経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第25回)‐議事録

日時:平成21年2月6日(金)9時30分~12時
場所:経済産業省本館国際会議室

議事概要

中長期的な研究開発政策について(資源配分論(総論))

土井研究開発課長より資料3に基づき説明
徳増研究開発課課長補佐より資料4に基づき説明
土井研究開発課長より資料5、資料6に基づき説明
岡田総括技術戦略企画官より資料7に基づき説明
土井研究開発課長より資料8に基づき説明
  • 橋本委員長
    今、たくさんの資料を御説明いただきましたけれども、大体イメージはおわかりかと思いますが、議論していただきたいのは最後の資料8の2つのポイントであります。2つのポイントと言っていますが、実際にはその第4期の科学技術基本計画の立案に向けた大きな議論であります。
    委員の方々、たくさん御意見があるかと思いますので、きょうはたくさんいただきたいと思っておりますが、1時間強残っておりまして、この間、特に分類しないで御意見をいただこうと思っております。ただ、1時間では当然言い切れないということもあるかと思いますので、終了後、まだ言い足りない部分、あるいはその後、思った部分については後から、次回までにメモの形で事務局の方に出していただきますと、それを取り込んだ形でまた資料をつくっていただくということになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    では、発言を希望される方は前の委員会と同じようにネームプレートを立てていただいて、それで置いていただければ私の方で、その順番でさせていただきたいと思います。
    どうぞ御自由に、広く、どこからでも結構です。
    では、川合委員、どうぞ。
  • 川合委員
    たくさんあるので、これからたくさんいろいろな意見が出ると思うのですけれども、その資料8に書かれているような論点の関係で、まず二、三だけ少し御意見を言わせていただきたいと思います。
    グローバル戦略という点でまだちょっと足りないかなと思っているのですが、一番最初の徳増さんのアンケートの方ではそういう観点でのアンケートはしていないのですよね。
  • 徳増研究開発課課長補佐
    グローバルという視点ではやっていないですね。
  • 川合委員
    そうですね。あと土井さんの話されたところでかなりおもしろいデータがあるのですが、1つ強調したいのは、これからの世界の中での、孤立した日本ではないグローバル戦略で海外の人材、特に若い人材をうまく取り込むというふうな観点が第4期では非常に重要だと思っているのです。これは実は世界のデータの解析の材料、ナノテクが日本は強かったけれども、ちょっと下がっているよ。韓国、中国はふえているというふうなときに、もし韓国とか中国の非常に若くて優秀な人を日本に採ってやってもらったら、これまた逆転するわけですね。そういうふうな意味で、多分第4期のときは余り国内だけではなくて、グローバルで人材をうまく吸い寄せたり、そういったところもかなり検討課題として入れるべきなのではないかなと思っています。
    それからもう一つだけ、まあ幾つかあるのですが、もう一つだけ言いますと、ニーズとシーズ、それから方向性というものの立て方ですか、戦略の立て方ということがあるのですけれども、最後に岡田さんが説明したものでしたっけ、ほかの委員会のところで、何ページだったかな。
  • 橋本委員長
    資料7ですね。
  • 川合委員
    そうですね。8、9あたりだったかな、これですね、基本問題小委員会の8ページとか9ページですね。要するに、言葉で言うと、どっち側から入るかだけではなくて、シーズの方とニーズを結びつけるトランスレーショナルなところ、そこが非常に問題だと思っているのです。今、重点課題に選ばれているものも、全部たどってみると一番最初はほとんど基礎的なところからやっていて、完全に芽が出たところで急に重点課題になるのですね。基礎のシーズのところではかなりそういうふうになりそうなものがほかにもあるのだけれども、なかなかそれが埋もれていたり、せっかくお金をたくさん注ぎ込んでも全部活用されていない。だから、今後の社会システム、次世代社会システムというものを見据えてやるという方向性は私も賛成なのですが、それを本当に実現するためにはやはりシーズとニーズとうまく結びつけていくようなトランスレーショナルなリサーチ、そこのところをやはり第4期ではかなりきちんとやるべきではないかなと思っています。
    これは実は環境などに対しては非常に重要な問題で、日本の大学で環境学科というのはたくさんあるのですけれども、そこの先生はほとんど基礎知識がなくて、ほとんど新聞やテレビで言われたのをそのままコピーして話している場合が多いのですね。だから、根本的なイノベーションに結びつかない人たちが多いのですよ。それは批判が出ています。だけれども、もうちょっと基本的なところからうまくシナリオをつくって、日本オリジナルなものを出していくというような、何かそういった道筋が第4期では非常に重要なのではないかということで、ちょっと2つほど意見を言わせていただきました。
  • 橋本委員長
    どうもありがとうございました。
    では、続いて川上委員、どうぞ。
  • 川上委員
    京都大学の川上でございます。
    私は総論というか、この資料8のところなのですけれども、まず全体の枠組みで、現在3つの理念で、3つ目の健康と安全を守るというふうに書いてあるのですが、これは余りナンセンスでして、普通、海外では健康というのはプロテクトするものではなくてプロモートするものなのですね。ヘルスプロモーションと言われています。ですから、健康と安全を推進するというような、健康を推進する方がニーズというか、産業を生むのではないかというふうに思います。
    2番目の論点のシーズとニーズの話なのですけれども、ライフサイエンスの分野、あるいはヘルスケアの分野ではいろいろな分野によってそれぞれ違うと思うのですけれども、シーズからニーズよりもニーズからシーズしかあり得ないと思うのです。なぜならば、我々は健康になり過ぎることはできません。降圧剤をつくって血圧を下げ過ぎたら人間は死んでしまいますし、どんなにお金持ちになっても、人間が食べる量には限りがあります、胃袋というのは決まっていますから、サイズが。それ以上食べると病気になるということがありますので、そうするとじゃあどういう体と健康というものがニーズがあるのかということを考えないと、研究開発というのはしても意味がないのですね。我々はその失敗を繰り返しています、ライフサイエンスでは。そう考えたときに、これから30年後の日本というのは人口が1億人も切るわけですね、日本人は。ということで、じゃあ社会構造を考えると、どう考えても年寄りがふえる。これは日本だけではないです。世界、ヨーロッパも年寄りだらけになります。そうなると日本にたくさん年寄りを呼べるようなというか、日本がエイジフリーの社会になっていて、そしてそれがアメリカ、ヨーロッパのお金持ちが日本に別荘をつくって住もう、そこで税収が入って国も潤うというような形をつくった方がいいと思っています。すなわち、例えばヘルスケアとか介護もそうですし、あるいは医療機器、デバイス、あとは交通とか福祉の、まあ看板を大きくするとか、看板を英語化するとか、そういうことも含めてつくっていく。それで外人がふえれば、外人のその人たちにボランティアでアサインして、こんな会議も外人ばっかりにしてしまってもいいですし、あるいは教員をつくってもらって小学校の授業をしてもらうとか、教育はもっと大きな問題にこれからなっていきますから、というようなことをする方がいいのではないかと思っています。
