経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会(第13回)‐議事録

日時:平成19年8月30日(木)10時~12時
場所:経済産業省1120共用会議室(別館11階)

出席者

木村分科会長、荒川委員、内ヶ崎委員、梶山委員、柏木委員、須藤委員、高木委員、長島委員、中田委員、中村委員、西尾委員、平澤委員、平田(正)委員、古川委員、堀委員、前田委員、渡邉委員

議題

  1. 小委員会の活動状況の報告
  2. 平成20年度産業技術関連予算要求の重点
  3. 研究活動における不正行為への対応について
  4. 産業技術分科会報告書とりまとめについて
  5. その他

議事概要

議題1 研究開発小委員会、評価小委員会の活動について

事務局から資料に基づいて報告。出席者の発言は以下の通り。

研究開発小委員会について

  • 委員

    資料3の6ページ目に「エコイノベーションの推進」というものがあるが、今まで積み上げてきた3Rの概念がないようにみえる。経済産業省としては3Rを相当強く進めてきたので、そのベースのうえで「エコイノベーション」を推進するシナリオはないのか。

  • 事務局

    3Rという言葉はないが、資料3の8ページ目に、サステナブル・マニュファクチャリングとして、3R政策を推進するうえで重要な課題である循環型産業や省資源型ハイテク産業の構築、LCA手法といった環境経営ツールの開発などがある。3Rを支える重要な部分は研究開発プロジェクトとして推進する予定。

  • 委員

    「ゼロエミッション」は国連大学の用語で、「サステナブル生産」もINSが最初に使い出した言葉。これらの概念をベースに日本はリードしてきたという事実があるので、少しでも残して強調したほうがよい。

  • 委員

    資料3の3ページ目の図にある企業内技術ロードマップは、何をベースに作成したのか。

  • 事務局

    研究開発に積極的な主たる企業の技術経営部門とネットワークを維持強化しており、定点観測と称して出向いて話を伺っている。その場で見せてもらった各社のロードマップを俯瞰して取りまとめるということではなく、意見交換の結果を踏まえ技術経営者の方々が考えていることを技術戦略マップのローリングに反映している。

評価小委員会について

  • 委員

    評価結果がうまく反映されるようになり、原局、原課でも評価結果を取り入れて新しい展開に組み入れていこうという努力がみられるようになって、よい循環が出来上がりつつある。

     また、この評価委員会で担当するのはプロジェクトレベルの課題に限り、施策レベル以上の課題は政評課、官房のほうで扱うことになっているが、評価の担当をどうするか以前に、産業技術関係の政策体系について、個別課題をプロジェクトとして展開するのではなくプログラムを基盤としたものにつくりかえていく必要がある。

  • 委員

    総合評価のほうが、各項目の評価よりも概ね高くなっている。この総合評価は各項目と無関係につけられたのか。

  • 事務局

    総合評価は個別項目として独自に採点いただき、残り5項目の平均ではない。過去のトレンドからみると、総合評価よりも「目標・目的」は比較的高く、それ以外は比較的低い傾向がある。

  • 委員

    総合科学技術会議の評価専門委員会でも、国はプログラムベースで個別プロジェクトを組み立てていく方向になりつつある。

     その関連で、例えば「中小企業ベンチャー挑戦支援事業」のなかに、合計で300億円を超える規模の国家基幹技術に値するものがあるが、「研究成果」が1.80という相当低い評価が出ている。個別の中小企業関係のプロジェクトについても言えると思うが、中小企業に対して目に見える形で具体的な成果を出せるような方策を取らないと、企業の規模が小さいため常に評価が低くなってしまう。

議題2 平成20年度産業技術関連予算要求の重点について

事務局から資料に基づいて報告。出席者の発言は以下の通り。

  • 委員

    従来の大学では、偏差値教育を競ってきた傾向があったように思うが、イノベーションという観点からすると特色を発揮して世界で秀でることが必要。大学も法人化を機に、研究開発で特色を出さないと活性化しない状況になる。

     今までは金太郎アメ的に地域に一つ総合的な大学を作る傾向だったものが、これからは、それぞれの大学が培ってきた得意とする分野で特色ある拠点を形成することが重要。今回の予算は拠点構想の考え方が念頭にあるのか。

