経済産業省
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審議会・研究会

総合資源エネルギー調査会鉱業分科会レアメタル対策部会(第3回)  議事録

平成16年5月28日(金)

【深海部会長】
定刻になりましたので、ただいまから総合資源エネルギー調査会鉱業分科会第3回レアメタル対策部会を開催させていただきます。
早速でございますけれども、審議を始めたいと思いますが、皆様のお手元に、座席表と目次の後に、議事内容が3枚目に付けられておりますので、それに従いまして今日の審議を始めさせていただきたいと思います。
本日は、オブザーバーといたしまして、私と同じ側の端でございますけれども、社団法人日本メタル経済研究所統括主任研究員の近藤敏様に御出席いただくことにしております。後ほど、議事次第にございますレアメタル備蓄の費用対効果につきまして近藤様より説明をいただくことになっております。
それでは、委員の皆様方、そして、オブザーバーの近藤様、よろしくお願いを申します。
それでは、審議に入ります前に、委員の交代がございますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【沖嶌補佐】
社団法人日本電子材料工業会常務理事であられました柳生光弥委員が今般、靍間満生様と交代されております。今後、靍間様に本部会の委員として御参加いただくということになりました。
なお、靍間委員におかれましては、鉱業分科会会長からレアメタル対策部会委員への指名が既にあったということを皆様に申し添えさせていただきます。
以上でございます。
【深海部会長】
それでは、靍間委員、よろしくお願い申し上げます。
【靍間委員】
よろしくお願いします。
【深海部会長】
それでは、資料の確認をお願いいたしたいと思います。これも事務局からよろしくお願いします。
【沖嶌補佐】
お手元のほうにお配りしております資料でございますが、座席表及び配付資料一覧と記した紙がございます。各資料、それと議事次第及び委員名簿、あと、資料1、2、3につきまして右上のほうに番号を付してございます。以上御確認いただきまして、もし何か不都合がございましたら、どうぞ審議の途中でも御遠慮なく事務局のほうに申し出てください。
以上でございます。
【深海部会長】
それでは、初めに、前回行いました、5月11日でございますけれども、第2回レアメタル対策部会における議事要旨が資料1として配付されていると思います。これにつきまして事務局から御説明をお願いいたします。
【沖嶌補佐】
第2回レアメタル部会の議事要旨を事務局として取りまとめてございます。本日、議事の関係もございますので、間違いはないと思いますが、仮に修正や御意見等がございましたら、6月1日、来週火曜日でございますが、事務局のほうまで御連絡いただければと考えております。
以上でございます。
【深海部会長】
事務局から今、皆様に御説明がありましたように、特に御異論がないようでございますれば、第2回レアメタル対策部会の議事要旨につきましては、もし何かございましたら、御連絡いただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
それでは、議事次第を御覧いただくとございますように、(2)のレアメタル備蓄の費用対効果につきまして、先ほど御紹介させていただきましたけれども、本日、オブザーバーとして御出席いただいております近藤様のほうから説明をお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
【近藤オブザーバー】
今御紹介に預かりました、日本メタル経済研究所の近藤と申します。よろしくお願いいたします。恐縮ですが、座って御説明させていただきます。
それでは、資料2に基づきまして、レアメタル備蓄の費用対効果について御説明させていただきます。
レアメタル備蓄の費用対効果につきましては、鉱物資源課さんと、(独)資源機構のほうと、それから我々メタル経済研究所のほうで、実際には(独)資源機構のほうから委託を受ける形で昨年度からずっと研究を進めてまいりました。研究の過程においては実は縄田先生に随分いろいろと御指導を賜りまして、今般、全体がまとまったという次第でございます。
それでは、中身について御説明させていただきます。
1ページでございますが、費用対効果の定量的把握に係る基本的考え方でございます。(1)につきましては、レアメタルの備蓄に係る国民経済面の分析と申しますのは、実は過去には何度かやられております。ただし、過去にやられた分析と申しますのは、例えば最新のものは平成12年度のレアメタル対策分科会のものですけど、レアメタルが非常に大きな供給障害を起こしたときに一体どのくらい日本のGDPが減少するのであろうかということを、産業連関分析とか、あるいは線形計画法といった手法を用いてモデル計算をするといったものでございました。こういった分析は、非常に重大なニッケル等、あるいはレアメタルの供給障害が発生したら非常に大きな影響を日本経済が受けるということをかなり定量的に把握できるわけですが、ただ、今回問われているのは費用対効果でございまして、簡単に言えば、効果のほうはある程度分かるんだけど、費用対効果という意味では決して、大きな供給障害が起きたら大きな経済的影響があるよというだけでは直接的な答えになるものではないというふうに考えられます。
