経済産業省
文字サイズ変更

審議会・研究会

産業構造審議会産業技術分科会(第7回)  議事録

【分科会長】
それでは、時間になりましたので、只今から産業構造審議会第7回の産業技術分科会を開催させて頂きます。本日は、平成17年度の産業技術政策の重点事項についてご議論頂きますとともに、前回会合において設置のご承認を頂き、これまで4回開催し、議論を進めてまいりました基本問題小委員会の進捗状況についてご報告をしたいと考えております。
まず、事務局の方から配付資料の確認をお願いいたします。
(事務局から資料確認)
それでは、早速でございますが、審議に入りたいと存じます。
議題1の平成17年度産業技術政策の重点事項、議題2の基本問題小委員会の進捗状況につきまして、まとめて事務局の方からご説明を伺った上でご議論いただきたいと存じます。
それでは、事務局からご説明をお願いいたします。資料3~6と参考資料ですね、よろしくお願い致します。
【事務局】
(資料説明)
【分科会長】
どうもありがとうございました。以上、来年度の産業技術政策として3本の柱、すなわち研究開発の重点化、産官学連携の推進並びに人材育成、この3本を柱とする方向で検討がなされているということ。それから、一番最初の重点化に関連しては、ご紹介ありましたように技術戦略マップを策定するとともに、その概要については、当分科会のもとに置かれております研究開発小委員会において議論を予定しているということについてご紹介頂きました。
只今の資料3、4、5並びに参考資料につきまして、ご質問あるいはご意見等ございましたら承りたいと思います。よろしくお願い致します。どういう切り口からでも結構でございますので、よろしくお願い致します。
【委員】
上手くまとまっていないんですけれども、技術のロードマップをしっかり作りあげて、そのために必要な施策をどんどん展開しますよというのは大賛成なんですけれども、こういう、要するに将来を日本がどう読んで、どういう手を打っているかというのは、全部これはオープンにされちゃうんでしょうか。世界中に伝わっちゃうんですか。どういうふうになさるんでしょうか。
【事務局】
これから大学の先生方及び民間の方々と意見を交換して、その中で恐らく商業機密にかかわる事項も入ってくると思います。詳細版といわれるものは私ども手元に置いておりまして、それは公開しない、機密情報になっていると。ただ、世の中とコミュニケートするために、公開してご意見を頂いた方が良い部分もあると思いますので、そういうものは切り出してオープンにして議論していくという2段階で考えております。
【委員】
わかりました。ぜひ日本が何をやっているかというのが全部わかってしまうということだけは、ご容赦頂きたいというのが希望です。
もう1つ、産業人材の育成の問題に関して、こういう事態にだんだんなるぞということですが、もっと緊急事態だと私は思うんです。どんどん産業技術のレベルが高度化して、非常に学問的にレベルの高い産業技術でないと通用しないという時代に入ってきていまして、結果に影響を与えるパラメーターを全部リアルタイムで計測しながら、狙った所定の相対をどんぴしゃに制御するというシステムにどんどんなってきておりまして、産業技術というのが非常に大規模なシステムになってきているんですね。
簡単にいうと完全にブラックボックスになっていて、中を見れないというようなものが多くなってきているんですよ。そういうものを使って企業ではいろんなことをやっていかなきゃいけないんだと思うんですけれども、どうやって人を育てるのかと。本当に新しい学問に基づいた産業技術の原理原則、メカニズムをどういうふうに理解させるのか。教育プログラムだけでは、私はとっても手も足も出ないんじゃないか。本当に教育プログラムをやって内容をしっかり理解させた後、中身をきっちり本人たちが理解できるような、実習のプラントというのか拠点というのか、そういうのを文字どおり産学官連携でどこにつくるのがいいかということをよく考えて、日本が重要と考えているすべての重点分野でそういう拠点作りというのを考えないと、人なんて育てられないんじゃないでしょうかね。産業技術というのはどんどんブラックボックス化していくと思いますよ。
例えばわかりやすい例で言いますと、私ども東北大学には、民間企業の寄附で作った、もの凄くレベルの高い研究拠点があるんですね。私どもいろんな企業と組んで、こういう産業技術をつくろう、ああいう産業技術をつくろうと。ある会社が、こういう今までやってきた研究開発を量産にするための全く新しいプラントをつくるよというようなことが起こったときに、現場へ呼んで、プログラムで中身を全部教えながら、実際はこういうものになるんだぞということを見せてやらないと、とてもレベルが上がりません。
一例ですけれども、今、大型のディスプレーのプロジェクトをやらせて頂いておりますけれども、東京エレクトロンを中心に新しい装置開発に挑ませているんですが、昨年のゴールデンウィークを全部潰して、朝から晩まで55人の技術屋を集めて講義をして、夜は現場を見させて、こういうことをみんなやるんだぞというのをやったおかげで、よくぞこれだけ難しい開発をこの短時間でやってのけたなという成果につながっていくんですよね。従って座学だけではなくて、やっぱりメカニズムを理解できるラインのようなものがないと、本当の教育にはならないんじゃないかと思いますね。
【事務局】
まず、先生の仰ったようなご指摘、私どもも問題意識として持っております。今日の資料では余り具体的に書いておりませんけれども、当局だけではございませんで、経済産業政策局とも協力しまして、今、先生が仰ったような製造現場の中核的人材、非常に質の高いレベルの工場の工程の管理、あるいは分子レベルでの部材の設計あるいは生産ができるような、そういった人材を産学連携でどうやって育てるかという勉強をしておりまして、できれば今年度から調査を実施して、来年度、本格的に幾つかの拠点でそういうことをやって頂きたいと思っておりますので、ぜひ先生のご協力をよろしくお願いしたいと思います。
【委員】
人材育成のところ、私も非常に関心がありますけれども、私が感じていますのは、若い人たちが自分の将来の道を選ぶときに、非常に優れた人達がかなり集中的に行く分野というのが、例えば医学部とベンチャーとかそういう方へ、一見してですが、一番優れた人が行って、産業技術分野へ志望して来る人達が、ちょっとそういう面で、全体としてですが、見劣りするような気がします。
そこで、入ってきた人の育成だけじゃなくて、いい人をどうやって引きつけるかというところへもっと意を使うべきだというふうに思います。そのための方策はいろいろありますが、常識的なことは、技術者の経済的な待遇の改善、それからもう1つが、私が関わる範囲で言いますと、専門資格の重視とか、そういったことが関係してくるように思います。
