経済産業省
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産業構造審議会地域経済産業分科会工場立地法検討小委員会(第1回)‐議事録

平成15年9月11日
地域経済産業政策課

日時:平成15年9月11日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省別館526会議室

議事次第

  1. 開会 略
  2. 地域経済産業審議官挨拶 略
  3. 出席者紹介 略
    (委員長選出:委員から推薦のあった和田委員が委員長に選出された。)
  4. 委員長挨拶
  5. 資料説明(神奈川県、横浜市、事務局)
  6. 討議
  7. 今後の予定について
  8. 閉会

討議

各委員からの主な意見、及び、委員長の発言は以下の通り。

  • 神奈川、及び、横浜の説明によって、地域の実態が明確になったと思う。工場敷地の土地利用規制の考え方や時代の流れの中で工場敷地に限り緑地を設けることをどう捉えるかという論点がある。
    また、国による一律的な規制のあり方や平成9年に導入している地域準則の範囲が十分でないという論点もある。規制緩和の流れの中で民間企業の自主性に任 せてよいという極端な意見もある。国が一律に規制基準を決めるのでなくて地域にまかせて、地方自治体の裁量の拡大をしていくといった視点もある。神奈川 県、横浜市から、緑地率の緩和、既存工場の取扱などについて要望があり、それをどう扱うかという大きな問題がある。自由な論点、問題意識で議論をお願いし たい。
  • 県の資料について質問だが、地域準則が適用されてから、緑地面積を基準の限界でまもっている工場が多いのか。それとも基準以上にゆとりをもった工場が多いのか。
  • 県の中でもかなり地域性があり、京浜臨海部は狭く、県央から西部は大手の企業はゆったりとしている。議論が工場立地法の緑地の規定や規制の解釈の緻密化に陥いると生産的でない。当初の法の目 的があって、公害が深刻であった時代に「緑地がなぜ必要か」について勘案されできた制度であ る。当時の主な緑地の機能は、公害に対する緩衝帯や景観をよくすることなどであった。
    しかしながら、30年経て時代が変わってきて、現在では、ヒートアイランドに対する効果や 温暖化防止の機能など、緑地の機能に新しい観点がでてきた。さらに、これからの再開発では、 産業道路を境に切り離されていた工場地帯を市街地のようなたたずまいにすることも考えられ、 そういった意味では新たな要素も加わってきている。
    そこで、まず自治体が工業地帯の将来像と全体的な緑化計画を立て、個々の工場の緑地を集合 的に捉えられると体系的な考え方ができて、緑地のあり方について議論が積極的になってくるのではないか。
    今日では、市民は立地法を緩和すると緑地が減ってしまうと受け取るので、解釈論でなし崩し 的には進められない。
  • 一つ目に、緑地の機能には、他にヒートアイランドへの効果や生物の多様性の保全などもある。個々の緑地ではカバーできなくても、都市全体の中で緑 地の機能を捉えて集合させると一つの大きな機能が出てくる。そういう意味で、緑地の機能が多様化していて、その役割を明確にすることが求められている。
    明確な自治体の緑地計画があって、個々の緑の位置づけができれば、規制緩和して良いかもしれない。今の状況は、工場だけが土地利用が厳しいのではなく、東大でも教室や実験に面積が必要で周辺に残された緑地帯に建物を建てており、他の土地でもゆとりがない同じ状況だ。
    二つ目に、環境問題は非常に多様化しており、工場の環境配慮も多岐にわたってきている。か つては産業型公害といわれるものであったが、今では都市型、生活型と公害の位置づけが変わってきて、環境配慮の考え方が広がってきた。環境配慮が多岐にわ たり、工場緑地の問題もワンノブゼムになりつつあるので、リサイクルや省エネなど様々な配慮をしている工場では、緑地が多少、代替されていると考えてもよ いのではないか。以上に述べたように、規制の議論を厳しく行 うよりも、枠組みを広げた中で緑地について議論すると有効である。
  • この法の適用を受けている製油所の現場の人間から意見を汲み上げる格好になるが、当然、担 当者は日頃から苦労している。法の制定前から設立された工場がほとんどなので緑化率を達成し ておらず、正直に言って、土地がない状況だ。「どうしてほしいか」と言われれば緩和してもら うしかない。法律ができた時代には、製油所の環境負荷は大きいものであったが、現在は、投資 をして、環境負荷をさげ、自治体と相談しながら限界のところまで努力してきた。運転もコン ピューター制御で限界まで負荷を下げている。
