経済産業省
文字サイズ変更

審議会・研究会

産業構造審議会産業技術分科会(第10回)  議事録

議題1~3:事務局より、資料に基づいて報告(質疑)

【委員】
資料5の技術戦略マップは、ホームページで公開されていて、内容は大変すばらしいと思います。よくこういうものの公開に踏み切ったと感嘆しているのですけれども、5ページに各分野が出ており、この中に製造産業分野がありますが、これを見ますと、これは全部プロダクト、つまり製品を対象にしていますね。第3期科学技術基本計画でも、従来の製造分野をものづくり技術と変更してきていると思うのですが、そういう意味で、ものづくりというか製造技術のプロセスそのものをもう少し戦略的にまとめられないのかということをかねてから感じています。将来的に、そういうのに配慮いただければありがたくと思います。
【事務局】
製造産業分野ということで、ロボット、航空機、宇宙からナノテク、MEMSまでいろいろなものが含まれておりますが、現実には、例えばナノテクですと、出口として昨年は電子情報分野に絞ったナノテク、今年は環境分野にターゲットしたナノテクということで、いろいろ分野を広げてきております。また、部材の部分では、おっしゃられたとおり共通基盤的な製造技術、プロセス技術のところも、特に高分子関係で包含し策定しておりまして、ご指摘の方向で、必要な部分について広げていきたいと思っております。

議題4、5:事務局より、資料に基づいて報告

【委員】
資料8―2にありました電気機械、特にエレクトロニクスの状況をご説明しておきたいと存じます。
産業全般の中で、今、エレクトロニクス産業はどういう状況にあるかということでございますが、国内投資という点で見ますと、特に製造に関わる投資のかなりの部分は、フラットパネルディスプレーと半導体。つまり、部品レベルでの国内投資が現在行われているというのが実態でございます。それは結局、事業全体として、どちらかというとシステム化、あるいはソフト化が進行していることに依存するわけでございまして、ソフトにつきましては、ハードウエアと直結した組み込みソフトの比重が非常に高くなってきております。これは携帯電話端末しかり、自動車しかり、家電しかりでございまして、この組み込みソフトをどういう体制で効率よく開発するか、また、モジュール化することによって、再利用をどう促進していくかということが非常に重要になっております。特に、携帯電話端末の開発費のコストの中で、組み込みソフト部分の開発費が非常に高くなってきているというのが現状でございます。
そういう中で、R&Dの海外展開ということになりますと、システム化の中、アプリケーションに関わるソフトの海外展開ということで、当社の場合、中国が主体で、インドも海外展開の対象としておりますけれども、そういうことから考えますと、大きな設備投資はどちらかといえば部品、要するに、ディスプレー、半導体に集中しているというのが実態でございます。
そういう中において、今後、どういう戦略を立てていけるかということでございますが、当社の場合には、ここ数ヵ月の間に、アメリカのユニシス、ノンストップコンピューターをやっているストラタス、ヨーロッパのフィリップス・コミュニケーションとアライアンスを締結いたしまして、当社のハードウエアを供給することによって、例えばユニシスの場合には、みずからのパークのレベルアップ、グレードアップを可能にする。ストラタスにしましても、ハードウエアのさらなる性能向上のために、当社のハードウエアを使っていくといった形になっております。そういう国際分業をこれからより活発に進めていくという方法があるのではないかと考えております。
先程R&Dの海外展開というお話をいたしましたけれども、システムの構築におきましても、私どもは、例えばアルゼンチンのサンルイス州でe-ガバメントのシステムの開発を行いました。約30億円ぐらいの規模のものでございます。この具体的なシステム構築はアルゼンチンの現地で行っております。したがって、今度は逆に、そういうものをグローバルに活用していこうと。ですから、企業グループ内のグローバルアライアンスという形になってくるということでございます。かつてマイクロ波の装置を実用化するといったときに、新しいデバイスができることが新たなビジネスチャンスを作り出していたことと、少し違ってきているのではないか。要するに、システム構築力、また、ハードウエアについては、組み込みソフトをどう効率的に開発し、再利用していくか。あと何年かすると状況がまた変わるかもしれませんけれども、現状はそういうところにあって、そういう環境の中で、研究開発と設備投資をどうしていくかという検討をする段階かと理解しております。
【委員】
個別分野において、いろいろな提言をさせていただいておりますが、今日はできるだけ普遍的な話をさせていただこうと思います。
イノベーション立国、科学技術立国を目指した大きな施策ということですが、日本でイノベーションがなかなか実現しにくいのは、いろいろな要因があろうかと思います。例えば、研究開発から事業化するときに、重要なマーケティングの問題がございます。これは企業努力によるところがかなりあるわけですけれども、環境やインフラは我が国における問題ということで、2つの観点から指摘したいと思います。
