経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会(第26回)‐議事録

日時:平成21年3月24日(火)9時30分~12時20分頃
場所:経済産業省別館10階1012号会議室

出席者

委員:
平澤委員長、池村委員、伊澤委員、菊池委員、鈴木委員、辻委員、冨田委員、中小路委員、山地委員、吉本委員
経済産業省出席者:
小林産業技術政策課長、福田研究開発企画官
事務局:
長濱技術評価室長、大久保産業技術総括調査官、御代川補佐 他

議事次第

  1. プロジェクト評価の結果について(個別審議)
    • 石油精製等高度化技術開発(事後評価)
    • 将来型燃料高度利用研究開発(事後評価)
    • 植物利用高付加値物質製造基盤技術開発(中間評価)
  2. プロジェクト評価等の結果について(包括審議)
    • プロジェクト(事後評価)15件
    • 制度(事後評価)1件

評価案件

(1)ゲノム情報統合プロジェクト事後評価
(2)計量標準基盤技術研究(石油生産合理化技術開発等委託費)プロジェクト事後評価
(3)計量標準基盤技術研究(電源利用技術開発等委託費)プロジェクト事後評価
(4)電源利用対策発電システム技術開発プロジェクト事後評価
(5)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクト事後評価
(6)医療情報システムにおける相互運用性の実証事業プロジェクト事後評価
(7)DME燃料実用化普及促進研究プロジェクト事後評価
(8)調整器の経年劣化等異常検知技術プロジェクト事後評価
(9)サービスロボット市場創出支援事業制度事後評価
(10)活性炭の高性能化技術開発プロジェクト事後評価
(11)繊維型DNAチップを利用した遺伝子検査・診断トータルシステムの開発プロジェクト事後評価
(12)アクリル樹脂製造エネルギー低減技術の研究開発プロジェクト事後評価
(13)軽量クッション材の開発プロジェクト事後評価
(14)心理生理快適性素材の開発プロジェクト事後評価
(15)無機ナノ複合機能化繊維の技術開発プロジェクト事後評価
(16)新規親水性ポリエステルの開発プロジェクト事後評価

議事概要

委員長から、畑村委員の退任について報告があった。
事務局(技術評価室大木)から、配付資料の確認及び説明を行った。

1.プロジェクト評価の結果について(個別審議)

(1)石油精製等高度化技術開発(事後評価)、将来型燃料高度利用研究開発(事後評価)

石油精製等高度化技術開発プロジェクト事後評価及び将来型燃料高度利用研究開発プロジェクト事後評価の結果について、資源エネルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課大本課長補佐から、補足資料-1、補足資料-2に基づいて説明を行った。その後、質疑応答が行われ、その概要は以下のとおり。

