経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第28回)‐議事録

日時:平成21年5月21日(木)9時30分~12時
場所:経済産業省本館17階第1~第3共用会議室

議事概要

中長期的な研究開発政策のあり方の中間取りまとめについて

福田研究開発課企画官より資料3に基づき説明

  • 橋本委員長
    では、これから討議に入らせていただきたいと思います。本日につきましても議事終了後に追加的な御意見がある場合には、次回までにメモの形で事務局にお伝えいただければと思います。
  • 田井委員
    資料集に書かれていることから、ちょっとはねているところもありますが、よくまとまっているなと思います。内容的にはいいと思うんですが、例えば51ページで公的研究機関の役割の再構築ということで、これは産総研を頭に置いて書かれていることなので私はそれは非常にいいと思うのですが、前回も申し上げましたが、これって、うまく進めるためには、発言したり意見を言ったり、提案した人を大事にするような気風がないとうまくいかないんですね。中にいる、調整役と言うか、リード役と言うかわかりませんけれども、その方たちが少数意見やマイナーの意見を落としてしまうようなやり方をすると皆さんが参加しなくなっちゃいますので、そこが難しい。成功しているところを見ると、そこがポイントだと思うところがあります。何と言ったらいいのか、難しいんですが、現実におやりになってみればわかるかなと思います。それが1つです。
    それから、もう1つは一番最後の研究開発マネジメント人材の市場の創出というところに、ドクターを取った後にMBAを取ってなんて書いてあるんですが、基本的に、日本でこれはなかなかうまくいっていないと思うんですね。単にドクターを取ってMBAを取ればいいというものではなくて、大体そういう人はだめですよね。MOTがいいとか言う人も最近いるんですが、それをやればいいというものではないですね。
    今でもNEDOとかJSTとかにプログラムオフィサーとかたくさんついておりますが、私が見ている限りでは、これは単なる座長ですよね。その人一人がすばらしいことをしたとか、大変な貢献をした人であればすばらしいと思うんですが、決まり切った尺度で物事を採点して決めていくようなやり方だと、世界に冠たるものは出ないと思います。でも現実はそうだと思います。
    ですから、すばらしい人材を育てるには、結局いい先輩がいて、その次にさらにいい人が出てという、徒弟制度ではないですが、先輩の背中を見て育つような仕組みがないとできないんじゃないかなと思うのです。3年たったらポストが交代するとか、5年たったら交代するとかいうような状況では、なかなかそれはできないんじゃないかなと思います。今日の議論のための意見であります。よろしくお願いします。
  • 川合委員
    福田さんから説明されて、今まで議論があった重要な点をうまく取り入れられているので、大したものだなと思いながら聞いていました。集中と多様性というのもそうですし、トランスレーショナルな点とか、特に私が大事だと思っているのは世界に開かれるという、ここら辺の問題点をうまく述べられているので、よく書かれているなと思います。
    なんですが、今すごく閉塞感がありますよね。日本の科学技術で。ここ一両日もそうですが、TIでしたっけ、つくばの研究所を閉じちゃうとか、よく聞くんですよ。実際、彼らといろいろ話していると日本の将来に余り魅力を持っていないとか、ごちゃごちゃごちゃごちゃ言うんですね。多分総合的な印象なんじゃないかと思うんですが、そういう意味で一番最後のあたり、世界に開かれ魅了するというところで、これは今まで議論してきたことがちゃんと書かれているのでいいと思うんですが、もう1つ、世界の人にとって非常に魅力的な国であるような、研究環境であるような、そういうのが出るといいんじゃないかなと思います。
    1つずつコメント的なことを言っていきますと、1番ですが、国家課題に対応した重点化の枠組みの構築とあります。これはすごく重要なことなんですが、(1)、(2)、(3)、(4)って今まで何度も言われている、どこの国でも大体同じですよね。できれば、世界から見ても日本の魅力的な科学技術、例えばですが、人間科学技術とか、人間の暮らしやいろいろなこと、何か主役があって、そういう特徴のある国家課題がこの4つに加わった方がいいんじゃないのかな。この4つは本当にどこの国でも言っていることなので、そこは僕ら自身も頭をひねってやらなければいけないことではないかと思っています。
    それから、1番目と2番目に関係することなんですが、集中と多様性で外から見ても非常にいい政策をとっているというときに、もうちょっと日本の研究社会が外から見えるようなシステム、「ビジブルなシステム」という言葉が適当だと思うんですが、それが少し欠けているのではないかなと思います。さっきのIMECやアルバニーに匹敵するようなことを土井さんたちが予算化されるということは僕は非常にいいことだと思っているんですが、外から見えないとせっかくの宝が死んでしまうので、ビジブルというふうな、ビジブルになるためには目標がほかのと違うような特徴を持っている。僕は人間科学技術というのはすごく大事だと思うんですが、何か、ここだったらここに行かなければというのがないと、多分つくっても非常に難しいのではないか。そこがもう少し加わるといいかなと思います。拠点の魅力ですね。
    それから、よい種がすごくたくさんあるんだけどなかなか応用につながらないというのは今まで何度も議論したことで、プログラムオフィサーとかそういうのは非常に重要なんですが、先ほども御意見があったように、日本のプログラムオフィサーの力と海外のプログラムオフィサーの力と随分違うんですね。1つの例だと、アメリカのプログラムオフィサーなんかは、これはよしあしなんですが、拠点長のところに来て3日間ぐらい徹夜で攻めるというか、宿題を出してやらせる。そこまでやるのがいいかどうか知りませんが、そういうふうな、かなりトランスレーションのところに強いミッションを持っているというシステムぐらいまでしないと進まないのではないかな。
    それのドライビングフォースとしては、こういう人たちが社会的に尊敬されるポジションであるというのがすごく重要だと思っています。そうしないと、本当のプロデューサーでない脇役的なもので適当な時間を使うだけの職業になっちゃうのではないか。そこら辺はそういう強いシステムを入れなければいけないのではないか。
    それから、4番目に関係することなんですが、女性研究者とか研究支援者に関しては余り書かれていないんですが、世界的に見ると相変わらず女性、それから研究支援者ですね、韓国と日本はここら辺がすごく弱いんですが、底力を上げていくときにはここら辺のことも少しメンションされている方がいいかなと思います。
    幾つか申し上げましたが、いずれにしても閉塞感で海外の人が逃げていかないような形をもう少しブラッシュアップする必要があるかと思います。
  • 伊藤委員
    1点だけ申し上げたいんですが、発端としては52ページの人的資源の重心移動のところなんですが、恐らく言っていることは正しいんだろうと思うんですが、この報告書全体のトーンをはっきりさせた方がいいのかなという意味でちょっとここが気になったんですね。
    つまり、前から橋本委員長もおっしゃっておりましたが、優秀な研究者たちをどう使うかという問題と、研究で生み出された非常に価値ある知的財産を国全体としてどう使うのかという問題で、大学等における研究を専門とする人材を、イノベーションのところまでやれと、「業務」という言葉は使いたくないですけれども、求める能力を拡大するのか、あるいは、まさに研究者は研究をどんどんやって、その世界でグローバルな競争に勝っていただいて知的財産をどんどんつくっていただく。国の仕組みとしては、得られた財産をまた別の人材でイノベーションにつなげていく、あるいはそれを展開する、先ほどの公的な研究機関等を活用して経済の活性化等、社会の豊かさにつなげていく、こういうふうに考えているのか、この文章だとどっちにもとれるな。
    中間付近にあるんですが、「質の高い学術論文を生産する知のクリエーターたちが」というのが主語になっておりまして、それが社会的価値・経済的価値の創出にその能力を向ける。ということは、同じ人が研究とイノベーションの創出と両方やれみたいに読み取れるんですね。これは大きな議論があるところだと思うんですが、私としては役割分担をやらないとダイナミックな競争には勝てない。立派な研究者、能力の非常に幅広い研究者も多いんですが、一方、非常に狭いスコープの中で大きな成果を上げる研究者もたくさんおりますので、国全体のイノベーション・エコロジーとしては、新たなイノベーションをクリエートする人材をつくることによって人材の分布の重心を移すんだというのをもう少しはっきり書いてもいいのではないかな。これはここの議論だと思うんですね。
