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審議会・研究会

産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第14回)  議事録

議事に先立ち、配布資料確認、委員の交代に伴う新任委員紹介、人事異動に伴う産技局新任幹部紹介、配布資料確認等あり。

(1)前回議事録(案)の確認

事務局から、資料4に基づき前回議事録(案)について説明。

(2)技術戦略マップ2006(案)のポイント

1.分野別のローリングの進捗状況

安田研究開発課課長補佐から、資料5-1及び5-2に基づき説明。

【橋本委員】
非常に膨大な量であり、まず御努力に敬意を表したい。当初議論があったと思うが、これはローリングなのでどんどん改訂していき、今回も追加されたが、当然のことながらどんどんボリュームが増え、削る方向になるのは難しい。ここに載っていないと今後の重要な投資先にならないとして、載ることが重要との位置づけで百科事典的に一寸でも必要なものは全て載せるという使い方もあり得るとは思うが、敢えてそれらを削る方向についてどのようにお考えか。それと関連して、学会等の動向をみながら見直しをするとあるが、実際にそのプロセスをどう取り入れるのか。自分の専門に近いところを例にとると、ナノ粒子の安全性について取り上げられているが、私は酸化チタンという物質を扱っており、昨年英国で行われた日英のナノテクの会議に参加した日本学術会議の方から「危険性を有するものの1つに酸化チタン微粒子が挙げられていた。早急にやらないと欧州でストップをかけられてしまうかもしれない」と言われた。次回は2月に英側が日本に来て行うが、私もそのメンバーの一人。今回拝見したところずっと後ろのタイミングで扱われているが、もっと前倒しでやる必要があると思う。第三期基本計画で「集中と選択」といっており、これもそれを意識した方向に改訂していくのであれば、抜くメカニズム、改訂していくメカニズムが必要。
【安永研究開発課長】
橋本委員からの御指摘は非常に大事な点。ローリングの当然の帰結として、確かに分野はどんどん増えていく。分野によって異なるが、今後10年ないし15年、あるいは20年ぐらいのタームで産・学・官のいずれかが大事だろうと考える技術を技術戦略マップに載せることになっている。マップには、どこを産がやる、どこを学がやる、どこを官が支援する、というところまでは書いていない。その意味ではかなり網羅的になる傾向がどうしても出てくる。先ほど西尾委員長からお話があったように、どうやってプライオリティーをつけていくかという仕組みを作らないといけない。ただ、ここで考えないといけないのは、プライオリティー付け、絞り込みを行うときに、余り早いフェーズ、探索フェーズに近いものを絞り込み過ぎると、技術としての幅が枯れてしまう可能性がある。一方で、色々な選択肢を最後の最後まで持ったままだと、特に国の政策としては“虻蜂取らず”になりかねないということで、特に国が何を支援するかという意味では、プライオリティーをつける仕組みについて現在工夫している。今までの技術戦略マップ2005には必ずしも上手くビルトインされていなかったので、現在それを工夫しているところ。詳しくは次の議題で御説明したい。ただ、一般的に申し上げて、技術戦略マップは非常に大規模化してくるので、ある段階で構造化しないといけない。羅列ではなくて、構造化するには、やはり技術の体系が分かっていないといけない。その意味ではもう一段頭を使うというフェーズが恐らく必要になってくるが、これは「言うは易く行うは難し」である。2点目として、学会との連携については、非常に難しい点があるが、これについては正直に申し上げて今は手探り状態。当課、また、NEDOの関係部の専門家等が自分の入っている学会に出向いて、学会のコミュニティーの方々に技術戦略マップの紹介を始めている。ただ、これもまだ網羅的ではなくて、属人的に、経産省の産業技術政策の立場から、こういう技術への投資が大事であり、こういうところへリソースを投下していく方針である、と伝えることまではやっているが、学会と十分なインタラクションをとるにはまだ至っていない。単なる百科全書ではないかとの批判を招きかねないので、その辺りも十分考えてまいりたい。
【堤委員】
