分析もございます。資源エネルギー庁のエネルギー交渉官等の参加をいただいておりまして、参考にしていただいております。
    次は、25ページの36番でございます。「貿易政策と企業行動の実証分析」ということで、同じく古城先生から説明のご要望をいただいております。これは20年8月から始まったものでございますが、東大の大橋先生を中心とした分析でございます。これは20年8月に始まったばかりでございまして、DPやワークショップ等の開催はまだしておりません。最初のブレーンストーミング・ワーキングショップで問題点の整理等するのですが、そこには経産省の通商白書担当課長を初め、貿易振興課長等さまざまな政策担当者にも参加をいただいております。
    28ページの43番でございますが、「企業活動の国際化と経済産業構造の高度化に関する調査研究」ということで、小野会長から説明のご要望をいただいております。これは、先ほどご紹介したDRCとの共同研究で、京都大学の八代教授が中心となってやっておりまして、現在までに研究会を4回開催しております。中国に2回出張しまして、中国側の企業研究所等のカウンターパートと活発な意見交換を行っております。向こうからデータをもらって、中国のデータを分析するという約束ができております。今後は、中国企業のR&D投資における外資系企業の役割や政策的インディケーションを分析していく予定でございます。
    次は45でございまして、小笠原委員から説明のご要望をいただいた「少子高齢化時代の労働政策へ向けて:日本の労働市場に関する基礎研究」でございますが、19年の4月から研究会を9回開催しております。DPとしまして、32ページに英語でずらっと書いておりますが、ここに掲げられているようなアウトプットがそれぞれ出ております。それぞれのDPの発表会、検討会のときに、経済産業政策局、地域経済グループ、中小企業庁の政策担当者に多数参加いただいておりまして、意見交換をいただいているところでございます。
    33ページ、47、48、49と、小野会長、古城先生、小笠原先生から説明のご要望をそれぞれいただいております。まず、「小さな政府を前提とした官民連携による効率的な公共サービス供給方策に関する研究」は、18年の9月からやっておりまして、大阪大学の山内先生を中心として研究しまして、21年の4月20日にPDPの検討会を開催する予定でございます。テーマとしましては、「地方自治体における官民連携の推進要因とNPOの存在」ということで、今、準備をしていただいているところでございます。これにも、経済社会政策室を初めといたしました経産省の担当の方々にご参加いただいております。
    48番の「企業統治分析のフロンティア:状態依存型ガバナンスの革新と企業間競争の役割」は、宮島先生を中心とした研究会でございまして、19年11月から始まっておりますが、一度、ディスカッションペーパーを出していただいております。「ザ・アドプション・オブ・ポイズン・ピル・アンド・マネジメント・エントレンチメント」ということで、内容は、ポイズン・ピルを措置するような企業は、統計的に処理してみると、実は企業の業績が余りよろしくない。だから、ポイズン・ピル等の防衛措置は、自信がない、あるいは企業経営者の保身と関係がありそうだという分析結果となっております。これにも公正取引委員会の競争政策研究センター所長等の参加をいただいております。
    49番の「社会経済構造の変化と税制改革」は、岩本先生にまとめていただいておりますが、19年6月からでございまして、20年6月にDP検討会ということで、橋本先生、岩本先生から、34ページにありますように、例えば「税収の将来推計」、「社会保障財源としての税と保険料」、「多部門世代重複モデルによる財政再建の動学的応用一般均衡分析」といったディスカッションペーパーを出していただいているところでございます。
    あと2点でございまして、54番は、古城先生から「経済社会の将来展望を踏まえた大学のあり方」について説明のご要望をいただきましたもので、東大の玉井先生、大阪大学の赤井先生を中心として、大学のあり方についての検討をずっとしていただいております。19年から始めておりまして、10回ほど研究会を開催しておりますが、昨年の5月にシンポジウムを霞ヶ関ビルで行いまして、そのときには、財務省の文部担当主計官、文部科学省の大学法人支援課長にもパネラーとして参加をいただきまして、先生方と侃々諤々のディスカッションをしていただきました。この場では大学、特に国立大学と財政のあり方についてのいろいろな議論が行われたわけでございます。
    最後が57番でございまして、「地球温暖化防止のための国際制度設計」ということでございます。小野会長と古城委員から説明のご要望をいただいておりますが、これは20年4月に始まったわけでございます。古沢先生を中心にやっていただいておりまして、産業技術環境局等といろいろ調整しておりますが、進め方の方向がまだ見えてこないというものでございます。COPを控えまして、今後の第2期の地球温暖化の取り組みをどのようにしていこうかというのが難しい中で、この進め方をさらに練っていかなければいけないという状況のものではなかろうかと思います。こういうプロジェクトもございます。非常に重要なテーマだと思っておりますので、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