それから、人材についてもう1つ気が付きますことは、私は時間軸をある程度とると、過去に何度も繰り返されていますように、外国籍の人材というか、これの活用は絶対必要な局面がある。そうすると、そういう人達をどう育てるかというような、そういう視点も必要なんじゃなかろうかということを思います。
それから、全然別の問題ですが、ちょっと思いつきで申し訳ありませんが、ロードマップがかなり重視されそうですが、ロードマップというのは非常に重要で、いろんなところでいろんな局面で書かれるわけですが、いつも私が感じますことは、非常に見やすくできて大変結構なんですけど、平面に左右されちゃうんですね。特に科学技術に関しては、よく地上、地下と私はいうんですが、地上で最新技術が栄えるためには地下の部分が充実しなきゃいけなくて、地下では例えば知的基盤というものが先行的に整備されるという必要があるんですね。そういう部分が、ともすると1枚のマップだと横から入る線でかかれてみえなくなってくるので、地上部分と地下部分をあらわすような、私はさらに多層にということをいっているわけじゃなくて、せめてもそのぐらいみていただいた方がいいんじゃなかろうかというふうに思います。
【委員】
全般で申し上げますと、まず、凄く良くできていると思います。私が前回いろいろ厳しい発言を致しましたけれども、産業政策、科学技術政策、産業技術政策、三位一体の姿勢が非常によく見えて、わかりやすいですし、中身もコンプリヘンシブにできていると思います。特に今のロードマップですね、これは使い方がいろいろございますけれども、とにかく作ってみて、よく使い方を考えりゃいいので、いわゆるビジョンを示してくれということに対しても大変正面からお答え頂いて、ありがとうございます。
細かい事をちょっとだけ申し上げますと、まず、産業政策の方で摺り合わせ。いわゆる摺り合わせの部分に日本の製造業の強みがあって、だからこれで復活するんだというトーン。これは、ジャーナリストが一生懸命書いているのをそのまま載っけちゃっているなという気が致します。本当かどうかを、どなたか専門家が検証したでしょうか。要するに開発段階というのは、いわゆる摺り合わせでやるんですけど、結局大きくなったときには標準化、技術のインターフェースの標準化が強くなってしまう。これは日本の半導体産業がポシャった一つの原因なんですが、そこをキチッと検証してこういうことを言っておるのか。液晶では既にそうじゃないですね。液晶が一番摺り合わせの技術産業だというコメントがありますけど、もう液晶のトップは韓国になってしまったと。PDPもそうなります。違った観点が必要ですね。例えば自動車産業というのは、もともと摺り合わせという言葉を使う前に、製造のノウハウを外に出さないで、しかも部品も抱え込むということで成功したんですが、部品の一部を外に放出するようになりました、ニッサンとかGMもそうなんですけれども。トヨタはそれを抱え込んで成功しているわけでして、いわゆる製造業の種類によって、標準化の方向と摺り合わせが永遠に続くというのを、わけなくちゃいけないと私は思っていますので、その辺は専門家のキチッとした分析のもとに長期戦略を立てて頂きたい。
もう1つは産学連携のところで、これもちょっと細かいんですけれども、大学を通じて技術の流出が起こるということもあるから、大学における「適切な営業秘密管理」と書いてありますが、これは大学の公開性とは真っ向から対立するものなんですね。ですから、どの時点でどういうことを言うか。これは、どっちが大学発の技術というのが将来にわたって出てくるかと。秘密を守った方が良いのか、あくまでも公開のままつき合う方が、流出を前提としてある程度のプロパライアティーは出しますけれども、ある程度のNDAは必要なんですけど、これをトップに、大学全体にこういうことを言ってはいけないような気がするんですね。個々の限定されたものに対してのNDAを結んだ産学連携というふうに書かないと。大学の公開性が非常に重要だということですね。この2点です。
もう1つお願いは、産業政策との関連で日本のGDP、雇用統計を各産業のセグメントごとに集めていただいて、その歴史的な経緯というのをぜひ教えていただきたい。多分おもしろいと思うんですけれども。それを外挿するというか、それをもとに将来予測をしたときに、日本のGDPと雇用をどの産業セグメントが担っていくべきかと、こういうことが出てくると思うんですね。ですから、それをいつの時点でもよろしいですからお知らせ頂きたいと思います。
【事務局】
今、委員からあったお話でございますけれども、まず、摺り合わせも大事だけれども、ある段階でモジュール化してくるという点でございますが、それはご指摘のとおりでございます。今日お配りしました「新産業創造戦略について」、資料4でいいますと、3ページの右下の方をちょっと見て頂きたいんですけれども、そこに「擦り合わせの連鎖」とございます。まさに技術が成熟化して量産体制が確立してまいりますと、工程のモジュール化・分化が進んでいくということ。また、そのプロセスの中で、ここに書いておりませんが、標準化というのが一つ重要な点になるということは私どもも認識をしております。
ただ、恐らくそういうモジュール化が進んで量産体制が確立した段階では、また次なるステップ、次のフェーズのイノベーションに向けての新たな摺り合わせが始まっていくのではないか。そういう摺り合わせの連鎖という視点で物を考えております。ただ、いずれにせよ、生駒委員もご指摘になりましたように、技術あるいは製品、あるいは産業分野において様々なそれぞれ個別の事情がございますので、そういうものをきめ細かくみながら、この摺り合わせの連鎖というものをとらえていきたいというふうに考えております。
また、大学の秘密管理のガイドラインについてのご指摘でございますが、そこはまさに委員が仰ったとおり、私どもも認識をしておりまして、この私どもが策定を致しますガイドラインにおきましては、まず最初に、大学として何が営業秘密で、守るべき秘密で、何がそうではないかということを選択してくださいと。特に、まさに大学の知的活動から生み出されたものについて、これを公開していくのか、それとも秘密として扱うのか。それから、産学連携で企業と契約を結んで産学連携プロジェクトをやるときには、契約に基づいて、これは秘密として管理しなければならないというものはしっかり管理をして頂きたいということで、まず一番初めに、大学にどれが守るべき営業秘密かということについて判断をして頂いて、そこで、まず大学として、これは営業秘密としてキチンと管理しなければならないと、そういうふうに判断したものについて、どういうふうに管理をして頂くかということについてガイドラインを示させて頂いたというふうに、私どもは頭を整理させて頂いております。
