経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会(第11回)‐議事録

議事概要

議題1:産学連携推進小委員会、知的基盤整備特別委員会、研究開発小委員会、評価小委員会、計量制度検討小委員会の活動について委員長及び事務局から資料に基づいて報告。(質疑)

  • 委員

    簡単な御質問とコメントを2点させていただきます。

    1点目は、産業連携推進小委員会の報告によると連携が増えてきたということですが、人材交流という形で見たときに、この10年ぐらいどういう勢いで大学から企業へ、企業から大学へ人材交流が増えているのか、その辺をぜひよく見ていただけたらということでございます。

    もう1点は、評価検討小委員会のメンバーを拝見しますと、企業の経験がある方、あるいは企業の現職の方がメンバーに非常に少ないように思いますが、この辺、もし将来御検討される余地があればよろしくお願いしたいと思います。

  • 事務局

    産学連携推進小委員会につきましては、ご指摘の点を良く踏まえていきたいと思います。評価検討小委員会につきましては、経済産業省の評価はプロジェクトごとに実施される検討会と小委員会の2段階の体制であり、検討会には比較的企業の方が委員として多く入っており、そのバランスも含めて小委員会には大学の関係の方、シンクタンクの関係の方が多目に入っているということでございます。今後とも御指摘を踏まえて人選にあたっていきたいと考えております。

  • 委員

    研究開発小委員会において「ロードマップ」を作成、ローリングして評価するとのことですが、先ほどの評価委員会と研究開発のインターフェースをきちんとしておく必要があると思います。ローリングの際の経済的な効果及びそれが需要に与える影響についてご検討いただきたいと思います。

議題2:事務局から資料に基づいて説明。(自由討議)

  • 委員

    イノベーションは日本の今後を考える上でとても大事なことだと思っています。イノベーションは、やはりインベンションとは少し違います。技術がビジネスに結びつくだけでなく、社会の仕組みそのものを変えていくことがイノベーションと考えたときに、社会がどう変わっていくのか、それに対しどのようなビジネスが生まれてくるのかという視点も必要と考えます。また、イノベーション25戦略会議をはじめ、様々なところで検討されているイノベーションの整合性についてさらにオープンに議論するということも必要ではないかと思っています。

    資料のアメリカの例にもありますが、IBMのイノベーションについての取り組みとしてイノベーションジャムについてご紹介したいと思います。これは、IBMの世界中の社員、その家族、大学の先生方、ビジネスパートナー、お客様が約67社、総勢15万人の方々がジャム(Webを使ったブレーンストーミング)に72時間入り、次のイノベーションとしてどのようなことが考えられるのかについて検討したものです。

    そこで世界における問題点や今後の有望なビジネスがどこにあるのかというようなことを議論していただきまして、約4万6,000件のアイディアをいただき、結果的に大体10種類の新しいビジネスエリアというものを見つけましたので、今後約1億ドルの投資をしてイノベーションに結びつけていこうと考えています。

    これはIBMという一私企業の例ですが、イノベーションは、どこか1つができるというものではなく、世界とどれだけ強く結びつけるかが重要と考えます。この懇談会の議論についても、私どもで言いますところの「オープンでコラボレーティブ」に進めていくことも、今この中に挙げられている問題点を共有し解いていく1つの方法ではないかと考えます。

  • 委員

    今回の「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」について産学官の連携がキーポイントの1つと考えますが、官の中での連携は本当に十分なのかということが常に気になっています。例えば、本懇談会と総合科学技術会議との関係や文科省の「21世紀COEプログラム」の選考が「ロードマップ」や「技術戦略マップ2006」を踏まえたものであるかという点など、必ずしもそうではないのではと思います。

    ですから、官の間での連携をとっていただいて、予算についても重点配分ということは当然必要と思いますので、そういう観点で考えていただきたいというのが1点目です。

    2点目ですが、企業の場合には組織変更はかなり柔軟に行っているつもりですが、大学についてももう少し自由に組織変更できるようなことをしてあげないと、独立行政法人化された大学でも、どこまで本当に自由度があるのかがよく見えないなと思っています。

