経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第19回)‐議事録

(1)新委員の紹介及び前回議事録(案)の確認

事務局から新委員の夏梅伊男常務取締役・総合開発センター長(日本ゼオン株式会社)を紹介。資料3に基づき前回議事録(案)について説明。

(2)技術戦略マップ及びロードマッピングの研究開発マネジメントへの活用事例について

安永研究開発課長から資料4に基づき技術戦略マップ2007の概要を説明。また、池上研究開発課企画調査官からナノテクノロジー分野及び化学物質総合評価管理分野、山根研究開発産業技術専門官からロボット分野及びライフサイエンス分野、寺家エネルギー戦略推進室長からエネルギー分野、松尾繊維課企画官から新規策定分野のファイバー分野、福田標準企画室長から標準化ロードマップについてそれぞれ説明。

  • 橋本委員
    技術戦略マップを作成することになった時から委員を務めているが、技術戦略マップ2007を見て昨年までと随分印象が変わった。率直な印象として、これは量が多すぎて少し使えないのではと感じる。当然ローリングを行い分野を増やしていっているので、厚くなってくるのはそれだけ成果が出ているということなのだが、ますます各論の積み上げになっている。ロードマップなので各論であるのは当然だが、これだけの量になると違う印象を与えかねない。
    説明にもあったが、「タコツボ」ではなく横断的な分野を融合させるためにこういうものを使うことが1つの大きな目標でありながら、実は逆にますます各論になってしまい、「タコツボ」に行くことを奨励しかねないことになってしまうのではないか。
    どのようにしたら技術戦略マップの当初の目的が果たされるのか。この技術戦略マップはやはり資料集なのではないか。これは本編ではなく資料集であって、別に本編を作成することを少し考えていただきたい。ある分野の人が実際に技術戦略マップを使うときには各論に入っていって使うのは当然。しかし、例えば新しい分野に参入しようとしている人が、自分の技術がどういうところに使えるのか見ようとする時には、これではなく本編の方をまず見て、それで当たりをつけていくということになるのではないか。
    そして、その本編の冒頭には何が重要なのか、多分、日本が、将来どういう社会を目指すのかということが大前提としてあり、その上にいろいろな技術が積み重なっていることを示すということだと思う。現在、それがイラストである意味であらわされているのだが、そういう日本の社会に対して技術はどういう位置づけにあるのかを示す大前提が必要。大前提があり、本編があり、この資料集がついているといった形になると、この小委員会で立てられた目標に近いのではないか。将来、日本がどういう社会を目指すための技術開発なのだというような大前提を真剣に議論する場が必要。
  • 川合委員
    技術戦略マップには2つの表現が混在している。一つは、何年頃これが実現するという未来予測的な表現であり、それぞれ今後役に立つ重要な技術であると示されたもの。もう一つは、いわゆるスペックであり、欲しいとされる数値が表現されているもの。これはロードマップのある一つの特徴である。これらを今後有効に使うためには、どう整理していくのがよいのか。
    あと、分野ごとにそのロードマップの応用の重要例があると、そこから派生して読んでいくことができ、よいと思う。何が重要例かというのを経済産業省が判断するのは難しいと思うが、例えば、今後明らかに非常に大きな市場が予測されるとか、何らかの意味で非常に大きなインパクトがあるような、何かそういうところで各分野で幾つか事例を出すと非常に読みやすくなると思う。
  • 西尾委員長
    後で紹介される検索システムも徐々に整備をしているので、それとの絡みで後に御説明いただきたい。
  • 東委員
    技術戦略の戦略性がどこまで今回打ち出されていて、それがどう活用される方向に向かっているかといった視点で、代表的なところを確認した。いろいろと高機能化や、何かと何かを融合させ、その融合によって更につけ加わった技術というものが多いように感じる。技術戦略マップ2005、2006、2007と時代が進展するにつれて、当然ながら技術は相当変化する。その変化がどこに起きて、その変化がどういうものをもたらしているかというのは非常に重要な視点であり、特に変化しているところが、いってみればイノベーションの種を生む候補になる。よって、技術の変化点というものをもう少し強調してとらえていったらどうか。
    特に、経済産業省のみでは非常に難しいが、例えば、通信と放送の融合は必ず直近で起きることがわかっている。では、そのような領域で何が生まれてくるかということを考えることが技術戦略であり、そこに対してどういう技術を仕込んでいくかというのがマップだと思う。そういう視点の元に作成されているのか。その視点でもう一度検討すべき。
