経済産業省
文字サイズ変更

地球温暖化対応のための経済的手法研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成20年3月27日 8:00~9:45
場所:経済産業省別館3階346第4特別会議室

出席委員

茅座長、足立委員、安部委員、逢見委員、嶋津委員、関澤委員、寺島委員、永松委員、森嶌委員、森本委員、山岸委員、山口委員

講師

高村龍谷大学法学部教授、安本地球産業文化研究所参与、三田アーガス・メディア・リミテッド日本支局代表

講師による資料説明

  • 高村氏による資料説明
  • 安本氏による資料説明
  • 三田氏による資料説明

委員による発言・質疑要旨

  • 排出量取引制度について、国際市場とのリンケージについては、市場が見えやすい先進国だけでなく、将来枠組との関係で途上国をどう取り扱うかが問題。
  • 全球的な排出枠の配分は、近い将来では想像しにくい。各国ごとに整合性のない制度となりうる可能性を認識するべき。
  • 上流型排出量取引制度については、エネルギー安全保障の観点からも、日本での導入は疑問。国民生活や企業活動への影響を勘案すべき。
  • 炭素リーケージにどう対応すべきか考えるべき。途上国に緩い枠をかけるというお話があったが、受け入れられないのではないか。
  • 排出量取引制度全般について、導入によって温室効果ガスの排出削減インセンティブを与えるという議論があるが、実際そうなのかは疑問。欧州の実績を見ると排出枠価格は乱高下しており、かつ投機資金の流入がありえる。そのような状況下では、産業としては温暖化対策のキーとなる革新技術についての投資判断が難しい。社会全体で二酸化炭素を削減するには、例えば運輸等のプラグインハイブリッド等の新技術の導入が効果的だが、一方で他部門での需要は増加する。ここにキャップをかけることで、社会全体のCO削減の取組みを阻害するのではないか。
  • 排出量取引制度は、温室効果ガスの排出削減をする際の方法論の一つにすぎない。制度の導入により、資金フローを呼び込むという視点でも導入に向けた議論が進められているが、温室効果ガスの排出削減効果を重視すべきではないか。
  • セクター別アプローチと、排出量取引制度との関係について議論・評価をする必要がある。我が国と他国の制度との間でリンクの可能性を考えるべき。
  • 排出量取引制度はあくまで過渡的な措置。現場ではどういう問題が起きているか、現場のプロジェクトをきちんと検討する必要がある。
  • 市場メカニズムによる社会問題の解決が、単なるマネーゲームになる可能性に留意すべき。
  • 製造業が強いという日本の産業構造に留意すべき。
  • 排出量取引制度よりも、トービン税のような地球環境税の方が国境を越えた問題である気候変動問題の解決には効果があるのではないか。もっともグローバルなシステム設計が求められることは事実。
  • CDMにより途上国へ資金が移転することを肯定的に捉えられている意見があるが、その資金が温暖化対策にどの程度活用されているかは疑問。
  • セクター別アプローチと自主行動計画が対立する概念であるという話があったが、現在アジア太平洋パートナーシップ(APP)等でセクター別の協力を行っている。その際は商品技術は出さないようにしている。
  • マネーゲームは避けるべき。欧州では500億ユーロの市場だと聞いているが、それでどれだけの二酸化炭素削減効果があったか伺いたい。米国も排出量取引に傾倒しつつあるという話があったが、それは他にいろいろな理由があるのではないか。
  • そもそもの企業経営の理念について、長期的な展望を持った企業行動をするべきではないか。
  • 排出量取引は「汚染の権利」の売買。初期配分は財産権の付与にあたり、問題ではないか。
  • 排出量取引制度のメリットとして、キャップをかければ総量での削減が確実に出来ることがあげられるが、それは幻想。上限を決めても制度としてうまくいかない例はたくさん存在する。どうしたら削減が出来るかを考える方が先決であり、削減を可能にするのは技術。世界全体で技術開発を進めるという観点から排出量取引制度を検討すべき。
  • 京都議定書後の枠組では、現行の政策の評価が必要になる。環境効果、効率性等を分析し議論すべき。
     
(高村龍谷大学教授)
  • 排出量取引制度に限らず、いずれの制度も現実において完璧な制度を設計することは非常に難しい。削減量が実際どうなるか、価格の上下といったご質問があったが、むしろ問題が生じないようにどう制度としてコントロールしていくかの問題だと考える。生じうる悪影響を減らす具体的な工夫を議論すべき。
     
(安本地球産業文化研究所参与)
  • 国際交渉が始まる前に、途上国に総量目標がかかるはずがないとあきらめる必要はない。途上国にメリットを与えつつ、炭素リーケージを防げる制度は、全球的な排出権取引制度しかない。緩い枠を途上国にかけることでより途上国の厚生は上昇すると考える。
  • 税と上流型の排出量取引制度を比較した際、その違いは価格(税率)が変動するか否かが第一。第二は、排出量取引には先進国から途上国への資金フローが生じるが、税は当該国の国庫に納付されるという違い。排出量取引の方が途上国にとって魅力的なはず。
  • 現行の自主行動計画はCDMという効率の悪い仕組みを使った事実上のキャップ・アンド・トレード。いっそのこと、上流型排出権取引を採用すれば、効率性と公平性が同時に得られる。
     
(三田アーガス・メディア・リミテッド日本支局代表)
  • 技術革新は排出削減のためには当然重要。技術で貢献する場合においても、期限や成果を約束すべきではないか。
  • 炭素に価格がつけば、技術革新に対する許容投資額が見やすくなり、有益ではないか。
  • 炭素市場が成立すると、マネーゲームの対象になるという意見があったが、何をマネーゲームとして非難すべきかを再考する必要がる。原油の高騰も往々にしてマネーゲームと言われるが、価格上昇の大部分は世界経済の成長によるもので、投機要因による高騰は極めて限定的と見れるデータもある。実需家以外による取引がなされることは、市場の成熟の条件でもある。悪意のある行為は当然非難されるべきだが、流動性が高い市場には様々なメリットがあることも事実。

文責:事務局

 
 
最終更新日:2008年4月21日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.