経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第29回)‐議事要旨

日時:平成21年6月10日(水)14時~16時
場所:経済産業省本館国際会議室

出席者

委員:
橋本委員長、淺間委員、安宅委員、荒川委員、伊藤委員、射場委員、上原委員、川上委員、久間委員、宍戸委員、新名委員、須藤委員、田井委員、堤委員、西島委員、前田委員、谷田部委員、出口委員代理、安川委員代理
事務局:
土井研究開発課長、福田産業技術総合研究所室長、長濱技術調査室長・技術評価室長、福田研究開発課企画官、小原大学連携推進課企画調整官

議事概要

中長期的な研究開発政策のあり方の中間取りまとめについて

資料3に基づき、前回からの変更点を中心に事務局から説明。その後の委員からの主な意見は次のとおり。

  • 良くまとまっていると思うが、国際標準化の記述が抜けている。今の産業界では、国際標準化を制するものが市場を制するという考え方が広がっている。産業競争力と研究開発と標準化は一体であることを今回の取りまとめでも出すべき。
  • 中長期的というのはどういう時間のスパンを意図しているのか。第4期の5年間で投入したことがどの時点で成果になるのか。時間軸を整理しないといけない。例えば、ライフサイエンスと半導体では、新製品ができるまでの時間軸が違う。不景気の中で、火急に取り組む重点項目もわかるようにするべき。中長期の中で最重要に取り組むものを明示すべき。
  • 大変良くまとまっていると思う。細かい点だが、「公的研究機関の役割の再構築」のところで、「その間を埋めるのは量産技術実証や実規模試験・試作といった実証的試験研究」とあるが、これだけで間が埋まるわけではなく、企業では実用化、製品化、商品化という異なる3つのステップが存在する。また、安定的に技術が使われる、ユーザーにとって使いやすい技術にする、コストの問題など多くのことが死の谷を埋めると考えられ、「量産技術実証や実規模試験・試作といった実証的試験研究」だけが死の谷を埋めるわけではない。人材のところでは、専門的な人が多様なところで育ってくるだけでなく、人々の流動化が重要。社会環境の変化により、人が動きやすい環境を作ることが重要。変化の激しい時代において、人の配分を柔軟にできる組織を準備すべきという点を記述すべき。状況に応じてどちらにもいけるようなフレキシブルな人材も重要。
  • 基本のトーンは国際化がたくさん出てくるように、欧米に追いつくという雰囲気が残っている書きぶり。これからは欧米だけでなく、BRICSの追い上げが激しい中、アジアとの連携が重要。その中での日本の役割、位置づけが見えない。世界から日本に来た人が全部英語で仕事をできないと、グローバル化も進まないと思う。
  • 良くまとまっていると思う。「ナレッジ・マネジメントを強化する」ところで、いろいろ出てくるが、欧米では知財マネジメントが日々強化されていると聞く。こういった支援体制は最新の情報から先を読んでやらなければならない。システム化する方向付けが必要。また、特にライフサイエンスでは、例えばiPS細胞で見た場合、ベンチャービジネスの支援強化や、制度的あい路の解消などが書かれているが、制度的な問題以外に、省庁連携の問題などもある。総合科学技術会議の体制強化など、今までのシステムを具体的に変えるポイントを意識しても良いと思う。
  • 資料がたくさんあり、網羅的で、総花的なのと、表現が抽象的である。国家基幹技術としての重点化のメリハリをつけてはどうか。
  • 中長期的な20年後、30年後の話と、今般の経済危機をどうするのかという話と、あわせて取り込みながら整理してはどうか。
  • 「理工系教育の再建」のところで、「任期付き任用制度の改善による海外若手研究者の活用」とあるが、これについて一項目あった方が良い。
  • そもそも論だが、「戦略的重点化の対象として、(1)低炭素社会・経済の先導」から「(4)世界を魅了する財・サービスの提供」まであって、それらを重点化の対象として戦略を構築するという流れだと思うが、「各々いくつかの具体的目標を掲げ」とあるように、どういう世界を目指すのか、ビジョンを掲げて、そこに導く。その中で日本が勝ち抜いていくということをやらなければならない。
