経済産業省
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審議会・研究会

産業構造審議会産業技術分科会(第4回)  議事要旨

日時:平成14年8月29日(木)10:00~12:00

場所:経済産業省別館236会議室

出席委員:阿部分科会長、生駒委員、稲葉委員、大星委員、大見委員、柏木委員、黒川委員、小宮山委員、関沢委員、鳥井委員、中村委員、平田委員、藤野委員、古川委員、薬師寺委員

議事次第:

  1. 各小委員会報告

    (1)技術革新システム小委員会

    (2)研究開発小委員会

    (3)産学連携推進小委員会

    (4)評価小委員会

    (5)知的基盤整備特別委員会

  2. 今後の産業技術政策の方向性について
  3. その他

各小委員会報告

  • 【分科会長】

    今までの小委員会の報告についてご意見を伺いたい。

  • 【委員】

    プログラムに関して2点質問がある。まず、1点目は、昨年の議論では今年からプログラムの中にエネルギーを入れることになっていたと記憶しているが、本日の報告の中では、エネルギーは環境関連のプログラムの中に含まれる程度で、大きな柱が立てられていない。いったいどうなったのか。また、あと1点は、本来プログラムは、政策とリンクするものであったと記憶しているが、今回の報告の内容は政策とのリンクが弱い気がするがどうか。

  • 【研究開発小委員会長】

    プログラムにエネルギーを入れられなかった点は、率直に言うと、予算の制約が厳しかったことがひとつの理由。また、政策とのリンクの点は、不十分かもしれないが、基礎研究と応用・開発研究の間のギャップ、すなわち「デスバレー」を埋めるという点で配慮している。

  • 【事務局】

    エネルギーの点につき若干補足すると、当該問題につき経済産業省も資源エネルギー庁と十分議論はした。その結果、先方にプログラムのようにパッケージ的に議論をする必要性を認識させることはできたが、プログラムとして位置付けることには納得してもらえなかった。

  • 【委員】

    研究開発において米国が進んでいると言われるが、米国の強さの根拠は、研究開発の場が世界中に開かれていて、世界の頭脳が自分の能力を最も発揮しやすいような体制が出来ているところにある。当社でも、近年、急成長に伴う人材難から外国人研究者を採用したが、特にアジアの研究者は優秀であったため、今後も採用を継続し支援を強化していく方針。このように、これからの研究開発体制を考えるにあたっては、特にアジアを意識したグローバルな視点が必要。

  • 【委員】

    同感。地理学的からも、アジアが全世界の60%の人口を有し、これから成長する市場であることからも、日本は、アジアに開かれた、アジアに貢献する研究開発体制を構築すべき。そして、一部でいいから、日本に尊敬される研究や大学があれば、どんどん人は集まるであろうし、集まった人をフェアに扱って、能力を発揮した人が上に上がれるような体制を作るべき。

  • 【分科会長】

    とても重要な意見だが、議題2(今後の産業技術政策の方向性)と重複するテーマなので、ここでは一旦議論を打ち切って議事を進めることとしたい。

今後の産業技術政策の方向性について

  • 【分科会長】

    今後の産業技術政策に関し、どのような方向に展開していくべきかについて自由に議論をお願いしたい。

  • 【委員】

    2点ある。まず1点目は、ベンチャーを育てる施策も必要だが、今一番必要な施策は「産業の空洞化」対策であって、日本に量産工場を残すために、どのような研究開発を行うべきかという議論も行うべき。また、もう1点は、日本が今後生きていくためには海外依存度の高いエネルギーと食料を国内で確保していくいことが必要だが、エネルギーはともかく食料の議論がほとんどされていない。日本の食料供給者は零細が多く、2次産業の視点から見て効率や製品の安全性の面での管理体制があまりにも不十分なため、これらの問題点も議論していくべき。

  • 【委員】

    日本のGDPの25%程度を製造業が作り出している事実から、製造業こそが立国の柱であるべき。ただ、先ほど発表のあった経済産業省の施策は、あまりにも重点4分野に集中しすぎており、ITに関連するとか、環境に関連するとかしないと製造業にカネが流れないようになっており、「製造業こそ立国の柱」だという基本が曖昧になっているような気がする。また、昔からある議論であるが、製造立国を目指しているのに、予算枠がたかだか600億円とはあまりにも少なすぎないか。大幅に増額をすべきだと思うが経済産業省はどう考えているのか

  • 【事務局】

    「産業化の空洞化」対策は確かに大切。この点、民間企業に海外生産を禁止するわけにもいかないことから、日本の事業環境が魅力あるものにすることが不可欠だとの認識のもと、各種規制緩和や知的財産戦略などで対応しているところ。一方で、従来の企業のみでは、雇用の受け皿としては小さすぎることは確実であり、新しい産業の創出抜きに「雇用の創出」対策を考えることはできないと認識している。さらに、予算規模の点については、産業技術関連予算で、平成14年度5942億円、平成15年度要求6590億円になったおり、また、重点4分野は、少ない資源を有効配分するための対策であり、例えばプログラムの中に「新製造技術プログラム」が組み込まれているように、決してモノづくりを軽視しているわけではない。