  • 事務局

    人材育成については、これまで個々の地域において、個別の大学とその周辺に集積する産業界との協力が進んできたと認識しているが、今後は2つの方向性があると思われる。

     一つは個別に進んできたものを全体で整理し認識を共有する方向へ進むケースで、産学人材育成パートナーシップはこの方向性を念頭に置いたもの。

     一方、地域の拠点形成を念頭に置いているのは、資料5-3の2ページ目にある地域の話、3ページ目の人材の話で、地域単位で拠点をつくり、そのなかで大学と周辺にある公設試、産総研等とのネットワークを強化していく施策を推進したい。

  • 委員

    産業界が望む人材と大学が生み出す人材とのミスマッチはあるが、教育は人がいるので、社会ニーズに応じて急に変えることは困難。一番簡単で効果的なのは、大学の外で様々な県と協力してカレッジや講座などを作ること。経済産業省が音頭をとって、この講座化はぜひ進めてほしい。

  • 委員

    企業を取り巻く金融市場は非常に短期的視点で動いており、イノベーションに必要なリスクを伴う長期投資に対してはかなり評価が低くなっている。ロングタームの研究開発投資を可能とするインセンティブの一つとして税制があるが、さらに踏み込んでエンジェル税制を含めて企業に適用できるようなものを検討してほしい。

     また会計制度の問題として、研究開発費を営業利益に直接響く損益計算書で処理するのは分かりやすいが、例えば貸借対照表に勘定して何年かで償却するようにできればまとまった研究開発投資も行いやすくなるので、その辺りも検討いただきたい。

     アメリカでは、大きな製薬会社もロングタームのリスクはとらず、バイオベンチャーを買い取るシステムができているが、日本ではベンチャーがなかなか育たない。リスクマネーを供給するファンドが小さいことが主な原因。日本で投資余力があるのは企業だが、企業にはエンジェル税制の恩恵が及んでいない。企業がベンチャーを育てたり、ベンチャーからテクニカルトランスファーを受けるにあたって配慮してほしい。

  • 委員

    従来の研究開発プログラムとイノベーションプログラムとでは、仕組みが異なるべき。研究開発プログラムの場合には、優秀な研究者に資金を渡せば後は研究者が頑張るという比較的単純なスキームで済んだのだが、イノベーション政策を展開するためにはマネジメント部分を圧倒的に強化しないといけない。例えば資料3にある「エコイノベーション推進革新プログラム」も、従来のように企業に研究費を渡して終わりというセンスではなく、NEDOのなかにイノベーションを担当する強力なマネジメントシステムを導入しないとうまくいかない。

     またイノベーション人材については、今の理系に進む学生たちでイノベーションに取組もうという意識を持つ人は多くない。彼らにインセンティブを与えて、最終的には産業界で頑張ってくれるような高度な人材を養成するところにつながるプログラムが、本来あるべき人材養成プログラム。アカデミックなテーマに取組むために大学院に入ってきた学生を産業界に派遣して1年ほどインターンシップをやってもらうのではうまくいかない。産業界で働く意思を持った学生を大学院進学の段階でつかまえ、あるいは増やさないといけない。そのためには大学に対して産業界からテーマを提示して、そのテーマに取組む学生には例えば奨学金などを与えながら、テーマになじんだ企業に就職していくというミクロレベルでの橋渡しを考える必要がある。

  • 委員

    医学系の知財本部では、よろず相談的な個別相談が重要。届け出機関といった性格では、先生が論文を出した後に特許事務所で特許を出すといった形になるため、実施例が少なかったりして広範囲を網羅できていない特許が出てしまう。企業の特許部のように、特許を取る前に研究者とディスカッションしながら戦略的に特許範囲を広げる橋渡し役の人が医学系にはいない。先生と議論し追加の実験もお願いしながら、範囲を広げてから特許を出しているが、そうすると製品化に近づいたり、実施例が増えるので、特許が成立する確率も高くなる。

     総合大学にも知的財産本部整備事業はあるが、もともと工学系から始まったもので、医学系の先生にとっては相談に行く場所よりも、届け出の場所という意識が強い。受託研究につなげるための特許の取得や、特許範囲を広げるための特許マップの作成といったお手伝いをする人材が医学系先生の近くに必要で、特に競争的資金にまで渡って医学系先生の相談に乗れるような人の手当などが重要。

  • 委員

    イノベーションに向けた技術の融合には、マネジメントをする人材が重要。企業であればプロジェクトのマネージャーにお金を落として、アウトプット、アウトカムを考慮してメリハリをつけて個別技術のところに予算をつけていく。何をつくるかが先にあって、それを実現するためにいろいろな技術を融合していく、将来はこのような仕組みにもっていくべき。