  • 山地委員
    まず、最初の「石油精製等高度化技術開発」は、地味な技術ではありますが、非常に重要だと思っており、目標の達成度から、着実に成果をあげていると思います。多少総合評価の評点が辛いのではと思っています。
    ただ一言申し上げておきたいのは、補足資料-1の19頁の「提言に対する対処方針」の1番目で、確かに省エネは限界に達していることから、マージナルなところが少ないというのは、そのとおりで、今後は、「コンビナートにおける業種・企業を越えた連携推進」が重要になってくると思います。
    そこで、この技術開発は、経済産業省石油精製備蓄課とPEC(石油活性化センター)で行っているわけですが、連携については、石油化学ぐらいのところまではこのご担当で行けるでしょうが、是非、さらにガスとか電気というところとの連携を考えていただきたいと思います。これを進める受け皿についても工夫が必要ではないかと思います。
    次の「将来型燃料高度利用研究開発」では、有機ハイドライドは、ユニークで結構だとは思いますが、水素の場合には、水素の製造から輸送が課題です。ハイドライドの場合は、輸送にメリットがあると思っております。今回のシステムはオンボードで改質ということですが、全体システムをとらえて評価する必要があると思います。ライフサイクルアセスメントについて、「提言に対する対処方針」にも記載されていますが、特に水素は、究極的には二酸化炭素フリーの水素製造と結びつけなければならないため、石油から出てくる水素を使う場合には慎重に評価する必要があります。今回提案のシステムを、例えばガソリン改質と比べてどうかという視点が大変重要です。個別の有機ハイドライドのシステムで、例えばオンボード改質がうまくいったということだけで評価するのは非常に抵抗を感じます。
    もう1点、石油関係で言うと残さ油の高効率発電は、もう既に着手されていますが、非常に重要です。残さ油IGCCは、要するに石炭のガス化複合サイクルと同じです。それはどこで推進されているのか確認させていただければと思います。
  • 平澤委員長
    山地先生の2点目の御指摘は、私もプロジェクトの内容としては多少おもしろいと思っていますが、実用化の可能性という点で疑問を持ちました。特に、トルエンが出てきますが、最初はトルエンを燃やすが、高温を保持するために全てのトルエンを使うとすると発生する水素がうまくマッチしているのかどうか。つまり物質収支としてトルエンが余るのではないでしょうか。一方で有機ハイドライドを加えながら、精製するトルエンをためておくということで、厄介なシステムになってくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  • 菊池委員
    アウトカムのところに記載されているように技術課題はわかるのですが、その後の矢印が好き勝手に書いてあって、明らかにどんどんその矢印を実現していくような形で書かれており、そこには非常に大きな課題、または技術課題ではないものもあるかもしれません。また、今の技術開発のやり方ではだめかもしれない、新しいスキームを考えなければならない等、様々なものがミックスされていることが考えられるため、総合評価と個別評価項目の評価の議論がかみ合っていないのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
  • 平澤委員長
    今の2名の委員から御指摘は、私も同様に思っています。この2件の評価は、今までのものに比べると抜群によくできており、非常にレベルが高いと思います。その上で、プロジェクト自身の全体のつくりについてもう少し考えるべき点が残っているのではないかと思います。
    1番目の「石油精製等高度化技術開発」は、触媒の高度化、安全性の確保、腐食に対する対策等の課題が多少あるものの、実施者は石油精製の事業者であり、成果をさらに進めながら事業化を検討していけば、これはうまく実施できる体制になっていくのではないかと思います。
    2番目の「将来型燃料高度利用研究開発」では、組み込まれるアクターがかなり広がっています。個々のプロジェクト自身については成果を上げていますが、それら全体をまとめてうまく実用化されていくには、かなり工夫が必要になると考えます。
    「今後の研究開発の方向等に関する提言」にも、補足資料-2の22頁(14行目から16行目)に、「これらのテーマは単発的に実施するものではなく、継続性をもって、発展しながら将来の可能性を現実のものにしていく性格を有している。」と記載されており、まさにそのとおりだと思います。これは、以前から我々この評価小委員会で議論していますように、プロジェクトとして実施するのではなく、例えば、将来型燃料高度利用研究開発プログラムとして、それが実際に使われるところまで見据えて対策を立てていくという形で展開すれば、もっと安心して、将来、開発者にお任せできるのではないかと思います。
    それでは、担当課の方から今の点、特に、山地先生のご質問等を含めてお答えいただけますでしょうか。
  • 石油精製備蓄課(大本補佐)
    地味な技術ではありますが、非常に重要であることは、当課としてもそのように思っております。また、連携についても、御指摘のとおり非常に重要であり、当課としても、コンビナート連携への取り組みに対して支援を行っているところです。
    ただ、やはり、ガス、電気との連携、要は他産業との広がりというのは、特にエネルギー、CO 2等そのような広い概念、環境問題等の広い概念からすると、石油精製だけの問題ではなく、他のエネルギーとの広がりで行っていくのは御指摘とおりです。受け皿につきましては、関係団体ともうまく連携し、技術開発等の取り組みを引き続き行っていく必要があると思っています。
    「将来型燃料高度利用研究開発」につきましては、有機ハイドライドということで水素の製造・輸送についての個別的な課題は、確かにあろうかと思います。現在、石油に関する水素も、圧縮水素ですとか、また有機ハイドライドとか、石油からの改質といろいろなパターンがございまして、それぞれにつきまして今のLCA的なところも評価しながら、最適なものを追求していくという取り組みを現在進めているところでございます。
    残さ油の高効率発電、IGCCについても、新日石の根岸工場、神奈川県のほうで、IGCC設備ということで石油の残さ油からの発電を行っているところです。
    トルエンのマテバラにつきましては、後ほど事業実施者のほうから説明したいと思っています。