そこで、今回は費用対効果というのを直接数量的に出そうということから、レアメタル備蓄というのは基本的には緊急時に放出される。放出された場合にどのくらい一体、国民経済的効果が生じるのかということと、レアメタル備蓄を行うために必要な費用、この両方をきちっと定量的に出して、制度そのものの費用対効果を求めるという考え方で計算いたしました。
その次ですけど、じゃあ実際に国民経済的効果というのはどうなるのかといいますと、レアメタルを必要不可欠とする各種の財の生産があるわけですけど、レアメタルの供給障害が起きると当然、その財が生産できなくなるということになるわけです。ただし、レアメタルの備蓄というものがありますと、レアメタルの放出が行われて、その財の生産が回復する。レアメタルは日本の産業連関においていろんなところで使われているわけですが、レアメタルの供給障害が起きると総付加価値額が減るわけですけど、総付加価値額、すなわちGDPというのは総付加価値額のことなんですが、GDPがどのくらい回復できるかということによって測定することができると考えられます。
ただし、ここまでは前回までの分析と同じようなことではあるんですが、今回新たに検討いたしましたのは、そういった回復できる総付加価値額が実際には大きいとしても、レアメタルの供給障害というのはもし仮に極めてまれにしか起こらないということであれば、障害が起きたときの効果が大きいとしても、全体として備蓄の効果は小さいと言わざるを得ないというふうに考えられます。
そこで、こういった一つの確率的な現象であるわけですが、供給障害は一体どの程度の確率で起きるのかを求めて、放出によって回復できる国民経済上の総付加価値額に供給障害の確率を掛ける。ある一定の値に対して確率を掛けるということは一般に期待値と呼ばれるわけですけど、備蓄効果の期待値というものを算出して国民経済的効果を試算しようというのがベースの考え方です。GDPということを考えると総付加価値額の合計であるわけなんですけど、ある特定の財を考えますと、一般に一連の生産連鎖で中間財の生産があって連鎖していって最終消費財になるわけですけど、最後の総付加価値額と申しますのは最終消費財から輸入原料を引いたものとほぼ等しくなるというふうに考えますので、輸入原材料価格が最終消費財の生産額に対して十分に小さい場合は、付加価値額の合計というのはほぼ、最終消費財の生産額をもって考えても問題ないというふうに考えられます。これが効果に対する基本的な考え方です。
それから、費用につきましては、現行の備蓄制度の運用に係るレアメタルの購入資金に係る支払い金利とか、あるいは備蓄倉庫の経費、管理費(人件費を含む)、こういったものを実際の額を用いて計算を行おうという方針です。ただし、今後の物価が上昇するということも十分考えられますので、過去の実績を用いて実質金利を使ってデフレートさせるという形で補正を行いました。
5番目ですが、今回の分析においては、ニッケルを対象にいたしました。なぜニッケルを対象にしたかと申しますと、1つは、備蓄のコストということを考えると、7鉱種のうち、ニッケル1鉱種だけで大体40%強を占めているということで、非常に大きいということが第一です。2番目に、過去の分析はニッケルとクロムについて行われていまして、過去の分析でも対象鉱種になっているということがあります。3番目に、実はこういった定量分析を行うためにはかなり豊富に信頼のおけるデータがないとできないんですが、ニッケルの場合は、LLにも上場されたり、あるいは様々なニュースがしっかり出ているということで、そういったデータが得やすいという、この3つの理由でニッケルを対象鉱種にして分析いたしました。
それから、備蓄効果の分析ということになりますが、先ほど申し上げましたように、本来、ずっと総付加価値額を計算していくべきではあろうかと思いますが、ただ、今回は、ニッケルを含む備蓄物資、クロムとか、その他のレアメタル7鉱種を最も多く利用しているのは、実は自動車産業であります。かつ、自動車の生産額というのは国民経済的にも、GDPは500兆円ぐらいあるんですけど、このうち20兆円以上は自動車ですので、かなり大きなポジションを自動車は占めているということで、自動車の生産額を対象に分析を行いました。先ほど申し上げましたように自動車は最終消費財で、中間財になることはあり得ませんので、自動車の生産額ということで考えれば、これは中間財の付加価値額を全部合計したものとほぼ等しいと考えていいというふうに思います。
以上が基本的考えです。それで、基本的考えで述べましたように、1つは自動車の生産額でまず効果をはかるということなので、2.に参りまして、備蓄放出を行うとどのぐらい自動車の生産額は起きるかについて御説明いたします。
まず、自動車なんですが、自動車、特に現代の自動車は、材料とか部品、これにニッケルを含む特殊鋼、例えば高強度鋼といった、非常に強度を増すために軽くするといったようなところにニッケルを含む特殊鋼を非常に多用しております。一般に自動車に用いられる特殊鋼等につきましては、鉄鋼メーカーさん、特殊鋼メーカーさん、あるいは自動車メーカーさんからお伺いする限り、もう既に自動車を設計する段階から、どのくらいの強度があるのかとか、どのくらいの寸法公差が許されるのか。寸法公差というのは微妙な長さとか厚さとかの誤差ですけど、そういったものの仕様はかなり厳しく決められております。実際に強度が変わったり、あるいは寸法公差が変わるということになると、その部品、例えば厚板にしましても、それをプレスにかけるといったときにちゃんとうまく部品ができないといったような現象が起きます。そうすると、ニッケルの供給統制が起こるといったときに、もしニッケルが手に入らなくてニッケルの成分、含有量が減らざるを得ないということになりますと、同じ材料とか同じ部品を作ることは不可能となるというのが実態であろうかと思います。長期的には設計を変えていって生産プロセスを変えていけばニッケルが少ない自動車というのが作れると思うんですけど、短期的に今作っている自動車についてニッケルが供給できなくなると、その分だけ自動車が生産できなくなるというふうに仮定しても問題ないというふうに考えられます。