  • 第3章には課題と方法論が良く書かれている。しかし、日本の個性とは何か、社会的価値とは何か、付加価値とは何か、といったところでイメージがわきにくい。課題は整理されているが、何のための課題か、ビジョンや目指すべきゴールが必要。大きな意味での重点化やビジョンが必要。そういう意味で、第3章の前文で、目指すべき社会とは何か書いた方がわかりやすい。
  • 具体的目標は簡単に決められないので、今後、この委員会で重要な検討課題としたい。具体的目標の中身だが、どれが重要でどれが重要でない、ということになるとこの委員会で議論するのが適当かということがある。一方で、大きな4課題の中に具体的な目標を置くのは重要なこと。中間取りまとめが終わった後に、この委員会で議論したい。
  • 研究者とイノベーターのペアという表現があるが、イノベーターがどういう人か難しい。日本的な感覚でいうと、組織でマネジメントし、その中からリーダーシップをとれる人が育っていくのが現実的。次に、拠点の要ていは、どこをオープンにし、どこをクローズにするか。拠点の骨格として5つのコア領域を定めているのであれば、どこをオープンにし、どこをクローズにするかを示した方がより具体的な拠点の向かうべき方向がわかる。また、拠点のゴールは、原理・現象の解明から民間へのバトンパスに置かねばならない。これまで拠点型のプロジェクトで期間が過ぎた後にあまり成功事例がないので、そのあたりを明確にして、目標にすると良いと思う。
  • 理工系離れは10年、20年前から言われていることだが、なかなかうまくいかない。今の理系離れがどういう原因なのかを分析しなければならない。今の子供たちは遊びでも自分で工作することがなく、将来が大変不安である。国として、教育全体をどうするのかニュアンスとして入れてほしい。
  • 産学連携はある程度定着し、その中からイノベーションが起こっているが、出口の製品に他省庁が絡む場合、最後の成果の普及のところでギャップができてしまうケースがある。報告書に即して言うと、「国家課題に対応した重点化の枠組みの構築」のところで、「全省庁の関係研究開発政策の重点化を導く枠組みが必要である」とあるが、研究開発政策だけでなく、成果の普及促進に向けても関係省庁が連携すると書いてほしい。「ナショナル・プロジェクトの効果的・効率的な執行」のところで、「研究開発にとどまらず、実証試験・普及促進をシームレスに行うことにより問題の解決につなげていく、といった取組も重要である」と書かれているので、省庁間連携をなるべく頭の方に書いてほしい。
  • この報告書は、第3章が大事なアウトプットだろうと思う。とりわけマネジメントが第4期のイノベーション政策において大事。「拡散する知識を糾合するインセンティブ付け」のところは、提案から採択までの融合や連携について書かれているが、採択後もブラッシュアップしてより良いプロジェクトにつなげていくべく、提案書をより良いものにするために、ほかのものに合体させるなどの工夫をしてはどうか。今のように提案書が山ほど来て、ほとんど無駄になるのはどうか。提案書に書かれているもの以上にもっと良い連携がある場合もある。お金の使い方で、その辺のプロセスが欠けているのでマネジメントの部分に書いてほしい。次に、研究が終わった後、もとの所属に戻ると技術が拡散してしまう。研究開発からシームレスに事業体へ移行できれば良い。また、知財の取扱いは重要なマネジメントのコンテンツなので、大いに書いて提言の具体論を充実させてはどうか。医学者の杉田玄白とオランダ語学者の前野良沢のように、異なる才能のペアはイノベーションのツールとなる。ペアリングを大事にするべき。
  • 全体として良く書かれている。まず、オリジナリティやユニークネスがあった方が、支持が得られやすいと考える。「公的機関の役割の再構築」のところで、大学にとって産学連携が重要だが、産学連携の中でプロジェクトをマネジメントしたり、このシーズをどう開発すべきかを理解して開発したりすることはかまわないことであるし、「マネジメント人材市場の創出」に書かれていると理解できる。しかし、現場でもっと重要なことは、半導体は日本の特許が多いのに市場を持って行かれるとか、医療技術が優れているのに産業化は海外が多いといった問題があり、全体のストーリーの中でどこがゴールであって、どういった事業価値が見えていないのかを解明する人が必要。大学の中にもいないし、企業の方もできない。実務レベルにとどまらない大きな人材が必要。
