経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第23回)‐議事録

議事概要

技術戦略マップ2008の策定について


イノベーションプログラムの制定について

(福田研究開発課企画官より資料3、4に基づき説明)

  • 光川委員

    いろいろこれらの作業に関わってきた立場として3点ばかりコメントしたいと思います。

    1点は、この技術マップなのですが、これは小宮山委員長時代、当委員会での決定に基づいてこれまでずっとNEDOが策定に関わってきたということでございます。

    その後、当委員会の指導のもとで、年を追って、ここにありますように、分野、内容が充実されてきております。

    この手法、別に新しいものでなくて、従前から、何らかの形で企業とか国がそれぞれやってきたものでありますが、しかし、国として体系的に取り上げたというのは、この経産省、この委員会が初めてではないかと思っております。

    おかげさまでこういう手法は総合科学技術会議でも取り入れるようになり、直近では、洞爺湖サミットに向けて最近、検討されたクールアースエネルギー技術革新計画、これで21プロジェクトがリストアップされておりますが、これでもやはり我々のこのロードマップ手法が使われて検討されております。

    今後、大事なのは、いろいろ御指摘がありましたけれども、マッピング作業を継続的にローリングさせていくということ、そのこと自体が非常に大事であろうということで、私ども引き続きマッピング作業を担ってまいりたいと思います。

    使い方に関しては、民間ユーザー、学会、研究者、国、それぞれ活用の仕方は異なると思いますけれども、それぞれ使う側でうまく使うというのがこの種の作業の使い方だと思いますので、ひとつ今後ともよろしくお願いします。

    それから、これは1つ個人的な意見ですが、ロードマップの議論、相当収斂してきたというか、深まってきた感がしますので、できたら、この小委員会はもっと大所高所からの議論にどちらかとしてなっていただいて、これはワーキンググループなんかでみっちり検討していただいて、この委員会にその結果を報告、議論いただくといったような形が望ましいのではないかという印象を持っております。

    それから、2点目のイノベーションプログラムにつきましてですが、もうこれは皆様、御存じのとおり、技術が社会に入り込んでイノベーションを生み出す際には、技術そのもの以外にもいろんな要素が関わってくる。特にインセンティブとか、規制とかいったような法制度、それから、安全性とか経済性を見るものの尺度というか、そういうものを見直していくとかといったようなことも必要になってくるのであります。特に革新的な技術であればあるほど、新しいインフラストラクチャーとか法制度の整備、従来の社会システムの変更を伴うような、そういうものが必要になってくると思います。

    そこでぜひ経産省にお願いなのですが、このイノベーションプログラムの検討推進にあたりましては、技術開発課題のリストアップという感じにとどまらず、こうした施策の検討、提案、実施も合わせてやっていくということで、インパクトのある、破壊力のある推進をお願いできればというふうに思います。そこのところが技術ロードマップとイノベーションプログラムの最も違う点だと思いますので、そこのところをひとつよろしくお願いします。

    それから、3点目、全体について、当委員会の議論全般についてでございますが、第3期科学技術基本計画期間もついに中盤にさしかかった。真ん中にさしかかったということで、しかし、その反面、世の中はどんどん変わっておって、進歩しておって、特にイノベーションの創出とか、待ったなしの地球環境問題の対応などで、今、取られているような政策判断、例えばSABC評価とかといって個々の技術を中心に審査しているような形では、やはり限界があるのではないかという感じがしますので、国際共同研究のあり方なども含めて、何か新しい国の資源配分や、重点分野の選定や、プロジェクトの評価や、ウエート付けなどのあり方を、第4期計画に向けて、この小委員会から何か提案していったらどうかというふうに思いますので、今後、そういう議論も取り上げていただけたら、まさに大所高所というか、取り上げていただけたらよろしいのではないかというふうに思います。

  • 土井研究開発課長

    マップにつきましては、マッピングすることを引き続き続けていきたいと思います。

    それから、プロジェクトを推進するにあたってインセンティブ、安全、規制などを視野に入れて、施策をパッケージで強力に推進していくということについて心して取り組みたいと思います。

    最後に、第4期に向けては、産技局としてもこれから議論を進めていくものと思います。総合学術会議、科学基本計画の重点分野というのは、重点4分野その他4分野の8分野構成で2期、3期ともう10年やってきておりますので、15年間も同じ分野が続くというのは、おっしゃったとおり、この変化の激しい世の中でそうはないのではないかという気もしますので、第4期に向けた議論なども我々勉強して準備していきたいと思います。この場でも、もんでいただければと思います。

    この小委員会の運営については、委員長と御相談したいと思います。

  • 橋本委員長代理

    今の話題は、多分きょうの最後の4番目、今後の研究開発政策の展開方策についてというところにもからんでくるのではないかなというふうにも思いますので、また、そこで大変重要な御提案が幾つかあったかと思いますので、議論していただければと思います。

    では戻りましてというか、続きなのですけれども、先ほど福田企画官からの御説明にありました技術戦略マップ及びイノベーションプログラムについて、御質問ありましたら、いただきたいと思います。

    ただ、先ほど申し上げましたように、ここではそれほど深い議論はするつもりはなく、ただ、時間はまだ5分とか10分とかは取れる予定になっておりますので、どうぞ御発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

  • 伊藤委員

    先ほどの御説明の資料3の6ページのアカデミックロードマップとの連携のお話がありましたけれども、これは大変重要だなというふうに聞いていて感じました。

    なぜかといいますと、これまで行ってきたロードマップの作業と、それから、このアカデミックロードマップにまでこれが広がっていくということは、かなり質的に経済産業省が行ってきたアクティビティーがやはり変わってきているというか、影響力が大きくなってきているということですね。

    そういう意味で、1つコメントとしては、連携のあり方としては、むしろアカデミックの方は、余りMETIの技術戦略マップのある種、ちょっと表現は難しいんだけれども、余り影響させずに、連携というと逆にどうしても影響を受けてしまうわけですけれども、逆にMETIの技術戦略マップとしては、むしろアカデミックロードマップが非常に自立的に、ある種、知の創造のまさに合理性だけで徹底的にやってもらった方が、むしろそこから知の活用という意味での技術の戦略というのが出しやすいし、それから、ある種、抜けのない質の高い技術戦略になると思いますので、いわずもがなのコメントですけれども、アカデミックサイドに対する連携のあり方としては、余り産業とか、技術とか、そういう形でしばりをかけないで、むしろ知の創造の観点で徹底的に追求してくださいというようなことを言った方がいいのではないか。