    それに関連して危惧するのは、その下に書いてある総額3,000億円、これは例の90億円、1人の研究者に多額の予算を投入してやるということも入っているのかもわかりませんが、あれも私的には心配でありまして、優秀な成果を上げた研究者が大規模なプロジェクトをマネジメントできるのかというところも心配で、むしろプロジェクトマネージャーと優秀な研究者をペアで、融合させて大規模な政策は行うというふうに政策的に誘導すべきではないか。
    先ほど来、融合・連携の場というのが幾つかありますが、人間と人間の連携もペアでやらせるという政策もあっていいのではないかと思うんですね。余談ですが、ソニーにしろ、ほかの会社にしても、優秀な研究者人材と営業に秀でた営業マンがペアで会社をつくっている。ホンダもそうだと思いますが、番頭さんと、研究で秀でている、とがっている人がペアで企業をつくってくるというのはあるわけでありまして、こういう大きなマネジメントなりをするときも、研究者一人に、いい成果を出したから金をどんとつぎ込むではなくて、優秀なイノベーター人材がペアになるのでお金をつぎ込むというふうになったらいいのではないか。もしそうだとすれば、この辺の論調をもう少し明確に、役割分担論的なトーンが出るような書きぶりもあっていいのではないか。これは今日の議論だと思いますが、その1点を申し上げたいと思います。
  • 土井研究開発課長
    今伊藤委員から御指摘いただいたことは本質的な点でございまして、ここで例示した3,000億のプログラムについても、指摘される不安はそのような点だと思います。優秀なノーベル賞級の研究者に90億円のお金をハンドリングできるのかというのはどの方も言っておられますので、おっしゃったように適切にペアを組むというのが有力な解ではないかと思います。
    世界を席巻している米国企業の技術戦略などを聞きますと、コーポレートの研究所にイネーブラーとかプロデューサーという方がいらっしゃって、その人がお金を差配しているような構造があり、他方で日本のメーカーは営業マンと技術屋さんが両翼に離れていて、そこのつながりが弱いのが日本の技術戦略の弱いところではないかという指摘もあったりします。そこは非常に難しいところで、ペアを組むとか、融合させるとか、うまくやっていければ、まさに企業も研究者もイノベーションの競争に勝っていくのではないかと感じるのでございます。それを(7)のところでは人が移っていくというような、「重心移動」というマクロな表現であいまいにしているところがございますが、ペアを組むというのも重要でございますので、その辺はわかるような書き方で工夫したいと思います。
  • 橋本委員長
    ここの部分については伊藤委員の言われたとおりだと思うんですね。ただ、私も何度か言っていまして、ほかの方からも御意見が出ていましたが、基礎研究をやっている人がそこだけに閉じているというところが問題で、第4期に向けてはそういう人たちがもう少し出た視点を持つことが必要である。その人が全体に責任を持てということでは決してなくて、少し出たところから自分の研究を見る機会を持つことも必要であるという意味だと思っているんですね。ですので、全部責任を持たせる、やらせるように聞こえるのであれば、書きぶりを変えないといけないのではないかと思うので、御指摘のとおりだと思います。
    まさにおっしゃるとおりで、基礎研究のところですぐれた方が次につなげていく仕組みがすごく重要ですし、それと同時に、そういう方が違った視点で見られるような仕組みも重要であるということが書き込まれていると私は思って読んでいたんですが、伊藤委員が御指摘のような御懸念、確かにそうですので、そこの部分は変えていただければと思います。
  • 谷田部委員
    コメント的なものになると思うんですが、49ページの国家課題というところで、最近、次世代のスーパーコンピューターの開発企業が撤退するというようなことがあって、計画が大幅に変わりそうだということがありますが、スーパーコンピューター自体は基礎的な部分として国家として重要なものである。そういうことで始まったことですから、それが一企業の経済的な理由で計画が変わってしまうようなことはこれからも起きてくるのではないか。
    これまでは経済的な問題は、ある程度クッション的な部分で企業が吸収したり、社会全体で吸収したりできたものが、できなくなってくると、国家課題というものをどうしても不可欠なものとしてやるのであれば、安全弁みたいなことも考えていかないと、結局だめでしたということになっては困ることはきちんと考えていかないといけないのではないかと思うんです。
    それをどういう方法でやるかということは具体的なものとしてくると思うんですが、ここに挙がっている3つの課題について、例えばスーパーコンピューターというのは必要な役割を果たしていくと思うので、そういったことをどう含んでいくのかということがあると思います。
    それから理工系教育の再建というところで、全体像としてどうなのかということがあるので高等教育に限っているんだと思いますが、たまたま昨日横浜のサイエンスフロンティア高校というのを見学してきまして、横浜市がお金を出して高校の教育に力を入れよう。理数系を基礎からたたき込んで日本の科学技術を支えるような人材をつくろうということで、国として、例えば高専みたいなものがあるのであれですけど、とにかく人材を育てたいということは、国だけではなくて地方自治体とか、企業によっても学校をつくったりというところが出てきているので、初等中等教育みたいなところも含めて理数系教育ということを考え直すみたいなことが盛り込まれてもいいのではないかなと思いました。
  • 浅間委員
    まず全体的な印象では、これまでの議論がまとめられていて、プリンシプルとして非常によくできているなという印象なんですが、その一方で、いろいろな課題の指摘なり重点化すべきことについてはわかるんですが、具体的な方法論がこの中には余り書かれていないような印象を持ったんです。実際このレポートの中に具体的な方法論をどこまで盛り込むかというのは、むしろ方法論は盛り込まない程度にとどめた方がいいという話もあるのかもしれませんが、ではここに書いてあることをどう実現するのか、ここを読んだだけではよくわからないというのが1つあるのかなと思いました。
    具体的に、例えば2番の多様性ある基盤的研究の質の向上という部分に関して言うと、いわゆるピアレビューの欠点を補うといったときに、何人かのレビューアーが評価を行うとすると大体平均的なところに落ちついてしまうというのがあるので、例えばある専門的な知識を持った人が、分布でいえばあるところに山があるようなガウス分布ではなくて、極端に2つに評価が分かれるようなものに関しても、悪いと評価をしている人がいる中で、いい人が非常に評価が高ければそれも拾うというような方法論というんでしょうか、枠組みをつくるというような書き方もあるかなと思いました。
    それからもう1つは、例えば秀でた人的資源の重心移動に関しても、以前もこの委員会で私が意見を申し上げたんですが、いわゆる研究開発への投資ではなくて、むしろそれを使うところに投資をするというのと同じで、人材に関しても単に枠組みをつくるだけではなくて、そういう人間が長期的に雇用されるとか、待遇が非常にいいとか、そういうことがないとこちらが育成したい方向に進んでいかないという問題がありますので、単にポジションをつくるとかいうところにお金を使うだけではなくて、長期的な雇用とか、待遇改善であるとか、そういうところにも投資をする必要があるのかなと思いました。基本的に、研究者になることをエンカレッジするということと研究者を社会貢献に向かせるということは違うことだと思いますので、そういう枠組みづくりが重要かなと思いました。
    その関連で、マネジメント人材市場の創出ということに関しましても、既にいろいろな委員の方が指摘されていますように、インテグレーター、トランスレーターというような人材は圧倒的に不足していて、実際そういう役職としていろいろな機関の中にいる人も、余り機能していないような印象が強いです。それは、研究開発の現場をもうちょっと深くわかっている必要があるかなと思っています。そういう意味で、例えばそのプロジェクトにもう少しくっついているというんでしょうか、派遣されて、中身もよく理解した上でアドバイスができるような枠組みというのも必要だろうと思いました。