    また、企業も同様ですが、現場に近いところの話をうまく吸い上げて組織に反映することが非常に重要だと思いますが、大学や公的研究機関においてこのような点が反映されているのかについてもう少し見ていただきたいと思います。いずれにしましても、標準化というのも一つ大きな問題で、特に我々通信の世界ではこの標準化が非常に重要だというふうに思います。

    最後に、懇談会においては大企業ではなく中小企業の方々や、例えばベンチャーファンドの方々など、そういう方々のもう少し幅広い意見を聞いていただくことが必要と思います。

  • 委員

    イノベーションのための制度や施策についてはいいのですが、その1つ手前が必要だと思います。つまり人材育成のところで、日本の場合には意見を恥ずかしくなく言える雰囲気づくりがないことが問題だと思います。

    日本では乳幼児教育、初等中等教育の中で意見を述べて褒めてもらい、それによりさらに良い意見を引き出すという制度が全くないと思います。個性が集まると独創性になり、独創性は創造性につながると私は思っています。創造性は個人の問題があるかもしれませんが、独創性までは教育が必要ですので、それをぜひやっていただきたいと思っています。

    また、先ほど委員からありましたご質問についてですが、まず「21世紀COE」は、産業ではなくもともと教育拠点を作るということであり、間接的に人材育成につながっているわけです。それから、大学の定員制ですが、例えば私どもの例では今までは完全に定員制で教授が何名で助教授何名、助手何名と決まっていましたが、今はそうではなく人件費管理です。あえて言うとポイント制であり、高い給料をもらっている教授を1人減らして助教授を2人増やすことも可能ということです。これから様々な制度改革、組織改革に使えるような仕組みが徐々にできつつあるということだけ御理解いただきたいと思っています。

  • 委員

    先ほどIBMにおけるイノベーションに関する取り組みの御紹介がございましたが、私もファナックの取り組みを簡単にご紹介し、その後その中で感じることを申し上げたいと思います。

    ファナックの近い将来の目標として無人化工場の実現を考えております。これは社内の工場だけではなく、ユーザーの工場も巻き込んで考えており、現在は社内で知能ロボットを利用し、無人のセル生産の実現を進めております。加工セルに関しては無人化が非常に進んでおり、実際に社内でもだいぶ適用されております。それを現在組み立てセルに展開しており、近い将来の工場全体の無人化に向けて着実に取り組んでいます。現在、ユーザー企業においても加工セルの採用が始まっており、市場に少しずつ浸透しているという状況です。

    こういった無人化工場の実現のためには画期的な発明よりも新技術の開発及びそれらの技術の融合を絶え間なく続けていくことではないかと考えております。この実現によりコスト競争に勝ち抜き、技術的優位性を保っていくことを考えております。

    そういった中で考えることは、多くの産業のマーケットは世界に広がっており、国内のリソースだけではイノベーションは難しいのではないかということです。特に人材面において、世界中から優秀な人材を集められる、また集まってくるような魅力的な国づくり、制度づくりが今必要ではないかと考えております。

  • 委員

    私が特に指摘したいのは、イノベーションを進める上で産学官連携が非常にキーポイントになるということです。その中でも特に大学、アカデミアの持っている役割をどのように位置づけて、あるいはどのように機能させるかということがかなり重要になるのではないかと思います。

    私は3月から大学に来ておりますが、そこで一番感じているのは、大学は縦割ということです。これまでの大学というのは異分野技術の融合というようなことができる仕組みにはなっておらず、個々の先生方が独立して対応する仕組みになっています。

    その1つの理由として、国立大学が法人化されたにもかかわらず、まだ大学が経営体として自律できていないというところがかなりあります。恐らく個々の先生方は、経営体としての大学ではなく、直接研究費が回ってくる中央官庁の方に顔が向いており、このような中では自由な組織変更も、その資金的余裕もありません。これは大学自身のカルチャーの問題でもありますが、同時に中央官庁と大学との関係もかなり関係してくるのではないか思っています。