    また、「将来型燃料高度利用研究開発」では、継続して展開していく上で、プログラムとして実施していくことが重要であるという御指摘については、そのとおりでございまして、現在も水素社会実現に向けて、これは石油業界につきましても継続的に今実施してございますし、PEFCとか燃料電池のほうのフェーズにつきましては、事業者でやれるところは立ち上がっているということで、実用化に当たって、事業者が立ち上がっていく場合に、必要がある部分について国が支援をしていくというフェーズでございまして、まだ石油関係の技術開発は依然として必要だと思っています。
    そこは、こういう評価をいただきながら、必要なところについて研究を行っていくということや専門家のコメントをいただきながら実施していくことが非常に重要だと思っておりまして、そういう個別と全体論の乖離というところも、多分まだ個別では、研究室でも切磋琢磨、悩みながら進めているところを一歩一歩クリアしているというところと、なかなかバラ色でない部分もあるものの、やはり目標に向かって一歩一歩着実な取り組みを研究サイドでは行っているという状況です。
  • 事業実施者
    実施者の石油産業活性化センターから、先ほど御質問いただきました、有機ハイドライド関係のところの補足説明をさせていただきます。
    まず、1点目に御質問いただきましたLCA関係のところでございますが、御指摘のとおり有機ハイドライドシステムは、脱水素の段階での非常に高い吸熱反応により、エネルギーの使用量が大きいため、全体的にはトータルのLCA評価が悪くなるという指摘は、開発当初からいただいております。このため、有機ハイドライドの一番の利点である製油所の副生水素(製油所から出てくる既に一度使用されて現在主に燃料として消費されている水素)を回収して、有機ハイドライドシステムでもって車に供給することを考えております。このようにしますとLCAの評価が改善することが見込まれており、現在も確認中でございます。
    また、廃熱をできるだけ利用できるようなシステムということで、自動車エンジンの廃熱を利用して、有機ハイドライドの脱水素のシステムを考えました。これにより、トータルでのLCA評果は、これも現在評価中ですが、既存のガソリン車に比べますとおよそ50%以下となる見込みです。確かに原料は炭化水素を使っておりますのでCO 2ゼロとはなりませんが、かなり低炭素化に向かっての技術開発であると考えております。
    2点目は、トルエンについてどのように考えるかということでございますが、キャリアのトルエンにつきましては、これは既にガソリンのハイオクタン基材として使用されております。水素社会の初期導入におきましては、既存のガソリン車も含め、あるいはバッテリー車、EV車、今のプラグインハイブリッド等が共存しながら進むのではないかという仮定におきまして、一番安価でかつ利便性が高く、且つ安全性が高いシステムとして今の有機ハイドライドというものを考えております。その場合は、トルエンは通常のガソリン基材としても使われますし、この有機ハイドライドのキャリアとしても使われるということで、特に余剰、過剰はないと理解しております。
  • 平澤委員長
    今の最後の点で、これはオンボード型として考えておられるのですが、車に一方でトルエンをためるタンクを積み、それをガソリンスタンドに戻すといったことをしないと物質収支が合わないのではないかというのが私の質問の趣旨です。オンサイトでなら、このようなシステムも活かせるのではないかとも思いますが、いかがでしょうか。
  • 事業実施者
    トルエンはあくまでキャリアとして使い、製油所で水添します。それを通常のタンクローリーで、水添された有機ハイドライドをガソリンと同じような形で輸送します。
  • 平澤委員長
    つまり、個々の車には、トルエンを回収するタンクをつけて、それをガソリンスタンドに戻すというシステムですね。
  • 事業実施者
    そのとおりです。リサイクルします。
    一つの容器に対して、要は、中で可変する壁を設けるようなイメージですが、片方にメチルシクロヘキサンを入れます。最初のうち容器内は、メチルシクロヘキサンがメインとなり、脱水素後のトルエンが、回収してきますと、メチルシクロヘキサンのタンク側のほうが減ってきますので、その減った分タンク内の壁が可変し、そこにトルエンを戻していく。ですから、スタンドでは、メチルヘキサンを補充すると共にトルエンを回収します。そのようなことを考えております。
  • 平澤委員長
    最後に強調しておきたいことは、実際の利便性等の観点から、ユーザが安全に、容易に利用できるものを目指して技術開発課題を選択していくことが必要であり、これをプログラムの形で進めるべきだという趣旨だと理解してください。
    開発された要素技術それぞれは、当初考えていたこととは異なる利用の仕方も当然あり得るわけですし、そういうことも含めて、成果を十分生かせるようにお考えいただければと思います。
    この件に関しましては、全体としては非常によく練れたプロジェクトであり、そしてまた、評価においても非常によく検討されたと思います。幾つか出てきた付加的なコメントをつけさせていただきたいと思います。
    もう1点、多少別件ではありますが、評価の点数について、評価検討会の個々の委員の名前は出す必要はありませんが、例えば、5名の評価委員であれば、それぞれの評点がどのようになっていたかというリストを添付していただければと思います。NEDOではそのようになっていて、評点の分布の仕方からいろいろ議論がまた出てくることも考えられるので、そのようなことも、是非、今後お考えいただきたいと思います。
  • 山地委員
    全体的には、平澤先生のコメントで結構ですが、残さ油のIGCC発電については、技術戦略マップに載っていますでしょうか。
  • 石油精製備蓄課(大本補佐)
    残さ油のIGCCは、商用化されているので載せていないと思います。
  • 山地委員
    石炭の方のIGCCは、まだまだ多くの政府のお金を使ってやっていますので、少し認知度を高めるための何か工夫をしていただければと思います。
  • 石油精製備蓄課(大本補佐)
    石油連盟では、IGCC、いわゆる重質油の高度利用という観点から業界としてもPRを行っています。政府としても、エネルギー基本計画等の政府方針に今のIGCCを入れておりますが、御指摘については、今後、検討していきたいと思います。
  • 平澤委員長
    よろしいでしょうか。それでは、これで、この2件についての審議を終了したいと思います。ありがとうございました。