    また、生産施設面積が前提になってすべての設計がはじまるため、工場立地法というのは、現 場の担当者にとってみれば、初めから与えられたもののように感じてしまう。さらに、消防法の レイアウト規制で更に細かく規制をうけていて、「規制が緩やかにならないか」と望む声がどう してもでてきてしまう。むしろ、これから二酸化炭素の排出の削減や省エネルギーを考える時には、運転上の効率的な設備の配置という観点で、レイアウトを トータルに考えていくべきだ。
    私どもの工場は、緑地率はせいぜい7、8%しか達成できていないが、環境の保全を図りつつ といった法の主旨を考えると緑地率を達成してなくても問題が出てきていないので、規制緩和で きるのではないか。以上に述べたように、工業専用地域にある製油所のような場合、トータルで 考えてほしい。
  • 緑化表彰に応募してくる企業は、良い商品を効率よく作るだけでなく、良い環境の中で商品をつくり企業イメージアップを考えているところが多い。従来、良い商品を効率よく作ればよかっ たのが、どういった環境の中で活動しているかが問われる時代になったからだ。
    そのため、規制の緩和について議論するだけでなく、企業が良い緑をつくるためにアシストし たり、お手伝いする発想も必要だ。地域の特性も勘案してあげないといけない。企業が良い緑をつくっていくためには自治体との関係や役割分担も考えないとい けない。この委員会の中で義論を聞きながら考えてみたい。
  • 自治体は、都市計画や将来ビジョンを踏まえて緑地を考える必要性がある。緑の機能は公害防 止や大気の浄化だけではなく、景観の形成、レクリエーションの利用、健康づくり、ストレス解消に寄与していて、さらに生物多様性の保全の機能、ヒートアイ ランド現象の緩和など、環境保 全機能、防災等の多様な機能がある。
    今、地球規模で地球温暖化防止や環境問題を考えている時代であり、工場に緑地の規制がある ことは非常に好ましい制度である。他の所にも規制をつくってほしいぐらいだ。
    先ほど話のあった屋上緑化を対象にすることはよいが、敷地の中の緑地面積を減らさずにプラ スアルファで考えるべきだ。建物周辺の緑地には、防災、景観などの機能があるから、土地の有 効利用としても好ましい。
    昨今の環境と都市の計画をめぐる議論を聞いていると、東京の湾岸部はグリーンベルトを形成 する重要なところと言われていて、ヒートアイランド対策として緑地が重要視されている。海からの冷たい風が通る道として東京湾岸部の土地にオープンスペー スを確保し、緑を増やすことは 重要であり、具体的に担保する場として工場の緑地が必要だ。そういう意味で、工場など人工排 熱が多いところは緑をもっと増やし、熱をミティゲーションして減らすべきだ。以上に述べたよ うに、規制の緩和の方向性だけでなく、広く環境計画を踏まえ、大きな枠組みから議論すべきだ。
  • 全国に主力の工場が5カ所ほどあり、栃木、九州など広大な敷地があるところは基準以上の緑化率がある。しかしながら、既存工場である横浜工場は70年経っていて、緑化率は3%程度し かなく、現実的には法律とのギャップが大きい。基準を守ってニューアルすると、3分の1ぐら いの生産施設をカットしなくてはならなくて、ほとんど操業ができない状況だ。
    これまで、工場を地方に移転するしか方策がなく、九州、いわきへ用地を求めて展開してきた。しかしながら、近年のリバイバルプランでは、生産性の向上を 考えてエンジンを作っている横浜工場に集約していく方向になった。当然、自動車を作っている会社として環境負荷低減に取り組んできた。このように、京浜臨 海部に限ると難しい状況であり、地域の特性をもう少し踏まえていただきたい。
  • 議論を集約して次にいきたい。環境の問題、緑地の意味は広域的に考えていくという議論があった。法自体が個別企業の問題を取扱っており、広域な環境整備になじまないところがある。
    個別の工場の緑地をどう位置づけるか、どこまで期待できるのかといった論点がある。緑地の位 置づけの論点もあった。他の利用との比較を考えるといったこともある。ヒートアイランドの話、地球温暖化など、いろいろな話がでてきた。工場の緑地の維 持、リニューアルの問題、良い緑を作るには何を圧縮できるのかについて考えざるを得ないわけで、規制だけで対応できるというものでもない。大きな観点か ら、緑地に何が期待できるか、どんな手だてがあるのか、緑地の維持、コスト等について、少し議論してほしい。