そうすると、自動車の生産減少を回復させるために、ニッケルの緊急時、ニッケルが供給障害起きて緊急時になった、放出を行うとなると、その分だけ自動車を生産できるということになります。ここで2つのケースを考えたわけですけど、1つは、今現在、備蓄で保有するニッケルというのは年間消費量の大体30日分ですから、年間消費量の8.5%を持っているわけです。この8.5%全量を放出したときにどのくらい自動車が生産回復できるかというのを考えてみました。もう1つは、全量放出を必ずするというわけではございません。場合によっては全量ではない放出をするケースもあるわけでして、そういったケースの場合で60%放出、年間消費量の5%を放出するといった場合。この2つのケースについて試算を行っております。
なお、後で述べますが、実は年間消費量の5%と申しますのは、過去40年間で最大の供給障害量がほぼ5%であります。そこと合致しているということです。
試算につきましては、ニッケルの国内消費量に占める自動車向けの割合を求めまして、備蓄が放出されたら、当然、その分だけ自動車産業に回るだろうと。そうすると、自動車産業で自動車の生産が回復できるという計算を行っております。
結論は3ページの表のとおりになるわけですけど、現在の備蓄量がニッケル純分で1万2,000トン近くあるわけですけど、これを用いて、国内消費量が15万3,500トン、自動車向けの比率が17.1%というところから計算していきますと、100%放出した場合は自動車向けに2,035トンのニッケルが回る。60%放出の場合は1,221トンのニッケルが回るということになります。これを、1台の自動車当たりどのくらいのニッケルを使っているかという原単位がありまして、大体2.69キログラムという数字がありますので、これで割りますと、100%放出した場合は75万6,000台の自動車が生産回復可能になるという計算になります。60%放出の場合は45万3,000台の自動車が生産回復可能になるということです。これに自動車の単価を掛けてやりますと自動車産業に対する経済効果というのが出てまいりまして、100%放出の場合は1.56兆円ということになります。60%放出の場合は0.93兆円ということになります。さらにこれをGDP、大体500兆円ぐらいですけど、これに対する影響ということで見ますと、100%放出の場合で0.31%、60%放出の場合で0.18%という結果になります。今回はニッケルだけしか分析してないんですが、効果についてだけはほかの備蓄7鉱種についてもこの表のとおり計算してございまして、コバルトだけはほとんど電気・電子に向かっているんですが、クロム、タングステン、モリブデン、フェロマンガン、フェロバナジウムといったところはかなり自動車向けに行っているものが多いものですから、四捨五入すれば1兆円ぐらいの効果が、今、保有している備蓄量であるという結論になっております。
以上がまず最初の、効果がどのくらいあるかということについての計算結果でございます。
4ページに参ります。そうなると、実際に放出されたときの効果というのは分かるわけですが、じゃあ一体どのくらいの確率でレアメタルの供給障害というのは起きるのだろうかということを次に考えます。ニッケルについて過去40年間にどういった供給障害が起きたかというのはほぼ分かっておりますが、このうち特に、過去の新聞、あるいは雑誌、その他いろんな情報、統計等を用いて、どのくらい止まったのだろうかというのが数量で把握できるという供給障害を洗い出すと、ここに書いてある8例になります。8例は全部、事故と自然災害か、あるいはストによって供給障害が起きております。
供給障害が起きた場合について、同じ原因、同じ場所で供給障害が仮に今起きたとしたらどのくらい、日本の今の供給構造でニッケルの輸入が止まってしまうのか、供給障害が起きてしまうのかというのも計算できまして、これで供給障害量というのを計算いたしますと、過去8回の例では、平均が1.6%、標準偏差1.42%というふうに計算できます。なお、最大の供給障害量というのは1967年に起こっているニューカレドニアの自然災害のケースで、もしこれと同じようなことが起きると、今現在、日本で5%ぐらいのニッケル供給障害が起きるというふうに推算されます。
もう1つ、レアメタルの場合はカントリーリスクに対する対応ということがよく言われるわけですが、ニッケルについて見ますと、過去に戦争とか暴動、こういったことでニッケルの供給障害が起きたということは、実際には起きておりません。40年間の間ですね。ただし、我が国は現在、ニッケル供給の41%をインドネシア1国に依存するという状況になっております。そこで、インドネシアが一番のキーポイントになるわけですけど、OECDがやっているカントリーリスク分類というのがありまして、これは、世界中のいろんな、例えば日本で言えば日本貿易保険でありますとか、アメリカのそういった輸出振興関係の金融機関であるとか、そういったところが使っている実際のカントリーリスク分類があるわけですけど、これはAからHまで8段階に分けられておりまして、各国が全部これに分類されています。これで見ますと、一番下がHで、下から2つ目のGというレベルにインドネシアが位置しておりまして、到底、カントリーリスクが低いとは言えないという状況にあります。