    資料2は以上でございますが、ご質問があれば、また回答をさせていただければと思います。
    最後に資料3でございますが、アウトプット指標を一覧に整理したものでございます。見ていただきますと、20年度の実績と19年度の実績の比較でございまして、20年度の実績につきましては、21年の3月3日現在で、年度末にこのようになるという見込みを書いております。
    例えば、「シンポジウム、BBLセミナー等に対する参加者の満足度」と「経済産業省からの参加者の同満足度」はほぼ同等かと思います。「研究書の刊行」は、19年度の8冊が6冊で少し下がっておりますが、これはいろいろ波があるということかと思います。研究論文の数もほとんど同等。シンポジウムの数は、今回、少し絞っておりますが、ワークショップ、また、編纂の中間報告会を8回開いておりますので、いろいろな会議の数、こういう開催の数はむしろ増えたような感じがございまして、ちょっと多忙な感じもしております。BBLは、本当は50回が一応の目標でございますが、昨年も今年も大きく超えておりまして、70回に近い数字になっておりますのと、先ほど申しましたとおり、1回当たりの参加の人数が非常にふえております。しかも、経済産業省の職員だけではなくて、外の方、例えばマスコミの方や企業の方などの参加が非常にふえております。ホームページのダウンロードの数は昨年よりは減っておりますが、目標よりは1,000以上上回っておりますし、ホームページのヒット数自身は上がってきているところでございます。「外部レビューによる学術的水準」は、今、調査中でございますが、わかりましたものでございますと、PDPは昨年よりは少し低いかと思いますが、ほとんど同等の数字となっているところでございます。
    私からのご説明は以上でございます。
  • 小野会長
    ありがとうございました。
    たくさんご説明いただいたので、少しずつ質問していただくことにしましょう。古城先生、どうぞ。
  • 古城委員
    先ほど及川理事長からお話があったのですが、研究所は、研究活動を活発化すればするほどお金が要る。しかし、プロジェクトも多く、予算も逼迫するような状況なので、お金を抑制しながら研究活動を活発化していくという非常に難しい状況に入っていると思うのですが、その兼ね合いが難しいところだと思います。先ほど、謝金などを抑制することによって、支出を抑えたというお話があったのですが、今年度はそういう方法をとって切り抜けたという感じなのか、他に詰めるところがないので、そこに手をつけざるを得なかったのか、そこのところをもう少し説明していただけますか。
  • 及川理事長
    ごあいさつで申し上げましたように、全項目を洗い出しました。人件費そのものはカットできませんが、そこを除けば、ほとんど全部見直して切り刻んだ上で、最後、諸先生方にお願いして、謝金の単価を削らせていただいた。あるいは、所長など、エコノミーで海外にまで行っていただくといった形をとって節約したということでございます。今年度、単価を上げるわけにはいかないと思いますが、これは、真ん中の期、プロジェクトが一番膨れ上がる時期の特徴だろうと思います。来年度以降、編纂史の本格的な執筆に入りますので、それに予算を相当割かなければいけない状況です。したがって、予算面における厳しさは変わらないものですから、単価等、再び戻すことはできないと存じますが、先生方はどなたも快く引き受けてくださいましたので、この単価でプロジェクトを推進・組織運営を行っていきたいと思っております。削れるところについては引き続き努力してまいりますが、先ほど申し上げましたように、来年度分の繰り越しも含めて、それなりの目処が立ちましたし、逆にいうと、こういう危機があったために、進行管理に関するノウハウを随分ためることができましたので、おかげさまで来年度は、進行管理をより効率的にできるのではないかと考えます。本当に諸先生に申しわけなかったのですが。
  • 小野会長
    その活用のときに、調達してきた外部資金を使うのはだめなのですか。
  • 及川理事長
    もちろん使っております。ですが、億単位の中の1,000万強の収入ですので全体をまかなうには、十分とは言い難い面がございます。
  • 小野会長
    しかし、2,000万近く稼いでいるわけですよね。
  • 及川理事長
    それはもちろん使わせていただいています。ただ、今年度は、研究会だけでも4割ふえております。プロジェクトで4割増えています。ですから、率直に申し上げまして、秋口までのペースでやっていたならば予算がショートした可能性がございます。委託費なども、どうしても先生方から、なるべくサンプル数等多くといったご要望がありましたが、当研究所の事務方のものが先生方とかなり激しい議論をして、最低限のスペックのところまで絞っていただくという形でやっていただきました。これは、先ほど申し上げた委託契約の母体が減っている理由ともなっております。