また、産業政策との関連で、まさに将来、我が国が何で稼いでいくか、何で飯を食っていくかということにつきましては、今日は概要だけでございますが、近々、新産業創造戦略全体像を取りまとめますけれども、その中では、例えば私どもがここで掲げさせて頂いた7分野というものが、将来どのぐらいの雇用を担っていくのかというような分析についても明らかにさせて頂きたいというふうに思っております。
【事務局】
委員の最初の方の摺り合わせのことにつきまして、私どもで今、研究開発プロジェクトの企画・立案・マネジメントをしておりますので、その観点からコメントをさせて頂きたいと思います。確かに「摺り合わせ」という言葉は非常に多様な意味を持つ言葉だと思っていますけれども、私のところで研究開発をこれからもいろいろなことを企画していく中で、この言葉に込められた意味として、2点重視したいと思っています。1つは、やはり先端の技術というのは単一の技術でなくて、究極の技術を徹底的に狙うと同時に、それを組み合わせていく。例えばバイオとナノにしてもそうですし、あるいは半導体のプロセスにしてもそうだと思います。そういう意味では、中途半端な摺り合わせじゃだめで、とにかく技術のきわみを狙いながら、それを組み合わせていく。これが摺り合わせの一つのメッセージだと思っています。
もう1つのメッセージは、これは今の研究開発プロジェクトに対する反省にも関係するんですけれども、とかくプロジェクトの目標だけ追っかけて終わってしまっている。しかし現実は、材料であれば、それは部品に使われなきゃいけない、部品はシステムにというふうに、縦の垂直での統合の視点が大事だと思っています。そういう意味では、プロジェクトを考える時に、本当にそれはどのようにして社会に役に立っていくのか、あるいは業種間でどう繋がりがあるのかという、この連携ということを考えていかなきゃいけない。そういう意味で、研究開発マネジメントをやる上での摺り合わせという視点が大事じゃないかということを考えております。そんな意味合いを今、研究開発運営ということでは考えているということをコメントさせて頂きたいと思います。
【委員】
そういう観点での摺り合わせを考えると、さらにもっと考えるべきでしょう。たぶん、技術のインターフェースを標準化してやるという考え方と、そこをコンフィデンシャルにしておいて、違う業種でもって摺り合わせていこうと。ですから、そこは私、大きな技術の流れとしてどっちが正しいかと。部分的には凹凸があると思います。だけれども、大きな流れとして戦略を考えたときに、どっちが正しいかは、たぶん疑問でしょうね。
【事務局】
わかりました。その点は漏らしましたが、技術開発を考える時に、ある種のデファクトをとって世界をリードしていくんだと、それをいろんな人に使わせながら自分たちがリードしていくんだという視点と、それから、ある部分は非常に大事なので、そこは隠しておいて、結果だけを渡してビジネスをするという両方があると思います。これは産業形態、技術によってそれぞれ特徴があると思いますので、ちゃんとそのプロジェクトを運営し、あるいはそれを産業政策と繋げていく時に、その事を意識しなければいけない。今、仰るとおりだろうと思います。そういう意味では、プロジェクトのためのプロジェクトにならずに、産業政策と結びつけたプロジェクト。その中で、標準化とむしろノウハウとして抱える部分ということをキチッと仕分けていくということだろうと思っています。
さらに言えば、モジュール化した中での競争力ということになると、これは技術だけの話じゃなくて、産業政策としての投資力をどうするんだとか、立地をどうするんだとか、人材をどうするんだということに絡まってくると思いますけど、ここは産業政策との連携ということではないかと思っています。
【委員】
先程から話題になっている人材育成の問題で、中小企業の泥臭い立場からみますと、今までのお話は、かなり高度な人材育成の話だったんですけど、物づくりというか、高度な設備を作るにしても、やっぱり現場の技能が必要なんですね。現場の技能者についての教育というか処遇というか、先ほど優秀な人が入ってくるようにというような政策、そんなこともやって頂きたいというか、そういう観点を持って頂きたいということですね。日本の場合、物づくりが非常に重要だということがいわれながら、そのあたりが、物づくりに参加する人の処遇とか、そういうことを国が優遇しているという姿勢がどうもよく見えないということが言われているわけですね。
ですから、例えば政府がやるとしたら、税制で優遇するとか、先程も専門資格のお話がありましたけど、例えば技能士の資格を取れば所得税を減免するとか、そんな泥臭い話も、そういう形で姿勢を明確にするようなことも、何かそんな観点。この小委員会とはちょっと趣旨が違うのかもしれませんけど、物づくりの原点という観点から、そんなことをぜひ意識をして頂きたいということで意見にしたいと思います。
【委員】
昨日、あらかじめメールで原案を頂戴しましたので、従前とどういうふうに変化してきたかなという観点で見せて頂きましたが、この時期に毎年、こういうような産業技術の重点事項というのが検討されてきておりますけれども、最近の流れかもしれませんけれども、産学連携というのが非常に重視されてきて、それは私、大学人として大変嬉しく思っているんですけれども、例えば今年度の重点施策、いわゆる産業技術政策の重点というのを、産業技術政策のプロジェクトの観点と産学連携と人材育成という、そういう3本で本当にバランスがいいんだろうかと。むしろ本質的に必要なのは、1番目を中心とした産業技術政策の方にずっとウエートがあるはずであって、大学に期待されることは大変嬉しいとは思いますが、そこに重点ばかりあると、我が国の本質的な産業技術政策というのは非常に損なわれてしまうのではないか。従前のものを拝見していますと、やはり日本の物づくりとかそれを支えている中堅・中小企業というのがあって、そこに対応したような技術政策をどうするかというような視点がやや多いように思うんですね。今年のものを拝見すると、そういう視点よりもむしろ、いきなり政府の開発プロジェクトをどういう方向に持っていくべきかというところに余りにも特化し過ぎていて、産業技術の重点がちょっとシフトしているのではないかなという懸念を持っております。
特に、その観点で他の参考資料の方を拝見すると、日本の経済、少し立ち直っているようであるけれども、根底的な問題もまだある。そういうような緊急性から言って、2010年位をターゲットに置いた施策ということになりますと、これはほんの5年しかないわけですので、その段階でロードマップということの必然性があるのかどうか。むしろ技術マップというよりも、もっと産業マップとかビジネスマップだとかという一歩踏み込んだものじゃないと、緊急・喫緊性に対応してないように思うんですね。それに対するロードマップでも、例えば既に未来技術予測とかいろいろなものがあるわけですから、緊急・喫緊性に対応したビジネスマップとビジネスのロードマップを少しお考え頂けないのかなということが、これからの詰めていく時の要望であります。