そこで、資源機構さんの調査もいただいて1973年から2002年という30年間のデータが得られましたので、Gレベルの国が一体、政治的混乱、先ほど言った戦争とか暴動とか起きる確率はどのくらいあるんだろうかというのを調べますと、501例中2例ありまして、これはどちらも中南米の国で起きている話なんですけど、501分の2ということで、年間発生確率は0.4%ということになります。
じゃあ、政治的混乱に陥ると一体どのくらい輸出というのは止まるんだろうかというのも同じく把握できまして、今回、Gレベルの国だけだと2例しかありませんが、その下のHレベルの国まで入れますと1,680例中53例ぐらい起きていまして、確率はぐんと跳ね上がって、3.2%。Gに比べて8倍ぐらいになるわけですけど、これの53例でどのくらい輸出が止まったかというのも計算してみました。この53例プラス2例、55例について、実際、輸出はどのくらい減るかと申し上げますと、輸出は前年度比で平均57%、つまり43%、その国全体の輸出が止まってしまうということです。その標準偏差は18%という計算になりました。
ということで、今申し上げました以上3つ、事故及びスト、自然災害、カントリーリスク、こういったものが一体どの程度の頻度で発生するのか、あるいは発生した場合、どの程度の影響を与えるのかというのは、一応、パラメーターとして求められます。こういったデータを基にいたしますと、N年間という期間を取って、どこかに必ず供給障害が起きるわけですが、最大の供給障害が起きるのは一体何%になるんだろうかと、こういう確率も求めることができます。ここにつきましては縄田先生の御指導を得まして、事故・スト、自然災害、政治的要因、この3つの要因に分けて、それぞれの供給障害の発生確率というものがポアソン分布という分布に従うとして確率計算プログラムを作成しまして、モンテカルロシミュレーション法という方法で1万回繰り返し計算を行いまして解を求めております。ポアソン分布とかモンテカルロシミュレーション法というのはなかなか聞きなれない言葉なので、6ページで、ポアソン分布というのはどういうものかというのと、モンテカルロシミュレーションについて御説明します。
6ページの四角の中なんですが、確率論の話なんですけど、確率論で何かが生起する、ある確率で生起するという場合に、ある3つの条件を満たすとポアソン分布と呼ばれる確率分布に従うというふうにされています。1つは、低い確率でしか起きない現象ということです。ニッケルの供給障害は別に高い確率で起きませんので、かなり低い確率でしか起きませんので、これに該当するというふうに考えられます。それから、ひょっとしたら起きる可能性がある状況が頻繁にあるというのが2つ目の条件でして、これも、今回、長期にわたってニッケルの供給障害がある年に幾ら起こるんだろうということで1年ごとにその確率を求めていますので、これは1年ごとに十分に頻繁にあると考えていいと思います。それから、3番目の条件は、1回起きたら次また起きやすいとか、事象が互いに相関性があるのか、あるいは独立しているのかという問題があって、ポアソン分布の場合は一応、独立している場合という条件がついています。過去8回のニッケルの供給障害の事例を見ますと、ある年で供給障害が起きると、その次の年に同じ場所・同じ原因でまた供給障害が起きるといったことは1つもありません。したがって、ここも独立性の条件を満たしているのではないかというふうに考えられます。
ちょっと数学的な説明になったんですが、ポアソン分布についてわかりやすい例を挙げますと、サッカーの国際試合、プロのサッカー選手がやる試合は御承知のとおり、なかなか点が入りません。なかなか点が入りませんので、確率的に考えるとポアソン分布に従うというふうに考えられます。これは、2002年のワールドカップ、日本で行われたワールドカップですけど、このときにあるチームは何点入れられたのかというのを観測した実際の頻度、これはポアソン分布の条件を満たしますので、ポアソン分布で当てはめてみて理論計算したグラフというのが真ん中のグラフでして、見ていただければ分かるとおり、ポアソン分布というのはかなり、理論なんですが、理論と現実が非常に高い精度で一致する分布であります。
2番目に、モンテカルロシミュレーション法と申しますのは非常に問題が複雑で、一般に連立方程式でモデルを作るといったところで解が求めづらい。特に今回のニッケルの供給障害の確率というのは、モデルを作ることも大変ですし、初期条件を設定することも大変ですし、一般に方程式を使ったモデルではとても解けない問題なんですが、そういったときに、乱数、ここで言えばポアソン分布に従った乱数を発生させて、実際に数値シミュレーションを行ってやる方法があります。乱数を用いた数値シミュレーションのことを総称してモンテカルロシミュレーション法と呼んでおります。モンテカルロシミュレーション法の場合は乱数で何回も何回もやるということで、非常に多数の繰り返し計算を行うということで、コンピュータを使って繰り返し計算を行います。今回は、1万回繰り返し計算ということで解を求めております。