    やはりアカデミックの方は、どうしても経産省の存在というのは大きいというふうに思って、何も言わないと、だんだん影響を受けて、逆に我々としても余り魅力のないロードマップになってしまう可能性がありますので、そこをちょっと、あえてですけれどもコメントさせていただきます。

  • 福田研究開発課企画官

    貴重な御意見ありがとうございます。

    実はアカデミックマップを策定している過程で、私どももオブザーバーとして検討の場にお邪魔をさせていただいているのですけれども、私ども実はこう申し上げるとやや誤解を生むのかもしれませんが、何も言わないように心がけています。どんな議論が起こっているのかを本当に吸い込むだけという感じでございまして、あるいはもともとのこういった検討のスタート時に、産業政策にどう取り込むかというのを考えるのは我々の仕事なので、学問の立場として、学術的価値観ということだけを考えてつくっていただけるのが一番ありがたいということをお願いしているつもりなのですけれども、やはりやっていくうちにどうしても産業の方にちょっとぐらっと傾いてくるような局面もございまして、今、おっしゃられましたようなことをもう少しきちんと私どもも意識をしながらやっていけるといいのではないかと思っております。

    ありがとうございます。

  • 橋本委員長代理

    私も実はアカデミックロードマップ作成の方にも関わったのですけれども、そのときの雰囲気から言うと、何もしないとまた全然変な、学会の方の立場から言うと、ある程度こういうことが国で求めているよという示唆をいただくということが学会の体質変化にもつながっていくといういい面も実はあるのです。

    ですので、その辺のバランスが重要かなという気がいたしまして、大変御示唆に富んだ点かなというふうに思います。

  • 安宅委員

    先ほどの光川様の方から御意見がありましたけれど、今後のここの委員会活動ということで、以前からお話が出ていますように、すごくロードマップ自身は非常に精緻になって、抜けのないということになっておりますけれど、1つ産業界からというような感じで申し上げますと、今後、10年、20年を考えたときに、やはり日本の産業のあり方とか、方向づけというのを、日本の特徴を出して生き残れるように考えていかなければいけないというようなことがありますので、先ほどの伊藤委員のお話もそうなんですが、アカデミックロードマップは学術的価値、科学技術的な価値の追求で、世の中にないものを追求していただくという意味でいいと思うのですが、こちらの方は経済的な価値と、やはりある意味で、先ほどいろんな規制とか、いろいろ標準の話もありましたけれど、社会的な価値も含めて、どんなものを新しい価値を創出していくのかというような視点で、アカデミックロードマップと対をなすような意味で、日本の産業のあり方、どんな価値創出をするかというあり方での議論がやはり、これはひょっとすると内閣府の方かもしれないのですけれど、産業という視点では、こちらからそういう形で提案をしていくのがいいのではないかと思いますし、一企業だけではなかなか、また、一産業界だけではできませんので、そんな議論の場があると大変ありがたいなと思います。よろしくお願いします。

  • 谷田部委員

    単なる感想といった感じになるのですけれども、当初の技術戦略マップというのは、1つ1つ尖っていて、それぞれはわかるのだけれども、何か全体像がちょっとわかりにくいなという感じがしていたのですけれども、この2008というのを拝見すると、各分野割と尖りが消えて、それぞれがきちんと整理されて、全部を見ると、日本の技術というもののあり方みたいなことがある程度将来にわたって見えてくるということになると、私はメディアにいるわけですけれども、やはりメディアにもどんどんこういったことを出していって、やはりこれを基本にして、日々の報道とか、あるいは番組みたいなものを位置付けていくような、そういう使い方もできるな、実際ちょっとやってみようかなと思うのですけれども、例えば今、話題になっている温暖化問題にしても、いろいろな分野がありますし、新しく入ってきた分野もあるし、そういったものを、どうしても我々のメディアというのは、個別に今、起きている、例えば中国の問題とかなんかああいうことに目がいってしまって、では2050年にどうなるのかというところまでなかなか考えが及ばないというところがあるので、そういった近視眼的な部分についても、これでかなり補えるのではないかということで、単に産業だけではなくて、ほかにもどんどんアピールしていただければと思います。

  • 橋本委員長代理

    ぜひ今、谷田部委員がおっしゃいましたように、これはメディアでも取り上げていただいて、国民に広く知ってもらう、それが応援になると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
     

日本企業の研究開発の動向と政策課題について

(土井研究開発課長より資料5に基づき説明)

  • 夏梅委員

    大変示唆に富んだ、非常に興味を持った資料にまとまっていると思います。

    特に私はここで勉強させていただいたオープンイノベーションのところで、アウトバウンド型、これは非常に的確な表現かなと思っております。私は従来から連携ということでいくと、垂直連携というのがあるのですが、そのほかに、いわゆるある目的を持って、それぞれの企業なり、産学のそういう人たちが集まって、いわゆる集積型で1つの目標をやっていこうではないか。例えば例として次世代の電池となりますと、二次電池となりますと、それぞれの部材も必要ですし、制御系も必要ですし、いろんな科学財でも必要なんですね。そういう人たちが寄り集まりましてやっていくということがこれから必要だし、実はそういう方向に今、少しずつ動いている感じはしておりました。

    そういうことで、そういうアウトバウンドの場の形成としていわゆる国の機関があるというのはやはり1つ重要なことかなと思っております。

    特に先ほどのまとめの中に、自分のコアの技術とコアでないものは外に求めるという表現もありましたが、実はそういう見方もあるのですけれど、例えば我々材料系の会社なんですが、従来ですと、合成化学とか、高分子科学とかいう科学、あるいは化学工学という人たちが研究員として入ってきたのです。現在はかなりそのウエートが減ってまいりましてというか、必要なんですが、電気とか、機械とか、制御だとか、シミュレーションだとか、バイオだとか、物理だとか、いわゆる従来の科学の技術者だけでは何もできないという段階にきておる。ですから、企業内でもそういう形になっておりまして、それを企業間と、そういう面での連携が広がっていくのではないかということで、そういう意味でのアウトバウンドということでの場としての産総研なり、あるいは大学、こういう形であるのは非常にこれからの1つの大きな方向かなと思って伺いました。