    したがって、そこら辺の問題を徹底的に洗い出してみるという作業が必要だろうと思っています。

    また、研究というのは恐らくいろいろなフェーズがあり、資金的には決して大きくなくてもいいけれども、研究の自由度や多様性をしっかり保証する、あるいは少額でも長期間しっかりサポートするというタイプの研究もあれば、ある時期、非常に明確に出口が見えてきたときにはタイミングを逃さずにプロジェクト化していくことが必要です。しかも、そのプロジェクトも大学の個人の先生だけでは決して対応できないため、このサポートシステムが必要です。例えば1つの問題を追求する際に、大学の何人かの先生や企業と一緒にできるような仕組みを作るということです。このような点が非常に重要になってくるのではと思います。

  • 委員

    1つだけ申し上げたいと思いますが、イノベーションの基点は優秀な研究者や事業マインドを持った人たちの発案であって組織ではないと思いますので、これから国も企業も組織でなくて個人に投資するべきと考えます。これを成功させるには芽の段階からしっかりとしたパトロン役をつくることが重要であり、経済産業省の場合にはNEDOがこの役割を果たすものと思っておりまして、NEDOの予算をもっと増やすべきと考えます。

    また、成功をおさめた方が、国民にもあるいは後継者にも伝わるように、イノベーション栄誉賞というようなのを内閣総理大臣からいただけると非常にいいのではないかと思います。個人をエンカレッジしたいと思います。

  • 委員

    2点申し上げたいと思います。

    第1点はイノベーションの概念に関して、オーガニゼーショナルイノベーション、マーケティングイノベーション、マネジリアルイノベーションなどのノンテクノロジカルイノベーションの部分についての重要性をもう少し認識すべきということです。

    第2点は民間企業のイノベーションと政府レベルでのイノベーションには違いがあり、政府についてはポリシーイノベーションに関係した話で、ノンテクノロジカルイノベーションのメカニズムを使いながら、どのように政策自体を革新していくかという話です。特にIT、環境や生活者レベルの課題などの社会経済的な課題について産業活力を利用して解決する点に、経産省のこの場が取り組まなくてはいけないイノベーション政策としての革新があるのではと思います。

  • 委員

    中小企業でものづくりに携わっている立場から意見を申し上げたいと思います。

    以前の議論において先端技術のイノベーションも中小企業のものづくりが支えているというご意見がありましたので、それに関連したことを3つ、要望したいと思います。

    1点目は、イノベーションを支えている中小企業のものづくりの基盤が、恐らく日本独特の商慣習で損なわれていることに対して、ガイドラインで修正していただきたいということです。例えば支払い条件、検収条件、材料費の転嫁の問題、あるいは技術や開発の試行錯誤を評価して対価を支払うことなど、このようなことが当たり前になるように指導いただきたいということです。

    2点目は、潜在力のある優秀な人材がものづくりに参加するように、小学校時代からの教育改革と、ものづくりに参加する者が経済的に恵まれるようなインセンティブの仕組みを作っていただきたいということです。例えばものづくりに関連した技能士の資格の創設や資格をとり、ものづくりに従事している者について所得税の減免とか年金などで優遇するようなことが考えられます。

    また、先ほどから外国人労働者の採用の話も出ていますが、当社でもこういう開発要員を日本人では採用できず、現在5%ぐらい高度技術者に外国人の留学生を採用している状態です。こういうことを支援することも、官のイノベーションの一つではないかと思います。

    3つ目は、技術開発の補助金などの改革です。現在の補助金は2分の1程度交付され、原則として返済義務がありません。また単年度予算で運用されますので、決定から8~9カ月で完成しなければならないために、中途半端な結果になりやすいのが実情です。これを長期低利で据え置き期間を設けて、全額融資として元金の返済義務を持たせ、早期返済に対して金利、元金の減額などのインセンティブを与えれば、成功率が高まるのではないかと思います。

議題2:「イノベーション」について産業技術総合研究所吉川理事長より資料9に基づいて説明。(自由討議)