  • 佐藤副所長
    先生方から海外調査のご希望があって、予算に載っていたものをやめていただいたり、また研究会によっては外国の講師を呼んで議論するときに、英語が得意ではない方もいらっしゃるので、通訳を入れてくださいというご要請がある先生もいるのですが、それもやめていただいて、オールイングリッシュでやってくださいということで、通訳をお断りするだけで大分下がります。そのようなことで、謝金以外にもご不便をおかけしながらやっているというのが実態です。
  • 小野会長
    小笠原先生、何かございますか。
  • 小笠原委員
    資料3の「アウトプット指標」というところの最初の3つぐらいは、正確にはアウトカムだと思うのですが、これで見ますと、3分の2以上の満足度をかち得るというものですね。ちょっと意地が悪い質問というわけではないのですが、これだけ数ある開催をされていらっしゃると、中には満足度が、目標となる3分の2を切るようなケースもあるのではないですか。そういうことが起こった場合、どのように改善活動というか、仮にないとした場合、そういうことが起こった場合にはどのような取り組みをされているのか。私も長い間、こういう形で評価させていただいて、初めて質問するのですが、その辺をちょっと教えていただければと思います。
  • 山田総務副ディレクター
    ただいまのご質問ですが、シンポジウムやBBLセミナーの後には、私の方で参加者の満足度を毎回みております。3分の2を下回ったかどうかまでは今即答できませんが、他のものに比べて評価がかなり低い講師の方はいらっしゃいます。そういう方で、BBLで毎年しゃべりたいという方も中にはいらっしゃいますが、前の評価がどうだったかということをお示しして、適宜お断りいただくということもしております。
  • 及川理事長
    アンケートによって、シンポジウムなどは全部コメントをいただいています。3分の2ではなくても、中に大変辛らつなご意見が結構ございます。終わった後、山田副ディレクターのところでミーティングをして、できるものはやる、また、参考になったものは当然取り入れるという形で次に活かすようにしています。例えば、2つの画面があれば、片方は英語、片方は日本語にする。なるべくそのように資料をつくろうといった形でシンポジウムなどの改善を図ってきております。ですから、個々のコメントは我々にとって大変ありがたいと思っております。ただ、シンポジウムの場合、評価は、我々RIETIに対する評価ではなく、参加される先生に対する評価になってしまいがちなのですが、私どもとしては、これはなかなか改善というわけにはいかないところがございます。私どもとしては、次回、人選を慎重に、という感じでやることになります。
  • 小野会長
    アウトプット指標の一覧表を見ると、20年度は大分数値的に盛り上がってきたような印象ですね。20年度は、変化したというか、質についても変わってきたような印象もあるので、データ上、1期のときの13年度からの数字がずっとみえるように整理してもらったらどうでしょう。例えば、「研究書の発行」は、20年度は6冊になっていますが、それは19年度に力を入れ過ぎたということもあるのだろうと思うのです。そういう背景を分析して、ご説明いただいたらどうかということが一つ。もう一つは、アンケートのとり方ですね。最近は、インターネットでの書き込みを活用してデータをとれるようになってきた。インターネットは、一般の人、いわゆる大学の先生以外もみておられて、そこに書き込みを入れるといった具合です。それについて、こういう評価になっているとというものを紹介していただくという試みです。物語性というか、おもしろさみたいなものを評価の中に拾い上げてもらって、研究者以外の一般の人たちの評価はこのようになっているということがいえるといいかなと思います。
    それから、研究所の業務・研究には、NPOの人たちに仕事の中に入り込んでもらっているのではないかという気もします。NPOの活用は、行政コストを下げていく上で、上手に使っていくことがキーになる一つのやり方かもしれないと思われました。NPO等といった人を上手に使っているのです、というようなことがあれば、紹介していただいたらどうかなと思いました。
    資料3のアウトプット一覧以外では、資料1中の「国際ネットワーク等の深化」は、特に20年度、目立つのではないかと思うのですが。以前はどのくらいやっていたのかということもありますし、「国際ネットワーク等の深化」の成果を浮き上がらせるには、もうちょっと歴史を拾ってもらったらいいのではないかと思いました。