  • 中辻委員

    この強い特許という言葉が何カ所か出てきますけれども、本当に世界的に強い、インパクトの大きい特許のためには、個別の小さなところや最後のところではなくて、かなり基本的な特許、基本技術を含む特許がどれだけあるかということが影響するわけですけれども、その場合には、大学なり、公的な基礎研究もやっている研究機関と企業との連携が必要になる。

    最近、私が経験したことで、非常に日本の問題点だと思っていることがありまして、25ページの一番下に、国内だけ出願して国際出願を怠ると、ただで使われるだけという話がありますけれども、特許庁が、私の専門の幹細胞関連の国際特許動向の調査をしまして、私はそれの委員長を務めたのですけれども、最近、報告書が、かなり分厚いのが報告されて、かなりいいまとまったものだと思いますが、ただ、そのときのプレスリリースで、日本の本当の問題点というのが余り明確にプレスでは出てこなかったので申し上げますと、幹細胞関係の特許の日本の出願人のシェアというのが国内は40%あるのですが、アメリカは5%、欧米5%なんですね。たった5%しか海外出願していない。しかも出願しても権利確保をしていない場合が多いのです。

    ですから、特に大学の先生の場合が多いのだと思いますけれども、国内出願だけしてしまって、出願したというアリバイはつくれるけれども、実際に権利確保して国際的にしなければいけない。アメリカで権利を確保しなければビジネスに利用することはほとんど難しくなってしまうのです。

    これ、先生の問題とも言い切れなくて、実は大学の場合ですと、国内出願してPCT出願から海外へもっていくには、JSTだけが幾つかのグランドを出して支援していた。ただ、たくさん出願が始まると、JSTの予算は限られていますからなくなってくる。そうすると大学は自前の予算がない、人材も実は少ないわけですけれども、そうすると、すぐにある企業が利用価値を認めてライセンス料を出してくれるような特許であればいいのですけれども、バイオ関連のように、長期リターンというか、かなり基本的なところ、本当に強い特許は多分、すぐ2、3年でというわけにいかないでしょうけれども、そういうところは企業がすぐにサポートしない。そうすると、実はPCT出願、あるいは各国移行の段階でやめてしまうのです。権利放棄をしてしまう。結局それはかえってネガティブで、情報公開して自由に使ってくださいといっているのと同じになるわけですね、国内だけ出願すれば。

    こういう構造的な、システム的な問題があって、実際、現場を見ますと、私自身もある新しく京都大学にできた研究組織のヘッドをしているのですけれども、私のところは少しはそういうことも考えて予算的にサポートしようと思っているのですけれども、通常の学部、研究所ではそういう予算は全くないでしょうから、そういう意味で日本の大学、公的機関における特許出願の現場のところで国際権利確保ができにくくなっている場面があって、産業応用がすぐに見えるものであれば、その業界からのサポートがあるにしても、もっと基本的なバイオなりの特許に関しては、それは非常に難しい。そこをなんとか何かシステムを考えていただかないと難しいのではないかという気がします。

  • 菅野委員

    アウトバウンドというのは非常に大切な概念だと思います。

    例えば今や欧米の製薬会社は、一番大切な自分のところの化合物、あるいは薬を途中まで開発して、開発が失敗したものを自由に使っていいということで、大学にドネイションしている。そういう中から、新しい薬が生れてくるというようなことです。

    ちょっと気になるのは、ここですと、なんとなく日本の場合はアウトバウンドといったとき、日本企業の中で閉じているような印象があるのですね。これはアウトバウンドといったときは、やはりグローバルな感覚で見ないと、本当の競争力にはならないのではないか。そのときに一番問題になるのは、手の内をこっちも見せることになりますから、どうやって権利を確保していくか。そこのバランス、制度的なもの、あとは変な話ですけれども、英語でやりとりしなきゃいけないのか、日本語でやるのかとか、そういったことが実は細かいようでもきついわけですね。この人は取っていくだけだという感想が出ていましたけれども、実は英語ができないだけで、本当は日本語でしゃべらせたら非常にいいプレゼンをするという人が何人もいるはずなんです。だからそういうことも含めてアウトバウンドの環境整備、制度的な設計みたいなものは多分、大学とか企業でできることではなくて、もうちょっと大きい視野からやっていく、支援していく必要があるかなと思います。

    あともう1つ、やはり相変わらずベンチャーのファンドがこんなにアメリカと違うのはわかったのですけれども、EUともすごく違うので、これはやはり何とかならないのですかね。ぜひここはちょっと余りにもひどいのではないか。シーズの方もひどいという話があるのですが、ちょっとそれにしても差がひどいかな。これもぜひなんとかしていただきたい。やり方はそう簡単ではないと思いますけれども、税制とか、何かそういう方からでもてこ入れがあっていいと思います。

  • 宍戸委員

    産業界の立場から2つコメントを申し上げますが、まず4番の特許に関するところですけれども、企業との共同研究の場合に、知財戦略や最終的な研究開発目標に関して企業の意向が最近、大学・研究所側も受け止めていただく様になって来ており、これはこれで今後、うまくいくのだと思うのですけれども、一方で独自研究の部分について、ここに記載されていますとおり、大学・研究所の方でも最終的な知財戦略やターゲットを設定しなければいけませんよと書いてあるのですが、これはかなり難しいと思います。どんなシステムをつくっても、大学側の方だけの視点では、こういったものを幾ら企業のOBを雇っても難しいのかなと思っています。やはりここに少し工夫がいるのではないかな。

    欧米では、この隙間をビジネスにしようというような動きが今あります。実際、お金を集めてきて、大学の独自知財を自分たちで付加価値をつけて企業にライセンスをしていくというようなことを取り組んでいるように聞いておりますので、1つ参考になるのかなという点が1つです。