    1つ戻りまして、理工系教育の再建に関して、今、私は精密機械工学専攻というところに所属しているんですが、非常に重要な問題として、いわゆる生産技術であるとか、物づくりの下支えの部分の技術に関してはなかなか人気が上がらないという状況がございまして、国としても重要だし、我々も重要だと思っているんだけれども、学生の人気がない。学生の人気がないと、どうしてもその学科は白い目で見られて、そのうちつぶされていくようなことになる。そうすると教員も人気取りのための努力をするという本末転倒のような話が今あるわけでございまして、これも何で人気がないかというところまで掘り下げて問題を考えていかないといけなくて、それはまさに先ほど申し上げた雇用とか、待遇が悪いとかいうところに行き着くわけですね。それを何とか国が支援してもらうと人気が上がってくるのかなと考えました。
    それから、一番最後の10番の国際戦略の明確化のところですね。研究環境の構築と国際戦略の明確化のところで、日本でそういう環境をつくるというのは、つくるべきだとは思うんですが、方法論になったときにいろいろ難しい問題があって、例えば言語の問題もあるでしょうし、外国人はたくさん、例えばアジアから来るんだけれども、欧米から来る人が少ないとか、逆に日本で国際的な知識を持つ人間も相対的にはだんだん少なくなってきているということであるわけです。
    私は、センターというものをつくっていく、センターをつくるのを支援するという方策が重要だろうと思っていますし、それは、いわゆる研究のシーズに対してセンターをつくるだけではなくて、日本ならではのニーズに関するセンターをつくって、研究開発をやる人間を日本国内及び海外から呼んでくるというようなセンターづくりの支援というのが方法論としては重要ではないかと考えております。
    コメント的になりましたが、以上でございます。
  • 射場委員
    私はこの会に出席して4回目なんですが、その前にもアンケートとかで答えさせてもらっていて、いろいろ書いたこととか言ったことをすごく受け取って表現されているなと感じますが、今の方と同じように、ちょっと抽象的に感じる部分があります。
    これから具体化していくところで2点ほど言いたいんですが、1つは、「基盤」という言葉が何回も出てくるんですね。「基盤」と言って、皆さんの受け取り方がまちまちなんじゃないかなと思って、例えばSPring-8とかJ-PARCみたいなオンリーワンの設備を基盤と思う人もいるし、我々だと電池の新原理とか、太陽電池の原理的な研究とか、そういうことを基盤と思っている人もいるし、全然違う見方で研究人材みたいなことを基盤と思っている人もいると思うんです。そこを、この議論の場合はどういう基盤の話みたいなことをもうちょっとブレークダウンして示すとポイントがフォーカスされてくるのではないかな。
    あとは、基盤研究であっても達成レベルがあると思うので、そこを明確に示してPDCAのチェック、PDCAのPDは結構できると思うんですが、チェック、アクションが甘いとモチベーションにつながらないと思うので、そこを明確に、具体的に示すといいのかなと思ったのが1つ。
    もう1つはオープン/クローズの境界線の話が、2つ目の柱ですか、ありましたが、ここも悩ましいところで、我々民間で産学連携をやっていてもいつも悩むところであります。説明の中にIMECはうまくやっていて、オープン/クローズの境界線を適切に設定すればいいと本文中に書かれていますが、ではどうやって適切に設定する、IMECの秘密は一体何なのか、なぜうまくマネジメントできているのか、そこをよく調べて中身を決めないと、言うだけになる。
    私は、やっぱりそこは「人」だと思いますし、民間だと、こういうテーマだと基盤研究だからオープンでやりましょうと言って始めて、だんだん成果が出てくるとクローズにしたくなってくるんですよ。で、知財を出すときにもめるとかいう話もありますから、オープンの領域はここまでで、この成果が出たら、ここから後は民間で引き取ってクローズにするみたいな取り決めを研究のどこかの部分でしていくみたいなのも仕組みの1つかなと思います。それは一例にすぎないですけど、いろいろ仕組み、秘訣みたいなことがあると思いますので、そこを具体的に決めていくと、民間にも大学の研究機関にも役に立つような仕組みが構築できてくるのではないかなと思います。
  • 久間委員
    本日の資料も非常にうまく書かれていると思います。例えば、最後の「秀でた人的資源の重心移動」ですが、経産省の方々は大変うまく表現されると思いました。どういうことかと言いますと、これまでの人的資源のつくり方が決してうまくいっていなかったことをわかって書いている文章だ。しかし、読む人がそれをちゃんと読み取れるかどうか、非常に不安ですね。このまま読むと、これまでの人材育成というのは非常によかったので、このままでもいいと思う人が結構出てくると思うんですね。
    確かにポテンシャルの高い研究者は育成されたけど、悪い言葉で言うと、たこつぼ的な研究をやっている人がやたらに多いことが問題ですね。こういった研究者の意識革命をどうするかが最も重要なことで、意識革命は単なる論文を書くことだけではなくて、それをイノベーティブな成果にする、つまり産業界にいかに大きなインパクトを与える成果を出すか、もう少しこういったところを明確に書かないと理解してもらえないのではないかと思います。
    次に2,700億円の世界最先端研究支援強化プログラムですが、このまま突入したら、2,700億円もの研究費がどれだけ有効に使われるかわからないと思うんですね。特に、このプログラム、有識者からいろいろな意見が出されていると伝わってきます。若い人に出せばいいとか、ノーベル賞をねらえる人だとか、投資する目的が明確でないんですね。ですから、例えば2,700億円の3分の1はピュアサイエンスでノーベル賞をねらえる研究者や研究テーマに使う。3分の2はイノベーションの分野で、新しい発明で本当に産業にインパクトを与えるテーマに使う。そういうリソース配分を考えて、それぞれに最適なリーダーを探していくというような枠組みをまずつくることが大切であると思います。
    それから、グローバル研究開発拠点の話がありますが、ここのところの重要なポイントの1つはその中で何をやるかというコンテンツの問題と、リーダーの問題ですね。リーダーが最も大切で、優れたリーダーを連れてくれば研究開発のシナリオもちゃんとつくりますし、優れた研究者も集まる。そこが抜けているなと思いますね。ですから、国家プロジェクトで集中研をつくる時には、企業や大学、国籍を問わず、この人のもとで研究したい、新事業をつくってみたいというリーダー、副リーダー、ここのところをもう少し強調すればいいんじゃないかなと思います。
    それから、先ほど川合委員から話がありましたが、プログラムオフィサーなどは非常に重要な役割なんですが、アメリカはこのシステムがものすごく古くから存在してるんです。多分30年、50年の歴史がある仕組みで、ひとりひとりが本当にプロフェッショナルです。日本はできたばかりだから仕方がないですけれども、米国のようなプロをつくるためには、若い人が一流のプログラムディレクターとかオフィサーとして生きていこうというモチベーションを与える社会的ステータスをしっかりつくっていかないと、いい人が集まらない。企業をリタイアした人がプログラムオフィサーになるとか、これも1つの方法なんですが、若い人たちから、おれはプログラムディレクター、オフィサーになるぞという人が育ってこないとだめだと思うんです。社会的ステータスをどう上げるかが非常に重要だと思います。以上です。
  • 荒川委員
    もう既にいろいろ意見が出されていますが、大変よくまとまっていますが、確かに具体的にどうするかというと難しい点があります。先ほど浅間委員もおっしゃっていましたが、1.の(2)ですが、日本は評価がすごく苦手で、評価法をどうやって公正なものにするか、これがかなり難しい問題になります。
    もちろん研究テーマもそうなんですが、人材に対する評価ですね。どの研究者が一番いいのかというのがなかなか適切に評価できない。その典型的な例として、先ほどありましたが、女性がなかなか採用されないというのはそこで、産休とか育休で休んだらどう評価するか、だれも適切に判断できないんですね。仕方がないので人数で、何パーセント設けましょうという強行的な手段になってしまう。
    また、後の方で理工系の人材が足りないから海外から若手研究者を導入するというのは大変いいと思うんですが、若手研究者は日本に住みなれて、ここにずっと居つきたい、当然パーマネントの職につきたいとなりますから、外国人の研究者もどうやって評価するかですね。研究組織というのは、女性も含め、外国人も含め、どんどん多様化していきますから、将来指導的立場に立てる研究者をどうやって選んでいくかという評価方法を具体的に確立できたらと思います。