(2)植物利用高付加価値物質製造基盤技術開発(中間評価)

植物利用高付加価値物質製造基盤技術開発プロジェクト中間評価の結果について、製造産業局生物化学産業課白神企画官から、補足資料-3に基づいて説明を行った。その後、質疑応答が行われ、その概要は以下のとおり。

  • 冨田委員
    大変すばらしい評点ですし、全く申し分のない成績だと思うので、これからもどんどん進めていただければと思います。
    1点質問は、例えば、植物でつくって鶏にワクチンを与えるとすると、つまり、精製したものを与えるのであれば、これは少し損です。そこで、結局、植物体そのものを与えるということになるのかと思うのですが、その場合、いずれにせよ開放型で出ていくものと考えます。植えなくても生えてくるという現象が起こり得るところは視点に入っているのかどうかを伺いたいと思います。
    また、移植でも同じでしょうが、やはりつくるのは閉鎖型でつくるが、出ていったときには、それから再生し得る植物体が世の中に出ていくことがあるのではないかと。それは、私は構わないと思っていますが、社会的な受容が悪いとは私は決して思っていません。だんだん理解が進んできていると捉えているのですが、未だ悪い状況にある北海道で、それをどのように展開されるのかを伺えればと思います。
  • 生物化学産業課(白神企画官)
    今御指摘のとおり、技術的な課題と国民理解への対応が必要であり、技術的なことについては、後ほどプロジェクトリーダーのほうから御説明させていただきます。
    国民理解につきましては、BT戦略推進会議というものを内閣府、科学技術担当大臣をヘッドに、農林水産省、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の関係省庁で進めておりまして、その中でGMO、組換え体について国民的な理解を深めようということで活動をしております。
    また、医薬品等の有用物質についての組換え体を使った形での国民の受容について、農林水産省の調査とかでは、かなり受け入れが高いという、許容度が高いというデータも出ておりまして、引き続き国民の理解を進めていきたいと考えております。
  • 冨田委員
    BT戦略推進会議に関してですが、自治体がついていっておらず、北海道でも同様で、動きがありません。このような状況をどのように解決しようとされているのでしょうか。
  • 生物化学産業課(白神企画官)
    具体的な行動につきましては、大臣級の会議の下に先ほど言ったBT戦略推進会議、その下に実務者レベルの会議体を設けまして、その中で今、教育あるいは広報をどうするかということを検討しており、そういった中で具体的に活動していきたいと考えております。
  • 池村委員
    組換え植物や組み換え食品については、世界の中でも日本は特異的といえるほどに国民の理解が得られておらず、将来的にも憂慮すべき状態にある。本プロジェクトのような健康に役立つ組み換え植物をつくる事業が成功することは、組換え技術についての国民の理解を深める上で最大のプラス効果を生むことになる。国民の理解を得る上でも非常に良いプロジェクトになっていることから、本件は中間評価ではあるが、プロジェクト終了後の将来的なビジョンも重要である。5年間で事業化を目指すということであるが、そこまでのフォローアップの必要性やあるべき体制等については、評価検討会では論議があったか。
    もう1点、閉鎖型の設備を研究開発の目的で設置することは、個々の一般の民間企業の現況では難しいと思われる。本プロジェクトで設置した閉鎖型施設は、我が国にとって貴重な設備になるが、プロジェクト終了後の国としてのそれらの有効利用に関しては、評価検討会で議論があっただろうか。
  • 鈴木委員
    中間評価ということでこれから変更もあり得るかもしれませんが、もともとこのターゲットに経口ワクチン、しかもインフルエンザというような非常に変化の速いものを選ばれた理由は何でしょうか。
    その関係でもう1点、終了後5年で実用化を目指すということですが、例えば、糖鎖の修飾の問題とか、経口で本当に抗体が残るのかといった問題が解決されない限り、やはり経口ワクチンとして本当の実用化にならないと思うのですが、もう少し実用化が近いようなターゲットを今後考える予定はありますでしょうか。
  • 辻委員
    技術開発するという点ではとても理解できて、成果が上がっていると思いますが、消費者の理解を得る観点で、これはとてもありがたいと思うぐらいのインパクトのあるものをつくっていく必要があると思います。
    今回取り上げられている、目標としてつくろうとしている物質があまりそのようなインパクトのあるような対象になっていないのではないかという感じを受けます。わざわざこんなことしなくてもいいのではないかといった対象だと、技術は技術で置いておこうということになって、消費者の目から見ると、そのようなリスクのあるものは別に欲しくないということになる危険性もあり、家畜用のえさになると、今度はそのもの自体の安全性じゃなくて、それを食べた動物の安全性もさらに確認していく必要が出てきます。このようにターゲットとなる物質について十分に検討されたのでしょうか。
  • 中小路委員
    レタスやイチゴやイネで10個程度の植物をパラでされていることのメリットが余りわからないので、教えていただきたいと思います。例えば、これをリニアにアディティブに効果がふえていく、イネもできた、レタスもできた、イチゴもできた、何々ワクチンもできたというふうに効果がふえていくのでしょうか。それとも10個という規模が、もしこれを100個の植物で、予算規模10倍でやっていたら、もっと効果的にエクスポネンシャルに技術が進むのでしょうか。この10個の相関関係がもしあれば教えていただければと思います。
  • 事業実施者
    先ず、直近のインパクトが高い目標物質というものがあり得るのではないかという御質問と、なぜ10種類の作物なのかという御質問ですが、このプロジェクト自体は、基本的に技術開発も当然大事ですが、先ほど先生(池村委員)からお話があったように、やはり社会に対して、遺伝子組換え植物の技術の応用の有用性は、食品以外にも多々あることを一刻も早くアピールしていくことが大事であると考えています。
    このため、できるだけ実用化、いわゆる製品化に近いものがターゲット。インパクトをねらう部分もあったとは思いますが、なるべく製品にたどり着きやすいものを考えていく。そのときに組み合わせとして、例えば、アルツハイマーのワクチンもこのプロジェクトで対象にしていますが、それを実用化していくときにどの作物がよいのかといった組み合わせで作物を選定しています。例えば、アルツハイマーですとダイズ、ヒトのチオレドキシンですとレタスが適切である等、実用化を担う企業がこのような組み合わせで入ってきたので、その結果として10個になったものです。
    したがって、1つの目標物質に対して10個の作物でやっているのではなく、それぞれの目標物質に対してペアで対象作物種があって、その結果10通りになっていると御理解いただければうれしいと思います。
    次に、何故インフルエンザかという御質問については、確かにインフルエンザは非常に多様性が激しく、型が随分変わる。今使われている現行のワクチンは、先ほどの概要図の中にも一部ありましたが、HAという成分を使っており、このプロジェクトの中では、それ以外に、型にとらわれないでブロードにきくようなNPという遺伝子もワクチン化していこうと。いわゆる型にとらわれないでやっていこうと考えています。これを、インフルエンザはヒトのワクチンをテーマに置いたお米でやる、トリインフルエンザの場合はジャガイモがいいんじゃないかという形でプロジェクトが進んでいます。
    ワクチン以外にも機能性食品、例えば、セサミンの生産等、いろいろな機能性成分もありますので、その実用化までの期間は、ヒトの医薬品は、承認が、おそらく長くて10年、例えば、動物薬なら、最短でいけば3年くらいで承認がとれます。機能性食品においてはいろいろな考え方があると思いますが、医薬品ほど長くなはないと思います。平均して5年ぐらいで実用化を目指していくものが多くこの中にはあるということで御理解いただければと思います。
    さらに、その前の、植物体として投与するのか、有効成分として用いていくのかというご質問についてですが、これは両方考えております。物によって変わりますが、例えば、セサミンは、当然物を抽出して、それを機能性成分、サプリとして持っていく。しかし、医薬品として持っていく場合に、例えばトリインフルエンザなら、植物体の形を加工して、剤として持っていくほうが有効であるという考え方を持っています。