  • 大きな観点から臨海部のあり方や緑化計画を考える必要がある。
    時代が変わって、工場の公害 については、発生源対策が行われ改善されてきた。また、制限法で工場を地方に追い出していたが、大都市でも工場が存続すべきという議論になってきた。  時代とともに、緑地の目的も変わって公益性がでてきている。そういう意味では、自治体が臨 海部に緑地計画をつくり緑地を確保する場合、負担は工場だけではなく市民も必要である。規制 の側面については、少し、緩和していかないとバランスがとれないだろう。
  • 緑地は、本来、多面的な機能をもつホリスティックなものである。緑地の形態は、ヒートアイ ランドに対応させる場合と、生物の多様性や自然とのふれあいに適応させるのと、街づくりの修 景全体に寄与していくので変わってくるので、自治体にもっと戦略的な緑地計画が必要である。  緑地の負担の問題は難しく、規制緩和して工場の生産基盤を整えていく場合と、生活基盤とし て豊かな環境を整えていくのでは考え方が違ってくるだろう。市民のために豊かな環境を整えて いくのであれば、工場に求められていた負担を市民にも求めていくことを考えないといけない。
  • 負担となると、例えば、増税すれば結果的に市民が負担することになる。負担のあり方を見直 す場合、いきなり自治体負担と言われると少し難しい問題がある。地域における緑地整備には財 政的な負担が伴うものであり、住民、地方自治体等がどのように負担するか全体の資金の流れも 考えることが必要である。
  • 広域に地域の環境を考える発想はあるが、工業振興サイドと環境サイドで意見がわかれること から調整が必要となる。
  • 全体の横浜京浜地区という考え方は、現段階ではそこまで具体的にないが、これから考えなけ ればいけない。
  • 例えば、工場が一定の基準を越えて緑地を作る場合に固定資産税を下げる仕組みを作ると、自 治体は収入減になってしまう。そこで、環境税をまわすとか、石油特会の一部を回すなど、新し い体系の中で維持を考えることが必要である。
  • 京浜臨海部は国の構造改革特区に認定されているのと同時に、横浜市では横浜市型特区として 産業活性化を推進している。今年の予算では、企業がリニューアルする場合、あるいは増設する 場合に助成金を交付することを予算計上した。税金の方も議論してく方向で動いている。
  • 広域的に考えるとは、工場で負担ができないから他に求めるのではなくて、そもそも現状認識 として緑が足りないということだ。東京でも区部のみどり率29%(1998年)を2025年 までに2割程度増加することを目標としており、民間も協力が必要だ。特に臨海部は風上側のと ころは緑地がないと冷たい風をいかしきれないし、都市部の中に風を導かないといけない。この ように、緑地が足りない厳しい状況なのだから、工場は環境倫理の考え方に沿って緑を活用して いく姿勢が必要だし、自治体は緑の大きなビジョンをもつことが必要だ。
    都市計画の中には、「緑の基本計画」のように総合的に都市の緑全体を捉える考え方があるの で、計画をきちんと作ることが大切だ。
  • 私見だが、県には財政的な課題があって、企業が税金を納めてくれないと財政面で影響がでて きてしまう。京浜臨海部には税金を納めてくれる企業が集積していて、リニューアルできないた めに県外に移転されてしまったら、財政面で影響がでる。地方の財政を支えていくためには、地 方の経済が活性化してくれないと困る。
  • リニューアルの問題だが、準則備考の問題が足かせになり、生産施設のリビルドやリニューア ルができないのが現状である。そういった企業が京浜臨海部に限ってはほとんどだ。企業は緑が 必要ないのではなく、その緑地面積率を確保していくために屋上緑化等を含めて考慮していくと 緑化率があがる。実態としては、地域準則の導入で工場のリニューアルが進んでいない。
  • 京浜臨海部の環境負荷の実態を少し整理してみるとよいかもしれない。臨海部はドル箱で、国 税、地方税を合わせると約5,000億円の収入があるが、臨海部に還元される公的資金は少ない状況だ。
    これまで、全体としては市街地部と臨海部工場は切れていて、同じ市域にあると思っ ていない市民もいる。再生を考えていくためには、税金を投じて少し流れを変えて、上手く臨海 部を育てていく姿勢を自治体も持つべきでないか。

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最終更新日:2004年4月1日
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