もう1つは、そういう観点の中で先ほど重点産業技術分野の7分野というのが出てまいりましたが、これは資料4の9ページにございますけれども、私もこの視点は大変重要だと思っております。しかし、こういうふうに新産業分野というのを特定するというのは相当英断が要るわけでありまして、従前とどこがすごく違ったかと思うと、多分従前の情報通信といっていた部分がコンテンツというふうに相当変わってきて、従前、生命科学分野というのが重要だと言っておったのが、健康・福祉の中のほんの1行にバイオ技術等というのが出ているんですが、この辺はやはり従来から、本来は日本の産業として生命科学分野を相当重視していこうということの合意があったように思いますので、もう少しその辺に若干の配慮ができないものなのかなという気が致しました。
あと先程から、生駒先生が議論されておりました摺り合わせ技術というのは、多分こういう公式のところでそういう言葉が出てきたのは、私初めて目にするんですけれども、ここのところに先程からの議論をもうちょっと踏み込んで頂きたいなということと、あわせて全体的には、これを違う見方をすれば、コンカレントエンジニアリングと称して同時並行的に開発を進めるという、その開発を進めることと現場的に技術を摺り合わせることとを、どういうふうに両方マッチングさせるのかという視点を少し入れて頂いた方がありがたいなと思っております。
【事務局】
委員の技術ロードマップについてのご指摘でございますけれども、全く問題意識は共有しておりまして、この私どもの資料に、出口からというところが何度か強調して入っているんですけれども、いわゆる産業の姿なり市場が広がる分野の姿なり、そういうところからキーテクノロジーを導き出してくると、そういうアプローチで、将来からこっちを作ってくるということで、つくり上げていきたいと思っております。
【委員】
ビジネスマップみたいなものも作った方がいいんじゃないですか。今のことは、全部了解した上で。
【委員】
私は、バイオテクノロジーの技術者を養成しようという新しい試みでできた大学に今おりますが、学生の中には、最初からベンチャーをやりたいとか非常に目的をはっきりした形で入学してくる学生さんがかなりおります。そのことは大変心強いのですけれども、ただ、やはり今のバイオサイエンスにしてもテクノロジーにしても、将来そういう方面に進むときには、やはりそれなりの最先端の知識と技術をそれなりの時間をかけて身に付けていかなければ、世の中が今いろいろ騒がしいから、すぐに2~3年でそういうベンチャーができるなどということは恐らくあり得ないと思っております。学部でなくて恐らく大学院博士課程位まで充分、日々、日進月歩の分野でございますので、そういった研究あるいはテクノロジーを本当に現場で学んでいく。場合によっては企業さんにインターンシップで、一体企業ではどういう形で研究開発をしているのかという事まで、次年度、そういう形でインターンシップをやりながら世の中にいろんな形の人材を出していきたいと思っておりますが、その時に、やはり企業さんとのいろんな連携というのが大変重要になってくると思っておりまして、受け入れて頂く先とかそういうものを、大変苦労して私どもはこれから開拓していかなければいけないと思っております。
そういう意味で、産学連携というのは人材養成の上でも大変重要だと思っておりますが、ただバイオテクノロジーに関しましては、いろんな技術を教えるとか座学でどこまで教えられるかということも大変難しい問題がありまして、現に企業にいらっしゃる方も、やっぱり大学で勉強した時には、そんな事は、とてもできなかったと。しかもどんどん変わっていく世の中ですから、現場で、企業で1つずつ、ご自分で開拓しながら身に付けていくものだという、そういうお声を聞きますと、大学でカリキュラムを組んでどこまで人材養成ができるかということは大変慎重に考えていかなければいけないだろうと思います。
人材養成と言いますと、例えば文科省でもポスドク1万人計画というのが十分達成されていると思うんですが、MOT人材養成1万人体制の確立というのは、この1万人というのは、本当にこの方たちの需要、そこまで考えた数字であるのか。つまりポスドク1万人が、年齢が30代後半になってきて、次の就職先がなかなかないという、実際には大変な問題がございます。このあたりは、需要と供給との関係をどういうふうに考えられて1万人ということを立てられたのかという事もちょっとお聞きしたいと思います。
【事務局】
まず、私どもの人材育成政策は、冒頭少し申し上げましたように相当多様な人材育成を考えておりまして、先生おっしゃるバイオの本チャンの人材育成、もちろんこれは大学あるいは企業の中でおやりになっていただく。これはむしろ研究開発の世界だと思っていますが、産学連携で行うもの、例えば今ここでご紹介したMOTなどは、むしろベンチャーであればベンチャーの経営者なり支援者なり、そういった方々をどうつくっていくか。これは先生もご承知のとおり日本に全くいませんので、これを何とかつくっていきたいという、そういう世界です。ですから、むしろポスドクの1万人とはダブるといいますか、ポスドクの中でも、もしかしたらそういうことにいって頂く方がいるかもしれないというふうに思っております。
このMOT1万人というのは、ある意味でエイヤという目標ではありますけれども、基本的にMOTで先行しているアメリカが、もう既に年間1万人以上の定員がございまして、多分ここ5~6年には、今すごい勢いで、また増えておりますので、ビジネススクールでもどんどんMOTをやり始めておりますので、そういう意味では簡単にGDPの比率から考えても、日本には1万人ぐらい絶対的ニーズがあるというふうに考えておりまして、結構大変な高い目標でありますけれども、頑張りたいと思っております。
【委員】
今日の資料、非常に興味深く読ませて頂きましたが、こういう観点は、産官学といっても官学の視点からまとめられている印象を受けております。もう少し企業のサーベイが必要じゃないのかなと。その辺、もう少し企業の実態ですね、ここら辺を盛り込んで施策を立てていかれると非常にありがたいと感じます。
それから、こういう場で申し上げていいかどうかちょっと迷ったんですが、私どもが、実際に企業が今直面している問題というのは、非常にマーケットがグローバル化してきて大競争時代に入っていると。
従って、今、現時点の我々の競争相手というのは欧米、要するにヨーロッパ及びアメリカと先端技術で争っているわけです。しかし、これはあと5年か10年たつと、多分韓国、中国がキャッチアップしてきて、彼らとの闘いにむしろ戦場が移っていくのではないかと、こういう気がしています。