    また、これも既に何度も言われていますが、マネジメント人材でMOTがかなり前から重要だ重要だと言われて、うちの大学でもMOTコースというのをつくったんですが、学生がなかなか来ないんですね。そこに行ってどういう職業につけて、どういう人生を送れるのか、よくわからないんですね。上の方からこういう職業が重要ですと言われても、肝心の受験生にそれがわかりにくいというところがあります。ですから具体的に、こういうふうに活躍している人がいるんだとアピールしていけたらいいと思います。
    また、理工系離れですね。最近、小学校、中学校、高校生に理科教育を、おもしろいんだと力を入れているんですが、理科が好きな子供たちは大体医学部とかに行ってしまうんですね。お医者さんだと、どんな職業についてどういう立場になるかがわかりやすいんですが、理工系で非常に恵まれた立場にいる人の例が具体的に見えないんですね。ソフトウェア技術者、IT技術者というのは3K職業の代表のようなイメージになっているんですが、聞いてみると、上流部の人は非常に待遇がよくて、年収もかなりもらっているそうなんですね。そういうのをアピールして、技術系でこんなにいいポジションにいる人たちがいるんだということを宣伝をしたらよろしいのではないかと思います。以上です。
  • 上原委員
    NEDOに関しまして、前回いろいろな制度改善、あるいは運用の改善の工夫をしていますと申し上げさせていただきましたが、幾つかこの報告に即して申し上げますと、1つは、詳細な参考資料の方も拝見しますと、ナショプロのミッションというのが、これはNEDO法にも書いてあるわけですが、これまでの産業競争力の強化ということに加えて、イノベーションへの貢献というのが新しく入ってきているように理解いたしました。そういう意味からいいますと、参考資料の120ページになりますが、ここに非常にわかりやすくナショプロの目指すべきところ、真ん中、上の方に4項目ありますが、これを本文のどこかに入れていただくと、より目指すべき方向がわかりやすいのではないかなと思いました。
    社会的課題等の解決への貢献というのが1つ。それから、産業の国際競争力強化への貢献。イノベーション加速への貢献。その他の貢献というところですね。それが1つであります。
    NEDOの場合には、前回も申し上げましたが、今現在で約120のナショプロを実施、執行しておりまして、毎年十幾つ、新しいテーマにつきまして経済産業省の予算を取っていただいてスタートさせている。いろいろな工夫というのは、新しいプロジェクトを起こすときに取り入れやすいんですね。新陳代謝しておりますので、NEDOの現在のプロジェクトを一斉に方向を変えるというのは難しい面もありますが、新規の、前回例を1つ出させていただいたのが蓄電池の新しいプロジェクト、これは拠点整備も行っている。そこにはいろいろな、ここでナショプロはこうあるべきだという御指摘をいただいている工夫が入っております。
    さらにもう1つ例を追加いたしますと、これは初年度、経済産業省技環局を中心に直執行で実施されました次世代MEMS、BEANSですね、これを今年度からNEDOに移管していただきまして、さらにNEDOとしても研究組合でこれを実施する、それを設立していただくとか、新しい工夫を追加しながら始めた例でございまして、ここにも拠点の整備を初め、異業種、異分野の融合といいますか、そういう工夫もあり、ネットワークといいますか、拠点が何箇所かに散らばっているので、テレビ電話のかなりしっかりしたものを入れてそれぞれの融合を図ろうという工夫をされている例もございます。
    今日は時間があるのでその例を少し話をさせていただきますと、BEANS、総合研究会議というのが一昨日と昨日ございまして、次世代MEMSのBEANSに参加しておられるほとんど全員の研究者の方、100名ぐらいが都内に集まりまして、2日間かけて、夜も含めていろいろな研究の紹介、研究開発の進め方についての議論等も行っていただきました。私も後半の方はずっと参加させていただいたんですが、なかなかよかったなと思うのは、プロジェクトリーダーの産業界から御推薦の方が非常に頑張っていただいて、さらに学会からもサブリーダーという形でしっかりした一線の先生がついておられるわけですが、議論が、若い研究者が多いんですが、非常に闊達で、異業種、異分野の人が拠点で集まるだけではだめだよね。それは単に集まっただけだよね。
    ではどうするかというと、MEMS、BEANSは無機材料と有機材料のミクロな加工といいますか、ナノ加工の技術で、それでセンサーとか、次世代の太陽電池とか、有機ELディスプレイの新しいやつとか、そういう産業へ発展させようというものですが、まさに有機と無機の技術の領域の話であって、研究者の人たちはそれぞれ言葉が通じないらしいんですね。それがそういった場に集まってポスターセッションをやったりしている中で、相手の分野のことを全部知るというのは不可能だけれども、どこが接点なのかということを見出していくということで、新しい領域の技術のイノベーションが進んでいくというのを、私は実際その場にいて実感しました。
    しかも、今までの、例えばNEDOのいろいろな制度がありますが、そういう既存の制度とかマネジメントのテクニックというのではなくて、本当に一線の先生たちが集まって、いわば手づくりでそういうプロジェクトをやっていこうという、そういう手づくり感が重要ですね。と思いました。
    それがBEANSの例ですが、NEDOの場合は新しいプロジェクトを起こすために、あるいは移管を受けるために工夫を凝らしていって、御指摘いただいているような改善を図る、あるいは方向の転換といいますか、新しい方向を目指していくということを行っていきたいと思っているところであります。
    それが1点目でありまして、あと、マネジメントの人材の話ですが、これはNEDOということで名指しでも指摘していただいていますが、マネジメントの人材の育成をしなければいけないということですが、私も個別のプロジェクトに立ち入っていろいろ口を出しているんですが、つくづく思うのは、テクニックの問題ではないんですね。NEDOの場合、プロジェクトはそれぞれが非常に特徴があるというか、個性があって、一つ一つ技術の特徴を生かすようなマネジメントをやっていかなければいけない。そのためには、今までのやり方が障害になる場合もあるんですね。
    例えば、こういう基本計画にしたいと思いますとか、実施計画をこういうふうにしたいと思いますとかいう案が出てきても、これはこのテーマに似つかわしくないのではないかという話を私がしますと、いや、これはもう前例がありますからとかいう話が出てきて、抵抗勢力か。そうではなくて、研究開発にかかわらないかもしれませんが、実態を素直に、好奇心を持ってよく見て、自由な発想でどいうふうにすればこれがうまくいくのか考え抜いていくという、人としての基本的な能力を高めることが一番重要ではないか。むしろ制度、テクニックというのは邪魔になるようなところもある。
    一人一人が考え抜くということと、基礎に立ち戻ってのプロジェクトというのは時間がかかります。ナショプロは四、五年というのが多いですけれども、材料までさかのぼると最低10年とか、もっとかかる場合も実際にはあるわけで、そういう長期にわたるリスクを取る覚悟がどうしても要る。委員の方がおっしゃっていましたが、2年、3年で人がかわるような場合には長期にわたってスポンサーシップを発揮することが個人としてはできないという弊害はあると思いますが、それを組織としてどういうふうにやっていくかというのが我々の課題ではないかと思います。
    それからもう一つは、先ほどスーパーコンピューターの話がありましたが、これは本当に驚きまして、たまたま発表の日に先輩と会って話すことがあって、NEDOで救えなかったのかと言われまして、こういう基盤技術のところでああいう事態になると、初めて問題があることがわかったんですが、NEDOでも大なり小なり会社の方針の変更でフォーメーションを組み合わせざるを得なくなっているテーマが最近は出始めていて、何とか補い合うような形で問題が起こらないようにしているんですが、3番目に申し上げたいのは、この委員会で御議論をいただくか、方向をまとめていただくことかどうかわかりませんが、研究開発、R&Dから、今回、実証が大事だというお話をしていただきました。それはまさにおっしゃるとおりで、R&Dから実証、それから太陽エネルギーのように普及促進というふうに、国家として重要なテーマは一貫してシームレスな開発から普及促進というふうに政策を立案していただくのが非常に重要だと思いますし、効果があると思うんですね。