     また理系人材育成については、特に小学生の理系教育が重要。今6歳の子供たちが産業界で第一線に立つのは20年か25年後で、今のうちから子供たちの教育を充実させてほしい。その教育内容も、理科や数学の授業だけではなく、自然体験をさせたり実験をさせたりして、驚きや好奇心といったものを育むような方向にもっていってもらいたい。

     大学と産業界とのミスマッチを解決するには、さほど時間をかけず実現できるインターンシップがよい。変化の早い技術情報を学と産が共有するためには、人が同じ場にいることが大切。

  • 委員

    電子機器なり電子部品について顧客と話しをしたときに、従来は性能や値段の話が最初に出てきたのだが、昨年頃から消費電力の話がまず出てくるようになった。その意味で、「エコイノベーション」はテーマとして非常によかった。

     今回IT分野では、概算要求で「グリーンIT革新プロジェクト」を新規に立ち上げ、ドリームチップやナノテクに取組むということで適切なテーマ設定だと思うが、問題は規模と進め方で、全体としてどのくらいの大きさでどのような成果を出そうとしているかという、いわゆるプログラムマネジメントが適切になされることが重要。実施拠点については、本来このような大きさの事業は産総研がリーダーシップをとり、必要に応じて所内にファシリティもつくって産学と共同で実施するもの。

  • 委員

    「地域イノベーション協創プログラム」にある「イノベーション創出共同体」は地域ごとにできるのか。

  • 事務局

    現在その範囲を議論しており、できる限り柔軟に運用したい。

  • 委員

    現状の施策をみるに、リソースを協働運用できるような体制整備、コンサルティングや技術指導あるいは情報提供などということで、来た方々に便宜を提供する待ちの姿勢がみえる。もう一歩進んで、地域共同体ごとにイノベーションへのロードマップ、プログラムをそれぞれ考え、それにあわせてこの産学連携研究開発費の74億円などを重点的に使うのがよい。

  • 委員

    研究開発プログラムのなかに「安全」が表に出た課題があるべき。

     また人材のミスマッチについては、大学と産業界のミスマッチはある程度対応が図られているものの、産業界のニーズと大学志望動向とのミスマッチには手が打たれていない。産業技術の国際競争力強化を図る視点からは、特にイノベーションを担う人材のミスマッチ対策は、依然迫力を欠いている。

  • 委員

    中小企業の現場では、支援制度を活用する企業としない企業とが歴然と分かれている。専門家派遣による特許支援など、制度の利用につながる支援を広げていかないと中小企業が二極分化してしまう。

     もう一点、中小企業では今非常に経営環境が厳しいため社員の処遇をなかなか改善できない。このままでは大企業と中小企業で人材格差がますます開いて、中小企業がサポーティングインダストリーとしての機能を果たせなくなってしまう。例えば研究開発税制の控除額を大企業と中小企業で変えているように、資格取得者などに条件を付けて個人の税制面でも何らかの差をつけるようなことができないか、検討をお願いしたい。

  • 委員

    イノベーションにも様々な種類があるが、地球環境の問題など我々の置かれている様々な制約のなかでそれをどう克服していくのか、エコイノベーションという方向性を明確にした点を評価したい。ただエコイノベーションを進めるには様々な方法があって、技術開発だけではなく、税制や規制改革等の問題も重要。今後の課題として、全体の方策をトータルでとらえながら、エコイノベーションに係る技術政策をどう位置づけていくのか考えるべき。

  • 委員

    様々な施策があるが、概念を整理すべき。人材育成にしても、社会人が大学に来る社会人ドクター制度がある一方で、インターンシップ制度もかなり始められており、これらは双方向の制度ということでペアとしていかに活用していくのか整理が必要。

     またイノベーションを支える人材の育成については、課題解決型の研究を志向している大学も多いので、そこがイノベーション人材の育成を担うといった整理もある。間接経費を使った人材育成もよいが、大学としては間接経費という一つの言葉で受けても、使い方には非常に様々な制限なり問題があり整理すべき。

  • 委員

    資料5-2にある概算要求の概要では、喫緊の課題に対してどのように答えるかがみえたほうがよい。喫緊の課題の一つとして、格差問題があるが、大企業と中小企業、都心部と地域、あるいは正規社員と非正規雇用社員の格差といった問題に対する政策のポイントがほとんどみえない。

