経済産業省
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地球温暖化対応のための経済的手法研究会(第4回)-議事要旨

平成20年4月
産業技術環境局

日時:平成20年4月18日8:00~9:30
場所:経済産業省本館17階西1第3特別会議室

出席者

委員:
茅座長、足立委員、安部委員、逢見委員、嶋津委員、関澤委員、森嶌委員、森本委員、山岸委員、山口委員

講師:
諸冨徹京都大学准教授、末吉竹二郎国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問

講師による資料説明

  • 諸富氏による資料説明
  • 末吉氏による資料説明

委員による発言・質疑要旨

  • 排出量取引制度についてであるが、CO2の削減のためなのか、ビジネスの振興のためなのか明確にすべき。
  • 環境税の導入との比較において論点を明確にした方がよい。
  • ジェフリー・サックスの例もあるように、世界でも、単純にキャップをかけたからと言って排出量を一定に抑えられるということに対し疑念を表す声もある。その点はどう考えているのか。
  • 各業種間の割当よりも日本全体の中でインダストリーをどうするかが難点。
  • 遵守のためのメカニズムをどうするか。
  • どの程度の初期割当を行えばデマンドプルによって技術開発が行われるようになるのか。
  • 国際競争力については、マイケル・グラブのデータを使用しているが、彼はイギリスのみのデータを使っており信憑性に疑問が残る。
  • 排出量取引制度はかなり複雑で、早期の検討が重要。
  • EUに学ぶ点は制度を育てていくという姿勢。
  • グランドファーザリング・ベンチマーキング・オークションという割当方法をどのように組み合わせるのが日本にとって望ましいのか。組み合わせの例を想定されているものがあれば御教示いただきたい。
  • 国際競争に晒されるセクターをどう判断するかが重要。無償割当を増やす等の手法を取るのか。
  • 技術や投資が必要なときに資金のアベイラビリティーをきちんと提供していくのが金融分野の非常に大きな役割。
  • 株主による評価基準の中で、排出量や削減対策の有無が非常に重要な役割を果たし、企業は温暖化対策の有無によって、判断されるようになる。
  • 日本の中で仮にカーボン・マーケットができるようになったとき、日本の投資家に何が必要か。アジアの中の日本という視点をもったとき、気をつけなければならないポイントは何か。特に政府はいかなる制度や環境を整備すべきか。
  • 電力部門のCO2排出量が増加したのは、民生部門の需要増大に伴うもの。電源多様化の中で石炭火力が増えているのは事実だが、原子力やガス火力が増え、電力全体のCO2原単位は着実に減少している点を認識すべき。
  • 資源小国の日本はエネルギー安全保障の観点から、クリーン化を図りながら石炭を活用していくことが大事。
  • 自主行動計画に対する批判があるが、企業は社会的責任の下に取り組み、結果について社会が評価するという企業にとって一番評価が厳しい仕組みであり、非常にインセンティブがある。マイナス3.5%と実効面でも効果有り。
  • 公平な割当という観点からはグランドファザリングにもオークションにも問題あり。排出抑制への実効性という観点からも疑問あり。国際競争力の確保の観点から影響緩和措置が執られると更に実効面で骨抜きになるのではないか、との懸念あり。
  • 排出量取引を考える際に重要な点は実際に排出量が削減されることだが、排出量取引市場を巡っては、市場の健全性やリスク等々様々な課題が指摘されている。技術革新に本当に資金が回っていくのか疑問。実際の削減につながるのは革新的技術。
  • 電力部門のCO2排出量の伸びが指摘されたが、これは業務・家庭部門の消費が伸びているからであり、消費者の使用量を減らすには排出量取引よりも環境税の方が効果的ではないか。
  • アメリカでは、排出削減ではなくて国際金融で金をどこに入れるか、という視点から排出権の話が動いている。今後アメリカでは欧州よりも排出権取引の話が進んでいくと考えられ、日本はこの流れにいかなる論理で対抗するかが重要。
  • 公平な目標はいかにしてできるか。
  • 排出量取引を導入した結果、世界一エネルギー効率のいい日本の製造業はいかなる形で報われるか。
  • 業務・家庭は問題なく、産業が問題との指摘にみられるように、国の目達計画は誤っているのか。
  • 排出量取引はいかなる点で経済的に効率がよいのか。
  • 理論的に価格安定してマーケットが導き出されるのか。実証されているのか。
  • 公平な初期配分の時にかなり大きなトップダウンの決定がなされたとして、これはどのような形で受け入れられるのか。
  • 排出量取引の効果は家庭部門にはいかように及ぶか。
  • 簡素なマーケットをつくるとき、グローバル金融の中で出てきた貧富の差の拡大が起こらないか。またそれを是正する方法はあるのか。
  • 排出量取引に関する金融がビジネスとして成長するのか。
  • 産業界全体で業界にかかわらず同じ割合で削減をするのか。割当方法として、グランドファザリング、ベンチマークやオークションを如何に用いるか。
  • 税と排出量取引のポリシーミックスをどうするか。
  • 日本の製造業を守るためには、排出量取引や税についてどのように制度設計すべきか。
  • 排出量取引を導入したらすぐに有効に働くと考えるのは無理がある。時間のファクターを相当に考慮する必要がある。
     