    もう1つ、今ありましたベンチャーですけれども、我々もベンチャー投資いっぱいやっていますが、ベンチャー投資というのは基本的に非常にリスクが高いのですね。ハイリスクですから、ハイリターンがなければ細っていってしまいます。もう日本の場合、統計上ベンチャー投資が増えていないというのは明らかな訳ですので、これは、技術シーズはいいんだけれども、全然ビジネスとして洗練されてないベンチャー企業が多いということだと思います。要するにファンディングしても研究開発に使われてしまって、ビジネスがなかなかクリエートされないというようなところに日本のベンチャーの問題があるのかなと思います。アメリカでしたら、そういうのはエンジェル的に育てるとかいう文化も、仕組みもあるのですけれども、日本はどうもベンチャーファンドがそれを肩代わりしているような気がしています。アメリカ、欧州もそうですけれども、ファンドの規模がどんどん巨大化しています。1,000億円ぐらいのファンドというのは最近、一般的になってきています。日本は100億円ぐらいのファンドですので、やはりベンチャー企業を最後まで育てるというのは時間も、お金もかかりますので、この辺も少し工夫が必要なのかなというふうに思っています。

    この2点です。

  • 五條堀委員

    私も大所高所からということなので、幾つかコメントをさせていただきます。

    まずオープンイノベーション、それから、非連続イノベーションという切り口で、やはりMETIのプロジェクトがよく整理されたということは非常に高く評価されるのではないかと思います。

    その意味で、その立場を認識しながら、特にアカデミックな立場から申し上げますと、私は3点ほどの問題があると思います。全部アカデミックではないのですけれども、1つはやはり今、大学等におきましてはポストドックの行き場がない。それから、大学のトップの方々が集まると人件費の話しかしてないのですね。これは明らかに特任教授、特任助教授、特任助教など、いわゆる研究人材インフラが極めてテンポラリーといいますか、3~5年したらどうなるのという問題がある。

    やはり基本的にこれは産業界がドクターコースその他をより受け入れる、あるいはアカデミーに戻していくようなことが必要。そういう人材基盤をやはりロードマップの底辺に入れておかないと、これはとても危険で、大学の方から崩壊していくような、そういう危機感を持ちます。

    それから、2点目は、やはり今、御指摘がありました大学ベンチャー、これも死の谷をくぐれないところが多々出てきている。幾つかの手は打っておられますけれども、やはりファンドの問題ですね。つまりお金がない、お金が出せない。出せたとしても評価ができない。ここの問題は、何としても手をつけなければいけないだろうと思います。

    それから、3点目は、これはアカデミックではないですけれども、やはりブラジル、ロシア、インド、チャイナといったBRICsから、VISTAというベトナムその他の新興国の今後をこのロードマップの中でどういうふうに考えていくのかや表へ出す必要がないとしても、ちょっとやはり新興国、あるいは資源国の今後のあり方、最近ではアフリカへの視点も考慮する必要があるように思います。

    そういう見方からしますと、ちょっといただいた資料の資料4の2枚目、1ページ、平成20年度のイノベーションプログラムIPG予算総額が平成20年度で1,986億円、19年度で2,129億円ですから、若干減っているところも問題なんですけれども、大抵2,000億円というのが、文部科学省における科学研究費総予算とほとんど同じですね。それがかなり重点、集中的にやられているというのは評価できるかもしれないけれども、やはりオープンイノベーション、あるいは非連続イノベーションを実際に戦略的に行っていく上で、この2,000億円で大丈夫なのか。恐らく担当課長さん等についてはお金のなさがお困りである。それを財源の厳しい中でどうしていくか。

    一方、資料5を見ていただけますか。資料5の2枚目、2ページ、これも非常によくまとめてあると思うのですけれども、横軸に企業名が書いてあり、縦軸にR&Dの投資額、これは2006年度ですが、書いてあります。それで2,000億円以上のR&D投資をしているのを見ますと、ちょっと名前をあげて失礼ですけれども、NEC以上で11社。1,000億以上にしますと、NTTドコモ以上で15社あります。今、私が簡単に計算したら、11社、つまり1社、2,000億以上のR&Dを投資しているところの総額が、間違えているかもしれませんが、総額で4兆7,500億円。もし1,000億円以上投資しているところの26社をいきますと、約7兆円もあるのですね。そうするとこの1%でもいいから、いわゆるオープンイノベーションマインドという形で、もしそれを政府主導なりで確保していただけるならば、1%で700億円を超えるわけです。3%だったら2,100億円いくわけですね。ですから各社の自由競争というのはまさにそれは大事なことですけれども、やはりロードマップだけでなくて、それを実行して誘導できるお金の確保をどう知恵として持っていくか。ちょっとそういう大きいことを考えていただくと、これは途端にイノベーションプログラムの予算額が倍になってくる。そうすると、これはかなりダイナミックに動ける。しかもそのリターンが各社にやはりアウトバウンドにしろ、インバウンドにしろ、イノベーションの成果として戻る。

    ちょっとやはりここのストラテジーまで含めていかないと、なかなかこのお金の流れの知恵はあっても、実行ができない。そこをやはり打破する必要があるのではないかというように思いました。

  • 伊藤委員

    1点、ジャストアイデアですけれども、提案と、それから、1点、コメントを申し上げます。

    先ほどの知財の件で、中辻先生からもお話がありましたけれども、国内での出願と、それから、海外での出願で、企業の方から海外出願しないとまさに敵に塩を贈るようなものだという厳しい指摘がありました。

    一方、現場は、先ほどの中辻先生のお話がありましたように、海外出願というのは非常にお金がかかって国内出願の何倍もかかるということで、例えば産総研で申し上げると、一定の割合にフィルターをかけて、それで予算の範囲内でやっているというのが実情でございます。

    そういう意味で申し上げると、それが不十分だということであれば、やはり企業サイドあるいは産業界の方で海外出願を支援する。何かそういうファンドのようなものを共同で立ち上げていただいて、大学、国研、そういう非事業体が出願する国内特許の中で、まさにこれはビジネスにとって大事だと思うものを選択して、それを補助する、支援する。そういうメカニズムがあってもいいのではないか。それはまさに受益者負担的な意味もあり、ある程度合理的なんではないかというふうな気がしております。