  • 西尾委員長
    資料4の7ページにあるエネルギー技術の全体俯瞰図というのは2025年に対する政策目標がその5項目にある程度まとまっており、それを実現するためにはこのような技術がそれぞれ進捗しなければいけないというようなことで書かれている面が多い。これが1つのロードマップの典型なのだろう。他に部材などの分野があるが、将来の日本の社会像、あるいは世界の中における技術に対して、それぞれどういう位置づけであるのか、その中で産業競争力等を保っていくとすれば、どこが一番変わり始めていて、どの辺を戦略化するのが日本にとって重要なのかという議論が必要。これだけ技術戦略マップができたからこそ、そのような話がでるのだと思うが、技術戦略マップを更によくするためには、そのような観点が是非必要。
  • 赤池委員
    分野融合によるマップの高度化やローリングの検討がなされていて、非常にすばらしいものだと思う。今後は段階的に重点化を年度年度で打ち出していく方向感が重要なのではないか。エネルギー分野については、従来自動車メーカーとエネルギー分野は近接しているように見えて、その実、きちんとした議論が行われてこなかったように感じている。しかし、それが今回、運輸部門の燃料の多様化を含めて方向感が目出しされているのは非常に良いことだと思う。特に日本はこの部分に力を入れていかなければならないので、運輸、自動車とエネルギーについては継続的な融合分野として検討を行うべき。特に社会がバイオ燃料などを含めてどのように変わっていくのか、いろいろなセクターが興味をもっているところなので、この運輸とエネルギーの導入シナリオの検討というのはここ数年徹底して重点化してもらいたい。
    また、人間生活技術分野についてだが、ロボット分野、ライフサイエンス分野、ファイバー分野などについては、各分野から違った角度で見ているものの総合として人間生活技術という接点からみていくと、いろいろな技術開発のコンテンツが目出しされてくるように思う。やはり各分野を人間生活にどう展開していくのか、連携を図っていくのかという部分も重点化をしていくべき。特に今年度、感性21のプロジェクトなども立ち上がっているので、感性や認知などの各分野の人間生活に近い技術を、この人間生活技術との接点で議論していくべきではないか。
    3点目は、非常に大きな問題だが、日本政府が2010年に生物多様性の条約の締結国会議を誘致することから、持続可能な食料調達や生物の機能性を生かした循環型の産業システム、グリーンバイオ分野における日本の多様な産業技術基盤等の活用といったように、経済産業省主導で食や生物機能性を生かしたライフサイエンスを展開するような技術シナリオづくりに重点化すべきではないか。
    最後に人間生活技術の絵でわかる資料は非常に重要だと思う。現状の技術がどうなのか、絵にできない基盤技術開発をビジュアル化する資料づくりをそれぞれの分野で行うと、抜け落ちている技術開発コンテンツや、他分野との融合の必要性が浮かび上がってくるのではないか。
  • 安永研究開発課長
    後ほど紹介される技術戦略マップの検索システムもそうだが、技術の個々のキーワードを、技術戦略マップのコンテンツだけではなく、例えば学術論文や特許情報なども含めて、まとめて視覚化をする取組みが日本の英知を使ってできないかと考えている。例えば、東京大学の小宮山先生は、知識の構造化を提唱しておられる。我々も、技術は各論であるといいながら紙を1,000枚も持って来ないと各論の議論ができないのかと言われかねない。そういう意味では、まさしく1枚で技術戦略マップの各分野を視覚化するというような試みが徐々に必要になってきているのだろう。
    また、個々の要素技術の事典、あるいは参考資料としてではなく、我々が重視すべき技術戦略マップの究極の目標は何だろうか。例えば、「サステイナブルな社会をつくる」「健康で長生きをする」「情報がユビキタスに何でも使えて非常に利便性が高くなる」「セキュリティーという問題で安心・安全が確保される」というような目的で見たときに、個々の技術の流れはどうなっているかということを絵1枚で表すと、例えば「どういう分野の技術が重要である」「ここ2、3年は今まで注目していなかったこの分野の技術が急激に伸びているので、ここがチャンスであり戦場になる」といったことが見えてくる。また、全く発想を変えて、今までの工業社会とは別の技術の発展形態があるような絵がかけることもある。そのような様々な政策的なインプリケーションが出るという形で、この技術戦略マップを再編集していくことが必要だと考えている。