    問題は、出口のところの製品なり事業が他省庁の場合、先ほどはスーパーコンピューターの基盤の方の話でしたが、出口の方が違った分野のことになってきますと、本当はそこまで一貫してシームレスな普及促進策というものをぜひやっていただきたいと思います。これはこの委員会の問題かどうかわかりませんが、最後にその点をつけ加えさせていただきたいと思います。以上です。
  • 横山委員
    まず、この報告書では1.の(1)の国家課題に対応した重点化の枠組みの構築というところが最初に出てきて、ここが一番大事だと思っているのですが、2章で各分野の話がちゃんと解説されていますが、多分一般の人は3章から読み始めてこの最初の部分をずっと読んでいくと思います。私はまだ4回しかこの委員会に出ていないのですが、最初のころに将来のあるべき社会システム、出口を想定して、今後研究開発資源を投入していくという議論があったかと思います。そういう話がこの(1)に4つの課題という形で書いてありますが、ここを、第4期はこういうふうなことでとらえるべきであるということをもう少し厚みをつけて書いていただいた方が、読者の方がよくわかるのではないか。2章にはきちんと書いてあるんですが、その辺、書きぶりとして御配慮いただければと思います。
    それから、大学にいる人間としまして、理工系教育の再建という課題には非常に頭を痛めており、私も電気系ということで、産業界に人材の要望が強いにもかかわらず、最近学生さんに不人気で、優秀な人材を多く供給できていないのではないかと申し訳なく思っているわけです。御存じのように文科省の1%の運営費交付金の削減、現場には1%ではなくて2%とか、そういうふうな感じで運営費交付金の削減がきているわけでありまして、一たん講座が消滅しその分野がなくなりますと、その分野の人材の育成が非常に困難になるわけで、学生の数が減ってきて、また増やそうとしても、分野に対する人気の負のフィードバックがどうしてもかかってしまいまして、V字回復というのが非常に難しいのではないかと思っております。
    ですから、ここで「政策的なシステムが担保されることが必要である。」というのは大変いいことを書いていただいているんですが、実際にこれをやろうとしたら一体どうするんだろうと思いまして、文科省とかいろいろな省にまたがる政府全体の問題だと思います。ですから、言うのは易しいんですが、行うのは難しいということで、ぜひこの辺のやり方、方法論というのでしょうか、この報告書全体をどう今後の政策に反映させるかというのは、経産省だけの問題ではなくて、いろいろな省とかかわると思いますので、その辺の連携の仕方というのを、私はまだ4回しかこの委員会に出ていませんので、よくわからないので、教えていただければと思います。
    それから、最後の4.の(10)ですが、最近大学で優秀な留学生のキャリアアップが困難であるという認識は余り私にはなくて、優秀な留学生の方はそれなりにキャリアアップしているのではないかと思っていたんですが、こういう現実があるというのはちょっと意外だなという感じがいたしました。
    最後に、企業も外国人の留学生を最近は採用していただくようになりまして、外国人の留学生の方も日本にいて研究開発の仕事をしていける場がたくさんできるようになったということで、いいことだと思っているんですが、実は私の研究室からも何人かの外国人の留学生が日本企業へ出ているんですが、定着率が非常に悪いんですね。5年から10年すると他のところへ移ってしまう。彼らはそれなりに考えて、給料の高いところとか、もっとやりがいのある仕事ができる場所を求めて動いていくわけです。これは国内だけではなくて海外にも出ていってしまいますし、日本には5年から10年の定着率だなと私は見ているんですが、そういうので日本の企業がいいのかどうか議論していかないと、外国人をたくさん雇うようになって、5年、10年で移られるのであれば研究開発現場としてどうなのかなというのが感想であります。以上でございます。
  • 宮部委員
    私は余り過去出席できていないんですが、数少ない発言もきちっとまとめの中に入れていただきまして、どうもありがとうございます。
    先ほど射場委員からも出ましたが、IMECのことが触れられているので、これに関して少しコメントをしておきたいと思うんですが、私どもはIMECと長らくつき合いがあって、昨年、少し大きなセンターを中につくらせていただいたということがあるんですが、私から見てIMECの特徴というか、ベルギー、フランダース州政府ですが、の特徴というと、1つは国内産業への配慮が要らないんですね。技術をなりわいとしている大きな国内産業が余りないですから、そういう配慮が全く要らない。言いかえると、IMECそのものが研究開発をなりわいとする産業としてベルギーなりフランダース州の経済に貢献すればいいよという、そんな感じが見られるんですね。したがって、その中でコラボレーションを起こすためのいろいろな組み合わせなんかも、呉越同舟が起きないようにとか、かなり恣意的な組み合わせがあっても構わない。研究開発という意味で順調に行われればいいということで組み合わせをされている。
    それをやっているのがギルバート・デクラーク教授という責任者ですが、彼はCEOという肩書きを持っているんですね。CEOなんですね。研究開発をなりわいとする組織を運営するという観点で長けていて、そういう組み合わせをされている。もちろん知財として共有するところ、それぞれが持つところというようなことも極めてビジネスベースに決着がついている。そういう、ベルギーなりフランダース州ならではの部分があると思うんですね。
    恐らくシンガポールなんかもそれに近いんだと思います。アメリカはまた別のことだと思うんですが、何が言いたいかといいますと、日本国内で日本版のコラボ拠点をつくろうということについて、つくる前に、日本版コラボ拠点のあり方というか、成功要因をしっかりと議論して、共通の概念のもとに運営をしていった方がいいのではないだろうか。IMECに参画している魅力は、ベルギー政府から金がもらえるわけではないんですね。お金が目当てではなくて、そこの人材とか、研究開発環境とか、設備、インフラといったものに魅力を感じて、我々が単独で実施するよりもプラスが大きいなという判断に基づいていると思います。日本でそれをどう実現するかという意味で、考え方をはっきりした上で進めていくことが大事かなと思います。
    もう1点だけですが、人材という問題は非常に大事な問題だと思います。今のIMECの例もありますし、中国やベトナムなんかのオフショアで見ても、今、日本企業が海外に出ていっている1つの理由は国内の人材不足であることは間違いないと思います。海外企業がどんどん撤退していっているのも日本国内の人材不足も1つの原因ではないかと思います。このまとめの中では、教育のあり方といいますか、いかにいい人材を育成するかという歩留まりの議論は入っていると思うんですね。ところが、それ以前にベースとして理系の人材を増やすためにどうしたらいいかという視点が1つ要るのかなと思います。
    1つは海外人材を入れるということで書かれているんですが、日本の人たちがもっと理系を目指すためにどうしたらいいか。例えば中学生、高校生が理系を目指すという視点に立ったらどういうことが必要なのか、あるいは、せっかく理系の大学に入ったけれども、理系で学んだことを生かす職業につく、あるいは大学に残るという、進路的に理系を選ぶ、そのために企業は何をすべきか、国が何をすべきか、あるいは大学は何をすべきか、そういう理系を目指す人たちを増やすという視点の取り組みももう1つあった方がいいのではないかなと思いました。以上です。
  • 前田委員
    とても壮大なというか、立派にまとめていただいて、どうもありがとうございます。まとめの中のどこがというのは特にないんですが、皆さんがおっしゃいましたように、プログラムオフィサーの位置づけだったり、産学連携を支援する人材の雇用のことなどは私も同感です。
    今回1つ、人材は一番大事ですので、理系人材についてお話しさせていただきたいと思います。先日、堀場製作所の最高顧問である堀場雅夫さんに雑誌で書くためにインタビューをする機会があったんですが、そのときに堀場さんがおっしゃったことで印象的なことがありました。
    人間は感動するときにドーパミンとかアドレナリンがどばっと出るんですが、その神経伝達物質を受ける受容体というのがアングロサクソンには約半分、50%の人にあるのに、日本人は2%しかいないんだよという話をなさったんですね。ということは25分の1しか感動しても行動に移せる人がいない。だからベンチャースピリットのある人が少ないのはしょうがないのかなと思ったんですが、堀場さんがおっしゃったのは、2%といったってすごい人数になるでしょう。その人たちがやるんだったらすごいし、人間というのは後天的にいろいろ学ぶものなんだよという話をされていて、98%の人が2%の人をつぶさない教育というんですか、オリジナリティーだったりベンチャー精神を持っている人を小さいころからいじめないような教育というのがすごく大事だと思うんですね。