逆に、ロードマップに入れなかったもの、あるいは導入シナリオが描けなかったものがあるのではないか。それは色々な理由があって、例えば市場規模が非常に小さいとか、がんでも非常に珍しいがんであるとか、すると市場が小さいのでどうしてもそういった開発は進まなくなる。特に遺伝子工学などでは、マイナーな遺伝子を持っている場合に非常に損をするといった問題がある。あるいは、非常に時間がかかる核融合のようなものや、真の意味での超将来技術の種などは描けないので、そういうものは抜ける可能性がある。これらをどうすべきか。先ほどお話のあったプライオリティー付けや構造化という点は、もう一つ重要なのは技術という一つのターゲットではなく、共通基盤技術的な枠組みであり、これは今のところこういう目標でやっているのだが、これはこちらにも使えるといった技術の基盤の構造を抽出する作業を並行して行うことによって救われるのではないか。載っているものを落とすだけでなく、載らなかったもの、載せられなかったものもウォッチしていく枠組みを考えておく必要がある。
【安永研究開発課長】
堤委員からも非常に大事な点を御指摘いただいた。まず、ロードマップに載っていない技術の位置づけだが、我々行政がこういうものを作ると、我々の役所の中では、大学の方、あるいは民間企業の方から新しい研究開発のテーマの御提案などをいただいたときに、載っていないからダメですということを言いかねない。私はそれは非常に危険だと思っている。載っていないほどつまらない技術なのか、非常に新しくて可能性のある技術だがまだ誰も知らないから載っていないのかというところがよく分からない。そういう意味では、後ほど海外調査のところでも紹介するが、海外でも、ロードマップをつくってもロードマップどおりにやることが良いとは必ずしも思っていない。ロードマップがあれば、ロードマップより早くやれば、よりビジネスチャンスが広がるという考え方がまずあるし、ロードマップに載っている技術があるときに、それを覆すようなライバル技術の出現を促すような技術全般を刺激する形で使うのもロードマップの一つの使い方だと考えている。堤委員の御指摘のように、今見えている市場規模が必ずしも大きくなくても、将来何らかの形で大きな波及効果を示すような可能性があるもの、また、超長期の視点──環境・エネルギー分野など、技術だけの要素ではなく、社会のニーズや国際的な経済の仕組みなどを考えないとなかなか市場が描けないようなタイプの技術は、導入シナリオの中になるべくそうした要素を入れながら書いていきたい。例えば、「ライフサイエンス分野」でも、がんのところに具体的にターゲットを置き、ロードマップを書くというやり方で先ほど中間的な報告をしたが、あの中でも共通基盤的なたんぱく質等の機能を解析する技術を位置づけているつもり。今のような技術の本質論を忘れないよう、関係者でも見解を共有しながらやってまいりたい。
【西尾委員長】
堤先生や橋本先生が言われたが、私も自分の専門分野がここに全く現れていないということで、個人的にも非常に不安。私は電気と同じように熱を使いやすくしたい、熱の擬似超電導、熱のダイオードといったものを作るという研究をやっていたのだが、そういう分野は余り入っていない。
【佐々木委員】
総括資料の7頁の「エネルギー分野」のところに「ローリング方針」と「ローリングの進め方」が示されているが、こういう考え方で作業をされることを大変期待している。前回、超長期のエネルギー技術ビジョンの紹介があったが、エネルギー関係の技術戦略マップは非常に難しい政策との整合性等色々な問題があるかと思う。研究開発のマネジメントを行っているNEDOの立場から申し上げると、20年、30年程度のタイムスパンを置いたような具体的な技術戦略マップの策定を是非目指していただきたい。その際NEDOでも色々作業をしているので是非活用いただきたい。
【川合委員】
第三期基本計画の概要が資料3にあるが、ここにも社会・国民に支持されるとか、成果を国民に還元するという点が非常に強く出ているので、その意味で今般新規に「人間生活技術分野」を加えたのは非常に良かったと思う。これは人間生活向上の意味だと思うが、もし今後ローリングでさらにということであれば、第三期基本計画でどの技術分野も最終的にはそことのつながりを非常に求められているので、各項目でも、人間の生活にどのように結びつくかということに少し言及していくと分かりやすくなると思う。2点目は、やや苦言になるが、実は資料5―2のロードマップは随分不統一で、例えば、11頁のナノ粒子は2005年から2010年で次期の第三期基本計画でここまでやって、その後の5年ではこうやるという分け方をしている。その後、16頁を開くと、そこは2010年とか2015年からずっと書いてあるということで、非常に不統一。このロードマップはここで大体できるということを示しているものなのか、これを始めるべきだと言っているのかということが整理できていないと思うので、是非改良していただきたい。