    そういうものにしていかないと、これは議論だけではなかなか先立つものがないということもあって、議論は幾らでもできるのですけれども、かといって進まないという状況があるということを申し上げたいと思います。

    それから、もう1点、コメントですけれども、この40ページの中で国際標準化の問題です。これについては産総研の名前も出ておりますので、ちょっと紹介しますと、産総研も発足以来、従来も含めてですけれども、さらにこれについては努力をしてまいりまして、2001年にできてから7年間の間に、国際標準の提案を総数48件、これは提案してISO、IEC、その他の標準化のプロセスに載っております。国内標準は53件、提案したりしております。これらは産総研の予算と、それから、経産省の基準認証研究開発事業、それから、NEDOの標準化、それらを合わせて年間4億円ぐらいの形で今、進めております。それから、人材も、全体、標準化の国際でいいますと30名弱役職者を出しておりますが、しかしながら、日本全体でいうと10%未満弱になっております。

    そういうことで、産総研も日本の重要な標準のセンターとして今までこのような努力をしておりますが、今後、ますますこういう政策の中で活用をしていただきたいなと思いますし、我々もまた努力をしていきたい。そういうふうに思っております。
     

今後の研究開発政策の展開方策について

(土井研究開発課長より資料6に基づき説明)

  • 吉澤大学連携推進課長

    幾つかのお話をいただいておりますので、順不同になりますけれども、話を少しさせていただきたいと思います。

    まず大学ベンチャーに関して、これは私ども毎年、大学ベンチャーの現状を調査しておりまして、その課題に対してどのように対応したらいいかという検討をさせていただいております。今日のお話にもございましたけれども、資金の問題、それから、大学教員が経営者になっている場合が多いのですが、必ずしも経営面でうまくいっていないという問題、それとシーズ寄りの技術を用いた事業の場合、販路を一から開拓しなければならないという問題がございます。

    特にお金の問題でございますけれども、今回の税制改正によりまして、エンジェル税制の拡充といったものを行っております。これは最初のエンジェル税制、お金を出した段階でメリットがあるように改正を行うというものでございまして、これで初期段階のところについてお金が流れていくということを期待しているわけでございますけれども、やはり根本的に大きな問題というのは、今日のお話にもございましたけれども、経営の問題、要は優れた技術はあるのだけれども、それをビジネスの形にしていくことがなかなかできないという問題、これは根本的な問題になっております。

    我々、例えば企業OBの方を、中小企業庁の事業になりますけれども、「新現役チャレンジプラン」というのがございますが、その中で、ベンチャーに対し、例えばメンターとして様々なサポートをしていただくとか、中小機構の事業を使いまして経営支援をしてもらうとかということをやってもらっているわけですけれども、やはり経営を担っていくということをどうしていくかということが大きな問題になっております。これはまだ引き続き皆さんとも検討していかなければいけないところでございます。

    ただ、ベンチャーの問題というのは、別にベンチャーがそのまま大きくなってIPをしていくだけが出口ではございません。大企業とアライアンスを組んでいく、大企業はそれを吸収していく、いろいろな形もあるところでございますけれども、日本の場合、お金の問題と合わせて、大企業とベンチャーとのアライアンスが全然進んでないといった点も大きな問題であります。

    その意味でいきますと、まず大企業の方々の方にもベンチャーとの連携というのをお考えいただきたいということと、それから、ベンチャーを担っている経営者の方においても、どうしたらこの技術が具体的に世の中に出ていくのかということを考えていくということが非常に大事なところになっているのではないかなと思っております。

    それと産学連携のそのもののところでございますけれども、これもTLO、私ども平成10年度以降、支援をさせていただいてきておりまして、機関数も今年の3月時点で48になっております。ただ、ほとんどのTLOが赤字に苦しんでいて、うまくいってないという状況でございます。これはもともとTLOと連携している大学の方で考えますと、年間の特許出願数がせいぜい20~30とか、そういうところでもTLOができていたりして、そうすると、そこが独立した機関で回っていくのはなかなか困難だという状況があります。そうした中で幾つか動きが出ておりまして、例えば東工大のように、外部にあったTLOを内部に取り込むことによって、中の様々な産学連携組織と一体化していく。あるいは東大のように、むしろ外に置くメリットを強調しながら、東大本体の業務をアウトソースし、それで一体としてやっていくところ、あるいは組織的には外部機関であるけれども、大学の内部の産学連携本部というのを強化し、それとの連携性を強化することによって一体として動かしていくような、これは九大や北大がそうですけれども、いろいろな動きが出ているところでございます。

    今年度から私どもが始めたものは、ばらばらと小さなTLOのままやっていきますと、なかなかうまくいかないというところもございますので、地域の中核となるような組織を意図的に育てていこうということを行っております。

    それは大学の組織とも一体としながら、地域の中で連携をし、そうした核となるようなところに積極的に支援していく。さらに今日、アウトバウンドの議論もございましたけれども、単に大学の知を産業界に転移していくというトランスファーという概念だけではなく、広い意味での連携を進めていく。ある意味、民間企業と大学を結びつけることによって新たな価値を生み出していくような産学連携、まさしくアウトバウンドの考え方と思いますけれども、そういうことができる機能をTLOに求めていく、我々はそこに「プロデューサー」という考え方を入れようと思っているのですけれども、そういう新しい価値をプロデュースしていくことができるような組織に変わっていく、そういったところに対して集中的に支援をしていきたいと思っております。

    ちなみにですけれども、我々は従来、TLOに対しまして、国際出願の経費の方をサポートさせていただいております。JSTは大学が国際出願する場合の経費を支援しているのですけれども、TLOが国際出願する場合には、私どもの方から支援をさせていただいておりまして、これも継続的にやっておりますので、ぜひTLOの国際出願の経費というのは使っていただいたらいいのではないかなと思います。

    それと人材育成に関してですが、この資料6の3.のところで産学育成人材パートナーシップの話を書かせていただいております。この中で例えば化学分野におきましては、ドクター課程の人材育成をどうするかということが主眼になっておりまして、産業界の方でも積極的にそのドクターを活用していく、だけども大学におけるドクターの育成プロセスについても見直してもらわなければならない、ではどういうドクターの人材が必要であり、どのように育成していくかということを産と学が連携しながら議論をしていただいているところでございます。