1つは、新しい上流の研究開発が出てきた後、社会に還元する、イノベーションを実現するとき、日本にはまだいろいろな隘路があろうかと思います。先進国の欧米、特にアメリカとの競争という観点から、土俵を同じくするため、何としても環境の整備をしなければいけないということで、規制の緩和やインフラ整備が一層必要だと思います。なお、バイオ関係で一番大きい課題は、なんといっても治験ということになります。
また、新しい技術に対する国民のアクセプタンスという問題があると思います。これは、教育、啓蒙活動が必要であって、当事者である産業界だけの努力ではなかなかできないということもあり、これは行政のリーダーシップでやってもらう必要があると思います。
日本においては、新技術がなかなかイノベーションにつながらないわけですが、行政サイドでリスクゼロというものを追い求め過ぎているところがあると感じます。若干語弊があるかもしれませんけれども、新しい技術開発、イノベーションは、ある程度のリスクを伴うわけです。ですから、国民の自己責任という風土をある程度醸成していかなければなりません。少し例が悪いですけれども、例えば自動車の事故の確率は、最近いわれている食品の安全性などに比べると、オーダーが全然違うぐらい高いわけです。でも、皆さん、自己責任で、そのリスクとベネフィットを考えて、産業はちゃんと発展しているわけです。ですから、特に新しい技術を社会に導入する過程では、行政サイドのリスクに対する考え方を少し変えなければいけないのではないかと思います。
もう一つ、今日の議題の中で経営の環境変化が及ぼす面への視点があって、非常によい指摘と感じていますが、最近の短期的な利益志向はイノベーションという方向と決して一致していないのではないかと感じます。これはもちろん、分野によって違うのかもしれませんけど、例えばライフサイエンスやバイオテクノロジーの分野は、研究開発から最後のリターンまで時間が相当かかります。しかも不確実性が高いということで、研究開発費も開発の進捗によってかなり大きくアップダウンするわけです。しかし、今、ご承知のように、四半期毎の決算の中で成長(増益)が求められるわけです。研究開発費は経費として期間処理をしていかなければいけない。こういう中で、本当にイノベーションが根づくのかということです。
最近、欧米の大きな会社も、ベンチャーやバイオテクノロジー企業に依存していて、イノベーション力が非常に落ちていると言われています。この背景には、株主重視の市場経済といいますか、株式市場経済があるわけですけれども、イノベーションで立国しない限り日本の将来はないわけでして、これはアメリカの産業政策と違うわけです。国是として、イノベーション立国ということをやるのであれば、場合によっては企業会計法も独自のものを押し通してもいいのではないでしょうか。繰り返しになりますが、今、開発に非常に金がかかる時期を迎えるテーマがあるとします。しかし、このために足元の期間利益が落ちると、アナリストからは非常に厳しい評価をされるわけです。そういう経営をしていく中で、日本の国是たるイノベーションが本当に育つのか。何も全部海外とハーモナイゼーションする必要はなく、国の基本戦略をはっきりしていっていいのではないかなと思います。
【委員】
2点あるのですけれども、1つは資料9について、産学連携推進小委員会をつくられるということですが、中小企業の立場から言いますと、産学公、県の公設試をこの中に取り込むことをぜひ考えていただきたいということです。中小企業にとって、技術的なことについての一番身近な相談相手は公設試だということがアンケート調査などでも出ています。しかし現実には、産学連携は多いのですが公が外されていることが多いのです。その背景にあるのは、公、つまり県の場合、9時~5時勤務体制といったように非常に硬直的だということです。最近、少しずつ変わってきていますけれども、そういうところが背景にあるのではないかと感じます。ですから、そうしたことも含めて、公を取り込んでいただくことを考えていただきたいと思います。
もう一つは、資料8―1の「産業技術政策の展開状況と今後の課題」ですけれども、この中に、生産性向上に対する科学技術の貢献といった観点を入れられないかと思います。というのは、昨年度から日本の人口が減り始めている中で、このままいってしまうとGDPもどんどん減ってしまうのではないかということが中長期的に言われているわけですから、その中に、科学技術によって生産性を高めていくという観点を入れていただきたい。
この政策の中で、理工系人材教育の強化ということが言われていますが、現場の実態をみると、理工系教育以前に小中学校からの教育の問題があり、ぜひ文部科学省との連携も進めて頂きたい。縦割り行政の問題も指摘されていますけれども、こういうところを含めて、小中学校時代からの教育、長期的な教育からやり直さないとなかなか直らないのではないというのが現場からみた直観です。