【安永研究開発課長】
1点目の御指摘はごもっともと思う。特に一般の方にお話をするときに、研究の成果が国民の生活にどう還元されるかという観点は非常に大事だと思うので、少し工夫したい。2点目については、我々は基本的にこういうところを目指してやるべきということについてロードマップを書いているつもりではあるが、その辺りは再度、関係の皆様と意見を交わしてみたい。本当にやれるというのであれば、わざわざここまで書く必要があるのかというご意見もあろうかと思う。
【大竹委員】
前回、ロボットは非常にわかりやすい図を出されていて、確かに国民に分かりやすいという評判だったと思うが、A41枚ですべてを表すのは難しいが、A41枚で10年後、15年後の生活すべてを包含して表すことができると非常に良いと思う。是非実現していただきたい。もう一点、各論で申し上げたいのは「部材分野」。前回は経済省自身がまとめていて、特にワーキンググループを設けていなかったが、今般4つのワーキンググループを作られ、非常に努力され新しいものを出したことに敬意を表したい。ただ、先ほど堤委員も言われたとおり、この4つで本当にいいのかどうかについては、やや心配。これは西尾先生が先ほど言われていたことかもしれないが、例えばアクチュエータ、レーザ、熱流体など、部材として、それ以外についてもある程度取り上げていただけると有り難い。その中に例えば高速精密加工といった少し泥臭いものもキーワードとして入っていると、全体としてバランスが良いのではないか。是非御検討いただきたい。
【西尾委員長】
個人的にも是非お願いしたい。
【安永研究開発課長】
一気にはできないので、徐々に行ってまいりたい。
【西尾委員長】
では、議事録に残すようにする。
【安宅委員】
先程来、漏れている技術の扱いや、出口として人間生活技術を入れたのは大変良いとの話があったが、私としては、出口という観点から1頁目の目次をみると、産業分野でまとめているのか、技術分野でまとめているのか、はたまた社会的な課題でまとめているのかという点を指摘したい。まとめ方が非常に難しいのは承知の上で敢えて申し上げると、目指すべきゴール、出口でまとめるという方法があるのではないか。これは前委員長の小宮山先生も言われていたことだが、科学技術的な価値を狙うのか、経済的な価値を狙うのか、公共社会的な価値を狙うのか。軸が3軸になってしまうのでマップにはしにくいが、出口としてどこを目指すのかというまとめ方があって、特に科学技術の場合には、例えば技術を手段として縦軸にとれば、横軸に社会的な価値、出口は何かというようにある程度整理されると、どこの分野が抜けているか等も分かるし、どことどこが関係しているかということも分かるのではないか。作る方は大変なのは承知の上であるが、出口でまとめるのも一つの方法ではないかと思う。
【安永研究開発課長】
これは昨年も御指摘いただいており、もっともであると思うが、なかなか難しい。ただ、こういう御指摘をいただくことが非常に多いのも事実。当省やNEDOのホームページでこのロードマップを公開しているが、一体社会はどうなるのかとの質問が常に出てくる。一般の国民の方がそういう質問してこられるということは、財政状況が厳しい中、政府の科学技術投資が例外的に伸びていることの正当性について、それだけ説明を求められているということと理解。安宅委員から御指摘いただいたように、今ある産業ということではなく、新しい産業としての出口を書くということは、当省の本来業務であるし、政府全体として考えても、社会はどういう姿になるべきか、ということを、分かりやすく絵で示すことは必要だと思う。昨年からの宿題であるので、御指摘を重く受けとめたい。
【徳田委員】