    とは言っても、それが本当の意味でのオープンイノベーションということにつながるわけで、じゃあ実際に具体的な戦略としては余り話しませんけれども、ヘルスケアや介護に関しては、産総研などをオープンの形にして、病院の医者の教育というのはこれから必要なのですね。医者というのは医学部を出ても医者にしかなりませんから、違う分野に行く人が少ないので、そういうことにシフトするような水をやる。産総研のところに医者を呼んだり、あるいはニーズがない研究はもうやめさせるとか、そんなようなこともしてもいいのではないかと個人的には思っています。
    あとは、そうは言っても日本の医療保険というか、薬の問題もそうなのですけれども、日本は薬事法という法律と、あと医療の分野も医療保険の制度があるので、完全にそれを実現できるかというのはまた技術だけの問題、あるいは産業構造だけの問題を話しても仕方がないかもしれないので、それはまた次回以降御説明します。
    以上です。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    しばらく御意見をいただこうと思いますので、では、次に前田委員、続きまして西島委員ということで、前田委員、どうぞ。
  • 前田委員
    大学の産学連携のところに関わらせていただいておりますので、産学連携のことについて二、三お話ししたいと思います。
    まずこの状況だからこそ産学連携がすごく大事だなと思っています。やはり地震が起きても基盤的研究なり、原子力の分野でも基礎的な研究をしてくださる大学といかに上手に連携していくかというのは大切だと思っていますし、あと私どもは特許を出して、特許をライセンスするということよりも、特許を出すことで、それを餌と言いましょうか、広報材料にして共同研究とか受託研究につながることが大変多ございます。特に、私が関わらせていただいています東京医科歯科大とかはライフサイエンスの分野ですから、非常に大学はアーリーフェーズのものが多いのですね。ですから、なおのこと、ライセンスが幾らとかいう交渉よりも、共同研究や受託研究になって、企業さんがそこからまた大きく膨らませてくださることで産業界に使っていただけるようなものができてきますので、何とか、特許を取って技術移転という感じよりも、広い意味での産学連携がとても大事だと思っています。
    その際に、これは大学の問題になろうか、文部科学省さんの問題になろうか、ちょっとここで議論することではないのかもしれないのですけれども、産学連携の大学における一元化が大変問題になっています。東京医科歯科大学の場合は産学連携のシステムが大変遅くにできましたので、平成15年に知財本部ができたときに産学連携のものが全部そこに初めて始まったというような形になっているのですけれども、多くの大学は共同研究開発センターというものがあり、そこで共同研究や受託研究を管理されます。また、知的財産本部ができ、そこで特許の出願や特許の管理がなされます。さらに、TLOがあって技術移転がされる。それでインキュベーションセンターとかベンチャービジネスラボラトリーとか、いろいろなものがあります。
    特許を見たときに、先ほども申しましたように、ライセンスにするよりもむしろまだまだ共同研究して大きくやりたいという、特に最近は企業さんはそういう声が大きいです。そうした場合、どういう形が一番いい産学連携になるかなというときに、各部局が自分たちの成果としてどうしても特許の件数を上げたい、ライセンスの件数を上げたいという形ではなく、何と言うのでしょうかね、特許戦略、研究戦略としてどういう感じで産学連携を結んだら一番いいだろうかというふうにするべきだと思っておりますので、本当は産学連携の一元化がされ、そこで戦略、まあ企業と違ってトップダウンではないですから、どういう研究をしなさいと言うことはもちろんできないですから、出てきた研究に対してそれをどう一番生かしたらいいだろうというふうな戦略が組めるようなふうになっていくべきだと思っています。
    先ほど特許の収益性が日本は非常に悪いですよというのがあったのですけれども、本学の場合ですと、平成15年と平成19年を比べますと、例えば受託研究は5.4倍、共同研究は3倍で伸びておりまして、ライセンス料は余り伸びないのですけれども、まだまだ製品になっているものは少ない、先に行かないと製品にならないので少ないのですけれども、やはり産業界の方が望んでいらっしゃる一番いい姿の産学連携がきれいにできるようになるべきではないかなと思っています。
    あと最後に、ニーズは意外に大学にあるのですね。特に、ライフサイエンス系は臨床の先生が外科医だったり、特にうちは歯学部の先生が大変多ございます。そうしますと、一番患者さんに接している先生方が何を求めているか、世の中で何が一番必要なのかを知っていまして、私どもはほとんどニーズは学校にあるのかなという感じがしていますので、分野によってはニーズを学校から吸い上げていただくというのがいいのではないかというふうに思っています。
    以上です。
  • 橋本委員長
    どうもありがとうございます。
    続きまして、西島委員、お願いします。
  • 西島委員
    私自身は製薬企業にいるのですけれども、産業界という意味で製薬業界も入っていますので、その辺のところの論点も少し述べたいと思うのですけれども、先ほど、隣の方から産官学連携ということだったのですが、よく産官学連携と言うのは簡単なのですけれども、これは産官学を推進する一番のものは、やはり産業界から見て魅力ある学官の研究というのがいいので、最近、ちょっと印象としては、これはアンケートにありましたけれども、少し学官が産業界を意識したようなテーマとか、あるいは出口を無理やり産業界に近づけて、3年、5年でのスパンで結果が出るような、ちょっと小振りになってきたのかなという気がして、産官学でまとめて何とかしようというよりも、産業界が勝手にやって進むところはもうやっていきますので、むしろ基礎的なところ、そういうところに学官、国の研究もそういう基礎研究とか、あるいは一民間企業ではなかなかできないようなところに投資していくというのが結果的には産官学を大きく推進する、特許もそうで、民間企業から見たらよくぞ基礎研究のところで特許を取ってくれましたねというようなものならいいのですけれども、企業が取ったならばもっと上手にたくさん取ったなという特許を穴ぼこのように取っていくのはかえって迷惑だなという、そんな感じなのではないかなというように思うので、この辺は実は評価システムの問題で、先ほど論文のことがありましたけれども、どこかにいい論文を出さなければいけないとか、特許の数もある程度ないと次の研究費をもらえないとか、そういうところがむしろ萎縮するので、第4期科学基本計画では人材育成と同時に、評価システムというものもいわゆるグローバルな視点も含めて進めるべきではないかと思います。
    それと、この資料4のアンケートは大変よくまとまっていると思うのですけれども、こういうアンケートというものの場合に、200社ですからかなり大きな会社のアンケートですから、日本の大きな意見、流れはくんでいると思うのですけれども、もう一つ切り口としては、開発投資の額ですね、これは。開発投資の比率というのも1つですね。つまり、大手で研究開発費を1%しか投資していないところと、中小で10%、15%投資しているところでは、研究開発に対する産官学の取り組みとか、国への期待も違うと思うのです。我が国が欧米と争う、あるいは欧米に追いつくというよりも、アジアのリーダーになるのであれば、やはり光るような中小、あるいはこれから出てくるベンチャーというものを育てるということを考えれば、こういったところのいわゆる大筋というのではなくて、そういう日本の支えるような特徴ある独自の研究を支えるという意味で、研究開発投資率の高い企業、あるいは分野、そういう人たちが頑張っている人材が活用できるような、恩恵を得るような政策なりというものを考えていく必要があるのではないかというふうには思います。