    また、効率化の話では、見直し計画より少し高まったのは、母数が小さくなったからだといわれていましたよね。次回の分科会のときには、これはよく説明していただいた方がいいですね。平成19年度評価にあたっては、本格的な取組を19年度中から行った結果、20年度は随意契約比率が2割を切ることがほとんど確定しているのだから、評価を下げる材料にはならない、ということを親委員会で申し上げた経緯もありますから、母数の変化も、こんな変化をして、こういうことですということで、きちんとやってきているといえる分析をしておく必要があります。
    去年の時点では、20年度はこのくらいになりますといっていたのですが、今年の5月6月には、21年度はこんな計画でやっていますみたいなことも聞かせていただけるといいのかなとも思います。
    思いついたところばかりで恐縮ですが。
    古城先生、ほかにございますか。
  • 古城委員
    研究成果で、昨年度の実績以上のものがあると思うのですが、「シンポジウムの開催件数」は半分になったわけですよね。私は、シンポジウムを数多くやればいいという方では全くなくて、何件に減っても構わないと思うのですが、こういう形で数字で出ると、説明した方が理解の面からも、いいのではないかという気がします。7件を厳選してやったとか、何か減らして代わりにワークショップの方もというようなことです。そちらの方がスピーディーにいろいろできるので、そちらを活用したとか、そういう関連性で説明がおありでしたら教えていただきたいと思います。
  • 及川理事長
    おっしゃるとおりでして、ちょっと目立つのかもしれませんが、昨年度多かったものの寄与率の半分ぐらいは地方でのシンポジウムでございます。東京でやったシンポジウムの数という点ではほとんど変わりないかと思います。それがまず1つ。
    それでは地方ではどうかということで、20年度に行った地方でのシンポジウムは京都大学とのもので、昨年度は、率直にいって、人的・予算的にも比較的余裕があったというのが背景でございます。したがって、各経済産業局のご要望に応じてやらせていただいた。一方で、今年度は、先ほど申し上げましたように、プロジェクト自体がふえて、我々自体の人手もなかなか回らないということと同時に、同じ経済産業局でまた開催するというほどの意義がなかったものですから、京都だけに限定して開催いたしました。来年度、再び地方でもできればと思っております。ですから、東京でやる大がかりなシンポジウムについてはほとんど変えていないということでございます。かつ、先ほど申し上げましたように、ワークショップをCEPRなどとやるという形で、かなり大がかりにやっておりまして、労働法のワークショップや企業法のワークショップなども、シンポジウムといっていいぐらいの豪華なメンバーで、かつ丸1日やらせていただいております。それは中身が非常に濃いものでございまして、経営学者、経済学者、法学者、社会学者、皆さんに入っていただいてやりました。かなりホットで、専門的でございましたので、シンポジウムの形をとらず、ワークショップというか、セミナー的な形にいたしました。そういう点では、ワークショップ、セミナーの中身は昨年度よりはかなり濃かったと思っております。次回の分科会のときには、その辺を数字で整理させていただきたいと思います。
  • 小野会長
    小笠原先生、ほかに何かありますか。
  • 小笠原委員
    プロジェクト数が増えたのは、初めから前期と比べて大幅に増えていたのか、途中でテーマアップして行ったのか、あるいは、先ほどのご説明で、今度、横断的な経済危機対応のプロジェクトチームを設置されたということですが、統廃合して統合的なテーマということで、3つを1つにしたといったことがあったのかといういろいろな理由があると思います。実数的な感覚で、当初幾つあったのが、どんどんテーマアップして現在どれぐらいで、その中にはテーマダウンさせたものがどれぐらいあるとか、今度、こういう取り組みをして統合的にして行くので、この辺はとりまとめてやって行くとか、その辺の流れが理解できるようなご説明をいただけますでしょうか。
  • 及川理事長
    それも、次回分科会で数字でお示ししたいと思いますが、ざっくりした流れを申し上げますと、第1次中期計画の終了に当たって、予算的にもそこで一度切ることになりますので、プロジェクトの大幅な縮減に取り組みました。第2期のテーマに合わせたものに組み変えるために、一種のスクラップ・アンド・ビルド的な世界がありました。
    ただ、率直に申し上げまして、この先生にはぜひ引き続きやっていただきたいというテーマには、新しい計画に入ると同時に、先生、新しいプロジェクトを考えてくださいということでお願いしつつ、ファカルティフェローを継続していただいておりました。ただ、すぐ立ち上がるというわけにはいきませんので、1年目、2年目あたりから立ち上がってくるプロジェクトが多いわけです。
    それと合わせて、先ほど申し上げましたように、高齢化のプロジェクトや新しいテーマ等々についてどうするかを我々なりに考えて、いろいろな先生方に打診する。あるいは、先生からの、こういうのをやりたいのだけれども、どうかというお話を受けながら、1年、2年たっていくうちに具体的にブレーンストーミングできるようになり、研究計画ができてくる。それが2年の途中から半ばとなります。