そうしますと、ここで一番我々、今度非常に泥臭い問題に入るんですが、研究開発というのは実際には非常に泥臭い作業でして、いわば徹夜徹夜の、日に夜を次いでということで、やるときにはとにかく突っ走ると、これが本当は実態なんですね。ところが、今、欧米との闘いで、特にドイツとの闘いで有利なのは、ドイツの場合には日本以上に労働的な規制が厳しくて、ほとんど残業がないと。そういう形で彼らの戦力がそがれている。ところが、今、日本は、今度また三六協定で締めつけが厳しくなりましたけど、労働者と研究者を一緒に同じ基準で縛りをかけてくる。そうすると、研究者のモチベーションをどんどん削いでいく形になって、早い話が、悪い意味でのサラリーマン化してしまう。そこに研究者としての自覚とか使命感、こういったものが希薄になってきてしまうと。その辺はもちろん過労死とかいろいろ騒がれますから、健康管理ということは非常に重要なことは十分承知しておりますが、やはり別のそういった政策もしくはご指導、こういった形が研究開発にあってもいいのではないかと。その辺も実際に企業の研究開発の立場から考えると盛り込んで頂ければと、こういうふうに感じます。
余談ですが、そういう意味では大学の研究開発のやり方というのは、非常に企業にとっては羨ましいと。夜中、幾ら遅くまで残っていても誰も文句言いませんし。そういう事で、ちょっと余計な話をしましたが、よろしくお願いいたします。
【委員】
ちょっと産業の立場からですけれども、この1~2週間、各社決算報告されているわけで、皆さんご承知のように、収益性をかなり大幅に改善されている企業が続出しているわけですけれども、いろいろトップの連中とも話しているわけですけれども、やはり各社ともその中身というのは、長年に渡る、いわゆる一口に選択と集中といいますが、そういう非常に大きなコアに集中してハイパフォーマンスの経営をやってきたと、その結果なんですね。ですから、そういう意味では非常に効率経営になっているわけですけれども、これからずっとそういうコアだけで将来というものが保障されるわけじゃないわけで、やっぱり今こそ日本経済全体の中で、新事業というんですか、若干そういうものにチャレンジする意欲が萎えて来ているという認識は、みんな共通に持っているんですね。ですから、そういう意味では、まさに国を挙げて技術開発、研究開発をベースとしたイノベーション、新事業、新産業創出というのは本当に大事な時だという認識で、我々が取り組む意義というのは非常に大きいと思うんですね。
そういう中で、今まで研究開発とか技術開発型の事業展開をやっていた経験から、そういう観点でイノベーションを考える時に、例えばある技術のシードなり物があって、これは非常に新しいものである。ただ、それから出口に向かって新しいマーケットを開拓していくというのは、大変なエネルギーが要るんですね。皆さんが今、大学でも死の谷とか言っていますけれども、考えてみれば、これは非常に普遍的な当たり前の現象なんです。ですから、そういう意味で、何と言ってもやはりマーケット側から、または市場なり新しい産業ビジネスというものから、必要な新しいイノベーション、テクノロジーは何かとか、そういう本当に出口があって、そこに必要な技術をいろんなところから叩き出したり、また糾合したりして目的を遂げていくという、これはやはり出なきゃいかんと思っている。そういう意味では出口をしっかり見据えた新しい試みというのは、私は非常に大事だと思います。これでいいと思うんです。
ただ、先ほど古川先生からも、この中にバイオテクノロジーが随分、萎んで書いてあるということは、私もちょっと気になる。これは何かといいますと、実は数年前にバイオテクノロジー、ゲノムの問題が、限られたヒト資源のゲノム情報というものが囲い込みになる。国家間の非常に危機感をもって、その時は科技庁は庁でしたから1庁4省が、5大臣が初めて一緒になってサインして、バイオテクノロジー戦略というのができたんですね。それはそれでいろんな意味で、私はかなり底上げもあったし進んでいると思うんですけれども、一番大きなバイオテクノロジー、ライフサイエンスのターゲットというのは、やっぱり健康とか医療なんですね。そこになると、やはり省庁で足並みが揃ってないんですよ。ですから、今度この中で資料5の9ページの一番下に、「関係省庁が連携して取り組む」という、この謳い文句が本当に生きないと、相変わらず省益が優先して本当に国家戦略、一つのグローバル戦略、基本的コンペティションに対応する、国としての国益を達成するための国家戦略にならないんですよね。ですから、そういう意味では、私はBT戦略会議でよく、司令塔というのは何としても作らないとダメだと。今の予算の起案がとにかく省レベルということで、本質的には難しいんだということですけど、やっぱりそれをやっていかないと、いつになっても私は本当の意味の、少なくともアメリカに勝てる国家戦略にならないのではないかと思うわけです。ちょっとバイオテクノロジー戦略が余りにもぼやっとした中で小さくなって萎んだ中にも、私はそういう裏があるんじゃないかなと思います。ぜひこれを乗り越えて、ここに謳ってあるような省庁連携したものにして頂きたいなと思います。
【事務局】
各委員からご指摘がございましたが、重点4分野の1つであるバイオが、新産業創造戦略だと何か消えているんじゃないかというふうに受けとめられたかもしれないんですが、今、平田委員のお話の中にもありましたけれども、私ども出口志向で考えたいと。つまり、バイオをバイオのためにやっているのではなくて、その目的は何かといえば、それはやはり健康長寿社会ではないかと。そういう意味で、出口を見据えて、あるいは出口から発想して産業政策あるいは技術政策を考えていきたいということで、こういう整理をさせて頂いております。ある意味、出口志向の新産業創造戦略の分野と、それから従来、シーズの方から整理をしてきた、いわゆる重点4分野と、これはそれぞれ別の観点から見ていて、相互に何か排他的なものではなくて、整合的にとらえられるものであると思っております。そういう意味で、バイオを軽視しているとか、力を抜いているのではなくて、別の観点から、出口の方からそれを見ているというふうにご理解頂ければと思います。
それから省庁連携のことは、いつもながら私ども耳の痛いご指摘でございますけれども、バイオ戦略につきましてはまさに関係省庁連携体制もできているわけですけれども、これはバイオに限らず、引き続き省庁の連携ということには努めてまいりたいというふうに思います。
【委員】
産官学の連携ですが、連携して初めて可能になるのが、やはり技術の国家戦略が明らかになるということだと思っていまして、特に大学のTLOのような、比較的相対で知的財産的なものを製品に結びつけて、かつ商品にまで持ってくるという。これ、個々に成り立つビジネスだとは思いますが、要するに分散化されていく傾向にあるわけですから、そうなると、産官学がまとまって国家戦略として欠けてくるのが、スタンダード(規格)を誰がどうやってやるんだという話になってくるんだと思うんですね。これをどこがどういうふうに細分化して、今現状において眠りかけているような技術を商品化していくということは、産業活性化にとって極めて都合がいいわけですけれども、逆に言えば、最終的に残された国家戦略としては、スタンダードは誰がどうやって作るのかと。また、諸外国にやられっぱなしになるのか、あるいは我が国が初めてといっていいほど主導して、こういう仕掛けを作っていくのかというところが、一つ大きな最終的な出口の押さえになるんだと思っています。