その中でインセンティブを構築するためいろいろなことを設けて、例えば、国の関与ということを考えると税制などは一つのインセンティブになるところですけれども、そういうことを含めて、小中学校時代から理工系に適性な人間が科学技術の生産性向上に貢献できるようなこと、その方向付けにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
【委員】
資料8―2で興味深い図表をたくさん示していただきました。その中には、解釈するときに気をつけないとミスリーディングになるかなということもありましたが細かいことは別にしますと、この中で極めて注目すべきものと思ったのは、P.26・27でグローバル化の話があり、日本は国際戦略提携が極めて低くて、しかもさらに減っているという話や、研究開発の対内投資が極端に低いという話。日本の対内直接投資自体が低いわけですけれども、その中でも、日本に来ている外資系企業はローテクの企業ばかりだという事実があって、これは、極端な言い方をすれば、日本は非常にグローバルな技術のフローの中から隔絶しているのではないかという心配すらあると思います。ですから、こういう点は、政策的に何か対応することによって改善できるかということを検討する非常に重要な課題になってくるのではないかと思います。
それに関連して、私は、ナショナルイノベーションシステムというフレームワークで考えた方がいいということをずっと言ってきたわけですけれども、その弊害といいますか、ナショナルイノベーションシステムというと国の中でクローズドな議論になってしまう。それはそもそもの意図ではないのですけれども、国内の政策と技術の関係ということで、焦点がちょっとクローズドになってしまいかねないという懸念もあります。
そうならないためにはどうしたらいいかというと、セクトラルイノベーションシステムと言いますか、セクター別で考えれば、例えば自動車産業のイノベーション、医薬品産業のイノベーションという話になると、外国企業との競争や外国のマーケットといった議論抜きにはできないわけで、最初からそういう視点が必ず入ってきますから、セクトラルイノベーションシステムという視点で議論していくのが良いかと思います。そうすると、必然的にグローバルな視点が最初から入ってくることになると思います。
もう一つ、セクトラルイノベーションシステムが良いのは、産業によってイノベーションのあり方は非常に違っているわけで、大学との連携が非常に重要な産業もありますし、それほど重要でない産業もあるかもしれません。特許が極めて重要な産業もあるし、それほど重要でない産業もあるかもしれない。産業によって違いが随分ありますから、ナショナルイノベーションシステムの議論も重要ですけれども、それに加えて、セクター別のイノベーションシステムの議論をもう少し深めていく必要があるのかなと思います。
もう一点、人材に関してですが、アメリカでもヨーロッパでも人材に非常に力を入れているということで、私も重要なテーマだと思いますし、今度、産学連携推進小委員会をつくって産官学で人材育成をやられることは非常に重要なことだと思っておりますけれども、人材も2つのタイプがあって、そのベースになるようなマスの科学技術者という意味での人材と、非常に少数のブレークスルーを起こすような人材があって、違うタイプの政策対応が必要なのではないかと思っています。ここで主に対象にされているのはマスの技術者の話かなと思いますけれども、これに加えて、ブレークスルーを起こすような科学技術者をどうやって育成するかといった政策も準備する必要があるという気がしています。
それに関して、最近、アメリカで話題を呼んでいるおもしろい論文がありまして、ノーベル賞とか、それに対応するような極めて大きなブレークスルーを行った技術者などの業績を調べてみますと、20世紀の初めと終わり、この100年の間に、そういうブレークスルーを起こすような科学者・技術者が高齢化しているという話なのですね。20世紀の初めの分布と20世紀の終わりのときの分布を調べてみますと、分布の右側は同じ、つまり、大体40ぐらいになったらブレークスルーは余り出てこなくなるという点では100年前も今も同じなのですけれども、ブレークスルーをし始める年が最近は非常に遅くなっている。終わりが同じで、最初が遅くなっていますから、基本的に、1人のサイエンティストの生産性は非常に落ちているという話なのです。創造的なことをやれる年は物理的にある程度限定されていますから、最近、創造的なところで、そのトレーニングにものすごく年を食われてしまって、自分で創造的なことを生み出すことに費やせる時間が余り残っていない。それで科学者・技術者の高齢化が進んでいて、かつ生産性が落ちているという話なのです。そういう話を考えますと、そっちの方のタイプの人材には全然違うタイプの問題がありそうだという気がしておりますので、マスの技術者の取り組みと、もう一つ、ブレークスルーを起こす人材の育成も検討する必要があるかと思います。
【委員】
環境や資源の制約という観点から、今、危惧していることを一言申し上げたいと思います。