7ページに移りますが、それでは計算をするとどういうふうになるかと申し上げますと、例えば50年間というタームを取りまして1万回やってみるわけです。要するに1万回の50年間というのを、乱数を用いてある50年間を1回やってみます。ポアソン分布に従って、ストが起きたり、あるいは事故が起きたり、政治的暴動が起きたりするわけなんですけど、1回目の50年、2回目の50年というふうにやってみて、1万回の50年を計算してみるというのが今回のやり方です。これで分布を求めますと、ここにあるグラフ、50年間の最大の供給障害の分布が出てまいります。全部がポアソン分布なのでポアソン分布に非常に近い形をしているんですが、分布の特徴は、大体4%台ぐらいに分布のピークがあるんですけど、先ほどのカントリーリスクが非常に効いていまして、非常に大きな供給障害の後ろまで確率が全くゼロにならなくて、数%、あるいは1%より下というレベルなんですけど、非常に長く後ろに確率分布が伸びるというのが今回の供給障害分布の形の特徴です。したがって、この表を見ると平均が大体4%ぐらいにあるように見えるんですが、実際にこの表の平均値を計算しますと6.56%ぐらいになってしまいます。50年間の最大の供給障害というのは、平均が6.56%ということになります。
8ページですが、こういうふうにやって、10年間ではどうだろう、20年間ではどうだろう、30年間ではどうだろうというふうに計算をしてまいります。それをまとめた結果、5%以上の供給障害が起きる確率と8.5%以上の供給障害が起きる確率をまとめておりますが、表2になりまして、グラフ2のように、もちろん長い時間が経てば非常に大きな事件・事故が起きる可能性は高くなるわけなので、だんだん時間が延びるに従ってどんどん確率が高くなってくる。ただし、このグラフを見ていただければ分かりますが、少し頭打ちになってくるというような計算結果が出ております。
以上が、供給障害は一体どのくらいの確率で起きるんだろうかということのまとめでございます。
次に、効果と確率が分かりましたので、比べる対象のコストのほうですが、レアメタル備蓄の費用につきましては、(独)資源機構さんより提出された実際の数字を用いました。ニッケルについては、過去20年間の購入に係る支払い金利、備蓄倉庫の経費(減価償却費も含む)、管理費(人件費を含む)、こういったものをすべて合計しますと、年間費用は6億5,200万円という数字でございます。
これは現在6億5,200万円なんですけど、今後、物価上昇がある程度あると考えますと、どの程度の物価上昇率を見込むかということになるわけですが、表3にありますように、長期国債の金利というのを実質金利の指標金利と見まして、それを消費者物価上昇率で補正しますと、一番小さいケースで2%ぐらい、一番大きいケースが4%近くとなりますので、2%、3%、4%というのでインフレ率を足して計算をしたということです。
10ページの結論に参ります。頭の基本的考え方で申し上げましたように、備蓄効果の期待値というのを「放出によって回復できる総付加価値(最終消費財の生産額)」×「供給障害の発生確率」で計算します。そうすると、50年間というケースを取ってみますと、100%放出の場合、自動車の生産額の回復が1.56兆円となります。この場合、8.5%以上の供給障害が起きる確率というのは、15.56%と計算できます。そうすると、この1.56兆円に15.56%を掛けますと、備蓄効果の期待値というのは2,427億円というふうに計算されます。
一方、コストのほうはと申しますと、実質金利を最大の4%と見て累積コストを計算した場合、50年間で992億円となります。
したがって、効果が2,427億円に対しコストは992億円という結果になりますので、備蓄効果の期待値が費用を大きく上回り、国民経済的にニッケルの備蓄は費用対効果が大きいという結論になります。これは、50年間ではこうなるということです。
それでは、時間をとって10年から100年までどうなるのかということを11ページのグラフ3に示しているわけですけど、点線で書いている2つの線が期待値でございます。供給障害が起きる確率がだんだん増していくから、こういうふうに期待値が大きくなっていきます。実線で書いてある上に弓反りになっている線は、物価上昇率を補正していますので、こういうふうな上向きの線になるわけですけど、一番上は4%、その次の四角は3%、その下のダイヤマークは2%の実質物価上昇率で計算したということです。これを見ますと、ブレークイーブンポイントと申しますか、累積コストが効果を上回るというのは大体、一番近いケースでも80年から90年ぐらいの間になるという結論になります。
10ページに戻りますが、繰り返しになりますけど、備蓄効果というのは供給障害が起こるかどうかというのに依存する確率変数というふうに考えたほうがいいと思います。ここで備蓄費用と比べておりますのは、その期待値であります。すなわち平均的な効果はこのぐらいだと考えられるという大きさでございます。仮にもしこの期間、10年でも、20年でも、30年でもいいんですけど、ある確率でもし発生しちゃうということになりますと、実際に備蓄効果そのものが発現するのは、全量放出の場合で自動車の生産額1.56兆円、60%放出の場合で0.93兆円ということになります。逆に言えば、ニッケルの供給障害が発生すれば、これだけ日本経済がダメージを受けるということです。