    小・中・高で感動してそれを行動に移したいと思う人が研究者になると思うんですが、そういう人たちがつぶれないような教育の仕方を小・中・高でしていくのがとても大事だと思います。ひいては変わったことをした人がいじめにつながらないようにもなりますから、ここには関係ないですけど、そういう教育の仕方ってすごく大事だなと思っています。
    また、私は自分が理科系で、娘が大学の理科系の学部に進んでいるんですが、女性で楽しそうに研究者をやっていたらしいんですね。いつ帰っても、私は脳天気なので楽しそうだったらしくて、高校生、中学生に私はお話しする機会があるんですが、話をして、なかなかいいものだよというのを実際に知ってもらうのはとても大事だと思いますし、企業の方の出前授業というんですか、企業の研究者の方が小学校とかに行って実験をやって楽しそうにしているというのは大事なんじゃないかなと思います。
    私の娘が出た小学校も、公立の小学校だったので、半分以上が女性の先生でした。理科が大嫌いという先生ばかりの中で育っていましたので、理科はおもしろいものだと思ってもらえないんですね。企業の方の出前授業があったり、私とか、女性で理系に行っている人の、なかなかいいものだよという話が聞ける場がもっともっとあるといいのかな。
    ただ、この報告書に具体例をどこまで書くかというのは、ほかとの絡みがありますので、それはあると思いますが、何と言っても小さいころからの教育というのが日本の理系人材を育てる大事な要因ではないかなと思っています。
  • 堤委員
    皆さんかなり好意的なあれですので、ちょっと辛口のコメントを2点ほど。
    基本的に1.と、2.から4.まで2つに分けられると思うんですが、1.の重点化の枠組みのところですが、最初にありますように重点化4課題、低炭素社会から始まった4つの課題が重要なんだ。これは議論してきたとおりで、このとおりだと思うんですね。
    ところが(3)のところで、例えば資源配分を重点的にすべき分野として原子力、太陽電池、ロボット、再生医療といきなり出てくる。多分2年ぐらい前だったら太陽電池は入っていなかった。ここの位置に来ているのは水素、燃料電池で、電池3兄弟だからいいかという気もするんですが、問題はそうではなくて、本当は4課題に対して日本の国をどういう社会、どういう産業構造に持っていくかという明確なビジョンを描き、それを実現するための具体的な戦略を議論した上で、そのためには重要な分野としてどういう課題が挙げられるかということを議論するのが重要なんだと思うんですね。
    ところが、ずっと技術マップ、技術ロードマップのローリングをやりながらそういうことをやっているにもかかわらず、ここのところは非常に難しい。冷静に考えて、太陽電池とロボットと再生医療と原子力が横並びに並んでいるということ自身おかしいですね。全然技術的に。例えば、太陽電池って、はっきり言えばローテクですよね。太陽電池をつくる装置を買ってくれば、だれだってあしたからビジネスができるわけです。太陽電池を悪く言っているのではなくて、これは低炭素社会とか、ものすごく重要にもかかわらず、問題は、技術の本質はどこにあって、次世代の産業構造とどういう形で結びつくかという議論があって出すべきだと思います。
    2つ目が2.、3.、4.に関する、これは恐らく拠点化ということと人材育成、ここら辺のことだと思うんですが、まず1つは大学の位置づけが明確でないんですね。先ほど横山委員もおっしゃっていたように、54ページでは日本の大学の中でキャリアアップするのは極めてまれとか、これはちょっと誤解がありますね。
    そして、理工系教育の再建、これはものすごく重要なんですが、よく読むと、53ページの上あたり、ちょっと難しい言い方をしているわけですが、「仮にこうした機能の一部が喪失する事態が現出する際には、納税者たる企業との合意形成のプロセスは担保されるべきである。」とか、「研究領域の消滅が関連基盤教育の消滅まで招かぬよう、政策的なシステムが担保されることが必要である。」。こういうことはかなり慎重に議論しないと、なかなか言えないものだと思うんですね。
    大学は、企業がこういう人材を出してくださいという人材を育てるだけのものではないはずなんですね。例えば、大学は教育と研究と両方、教育をやりながら研究、研究をやりながら教育をやる。その2つのシナジー効果があって魅力があるんだと思っているんですが、例えば熱力学で論文は書けませんよね。古典力学で論文なんかそんなに書けないわけですね。ところが研究者として成功していくためには論文を書かなければいけない。最先端の分野でやらなければいけない。そうすると必然的にそこら辺の矛盾。はっきり言えば、例えば工学なんてハンドブックができれば役割は半分以上終わっているわけですね。それを繰り返し学生に教えていく体制をメインとした大学をつくっていくことが重要かというと、僕はそうは思わないんですね。だから、そこのところをよく議論した上でこういうふうにしないとまずい。
    もう1つは拠点ということですが、やっぱり経産省なのかもしれませんが、拠点が大学ではなくて、どちらかというと公的研究機関、具体的に言えば産総研とかNEDOとか、そこら辺の中に拠点を置くようなイメージで、その拠点というのは例えば世界的研究環境の構築、国際戦略ということで、トップクラスの世界の研究者が自由に集まってこられるような体制。
    これはよく考えるとなかなか難しくて、例えば大学なんかで1つのネックは言葉の問題ですね。学生に全部英語で教育すれば全然問題ないわけですが、我々の研究室でも半分は英語でやっていますが、全部それでやっていいのかどうかですね。そういうことを考えると、拠点をどういう形で形成して、その中に大学をどう位置づけるかというのはもう少し議論する必要があるのではないかなと思います。
    もう1点、51ページの下の方にあります公的研究機関の役割の再構築で、下から8行目ぐらいですか、「量産技術実証や実規模試験・試作といった規模の経済が働く実証的試験研究である場合が多く、これらは大学が担う機能ではなく、」、これはちょっと違うのではないかと思いますね。スケールアップとか量産化技術というのは別に企業だけがやるわけではなくて、これはこれで学問としても方法論としても大学が担っている部分もありますし、大学と、産総研のような公的な研究機関と、企業と、3つの性格の違う研究組織をどう組み合わせていくか、役割を分担するかということは、もう少し議論した方がいいのではないかなという気がします。以上です。
  • 安宅委員
    この報告書、今まで余り見たことのない力作だと思います。さらに魅力を上げて影響力を上げることが、もうちょっと工夫するとできるのではないかなと思います。
    それは、これは「競争と共創のイノベーション戦略」と書いてありますので、何のためのイノベーション戦略なのかということがずばっとわかりやすく出ているといいかなと思います。これまで何人かの委員の方が、例えば日本の特徴として人間工学とかビジョンというお話をされましたが、戦略を立てるときには現状認識とか問題意識を積み上げて目標を設定して、こういう戦略ねというやり方もありますし、もう1つは、こうなりたいと、意識、意図を前面に出してつくる戦略というものもあるんですが、後者の方がもうちょっと味をつけたら、将来何かにわたって参照されるような報告書になるのではないかな。そうするとある種、魅力と影響力が出てくるのではないかなと思います。
    例えば、先ほど何人かの委員がおっしゃっていましたように、世界共通の根元的な課題というのが取り上げられておりますが、特に(1)の国家課題のところで、では日本としてはどんな特徴を出すのかということが非常に重要だと思います。実現したい姿をどう描くかということで、それは個人なのか、組織で描くのか、仕組みで描くのかわかりませんが、もうちょっと深掘りしたもの、具体的なアプローチも含めたものをつくると、実現したい姿、社会イメージが国民にとってもわかりやすいものになるのではないかな。
    そうすると、効果としては、先ほどの人材の育成、例えば動機の問題でも、夢を持てるとか、希望を持てるとかいうことにもなりますし、企業間で競争とか協調をするときにも、個々の企業は、それだったらうちの企業はこういう夢を持とうとか、こういう価値を提供する企業になろう。だったらこういう企業と組もうとか、そういうふうになると思うんですが、この辺のところが日本の場合には欠けているかなと思うので、この報告書の中で実現したい姿を描く。単純に世界共通の根元的な課題はこれとこれとこれですよということではなくて、日本の特徴をもう少し出すような、イメージを出すようにすることが大事ではないかな。