    そのときに、カルタヘナ担保法によりますように、遺伝子組換え生物として工場から出るのかというと、これは逆に薬の観点からいうと、ジャガイモやイネ、これらは全て大きさも違いますし、薬のコンテンツの量も変わりますので、薬のやり方としては当然バッチとしてのロット管理をしなければなりません。そうすると、今我々がやっているのはすべて凍結乾燥により、植物体をパウダー状、粉状にして工場から出ていく形をとっていますので、組換え植物体として、生物として工場から出ていくことはないという概念で進めさせていただいています。
  • 菊池委員
    今の説明と中間評価のところで、個別に見ていくとよくわかるのですが、今おっしゃられたように技術的思想がたくさん入り過ぎて、出口としては、いわゆる食品だろうが、化学薬品だろうが、医薬品だろうが、家畜飼料だろうが、出口はわかるのですが、また、レタスを使った何を使ったというのもわかるのですが、技術思想がバラバラであり、どのレベルで評価すればよいのか、または、技術的な基盤をつくるための研究をなさっているわけだとすれば、それが明確になかなか出てこないというのは、まだそこまで至っていないということなのでしょうか。
  • 事業実施者
    このプロジェクトの思想としては、まずその背景として、閉鎖型の植物工場の中で作物を栽培して生産していこうと。現状としてこのプロジェクトが始まる前、今もそうだと思いますが、閉鎖型の植物工場において栽培できる作物というのは非常に限られています。レタスとかサラダ菜ぐらいしか技術的にも開発はされてない、実用化もされていない。今回、確かにいろんなコメですとかジャガイモですとかダイズとか出てきていますが、それはやっぱりその植物種によって技術開発を個別にやらなければならない部分があります。基本的な栽培の基盤に関するところは、作物種にとらわれず、共通しているところがたくさんあると思います。
    このため、そこは一つの植物工場分科会というものもつくっておりますが、閉鎖型で遺伝子組換え作物を栽培していく、しかもできるだけ大量に低コストに栽培していくという技術開発のひとつの柱としてつくっております。
    もう1つは、遺伝子組換え植物の中で有効成分をたくさんつくらせなければなりません。個々のターゲットが違っても基盤の技術は同じ部分がありますので、有用物質をたくさんつくり、実際にその組換え体をつくっていこうというのがもう一つの柱です。
    もう1つは、例えば、閉鎖型の環境がこの部屋だとしますと、野外ですと普通に地面に植えて終わりですが、こういう水耕でいくと段を組んだりすることができます。空間を有効利用し、例えば、イネの背丈が80センチだとしても、20センチのイネをつくれば、何段にもできる。同じ空間の中で収量が数倍に上がるというような、そういう植物の全く形態も変えて、物質生産用のものをつくっていこうという基盤技術の開発も行っています。
    このおよそこの3つの大きな柱の中で、多少のブランチは出ていますが、実施しております。
  • 冨田委員
    製品としては凍結乾燥で出ていくので、生は出ていかないというのは、大変結構だと思いますが、それだけコストがかかるわけです。ここでいろいろなことを実施され、技術的なことを公開されると、海外では、開放型でどんどん植えられるところは幾らもありますので、ジャガイモにしても、医薬品なら多少の注意は必要だろうというのはありますが、そうなると、これは簡単に負けてしまうのではないか。閉鎖型の今のシステムでは、高過ぎますから。そういうところの保護はどうなっていますでしょうか。
  • 事業実施者
    先ほど御説明の中にもありましたEUで1つ、非常に大きな遺伝子組換え植物で医薬品をつくるプロジェクト、アメリカではNIHが主導して大きなプロジェクト、世界的に見ると、日本のこの経済産業省のプロジェクトが3大プロジェクトになるかと思っています。こういう閉鎖型で植物をつくるという技術は、実は日本が独壇場で、欧米にはありません。ですから、これらのプロジェクトにおいては、既に野外栽培を彼らは想定していますが、問題は、普通の今野外で栽培されている組換え作物と異なって、医薬品とかの成分を含んでいる場合には、必ずしもヒトや動物に対して安全であるという保証は得がたい部分もあると思います。そうなってくると、野外栽培は世界じゅうどこでも多分これは認可がされない形になってくると思います。
    ですから、当然食べて安全なものというのはよいと思いますが、食べて毒性のあるものは、野外栽培は無理だと思っています。そうなると、こういう医薬品関係はどうしても閉鎖型に収束していくだろうと思います。事実、今欧米のプロジェクトもそういった指摘を多く受けて、野外はだんだん考え方を修正して、室内型、この閉鎖型に移行してきているということを実感しております。
    ただ、そこの独壇場とした技術は、我々日本のほうがはるかに優位に立っていますので、ここは少しプライオリティーを逆に日本がとっていくという現状になりつつあるのではないかと実感しております。
  • 平澤委員長
    今いろいろ御議論があった論点というのは、結局GMOとしての安全性に係る点だと思います。それに関連して、この遺伝子組換えの話しそのものではないのですが、最近、ジョージアテックのシャピラー先生、評価をやっている先生ですが、東京で講演をされて、この方はナショナル・ナノテクノロジー・イニシアティブ、NNIに関連した評価をやっている方ですが、そのNNIの場合に、やはり安全性について非常にいろいろ危惧されている面もあるわけです。特に新しい構造体をつくり出していく、より高次のNNIになっていくとどういうことが起こるかということは非常に危惧されるというわけで、NNIのイニシアティブの中に、安全性を含めて研究開発の進行状況をウオッチしているサブプログラムを付設してあるそうです。これは拠点になる大学は全部で5つぐらい、研究者全部で86人と言っていました。かなりその種のものとしては大規模に、同時に研究をしているわけです。
    そのような体制というのは、例えば80年代の初め頃ですがも、私、ヨーロッパを調査したときに、やはり環境の問題が厳しくなった時、化学メーカーが排出物質の安全性を確認するために、物質を開発するグループの他に、同じように安全性を確認するといいましょうか、規制的な立場から研究するグループを別に付設してやっていくというデュアルな体制をとっていたのを思い出すのですが、そのシャピラーさんのお話によると、NNI、これはクリントンの最後のころつくったイニシアティブですので、もう10年ぐらいの歴史があります。そこで今のような体制をアメリカがなぜとったかということに関しては、要するにGMOで失敗したからであると。その反省として、ナノテクが世の中に与えるインパクトというものをアセスしておく必要があるという、このような観点からなのです。
    それで、このプロジェクトそれ自身は、御説明あったように閉鎖型でおやりになるとか、その他十分注意しておられるとは思いますが、国民に対する説明責任を果たすために、その種の独立した評価アセスメントグループといったようなものを付設なさると、これはもう1つ理解を得るために進むのではないかと思います。この課題を対象にしてやるのが適切かどうかは御検討いただければと思いますが、全般的な問題として、経済産業省が、今のような新たな体制をとることになれば一層信頼性が増すのではないかと思います。これは余分のコメントということになるかもしれませんが、御参考にしていただければと思います。
  • 鈴木委員
    この資料の中に「種苗権」という記述がありますが、これは「育成者権」の間違いではありませんか。
  • 事業実施者
    実際にこの作物を使ってやっているときに、自分たちが事業化しようとしているところの作物の品種の種苗権をだれか別な人が持っていたら、自由にはできないので、その辺もクリアしていくという趣旨です。
  • 鈴木委員
    単なる言葉の問題です。正確には、「育成者権」だと思います。
  • 平澤委員長
    それでは、今の点は、修正したほうがいいという御意見ですので、それは単に用語の問題ですのでよろしくお願いいたします。
  • 菊池委員
    達成度が100%、100%というのが多いのですが、そういう意味では、本当に上手にこのプロジェクトがうまくいっていると見ればよろしいのでしょうか。
  • 生物化学産業課(白神企画官)
    当初立てた目標に対して100%達成しているということでございます。5年プロジェクトの2年目までなので、まだ駆け出しというところですが、今のところうまくいっているということでございます。
  • 菊池委員
    わかりました。
  • 平澤委員長
    それでは、全体としては、評価検討会での評価結果のとおり、了承したいと思います。
    ありがとうございました。