こういった緊急事態に備えるための一種の保険料的に備蓄費用というのは考えられると思いますが、そういう保険料的に考えるとすれば、これはやはり期待値と比較するのが妥当であるというふうに言えます。現状の備蓄費用の水準においては、少なくとも80年から90年の間、その費用を掛け続けるということは十分、国民経済的に合理的であるというふうに言えると思います。80年から90年というのはあくまで現在の経済構造であればということで、80年、90年先に同じ経済構造である保証はありませんので、これは不断の見直しは当然必要だと思います。
それから、この計算というのは、冒頭に述べましたように、なるべく堅めになるように、あまり費用対効果が過大評価にならないように計算していますが、当たり前のことですが、これは自動車だけについて計算してこれぐらいの効果になるということでございまして、ニッケルは自動車だけではございません。例えば、建設用だとか、ステンレスについても、家庭品とか、あるいは電気・電子とか、いろんなところに使われておりまして、もしそちらを合わせて計算すれば、当然、効果はこれより大きくなるというふうに考えられます。
ちょっと長くなりましたが、以上がレアメタル備蓄の費用対効果に関する報告でございます。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容につきまして、委員の方々から、御意見、御質問等々いただきたいと思うのですが、まず、近藤さんのほうからもリファーがございましたように、縄田先生に一応、これを見るというか、アイデア、あるいは御助力・御尽力いただいたわけですので、何かコメント、あるいは補足がございましたら、どうぞ。
【縄田委員】
特に補足することはないんですが、一応、確率的な分布を行って、ちゃんと確率分布も出したという、学者がやっているレベルではありますが、こういった公式の場ではあまりないような結果じゃないかと思います。これから国民の貴重な税金を使うわけですので、こういった分析も今後は重要になるんじゃないかと思います。むしろ、パラメーターの推定が云々とか、御批判はあろうと思いますが、全く空論ではなくて、一応、過去のデータに基づいてあり得るシナリオを考えたということで、むしろほかの委員の方々から、御批判、御意見をいただければと思います。
【深海部会長】
いろいろお世話になりまして、どうもありがとうございました。
それでは、しばらくの時間、皆様方から、いろいろな質問等々も含めて御意見等々をいただきたいと思うのですが、皆様方、いかがでございましょうか。適宜、皆様にお願いしたいと思うのですが、どなた様からか口火を切っていただくといいと思うんですが、いかがでございましょうか。
じゃあ、和気委員にお願いいたします。
【和気委員】
ちょっと確認させていただきたい点は、3.の発生確率のためのさまざまなファクトファインディングの中で、供給障害がどのくらいの期間起こっていたのか。つまり、大体3カ月ぐらいなのか。この議論だと、1年間供給障害があるという、ある種暗黙の前提の中でのコストであるし、ベネフィットなんですね。これを例えば、大体平均的に2カ月とか3カ月間の供給障害の継続期間だとか、そういうものが分かると、ちょっとデータが変わってくるのかなという気もしないでもないんですが、この期間というのはどのように考えた計算なのか、ちょっと確認させていただきたいと思います。
【近藤オブザーバー】
今回、障害期間というのは、実際に事故によって生産がストップした期間というのを把握しています。ですから、例えば流通がおかしくなって長引くことはあり得ると思いますが、今回の計算はなるべく堅めにということで、実際に生産が止まった期間だけをやっております。実際に生産が止まった期間は、手元にデータがありますけど、一番短いケースで0.8カ月、一番長いケースで9カ月、おおむね3カ月から5カ月の間というのが実態です。
それと、期間ということで申し上げますと先ほど申し上げたとおりなんですけど、実際の供給障害量というのは年間に直すと一体何%止まるのかということで計算していますので、障害期間に応じてある量が止まる。それは年間供給量に対して一体何%止まるのかということで計算しています。
【深海部会長】
期間は考慮しているけど、今、和気さんが聞かれたことはそうですね。1年間になべてやっている。
【近藤オブザーバー】
そういうことです。
どうぞ、寺町代理。
【寺町代理】
私も期間のことを御質問しようかなと思ったんですけど、まず質問させていただきたいのは、過去の事故とか自然災害のときに、止まった期間の話は今ありましたけど、その後というのは、必要な量が通常よりも多く入ってきたのか、そういうことはなかったのか、ということを過去の事例として教えていただきたいんです。なぜかといいますと、私、自動車業界から来ているんですけれども、自動車の生産台数がレアメタルのニッケルの減少によりましてこれだけの台数できないという仮定を置かれているんですけど、実は、業界は普通どうするかといいますと、ある程度来なかった場合、その後、量が回復した場合、増産するんですね。要は、そのままの台数が減るということはなくて、あるタイミングで量を増やしてリカバリーしようという作用が働きます。もちろん、生産の能力ですとか、ほかの資源ですとか部品の状況にもよりますけど、必ずしもこれだけの台数が減るとは限らないのではないかなというふうに今の説明を伺ったときに思ったものですから、その辺はどういうふうに考えるべきかということをちょっと質問させていただきたいんですけど。
【近藤オブザーバー】
非常に答えづらい話であって、これは正にミクロの、各企業さんが行動をどうとられるかということなので、そこまでは、現実問題、モデルには反映できないというのが実態でございます。
【寺町代理】