1点目は、私も「人間生活技術分野」を追加されたのは非常に良いことと思う。ただ、1点、出口イメージの話もあったが、少々心配になったのは、ロードマップ間の一貫性ということ。余りにも沢山あるので難しいが、ここの中で、例えばロボットの軸で、少し歩くように、自由に使える新たなモビリティが年度ごとに書かれているが、他の分野との一貫性が崩れてしまうと、全くばらばらに議論されたのだろうかということになるので、何らかの形でリンクできて、本当はハイパーテキストのように、クリックするとそこへ飛んでいって同じ軸で議論できるような仕組みが出来ると良い。このテキストメディアでは難しいかもしれないが、一貫性をチェックできるような形で、かつ縦・横の関係がみえる形に整理されるともっと良くなると思う。2点目は、資料5-2の1頁目の「情報家電関連分野における標準化シナリオ」の「研究開発」のところに「情報家電に関する研究開発」とあって、2010年まで横棒が引いてあるが、やや大ざっぱ、一寸知恵がないように思う。我々研究者は、例えばネットワークロボットという形でホームネットワークの中に沢山出てくるであろうロボットと情報家電機器がシームレスに連携できるプロトコルサービス、サービス連携等に取り組んでおり、もう少し各論を書いていただくと、日本は本気で情報家電をネットワーク化して色々なものとつなげるのだなというイメージがわくと思う。
【安永研究開発課長】
今の徳田委員の御指摘の1点目だが、テクノロジープッシュ型の分野であるナノテクと、例えば情報通信なり環境なりという非常にアプリケーションオリエンテッドな分野と一緒に議論してみると、必ず縦・横でクロスする部分が出てきている。例えばナノテクと電子情報、ナノテクと環境みたいなものは、相互のワーキンググループで時々情報交換をやるとか、事務局同士で突き合わせをするといったことはやっているが、そういう部分が非常に増えてくると思う。全部が全部つじつまを合わせると、技術の柔軟性、将来に関する見通しが非常に固くなり過ぎてしまうので、そこは、技術の不確実性、市場の不確実性をみながら、縦・横の連携を少しとっていきたい。2点目、情報通信の標準化について御指摘いただいたので、事務局から一言御説明申し上げる。
【安田研究開発課補佐】
御指摘いただいた点は、今省内で議論しているところであり、なるべく具体的に書かせていただきたいと思う。引き続き、よろしくお願いしたい。
【伊藤委員】
1つ前の安宅委員の意見に戻ってコメントしたい。戦略を作っていく中で、まさに本質的な難しい問題。部分と全体というのか、技術そのものは、それ自体が全体でもあるし、一方、それらが組み合わさって何かを成すときの部分でもある。全体から見たときの部分、あるいは部分が組み合わさってみる全体、ここの摺り合わせがいつも難しいところであり、実は産総研でも研究戦略を立てる際にさんざん議論した点。社会に対するアウトカム的なところから技術を見ていくと錯綜してしまう。つまり、一つの技術は一つのアウトカムにつながるだけではなく、多くのシーズになる。そうした意味で整理が非常に難しいとのことで、それを断念して今我々もこのマップに即した形でやっているが、これは恐らくこの資料の加工性の問題ではないかと思う。即ち、縦軸、横軸で自在にこの資料が読み取れるように加工性を向上させ、社会に対して例えば福祉といったキーワードを入れると、それにつながる技術がずらっと見えてくる、それの導入シナリオ、ロードマップがきっちり見えてくるというようにしておけば、かなり役に立つはず。先ほどの人間生活技術の議論で、社会に分かりやすい言葉をつけていくとのことであったので、その辺にかなり社会性の高い単語が入ってくると思うので、そうした単語を上手く揃えて、キーワードとして入れ込んで検索できるようにしておくとこうしたニーズにこの資料が使えるのではないか。
【西尾委員長】
一次元で考えるか、二次元、三次元かというのは大変難しい問題。総合科学技術会議のいう重点4分野も、必ずしも同じ概念で4つが並んでいるとは思えない。私は、あれは三次元ぐらいで考えないとなかなか難しいのではないかと思う。そういう問題も含んでいる大変重い課題であり、考えなければいけない課題。絵の話については、一つ一つが想定している20年後の社会や技術は絵として良いと思うが、先ほど言われた、ある年、20年後、それぞれを横につないでみるとどんな話になるかというのは、余りギチギチに固めてしまうといけないが、そういうところから議事3の融合のヒントも恐らく出てくると思う。大変貴重な意見をいただき感謝。