    私自身は個人的には国家基幹技術、XFELとかスパコンとか、そういうものに投資することに今、プロジェクトは入っていますけれども、それは簡単なのですけれども、民間ではできないからです。つまり、民間でできないことを国主導でやって、そこに集まってくる大手、中小、ベンチャーが活用するというのは、これはやはり国の政策として必ずアウトプットがあるし、あるいはグローバル展開もできるという形ですので、私はそういうところは価値があるかなと思っています。
    以上です。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    幾つかありますが、ちょっとこちらの方に振っていきます。伊藤委員、それで安宅委員、それで堤委員、それから新名委員、この順番でさせていただこうと思います。
    伊藤委員、どうぞ。
  • 伊藤委員
    こちら半分になってきたようですけれども、まず全体の枠組みの話なのですけれども、これは大変難しい議論で、今、瞬間的にいいアイデアは出てこないのですけれども、この資料8の1ページの上の方のパラグラフに書いてあるように、政策目標と重点分野領域との関連性の話ですね。これは先ほど川合委員からもあったかと思いますけれども、むしろこれはまさにシーズとニーズをつなぐようなところだと思いますから、そういう意味では余り分野、領域と関連性がない方がいいというふうに私は思うのですね。つまり、政策目標を達成することが重要であって、そのための手段としてさまざまな分野、領域を必要に応じて統合していけばいいということからすれば、政策目標が直ちにある特定の分野に、例えばエネルギーという政策的な問題意識に関する目標が立ったとしても、だからエネルギー分野だというふうに直接的にはならない場合があるわけですね。例えば、バイオ、ライフ系の技術も使う、それからもちろんその他のエレクトロニクスもITも使う、そういう意味で言うとやはり分野というのは極めてバーチャルなもので、したがって、何か重点4分野プラス4とかという考え方はそろそろやめていいのではないか。特に政策予算に関しては、考え方自体を少し変えていけばいいのではないか。それをやれば、例えば省庁連携などもある種、自然にでき上がってくるような印象を持っております。
    それから2つ目ですけれども、人材なのですけれども、政策課題の対応型研究というのは、やはり理念の1つの人類の英知を生むとか、そういう方々とは少し資質が違うのではないか。素養としては同じような素養を持ってないといけないとは思いますが、つまりリテラシーはちゃんと持っていないといけないとは思いますが、コミュニケーション能力とか、それからプランニングの幅の広さ、それから行動力、いろいろな観点から、やはりこういう政策課題に対して多様なシーズをまとめ上げてソリューションをつくっていくという人材、これは今後、先ほど、再び申し上げると、川合委員から、やはりそういったところが大事だということをおっしゃったこともあり、こういう人材をもっと意識的にスポットライトを当ててもっと活躍していただく、あるいはこれを育てる、そういった政策がこの政策目標を達成する、つまり研究開発投資効率を高める上でも極めて重要ではないかというふうに思います。
    それから3点目ですけれども、これで終わりですけれども、先ほどの資料で、これは資料の6ですね。さまざまなバックデータがありましたが、そこの5ページに国の政策課題対応型研究開発の分野別割合の動向、推移が書かれておりますけれども、この中にITだけが、まあエネルギーも下がっておりますけれども、IT、情報通信系だけが下がっているというデータですけれども、これは同じこの資料のどこかに、日本の産業の強みが自動車とエレクトロニクスだというたしか資料がどこかにありましたけれども、やはりその構造からすれば、こういう国の政策的なアクティビティ、何と言いますか、政策というのはどういう意図があるのかなと。つまり、現状の強い産業に対してはむしろ研究開発投資を減らしているという、これ、資料になりますから、そういう意味で、やはりその辺はもうちょっと精査してやらないといけないのではないか。特に、エレクトロニクスはものづくり産業の典型ですけれども、空洞化しつつある一方で、非常にハイテクの競争の厳しいところであり、こういったところへの国の関与の仕方、これはもうちょっとしっかり考えて、打つ手がないから予算を減らすというのではなくて、1つのデザインを描いて、しっかりと予算を投入していくべきではないかなと、そういう印象があります。
    以上です。
  • 橋本委員長
    では、安宅委員、どうぞ。
  • 安宅委員
    安宅です。
    土井課長さんの方でまとめられた2ページ目の出口志向というものがやはり非常に心を打つなと思うのですが、これまでも出口志向と言いながらも個人的にはまだ何かそれほど出口志向になっていないなという印象をすごく受けていました。それと今の伊藤委員のお話がありましたけれども、そもそも科学技術基本計画と言うから、どうしても分野で割らなければいけないという話になって、シーズ志向に知らない間になってしまうので、基礎研究で学術レベルを上げることは別として、やはり出口志向の、先ほどの幾つかの資料の中で需要表現、ディマンド・アーティキュレーションと言われていましたけれども、あれを徹底してやるということが1つ重要ではないかなと。
    それは今回の土井課長さんの方の資料のセットを見てみますと、かなり理想型と言ったら変ですけれども、本格的に、本質的に国としてどんな姿になりたいのかと考えたいというふうに思えるところがありますので、私も大賛成なので、この出口についてやはり先ほど川合先生のお話もありましたが、グローバルな視点に立って、やはり国としてどんな姿をなすのかということを考えて、やはり前面に出していくということが先ほどの出口志向のところを理論武装していくことと、国民の合意形成を取っていくのには非常に重要かなと。
    そのときに、これもいい資料だなと思うのですが、根源的な課題例とか、望むべき課題例とか言われておりますが、これはゼロから考えるのではなくて、もう日本が直面しているグローバルにも、また国自身としても直面しているということで、3ページ目の問題を逆手にとってというのは、ここがキーワードではないかなと思うのですね、もう直面しておりますから、例えば先ほど来、川上先生のお話もありましたけれども、例えば本当に健康とか安全とかというのは非常に重要な課題、根源的な課題だと思いますので、ここを逆手にとってやはり徹底して需要表現をしていって、それを実現するのにはどんな科学技術、どんな産業構造にしていけばいいのかというような形でブレークダウンして考えていくというような方法を徹底するというのが今回、第4期では非常に重要になるのではないかなと思っています。