先週、私イギリスにいまして、ガス化会議に出たんですが、モノをみんなガス化して、エネルギー危機は脱炭素プロセスがないものは生き残れないと。20年ほど前にあるメーカーがコンソーシアムを作って、その目標のもとで、いろんな物質をガス化に持っていく。そうすると、脱炭素になり有効に使え、利用範囲も広がると。結局、それが気候変動問題と相リンクしながら進んできて、そういう国際的な仕掛けの中で気候変動枠組み条約ができてくる。そういう仕掛けの中で技術開発というのは位置づけられていくんだと思っていまして、そういう意味ではバイオもしかりだと。バイオは、私はそれほど知見がありませんのでよくわかりませんが、バイオもそうだと思いますし、特にエネルギー・環境なんて言えば、どうやってそれを仕掛けるのかなと。
その一つとして出てくるのが、やはり学会です。今、学会なんていうのは非常にメンバーが減って困っておりまして、それをどうやって繋げていくか。大学もコンソーシアムを組めるし、そこに産業界も入ってきて、そこに官も入ってくることによって、ある意味では日本ができ得る、選択と集中をして、今、四分野に絞ってきたわけですから、当面は、その中で公共的な技術とは何ぞやとか、こういう基盤、今まで開発した商品が安全に動くような形の公益性のある公共技術を洗い出して、そこら辺のコンソーシアムをキチッと明確にしながら、これをスタンダードの中に位置づけていく。これがない限り、いろんな出てきた商品が使えないというような形で、国家戦略を作っていくということも、例えば一つの例としては重要になってきて、そういう意味では学会の立場、産学官で、そこの一つのクロスカッティングイシューとして学会という立場もあるんじゃないかというふうに思います。
【委員】
ちょっと議論の対象が違うんですけれども、先ほど委員が提案された議論に関連して、非常に産業技術のレベルが高くなって産学連携が本質的に必要な時代に、大学も秘密を守らなければいけないという事態になってきた時に、学問の公開の原則と抵触するではないかというご指摘があったと思うんですけど、私は東北大学あるいは関係大学の方々に申し上げているのは、大学が秘密をある期間守るということと学問の公開の原則は抵触しない。例えば5年後、10年後には間違いなく公開いたしますと。大学の学問の公開の原則というのは、瞬時公開ということではなかったと私は理解していますので、この辺りの議論はちゃんとやっておいて、誤解のないようにしておいた方がいいと思うんですね。私は、10年後でも20年後でも公開すれば、学問の公開の原則に抵触しないという立場をとっています。
【委員】
また少しとんちんかんな話なのかもしれませんけれども、ちょっとこの会議の趣旨とは違うのかもしれませんけど、先端の技術開発を日本国内でどうやっていこうかということですよね、産業化ということで。
ですから、その内容が海外に漏れちゃ困るよというような話があって、全くそのとおりだと思うんですけど、バイオとかベンチャーとかいう立場から少し意見を持つのは、これは日本の国の中の技術、産業開発の話ですよね。しかし、今の技術というのは、日本国内だけで技術開発ができるようなものというのは、少なくともバイオの世界じゃないですよね。完全に向こうが先行していて、先程先生からも、お話ありましたけど、いろんな連中にモチベーションを持たせて新たな技術開発をしようとすれば、日本国内だけではできないんですよ。非常にこれははっきりしているんですね。
ですから、要するに日本国内と海外のある種の連携。先程から競争とか競合とかという言葉が盛んに出ますけど、融合でもいいと思うんですよね。それをちゃんと技術保全する措置は、特許とかいろいろ知的財産権という形であるわけですから、海外の何とか企業と、これはベンチャーだけの話に限るのかもしれませんけど、あえて融合政策を日本国内からとっていくという考え方も必要だと思うんですよ。要するに井の中のカワズになっちゃっているんですよね。いろいろな起案書なんかが出て助成金も流れるんだけれども、日本国内独特の技術ということに矮小化されちゃっているというんですか、もっと情報を、それはそれなりのやりとりはできますから、契約や何かで縛れるわけですから、もっと海外としっかりとやるということを、やっぱり国の中の戦略的な体制づくりをすべきだと思います。
ですから、そのようなプロジェクトを、例えばベンチャーの技術特区というわけじゃないんですけど、バイオのある限られたものだけは、海外とのやりとりを盛んに自由に行えるようなある分野を作ったり何かすることは、案外その辺から日本独特なオリジナリティーが海外との連携によってさらに拡大してできるということもあり得るんじゃないかというふうに思います。特に我々なんかは、いろいろ日本の企業の方とも、あるいは先生方にもいろいろ教えて頂くんですが、実際にビジネスになろうかなという技術はみんな海外の技術なんですよ。ですから、それを取り込まないことには商売になりません。現にうちも商売になっていませんけれどもね。ですから、そこのところを勘よく、小スケールでもいいから何か立ち上げられるような体制づくりを考えて頂くとありがたいというふうに思います。
【委員】
先程の話に戻りますけれども、グローバル時代に競争していくという、確かに私ども中小・中堅クラスも現実にそういう問題が出てきておりますし、そういう中で我々、今後どのように生き延びていこうかということをいろいろ日夜考えるわけなんですけれども、私が考えていますのは、一般的に、まず例のコアコンピタンスをどうつくり上げるか。国内でも大変厳しい競争がございます。また、海外との競争も出てきます。その場合、やはり経営者として確固たる信念をもって貫ける一つのそういうものがなければ、なかなか経営しにくいという、また従業員もついてこないということでありますので、そういう意味ではコアコンピタンスをどうつくり上げるかという視点で私ども考えるんですが、技術論はいろいろ皆さんされていますけれども、その場合、私は哲学といいますか、やはり人間の力といいますのはどういう時に発揮されるかといいますと、技術ではない別の世界といいますか、そういう中でもって、例えばチームワークであるとか日本人の特性、お互い助け合うとか、そういったようなことが非常に私は大事になってくるのじゃないかと。また、この点において海外、それぞれ国によっていろいろ考え方は違うと思います。
要するに日本人の特性を生かして、それを競争力に結びつけていくと。また、国内では大企業と中小企業と違います。その違いをどう競争力に結びつけるかと。そういうふうな視点で考えないと、技術論だけではなかなかやっていけないというふうに考えております。