2.プロジェクト評価等の結果について(包括審議)

(1)包括審議案件(1)から(9)について

(1)ゲノム情報統合プロジェクト事後評価
(2)計量標準基盤技術研究(石油生産合理化技術開発等委託費)プロジェクト事後評価
(3)計量標準基盤技術研究(電源利用技術開発等委託費)プロジェクト事後評価
(4)電源利用対策発電システム技術開発プロジェクト事後評価
(5)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクト事後評価
(6)医療情報システムにおける相互運用性の実証事業プロジェクト事後評価
(7)DME燃料実用化普及促進研究プロジェクト事後評価
(8)調整器の経年劣化等異常検知技術プロジェクト事後評価
(9)サービスロボット市場創出支援事業制度事後評価
について、事務局(大久保産業技術総括調査官)から、資料6に基づいて説明を行った。その後、質疑応答が行われ、その概要は以下のとおり。
  • 山地委員
    「(4)電源利用対策発電システム技術開発」で、これはMCFC、溶融炭酸塩形の燃料電池に関することですが、2つの組み合わせであり、ひとつは、水素製造のところを水の電気分解と切りかえて周波数安定化効果を検証するもの、もうひとつは、MCFCのCO 2濃縮を利用してCO 2回収に利用するものですね。後者は理解できます。それを実証したというところは、評価できるのですが、前者は、私には理解できません。
    揚水発電所の起動・停止時の変動に対応するということですが、揚水発電所は、そもそも可変速の場合には周波数安定化のために使われるので、確かに起動と停止のときには問題になりますが、これは計画的に行うので、その他の電力システムにおける周波数調整用電源あるいはバッテリーを使ってもできるのではないかと思います。何故ここでMCFCの水素製造装置と切りかえて使うというのが出てきたのか、非常に理解できないところです。
    評点についても、総合評価が高いのは、2つの事業の組み合わせなのでわからなくもないのですが、実用化のところが低くいはそのためではないかと思います。前者に関して非常に私は疑問に思います。いかがでしょうか。
  • 平澤委員長
    私もその点に関して全く同感です。
  • 菊池委員
    「(6)医療情報システムにおける相互運用性の実証事業」に関して、今、大久保さんからの評価概要の説明をいただいたものと評価報告書(案)の記載で、このプロジェクトの中で、相互運用性という概念のターゲット、目的が明確にされてなかったという否定的な意見があり、これは、具体的なものが定まっていなかったのではないかという印象を受けます。後ででき上がってから、それに合わせて基準をつくるとか、または、でき上がったものをターゲットにして評価をしているとか、そこまではっきりは書いてありませんが、トートロジーに近いのではないかいと、そういった御意見が、肯定的な意見ではなくて若干否定的なところに幾つか書いてあります。
    プロジェクトを立案する段階で、例えば、相互運用性、相互互換性、相互接続性等、具体的な項目に落とさないと明確なターゲットが出てこないと思いますが、逆に評価において、評価の視点が定まらないため、どのように評価するのかと思うのですが、いかがでしょうか。
  • 平澤委員長
    後で議論したいと思います。
  • 伊澤委員
    この9件の御報告は、事後評価であり、全てに共通するように思うのですが、9件ほぼ同様に、総合評価又は今後の研究開発の方向等に関する提言に、いろいろな指摘があり、それがある意味、十分事前に予測されるような事項も結構あり、例えば、「(1)ゲノム情報統合プロジェクト」に、データベースのことが書いてありますが、「今後の研究開発の方向等に関する提言」に、「本事業で得られたデータベースを引き続き維持・更新する必要がある。」と記載されています。これは、データベースをつくれば当然起こることであり、これに限りませんが、こういった指摘事項について今後どのように対応されようとしているのかが最も重要だと思います。この辺について教えていただければと思います。
  • 冨田委員
    「(1)ゲノム情報統合プロジェクト」のデータベースのところにつきまして、「(6)医療情報システムにおける相互運用性の実証事業」との連携という御指摘がございましたが、(1)の私どものやっているデータベースにつきましては、遺伝子情報、そこからいろいろなタンパク質やRNAやそういった発現情報という生命現象をデータベースにしているところでございまして、(6)のほうは、詳しくは存じ上げてないのですが、医療情報ということで、連携がなかなかとりにくい分野であると思っています。
    ただ、このゲノム情報プロジェクトが終わった後、現在、統合データベースということで、経済産業省で、タンパク質か糖鎖とかいろんな分野のデータベースの統合化を図っております。数多くのデータベースを1つに統合して、連携を図って使いやすいような形で取り組んでいるところではあります。
    もう一方、政府のレベルでは、総合科学技術会議のほうで、厚生労働省、文部科学省をはじめ、経済産業省でも、いろいろな生命分野のデータベースを数多く持っており、それらを統一的に統合していこうということで計画を立てて、どのように取り組んでいくかということを今議論しているところでございます。そういった方向で今後進めていきたいと思っております。
  • 池村委員
    例えば、資料6の1頁の最後の行に、「統合データベースに関して、各省庁連携した取り組みを期待したい。」とあるように、継続性が重要で人材育成を含むような事業に関しては、担当課の枠を超えるような指摘や提言がなされる。そのような指摘や提言を、経済産業省として酌み上げてゆく際にはどのような行政上のシステムを用意しているのか、今回の具体的な指摘や提言についてはどういう形で酌み上げているのかをお聞かせいただきたい。
  • 平澤委員長
    今、幾つかの論点が出てまいりましたけれども、まず全体にかかわる話として、伊澤先生からありました指摘事項に対する対応を今後どうされるのかということに関しては、技術評価室のほうからお答えいただきたいと思います。
    第2に、IT関係のプロジェクトが2つありますが、これらに共通していることは、日本のIT戦略それ自体にかかわることであり、強い言い方かもしれませんが、欠陥ではないかと思います。特に、今度オバマ政権が、ITを高度に利用した社会の効率化あるいは連邦政府の効率化、社会の効率化を非常に大きな課題に掲げて、これはかなり進歩するということが予想されるわけですが、それに比べると、個別に開発している問題があまりにも多くて、社会全体に共通するようなITシステムを持とうというのがどうも見えてこない。これらはここで議論することではないかもしれませんが、現場、現場で個別にやっていても仕方がないような大きな側面を持っているので、より上のレベルに上げていく必要があろうかと思います。
    第3に、エネルギー政策全体の中の位置づけについて発言がありましたが、私は、今回個別審議の3件のうち、2件のエネルギー関係、これらは石油に関連したプロジェクトで、かなり整理されており、これまで我々が議論してきた石炭に比べても、かなり整理されてきたと思っています。エネルギー全体として、経済産業省において非常に重要な課題ですので、そのような大きな立場から整理していくということをやはりお願いしたいと思います。
    繰り返しになりますが、それに比べると、ITについてはまだごく初期段階にあるので、我々は、まだ議論を深めていませんが、これは次の大きな課題として、ぜひ急いで検討を深めていただきたいと思います。
    第4に、1つの担当課では対応しきれないような広がりがあるようなコメント、従来からもそのような例は、たくさん出てきたわけですが、連携を持って社会に実装されていくプロセスをしっかり担っていく体制をやはりつくる必要があると思います。これもほぼ共通している課題ではないかなと思いますが、まずそういう共通している事項について担当課から話を伺った上で、「(4)電源利用対策発電システム技術開発」のMCFC燃料電池に関する疑問点について、担当課からお答えいただきたいと思います。
  • 技術評価室(大久保総括調査官)
    まず、データベースに関しては、おそらく本質的な問題で、多分データベースそのものを維持するというのは長期的な視点が必要で、そういう戦略性というのは当然我々持つべきだと思っています。