    それと先ほど、今の出口志向という話、どんな国になりたいかという話なのですが、もう一点、2点目はやはり先ほど、次世代の人材育成という視点も重要だということの中に、やはり今申し上げた合意形成のところにも絡むのですが、人材育成というと、ともすると研究開発、生産、販売とか、そういうことに関わる人をどう育てるかという意味もありますが、先ほどのこんな国にしたいというようなことであれば、日本としてはこういう国になるし、こういう価値を大切にするのだという意味で、やはり何と言うのでしょうかね、本当に小さいころから、お年寄りも含めて、こういう姿の国になるのだよ、みたいな、それはなぜかという議論を国民的なムーブメントにもなるような形での合意形成に持っていかないと、やはり上から降ってきたような形で合意形成をするというのはまずいので、そういう視点の人材育成も必要ではないかなというふうに思います。
    ですから、出口志向という意味では徹底して需要表現を追求していく形でどんな国になるかということと、その中で国民がどんな生活を望むかという意味での合意形成のプロセスという意味での人材育成という視点も重要ではないか、そういう2点を非常に強く、今回、非常に理想的なというか、本格的なアプローチを試みられようとしているので、あえて申し上げさせていただきました。
  • 橋本委員長
    ありがとうございました。
    続きまして、堤委員。
  • 堤委員
    分野別の枠組みで対応するのに対して出口志向というのは、これは全くそのとおりだと思います。結局、最終的には国家理念といいますか、私たちがどういう社会を実現し、構築していくのか、そして何をもって自己実現し、何で世界に貢献するのかという、その大目標ですね。それがないことには、例えば無目的にイノベーションなどというのは多分あり得なくて、その国家理念というのがまず一番大事、しかもその国家理念に対してどのような社会を実現するかということは、すなわちどういうような社会システム、産業構造に持っていくのかということを考えるということですね。したがって、そこからこそ先ほどのずっとありますようなシーズとニーズとか、イノベーション実現のための重点化のあり方とかというものを、それがあって初めてそういうことができるのであって、分野に分けて考えるというやり方は、必ずばらまきといいますか、あれになる、重みをつけたところでもう。
    結局どういうことをやらなければ、例えば、悪い例かいい例かどうか知りませんが、1つは、例えば自動車産業、確かに自動車産業が我が国の経済を引っ張ってリードしてきたわけですけれども、だれが考えても今後、100億の人間がみんな車を1台ずつ持って、1トンぐらいのものでエネルギーをばらまきながら走るような社会というのは絶対あり得ないというのはみんな理解できる。一方、モビリティを確保しながらそういう車みたいな移動手段というのは必要だということになると、そこで何らかのそういった交通システムとか、あるいはもっと環境にやさしい乗り物、移動体のようなものが必要になってくる。それは例えば、ロボットかもしれませんし、セグウェイみたいなものかもしれませんけれども、そういうふうなイメージを持てば、何にどういう開発を、イノベーションを引き起こしたらいいかというのは必ず見えてくるのであって、それを考える。
    もう一つのいけない例として、例えば近々にCO 2の削減というのが大きな課題になったときに、例えばそれを分野別にキャップをかぶせる。最悪のシナリオとして、例えば鉄や化学とかは海外に持っていけばいいと、こういうシナリオ。ところが、ずっとここでも議論しているように、要するに産業間連携ですね。我が国の強みは、やはりそういういろいろな部材や素材を供給できるような体制、エネルギーとかも含めてそういう体制を国内に持って、消費地と近いところで生産もやり、ここら辺の強みを生かす、これ抜きにあり得ないのであって、そういうふうに考えると、どこに投下したらいいか、重点化したらいいかというのは、結局将来どういう社会をつくるかということを真剣に議論する。要するに、戦略を立てるということがやはり一番重要だというふうに思います。
  • 橋本委員長
    ありがとうございました。
    新名委員にお願いして、その後、荒川委員、横山委員、上原委員、谷田部委員、淺間委員と、この順番でお願いしたいと思います。
    新名委員、どうぞ。
  • 新名委員
    私、バイオの専門でちょっとIT、自動車、機械は弱いのですけれども、きょうの資料7で基本問題小委員会でおっしゃっていること、つまり次の世代の出口、将来の社会像をどのように設定するかを出発点にすべきではないか、やはりこれが基本だと思います。そうしますと、2050年に世界人口90億、これは多分間違いないでしょう。そうすると、当然、我が国の食料自給率40%、これはかなり厳しい、だからやはり食料増産は国の政策としてやるべきでしょうし、それと当然石油はあと40年でなくなる。次のエネルギーが随分議論されています。実は余り議論されていない、レアメタルは随分最近も言われていますけれども、それに限らず金も銀もあと可採年数30年しかないのですよ。だから、そういう鉱物資源がなくなったら当然、産業は成り立たない。それからもう一つがやはり水資源でして、多分、今世界で使える淡水資源は年間7兆トンですけれども、これが2050年には30兆トン要ると言われています、つまり人口がふえると水をたくさん使いますから。そうすると水もなくなるということで、食料、エネルギー以外に鉱物資源、水、それをじゃあ日本はどうするかということ、あるいは世界的なレベルでやはり技術開発すべきだと思っています。
    ただ、幸いにも鉱物資源は使っても核分裂しない限り地球のどこかにあるわけです。石油は燃やしたらなくなってしまう。ですから、散らばってしまえば重金属汚染ですけれども、それをうまく集めてくる、つまりエントロピー増大の原理の逆ですけれども、いかにいい、安いエネルギーを集めるかという技術が大事だと思います。結構、バイオでリンを回収する技術があるのですけれども、そういう問題。
    それから水も、なくなりましても、汚れているだけでどこかにあるのですよ。そういう水をいかに浄化するかという技術ですね。それは膜かもしれませんし、あるいはもう一つは当然海水の淡水化、これは各社さんがメンブレンを使ってやっていますけれども、まだかなり高圧をかけないと淡水ができないのです。それはぜひともこういうものは取り組んでいる企業が連合して、経産省が指導して、まさに国の技術でやはりやるべきだろうと思っています。
    そういう意味で、やはりこの将来像、2050年にどうなるか、それをきちっと具体的に共有して、それから海面が1.5m上昇する、そうすると東京、大阪の海抜ゼロメートル地帯には防潮堤をつくるのでしょうか、そうすると要らぬ地方の高速道路をつくる人をそっちへ回せばいいわけですけれども、そういう技術がやはり要ると思います。
    そういう意味で、非常にハイテクを随分我が国は持っていますので、それをターゲットに絞って異業種の方がそこへ力を注ぐと結構いいものができると思っています。そういう意味で、はっきりと2050年、あるいは2100年を皆さんがどうなっていくかということをやはり共有してから議論しないといけないと思っています。
    それと1つ言えば、第一次石油ショックのときに随分節電、節電でテレビを、たしかNHKは11時にやめましたね、当時。今はもう一晩中やっていますよ、いっぱい、しょうがない番組を。私はよくシャープさんとか、随分薄型液晶テレビをつくって、工場を、4,000人、3,000人雇用していいなと思いますけれども、あんな立派なテレビをつくっても映っている中身がないのですよ、はっきり言って。それはまさに日本人の品格だという、どういう国にするかということはこの経産省以前の問題だと思いますけれども、ぜひ皆さんも議論してほしいと思います。