京都議定書の約束期間に関しては、日本はかなりのダメージを受けるだろうと思っています。エネルギー・環境問題に関して、国内でなすべきことといえばだれでも同じことをいうわけで、省エネをやれ、新エネをやれ、原子力をやれ、石炭のクリーン化・ガス化だということはいいのですけれども、この観点から今日の産業技術政策を考えたときに、ポスト京都に対して、どういうイニシアチブをとれる政策を展開するかということが大変重要だと私は思っています。議定書は批准していますし、やらざるを得ないわけですから、これはいたし方ないとして、その後、産業技術立国日本として、どういうイニシアチブをとっていくかということが今、非常に重要で、その政策を入れない限り、片手落ちになってしまうだろうと思います。
今年に入ってアジア太平洋パートナーシップが開かれて、私は非常に高く評価しています。米、中、オーストラリア、日本、インド、韓国と6ヵ国、議定書を批准していて、義務化が課せられている国々の温室効果ガスの排出割合を考えると20%しかない。アジア太平洋パートナーシップは緩やかなパートナーシップですから、何らかの政策手段をうまく使えば機能し得るはずであって、6ヵ国の温室効果ガスの排出量は世界全体の50%を占めていることを考えると、ここら辺の枠組みをうまく使いながら、ポスト京都を展開していくような政策を今から打っていかないと、日本が莫大な金をロシアに払うことになる。排出権取引市場ができていればいいですけれども、できないわけです。相対になれば大変なことになると思っています。
そういう意味で、パートナーシップの利用ということになるわけですが、一言でいうと、既存の各産業が持っておられるイノベーティブテクノロジー、もう商業化されている技術を移転すればいいという話になってくると思うのですけれども、普通、技術移転というと、例えば日本・中国が集まって、こういう技術がいいですよということで日本が指導し、わかりましたということで中国はそれを入れて、経営権は全部中国にある。これでは何にもならないわけで、経済性に見合った技術移転をどのように展開していくかということで、産業技術政策の出口としてそのビジネスモデルをきちっと附帯しておかないと、その国際的な貢献度は余り認知されないだろうと思っており、そうした政策を今まさに始めるべきだと思います。
今、委員がおっしゃっておられた、25、26ページのところで、日本は国際的な連携がまだ少ないというところも、こういうところから取り組んでいかないと、なかなか手ごわい発展途上国のアングロサクソンのような考えをもった大陸系の民族に我々の技術を移転していくといったって、そう簡単にはいかないのではないかと思います。そうしたところの技術政策は、技術の単体の政策とあわせて、ビジネスモデルの政策が重要になると思います。
【委員】
資料8―2という大きな資料は本当にありがたいと思うのですけれども、17ページに、特許のエフィシェンシーが悪いという話があります。これは一般の企業の話が大部分だと思うのです。登録特許件数で割って生産性というのはいいのだけれども、特許料から考えるとどうなってしまうのかということを教えてほしいです。つまり、特許料を幾ら払って、幾ら収入があったという話。特許を維持するのは大変です。会社の場合だと戦略的に取捨選択するけれども、大学発ベンチャーというといい加減ところがあって、戦略も何もない場合もあり、それはちょっと心配だなと思っています。
26ページですが、結局、日本は国内のマーケットがある程度あるから、鎖国しているのだと思います。みんな認めないけれども、そういうところがあると思います。国内だけで済んでいるというところに問題がある。教育の話になるのですが、41ページは日本のデータですよね。しかし、アメリカやヨーロッパだと、産学連携の大学発ベンチャーは、パーセントとしてバイオ分野が圧倒的に大きく、およそ7割から8割がバイオ分野だと思います。日本の場合は、ITは工学部が強いというのもあると思うのですが、44ページへ行くと、バイオベンチャー企業数はアメリカの4分の1ということですけど、日本は日本人だけでやろうと思っているわけですから、それはうまくいきっこないわけです。アメリカと比べようとするから無理なので、これを見ると、フランス、ドイツなどに比べれば良いところへいっているという感じがしますが、GDPや人口を見ると、イギリスは大変健闘している、といったようにそういうところを考えた方がいいのではないかと思います。先程の特許の収益性もそうで、そういう話の方が戦略性があるのではないかという気がします。その辺を比べないで、アメリカとばかり競っていても、アメリカは、メジャーリーグと同じで、やりたいやつはいらっしゃいということでいろいろな考え方をする人を混ぜ合わせているわけです。日本は、鎖国しているようなもので、移民は嫌だと言っているわけだから、これをどうするかというのがこれからの課題ではないかと思います。