    また、材料分野では、ぜひナショナルプロジェクトの中で合わせて人材育成をやっていくということをお願いしたいという要望も出ているところでございまして、これはまだオンゴーイングで議論をしているところでございますけれども、こういった中からできるだけ具体化をしていきたいと思っております。

    以上です。

  • 橋本委員長代理

    先ほどのデータの中でちょっと重要なことが、実際に現場でやっていて感じるのは、アウトバウンドに関して、あるいは特にアウトバウンドの中の国プロを使っている場合に非常に感じることなんですが、海外企業をどうするか。あるいはアウトバウンドするのに、海外にどのように考えるかということが、特に国のお金を使ってやっているときは非常に気になるところなんですけれども、その辺に対する考えを少しお伺いできればと思うのですけれども、どうですか。

  • 土井研究開発課長

    もしかしたら振興課長の方からもっと正確な御説明があるかもしれませんけれども、NEDOのプロジェクトの中で、研究開発する現場が国内にあることというのが1つの参加の要件になっております。生産拠点や雇用というのは努力規定的には定められておりますけれども、最終的につくる場というのは今、グローバル化しておりますので、外につくることは多々あります。ただ、研究開発する場自体が外にあるということであると、それは少しナショプロの対象ではないのではないかということになっております。

    そういう観点で、海外と連携して価値がより向上していくということであれば、海外企業、また、研究機関が入る意義はあると思いますので、今、これまでになく前向きの方向でNEDOとも議論を始めているところでございます。

  • 菅野委員

    新しい第4期の基本計画に向けて、多分もう少しリスクを持った研究をやっていった方がいいのではないかというのが随所にあらわれていると思うのですけれども、これは僕は正しい方向かなと思うのです。やはりそういう方向を進めていただきたいと思うのですが、このときに考えなければいけないのは評価ですね、いってみれば、これはリスクを取れば取るほど成功率が落ちるわけで、これがどう評価にはね返るかで全くビヘイビアが違う。ですので、日本の研究は、予定どおりできましたという研究が多くて、アメリカの研究は、思いがけない結果が出たという研究が多かったという、そういう調査結果もありますが、これは端的に言って評価が、要するに罰点主義なのか、我々は罰点主義で上から下までずっとやってきましたら、そういう人たちがトップにいるので、何で悪いのだ、おまえたちはどうして最初からわからなかったんだ。そういう評価なんですね。

    ですから、これを全く変えてやるのは大変だと思うのですけれども、そこのところからやっていかないと、こういう計画を立てても、5年後に評価した結果、この計画はだめだったという評価がつくのはもう目に見えているわけですね。リスクを取れば取るほどそうなるわけですから。ここいら辺もしっかり考えた上で、そういう非常にイノベーティブな方向へ研究を投資していく。多分企業の方でもなかなかそういうことはできなくなったので、できることは企業に任せて、できないことを国でやってほしい、そういう要求が随所に出ているのだと思うので、そこもくんで、それで成功は確率的に起こるのですね。日本で金をつぎ込んだからうまくいくというわけではなくて、わけのわからない国で何かほっと出たりするわけです。

    だから確率的に起こることをうまく吸い上げて製品までするのが非常にアメリカがうまい、ここのノウハウを経産省はやはり日本に根づかせるべきではないか。そのためにはどうしていくかということを考えていくべきだと思います。

  • 東嶋委員

    国際出願の特許の問題、非常に重要だと思います。先ほど、中辻先生からもお話がありましたけれども、TLOに関しては経済産業省からお金を出しているというお話、それから、大学についてはJSTから出願の費用が出ているというお話でしたが、資料6では、今まで国際出願をしなかった理由として、財政力とか、それから海外での権利侵害を訴えるキャパシティがないといった課題が存在と書いてありますね。ですから国内出願はしているけれども、なぜ国際出願をしないのかという今までの事例とか、それをもうちょっと根本的に検討していただいて、本当に財政力が問題ならば、それはやはり研究費は文科省が非常にたくさん持っていますので、文科省とも検討して、財政力をもっとつける、あるいはキャパシティ、権利侵害を訴える人材とか、時間などがないんだったら、それをきちんと補うというような、もう少し根本的にどこに原因があるのかというのをつきつめていただきたいのですが、いかがなんでしょうか。

  • 土井研究開発課長

    JSTの方も、30億円でしたか、その支援事業をやっていらっしゃいますし、吉澤課長から紹介があったように、当省も支援はしています。私はその現場のところをつぶさに知りませんが、企業の声を聞いていますと、国際出願を公的研究機関が継続的に担うのは、財政力として不可能ではないか、それから、事業主体ではないので、侵害があった際に、世界どこでも出ていって訴訟を起こしてやるということもほとんど機関としては無理なのではないかということが指摘されています。私も同感です。

    そうすると、知財を実施する主体は民間企業であるので、企業との連携で何かしらの対応を図っていくしかないのではないかなということが、こちらに整理した問題意識でございます。そういう意味で、知財の産学連携というのをかなり早い段階から深くやっていかないと、そういうコストをどう負担するか、権利行使をどうするかということについて、大学や産総研みたいな公的研究機関だけでは構造的に難しいのではないかというふうに思っております。そこで知財の産学連携というのを今後、我々の課題としても考えていきたいと思っているということでございます。

  • 橋本委員長代理

    先ほど、伊藤委員の方から、民間がそういうファンドみたいなのをつくってはどうかというような御提案もありましたけれども、それは国が主導することではなくて、民間が考えることということでしょうかね。

  • 伊藤委員

    資料6の今後の方向性の中で、早い段階での産学官連携ということを担っておりますけれども、これはこれでいいと思うのですけれども、これに加えて、産学官連携の中で、国際特許、国際知財の視点を強く打ち出すというのは全く賛成で、これはこれでいいと思いますが、一方、産学官連携で生れた知財だけでなくて、いわゆる大学、独法が独自にやっている中で、先ほど来、出ているような非連続なイノベーションにつながる話というのは、多分たくさんあると思いますし、そういう意味でいうと、かなり先物の知財というのは出ているはずなんですね。