    その中で、技術戦略マップ2006にて取り組んだ「がん対策に資する技術」では、全体でがんになる人が少なくなり、がんから治るためにはどうしたらいいのだという、比較的横割り的なマップを1枚作成した。中身はやはり膨大になってしまったが、こういったマップを少しヒントに、究極的な社会像を実現するためにはどうするのか、かつ関連の技術がどこにあって、どこの分野で急激に伸びているのかを可視化することに取り組むべきと考えている。
  • 堤委員
    融合領域、境界領域が重要だということで、例えばナノバイオ等の形で今回ロードマップが出されている。これは良いことだと思うが、もう少し違った意味の、もともと関連している領域、例えば環境・資源・エネルギーの領域と3R領域を考えると、ごみや希少資源のリサイクルをどうするかによって、エネルギーも変わるだろう。また、バイオテクノロジーを導入するかということよってエネルギーや環境というのは変わってくる。
    1枚の紙であり得るべき社会を描くといったような意味で、いってみれば物質やエネルギーなどそういった循環をどうするかというグランドデザインそのものが今必要になってきているのではないか。それがないと、個々の技術、あるいは個々の技術間の融合領域を深掘りしても、全体がみえなくなってしまう。
  • 菅野委員
    ライフサイエンスの中ではグリーンバイオは製造技術の方に入っている。しかし、意外に内容がないと感じる。しかも、何をやったらいいかもわからない。ただし、逆に、これは大きなチャンスがあるかもしれないと思っている。つまり、グリーンバイオ分野は未開の荒野のような分野。一番にそこに行って旗を立てると、その分野ではひとり勝ちになる可能性がある。よって、そういう分野に衆知を寄せ集め、10年後にはグリーンバイオ分野で日本がトップになる戦略が書けると良いのではないか。
  • 亀岡委員
    戦略ロードマップという観点では、技術や研究開発を整理するというまた下のレベルの作業にある。戦略ロードマップは、市場、サービス、製品、その次に技術があり、研究開発がある。こういうマルチのレイヤーにそれぞれ各レイヤーのいろいろな資産を示していかなければいけない。ここで整理されているのはその第1段階であり、研究開発プログラム若しくは技術の問題が書かれている。この技術がどういう製品、サービスに使われ、それがどういう人たちのニーズに合っていくのかという流れを示すことが次のステップ。その流れを示すためには、主体を明確にすべき。そして、一般的にこういう作業をした後に、国としての価値観をもち、各企業は、自社の経営方針に従ってシナリオをつくり、こういう技術をこういう分野のサービスに応用していくのだということを共有しないと、それが実らない。それは縦軸の連関であって、技術戦略マップはこの技術が時間的にどのように浸透するかという横軸の時間軸の流れが書いているが、それを時間軸と応用分野にまたがる縦軸の流れに整理すべき。
    これから行うべき活動は、産業界は技術戦略マップを活用し、自社なりのシナリオをどうまとめていくか、国は国の戦略として主体性をもったシナリオをどう開発していくのか。こういう段階にこれから入っていかなければならない。
  • 大竹委員
    技術戦略マップ2005では、作成された分野がトピック的で間が抜けていた。それでわかりやすいというところもあり、これから拡充していくという言い方もできた。今回の技術戦略マップ2007を見た瞬間に、網羅的になったという印象を受けた。網羅的になるというのは、事典的になるということに似ている。事典的になったということは、とりこぼしが許されなくなったことを意味する。よって、何かしらの分野が入っていないということになると、取り残されたという印象をもつに違いない。例えば機械屋の立場からみると「設計」という観点はほとんど抜けてしまっている。本当にこの分野設定で良いのか。もう一回議論した方が良いのではないか。
    事典的にすると、戦略がなくなるというのは先ほどの指摘のとおり。そこから戦略を抽出するということが、次のターゲットになるに違いないが、まず土俵をしっかりすることが重要ではないか。特に中小企業からどうみられるのかということについても、我々はもう一回考え直す必要があるのではなか。
    確認だが、前回紹介のあったアカデミック・ロードマップと技術戦略マップの関係はどうなっているのか。具体的にこの中に入れるのか。あるいはつないで議論していくのか。
  • 夏梅委員
    技術戦略マップ2007はかなり網羅的になっているので、結局、戦略というよりも資料集という感じを受ける。やはり戦略となると、日本としてどう取り組むか、産業界としてどう取り組むかなど、優先順位の区別をしなければならない。一度戦略の議論を行う必要がある。
    自社に関係のある化学、部材、機能性材料は、自動車、ロボット、通信、バイオ等に関係がある。各産業や各企業のロードマップは当然個別にこれから取り組むべきであるが、技術戦略マップの分野をどこまで詳細に取り組むかということは、ある程度ラインを決める必要がある。個別企業にて技術戦略マップをみながら個別のロードマップを作成するのは大変な労力が必要。