先々週、ハーバードのサマーズ、イェールのリチャード・レビン、MITのスーザン・ホックフィルド、コロンビアのボリンジャー、ケンブリッジのアリソン・リチャード等の学長といろいろ話をしましたが、あの人たちが一番気にしているのは研究や大学院ではないです。いかに学部の学生を教育するかというのが一番の使命で、世界から良い学生が来るようにしたいという話です。それを育ててうちの大学院へ行かせようということは思っていません。学部後は最初からよそへ出すことになっている。あれだけの大学なのに、プリンストンの学長もすべての教員に、学部学生の教育にどれだけ貢献するかということを猛烈にプッシュしているわけです。大学院へ行ってから伸ばそうというのは、日本の制度だと教授クローンができるばかりで、イノベーションの新しい芽なんか出てきません。だから、大学に入るところをいかにオープンにするかが重要なのです。
リーディングユニバーシティーは世界的な人材の草刈り場になっていて、去年の10月19日の「ニューズウィーク・日本版」を見ましたが、日本の大学はほとんど触れられていませんでした。唯一、ICUの話しが4行ぐらい出ていて、良い学生をとろうと思って韓国へ行ったところ、コロンビア大学等いろいろな大学が来てしまった後で、愕然としたというのが書いてありました。また、囲み記事で3段ぐらいあったのは、大分にある立命館アジア太平洋大学で、私も講義に行ったことがありますけど、200人ぐらいが集まり、そのうち70%は外国人でした。学生達に非常にわくわくしているような感じがあるし、大分の町で、「町に何か影響がありますか」と尋ねたら、「いいことばかりだ」と言っていました。私もその講義では「400年前の出島と同じで、開いているのはここだけだね」と言っておきましたが、そういう話が大学人にあるかという話の方がよほど重要で、それを総合科学技術会議の本会議でも申し上げましたが、大学が、今の制度のままで、日本人だけでやろうとすれば無理があるのは当然かなと思います。
今、イギリスのノッティンガム大学等いろいろな大学が中国にどんどん分校をつくっています。日本の場合、「大学院に人が来ません」なんていうのは、20年前からのツケが今きているのではないかと思っているのですけれども、特にリーディングユニバーシティーでは、次の世代をどうやって育てて送り出すかということが重要なのだと思います。そうしないと、違った価値観の人が全然出てこなくなり、若い人は相変わらず内向きになってしまうのではないかなということを少し気にしています。
【委員】
今日の説明にあった環境や資源の制約の話は、いずれもいろいろな現状のデータを示して、「問題である」あるいは「必要ではないか」あるいは「こういうことが考えられる」といった表現になっておりますが、現実問題として、近々遭遇する、もう時間も待たない状況に入ってきている現状を鑑み、汚染予防の問題、資源・環境の問題、省エネ・省資源、浄化・修復等々、具体的な話を積極的に提案し、省庁をまたいで実行していく内容にしてもらいたいと思います。
これは批判的なことで申しわけありませんけれども、「研究開発小委員会の活動状況について」の5ページに技術戦略マップが出ております。環境・エネルギー分野ではありきたりの内容が書かれてあります。そんなレベルの問題解決ではないだろうと思います。もっと現実、足元をみて、積極的な活動ができるような内容にしていただきたいと思います。
【委員】
資料8―1ですが、「3つの危機感」と「障壁」があるのは大変良いと思います。特に「官僚主義の弊害」、「縦割り・横割り行政組織の障壁」というのを官僚が書いているのはとても立派だと思います。こういうマクロなビジョンで語られることはいいのですが、私は、日本の産業に対していささか危機感を持っておりまして、日本の産業競争力のコアになっている部分の産業技術が毀損している。簡単に言ってしまいますと、半導体産業です。これまでずっと半導体産業を見てきて、またいろいろな人と話をしていますが、私の予想では、5年で消滅するのではないか、産業のかなめといわれた半導体産業はニッチ産業になるのではないかという非常に大きな危惧の念をもっています。これは技術力も低下してきており、回復シナリオはどうしても書けないです。
もう一つは、よく言われているのですが、計測技術。これも産業のかなめなのですけれども、計測産業は全部海外へ行ってしまっている。もう一つは新医療機器です。こういった産業のかなめになる部分をもう少し同定されて、具体的に何か手を打つ。これはWTOの関係もありますが、具体的にそういうことをやる必要があるのではないかと今思っています。
また、最近、経産省と産業界が乖離しつつあることに大変危惧の念をもっております。ここに産業界の代表の方もいらっしゃいますけれども、何となく不信感がある。そういうことで大変心配しております。もう少し具体的な産業で何らかのことをやらなければいけないと思います。