  • 「研究開発マネジメント人材の創出」のところで、マネジメント人材を活用する仕組みの記述が薄い。そういう人材に対してお金が回っていくシステムを作らなければならない。公的な資金の申請において、マネジメントをカバーできるような部分を、例えば20%を公的な助成の対象とするなど、仕組み作りを入れてほしい。日本ではベンチャーが育たないことがほとんど書かれていない。産業革新機構を経済産業省としてコミットするという話からも、ベンチャーが不足していることをきちんと書くべき。
  • 世界的研究拠点をつくばに作る構想にはわくわくする。国際的な共同研究はあまり例を聞いたことがない。これまで盛り上がったことはあったが、根付かなかったのはなぜかを分析し、この問題を繰り返さないように、具体的な計画を立ててほしい。日本の地位を維持し高めるため、失敗は許されない。なるべく早く具体的な計画にしてほしい。
  • 女性の活用が前面に出ないかと思う。女性研究者のパーセンテージは増えているが、高い地位に就いていない。女性のトップがもっといて良い。プロデューサー人材は、コミュニケーション能力にたけている女性の方が向くと思う。もっと女性が活躍できるような書きぶりにしてほしい。
  • ナノテク拠点は重要。日本が強みを持つパワエレクトロニクスと、弱り切っているナノエレクトロニクスのシリコンテクノロジーは対照的な状況なので、それぞれ成功させるためには同じシナリオではいけない。弱い分野は、器を作ってさあやれといっても、何をやればいいかわからない状況。国としてどういうストーリーを作っていくか、やり方を良く考えてやっていきたい。日本には、なかなか共同研究の成果が出ないというが、オルバニーはIBMが引っ張っているように、リーディングカンパニーが必要。IBMが全体構想を作り、仲間に入って利益を分け合うという構造になっている。同じような規模の会社がどんぐりの背比べではうまくいかない。また、「公的機関の役割の再構築」の記述は偏っている。イノベーションにおける死の谷の本質は、発明を製品化する過程での性能、コスト、信頼性の問題にある。それらの問題は量産設備等では解決できない。公的研究機関の役割はそういった問題を越える施設を提供すること。量産設備は問題のうちの一つに過ぎない。
  • プロジェクト終了後にどうするかという点について問題がある。現在のナショプロはステージゲート方式をとり、いくつかのコンソーシアムが同じ目標に向かって競争するという点でうまく機能していると思うが、一方、採択されるのは一つだけで、ステージゲートで落ちたものは、良い要素技術があったとしても、後半、国の支援を受けられなくなってしまう。こうなると、企業の中で技術を維持することが難しいケースがあることが危ぐされる。そういう技術を国として継承、保持するのが大きな問題。同時に、人材の有効活用や知識の拡散は放っておけない問題。うまくビジネスにつながらなくても、国の税金を使って良い技術を育てているなら、フォローアップもできる仕組みがあった方が良い。
  • つくばは優秀な研究者がたくさんいて優秀なインフラがあり、豊富に資金もあるのに、広い土地でそれぞれの連携が希薄になりがち。定期的にコンソーシアム内で連携を強める委員会をするなど、連携させつつつくばを活性化させてほしい。
  • 「研究開発プロジェクトにおける研究開発と人材育成の一体化」という記述があるが、第3章には提言がない。研究マネジメントの中で、ナショプロを通じた人材育成が大事。企業のハイレベルにいる人の中には、かつてのナショプロにかかわり、国全体の研究開発と企業のビジネスを考えながら成長した人がおり、ナショプロの中で人件費を手当しつつ、人材育成を一体的にやった方が良い。

その他

中間取りまとめの最終的な修正作業は、橋本委員長と事務局に一任されることとなった。次回については、改めて調整することとなった。

以上

 
 
最終更新日:2009年6月18日
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