全体の効果と費用の関係はかなりギャップが大きいですから、それだけで結論が変わるとは思っていないんですけれども、そういうことも多少は考慮されたかなと思いましたけど、単純に割っただけの計算という前提での効果の算出だというふうに理解してよろしいですね。
【近藤オブザーバー】
はい。
【深海部会長】
ほかはいかがでございましょうか。
【千原委員】
4ページの(3)でインドネシアのカントリーリスクの話を述べられておりますけど、このモデルの中にこれは入ってないと理解してよろしいんですね。
【近藤オブザーバー】
インドネシアのカントリーリスクはモデルの中に入れております。
【千原委員】
入れてあるんですか。
【近藤オブザーバー】
入れてあります。
【千原委員】
それは日本の特殊事情ということで。
【近藤オブザーバー】
そうです。日本はインドネシアに41%を依存していますので、インドネシアのカントリーリスクを正にこの発生確率のときに計算しております。
【千原委員】
わかりました。
【竹林委員】
この供給障害の量なんですけれども、例えばストをやったり、あるいは洪水が起きたりしたときに、ここで供給が止まった量なのか、それとも全体の生産の量なのかなんですけれども、実際には、さっきの自動車と同じで、供給が止まるとどこからか湧いて出るように物が出てくるというのが普通なんですね。ですから、かなりの部分はコンペンセイトされるというのが実態なんですけど、この計算はどういう前提でやられているんですか。
【近藤オブザーバー】
この計算は、もちろん在庫変動というのは実際にあるわけですが、実際にそこまで考えられませんので、止まった量。実際に事故が起きたら、ある期間、例えば5カ月なら5カ月、そこで生産できなくなるわけですね。明らかに供給が減った量を計算しています。その当時の間にですね。ただ、その当時は、例えば40年前としますと、ニッケルの使用量なんてものすごく少ないわけですね。それを単純にパーセントでやるとものすごく大きくなっちゃいますので、それでやるのはちょっとおかしなことになると考えまして、現在の日本の輸入構造、インドネシアから41%、ほかのカナダとかオーストラリアから何%となっているわけですけど、例えばニューカレドニアでこんな事故が起きて4カ月間止まってしまったと。これぐらいの量であると。パーセントであると。世界供給率は何%と計算して、現在、同じことが起きたとしたら、日本の輸入量は一体どれだけ減少するんだろうかということを計算して、それを供給障害量というふうに定義しております。
【竹村委員】
現実はちょっと違うみたいな気がするんですけど、今、インジウムなんかの場合には、例えば中国の鉱山でもって大水害が起きて供給が止まったということになると、どこからか、その量に見合いの量じゃないんですけれども、値段が高くなる。今まで出てこなかったところから出てくる。こういうような格好である程度の量がカバーされるというのが実態ではありますね。
【近藤オブザーバー】
要するに、デリバリーデーで需給が変動しているときはそういう実態があると思います。実際に供給が少し少なくなっても、在庫がどこかにあれば、そこから供給されると思います。ただ、ここで考えているのは緊急時ですので、物がもう既にないという状況の中でレアメタルを放出するということですから、私としては、在庫があってどこかから出てくるようであれば、それは緊急時ではないわけですから、それは考えなくていいのではないかというふうに思っております。
【北川委員】
ほんとの質問で、統計処理の仕方がよく分からないわけですけれども、発生確率は、4ページに過去の事例が幾つかあって、これを前提にいろいろ確率を求められているということだと思います。ただ、今回の場合は緊急時で、実際に緊急時放出の対象になったかどうかというのは、実際の対象、データとしての対象になるのかなと思うと、最近の10年とか20年間の中で備蓄から実際に放出されたというのはないんですね。ということは、これは、要するに通常在庫ですとか、今おっしゃったように現実の世界で処理されていて済んでいる世界ですから、これがいわゆる今回の緊急時の対象となる確率の対象となるデータとして妥当なのかどうかというところがちょっとよく分からないんですけど。
【近藤オブザーバー】
もう一度御説明しますと、今まで、備蓄制度が発足して以来、実際に緊急時は起きていません。ただ、実は備蓄制度が起きる以前に、これは一番古い例の1967年のニューカレドニアなんですけど、これが一番大きくて、当時の世界生産の7%が止まっています。このときはまだ制度がないわけですから、当然、備蓄は放出されないということになったわけですね。過去40年間の間で、実際には平均で1.6%ぐらい輸入が止まるという現象が起きているわけですね。5年に1回ぐらい。ただ、このデータをもって我々が計算しているのは、ものすごく大きな供給障害が起きるのは一体どのぐらいの確率なんだろうか。要するに過去最大でも5%なわけですね。5%以上の供給障害が起きる確率は幾らあるんだろうか。そういったときに初めて緊急時放出というのが当然なされるんだろうと。あるいは8.5%止まるということですから、例えば日本の消費の2カ月分が止まっちゃうわけですね、完全に。そういったことはあるのか、ないのかということを今回、確率モデルで計算した。これまでになかったわけですけど、今後あるのか、ないのかということを計算すると、過去に1回もないんですけど、8.5%以上の供給障害というのは、これから50年間の間では大体15%の確率でありますよというのが計算結果ということでございます。