特にアメリカの大統領教書では、フィジカルサイエンスエンジニアリングの予算額をふやすということで、これは実は産業政策です。今までライフサイエンスの方をやっていたのに対して、切り返して、フィジカルサイエンスエンジニアリング、製造業を支援しようということを言って、今、そのためにATPの枠組みで、NIST系も額を増やすと宣言しています。これは産業競争力をさらに強化しようということですから、それに対抗する措置をとらないと、ただでさえもほうっておけば毀損していくものがどんどん棄損していって、新産業戦略で新しいピクチャーを描いていただいたのですけれども、かなめの部分がなくなると思うのです。特に半導体産業は非常に苦慮しておりまして、私も何人か集めて、ボランティアベースでいろいろとやっているのですけれども、ぜひ経産省に、WTOの問題もありますけれども、具体的なことをやっていただきたい。この危惧の念からいきなり産学連携にとぶ前にやることがあるのではないかなと思います。
個別にコメントしますと、セクトラルイノベーションのお話が先程ありましたが、私は反対でございまして、これは国がやってはいけない。国は大きなフレームワークづくりをやって、各産業ごとのイノベーションは産業に任せないといけないという感じがしております。自動車などはてこ入れする必要はないわけですから、下手に手を出すよりは、大きなフレームワークづくりを政策でやるという考え方を基本的にもっています。
研究開発のグローバル化は、統計的なものではなく体験的に経験しておりますが、難しいということを重々承知しています。日本の企業は、海外で研究開発をして、それを自分のビジネスにインテグレーションすることはほとんど不可能です。バブルのときに海外へ出た企業のほとんどは、今、縮小しています。逆に、アメリカの企業が日本の研究開発をエクスパンションできるかというと、私はTLOの社長をしておりましたが、私が社長をやめたらほとんど縮小してしまいました。ですから、これはもうあきらめてしまって、初めからないと考えた方がいいのではないかと思っております。
【委員】
少し違う視点から1つお話し申し上げたいと思います。我々は通信を担当しておりますから、特にそう感じるところがあるのだろうと思うのですが、我々の業界、放送もそうだと思いますが、標準化の問題は非常に大きな問題だと考えています。標準化で日本の技術が生きる仕組みをきっちりつくっていかないと、この分野は海外のメーカーの方が圧倒的に強いので、海外の標準が入ってくるだけということになってしまう。
標準化について、通信の世界で特に問題なのは、メーカーが主体になって進めなければいけないところに通信事業者が相変わらず口を出し過ぎているのではないかと私自身は思っています。通信事業者はユーザーなので、要求条件は出すのだけれども、それを技術的に解決するのはメーカーだと思うのです。この辺のやり方を根本的に変えないと、問題は解決できないのではないかという気がするのです。
(最近では無線の標準でWiFi、WiMaxと呼ばれる方式がありますが、これらの標準化は米国のIEEE、日本の学会に相当する機関が行いました。メーカーの方々だけではなく、大学の先生方にも標準化活動に積極的に参加していただく必要があると思っています。)
先程、他の委員からお話のあったことと関連するのですけれども、我々も一時、海外へ出ていろいろなことをやりましたが、結局、事業から撤退している例が多くあります。ブラジルなどでも事業をやりましたが、損をしないで帰ってきましたからいいのかもしれませんけれども、日本人が海外で事業をやるのは、今の環境ではというより今の人材ではといった方が正しいのかもしれませんが、ちょっと無理だろうという気がしています。
そうだとすれば、今から一体何をやらなければいけないかというと、やはり人材教育だと思うのです。人材教育でも、日本の国内にクローズした格好での人材教育ではどうしようもなくて、人間のネットワークがつくれるような人材をつくっていかないとだめではないかと思うのです。研究、教育、両方ともそうだと思うのですけれども、日本の国内の大学だけで、産学官でやりましょうというのではそういう人材は絶対育たないのではないかと思います。そうすると、日本と海外との連携、大学の連携なのか産業界の連携なのか、どこの連携が一番いいかということは十分検討しなければいけないと思うのですけれども、連携をきっちりやって、日本人が自ら海外で人的ネットワークを構築できるようになって初めてうまくいくのではないかと思うのです。(事業についてもまた標準化についても言えると思います)教育の初期の段階というのはどこなのか、私も何ともいえませんけれども、そこから変えていかないと、そういう人材は育たないような気がしています。
【委員】
私が経済産業省に人材育成の面で期待するところが幾つもありますけれども、1つは、もちろん技術者教育の問題で、私もJABEEにかなり深く関わされているわけですが、いろいろご支援やご批判をいただいています。
第2は、一見、社会教育や初等・中等教育に見えますけれども、経済や社会といった視点から発言をきちんとしなければいけないと思われるのは、社会全体の理科や数学に対する最低限の底上げです。それから、リスクや確率統計に対する最小限のレベルアップ、企業倫理や技術者倫理のレベルアップ。こういったところは、文科省だけに任せて他は何もしないでいいということではないと私は感じております。