    問題はそれがなかなか目利きができなくて、産総研もそうなんですけれども、そのうちのどれをかなり高いコストをかけて出願し、メンテすべきかというのはわからないというのもあるのですけれども、それは企業も同じなんですが、いずれにしても、企業の側からそういう問題意識があるんだとすれば、連携で生れた知財だけではなくて、一般的な大学と国研の知財に関しても、何らかの企業側からのサポートの体制というのはあっていいのではないかというのが先ほどの私の趣旨です。

  • 中辻委員

    確かに今、土井課長がおっしゃったように、各国移行で、それに審査に対する対応、それを全部やっていくというのは公的な資金でやるのは無理だと思うのですね。ただ、そこにいく、PCTからあきらめちゃうというところを、そこはまずやってというふうなところを公的なところが支援する。その後どうするかというところで、やはりそこにベンチャーというところが重要な役割を果たすと思うのです。

    既にエスタブリッシュした企業が自分たちの経営を考えながら、どこに投資するかということで、連携というのは大事なんですけれども、連携というと何となく義務的なものになってしまったり、実際にさっきもだれかおっしゃいましたけれども、ずっと先に大きく発展するかもしれないが今はわからないというふうな技術知財を本気で権利を確保するとともに、それを実際に役立てるまで発展させることをチャレンジしてみる、リスクは高くて失敗する可能性の方が実は5割以上だけれども、ためしてみる、やってみるという人があらわれるかどうかというところが大事だと思うのですね。

    それは多分アメリカだけがいいわけではないですけれども、ベンチャーというところで、失敗をすることは十分あっても、トライする人があらわれて、それが大きくリターンを生むかもしれないから、投資するファンドがあってという形でうまくいっている。

    ですから、基礎研究なり、大学なり、公的機関で生れたシーズが一方にあって、一方でもう自分の経営をちゃんとしなければいけない大企業があって、その中間のリスクを取って、権利確保とともに発展させるのは、やはり身軽なベンチャー、失敗しても別に恥ではないベンチャーだと思うのですね。そこが日本の場合、ベンチャーをつくれといったらつくってみましたというだけで、数だけはふえたというふうなことで実質が伴っていない。そこには何度も出てきています人材というのが大事で、大学における研究でもないし、それをいかに産業化していくかというところの芽の部分を育てることができるような企業、ビジネスと、研究と、テクノロジーと両方持った人材、あるいは補完し合う人材が必要だと思うのですね。

    先ほど出たように、日本におけるベンチャー投資の金額、これは実際に比較できる数字なんですね、このグラフ。これ、いやになるくらい違っている数なわけですね、EUと比べて。日米欧の3極の経済大国であるはずの日本で、ベンチャーへの投資はこれだけ違うというのは、恐らくひょっとしたらインドとか、中国とかと比べたときにどうなのかわかりませんが、非常にこれは問題ですね。大学人なり、研究側の人がベンチャーをつくるときの意識、ベンチャーにリスクを持って取り組むもの、それと社会的な風土もあると思うのですが、例えばバイオベンチャーに関していうと、ファンドは最初、できたバイオベンチャーを盛りたてて投資してくれた時代があるわけですね。その後、バイオはリターンがうまくいかないというので全部中身を見ずに「バイオはだめ」という一言でやめた時代が今、続いているのですけれども、そういうふうなやはり全体の風潮で動くのではなくて、ちゃんと価値を見極めて、自分で考えてやれるような人材がいろんな場面で、いろんな段階で必要だということがあります。一言でいえば、ベンチャー投資の小ささというのがひとつ象徴的にあらわれているような気がします。

  • 堤委員

    今回のこの提案というのはかなりよく考えられて、本当にこれがちゃんと機能すれば、かなり我が国の技術開発に対して非常に資するところがあると、まずは拍手をします。

    ずっと聞いていて考えていたのです。やはりこれはある意味、大学にとったら、アカデミアにとったら、何か突きつけられているものがありまして、それは何かというと、基本的に大学は自分がやっていることを別にビジネス展開するとか、恐らく多くはそういうところに興味があるのではなくて、これはおもしろいから、これは便利だからというのでやるわけですね。ところがそれを産業化していくとかいうところには、やはりそこまで考えなくちゃいけないということを1つ突きつけられている。

    ところが自分のこととかを考えると、それはやはりちょっと無理だよなと思うわけですね。

    多分恐らく先ほど目利きというお話が出ましたけれども、そういうアカデミックな、学問的な技術の本質論というのとは別に、それが産業技術としてどういう展開をしていくかというようなことを判断でき、かつそれをこういう形で枠組をつくっていける。すなわちプロジェクトマネージャー、先ほどですとプロデューサーですか、多分その役割がものすごく重要で、その役割が例えばどこに、どういう形で、どう用意していくかというのが多分一番本質的なんではないかなと思うのですね。

    先ほどのお話ですと、要するにだれがその目利きになるのか、だれがピックアップするのか、だれがそういうオーガナイズしていくのかというのがちょっとよくわからなかったのですけれども、何かお考えですか。

  • 土井研究開発課長

    ベンチャーについては、前回、シリコンバレーで回っているメカニズムを御紹介したことがありますけれども、御指摘にもありましたとおり、アメリカのベンチャーは巨大化して、レイターステージの方にターゲットは移っており、それを補っているのがアーリーステージのエンジェルとか、また、そのネットワークでありまして、スタート段階、シーズ段階のものにお金が回っているわけです。

    大金持がいないという日本の社会構造の影響があるかもしれませんけれども、そこはネットワークを組んでメンター機能を発揮することが大切と思われます。先ほど科研費の域を出ない提案書とございましたけれども、アメリカの大学の学生でも初めは同じかもしれないので、これをどのように、ビジネスプランにしていくのかというメンタリング機能が米国では非常にしっかりしていて、それがネットワークになってシリコンバレーで動いているというと感じました。そういうものが日本にないということで、それを育てるのは施策として十分やる必要があると思いますし、それがないのは致命的なナショナルイノベーションの欠陥だとも思います。