    もちろん、目標自身に特徴があるのか、実現するアプローチに特徴があるのかというやり方の違いはあろうかと思いますが、そういうことが1点必要だと思いますし、それを継続的にどう国民的な、社会的なコンセンサスにするか、これは大切にしたい価値だなと皆さんが思うようにするかという仕掛けとかムーブメント、定着させる方法ですね、そういうことを考えないと、ぽつんと課題とか何かを言ったきりになって、そのうちに状況が変わると忘れ去られてしまうということになりますので、日本はここで生きていくんだよね、それは前にこういう見識のある報告書でも言ったとおり、だんだんそれを進化していってここにたどり着いているんだよねという、何か定着させる、実現したい姿を描いてそれを浸透させる議論のプロセスをつくり込むということがないと、一過性に終わってしまうのではないかという気持ちがありますので、繰り返しになりますが、これは私自身は従来にない力作だと思いますので、より魅力があって影響力のあるものにするには意図というところを入れる必要があって、そのためには、実現したい姿とか、そういった議論をもう少し深掘りするようなことを入れていただけると一過性に終わらないのではないかと思います。以上です。
  • 橋本委員長
    私も一言。
    いろいろなところで議論していますが、3期が終わるから4期という時代ではなくなっているわけで、それは明らかで、そうすると、この報告書は4期に向けてですから、3期を総括した上で4期がどうあるべきかという書き方にならないといけないと思っております。
    私は大分意見を既に言わせていただいているんですが、そうやって見たときに、1番目のところは重点化の枠組みの変更ということが明確に位置づけられている。2番目は、オープン・イノベーションという概念が、3期までになく、なくというわけではないですが、強く言われている。3番目の人材のところは、人材資源の重心の移動という政策誘導、これがすごく明確に書かれている。4番目は世界に向けた国際戦略ということも非常に明確に書かれている。ほかにもたくさんあるわけですが、そういうのが3期までの総括の上に出てきているということになっていると思うんですね。
    そういうことを踏まえた上で、土井課長、いろいろな御意見が出ましたが、それに対してのお答え、あるいは変更する方向などを示唆していただければと思います。
  • 土井研究開発課長
    昨日の夜までドラフティングをさわっていましたということを告白させていただいて、具体的なところが十分盛り込めていないというのは御指摘のとおりでございまして、今日いろいろなキーワードをいただいて、そういう具体案を書くと流れるなという気もしました。特に、人のところのプロフェッショナルであることとか、ステータスを与えるというような動機づけとか、そういうことをきっちり書き込んでいきたいと思いますので、文章を工夫させていただいて、次回までにお届けしたいと思います。
    それから、幾つか断片的でございますが、基盤研究の「基盤」の意味については、おっしゃるとおりいろいろな基盤の概念がございますので、ここでは政策対応型重点化対象経費にはない基盤的な経費という意味でございますので、言葉の定義をしっかりしていきたいと思います。
    それから、IMECの話があって、私の方も拠点づくりというのをかなり掘り下げておりましたもので、パナソニック様の話とかをお聞きして勉強したのでありますが、その秘訣は、デクラークという人間が20年間かけてやっていて、絶対的に中立的な立場で仕切れるということではないか。共有と占有の境界なんていうのは企業の利益にかかわるところで、関係者、パートナーと納得いく形で仕切っていくという中立的なリーダーの重要性というのがキーかなと思っておりまして、先ほどNEDOのプロジェクトにもございましたが、リーダーがプロジェクトのよしあしを決めるというのは、中立性ある公正なリーダーがいらっしゃってフェアなジャッジをしていかれるのだと思うので、そういう人間がナショプロとか公的研究機関にいるということが非常に重要だと思いますので、そういうポイントなんかも文章として盛り込みたいと思います。
    それから、幾つか大学に関連するところで大学人の方々から御指摘いただいておりまして、大学関連のところは産学連携小委員会という別途の小委員会が主に扱っておりますし、文部科学省のことでもあるので、私もそれなりに慎重に書いたつもりでございます。(10)のキャリアパスのところは誤解を招くような書き方でございましたので、ノーベル賞級の外国人がアメリカの大学に移ってプロフェッサーになっているけど、日本の場合は例がないのではないかということを言いたかっただけなんですが、表現を、誤解を招くところは修正したいと思います。
    それから、堤委員から御指摘があった大学の位置づけについても、確かにおっしゃるとおり産官学、公的研究機関と大学の関係とか、第3章で書いていないところがございます。前提として、多様な研究は大学で、公的研究機関はどちらかというとオンリーワンというか、国に1つしかない機能ということで、共通基盤的、集中的なものかなという前提で書いておりますが、それを書かずに、ぱっとここだけ読めば、大学の位置づけというのは一体どう考えているんだということになろうかと思います。重点化の資源配分の考え方のところも、基盤的経費のところは大学が担うという前提で書いているのもそういう仮説に基づくものでございます。その辺のところは誤解がないよう、表現ぶりはできるだけ書き込んでいきたいと思っております。
    大学の機能自体で、教育と研究の話をどうするかというのをもっと議論したらいいという御指摘がございますが、神学論争になるような領域でもございますので、そこに直接踏み入るようなことは書かないように慎重にしたつもりでございますので、また意見交換させていただきたいと思います。
    私からは以上です。
  • 伊藤委員
    問題指摘型コメントから提案型のコメントをさせていただきます。
    第4期に向けてということですので、第4期は、ずっとこの委員会でやってきているかと思うんですが、イノベーション政策の明確化と強化、それによる成果の創出というところがどこまで出せるかということだと思うんですが、そういう目で見ますと、例えば50ページの上の方に「基盤的研究の資金配分制度における採択審査の改革、改善が引き続き求められる。」と書かれておりますが、一方で何人かの委員から具体的な方策をちゃんと書かないとだめじゃないかということもありましたので、この辺に関して1点御提案いたします。
    提案の趣旨は、提案のもととなっているアイデアは日本全体の知的資産でありまして、問題は、それを国としてどういうふうにイノベーションにつなげていくのか、そこにあるという問題意識で提案するんですが、2つありまして、1つは、現状は、あるプロジェクトがあって、そのプロジェクトの制度に対して提案者が提案書を書いて、すべて提案者の責任で書類をつくり、出して、審査する側は、先ほど来出ているように、どういうことかわからないけれどもイエス、ノーとたたいて、一方的に提案者側に負荷が行っているんですね。これをやめて、表現が難しいんですが、一言で言えばアイデアプール制にして、国家的な課題、低炭素どうのこうのといった場合には省庁に関係なく、プロジェクトの制度もある意味パッケージにして、1つのプロジェクトに提案してくださいではなくて、たくさんのプロジェクトをパッケージにして、提案のフォーマットも共通化して、アイデアとしてまず登録していただく。日本全体で登録番号をつけて、論文のように後でリファーすることも可能であるようなシステムにして、データベースにして、これを共有する。
    問題はこの先の話でありまして、この先は、政策サイドがやるのか、第三者がやるのかわかりませんが、まさにプロジェクトをプロデュースする、提案者にそれをやらせるのではなくて、アイデアをいただいた後にアイデアをイノベーションにつなげるようなプロジェクトにプロデュースする機能を、プロジェクト・プロダクション・オフィスか、何かわかりませんけれども、場合によっては国研、大学がやってもいいかと思いますが、いずれにしても提案の多様性、それの国家的な有効活用と、それを大きなプロジェクトあるいは政策につなげていく間のプロモーション機能を明確に強化してやっていく、これが結構大事ではないか。