    もう一つは、実は本省から大変たくさんの要望がまいりました。予算との関係でお断りしたものもあるのですが、むしろ御用聞きに行って、なるほど、これはやった方がいいというものもありました。例えば企業法や大学のあり方などですね。本省サイドなどからご要望があったものをなるべく取り入れたわけです。どういう結果になるか、やってみないとわからないところもありますので、必ずしも体系的であったかどうかという反省はあるのですが、とにかくそういうご要望があればやりましょうということでスタートしたものが多くあります。なかなか進まないような研究会ではなく、検討会という形で粗ごなしをしながら、もう大丈夫だというところで研究会にもっていくということをやったものが一気に膨れ上がったのが、一昨年度の末から今年の春先にかけてです。それがスタートした途端に、これは大変、このままいくと予算がショートするということで、率直に申し上げて、RIETIの予算の底の浅さを痛感したところもございます。これはテーマ管理と予算との関係を四半期ごとにきちんとみていかなければいかんということで、現在はそれをマニュアル化して、どの程度になっていくかというのを常に締めるような形にしております。
  • 小笠原委員
    個々のテーマの期限管理というか、今のところ、計画的に進捗していらっしゃるのですか。
  • 佐藤副所長
    最初のブレーンストーミングのときに、何年計画で、こういう支出計画で、こういうことをやりますというお話をしていただきまして、理事長、所長のところで議論した上で、では、スタートさせましょうということでやっています。その結果、その計画を積んでいくと、一つ一つの工程管理と、アウトプットがいつごろ出るか、いつごろシンポジウムが行われて、いつごろ書籍になるかというのが大体わかるようにはなっています。ただ、必ずしも計画どおりにいかないのが現状です。
  • 小野会長
    特に去年の金融危機から、世界経済がどこに行くのかという方向性がみえなくなっています。ですから、知りたいというニーズが一般的に高まっていると思うのですね。どっちへ行くのだということで、だれかの意見を聞きたいというニーズがあると思うのですね。それと、政治家がちっとも動いてくれない。政治を動かすには、やはり政策を実行する部門、ここでは経済産業省といった省庁の役割になると思うのですが、動かすための実効性を持った政策を出して頑張ってもらわなければいけないときです。そういうことが背景にあって、これもこれもこれもということで、裏付けとなる研究成果を求めて、テーマが急にふえてきた。こういった流れが危機管理対応のプログラムをオープンしたということもそういうことに影響されているように思います。経済同友会のメンバーにさせてもらったのですが、この1、2、3月はそういうレポートが物すごくあります。だから、政策立案の可能性の範囲が広がったような気がいたします。税制改革はここまでやってもいいとか、農業改革はここまでやってもいいとか、範囲が広がったのではないか。政治家と違うわけですから、政策に影響を及ぼすためには、こういう方向とか哲学、データがないといけない。そういうことでプロジェクト数が膨れ上がったのではないかという気がいたします。
  • 及川理事長
    ここでも一度ご報告申し上げた山下研究員の農協批判の本は大変なベストセラーで、何と3万部。この種の本としては珍しい発行部数になっております。今月末までにRIETIから1冊出させていただく予定にしております。大変な反響を呼んでおります。それは、会長がおっしゃったように、農業問題に彼の意見をかなり取り入れたような形で現在進み始めております。
  • 小野会長
    あの意見に私は賛成です。一方で、農水省は何でこんないい意見をほったらかしにしているのだと思っています。私、ことあるごとに、こういった意見があることを話させてもらっていますが、RIETIからだされたこういう意見は広く知ってもらうべきであり、話す種をもらったことは、非常によかったと思っています。
    ちょっと雑談めいて恐縮なのですが、「政策立案に寄与する研究プロジェクト」の中で、次のテーマとして、ワーク・ライフ・バランスみたいなものがありますよね。ワーク・ライフ・バランスは、もっと根幹からつくり変えるみたいなことをしていかないといけないと思っています。
    私は今、金融危機は、いろいろな仕組みを変える議論ができるチャンスだと考えています。そういう意味で、行政は情報をたくさんもっているわけだから、その人たちの成果が試されるときなのではないかと思います。RIETIには、この1年、頑張ってここに知恵を入れて欲しい、という感じがしています。余談で恐縮ですが。
  • 及川理事長
    今、例に挙がりました金融危機については所長や佐藤副所長、あるいは、ワーク・ライフ・バランスは山田副ディレクターが専門家なのですが、本当にありがたいことに、シカゴ大学の山口先生にRIETIでワーク・ライフ・バランスを非常に熱心にやっていただきまして、大変精力的な先生でいらっしゃいます。マスコミ等への発信も大変強くやっていただいたおかげでかなりの関心をお呼びいただいております。