  • 山崎委員
    辞書的に技術戦略マップを作成する場合、どのぐらいの規模でどういう技術でつくっていくのか。技術の連関を探すことも、この紙ベースでからでは大変というぐらい膨大になってきた。また、ロードマップの内容についての変更権、改変権をどのように決めていくのか。また、どういうところに目標を置くかということになると、戦略的な議論が必要である。それは日本の国民がどういう国にしたいかとうい思いによって決まってくる。よって、少し違った視点でまとめ直さないと、これだけの財産がほとんど読まれなくなり、陳腐化していくということになる。情報を更新する、廃棄する、そういうルールを決めていかなければならない。
  • 西尾委員長
    技術戦略マップは、2つか3つの性格をもった分野が混在している。初めてこういうものを策定しており、やむを得ない部分もあると思うので、その幾つか性格の違うものは違うものとして、認識ができるような形にしなければならない。エネルギー分野は「バックキャスト型」であり、他の分野は現在から積み上げる「プレゼントプッシュ型」である。それらをはっきり分類するところから始め、それを産業界の方がどのようにご覧になるかというところまで整理しなければいけない。
    こういう議論が出てきたのは、それだけの作業が進んだということが大前提にある。
    一つだけ個人的な見解を述べると、ナノバイオが融合領域であるというのはあまり好きではない。あくまでナノ領域とバイオ領域というのは次元の違う区切り方である。ナノはエネルギーの分野でも当然役立つものもあるし、それを融合だと強調しすぎると変なふうに見えてくる場面もある。総合科学技術会議で重点4分野、推進4分野というときにナノや通信、環境といった全く切り口の違うものが並列で並べられるのは私は余り好きではない。
  • 安永研究開発課長
    ナノというのは手段であり、バイオというのは、例えば医療に行くなら医療という目的である。そういう意味で融合というより目的と手段、あるいは縦と横の関係だと思う。
    この小委員会で我々の考え方もお示ししたが、普通はロードマップを作成するときに、マーケット、プロダクト、テクノロジー、その下にリソースという一番戦略的な項目が出てくる。確かにIT分野などの一部の分野は、マーケット、プロダクト、テクノロジーといったようにロードマップを作るとき、マーケットから順に降りてくると作りやすい。ところが、ナノテクノロジーや材料は「手段」なので、マーケットからというわけにはいかない。よって、こうしたシーズ的な分野では、例えば自動車の材料であれば軽くて強い、電子を放出する特性ならば電界をかけたときの電子放出特性がいいといった「機能」という切り口で作成している。そのようにして、上(マーケット)からも下(テクノロジー)からも通じる形が良いのではないか。
    それから、エネルギー分野や環境分野は、マーケットというのが簡単には表せない分野。上下往復しながらも、一番上に社会像を書いて、そこから製品や技術に降りて行かなくてはならない。まさにそういったことがご指摘されており、我々も感じているが、実際は900ページの紙の束になっていて社会像が見えにくくなっているのではないかという厳しいご指摘だと思っている。社会像を意識した活動に次回以降取り組んでまいりたい。
    アカデミック・ロードマップについてだが、我々はアカデミック・ロードマップを「技術戦略マップ」の中に入れるということは考えていない。学会で作成いただくロードマップは学術のロードマップなので、我々の技術戦略マップよりも時間的に少し先の領域について、我々よりも自由な発想でロードマッピングを行っていただいている。学術の自発性を尊重しながら、学会の中でロードマッピング活動を行って頂く。そうすることによって、産業技術のロードマップと科学、サイエンスのロードマップとのコミュニケーションができ、我々は将来どうしたいのか、どうあるべきなのかという議論を、実際に科学的根拠のある学会のロードマップと一緒に議論することができる。
    変更権、改変権についてだが、基本的に経済産業省のホームページに載せるロードマップは改変自由ということになっている。各企業や各研究機関が自社の戦略に合うようにうまく編集していただければ良いと考えている。ただし、確かに我々が使い方を提示できていないのは事実である。また、いろいろな技術が技術戦略マップに掲載されているので、逆に書かれていない技術は、国として重要視していないような、逆のインプリケーションを与える可能性がある。技術戦略マップの全てを理解できていないと使えないというような誤解がないように更にいろいろな活動を行いながら広報していく。