  • 【委員】

    3点ある。まずは、産学連携は確かに重要であるが、本当に実用化を目指した連携がなされているのかは疑問。むしろ、産業界にカネを落とす口実として大学を使っているだけじゃないのかとの印象を持っているぐらい。本来、産学連携というのは、例えば胃カメラの開発のように、こんなものを作ろうとの出口(ニーズ)を明確にして行うべきもの。したがって、プロジェクトの選択にあたっては、かかる出口が見えているかどうかを考慮して行うべき。次に、大学教官としての意見であるが、教官の研究より生じた特許が大学に帰属するという方向性は、大学発ベンチャーの芽を摘んでしまうと思っている。企業等が必要とする技術があったとしても、大学や大学TLOではきちんと契約等のマネジメントが出来ないため、結果として技術は実用化されなくなる。また、特許が教官の評価基準になるということも、「実用化されるか否か」との視点なしにとにかく特許を取るため、維持管理のコストばかりがアップしてしまう結果となる。最後に、ベンチャー企業の取締役としての意見であるが、とにかくいろんな面で規制が多すぎる。研究所をひとつ作るだけで大変だった。また、支援制度を作る際に、本当に制度を使う現場のニーズを汲み上げて作っているのか疑問。例えば、ベンチャーの大学施設の利用についても、そもそも大学側に提供できるような場所があるとは思えない。

  • 【委員】

    5点ある。まず1点目は、フォーカス21は既存のプログラムとの関係を明確にした上で、誰が「ビジネスにつなげる」という責任を取るのかを明確にしておくべきということ。2点目は、ベンチャーの創出は大切だが、上手なベンチャーの辞め方まで勉強をしておくべきということ。3点目は、大学の施設整備について、ノーベル賞や科学技術振興調整費をもらっている大学が優先的に整備されるようになっているが、その優先整備の判断は、例えば経済産業省など他省からの予算も考慮するとともに、もらった資金をきちんと社会に役立てているかとの視点も併せて総合的に行うべきということ。4点目は、日本のベンチャー施策は米国をモデルとしていることが多いが、ある人が言うには、米国のベンチャーはバイオやITばかりで、組立等製造業が少ないため、製造業を重視する日本の施策が米国のみをモデルとするのは問題がないかということ。ちなみに、ドイツのベンチャーには機械・材料等の製造業が多いらしい。5点目は、ベンチャー支援策として、研究開発費支援があったが、ベンチャーにとってマーケティングや販売網の支援も大切であって、研究開発費だけでなく、マーケティングや販売網も考慮して総合的に支援すべきであるということ。

  • 【委員】

    まずは質問を1点。経済産業省はフォーカス21で実用化支援をするとのことであるが、先ほど、文部科学省も実用化支援に動いているとの説明があった。これは、支援が重複しているということか。次に、意見を1点。ベンチャー支援において、成功事例が出てくることが必要だが、その事例は国内での成功でなくてもいいのではないか。日本でのベンチャー環境では、技術の目利きや経営のノウハウ等を育成するのに時間がかかることから、成功事例を作ろうと思ってもどうしても時間がかかってしまう。したがって、米国でスタートアップする者を支援して早期にサクセスストーリーを作るのも有効ではないか。現に中国政府は、シリコンバレーで青華大学出身者3000名向けに支援セミナーを実施しており、参考になるのではないか。最後に、コメントを2点。まずは、「産業の空洞化」対策が一番との意見があったが、日本の将来を考えると「ベンチャー育成」も同じぐらい大切だと思う。また、米国ベンチャーはバイオやITばかりで、組立等製造業が少ないため、製造業を重視する日本の政策モデルとして米国モデルは疑問があるとの話があったが、これはドットコムベンチャーをイメージした発言ではないか。実際のところバイオやITは製造業に密接に関わり合いがある。例えば半導体で言えば、自動車等製造品のほとんどにとってなくてはならない存在になっている。

  • 【委員】

    2点ある。まず1点目は、技術はいい金融手法と組み合わさることが重要だということ。すなわち、技術力のみで製品を売り込もうと思っても、結局は値下げ合戦に巻き込まれてしまうだけだが、例えば、分散型発電システムにおいて、顧客に省エネを保証し、設備をレンタルすることで、高コストでペイバック期間が長い製品でも市場に組み込むことが出来るように、技術に顧客志向のビジネスモデルを組み合わせることで、値下げ合戦に組み込まれることを回避できる。したがって、最近の産業技術施策立案における経済財政諮問会議と総合科学技術会議との連携の動きは評価できる。次に2点目であるが、先ほど話に出た研究開発体制をグローバルに考える「内なる国際化」には賛成で、この「内なる国際化」と、規制緩和特別特区構想がうまく組み合わさることが、ひとつのソリューションを導き出すのではないかということ。