    次に、これまで御指摘があったように、包括的な取り組みといいますか、1つの分野、1つの課だけではなく、いろいろな横断的な対応の仕方が問われているということで、要は包括的あるいは長期的な視点が必要であり、経済産業省として今後やらなければならない課題はたくさんあり、我々技術評価室としては、評価の観点からプログラム評価ということを開始しまして、要は長期的あるいは包括的な評価ということで、評価のという側面から今度、プランニングに貢献したいと考えております。
  • 生物化学産業課
    「(1)ゲノム情報統合プロジェクト」のデータベースのところにつきまして、「(6)医療情報システムにおける相互運用性の実証事業」との連携という御指摘がございましたが、(1)の私どものやっているデータベースにつきましては、遺伝子情報、そこからいろいろなたんぱくやRNAやそういった発現情報という生命現象をデータベースにしているところでございまして、(6)のほうは、詳しくは存じ上げてないのですが、医療情報ということで、連携がなかなかとりにくい分野であると思っています。
    ただ、このゲノム情報プロジェクトが終わった後、現在、統合データベースということで、経済産業省で、たんぱくとか糖鎖とかいろんな分野のデータベースをつくっております。数多くのデータベースを1つに統合して、連携を図って使いやすいような形で取り組んでいるところではあります。
    もう一方、政府のレベルでは、総合科学技術会議のほうで、厚生労働省、文部科学省をはじめ、経済産業省でも、いろいろな生命分野のデータベースを数多く持っており、それらを統一的に統合していこうということで計画を立てて、どのように取り組んでいくかということを今議論しているところでございます。そういった方向で今後進めていきたいと思っております。
  • 医療福祉機器産業室
    「(6)医療情報システムにおける相互運用性の実証事業」で、事業の目標などが明確に定まっていなかったのではないかという御指摘ですが、本件の評価に際して開催した評価検討会において、提出した資料が非常に概括的なものであったため、中身についてよくわからないという御指摘を受けました。御指摘を受け、後で詳しい資料などをできる限り用意してお渡しいたしました。ただ、評価を出していただいたのとその資料などをお渡ししたのが前後しているところがありまして、そうしたことで、当初の概括的な資料に基づいて評価をされた委員の方は、あまり目標が明確ではないという指摘をされております。
    詳しい資料により、評価委員の先生方に御納得いただきまして、そうした方々からの評価に関しては、目標などが逆に明確に定まっているという評価が返ってきております。このようなことで、資料に関して余りよくなかったので、担当課としては、事業の内容についてはしっかりしたものをやっております。
    もう1点の、(1)のゲノム情報統合プロジェクトと(6)の相互運用性の実証事業は、データベース、情報を共有していくということにおいて、もっとよりよい事業が今後できていくのではないかという御指摘ですが、これに関しては、例えば、オミックス医療などという形で、どういう遺伝子を持った人にはどういう薬が効きやすいとかそういったデーターベースに関して、既に幾つかプロジェクトが立ち上がっているはずです。経済産業省では、おそらくまだ行っていないと思いますが、そういう形でやるというのは非常に意義のあることだと思います。
    そのときに、多少困ったことに病院のほうの情報システムというのは、特に臨床に関しては標準化というものが十分に進んでいないため、データが継続的に蓄積できる状態になっていません。例えば、こういう薬を出して、こういうふうに効きましたという情報を継続的にいろいろな病院でとり続けるということをするためには、ここで行ったデータや何らかの標準化であるとか、いろいろそこで使っている情報システムをつなげられるようにすることが前提として必要になります。このようなことで、御指摘のように、ほかのゲノムなどの情報とつなげてよりよい医療というものをつくっていくベースをつくるための事業を行っていると御理解いただますとありがたく存じます。
  • 菊池委員
    そうであれば、この評価報告書は、公開されるので、このままでは問題があると思います。
  • 平澤委員長
    そうですね。
    それは後で議論しましょう。
  • 電力基盤整備課
    先ほどの電源利用対策発電システム技術開発についての御質問でございます。
    現在、揚水発電所の起動・停止時の変動につきましては、火力発電所のガバナ運転とか、先ほど先生から言われましたように揚水発電の可変速揚水の運転によって周波数調整を行っておりますが、今後、電力自由化の進展に伴いまして、IPPや火力が増える等、分散型電源が大量導入されてきた場合に、一般電気事業者が持っている設備だけでは周波数調整が難しくなるのではないかと考えます。
    このような場合に、新たに系統安定化のための周波数調整機器を入れること、例えば、揚水発電の可変速揚水の改造や先ほど先生言われましたように蓄電池を入れるなどの対策が必要になってくるかと思いますが、その場合、コストが増大することになります。
    一方、火力発電所につきましては、今後CO 2回収等の問題も出てきますので、MCFCの特性を利用してCO 2回収機能、水流改質と水電気分解を組み合わせることによって周波数調整機能を持たせられるということを両方活用すれば、エネルギーの効率的観点から有効であることから、今回このような技術開発を行ったものでございます。あくまでも揚水発電所の起動・停止の低減をシステムにしているのは、夜間での系統に与える影響が多いものですから、それを指標としてシステムの検証、設計をしているというものでございます。
  • 山地委員
    そのときにMCFCという、今まだ実用に供されてないものを使う必然性が全く感じられません。たとえ燃料電池であっても、MCFCでなければならない理由もわからない。基本的に納得できません。
  • 平澤委員長
    私は、IT関連の案件に関して、ごくプリミティブなところでまだプロジェクトが練れていないと いいましょうか、社会に役に立つ形にはなっていないと思います。例えば、病院のデータがバラバラだというのは当然で、それをどのようにして集約できる情報システムにするのかというところをしっかりやっていかないと使えるシステムにならないと思います。
    アメリカの場合は、研究のデータベースというのも全部やりかえて、新しく、外から研究者がアクセスでき、一般市民もアクセスできるよう、データベースをつくりかえたりします。また、e-ガバメントをブッシュの最初のときに導入して、数年、特に研究機関は混乱があって、というのは、マックを使っている人が多かったが、ウィンドウズとの調和が必要だということになり、今はインターオペラビリティがかなり向上して、それらは解消されてきているわけです。
    このように、ITを使うことによって、社会を効率化する、あるいは研究開発も効率化するということに関しては非常に効果があるわけです。このようなことを目指して、個別のことだけに取り組むのではなく、全体にこれらの開発成果が広がり、成果を活かしていくことを目指して、熱心に追求していっていただきたいと思います。
    今回のプロジェクトに関しては、個別のプロジェクトの成果は了承するとしても、それらをどのように利用するかということに関して格段の努力をしない限り、無駄になるというのは明らかであり、インターオペラビリティ、安全性、データベースの使い勝手のよさ等、そういうポイントはもうわかり切ったことなので、これらをどのように統合するかということに向けて、各々のITについて、担当している人たちが知恵を集めていくということを是非お願いしたいと思います。
    MCFCのことに関しては、私も山地先生と同意見でありまして、これは、なぜMCFCをそこへ持ってくるのかは全く理解できません。この件は、次回、御説明いただくことにしたいと思います。
    菊池先生の御指摘の点に関しては、評価報告書案が完全でないと理解できるので、情報が完全に評価検討会委員に伝えられた後の委員の反応を含めて補正をしていただくということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
    全般的な対応の仕方についても、これらは、我々評価小委員会からのコメントとして、個々のプロジェクトに対するコメントというよりも、全体に対するコメントとして取り上げておきたいと思います。ありがとうございました。