    以上です。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    ずっと御意見をいただきたいと思います。順番、荒川委員、横山委員、上原委員、谷田部委員、淺間委員、阿部委員の順番でお願いします。
    荒川委員、お願いいたします。
  • 荒川委員
    明治大学の荒川でございます。
    まず人材育成なのですが、国がたくさん予算をつけてくださっているのは大変結構なのですが、どのぐらい効果が出ているかですね。実際、先ほどの資料で電気情報系の求人が非常に多いという割には、今、受験生には電気情報系、大変人気がないのですね。それは多分、幾ら日本の電気情報の産業がすぐれているといっても、何かその働き方に魅力がないのではないか。先ほどの満足の行く生活がこの分野を選択すると得られないのではないかという、そのようなところがありまして、国がだからガバッと予算をつけてくれるというのは結構なのですが、それがそこに生かされるようにしていただけるといいですね。
    あとは先ほどの論文がどのぐらい出ているか、これは1つには、大学のドクターの学生、またポスドクがどのぐらいいるかで、それは国際的に日本はかなり貧弱な現状なのですね。それで文科省はドクターの学生の採用ですとか、ポスドクにやたらと予算をつけてくださっているのですが、問題はドクターを出た後の就職先がない。これも産業界がドクターの学生を非常に重宝してくれて採用してくださればドクターに行ってくれる学生はたくさんふえてくれるのですが、そこら辺も継続性ですね。これは産業界の方に言わせると日本のドクターの教育がなってないからだということなのですが、そこら辺、ちょっと歩み寄って、将来的にも生かせるドクターの学生を輩出できたらと思います。
    あとニーズの件なのですが、ニーズはやはりかなり広い視野でとらえていただきたいということで、特に情報通信系はシーズがやたらとあって、今ニーズをいろいろ探している段階なのですが、確かに日本国内のニーズ、日本国内で普及させようとしましたらそれでいいのですが、海外、国際標準化などを考えますと、外国ではどういうニーズがあるかというのは、それは生活スタイルとか風習とか、それにも依存しますので、海外展開を考えるならばそこも把握する。あとニーズの1つとして少子高齢化というのが最近よく取り上げられるのですが、やたらと高齢化ばかり目が向けられまして、例えばお年寄りの介護をどうするとか、そういう問題が多いのですけれども、少子化を考えている施策というのがほとんどない。少子化の原因はいろいろあるのですけれども、私の身近では女性の研究者、技術者が、私は仕事で生きるから子供は産まないという人がたくさんいまして、どうやったらそれを両立できるか、そこら辺、情報通信技術をある程度活用できると思いますので、かなり広い観点からニーズを発掘していただけたらと思います。
    以上です。
  • 橋本委員長
    ありがとうございました。
    続きまして、横山委員、お願いいたします。
  • 横山委員
    ありがとうございます。
    私は電気エネルギーの供給システムを専門にしておりますので、その観点から少しお話をさせていただきたいと思います。
    この資料8に出てきました次世代の社会システムというものを想定して、出口からの視点を重要視して、今後研究開発投資を検討していくということは非常に大賛成でありまして、我々の分野におきましても、最近ではヨーロッパの方でスマートグリッドといいまして、日本でも低炭素エネルギー供給システムを構築していこうと、福田首相の福田ビジョンの太陽光5,300万kW、それから風力の600万kWを2030年までに導入して、環境にやさしい電気エネルギー供給ネットワークをつくっていこうという、そういうビジョンもありますけれども、ヨーロッパはもう5、6年以上前からEU大のプロジェクトとして、このスマートグリッドという分散型電源、再生可能エネルギー電源、そして需要家とのインターラクション、それに必要な情報通信システムまで統合したシステムのプロジェクトをやっております。また、アメリカも先ほど橋本先生からもありましたオバマ大統領のグリーンニューディール政策ですか、それによりましてヨーロッパ同様のスマートグリッド、アメリカの場合はインテリグリッドと言っているのですけれども、そういうグリッドシステムを今後、大規模投資をして開発していこうと言っております。我々もそういうエネルギーネットワーク技術と通信技術、そしてエネルギー貯蔵技術とか、そしてソフトウェア技術、それにはまた需要家とのインターラクションも大事でありまして、プラグインハイブリッドカー、電気自動車、それの充電放電制御技術でありますとか、貯湯槽をもっている需要家のヒートポンプの機器、そしてそれの制御技術でありますとか、そういう意味ではものすごく幅広い分野を統合してこういう1つの革新的な社会システムの実現に向けて検討していくということを、やはり日本としてもやっていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
    その意味で伊藤委員からですか、もうそういう幅広い分野を取り込んである1つの社会システムをやっていく上では分野の枠を取り外してもいいのではないかという御提案に大賛成でありまして、そういう視点からも考えなければいけないし、それから人材育成という意味からでも、先ほど言いましたようにいろいろな技術分野、幅広い分野に精通した人材も育成をしていかないと、こういう社会システムを実現していくというのは非常に難しいと思いますので、そういう人材育成の方法なども議論していただければというふうに考えております。
    以上でございます。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    上原委員、どうぞ。
  • 上原委員
    NEDOの上原でございます。
    私どもは非常に多くのプロジェクトの執行を行っておりまして、プロジェクトの途中だけではなくて、終了したテーマにつきましてもその後、成果がどういうふうに製品化されているかとか、そういうフォローアップの調査を徹底してやっております。その中で、本日、民間企業アンケートの結果、非常に有益なデータをいただいているわけですけれども、私どもの調査の結果でちょっと特徴があるのを1つ御紹介したいと思うのですけれども、うまく成功しました、上市にまで持っていけた、製品化までできた、その要因は何かということをお伺いしますと、大きくは2つありまして、1つは技術があった、しっかりした技術があった、これは研究者、立派な研究者、開発者がいるということだと思いますけれども、もう一つは社内に非常に力強いリーダーがいました。それは理解者でもあるし、ずっと長期にわたって開発に必要なものを常にサポートしてくれる人が社内にいたというのが共通しているのですね。どちらかが欠けていてもなかなかうまく、研究はできても事業に結びつかないという結果が出ておりまして、これはまた改めて、次回か次々回、NEDOの関係の報告をさせていただく機会があるようですので、そこらあたりでもう少し詳しく御紹介をしたいと思います。
    それから、このテーマの設定なのですけれども、24兆、25兆とかいう規模を見ますと、実は最近いろいろ宇宙関係の関係で議論をしていまして、NEDOの中で、今後どういうふうに進めていくか。アメリカのスペースシャトルが2兆円ぐらいらしいのですね、開発費総額が。それでスペースステーションも2兆円ぐらいという規模なのです。ですから、何かああいったチャレンジングな、まあフロンティアという分野になるのかもしれませんけれども、国として1つチャレンジしようと、例えばそれは有人宇宙飛行かもしれませんけれども、何かそういうようなものをナショプロとして設定をしていただくと、より研究開発、それに向けていろいろな技術が育つような、そういうテーマをうまく設定していただくと元気が出るのではないかというふうに思っております。