    一方、先ほどの労働法等の研究には、政府の労働問題に関する審議会の会長をされておられる慶應大学の樋口先生に非常に熱心にご参加いただいておりまして、今、RIETIの研究のベクトルは、例えば過労死が起きる日本の労働問題とワーク・ライフ・バランスとが一体となって、会長がおっしゃるような日本の仕組みを変えていくにはどうすればいいかと。樋口先生などは、まさに労働問題から進んで、ワーク・ライフ・バランスを変えるチャンスとして今の時期をとらえるべきだというご指摘をされて、この間のワークショップではそういう議論をしているところでございます。
  • 小野会長
    本当にワークシェアするのであれば、日本は法制度がワークシェアに適合する環境にはなっていない。そういうところから考えて、国全体のシステムとして、諸外国と制度を比較して、諸外国がやっていることは日本もやっていいと思います。明治以来積み重なった制度の中で、国のバランスが取れていないような制度がいっぱいできてしまっているわけですから。それにメスを入れてもらうのが行政改革なのでしょうが、今がそういうチャンスであると思います。そういうことや改善に資する案を発信してもらうことがRIETIの役割だと思います。今までは、RIETIの役割上、言いにくかったのだけれども、言っていいというものとか、範囲が少し広がったと思うのです。そういう意味で、21年度、いいアウトプットを出していただければと思います。
  • 藤田所長
    今、学術会議で、経済学の分野でいろいろな課題を取り上げて、分科会をつくるということをやっているのですが、先ほど出た樋口先生を委員長にして、例に挙がりましたワーク・ライフ・バランスと労働市場問題の分科会を立ち上げることになっております。我々、RIETIでも樋口先生に研究をやってもらっていますし、学術会議にはもっと広い違った形の学者もたくさん入っておられますので、ワーク・ライフ・バランスと労働市場問題ということで、一緒に研究を進めたいと思っております。
  • 小野会長
    これも余談ですが、日本の若者は随分貧しくなったということで、貧困についての統計みたいなものがあるといいと思っています。世界に支援するときに、1ドル以下で暮らしている人が何億人いますよというではないですか。インドでは何億人で、中国では何人だと。貧困の定義あるいは国際比較みたいな中で、日本に貧困の人がいるではないかと。明日から職がなくなって、家もないし、手持ちのお金もなくて、絶望に陥るというようなニュースを聞くこともあります。共通用語として、貧困というテーマを取り上げてほしいのですが、そういうのができると対策を打つところの手順がもう少しわかりやすくなると思うのです。今までは豊かというのが前提で、年寄りはかわいそうというのだけれども、お年寄りは裕福で、若い方が貧困で困っているということも言えるかもしれません。それでは貧困で困る若い人に手当てを移しかえていく、というアイディアも出ると思うのですが、そういうことをやろうとする場合、では何が貧困なのかというデータが十分と言えないかもしれないと思ったりします。
  • 藤田所長
    貧困と同時に、もう一つの問題は、これは本当は経済産業省の領域ではないのですが、教育問題が一番であると思います。最近、大阪府の橋下知事が、大阪府で、小学校を卒業するとき、九九がちゃんとできない子が40%いるということです。これでは九九を徹底して教えているインドなどとは到底戦えない。この前、我々、京都大学の西村先生ともシンポジウムをやったわけですが、教育問題が一番根幹のような気がします。本当は文科省がやるべきところなのですが。そういうプロジェクトを立ち上げるかどうかは別にして、次世代が直面する問題の根は深いようです。
  • 小野会長
    高校までだったか、大学までだったか忘れてしまいましたが、教育費を全部無料にしたとしても、老人に充てている費用の半分ぐらいにしかならないという話を聞いたことがあります。我が国は、教育にかけるお金は全部個人負担になってしまっていて、国は全然手を出していないというのが現状ではないでしょうか。ところが、世界各国は教育に国がもっと手を出して、バランスをとっているそうです。我が国は少子高齢化というところで行き詰まってしまっています。だから例えば移民を入れるとか、人口をもう少し増やす方法はないのかという議論がありますが、足元の男女格差も含めて、負担のやり方を変えないと、若者が明るい展望をもってくれないのではないかという気がします。
  • 古城委員
    教育に係る問題は論点が拡散しているので、絞ってやらないといけないと思っています。皆さん、ばらばらな視点から教育問題を論じようとしているため、問題を一層複雑化する形になっている。教育費とか、1人当たりの教育の助成は数字上は少ないのだけれども、財務省は別の考え方をしているようで、そのようなところの議論が深まらないですよね。一般の人は教育にすごく関心があるのに、論点が何なのかわからないというのはよくない状況だと思います。