第3点は、私はたまたま過去十数年、特別優秀な人たちが大学のいろいろな分野へどう動いていくかというのを俯瞰的に見やすい立場におりまして、それでつくづく感じますが、このところ、富士山のトップのような一番上のところの人が技術系へ来ないのです。これに対して、どういうことをやれるかというと、1つは、ヒーローが生まれるようにしないといけないのではないかということを私は最近感じております。理学系ですとノーベル賞があり、それによって特別優秀な人が行く。経済学は、ベンチャーや株の関心が高まっている中、受験地図が変わるほどであり、ああいういわゆるヒーローの影響があるのです。ですから、技術者でもヒーローが出るようなことをお考えいただければと思います。
【委員】
先程他の委員からリーディングユニバーシティー等々の話が出ており、小宮山委員が御出席されていればまたいろいろと御説明頂くことができたと思いますが、スーパーリーグなどと呼ばれている中でそういう責任を感じていまして、多分数年の間に大きく変わるようになると思います。今、アクションプランを実行中です。
また、産学連携に関してなのですが、1つは、資料8―1の(課題2)の(2)のところに書かれているのですが、いろいろなパターンがあるということを大学側ももう少し理解すべきだし、産業界側、官界も理解すべきではないかと思います。大学から出た成果を還元すればいいという分野もまだあるのです。それは時期に応じて効率的に出せばいい。私は「補完型連携」といっているのですけれども、大学で学術をやる上で、産業界との連携が不可欠になっている分野が明確にあると私は思うのです。そういう分野の連携と、機械系の分野の連携とは違うだろうと思うのです。その辺を明確に見定める必要があるということが1つです。
そういうことを考えたときに、もう少し具体化して、エフォート率による教員の管理、研究者の管理を本当にやるのかやらないのか。やるのなら、もうやるべきだと思うのです。例えば複数のプロジェクトで、ある人を雇おうと思っても、口ではオーケーというのですけれども、現実には、エフォート率による管理ということにはなかなかならない。
また、国立だと運営費交付金で教員を雇っているわけですけれども、エフォート率の管理に移行するのかどうかということがあります。例えば企業の方が1人、大学に来て勉強する場合、1人しか育たない。エフォート率をある程度設けて、教員が企業の研究室に行く、現場に行くということになると、相当な人数が一挙に育つ可能性があると思うのです。私も月1回ですけれども、5年間ぐらいある企業に行って、ゼロから15人ぐらい育てた経験があって、それは非常に効果的だと思うのです。それを効果的にやるには、エフォート率をどう考えるかという問題だと思います。
私は「熱」といった非常に成熟した分野にいて、「熱」の分野はイノベーションにも大変関わりが深い分野だと思っていますが、逆に言うと、イノベーションが起こりつつある分野に「熱」の分野の人間が早く入っていかないからイノベーションがなかなか成熟しない、できないという分野があり、その辺のインターブリードをどうやってやるかというのがキーポイントのような気がします。
【委員】
地方におけるイノベーション、特に中小企業を中心としたことを少しお話ししたいと思います。
今、新連携と言われていますけれども、評価委員長を務めておりまして見ておりますと、従来なかった動きが感じられます。新連携の場合、企業経営者は自分のリスクで動くわけでございまして、しかも支援する仕組みもいろいろできております。そういう意味でうまくいくのではないかと思っております。公設試験機関や大学と組んで、一つのテーマをやったというケースも出てきております。そういう意味で、産と学の具体的な連携の一つの事例として、おもしろいものではないかと感じております。
そこで提案でございますけれども、大学や公設試験機関のシーズがいろいろあると思います。ただ、産業界、特に中小企業は、どこにどういうものがあるかよくわからない。ポータルサイトではありませんけれども、できたら何かそういったものができないかなと思っています。そうすることによりまして、新連携がさらに進むのではないかなという感じがしております。
【委員】
資料8―2の43ページの「諸外国のナショナル・イノベーション政策」と我が国の政策なのですけれども、まず、アメリカのイノベーション政策は、「イノベート・アメリカ」の2004に一番詳しくまとめられていると思うのです。そこの観点は、先程他の委員もおっしゃっておりましたけれども、国全体のインフラを整えることが主であって、課題が3つある。1つは、タレント、人材です。2番目がインベストメントで、投資をどうするか。3番目は、イノベートを促進するためのインフラをどうするか。こういう視点で書かれていると思うのですね。
EUの場合には、イノベーション政策そのものは民間ではありますけれども、EUコミッションとしては、マニュフューチャーをずっと追いかけています。そういう欧米の政策を私なりに見ますと、多分4つに分類できると思うのです。
1つは、産業政策上はBRICs(ブリックス)の脅威です。ブリックスの脅威にどう対応するかというのは、比較的短期的なイノベート対策だと思いますが、これは日本が一番大きく受けていて、アメリカは余り受けないと思います。なぜなら、ブラジル、ロシア、チャイナとも非常にいい関係をもっているからです。