諸富准教授

  • 排出量取引を導入した場合各産業にいかなる影響が起きるのかを信頼できるモデルを作ってシュミレーションすることは重要。
  • 業務・家庭、運輸部門の排出対策に注力する上で、産業セクターについては排出量取引を導入して量的に排出をコントロールすることが重要。
  • ディマンドプルとオークションにより生まれる資金の投入の両方により技術開発は促進される。
  • 排出量取引をいれた場合にどの産業にどのような影響があるかを議論すべき。産業の国際競争力に配慮した制度設計を考えたとき、オークションの比率が高まるほど配慮の必要性が発生するといえるだろう。
  • 上流で税をかけておけば、転嫁され、そのコストが下流で還付される。
  • 国際的に公平な目標の配分を実現するには、セクトラルアプローチを参考情報として使っていって、各国間で公平な努力の配分をする1つのベースにすればよい。
  • 投機の問題があることは理解するが、排出量取引をやめることにはならない。メリットを考慮した上でデメリットの対処を考えるべき。
  • 確かに時間の問題はあるが、排出量取引を導入することで長期的には日本を低炭素社会へ導くと考える。
     

末吉特別顧問

  • 排出量取引の導入は、ビジネスのためではなく、温暖化対策のため。実際の排出削減につながると考えている。
  • 税と排出量取引については、両方に非常にキャパシティーがあり、二者択一ではなく、組み合わせることが必要。
  • いろいろと厳しい政策をとっていって、実際に温暖化が起きなくても、リグレットポリシーでも結構。予防原則で動くことが非常に重要。
  • 資金のアベイラビリティーのために金融が何をやるかが非常に重要。日本の投資家に必要なのは、温暖化に対し世界と共通の危機感を持つこと。
  • 石炭火力を敵視しているのではなく、欧米の市民社会の声を受け、大金融機関は、クリーンにたくようプレッシャーをかけていることを指摘した。
  • 自主行動に関しては、一方では公的性格が強いといい、他方では企業の自主性をいうのであれば、外国人株主にわかりにくいことになる。
  • 投機と制度は別物。いかなる制度でも投機は起こる。
  • 実際の削減につながるかは、キャップのかけ方、他の制度とのポリシーミックス、全体の制度設計による。
  • 世界は、企業に対して、事業という入り口での規制、消費者という出口のところでの規制と、両面でのコントロールを強めるであろう。
  • 排出量取引は、排出削減について経済的コストが安い。
  • マーケットはプロジェクトへの投資資金の回収とともにその経済効率性を高める手段でもある。
  • カーボンビジネスは発展途上国にお金が貫流する一つのコンデュイット。
  • マーケットがサブプライム問題で動揺していても、環境(排出量取引)に関する分野への資金の流入はちゃんとある。
  • 製造業を守ることは大切だが、世界の中での規制を十分考える必要がある。排出量取引は、ICAPの動きにもあるとおり、世界共通の制度になっていく。
  • 時間のファクターは大切。これから5年、10年の我々のものの考え方をどう変えていくかが勝負。市民や消費者の目がかわれば、その上に乗っている経済や個別企業は大きな影響を受けざるを得ない。

文責:事務局

 
 
最終更新日:2008年5月19日
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