従いまして、経営哲学とかいう問題になってきますと、やはり学生が社会人として入ってくるわけですけれども、以前の年少時の教育問題、このあたりからしっかりやって頂かないと。会社に入って、いろいろ話してもなかなか理解できないというふうな状況では、我々厳しい闘いをやっていくわけですから、やはり日本人の教育そのものを特徴づけるといいますか、そのあたりからもっと考えていく必要があるんじゃないか。特に物を作っていくことに関しては、非常にチームワークであるとかいろいろ助け合うということが大事でございますので、そういったことがあります。
もう1つ、技術の方は、確かに私どもは大学というものに大変期待しておりますし、現にやっておりますけれども、大学というのは、見ていますと非常に効率の悪い組織であると。お互い足を引っ張り合って、悪口言い合ってやっているという感じがあるわけで、それじゃ企業の場合ですととてもやっていけない、潰れてしまうわけですね。こういうところが、立派な方々がいらっしゃるのに、何故そういうふうになるのかよくわからないんですね。ですから、そういった問題も解決していきませんと、恐らく学生もそういった実態をみながら教育を受けますと、やはり歪んでいくんじゃないかというふうな気が致しております。
それから、大学発ベンチャー1,000社でございますけれども、私ども地元の工学部、6社ありますけれども、皆赤字でして、1社だけかろうじて利益が出たと言っておりますけれども、恐らく非常に惨憺たる結果になるんじゃないかというふうに思いますし、これを放っておきますと、やはり先生方もベンチャーなんてやるべきじゃないというふうなことになるでしょうし、これをどう結論づけるのかという問題も、今後残ってくるんじゃないか、このように感じております。
【分科会長】
ありがとうございました。一通りご意見を伺いましたが、さらに追加のご意見等ございますでしょうか。今の、大学は効率の悪い組織だというのはいかがですか。私、もう大学人じゃありませんけれども、全く身につまされる話であります。国立大学について言えば、いろんなところで出てくると思いますけど、やはり独立行政法人化で従来に比べると動き始めているという印象は受けますね、私ども評価やっていまして。前だったら恐らく、独立行政法人化がなかったら、私、多分今ごろ命がないんじゃないかと。評価をやっていて、散々悪口言われていますから。だけど、独立行政法人化という刃を突きつけられましたので、かなり評価も積極的に受け取って頂いているという側面があるんですね。ですから、私はちょっと私立の方はわかりませんけど、国立大学に関しては相当動き始めるのかなという気がしております。
【委員】
ちょっと視点がずれるんですけど、基本的には第3次というんですか、科学技術基本計画に結びつけるという一つの使命がございますね。確かに新しい技術開発を進め産業を育成する、そういう大きな方向、これは間違っているわけじゃないんですけど、例えば新しい技術がどういうふうに社会に受け入れられるかという問題がありますね。それから、新しい技術がどういうふうに社会に影響を及ぼしているかという、この辺をしっかり見ていかないと、必ずしも開発したものが効率良く社会にフィードバックされない、受け入れられないという問題があるわけですね。
私どもの関係で、今いわゆる組み換えの問題、遺伝子の問題があります。私ども植物をやっているわけじゃないんですけれども、これになると、やっぱり社会の科学に対する単なる受容性というんじゃなくて、今、科学技術立国と言いながら、日本の科学に対する関心度というのが非常に落ちているというのは、私は非常に由々しき問題だと思うんですね。ですから、確かに非常に低学年からの教育の問題から多岐にわたるわけですけれども、国レベルの仕事としては、産でできないものはやっぱり官の仕事として、私は科学というもの、新しいサイエンス、技術というものを国民に理解させるということは、啓蒙活動を含めて非常に重要だと思うんですね。ですから、このプログラムが若干どういうふうになっているのかなということと、これは文科省がもちろんより大きなミッションだと思うんですけど、経済産業省ももちろん決して関係外じゃないと思います。
それともう1つは、例えばITとか、最近は携帯とかコンピューターゲーム、要するに子どもがそういうものに本当にのめり込んでいて、こういうものが本当にこれからの世代を作っていく若い人たちの考え方とか生活態度というのにどういうふうに影響を及ぼすかとか、私は非常に憂うべきことだと思うんですね。そういうのは、もちろん心理学とかメディカルにいろんな研究をしなきゃいかんと思うんですけど、ぜひこの新しい基本計画の中には、そういう社会を啓蒙するということと同時に、社会がどういうふうにその技術を逆に受けとめて、それは社会にどういうふうに影響を及ぼしてくるのか、私はそういうことの研究というのが非常に重要なんじゃないかなと。本当に今、子供達があんなバーチャルな世界に入っていって、これからどうなるのかなと。その辺は、皆さん非常に不安がりながらも、実際そういうのはどういう研究をされているのか。一部研究されているのはわかっています。だけど、もうちょっと国を挙げてやってもいいんじゃないかなと思います。
【事務局】
今のご指摘、大変重要なご指摘だと思っております。実はやや個人的な経験から申し上げて恐縮ですが、私、前に化学物質の安全問題の担当課長をやったことがありまして、当時、環境ホルモンの問題ですとかダイオキシンの問題が、ちょっと言葉は不適当かもしれませんが、ややバランスを欠いたような形で騒がれたときにまさに最前線にいたものですから、今、平田委員の言われた事は、大変重要な事だと思っております。
幸いにして、最近、日本学術会議の方でも黒川先生などを中心に、今、仰られたような問題について正面から取り組もうじゃないかというような動きが始まっているというふうに承知しておりますし、これは決してこれで充分だというつもりはないんですが、例えば今日の資料5、これは来年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針でございますけれども、その15ページから17ページ位にかけて、今ご指摘の点、必ずしも充分に受けとめたものになっているかどうかというのはございますが、問題意識として政府としても認識をしております。
もちろん我が省として、今、仰ったようなことについて取り組めるようなものは取り組みたいというふうに思っていまして、これは幸いにして産業界の方でも、かなり今、仰られたようなこと、あるいは理科教育、あるいは技術に対する理解というのを若いうちから若者に持ってもらうことが大事だということで、製造現場を積極的に開放するとか、あるいは経営者の方、あるいは技術経営にすぐれた方に実際に講義に来て頂くとか、そういったこともぜひやりたいというふうに産業界の方にも仰って頂いているので、そういった動きをぜひ現実の成果が出るような形で、我々としても何らかのお手伝いをしていきたいというふうに思っております。