    以上でございます。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    続きまして、谷田部委員、お願いいたします。
  • 谷田部委員
    ちょっと概念的な話になってしまうかもしれないのですけれども、科学技術政策ということで行くと、例えば去年、ノーベル賞が久しぶりに日本人の受賞者がいて、しかも基礎的な研究で非常にレベルが高いというようなことがあったりということで、かなり国民の気持ちも高揚したと思うのですね。一方でこのアンケート調査の方を見てみると、科学技術政策に対して50社ぐらいのところが常に余り関心がないような回答をしているということで行くと、やはりこの科学技術政策が、例えば50社が関心がないとすることが、逆に言えばすごい健全なことだろうと思うのですね。科学技術政策がどうであれ我が道を行くというような、そういった考え方で開発研究を進めるというようなこともあるし、もう一つ、このアンケート調査でやはり基礎的な研究の充実を求めるという部分もある程度拾われているということで行くと、やはり全体の科学的なレベル、科学技術に対する関心が高まっていないと全体としては動きにくいのかなということがあって、そういった意味で行くと、この資料8の全体の枠組みの中で、これまでの反省点として、目標が多くて戦略性を感じられないのではないかといったようなことも書かれているわけですから、できれば、本当に概念的で申しわけないですけれども、すっきりした形にして、日本はこれで行くのだぞということを全体に浸透できるような、しかもその中で人類の英知を育むみたいな、そういったところも感じさせるような全体の枠組みがある中で細かいきちんとしたものが並んでいくような、そういうアピールしやすいものを国民が全体として受け止められるような形にまとめていっていただきたいと思います。
  • 橋本委員長
    ありがとうございました。
    次は淺間委員、阿部委員、それから須藤委員、久間委員と、この順番でさせていただきます。
    淺間委員、お願いいたします。
  • 淺間委員
    東京大学の淺間でございます。
    この資料8の件なのですが、まず理念に関してなのですが、理念は、これは多分第1期の科学技術基本計画のときからの流れでこの理念が書き出されているようにも思うのですが、その中でやはり非常に社会環境、あるいは技術というものが今非常に早いスピードで変化している。そういう中で理念というものをもう一度考え直す必要もあるのではないかなというふうに思うわけです。特に、アメリカを見ていると非常に国防に偏った理念があるわけですが、日本はそれは当然あり得ないわけで、そうすると、やはりサスティナビリティであるとか安全であるとか安心であるとか、そういうものを軸にした理念というものを考えるべきなのかなというふうに思うわけです。
    そうしたときに、こういった社会的な課題をどう解決するかということを考えつつ、それをどういうふうに産業の活性化につなげていくかというところが多分1つの大きなポイントで、いわゆる単に稼げばいいというようなことではなくて、産業の活性化というのはやはり社会問題の解決とペアになった上で考えていくという必要があるだろうというふうに思うわけです。
    ところが、社会的な課題をどう解決するかというと、その課題はそもそもどういうメカニズムで発生するのかとか、それに対してどういうような措置が考えられるのかというのはよくわからないで、表面的に今解決をしながらとにかく産業につなげていこうという、非常に表面的な今やり方が、それだけではこれからやはり問題が出てくるのではないかなという気がしています。
    そこに学術とかが貢献していないというのが1つの問題でありまして、私の専門はロボティクスなのですが、ロボティクスでもよく言われるのは、非常にたくさんの論文か出されて研究者も多いのですが、なかなかロボット産業につながっていかないという話があるわけです。それはやはり技術が直接産業に結びつくということだけではなしに、技術によってむしろサイエンスが発達するという方向もあるだろうというふうに思うわけです。私は今、科研費の移動知という特定領域の領域代表をやらせていただいておりますが、それはいわゆる我々の適応行動の障害というものがどういうメカニズムで発生するかということをロボティクスの技術を使って解明しようというようなことをやっています。それがわかれば、さらにそれに対する対策というものを考えられるし、それが産業につながっていくということができると思うわけで、そういう意味ではそういうもう少し深い学術研究も産業活性化の上でもやる必要があるのかなというふうに思っています。
    そうやってみると分野に関する議論も、じゃあこの分野を眺めていて、どこの分野がこういう社会問題を解決するのかなと見たときにやはりよく見えなくて、そういうむしろ課題を解決するためにはこの分野とこの分野のこういう知識を組み合わせて解決するのだ、そういうような構造が見えた方がいいように思いました。それは先ほどどなたかがおっしゃっていたいわゆるシーズとニーズを結びつけるような学際的な分野ということになるのかなというふうにも思います。
    それから重点化に関しても、やはり大きな柱だけを重点化して集中化するというのは、やはりこれは非常にリスクが伴うというふうに思います。生物を見ていても非常に多様性というのが社会変化に対して生き残る1つのストラテジーである以上、やはり集中的な投資と、それからある程度将来を見越した分散的な投資のバランスというのが非常に重要ではないかというふうに思います。
    それから最後に人材育成なのですが、これも我々大学で教育をやっているのを見ていると、非常に技術もあるし、知識もあるし、優秀な学生が最近、外資系の証券会社にどんどん出ていってしまうという状況がありまして、私は非常に危惧しているのですが、やはり一番の問題はインセンティブがわかないというのがやはり一番大きいのかなと思っています。例えば、企業に行ってもどれだけ明るい将来が描けるのかというのがどうも思い浮かばないようで、これは大学の努力だけでも難しいし、企業が高い給料を払えればいいという人もいらっしゃいますけれども、それもなかなか難しい、やはり制度上の問題かな。社会的な制度をどういうふうに設計するのかというところから考えていく必要があるのかなと思います。
    それから、最近非常に鬱病が多くなっていて、最近、企業でも多いというふうに聞いていますが、来なくなっている人がいる。これはサスティナビリティというのはいわゆる環境問題だけではなくて、人のサスティナビリティというものをやはり考える必要があるのではないかというふうに思っています。これから少子高齢化が進むとこれからの社会を支えるのは若い人なので、それがどういうふうに健全に社会に貢献してくれるようにするかということも重要ですし、そういう広い視野からサスティナビリティをとらえたような基本計画になるといいなというふうに思います。
    以上でございます。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    続きまして、阿部委員、お願いいたします。
  • 阿部委員代理(松田)
    代理ですけれども、3点ほど手短にお話をしたいと思います。