安永研究開発課長から、資料6に基づき技術戦略マップ及びロードマッピングの研究開発マネジメントへの活用事例について説明。また、参考資料1に基づいて伊藤委員から、産総研による技術戦略マップ検索システムの構築について紹介、さらに、参考資料2に基づいて光川委員代理の橋本部長から、NEDO特別講座の進捗状況及び将来社会像のイメージに関するパンフレットの作成と公開について説明。

  • 山崎委員
    技術戦略マップ自体は少しずつバージョンアップする程度におさめ、個別の分野は、それと切り離して議論を深めるべき。それから、基盤技術の整備、人材育成、あるいは共同、融合、そういうものを生むツール作りにとどめるべき。
    また、かなり先に行動を開始しなくてはいけない領域については、ロードマップ活動と別に行うべき。ライフサイエンス分野における治験の活性化の話のように長く議論を重ねていった後に行動を開始するというのでは遅くなることがある
  • 宍戸委員
    全体を見渡してのコメント。日本の強みなど、いわゆる戦略的に取り組むべき領域をこのロードマップを作成するときにある程度議論したのだが、徐々にそれが薄れ、最近の技術戦略マップをみると、かなり総花的な形という印象。
    この青森県からの参考資料は、まさに日本の中における青森県の位置づけを客観的に踏まえて、戦略性をもった資料である。日本の手のうちを諸外国にあまり出したくないというのは理解できる、環境技術やエネルギーの一部、素材、部材などの日本の強い部分については、逆に世界にもっと我々の持っている技術をアピールし、我々がリードしていくというメッセージを伝えるようにした方が良いのではないか。
  • 夏梅委員
    技術を本当に実のあるものにしていくとなると、やはりサイエンスの裏づけがなければならない。日本の大学、あるいは我々企業にとってもそうなのだが、産学官の対話をもう少し改善する必要があると感じている。アカデミック・ロードマップいう形で技術の裏づけをサイエンスで行っていくことは良い機会になるのではないか。
  • 安宅委員
    社会像作りが非常に重要。技術戦略マップの延長として社会像を描くとすると何か新しい方法論が必要ではないか。経済や技術の高度性ということだけではなかなか評価できないのではないか。日本が得意とする分野、強い分野という観点で経済的に評価することができるものもあると思うが、こんな国になりたい、環境をこのようにしたいといった観点で、社会像を作成するときにどういう評価軸や大切にしたい価値を取り上げるのか。技術戦略マップにさらに何か新しい手法をつけ加えるようなことをしないと、今の方法では、夢物語だけの話で終わってしまう可能性がある。なぜそうなのだということを、多くの国民が納得するというようにはなかなかならないので、新しい手法なり工夫がここにきて必要だと感じる。
  • 西尾委員長
    国も、産業界も、大学も、あるいはそれ以外のセクターも、いろいろな立場からビジョンを作成していかなければいけないという時代に来ている。そのためにマップを活用する方法が重要。特に大学にいる人間としては、非常に複雑な思いがある。大学というのは社会のビジョンを掲げて、それに向かって全員が邁進するという文化をもっていない。いいところであり、悩ましいところである。そういう大学も法人になって変わりつつあるので、いろいろな場面でご意見をいただきたい。
  • 川合委員
    検索サービスは非常に重要。今後こういう事典的なものがどのくらい生きていくかということを握る鍵だと思う。この検索サービスを高度化するために広く意見を求めてはどうか。サイエンス側からの提案や企業のニーズなどを取り込むインタラクティブなシステムを構築できれば、非常にいいシステムになる。
  • 伊藤委員
    今その方向に向かって作業を進めており、そのようなコミュニティーを形成する場をつくりたいと考えている。
    また、日本の文化では、なかなか意見が来ない場合が多いが、その割には頻繁にダウンロードされている。技術戦略マップもよくみられ、ダウンロードされているのではないか。よって、ぜひ気がついたことは何でも寄せ合うという意識をつくっていかないと、いいものができないだろう。特に大学からのコントリビューションは大きいと思うので、よろしくお願いしたい。