  • 及川理事長
    さっき副所長がご案内申し上げましたが、大学のシンポジウムのとき、財務省の方と文部科学省の方との間で論争にもなりました。そのポイントは、日本の教育費のGDPに占める比率が非常に低いということなのですね。それについては他のパネリストの方などもいわれたのですが、財務省の答えは極めて明確で、児童の占める人口比率から見れば、我が国は先進国の半分しかないため、1人当たりにしたら同じであるということを示しました。文科省の方はそれから先に議論は踏み込みませんでした。
    また脱線で恐縮ですが、小野会長のご指摘の貧困などについては、私どもの川口大司先生の分析とか、中高齢化の調査、J-Starではかなりのデータがとれておりまして、私の記憶が間違っていたら申し訳ないのですが、先般のDP検討会で教えていただいたものによれば、確かに、息子や娘にお金を送っている高齢者が多いということです。
  • 小野会長
    昔は逆だったのですね。若者がお年寄りの面倒をみていた。
  • 及川理事長
    ですから、若年層とのギャップをどうするか。高齢者を抱え込んでいるわけではなくて、結構援助しているということが統計的にはかなりはっきり出てきていると言えます。
  • 小野会長
    昨今の金融危機に対する動きを見ていると、結局のところ、対策を雇用に結びつけたいわけです。アメリカの場合、農業に100万人というわけにいかないですが、日本はたまたまそれができる環境にあるわけで、それもお金を使わないでできるわけですから、雇用として、そういうのはいいのではないかと思います。道路や鉄道、橋にしても、インフラは日本の方が新しいわけです。前々からインフラ整備をしなければいけないといわれていたわけですが、日本の場合には、そっちよりも人材にお金をかける方が効果があるのではないでしょうか。なぜならば、日本の企業が外国でお金を稼いで、加工貿易立国として成り立っている知恵はみんな人にあるわけです。含み資産は全部人がもっているわけです。企業の含み資産は設備にあるわけではないのです。全部人がもっている。人がもっている含み資産を大きくしないと次の開発テーマは出てこないわけです。だから、小学生が九九もできないのでは困るわけで、そこにもう少し財源を入れてもらった方がいいように思います。こういう点についても是非、提言をお願いしたいと思います。
  • 古城委員
    教育問題はおっしゃるとおりで、財源を投入すれば、少子化問題も効果が出るような気がします。
  • 小野会長
    これは大きいと思いますね。どんなにお金をかけても1.8とか2.0まではやるというぐらいのことを政府にはいってほしいものです。
  • 古城委員
    前年度、上の方からの議論で、外部資金の獲得が少ないといわれていて、今年度、目標値よりも非常に多くなっています。そのほとんどは科研費の補助金ということなのですが、科研費の補助金を取ってこられて、それを使うときに、すごく使いにくいといったことは別にないわけでしょうか。
  • 河津総務ディレクター
    科研費は研究員が取ってくるのですが、管理は全部組織がやることになっています。今、六十幾つプロジェクトがございますが、科研費のプロジェクトという形で立てて、他の通常のプロジェクトと同じように予算管理、支出管理をしております。そういう意味では公金でやるのと全く同じということで、特段の不都合はないと思っております。
    ただ、科研費を申請した研究員にしてみると、これは自分がとってきたのだ、自分が研究のために欲しい機材などが何で買えないのだというのは部分的に起こります。例えば、自分は研究のためにいいパソコンが欲しいとか、いいソフト入れて欲しいとか。我々RIETIとしては、いいパソコンでなくても、うちにもパソコンがあるのですから、このパソコンだったらこっちのソフトウエアで十分でしょうとかいうのは現実に起こります。関係者が集まって相談して、ちゃんと理由が立つのならもちろん買いますし、そうでなければ、RIETIのものがあるのですから我慢してくださいという話を個別にやることはあります。ただ、それはたまにであります。初めからRIETIの管理でやるということでやらせていただいていますので、そういう意味でのトラブルは極々たまにということでございます。
  • 小野会長
    意見も大分出ているのですが、小笠原先生、最後にご意見、ございますか。
  • 小笠原委員
    今、中期目標期間の3年目、折り返し点ですが、この先どうなるか不透明なところで、ある種総決算を求められるところだとおもいます。先ほど小野会長からお話があったように、どのようなスピードで、いろいろテーマアップしたものについて、どういうソリューションを出していったか、ニーズに合うインパクトのあるものをやっていかれたのかというところをうまく理解できるようにしたいというところが私もございます。まだ結果が出ておりませんが、本省からのニーズが強かったものに対して、どういうテーマをテーマアップして、それに対して彼らからどういう評価があったかというのは、今年度は、予算の金額の意味や期限なども少し幅広にしながら、そういうものにこたえていくことが求められている年度であるとすると、重要視して見ていく必要があるというのが感想としてございます。