  • 【委員】

    そもそも、近年、研究開発施策において戦略的な転換が必要とされているのに、日本全体が従来の発想から抜け切れていない。役所の担当者が勉強して施策のたたき台を作って、有識者に意見を聞きながら施策を作り上げるというような審議会方式では、戦略のコペルニクス的転換は不可能。発想を転換するためには、本当の専門家からなるタスクフォースを作って、その中で十分検討をして施策の方向性をしっかりと固めた後で、いろんな人の意見を反映させるというやり方が必要。また、産業技術政策は本来、今後日本は何で食っていくかという産業政策と完全にリンクしていなければならないはずなのに、産業政策がほとんど議論されていない。例えば、ソフトウェア技術を強化する産業技術施策を検討するにあたっては、ソフトウェアでGDPの何%を生みだし、雇用の何%を受け入れる等の検討は必ず行うべきもの。いずれにしても、根本的に施策に関する発想を転換することが何よりも必要。

  • 【委員】

    確かに、国の根幹のところをどうするかとの話もすべき。この点、日本の「お上頼み」のやり方は冗談じゃないと思う。例えば、TLOに関して、米国では特許はすべて大学帰属にしているが、その運営は各大学によってさまざまで、各大学の創意工夫に委ねられている。そしてこの創意工夫がTLOの成功につながっていると思われる。ところが、日本では、特許の帰属など形だけ米国の真似をしても、結局各大学は創意工夫による自主運営することなく、多分いちいちお上に相談することになる。こんな運営でうまくいくはずがない。各大学の援助手法も、税制であれば大学に創意工夫のインセンティブが生まれるが、補助金ではおかしくなる。

  • 【委員】

    確かに、国家戦略を本気になって作らなければならない時期にきている。各企業は自社の事業目標、国はどの分野でGDPの何%ぐらいを稼ぎ出すという目標を決めたうえで、これを達成するための政策を考えるというやり方が必要。例えば、知的財産のある分野でGDPの何%位稼ぐという目標を立てた場合、当該分野の特許をすべて日本で押さえることは不可能であるなら、足らない部分を海外から価値が上昇する前に買い取ってしまうことが必要。また、そのためには技術の目利きやハードな交渉が出来る人材を養成することも必要。あと、ベンチャー支援に関してコメントすると、出来立てほやほやの技術は、そのままでは世界中どこでも買ってもらえないのは当たり前で、ブランド力のある既存企業との連携があってはじめて買ってもらえるもの。したがって、日本においても、ベンチャーの優れた技術を大企業が見抜いて提携し、率先して世界中を売り歩くような仕組みを作らなければならない。ところが、現状はベンチャーの技授を採用するのは海外の企業ばかりで、日本の技術のリソースが流出している。

  • 【委員】

    日本の技術力はある程度高いレベルにあると思う。その高い技術レベルのポテンシャルを維持するという先進的な発想からの施策も必要だが、一方で開発途上的な発想からの施策をダブルトラック的に行うことも必要。開発途上的な施策はとしては、例えば、権威のない若手研究者の意見を施策に汲み上げたりする仕組みが考えられる。先ほど審議会方式は必要ないとの話があったが、かかる仕組みにおいては若手研究者の意見に国が権威の面でサポートするという意味で審議会方式が最適。また、部分的には思い切って既存の制度を壊してしなう「バーチャルGHQ」のような仕組みも有効。

  • 【委員】

    先ほどの意見に関連してコメントするが、今の日本にとって一番大切なのは「大きな目標づくり」。例えば郵便のシステムを作るとか電気をすべての家庭まで届けるとかいった「大きな目標づくり」は後進国であった時には比較的簡単に作れたが、先進国になった今は作れていない。そして、今後、大きな目標づくりをするにあたっては、GDPの90%を占める国内を中心に考えるべき。例えば、日本は世界のどこよりも早く高齢化社会を迎える訳だから、高齢化社会に対応したシステムづくり等が考えられる。これらのシステムが普及して世界のデファクトになれば、産業競争力強化にもつながる。ただ、これらの目標は、通常、単独の省庁の守備範囲を超えたものになるが、現在の役所の縦割りシステムは問題。各省庁の強い連携が望まれる。

  • 【委員】

    そもそも、国が支援している研究開発のテーマを見ていると、とても実用化できそうなものがよく含まれている。これでは、成果が出ないのはあたりまえ。とにかく「企業化」とか「産業化」という言葉さえ入れれば支援が受けられるような仕組みになっていないか。この点、バイオ分野に関して、米国のNIHによる資源配分方式は参考にならないか。日本ではNIHの役割を産業総合研究所に与えるというのも一案。

  • 【分科会長】

    時間の関係でここまで。

その他

  • 【事務局】

    次回分科会の開催日程は後日委員各位に連絡することにする。

※なお、本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、委員各位の了解を得ていない。

以上

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最終更新日:2001.08.31
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