2.技術の絞り込みの考え方(技術競争力分析)

【安永研究開発課長】
まず、説明をさせていただく前に「技術の絞り込み」という言葉のメッセージについて簡単に説明したい。先ほど橋本委員からもお話があったが、技術戦略マップで対象としている技術はおよそ産業技術全体で、森羅万象とまでは言わないが、非常に多岐にわたっている。この中で、我々は国の研究開発について、特に産業政策的な観点でどのようにプライオリティをつけていくかについて非常に大きな判断を求められるわけだが、いってみればそのために絞り込みをやるということ。当省の技術戦略マップは3層構造になっているが、一番上に導入シナリオがあり、2番目に技術の俯瞰図があり、ここで絞り込みをして、3番目の層に各論の技術ロードマップがある。ところが、2番目のレイヤーは、昨年度までは専門家の方々の、このあたりは相対的には重要なのではないかというブレーンストーミングに基づいてやってはいたが、本当の意味で色々な角度からの検証ができていたわけではない。そうした意味で、これを絞り込んでいくときの考え方を示したいというもの。もう少し申し上げると、経済産業省として今後研究開発への投資を行う際に、日本として強い分野をより強くしたいというのが一つのメッセージである。もちろん今強い産業の技術が10年後、20年後もそのまま続いているわけではないので、そこについては色々な角度から、例えば学会の技術動向や特許動向等から検証をしていきたい。また、堤委員御指摘のように、現時点での知見だけに基づいて余り早く絞り込みをし過ぎると漏れてしまうものがあるので、色々な角度から、なおかつ定期的に見直しをしながら絞り込みをやっていくことが必要だと思っている。
(安田研究開発課課長補佐から、資料5-3に基づき説明)
【橋本委員】
今日初めてこういうものを拝見したが、これは一つの評価軸にはなると思うが実際に研究を行っている人間からすると、非常に危険だというのが率直な印象。質の部分がどうしても反映されないのではないか。論文の場合は引用回数が確かに一つの指標になるが、それは非常に危険だということはよく知られている。古いものについては良いが、新しいものについては、引用回数はほとんど役に立たない。ほとんどとはやや言い過ぎだが、それが外れる場合が非常に多い。したがって論文についても、我々はこれをどのように評価するのかといつも議論するのだが、特に産業分野の方では、特許数の質というのは本当に分からない。役に立たない分野ほど特許を多く出せるというのは実態としてある。自分の研究に近い分野をみても、特許数と産業競争力は全然一致しない場合がある。私自身は今、解を持っていないで話しているが、非常に危険だというのが率直な印象で、私も考えてみたい。
【西尾委員長】
私も大学の中でこれを始めると大変なことが起こるというのは直観的によく分かる。これは一つの考え方ということで、私も危険性はあると思う。
【菅野委員】
相対的な評価で良いと思うが、例えば、日本が遅れている場合に、ではフロントランナーは誰か、どこに向かおうとしているのか、をはっきりさせておいたら良いと思う。また、日本がフロントランナーであるときも、国際的な方向と日本が技術マップで考えている方向とが一致しているのかを考えておいても良いのではないか。この調査からそういうことが導き出されるのかは分からないが、国際比較といった面が多いと最終的にはそれを考慮するので、戦略を考える際にもっと参考になるはず。
【安永研究開発課長】
橋本委員から御指摘いただいたことは、こういう局面だけではなく、プロジェクトの評価などでも常々感じているところ。我々は一般的に、例えば大学における研究であれば、研究の質的な部分を論文数なり論文の被引用件数で判断する場合もあるわけだが、企業における非常に基盤的な研究であれば特許であり、やや市場に近い実用化を目指した研究開発への支援であれば、これは研究開発が終わって数年した後に実際に実用化、市場化されたかで測ることが多い。とりあえず、そのようなマクロの指標が一つの基準にはなるであろうが、ただ、これだけに寄りかかっては確かに極めて危険だと思っている。率直に申し上げて、我々もこれだけではできないので、ロードマッピングの過程で専門家の方々の意見をよく伺っており、それだけだと主観による部分も多いので、こういう客観データを使うというように、片方だけでやるということのないようにしたい。