  • 委員

    私ども大学にいる者の立場としましてまさに第1種の基礎研究に重心をおきつつ、第1種基礎研究から第2種基礎研究にどこまでシームレスに展開ができるかに取り組んでおります。

    私どもも大学内研究所型を少しずつ実践しております。そういう意味で大学も努力しておりますので、今後さらに産総研との連携なども図っていきたいと思います。

  • 委員

    私どもも産総研との間に人材交流のシステムを作るべく努力しているところですので、応援していただきたいと思っております。

  • 委員

    吉川先生のお話にありました15年の悪夢をいかに短縮するかが重要だと思います。ぜひこういう悪夢について、社会的な制度を含めて障壁があるのであれば、行政側のイノベーションをぜひやっていただきたいと思います。

    また、ライフサイエンスは他の分野と分けるべきとありますが、分ける理由として基礎研究の成果が直接製品に結びつくというのは誤解です。今や1つのたんぱくを見つけたから、それが薬になるという時代ではなく悪夢の時代に入っているわけです。

    そのうえ、日本には臨床試験・治験インフラの不備といったイノベーションに対するこの分野の非常に大きい障壁がありますが、ライフサイエンス・バイオテクノロジーの社会への還元のインパクトは実に大きく、継続的な資源投入を欠かしてはなりません。生命のブラックボックスは依然として大きく、成功に対する予測の不確定性というのはまだ大きいリスクがあり、非常に長期な安全性と保証と多大な投資が必要です。

    しかし、日本では社会がイノベーションを受け入れない障害が多いと思います。

    イノベーションには必ずリスクがつきものですが、行政はリスクゼロという志向が強いため開発まで非常に時間がかかってしまいますし、そのコストも高くなります。

    ある程度のリスクをベネフィットとのバランスにおいて容認することが、社会の受け入れ態度に絶対に必要ですので、そういう社会教育を行政にもしていただき、また産業界ももっとリスクをとることが必要です。日本では本当の意味のリスクをとるベンチャーキャピタルがまだ成熟しておらず、各セクターでリスクをとることをしなければ、イノベーションは日本に根づかないと思います。

  • 委員

    吉川先生のオリジナルなアイディア、哲学から発して、産総研の中で様々な仕組みづくり進んでいると感じました。

    参考資料5に米国とEUのイノベーション政策の動向についてという資料があるわけですが、こういう調査の中でどのような仕組みをつくっていくのか。一言で制度というふうに言うだけではなく、通常、ポリシースタディーズの中ではポリシーインスツルメントという言い方をしているわけですけれども、そのインスツルメント化をする。イノベーションを展開していくためのポリシーインスツルメントという観点から、今の吉川先生のお話や資料5を再検討すると、実際のポリシーイノベーションにつながっていくのではと思いました。

  • 委員

    私は工学系で企業から来ましたが、違った観点から臨床の先生とお話しすると、先生が「その装置が欲しかった」などと気づかれることが非常に多いと思います。したがって、異業種の方が医学系に入ってこられるようなシステムを作り、またダブルメジャーや産学連携の教育がいろいろなところでなされていますが、そういう若い方に良い就職先だと思わせられるような場所になっていきたいと思います。今ですと、企業の特許部や特許庁出身者が知的財産本部の中に入ってくださって、特許のシステムや管理を立ち上げたところですが、今度はよりマーケットの観点で先生と直にお話しする機会が増えれば、特に医学系は変わっていけると思います。

  • 委員

    日本的なイノベーションというのは、何か少し違ったものがあるのではと思っております。例えば日本刀は刺す武器から切る武器に変わっており、日本なりのイノベーションだと思います。それから茶器は熱いものを西洋人ではまず把手を持って直に触らないのに対し、把手のないものを作っている。また、ハイブリッドはまさに現代的な日本なりのある種のイノベーションの方向だと思っています。いわゆる日本風のイノベーションというお考えについて、いつか機会があれば吉川理事長にぜひお聞かせいただければと思います。

    事務局より次回の分科会の具体的な日時、議題については、後日、連絡することとし、閉会した。

以上

 
 

最終更新日:2008年9月10日
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