    1つは、先ほど川合委員からも御指摘があったグローバル研究という視点なのですが、やはりこれは我々も大事だと思います。それでもう一つの視点なのですけれども、例えば我々は中国に研究所を持っておりまして、二百数十名いるのですけれども、これはほとんど中国人です。そこで研究開発した成果というのは当然論文を書いて、また特許を書くわけですけれども、そうやって得た力というのは、やはり我々の100%の子会社ですから日本の力になるのですが、これを「日本に取り込む」と捉える考え方もあると思います。また、中国の現地法人ですから、中国の大学と組んで中国のナショプロを取って、そしてそこでいろいろな成果を上げる、そういった成果もまた我々が製品という形で取り込む、それもやはり日本の力になるのではないかと思います。ですから、グローバルに考えれば技術者を日本に取り込むという考えもありますけれども、今お話ししたようないろいろな形のグローバルな研究を進めることによって日本の国力を上げるというような方法もあるのではないかと、これは1つの視点として提案させていただきます。
    2つ目は環境なのですけれども、先ほど来の環境とエネルギー、これは我々はやはり1つの分野というか、一緒に考えていただきたいと思うのです。やはり地球温暖化とか異常気象が起こることによって結局何をしなければいけないかというと、食料とか水とか、またはエネルギー、そういったものを確保しなければいけない。または自然災害が起こるのを防ぐ、また起こったときに対処する。こういったグローバルに持続可能な循環型の社会にするためには、産業界としてはやはり環境と経済を両立させなければいけません。そのためには科学技術でそういった環境対応の技術開発をしなければいけないということで科学技術が非常に大事になるわけですけれども、環境とエネルギーというのをやはりリンクさせたような考え方をしていただきたいというのが2点目です。
    3点目はやはり人材育成だと思います。我々の会社の中で、企業の中でどういった研究者が大きな成果を上げているかということの共通点というのを調べたことがあるのですけれども、大体5つぐらいありまして、1つはやはり基礎科学力に裏付けされている深い専門性を持つ人、2つ目は同じ深さではないのですけれども、多数の専門性を持っている。単一の技術だけでは大型新製品を創出できなくなりつつあるということで、1人の個人でもやはり複数の専門性を持っている、複数の視点を持っていると言ってもいいかもしれません。3つ目は未知な分野へアプローチするときのツボを知っているということ。4つ目は全体的な視野の広さ、自分がどこにいるかというポジショニングができるということ。5つ目は受け身ではなくて能動的な考え方とか動き方ができる。
    最後の5つ目というのは成功体験につながると思います。企業で言えば、自分が研究開発したものが製品になる。大学で言えば、例えば自分の研究を先生に与えられた手法だけではなくて、自分のアプローチで考えてやって、その結果がデータとして出る、そういった成功体験、これが非常に大事だと思います。成功体験を得るような人材育成をどう仕掛けるか、それは産学官の連携であるかもしれませんけれども、成功体験を得た人材が結局は企業で成功しているというのは、やはりいい経験、体験を若いうちに得ていることが大事であるということだと思うのです。その成功した研究者を見て、また若い者につながっていくということもあると思いますので、この成功体験を積ませるような産学官の連携というか、取り組みもちょっと考えていただきたいと思います。
    以上です。
  • 橋本委員長
    どうも失礼しました。阿部委員の代理で松田様でございます。
  • 阿部委員代理(松田)
    東レの松田です。
  • 橋本委員長
    続きまして、須藤委員、お願いいたします。
  • 須藤委員
    ファナックの須藤でございます。私は製造業におりますので、若干そちらにシフトした話になると思いますが、御容赦いただきたいと思います。
    重点4分野でございますけれども、この4分野を支えているというのはやはり基本的に日本の強みであります生産財としての製造業ではないかと自負しております。また、製造業ですけれども、消費財、コンシューマ商品ですね。それから生産財、双方とも輸出産業でございまして、早くからグローバル化が非常に進んでいるという分野でもございます。特に工作機械でございますが、これは20年以上、生産量世界一、これを継続しております。とは言いながら、各生産財の製造業、各企業の規模、これは余り大きなものではございません。研究投資額としましても、エネルギーなどの大企業とは規模が違います。当然、今回の上位200社のアンケートにも余り含まれていないのではないかと想像するわけでございます。アンケートにも反映されない、それから国家プロジェクト、こういったものも製造業に関しては最近生まれにくいという、そういう傾向でございます。現状、各企業は開発投資というものは自助努力で補っているという状況でございまして、こういった開発環境といたしましては、国のサイクルに含まれにくいという現状がございます。
    もう一つ、これは製造業というよりも大学でございますけれども、近年、工学離れということで機械、電気関連の学部が減る、当然卒業生も減る。企業としては、製造業としては人材が集まりにくいという、そういう余りよくない状況がこちらも長く続いてございます。こういった現状から、ものづくりの産業はすべての産業を支えているという、そういった位置づけを日本の政策の中で明確にしていただければと考えておりまます。そういう政策に反映されることによりまして、積極的に原資が投入される、そして開発、人材育成、そういったものが負ではなくて、正のポジティブなサイクルに入っていくということで持続可能な産業ということをこれまで続けてまいりましたが、限界の見えない、限界をつくらない形での持続可能な産業としての製造業、こういったものを目指していけたらと思います。
    以上でございます。
  • 橋本委員長
    ありがとうございました。
    では、久間委員。
  • 久間委員
    三菱電機の久間です。
    企業の経営というものと国の経営と言ったら変ですけれども、同じだと思うのですよ。企業の場合は自分たちの会社を将来どういった会社にしていきたいかというビジョンがあるわけですね。それで昔の総合電気メーカーといいますと、そういったビジョンはなくて、何でもかんでもとにかく電気、電子に関係するものは総花的にやっていた。ただ、この間のITバブル以来、例えば三菱電機ですね。強い、要するにまあかなり幅は広いですけれども、広い分野ですけれども、その中でグローバルに勝てる、そういった産業、強い電子、電気産業の製品の集合体ですと、こういう会社を目指す。
    それから国を考えたときには、先ほどのこういった国にしたいというニーズから出発する。例えば環境・エネルギー立国にするとか、あるいは安全・安心・便利な社会をつくる。これはもうターゲットを明確にするということは非常にいいことだと思います。ただ、環境・エネルギーにしましても、安全・安心にしましても、これをやろうとすると多分総花になります、総花産業。ですから、この中で日本として勝てる産業、グローバルに常に勝ち進むことができる産業は何かといったところを明確にしてやるということがまず重要ではないかと思います。
    もう一つ逆の方法をとりますと、グローバルに勝ち抜くためには最低、とにかくそれをつくり上げる技術力というものが一流でなれば続かない、これも明確なのですね。ですから、その日本のこれで生きていくというコア産業、これは非常にいい図だなと思ったのですけれども、このコア産業は何か、そのコア産業の上には環境・エネルギーという非常に大きなビジョンがあるわけですけれども、このコア産業は何かということを明確にして、それでそれを支える技術ですね。技術論がいろいろ書いてあります。学術領域と書いてありますけれども、ここをとにかく徹底的に磨き上げる。それでこの真ん中の学術領域にない新しく出てくる技術に関しては戦略的に、例えば時限で投資するとか、これは例えばその1つがナノエレクトロニクスではないかというふうに思うのですね。こういった戦略を明確にしていくということは非常に重要だと思います。