例えば有機ELの原理は、社内で実用化しないことが決まった後に、では特許を出して良いと社内の研究所の上の方から許可が出たということで、企業の戦略による部分などは非常にあると思う。こういったものを考えながら、主観的な部分と、やや客観的にデータでみえる部分、どちらにも寄りかからずにやっていくしかないということで、危険性は十分認識しながらやってまいりたい。菅野委員御指摘のフロントランナーについては、具体的な研究開発の方向を議論するときに大事なところであると思う。特に日本は今後、フロントランナーがどっちを向いて走っているのかが定かに見えなくなってくる。必ずしも皆が一つの方向に向いているわけではないときに、誰がどっちを向いているのか、自分たちはどういう強みがあり、どういうビジョンを持っているから、どっちに行こうとしているのか、必ずしも技術戦略マップにきちんと全部書き込めるわけではないかもしれないが、十分議論していきたい点。
【赤池委員】
今のことと関連して、技術の質は、その関連領域に総合的に精通した人間しか評価できないのではないかと思う。その意味では、では今後そういう評価ボード的なものをどのように作るべきか。これは仮想的でも良いので、そういう素案を作っていく作業が必要ではないかと議論を聞いていて感じた次第。
【堤委員】
今の点で逆に、評価してプライオリティーをつけるという考え方を捨てて考えてみると、私は一時熱電素子をやったことがあるが、そのときはちょうど超電導のブームが終わり、やっている人、特に企業でやっている人はほとんど超電導をやっていた人がシフトしているのだが、よく考えれば技術的には、技術の骨格というか、本質でいうと同じ。だから、それは超電導から簡単にシフトできる。一方、逆に考えるとそういった固体科学なら固体科学の、いろいろ混ぜて練って焼いて測定するという技術は、もう少し泥臭い職人的な技術を要し、これは人材育成と関係するのだが、学部からやっていたそうしたノウハウはかなり重要で、こちらが良いからといってさっとシフトできるものではない。そのように考えれば、例えば固体科学なら固体科学、固体物理なら固体物理で一定のそうした人材がいて、一定の研究があって、あるいは機械なら機械の加工でそうした一定の人材がいて、ベースがあって、そのベースの上に初めて山の頂上がぽつぽつと出るということを考えれば、逆に、「選択と集中」というのは一見いい言葉なのだが、この分野で、どう考えても全部もっておく必要があって、その中でどのように配分するかという考え方の方が実は本質的なのではないか。だから、その表面だけで見るのではなく、技術は何が本質なのかというのをよく考えてやるべき。先ほど橋本先生が言われたように、一応学会はそういう本質論から構成されて分類されているところであり、それを上手く活用・参照しつつ、意見を聞きながら、絞り込むというよりは、どこに重みをつけるかという感覚でやらないといけない。
【川合委員】
膨大な量なので、絞り込みなり重みづけをしないといけない。作業をしようとするとこれはいつも起こる問題で、論文の被引用数が多ければ良いかというと、非常に反対が起こるのだが、私は安永課長と同じ意見。では他にどの指標にするかというと皆黙ってしまう。学術的には論文の被引用、特許は、実際に特許を出したのではなくて、実際に取得して実用化されたもの等が一つの指標になるのではないかと思っている。ただ、非常に危険な面があるので、これプラス、例えば各技術領域で世界的に1位なのか、2位、3位なのか、というのは比較的分かりやすいので、それらも並行してつける。もう一つは、デルファイのときもやったことだが、目利きというか、詳しい人がいるので、その人から見てどうかというのもつける。複数表示する。そうやっていく以外にないのではないか。完全に落としてしまうのではなく、それを示して、そこからどう選ぶかがこれからの課題。
【安永研究開発課長】
今御指摘いただいたポイントは、肝に銘じてやってまいりたい。堤委員が言われたように、我々もこれは有望だから100であとはゼロという考えは危険だと思っている。誰もがやっているところではないものも誰かが何かをやっているということは非常に大事だと思う。それをあらゆるものに広げると大変だが、ポートフォリオをとりながら重みづけをして、多くのものに目を配り、その上での選択と集中を行いたい。