(3)技術ロードマップに関する欧米動向調査の報告

渡邉研究開発課企画官から、技術ロードマップに関する欧米動向地調査の報告を説明。

  • 赤池委員
    先ほども、自動車と多様化するエネルギーの導入シナリオのようなものを、徹底的に自動車メーカーとエネルギー業界が議論して検討すべきだという話をしたが、そのビジネスモデルというのは、この資料の中にある「欧米型モデル」なのではないかと思う。いくつか特色立った技術テーマについては、実験的に民間主導の欧米モデルのようなところで、ある種のアクションプランまで含めた案件を策定させるような実験、助成事業のような取り組みを検討すると良いのではないか。
    同じような意味で、青森県の取り組みというのは非常に重要である。今度はモデル的な自治体にミッションを与えて、その県内の中の地方大学や地場の中小企業などに同じように欧米型のモデル的な方向感でアクションプランのようなものを検討させ、支援する政策を検討いただきたい。
  • 菅野委員
    今回の話は随分企業主体での話だというように理解したが、海外に進出している日本企業は、こういうプランニングに関わっているのか。
  • 渡邉研究開発課企画官
    欧州委員会の関係者から聞いた感じだと、基本的に参加したい団体にはオープンであり、ヨーロッパの国にある企業は全て対象になっている。実際に現地の一部関連企業が参加し、情報を入手していると考えられる。
  • 菅野委員
    アメリカなどはどうなのか。
  • 渡邉研究開発課企画官
    正確な情報を持ち合わせていない。
  • 菅野委員
    日本は標準化戦略に取り組んでいるが、欧州は特に標準化には強いので、こういった欧州の取り組みを積極的に利用する方法を考えると良い。逆にいうと、我々の方にも入っていただかざるを得ないという、難しい問題が出てくるが、我々の方を二重構造にし、うまく利用するというようなことも含めて検討してはどうか。
  • 東嶋委員
    欧米ではポリシーメイキングやファンディングのためにそれぞれの業界なり学会なりにテクノロジーロードマップを出してもらうというように理解した。そうすると、日本の現在のやり方と違うのだが、欧米の場合、どこまで公開されているのか。ポリシーメイキングやファンディングのところまで公開されているのか。若しくは、テクノロジーロードマップの部分だけか。
  • 渡邉研究開発課企画官
    EUにおいては、ETPが基本的につくらなければならない報告書は、「ビジョン」、「ストラテジック・リサーチ・アジェンダ」、「インプリメンテーション・アクション・プラン」の3つがある。この3つはすべて原則英語にてホームページに公開されている。なお、有料であるところもあるようだ。
    また、EUの政策では、大枠でいうと、日本の科学技術基本計画と同じような「フレームワークプログラム7」というものがこの1月から立っており、その中には、ヨーロッパとして進めていくべき重点科学技術領域とその考え方が書いている。しかし、今回の調査では、それを踏まえて、提出のあった「ビジョン」と「ストラテジック・リサーチ・アジェンダ」と「インプリメンテーション・アクション・プラン」をどう踏まえ、どうファンディングしていくのかという内部メカニズムについては、必ずしも明らかにはなっていない。
  • 安永研究開発課長
    DOEには2つの目標がある。1つはエネルギー効率を上げること、これはエネルギー省だから当たり前なのだが、もう一つの目標として彼らは産業政策も担当している。この2つの政策を司っていることがDOEのおもしろいところ。