     またイノベーションを担う産業技術人材の育成について、アメリカではポスドク等の学生にMBA、MOT的な教育をあわせて行うことによって産業イノベーション人材を育成することが進んでいる。既にバイオ分野、IT分野、ナノ分野では、エンジニアリングスクールよりもむしろサイエンススクールの出身者がビジネスを始める場合が多く、その人たちにダブルメジャーとしてMBA的な教育を施すことは必然性があるので、その辺りの事情を参考にしてほしい。

     資料5-2の4ページに「地域の総力を結集したイノベーションの創出メカニズムの整備」とあるが、これまでの文部科学省の知的イノベーションや経済産業省の産業イノベーションとの連携プログラムの一つという理解でよいか。

  • 事務局

    本件は知的イノベーションや地域産業クラスターなどと発展的に積み上げていく方向で検討を始めている。

議題3 研究活動における不正行為への対応について

事務局から資料に基づいて説明。出席者の発言は以下の通り。

  • 委員

    調査委員会設置とあるが、どのような形態か。

  • 事務局

    不正行為を行ったと思われる研究者が所属する機関で設置するとの記載があるが、その調査委員会には、当然その研究の中身の分かる者が入り、逆に利害関係人は入ってはいけないこととなっている。今後具体的な要件を決めたい。

  • 委員

    研究者の倫理に関する意識改革への働きかけが重要。その意味で学術会議が倫理指針を出しているが、いずれも研究者が対象で技術者が抜けており、現在のところ双方の共通意識はない。3年ほど前から、機械学会、化学会、電機学会等の大きな学会10つほどに加え、日本技術士会と工学アカデミーで「技術倫理協議会」を立ち上げたが、分野ごとに対応の差が非常に大きく、対応していながら逆に科学技術に対する社会の信頼をそいでいく面がある。産業技術全体についての倫理指針といったものもいずれ取り上げてほしい。

議題4 産業技術分科会報告書とりまとめについて

事務局から資料に基づいて説明。出席者の発言は以下の通り。

  • 委員

    産業界を巻き込み、さらに社会を巻き込んで、産業と社会のイノベーションをともに起こしていくには、政策はダイナミックモデルの枠組みであるべき。ダイナミックモデルは4つほどポイント(ビジョン、システム、アクター、インセンティブ)がある。まずは全体を統合するビジョン、次にそのビジョンを具体化するシステムや制度が必要。ここまではスタティックであるが、さらにダイナミックにするには、だれが取り組むのかアクターを特定しなければならず、1人ではなくある種のアクターネットワークといったものが想定されないといけない。そして、アクターの作動、働きが互いにつながっていくようにインセンティブループが必要。

     今回まとめた内容は、アクターはある程度特定されており、その間のインセンティブがつながるようにしようという工夫も個別にはみられるが、全体としてこのようなダイナミックモデルの枠組みで政策を組み立てるとスムーズに流れていく。

  • 委員

    概算要求は事業が個別にばらばらになっているが、「エコイノベーション」という概念が新たに出てきたのであるから、そのねらいや考え方、国の方向づけについて受け手側が理解できる形でまとめるべき。特に「アジア・世界への発信」は非常に重要で、国力、競争力を高めていくのであるならば、概算要求の内容とは別に発信すべき。

  • 委員

    ゼロエミッションの一環として、資料7-2の6ページ目のヘディングに「社会インフラの変革」とあるが、社会インフラの範囲は、三位複合型の地域開発事業や住宅屋根の一体型事業などの国土交通省マターとオーバーラップする。具体的には太陽光発電や水素、石炭ガス化といった要素的なインフラの整備を内容とするもので、経済産業省が現在管轄する分野に納めてあるものの、長期的に産業構造をどのように動かしていくかということに視点を置いて、現在足元をしっかり固めているこの要素技術をベースに、都市計画あるいは社会インフラのあり方に対して言及しているといっても過言ではなく評価したい。経済産業省が内閣官房都市再生本部や国土交通省といったインター省庁をうまく巻き込む形で展開することを期待する。

  • 委員

    日本は少子高齢化社会を迎えるなかで資本装備率を向上させていかなければならないが、社会インフラのなかで一番遅れているのはライフサイエンス分野で、ここには社会的コストをカットする大きな余地がある。例えばアメリカではヘルスケアのITシステム化を国の競争力を高める次の大きな事業にしようとしており、日本でも社会インフラという面で、経済産業省が他省と協力して考えてほしい。

以上

 
 
最終更新日:2008年12月16日
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