  • 小野会長
    ありがとうございました。
    まだご議論していただいてもいいのですが、議論も大分出てきたように思います。
    例年ですと、5月の下旬から6月の上旬ぐらいに、実績の評価のまとめの報告会が開催されると思いますので、それまでの間に、今の議論の中で出てきたものもありますが、こういうデータを出してほしいということがありましたら、古城先生、小笠原先生からまたコメントしていただければと思います。
    今年は、冒頭申し上げましたように、きちんとした評価と、予算が足りなかったら予算の在り方を検討するということもあっていいように思うのですが。通商産業政策史の予算をちょっと削って、研究に回すことは可能だと思うのです。予算の組み替えは、普通の会社ならばやっていることです。削って削って、爪に火をともしてというのももちろん必要だけれども、それには限度がありますから。今の倍の数の研究をしようと思ったら、それだけ手を増やさないといけないわけだから、研究のバリエーションも少し考えながら、21年度は予算の在り方を考えていただくこともいいと思います。いいアウトプットが出て、皆さんにいい評価をしていただけるのであれば、柔軟なお金の使い方もいいのではないかと思います。
  • 藤田所長
    少し脱線しますが、先日、信じられないことが新聞に書いてありました。インドは公務員の給与を40%上げた。それでスーパーでもどこでも物すごく売れている。RIETIの給与を40%上げていただければうれしいですが、それはなかなか難しいでしょうが、必要で有効なところには研究費をもっとふやしてもらうとか、めり張りがきいた予算の配分をしていただくと非常にありがたいと思います。全部効率化で、カット、カットでは、必ずしも今の日本の状況に合わないような気もします。
  • 小野会長
    例えば、ポスドクの人を期限つきで3年間雇ってくれるわけですが、片一方で困っているといっているわけですよね。
  • 藤田所長
    ポスドク、何万人という人が年収200万以下ぐらいでやっていますから、これは本当にもったいない話です。
  • 小野会長
    大学院に行けば行くほどお金をもらえないというのはおかしいと思いますね。
  • 古城委員
    新たなワーキングプアといわれていますからね。そういう本が出て、大学院生が読んでいるのをみると悲しくなりますよね。
  • 小野会長
    結婚するにもお金が要るし、子供1人5,000万円だとすると、年間200万ではとても暮らしていけませんから。
    では、年度報告が5月下旬か6月上旬ということですが、楽しみにしていただいて、この会を終わらせていただきたいと思います。
    事務局から何かありますか。
  • 松井室長
    今、小野会長が今後のスケジュールをおっしゃられたのですが、再確認ということで、今後のスケジュールについてお話しさせていただきたいと思います。参考資料がお手元にあるかと思いますので、そちらをごらんいただければと思います。
    5月下旬か6月上旬、平成20年度の業務実績ということで、経済産業研究所から報告いただく予定にしております。
    6月下旬から7月上旬にかけて次の次の分科会ということで、平成20年度の財務諸表及び業務実績の評価について審議いただくこととしております。
    7月中旬、独立行政法人評価委員会(親委員会)が開催されて、業務実績の評価について審議・決定される予定になっております。
    補足でございますが、昨年の第169通常国会に、独立行政法人通則法の改正案が提出されております。主な内容としましては、現行の各府省にある評価委員会を廃止して、新たに総務省におかれる、独立行政法人評価委員会に一元化して担わせるものとするということと、もう一つは、法人の長及び監事の任命に当たりまして、再任などを除いて、公募を活用して、最終的には内閣の承認を得ることにするといったことを主題とした改正法案が提出されております。ただ、現在の第171通常国会におきましても継続審議扱いとなっております。今後、この審議が進捗しましたら、各委員の皆様には随時、事務局から連絡させていただきたいと思います。
    今後のスケジュールにつきまして、何かご不明点等ありましたら、事務局までお問い合わせください。
    事務局からは以上です。
  • 小野会長
    ありがとうございました。
    それでは、以上をもちまして、第28回の経済産業研究所分科会を終了したいと思います。きょうは本当にありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年4月30日
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