(2)包括審議案件(10)から(16)

(10)活性炭の高性能化技術開発プロジェクト事後評価
(11)繊維型DNAチップを利用した遺伝子検査・診断トータルシステムの開発プロジェクト事後評価
(12)アクリル樹脂製造エネルギー低減技術の研究開発プロジェクト事後評価
(13)軽量クッション材の開発プロジェクト事後評価
(14)心理生理快適性素材の開発プロジェクト事後評価
(15)無機ナノ複合機能化繊維の技術開発プロジェクト事後評価
(16)新規親水性ポリエステルの開発プロジェクト事後評価
について、事務局(大久保産業技術総括調査官)から、資料6に基づき説明を行い、その後、質疑応答があった。質疑応答の概要については、以下のとおり。
  • 菊池委員
    形式的なことですが、これまでは、評価報告書案に推進課の評価というものは入っていなかったと思いますが、このプロジェクトの評価報告書案には、評価検討会委員の評価と推進課の評価が入っています。この評価報告書案では、このようなスタイルでつくられているということなのでしょうか。
  • 技術評価室(御代川補佐)
    昨年、7月の評価小委員会の場で御審議いただきましたとおり、少額プロジェクトについては、原課で自己評価を記載して、その自己評価に対して外部評価委員の方に評価コメントをいただくというやや簡易的なスタイルを導入させていただきましたものです。そのルールを今回適用させていただいたものでございます。
  • 鈴木委員
    今説明いただいたのは、全て繊維課の案件で、受託、実施者が民間企業というテーマですが、かなり総合評点が低いものが幾つかあります。やはり何か当初の目標設定に少し難があったのではないかという印象を受けるのですが、これは、直轄で民間企業への研究委託という実施又はテーマ採択、目標設定のシステムに少し問題があるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
  • 平澤委員長
    今の点に多少関係するのですが、「(10)活性炭の高性能化技術開発」では、個別の評価項目に関するどの評点よりも総合評価の評点のほうが低いという状況になっています。
    また、「(12)アクリル樹脂製造エネルギー低減技術の研究開発」の評点ですが、「3.成果、目標の達成度」については1.80で、総合評価もその最低レベルで1.80。ほかの評価項目はもっと上の点になっています。
    総合評価は、当然のことながら、各個別評価項目の評点の平均点ということではないのですが、どのような論点で、総合評価が低い評点になったのでしょうか。
    これらの点もあわせてお答えいただければと思います。
  • 池村委員
    「繊維型DNAチップを利用した遺伝子検査・診断トータルシステムの開発」については、DNAチップということで、世界的にも競争の激しい分野であり、様々なアプローチがなされている。もちろん繊維を使うことも一つのアプローチだと思うが、評価検討会において外部評価を受ける際に、評価委員が産総研のメンバー、ないしは日本化学繊維協会や京都工芸繊維大学等の繊維関係分野の専門家に限られるのは適当とは思えない。実用性の高いシステムの開発を目指す際には、経済産業省の研究所以外のメンバーで、繊維関係分野以外のDNAチップに関する専門家の評価をも受けることで、国が係わるプロジェクトとしての評価が妥当になされる。
  • 平澤委員長
    ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
    もう1点、「(12)アクリル樹脂製造エネルギー低減技術の研究開発」について、これも総合評価の評点が非常に低い。これは液晶に使っているアクリル板についてのリサイクルといったような非常にスペシフィックなところに焦点が当てられているのですが、リサイクルという観点で、あるいはアクリル樹脂のリサイクルという観点で見たときに、これを取り上げなくてはならないような必然性があったのでしょうか。
  • 繊維課
    まず公募とか採択、目標設定に問題があったのではないかという観点では、基本的にホームページ上で公募はしております。その後、提案があったところに対して一応採択を決定しているという形になっていますが、目標設定につきましては、確かに御指摘のとおり、若干チャレンジングなところの部分がございまして、かなり挑戦的な目標を掲げているという部分はございます。そういった観点で若干評価が低くなっているというところがございます。
    具体的には、先ほど言いました(12)のアクリル繊維、これにつきましては総合評価の評点が、1.80ということで低い評価ですが、こちらは各委員の皆様に最終的に評価をいただく際に、この評価が本当にいいのかどうかという議論をしていただいたときに、このテーマにつきまして、成果、目標の達成度の妥当性というところを非常に重要視しており、そういった重みづけをして評価した結果、このような評価になったということでございます。総合評価としてAをつけた委員が1人もいなかったということも、結果的に平均点が下がってしまったことの要因です。
    DNAチップの中身等につきましては、評価検討会委員には、繊維の関係者以外にもDNAチップの専門家もはいっていただき、評価をしていただいておりまして、比較的広い分野の委員の先生に評価をしていただいているものと考えております。
  • 平澤委員長
    「(10)活性炭の高性能化技術開発」についてはいかがでしょうか。総合評価がどの項目よりも低いのは、個別評価項目(「1.事業の目的・政策的位置づけの妥当性」から「5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性」)以外に何らかの評価ポイントがあったとしか理解できないのですが、それは、ここに挙げた評価項目以外の何を考慮して総合評価として低くなったのでしょうか。
  • 繊維課
    総合評価がほかの点に比べて低いということは、必ずしもほかの点が高いから総合評価も高いということではなく、あくまでも総合評価は総合評価という形でやっております。したがいまして、そこのときも、結果として全体の評価、ほかの個々の要素技術の評価は高いのですが、総合評価は低くなったということでございまして、やはり各委員の先生方の重みづけの観点で総合評価がほかの点に比べて低くなってしまったということで、評価が著しくずれているとは考えてございません。
  • 平澤委員長
    何かほかに評価のポイントがあって、それを重視したために総合評価がこのように低くなったということだと思うのですが、何を重視したのかをお答えいただきたいと思います。
  • 繊維課
    各委員の先生方の評価を見てみますと、評価のいい先生も、最高評価をいただいた先生もいらっしゃいます。ただ、総合評価の中で各委員の先生方は、2点を出していただいていまして、結果として2.20点となっています。
  • 平澤委員長
    ですから、総合評価の評点が個別の評価ポイントよりも低くなるということに関して、コメントとしてどのようなコメントをつけておられるのでしょうか。
    それでは、この点に関しては、次回に御報告いただき、もう一度検討し直すということにしたいと思います。
  • 中小路委員
    この後半の何件かについては、プロジェクトのタイトルと中身がずれているように思います。
    例えば、14番は、「(14)心理生理快適性素材の開発」とタイトルはついていますが、評価報告書案を拝見すると、9割方は素材の開発ではなく、心理・生理反応を計測する手法の開発で、それを評価するために素材もつくってみたとなっています。
    幾つか問題になっている総合評点が低いものも、タイトルは大きなタイトルがついていて、事業の中身については、サブプロブレムを解く小さなことをやっている。この予算規模では正しいと思いますが、タイトルが余りにも大きいために、おそらく評価委員の方は、このタイトルの中身ではちょっとというのは非常にありがちな話だと思います。このためにこれをするのが大事で、それを解決するというプロジェクトで走っていますので、既に済んでしまっていますが、小さいほうのタイトルをつけておかないと誤解を生じるのではないかと思います。
  • 平澤委員長
    今の発言の内容はあり得ることだと思います。
    それでは、まだ細かく議論したい、詰めたいところはありますが、時間が大分過ぎておりますので、今回は、今の10番の「活性炭の高性能化技術開発」に関しての具体的な評価、どのようなことを考慮されたのかということに関して、次回までに整理して御報告いただくということにして、そのほかについては、総合的なコメントをやはり載せることにして、個々のプロジェクトについては了承ということでよろしいでしょうか。
  • 菊池委員
    このような包括的なことになってくると、事後評価の中で少数意見といいますか、改善してほしいという個別の非常によい御意見があるのですが、我々のレベルではチェック不可能ですので、トータルのところですべて捨てられてしまうことを避けることが必要だと思います。つまり、現場感覚のところで、いわゆる担当推進課も自己評価をするのであれば、その評価委員の先生のいわゆる少数意見としてではなく、改善すべき御意見ならば、それに対して答えておく必要があるのではないかと思います。
  • 平澤委員長
    これは先ほど伊澤委員からも御指摘あった点ですので、技術評価室への宿題として、どのような対応、改善をとるのかということについて、まとめて次回御報告いただくということにしたいと思います。よろしいでしょうか。

3.その他

事務局(技術評価室大木)から、資料8に基づいて、前回の第25回評価小委員会(平成21年1月28日開催)での審議の結果、評価報告書(案)に評価小委員会としての意見を追記する案件等について説明した。

  • 平澤委員長
    どうもありがとうございました。
    今の3件で、1つは修正、2つは、付加的な意見を委員会として追記するという内容に関してはよろしいでしょうか。
    それでは、このようにして最終的に処理したいと思います。
    では、最後に、次回以降の予定に関して。
  • 長濱技術評価室長
    次回の予定でございますが、4月23日木曜日、午後2時から予定してございますので、御出席よろしくお願いしたいと思います。
    今日は、長い時間、御議論いただきまして、ありがとうございました。
  • 平澤委員長
    それでは、これで終了といたします。
    ありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年5月18日
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