    ちょっと長くなりますが、私も提案書を何枚も書いた記憶がありますが、基本的には提案サイドに一方的に負荷がかかっていて、それで落とされるものですから、みんなフラストレーションがたまる。提案書を書くと、1編の論文を書くのと同じぐらい疲れるんですね。ですから1回こっきりでこれを捨てるのはもったいないわけで、捨てる神あれば拾う神ありで、あるプロジェクトには不向きかもしれませんが、プロモーションの側から見れば、これは別のプロジェクトには使える、あるいは、Aの提案書とBの提案書をくっつければさらに強化できるというようなプロセシングができる。だから、アイデアプール制とプロモーションのファンクションを強化する政策があるといいのではないかという御提案です。
  • 上原委員
    先ほど申し上げるのを忘れていたんですが、51ページの公的研究機関の役割のところで「死の谷」という言葉を使っておられるんですが、これはどうかなと私は個人的に前から思っておりまして、死の谷をつくらないようにするのが研究開発のマネジメントの重要なところだと思うんですね。
    NEDOの場合には、前回申し上げましたが、終了したプロジェクト200以上につきまして、成果がどうなっているのか見届けるためのフォローアップの調査をずっとやっているんですが、その中で、「追跡チャート」と呼んでいたと思いますが、プロジェクトを振り返って、NEDOのナショプロでやっている時期から上梓に至るまで、縦軸を社内での事業化への期待度、横軸を時間軸に置いて、プロジェクトがスタートしたときからどういうふうに社内での期待度が変化していったかを、実際に研究に従事された方とNEDOの職員が相対で、どうでしたかということでグラフをつくっているんですね。
    これはかなりの数やっていまして、そういうのを見ても、ここでは先端技術の製造業に限っておられるけれども、余り「死の谷」的なパターンというのは計測できていないんですね。これは企業の中でのパターンですから、企業の場合には損切りもされますから、だめだなと思ったら死の谷も何もなくて終わってしまうというケースももちろんあると思いますが、長期間にわたって研究開発の中で、確かに山・谷はいろいろなパターンであることはあるんですが、そのたびに研究者の方、あるいは社内でのスポンサー的な役割を果たしておられるキーマンが必死に努力をして成功に持っていっているのではないか。
    それから、最初は社会的な必要性から始めたけど、環境が変わっちゃって、もうこの技術は要らなくなりました。それでぽしゃっていくケースとか、いろいろなパターンはありますが、「死の谷」というのは、皆様方は世の中に普及している言葉だからいいと思われるかもしれませんが、言葉は悪いですけど、研究がうまくいかなかった愚痴と言いわけをうまくこの言葉があらわしちゃっているものだから何となくはやっているような気がして、私は嫌いなんです。ということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
  • 田井委員
    先ほど非常によくまとまっていると申し上げたんですが、まとまっていることは本当にいいんですが、基本的には意見が違うものがたくさんございまして、今、橋本委員長が言われたので、私も一言言っておこうかと思ったのは、第2期、第3期と来ているわけですが、こういうものがころころ変わるというのはどういうことなのかなと私は前から思っているわけでありまして、日本が京都会議であれだけいい提案をしたのに、炭酸ガスは一向に減らないわけです。いろいろ減っている計算をすることはできるんですが、現実問題としては、我が国が低炭素社会に向けてのリーディングカントリーとして動けているのか、僕はよくわからない。ついに50%削減しますという話になったんだけれども、そういうことは、(1)のところにはちょこっと書いてあるんですが、あとは何もないんですね。あとは全部プロセス論なんですね。やり方論なので、まるで文科省の議論みたいになっちゃっていると僕は思うんですよ。
    第2期であって、第3期、エネルギーへの配分は大きく減りましたねなんていうのが前の議論であったんですが、その反省というか、それはどこへ行ってしまうのか。低炭素社会、経済の先導で、先ほど堤委員が言われましたが、太陽電池が入ったことだけなのか。これではちょっと寂しいねという感じがしますね。
    僕は、経産省の研究開発のということであると、国際競争力ある持続的発展ができる国という意味では、炭酸ガスの問題というのはものすごく重要だと思って、この筋がずっと通っていないといけないと思うんです。第3期のように、飛躍知の発見・発明とか、科学技術の限界突破とか、わけのわからないアジテーションみたいな言葉じゃなくて、もっと基本的なことがきちっと続いていないといけないんだと思うんです。そうしないと我々も10年、20年、30年とやっていけないですよね。本当に科学技術の限界突破というんだったら、30年、40年やらなかったらできないですよね。
    そういうトーンが欲しくて、私自身は人材は大事だとは思っているんですが、そればっかりここで議論してもしょうがないんじゃないかなという気がしているのが最近です。中国、インドの躍進を目の前で見せつけられているわけですから、本当に戦うためには人材が要ることは確かなんですが、我々だけでいろいろしていてもだめなところがあるわけで、協力してやらざるを得ないわけで、そのときに我々がリーダーになろうと思うと、しっかりしたものをもともと持っていないと、口先では負けますよね。英語ができないんですから、物を持っていないとだめですね。そこのところがこの中にトーンとしてきちっとあるべきではないかと思います。以上です。
  • 川合委員
    4番目の世界に開かれたというところで、さっき土井さんが意見が出たので考えますと言ったので補足したいんですが、委員の中でも違った意見があっていいと思っています。横山委員と堤委員から外国人の扱いに関して違和感を持ったという意見が出ましたが、僕は54ページのところはよく書かれているのではないかと思います。つまり、グローバル・スタンダードで見れば、最近日本で外国の学生をキャリアパスとしてスタッフに雇う道はできましたが、相変わらず、例えばアメリカの材料系なんていうと、ほとんどアジア人、ピュアと言うといけないと思いますが、WASP以外の人が占めていることから考えても、まだ足りないのではないかなと思っています。そういう意味で、あるべき姿として第4期で外国のすぐれた知恵をうまく日本に吸い寄せるというのは非常に重要だと思うので、私個人としてはここはかなり強調して書いていただきたいな。少しづつ進んできていますし、阪大でも英語で授業をするとか、いろいろなことが工夫されていますが、もっと第4期では大胆に取り入れていただいていいんじゃないかなという意見です。
  • 久間委員
    先ほどの話の続きになりますが、文章の表現に問題があります。例えば49ページの下の方で「ナノレベルの知の強化」と書いてありますね。「解明を加速する一方、我が国が弱みとするビジネスモデル云々」と書いてあります。表現にパンチ力がないんですね。ナノテクレベルの技術を持っていても宝の持ち腐れで、産業競争力も何もない、イノベーションでも何でもない。ナノテクだけでは産業は強くなるわけではなくて、それを使ってどういうビジネスを起こすかというビジネスモデルがないと我が国の産業界からしたら何の意味もないんだというふうに、もう少しメリハリのついた文章がいいと思います。ここだけでなくて、あちこちにありますね。
    それからもう1つ、先ほど上原委員のコメントでも出てきた文章、公的機関の役割の再構築のところで、その4行目ぐらいのところで、「その間を埋めるのは量産技術実証や実規模試験・試作といった規模の経済が働く実証的試験研究である場合が多く、」とありますね。これは本当かなと思うんですね。死の谷というのは、新しい現象とか新しい発見をベースにした新しいパラダイムの製品とかデバイスが、既存の製品に対していかに性能を凌駕してコストを下げるか、これらの問題を解決して初めて死の谷を越えるわけですが、ここに書いてある量産技術云々だけではないと思うんですよ。これはワン・オブ・ゼムであって、死の谷を埋めるには、もっともっとほかの要因もあります。そういった意味で、「規模の経済」というのは表現として余りにも一方的過ぎると思います。
    それから、これはどうでもいいことなんですが、先ほど堤委員が太陽電池はローテクとおっしゃいましたが、今のターンキー方式の薄膜1層の太陽電池はローテクですが、複数の薄膜材料を積層して30%、40%もの高効率太陽電池を実現しようとすると、新しい物理や材料の発見も必要だし、産業界にとっても量産や品質面でも技術的に難しいところがあります。そういう最先端太陽電池はハイテクであると思いますので、御参考までに。

その他

土井研究開発課長より、今後の進め方、次回の開催日時等について連絡。

以上

 
 
最終更新日:2009年6月5日
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