    当然、エネルギー省のターゲットには、アルミや化学や鉄鋼、それから自動車用アルミ合金などという非常にスペシフィックなものもあり、基本的にエネルギー多消費産業がメイン。こういうところでは、どうしてもアメリカ企業の競争力強化とあわせて取り組むことになる。米国エネルギー省としても、こうした産業に関しては、アメリカ企業がメインであり、アメリカ企業の競争力強化が非常に大きな目標となっている。
    そして、彼らはなぜ自分自身でロードマップを作成しないかというと、彼らはそれに適度に自分自身がインボルブされる、ないしは適度にエンゲージされるのは得策ではないと考えているからである。逆に、産業界が出してきたプライオリティと政策的なプライオリティは少し違っていても良いと彼らも思っている。結果的に産業界のロードマップを参考資料にしながら、もちろん産業界のプライオリティと全く違うことを政策にすることはないが、政策的な裁量が一定加わり、ファンディングや研究開発プログラムの実施がなされている。DOEの担当者にも、DOEの意を受けロードマッピングを行っているシンクタンクの方にもヒアリングを行った。渡邉企画官はそれを受け、アルミ連盟自身の調査も行った。これらを総合すると、やはり政策のプライオリティは産業界のプライオリティを踏まえた上で、統合的に考えるということだと考える。
  • 赤池委員
    IOFとかETPの中で温暖化問題や生物多様性問題と今後の産業技術というのはどう議論・認識され、ビジョンや戦略に反映されるのか。
  • 渡邉研究開発課企画官
    基本的に、将来の社会構造まで含めバックキャスティング的に作成しているところはあまりなかった。例えばアルミでは、アルミ産業の中長期的なエネルギー使用量をどう下げ効率化していくか。そういういわゆる”as is”から始まり、それを改善していくという流れの中で、現実的な一歩をどうつくっていくかという形である。来年度以降、他分野も含め調査をした上で、まとめていきたい。
  • 山崎委員
    日EUのビジネスダイアログというものが毎年開催されている。温暖化問題などの議論は、産業界のレベルで論じられており、それをEUと日本政府に提言していくという活動が起こっている。
  • 西尾委員長
    環境問題や生物多様性問題といえども、政治的な課題の色彩が割合強いところでもあるので、ヒアリングで細かい方針まで聞き出すのはなかなか難しいかと思うが、逆にいえば、そういう場で日本も意見を言い、あるいはビジョンを作成していかなければならないので、ある程度情報は必要。

(4)研究開発小委員会の開催状況及び今後の予定

安永研究開発課長から、資料8に基づき研究開発小委員会の今後の予定を説明。

  • 安永研究開発課長
    技術戦略マップ2008策定へ向けたサイクルは、今年6月頃から始める。本日の議論をベースにし、いたずらに作ることだけに目標を置くのではなく、例えば指摘いただいたように、膨大な中から技術が俯瞰できるようにする。また、俯瞰する際の統一軸として、目指すべき社会像が理解できるようするための道筋、導入シナリオ、政策論の検討を行う。また、産業界が自ら行うロードマッピングとの関係を含め、当方と徹底的に真の戦略を議論できる体制を整える。どれだけ公開で、あるいはこの場で議論するのかを別として、本当の個別戦略論は、この共通財産の技術戦略マップ上でどう行われるべきかについて、次のラウンドで考えていきたい。
    また、政府全体でイノベーション25や、それに伴う予算要求の話も動いている。20年度に向けての政策自身のあり方等についてもご審議いただきたい。さらに、学会で取り組んでいただいているアカデミック・ロードマップの成果もご紹介したい。
  • 西尾委員長
    事務局へ宿題もいただいた。御議論に感謝。

以上

 
 
最終更新日:2008年9月10日
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