    他方で大学の生み出した知恵を市場化していく日本的なやり方について考えますと、ベンチャー的なものを育てるにしても、日本はやはり大企業がかなり中心的な存在なので、したがって、これよりも一歩踏み込んだ産学連携という意味で、堤さんがおっしゃるとおり、先生方に国際的にどうビジネスを展開するかなんていうことまで考えて研究してくださいというのは不可能だと思いますので、そこは民間企業の方との知識や情報のつながりをより強化していくということが日本的な解決方法の大きな部分ではないかというふうにも思います。ベンチャーも重要でございますけれども、大企業の方も、これまでになく産学、ナショプロ、公的研究機関との研究について密接なタイアップをしてやっていくことが重要であり、今後、取り組まなければいけないというふうに考えている点でございます。

  • 徳増審議官

    大変熱心な議論ありがとうございました。

    まずは土井課長のところにお礼を言いたいと思うのですけれども、この研究開発小委員会は往々にしてちょっと分野ごとの議論になりがちだったところを、大変いいまとめをしていただいたおかげで、我が国の本当に国としての政策に関わる非常に重要な議論ができたのではないかなと思っておりまして、ありがとうございます。

    何点かコメントをさせていただきたいと思いますが、まず全体論のところについて、五條堀先生の方からおっしゃっていただきましたけれども、こんなんで大丈夫か。全然大丈夫でないのだろう、こう思っておりまして、道路財源が一般化された折には、半分ぐらい研究開発に任せてほしいな、こう思うわけでございまして、そのぐらいやはり将来に対する投資というのをそろそろ物的投資から知的投資に変えていく必要があるのではないか。こういうふうに、ただ、これは国会議員の先生方を含めてみんな思っていても、一朝一夕にはいかない、こういうところはありますけれども、徐々にそういう方向にいくべく、制度全体の中の議論をぜひ高めていきたいな、こういうふうに思っておりますので、委員の方々もぜひいろんなところでそういうふうなことを発信していただければありがたいな、こういうふうに思っております。

    それから、2点目は、今、まさにいろいろ議論していただいていますベンチャーとか知財の話でございますが、これは社会環境もいろいろ違うので、アメリカがいいからといって、では全部アメリカ型にするかということにもなかなかいけない。日本独自なシステムというのを提案をしていく、あるいは模索をしていく必要があるのだろう。こういうふうに思います。

    その基本はやはりオープンイノベーションというような形で、中に閉じこもって考えるのではなくて、本当に必要なリソースというのをグローバルに求めて、それをそこから新しい価値を提案していく。こういうことを考えていく必要がある。そうすると別に国内の技術だけである必要もないし、国内の人材である必要もない。世界全体に目を向けていく必要があるわけでありますけれども、まずは国内のリソースも使えずに国際的なリソースが使えるか。こういうようなところがあるわけでございまして、そういう視点から見ますと、今、例えば大学の知財が国際特許を出願できてないなんていうのは、実はそれはものすごい大きなビジネスチャンスがそこにあるわけでありまして、それをどうビジネスにつなげていくかというところに利益が生れるのだとすると、先ほど宍戸委員の方からありましたように、実はもう国際的なそういう集団が、日本のそういう技術をビジネスにつなげて、自分の利益につなげようなんていう動きも出ているわけでありまして、そういったようなものを、ではだれが本当に活かしていくのかというのを考える必要がある。それは多分双方向だと思いまして、大学側がそういう思想を持つ研究者というものをある程度持っているということも当然必要でございましょうし、あるいは民間企業も、そういう草刈り場のところにさまざまな価値を生む知識があるということであれば、それをいかに求めるか、早い段階で自分のものにするかという、そういう意識を持っていくことも必要だろうというふうに思っております。

    そういうものがうまくつながっていくために、ベンチャーというシステムが世界の中で機能しているのだとすると、日本の国に適したベンチャーの仕組みは一体何だろうということで、みんながやはり他人の問題、あるいはだれかがやってくれるというふうに考えるのではなくて、みんなでどうやったらつくれるかという議論を高めていく必要があるだろう。こういうふうに思っておりまして、今、土井課長の方からありましたとおり、ベンチャーがベンチャーの問題ではなくて、日本の社会全体のシステムの問題だ。こういうふうにとらえますと、日本社会の中でやはり大企業の果たしていた役割は非常に大きい、今でも大きいわけでございまして、それがうまくビルトインされた形での仕組み、日本的ベンチャーシステムというようなものを考えていく必要があるのではないかなということで、アウトバウンズなんていう話もありますし、我々の方では、カーブアウトというような大企業の中のリソースを、ベンチャービジネスの市場の中にリソースをどう出していくか、活用していくか、こんなようなことも議論しておりますし、そういうような視点で、日本らしいそういうシステムというものをつくっていく必要があるのではないか。そのためにきょう、契機としていろんな議論をぜひ皆さん方の方でも深めていっていただければありがたいな、こういうふうに思っております。

    とりあえずコメントでございます。

  • 橋本委員長代理

    きょうは委員の皆様方が大変大きな視点から重要な御示唆をいただけたのではないかなというふうに思います。

    それで今日、本当にそういう意味では、ちょうど第4期の科学技術基本計画に向けて議論をスタートしなければいけないというか、もう十分しなければいけない時期でありますし、それから、きょうは本質的な問題を幾つか提案、疑問を出していただいたと思いますので、ぜひ私は委員長代理の立場で不遜ではありますが、宿題としてこの委員会の重要な役割ではないかなと思いますので、きょうのことを踏まえて大きな枠組について少し議論をしていけるような方向性を出していただきたいというふうに思います。
     

その他

  • 土井研究開発課長

    次回の日程に関しましては、また委員の方々と事務的に調整をさせていただければと思います。

    議題の方は、橋本委員長代理の方からございましたように、少し大きな枠組、特に第4期に向けてどういうことがやるべきなのかという論点整理のようなものを含めて御相談していきたいと思っております。

    それから、本日の議事につきましては、無記名の議事概要を事務局に御一任いただいて速やかに公開したいと思っております。それから、1カ月以内に議事録の確認を事務的に各委員の皆様にさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 
 
最終更新日:2008年7月8日
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