3.経済産業省平成19年度予算要求に向けての技術戦略マップの活用法

安永研究開発課長から、資料5-4に基づき説明。

【田中委員】
資料の3頁目は、安永課長が言われるように非常に当たり前の話なのだが、今までのこの会議での議論がある程度総括されるような図だと思う。色々な技術マップがある。部材は部材、出口側は出口側であるが、例えば光学部材なら光学部材で、当然情報通信と一緒にやらなければいけないことから、技術マップの中でもこういうフォーメーションは当然行われてくる。結局これは縦に全部つながらなければ日本の産業につながらない。こことここは強いが、日本は今この部分が足りないとか、この部分は民間企業が頑張れば良いのだがこの部分を何とかしたい、といった議論をしていく中で絞り込みの議論、何と何を融合すべきといったことが自然に出てくる気がするので、3頁目の図は、当たり前と言われたが、非常に重要。
【西尾委員長】
私は20世紀の技術はニーズ・ドリブンで、もっと早く走りたい等のニーズが非常にはっきりしていた技術体系から、現在はシーズ・ドリブンに移りつつあると思う。つまり先端科学技術でこんなものができるが、これをどうやって使ったら良いのかというところにきて、もう少し先になると、ビジョン・ドリブンにならなければいけない。我々の社会をこのようにしたいというのが先にあって、テクノロジー、サイエンスを総動員していくという姿勢があって欲しい。経済省の予算要求にも先ほどのチャートの使い方にもそういうビジョンがベースにあって、それを証明するために使うといった形が出てくると大変良いと私個人としては思う。
【梅田委員】
私もビジョン・ベースの技術開発は大事だと思う。技術開発の範囲の話だが、例えば、次の議題にあるようなコンセプト・メーキングみたいなものを非常に上手くやられているが、そういうビジョン作りを技術開発の一つのプロジェクトとしてやるような投資も必要。そういうものとシーズの技術の開発やニーズの集約を統合化させた形のプロジェクトが大事なのではないか。