2つ目は、先端技術。先程から出ているバイオやナノテクなどもアメリカがまだ強くて、日本、ヨーロッパは70%ぐらいではないかと思います。
3つ目は、制約条件で出ている環境の問題です。省エネ、環境調和に対する影響はどうかというと、これは日本が一番強いと私は思います。アメリカはむしろ遅れていると思うのです。ですから、この強みをいかに生かしていくかが重要だと思います。
4つ目は、特にヨーロッパ政策で出ておりますが、イノベートマニュファクチャリング、イノベーティブ製造という知識駆動型の製造をどうするかということです。これは日本が一番優れているというのが私の認識です。
したがって、実際には産業技術政策上のイノベーションですから、こういう4つの視点で、その制約条件を含めて、もう一度見直していただければ幸いです。
【分科会長】
それでは、時間が大体尽きましたので、これで終わらせていただきますが、冒頭申し上げましたように、産学連携推進小委員会の再開について、ここでご承認いただく必要がございます。産学連携推進小委員会の再開についてご承認いただけますでしょうか。
(「異議なし)の声あり)
それでは、「異議なし」ということで再開させていただきます。
本日は、非常に厳しいご意見が多数出ましたが、最後に、局長からコメントをいただいて終わりにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【産業技術環境局長】
まず、産学連携推進小委員会では、産学連携に関する教育と人材のことについてのご意見を踏まえて、ご審議をお願いしたいと思います。
本日委員からご指摘のありました戦略性について、個別の半導体、計測器、医療機器のプロジェクトというのではなくて、分野で横断的に検討していくことが必要なのだろうと改めて感じております。我々の中で言いますと、担当の局と我々がいきなり大上段の方に行かずに、もう少し分野別のイノベーションシステムについて、分野別の企業にという意味ではなく、そのシステムなりそのインフラを分野別に見ていくという視点を入れて考えてみるとどうなるかというお話だろうと思っていまして、私どももそれが必要だろうと思っていますので、そこを考えていきたいと思っております。
それ以外の点については、今日のご意見を踏まえて、いろいろ考えていきたいと思いますが、1点だけ、委員のご指摘にあったポスト京都については、(課題3)のところにございますように、我々も同じような考えをもってございまして、技術でどうやって解決していくのかという提案なり心づもりなり議論がないといけないのだろうと思っております。そういう意味で、資料8―1のところに(課題1)、(課題2)とあげておりますが、業種別なりのイノベーションシステムということと少し異なるかもしれませんけれども、それも一つの大きな課題だと思っております。
本日はどうもありがとうございました。
【分科会長】
ありがとうございました。
先ほど産学連携で大学の話が出ましたので最後に一言発言させて頂きます。2月1日から3日まで、京都で日英の高等教育協力プロジェクトを開催しました。日本の6つの大学とイギリスの6つの大学をペアリングして、92年にエージェンシー化した英日の経験を学ぼうということが狙いの会合です。英日からはブライトン、シェフィールド、グラスゴー、マンチェスター、ロンドン大学のインスティテュートエデュケーション、ノッティンガムの6大学が参加しましたが、彼らは燃えていますね。日本の大学も随分頑張ったのですけれども、完全に押しまくられました。先程の話にもありましたが、いかにして優秀な学生を世界中から集めるかという彼らの気迫には凄いものがあります。日本の大学に比べると彼らは本当に熱心で、日本の大学も相当頑張らないと、大変なことになるという印象を強く持ちました。
それでは、以上で終わらせていただきますが、毎回申し上げておりますように、本日の資料及び議事録につきましては、産業構造審議会運営規程に基づきまして、資料は公開、議事録は、皆様全員のご了解を得た上で、無記名での公開とさせていただきます。
それでは、事務局、お願いします。
【事務局】
次回の分科会の開催日程でございますが、大変申し訳ございませんがいつ頃ということはまだ確定できておりません。恐らく夏前、5月、6月ごろにご審議いただきたいということで、日程を調整させていただくことになろうかと思いますが、本日、いろいろいただきましたご意見を踏まえまして、先程ご紹介しました18年度予算の執行、あるいは19年度の予算や制度にどう反映するかといったところを事務局で考えまして、またその時点でご報告し、ご意見を賜れればと思います。
また、産学連携推進小委員会につきましては、その間、審議を進めた上で、分科会にご報告させていただこうと思います。
本日はありがとうございました。

以上

▲ 審議会全体トップ
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.