    それでもう一つ申し上げたいことは、こういったプロジェクト、国はとにかく広いから非常に難しいと思うのですね。だけれども、最も重要なことはやはり評価委員会といいますか、こういう国としてのコンセプトをつくったときにどの分野にどの程度の要するにリソースを使って、それでどういったテーマを選択するかといった、この選択のときの評価、それからそれを例えば3年、5年かけたときにちゃんとした成果が出ているかどうか、そういったフォローの体制、これをしっかりとやっていくということが、難しいのですけれども、やはりつくっていかなければいけない。今のところ、これまでやはりこういった評価の基準というのが非常に不明確であったのではないか。ただ、論文の数だとか、あるいは非常にちょっとしたことでデモンストレーションしたら成功でしたとか、そこが重要ではないかと思います。
    それからもう一つは、こういった技術開発を行う上で、ここに書いてあるものはあくまでも産業の基盤なのです。それとピュアサイエンスというのははっきりと分けるということが必要だと思います。ピュアサイエンスというのはやはり物理の世界であって、もともとこういった何かに使っていこう、産業に使っていこうという発想ではないですから、それを分けてリソースを振り分けること。
    それからもう一つは、今までどうしてもナノエレクトロニクスとか、ここにアーキテクトと書いてありますけれども、新しい分野に関しては確かに投資するのですけれども、今ある技術、機械技術であるとか、ソフトウェア技術、半導体もそうですね。こういったところというのは意外とおろそかにされるのですね。それでおろそかにすると、せっかく過去何十年も培ってきた日本の技術というのはそこで崩れていきますので、ここをいかに常に磨き上げるかといったところも非常に重要なことだと思うのですね。
    それからもう一つは半導体、今、半導体産業は大変な状況ですけれども、ここはやはり緊急プロジェクト的に何かやらなくちゃいけない。これは社会問題になりますね、この半導体産業が崩れますと。ですから、そういった柱も必要だというふうに思います。
    以上です。
  • 橋本委員長
    ありがとうございます。
    では、あと宍戸委員と射場委員に、すみません、2分以内ぐらいずつでお願いいたします。
  • 宍戸委員
    大丈夫です。
    商社の立場で3点ほどお話をさせていただきたいと思いますが、資料8の3ページ目のこの表は非常によくまとめられていると思うのですが、ニーズベースで重点化を考えていくというのは大賛成ですけれども、左側のところで、ニーズの中で欠けているなと思うのは、やはりグローバルな視点で考えていかないと、日本で今後予想されるニーズだけ対応しても、結局国際競争力、国が豊かにならないとトータルの解決にならないと思うので、そういう視点でやはりこのニーズも見ていく必要がある。
    そういった見方をすると、例えば環境の問題などを見ても、先ほど出ましたけれども、水というのは別に日本で今そんなに困っていないのですけれども、世界では非常に今後困るわけですね。そこで日本のすぐれた技術をどうやって生かしていくかというようなことが出てくるのではないかというふうに思います。それから、石炭のガス化とか、そういうのもそうだと思うのですね。
    2つ目はやはりニーズをシーズに結びつけていくということなのですが、やはり複数のものを組み合わせていくというのが、これもグローバルな視点で見ると非常に重要で、日本が余り強くないということですので、そういったソリューションとかシステムのイノベーションといったところに、今後、4期では重点的な配分をするときの1つの目安にしていただきたいなというふうに思います。
    それから3番目はニーズとシーズを結びつける1つの役割を担っているのはベンチャーということなのですが、これはやはり欧米に比べて日本は全然ベンチャーが育たないというのはもうずっと言われていまして、これは多分だめだと思いますね。もう文化的なものがやはりあるので、やはりこれを違う形で日本独自なシーズがニーズに向かっていくような仕組みをぜひとも考えていかなければいけないということで、これは産学官連携の新たな枠組みにもなっていくのかなというふうに思います。
    ですから、グローバルな視点ということと横、それから縦と、こういう軸で見ていかないといけないのかなと、以上です。
  • 橋本委員長
    では、射場委員、お願いいたします。
  • 射場委員
    分野の枠組みの話で、その枠組みはなくてもいいみたいな意見がありましたけれども、実際問題、マネジメントする上では何らかの枠組みがないとマネジメントできない。今、多分問題になっているのは分野だけのマネジメント、分野内で閉じたマネジメントになっているのが問題で、全体、横串を刺すような、例えば分野横断の取り組みであるとか、例えば私、エネルギーとかナノテク材料の取り組みに多く関わらせてもらっていますけれども、エネルギーでブレークスルーしないといけない課題をナノテク材料の何のシーズを持ってきてという、そういうふうな横断的な議論の場みたいなものがあれば運用でかなりカバーしていけるのではないかなと。
    もう一つ、出口志向でという話が土井さんからありましたけれども、出口志向で要素技術までブレークダウンしていくようなロードマップはなかなか民間でも描けないですね。あるところで間が飛ぶ、その見えないところが一番重要で、そこをじゃあ、そうしたらその見えないところの下にあるようなテーマはどんどんやれなくなってしまう。そういう意味では何が出るかわからないようなテーマを推進するような部分も必要で、さっき言ったそれと出口志向のものとを結びつけるような場があればうまく進んでいくのではないかというふうに思います。
    以上です。
  • 橋本委員長
    ありがとうございました。
    これで全員の御意見をいただきました。私も1分だけ言わせてください。
    幾つか出ましたけれども、シーズの話で、先ほど川合委員の方から言われましたけれども、シーズがたくさん、私もあると思うのですね。1期、2期、3期と随分投資されていて、その結果、上がっている。それをいかに組み合わせて目的に結びつけるか、そこが大変重要なわけで、その人材が少ないというのも事実なのですね。だけれども、優秀な人材がいないわけではなくて、日本を見回すと優秀な人材はかなりいて、その人たちがそこにいないということが問題なのですね。どこにいるかというと、やはり基礎研究分野にはかなり優秀な人材がいるのですね。ですから、そういう人たちをどうやってそこの分野に持っていくか、実は伊藤委員はもともと基礎研究でいいことをやったから、今、基礎研究ではなくて、まさにそういう分野で活躍されている方なのですが、そういうふうにその人材をどういうふうに誘導するかということは大変重要ではないかなと私は思っております。
    たくさんあるのですけれども、今日はここまでにさせていただきます。

その他

土井研究開発課長より、次回の開催日時等について連絡。

以上

 
 
最終更新日:2009年3月13日
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