(3)融合分野の研究促進に向けての技術戦略マップ策定(技術ロードマッピング)に関する試行的ディスカッションの結果

渡邉研究開発企画官から、資料6に基づき説明。

【西尾委員長】
御紹介のとおり安宅委員と赤池委員が参加されたとのこと。コメントがあれば是非。
【安宅委員】
実はこれは、先ほど技術戦略マップで安永課長に質問したことが返ってきてしまうテーマであり、先ほど西尾先生が言われたように、コンセプト・ドリブン、ビジョン・ドリブンでテーマを作ろうというやり方。融合領域は、ある意味では結果としてできるということであって、顕在化していないかもしれないが、目指すべき経済的な価値や社会的な価値を先に考え、それを実現するには、手段としてどのような技術をどのように組み合わせてシナリオを書いていけばいいのかを模索する実験的な、まさに今渡邉企画官が言われた方法論を開発することが一つの目的であった。心身のQOLの向上、心身の安心・安全というコンセプトを出すまでに100ぐらいコンセプトを出し、それを議論して、意外にすんなりとここまでいった。ところが、これをブレークダウンして要素技術や、それを実現するために開発しなければいけない社会技術となると突然錯綜し始め、議論が止まってしまったというのが実情で、今、委員の先生方に宿題を出して、2月6日にそれをまたリファインする検討会を行い、次回の小委員会で是非御報告したい。
【赤池委員】
私は少し違う観点から発言したい。マップのローリングには、融合研究のテーマ出しを行うことこそ非常に重要なのではないか。そういう意味で、この小委員会あるいは関連した分野ごとのタスクフォース等で、シンボル的な融合研究領域としてどんなテーマがあるのかという素案作りを是非一度企画していただけないか。そうした方向感が出てきたときに、発展的な展開として、例えば融合研究のプロポーザルコンペや、それに基づく助成等を、この事業そのもののシンボルとして展開しても良いのではないか。今回新領域として人間生活技術が設定され、各委員が言われるとおり、私も非常に意義があると思う。実は人間生活技術は五感そのもののセンシングや解析といった基盤技術開発がないと出来ないので、そういうベーシックな部分でも各既存領域のある種の融合研究のテーマの形で位置づけるような検討も是非していただきたい。
【川合委員】
「複合」と「融合」は今後分けた方が良い。例えばロボットなどのようにシステムに向け色々なところに使うという複合と、技術同士が本当に融合して新しいものが生まれるというものとは一寸違う。そこは是非分けるべき。
【西尾委員長】
「トランスディシプリナリー」とよく言われるが、あれは物理化学を考えれば分かるが、表面を考えている人たちが物理と化学の方からみていたのは「マルチディシプリナリー」の段階、表面で一緒に考えようというのが「インターディシプリナリー」、それが物理化学という学問領域に一つにまとまったのが「トランスディシプリナリー」だと思う。川合先生が言われるように、色々な分野が助け合わなければいけないものと、融合して一体化するものとは一寸違うというのは、御指摘のとおり。注意したい。
【伊藤委員】
このトライアルについては、私も驚くとともに感心した。これは多分、新しい研究開発の将来方向を示唆している。今、技術戦略マップが出来上がりつつあり、それを一つのツールとして、新たな研究開発の段階へと進むわけで、ロードマップに合わせた形で一つ一つの技術を進捗させることはもちろん重要でそれ自体は一つの「全体」だが、先ほどから出ている社会との関係論でいうと、一つの「部分」。それらを組み合わせていく努力が次の段階だと思うが、そういう意味でこのトライアル、特にコンセプトから機能への展開は非常に重要。そこで申し上げたいのは、官がこれをやり過ぎると、こういう楽しみがなくなるということ。もちろん私は本当に感心したのだが、経済省がこれをやってしまうと研究者は他に何をすればいいのだという世界に陥ると思い、ある種の危険性を感じたので申し上げたのだが、コンセプトから機能までで止めていただければ。先ほど安宅委員が、錯綜する段階にまで議論を展開していると言われていたが、それをやってしまうと一つの模範解答を示してしまうことになり、マップのおもしろい利用法、楽しみが損なわれてしまうので、ファンクションのデスクリプションだけやっていただき、後は提案者がそこに向かって自由に技術を組み合わせて提案するということにしていただけないか。そうすると、我々は技術戦略マップをよく使えることになる。意外なところでこういう技術が扱われている、知らなかった、このマップで初めて知った、それを自分たちの研究と組み合わせるとこういったことになるではないか、という楽しみ、自由度が確保できる。もう一点は、私も技術の融合についてはやや懐疑的。幾つかのロードマップを組み合わせていく、積み上げていくという考え方をとった方が良いのではないか。融合とは、自分の技術を完全に捨て去ること。“融ける”ということは破壊されるということで、研究者は自分の技術を破壊することはなかなか考えにくい。自分は自分というエレメントは尊重した上での話であるから、言葉遣いの問題であるが、「統合」といった方がよりしっくりくるのではないか。
【梅田委員】
私も、このトライアルは非常に面白いと思うが、これは単純な質問でもあり、逆に、ビジョン・ベースの技術戦略とは何かといった話であるが、例えば11頁の技術の構造のダイアグラムの中でキーワードを描いているのは、よくわかる技術のターミノロジーで、技術戦略マップに出てくる言葉だと思う。右端のオレンジ色の箇所の「社会システムへの実装」、「サービスサイエンス」、「ビジネス」は私もインテグレーションだと思うが、インテグレーションを社会に出して活用させていく、実際にリアルなものにして、人々の生活を良くするというところのキーになる部分は、技術なのか、技術ではないのか。こういう話は技術戦略マップには全然出てこない。個人的には入れた方が良いと思う。
【赤池委員】
人間生活技術の新領域等は、今梅田先生が指摘されたような方向感をもって対応していくような流れを作っていただけると良い。
【渡邉研究開発課企画官】
技術で解決できる分野のほか、技術以外の分野との連携、協調の中で出来上がるものも多くあると考えている。ただ、実現すべき目標、政策目的をどう解決していくかが重要なテーマであるので、その意味で導入シナリオの中で関連施策、例えば社会システムの中の法規制がネックになっているとすれば、そこを直していく。何か新しいサービスを提供する上で法的な枠組みがネックになって進まないという指摘は、議論中多くの場面で受けている。その意味において、目的とするものを解決できるような提言も含め、色々とディスカッションさせていただきたい。先ほどの伊藤委員からの御指摘だが、我々もすべての答えを出すというよりは、方法論をある程度編み出したいと考えている。こういうディスカッションのやり方、展開の仕方、ニーズから機能へ展開して組み上げていくやり方をひな型として作り、後はそれを配っていきたい。我々は、厚み2センチもの技術戦略マップを全部公開しているが、地域の中小企業の方々がこういうディスカッションをしていきながら使っていくと地域でも新しいイノベーションの芽が生まれてくるということを示していきたい。
【西尾委員長】
トランスレーショナルリサーチ等をやるときに法的な問題、どこで治験をやるか、治験のやり方等が先ほどお話のあったことと絡んでくる。私自身これはどこで議論されるのかとの疑問を持っており、また議論の機会を持ちたい。

(4)技術ロードマップ策定・利用等に関する海外動向調査の報告

渡邉研究開発企画官から、資料7に基づき説明。

(5)その他(閉会)

【安永研究開発課長】
最後に「参考資料」として「今後の予定」を記載。次回は、本年4月上中旬に「技術戦略マップ2006」の最終案をお諮りする予定であり、それに合わせて2006年度の研究開発プログラム基本計画についても御紹介したい。

以上

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