ついでに、先ほど、平田委員が言われましたバイオの関係あるいは各省連携の関係でございますけれども、実はこの新産業創造戦略について、今我々が一生懸命やろうとしていますのは、これは瀬戸の方から冒頭ご紹介しましたが、来年度以降の科学技術の施策の一つの視点として反映をして、政府全体の取り組みとするということにしたいというふうに思っていますし、それだけではなくて、骨太の方針ということを申し上げましたけれども、これも政府全体の重点事項として、新産業創造戦略のような視点に立った取り組みを省庁の壁を越えてやりたいと。そういうことで、今、政府内で提案をしようとしているところでございます。
ちなみに、資料4の9ページ目、これは1回ご説明致しましたけれども、新産業創造戦略というもので我々が大事だと思っていることの条件、視点みたいなのが4つございます。そのうちの4番目の視点、これは資料4の9ページの左上のボックスに書いてございますけれども、市場メカニズムだけでは発展しにくい障壁や制約などがありということで、これは要するに政府の規制ですとか、あるいはその他、習慣とか慣習みたいなものも一部入るかもしれませんけれども、日本全体の取り組みが必要なものを取り上げて取り組んでいきたいと、そういう思いでこういった提案を今考えているところでございます。
【分科会長】
ありがとうございました。一通りご意見を伺いましたので、以上としたいと思いますが、先ほど平田正委員の仰ったことについて、ちょっと私コメントをさせて頂きたいと思うんですが、学力低下というのは別にして、理科とか算数の日本の子供達の成績の国際比較をやりますと、依然として非常に高いんですよ。殊にOECDで2~3年前にやりましたPISA、これは学校で習うだけじゃなくて生活からもいろんなことを学ぶので、それも含んだ国際比較をやっているんですけれども、いわゆる科学、理科に対するリテラシーでありますとか算数に対するリテラシー、日本はトップグループになっているんですね。
ですから、日本の国内だけでみると、学力が経時的に下がっているということについて私は否定しないんですが、依然として国際的には非常に高いレベルにあると。ところが、大人になりますと、ご承知だと思いますが、例のOECDで調査した結果によりますと、一番理科や算数をたくさん習った人たち、大人になった、その人達を対象にしてOECDが調査したんですね。そうしますと、日本がOECD先進諸国の中でほとんどビリなんですよ、科学技術に対するリテラシー。国の名前を挙げて恐縮ですが、ポルトガルとかギリシャ並みで、アメリカ、イギリス、フランス、それがうんと高くて。これは実際に科学技術に関する問題を出して、それで答えて貰っていますから、かなりアキュラシーがあるんですね。にもかかわらず、日本は断然ビリという非常に奇妙な現象になっている。
子供達のところで見ますと、それだけ国際比較をやると成績は良いんですけれども、じゃ将来、よく言われていることですが、そういう理科や算数を使った職業に就きたいかというと、日本人は圧倒的にイエスと答える子供達が少ないんですね。アメリカだとかイギリスは、小学校のとき成績は悪いんです。にもかかわらず、非常に高いんですよ。その辺が日本の大問題。どうしてかというのはよくわからない。子供達に、去年、一昨年と高等学校、小中学校について学力一斉試験をやったんですが、勉強が大切かと聞くと、実に85%の子がイエスと答えるんです。ところが、好きかというと、それがガタンと減っちゃうんですね。殊に理科、数学で低いんです。国語とか英語は30%、40%あるんですけれども、算数、理科になりますと、あるいは数学、理科になりますと30%みんな切れてしまうということで、そこに何か大きな問題があるんだと思うんですね。これはちょっと発言しにくいんですけれども、やはり先生方のクォリティーの問題ですね、その辺の問題が非常にあるのかなという気がしていて、そこのところを何とかしないと、さっき委員が仰ったような問題は解決できないんですね。
【委員】
ですから、教育の現場だけじゃなくて、例えば私も時々ジャーナリストとかに良く言うんですけれども、やっぱりああいういろんなメディアの人も、アメリカなんかというと、とにかくいろんなマスメディアを通して家庭の中に科学というものが非常に入っているでしょう。科学が日常の言葉として結構おもしろい話題になっているんですよね。日本は、どうも新しい技術に対してマイナス面だけを新聞記者は強調するという恨みがあるんですね。事あるごとにジャーナリストとも、やっぱり企業は非常に大事だと思っているんですけれども……
【分科会長】
ご承知のとおり、ちょっと言い過ぎですけれども、アメリカ、イギリスでは国で、科学技術ジャーナリストというのを育てるメカニズムがありますよね。日本はほとんどないという、その辺も非常に大きな問題じゃないかと私思っているんですけどね。私どもがアメリカの学会へ行きますと、必ずその年に、私どもの専門の科学技術に関して良い記事を書いた人を全部呼んで、大変な表彰をするんですね。そういうシステムがあったりする。ですから、そういう人達に日が当たるようになっているんですけど、日本はそういうシステムもなければ、そういうこともほとんどやらないということですから、やっぱり国のシステムとして考えていく必要があるんですよね。
【委員】
仕組みを作って頂ければと思いますね。
【分科会長】
ありがとうございました。冒頭、珍しく委員からお褒めを頂いたと、ほとんどないかと思っていたけど。そういうことで、ちょっとホッと致しましたけど、あと、いろいろ辛口のご意見も頂きましたので、このご意見を基本問題小委員会、その他のロードマップをつくる分科会に生かしていきたいというふうに考えております。今後ともよろしくお願い致します。議事は以上でございますが、事務局から何かご連絡ございますでしょうか。
【事務局】
次回でございますが、具体的な日程は、後刻、事務局の方から改めてご相談をさせて頂きます。概ね8月後半位を目途に、今日のご意見も踏まえて、具体的に17年度予算要求はどういう形になったかというあたりの報告を中心にご審議頂きたいと思っております。
【分科会長】
ありがとうございました。それでは、第7回の産業技術分科会を終了させて頂きますが、毎回申し上げていることでございますけれども、本日の資料及び議事録につきましては、産業構造審議会の運営規程に則りまして、資料は公開、議事録は委員の皆様のご了解を得た上で無記名での公開とさせて頂きたいと存じますので、よろしくお願い致します。それでは、本日はどうもありがとうございました。

以上

▲ 審議会全体トップ
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.