【深海部会長】
中村委員、お願いいたします。
【中村委員】
確認だけなんですけど、同じ4ページの確率なんですけど、年間の発生確率は0.4%であるということで計算をされたということでしょうか。それとも、先ほどの御説明でちょっと理解できなかったのは、Gレベル以下という意味が。
【近藤オブザーバー】
要するに、Gレベルの国がこういう混乱に陥る確率を0.4%で計算いたしました。ただ、これは2例しかないものですから、混乱が起きたときにどのくらい輸出が止まってしまうのかというのを計算するに当たっては、実はGよりその下のHのほうがはるかにたくさん事例ありますので、GとHの事例を全部計算して、平均が大体57%に減少してしまう。標準偏差は18%ある。別にGの国であろうと、Hの国であろうと、実際に戦争や暴動が起きたときは同じように確率的には止まるだろうと考えられますので、サンプルを多くして精度を上げるためにHの事例を使ったということでございます。
【深海部会長】
ほかの方々はいかがでございましょうか。どうでございましょうか。まだ時間的な余裕は若干ございますが、よろしゅうございますか。
増田委員は何かございますか。
【増田委員】
特にございません。
【深海部会長】
今井委員はいかがでございましょうか。いいですか。
【今井委員】
結構でございます。
【深海部会長】
そうですか。
どうぞ。千原委員、またお願いいたします。
【千原委員】
時間があるようなので、これに対する感想を言わせてもらわないと、せっかく近藤さんが大作業をやっていただいたのに申しわけないと思いまして。かつ、私のほうはニッケルに非常に関心がある業種でございますので。
供給障害が起こったときにどうかと。過去の例で、我々自体、供給責任を果たさないかんということで走り回ることはあるんですが、おっしゃるとおり本当に緊急時放出をせないかんという事態には遭遇してないわけですね。したがって、遭遇したらこれだけの経済的なダメージがありますよということで一つのモデルとしてこういうことで紹介されているんですけど、これが果たして、簡単に言えば、国民1人1人の皆さん方に説明したときに、税金を使ってやるだけの価値があるんですよという説得材料になるだけの論拠のあるシミュレーションかといったら、正直言って私は、ちょっと無理があるんじゃないかなという気はするんですね。ですけれども、これは自動車業界だけで、これが一つの例であって、ニッケル全体の製造でそれにおけるダメージということを考えたらものすごい倍率になりますので、費用対効果で、もし起こった場合の効果という意味と、それから、10年分の費用を見ようが、20年分の費用を見ようが、このデータから見れば、明らかに効果のほうが絶対大きいと。これは明確な一つの論拠として示されると思うんですけど、だから備蓄に相当の費用を掛けてやっていいんじゃないですかと、そこまでの迫力があるかどうかという点に対しては、私のコメントとしては、ちょっと弱いかなというような気はしますけど、もし起こった場合という保険料的なことで言えば、どんなに費用を掛けてでも効果のほうがはるかに大きいんだと。そういうことは定性的には言えるかなという気はしますね。
【近藤オブザーバー】
非常に身近な例で説明したほうが分かりやすいと思うんですけど、この分析をやってみて感じたのは、備蓄というのは非常に火災保険的なんですね。私は1,000万円の財産を持っています。何かあって火災があるとすれば、私は1,000万円損するわけですね。全財産を失っちゃうということになるわけですね。当然、そうなると私は火災保険を掛けるわけですね。ここで言うと、1.5兆円近く、1兆円近くの損害を日本経済が被るわけでして、1兆円に対して、我々が今回、備蓄で支払っているコストは年間6億7,500万円ということになりますね。だから、私がもし1,000万円の火災保険を掛けるとしたら、私は年間6,000円か7,000円払うということで、もし私であれば、1,000万円に対して6,000円の火災保険料を払うというのは非常に経済的に合理的であるというふうに思われる。非常に卑近な例で申し上げたら、多分そういうことになるんだろうなと。でも、火災が起きる確率は非常に小さいですから、年間100万円取られれば、私は明らかに入らない。合理的じゃないというようなことだと思うんですね。おおむねそういう考え方になるんじゃないかと思います。
もう1つ、こういうリスクは一体誰が取るのかということになるわけですけど、さっきの火災保険の例で言いますと、たくさんの人がそういうリスクにさらされておりまして、それは火災保険という仕組みが成り立つわけですね。対数の法則が働いて、ある人に火災が起きて保険会社が大損しても、ほとんどの人は火災が起きないわけですから、そちらでカバーできるわけです。ところが、レアメタル備蓄の場合は我が国という単一の国が被害を受けるわけですね。しかもそれはあるかないか分からないという状況ですから、これを引き受ける会社というのは本来いないわけですね。民間事業では成り立ちようがない。したがって、国としてやらなきゃいけないということの論拠になるのでないかというふうに考えております。
【北川委員】
今のような論拠というか、物の考え方で、備蓄制度の意義、あるいは効果というのをある意味では明確に示すということになりますと、現在議論されている例えば60日分に対して、財政的な問題からこれを積み増ししないとか、あるいは当面の状況から30日の目標で当面はいいじゃないかとか、こういう現在の制度の運用上行っているいろいろな問題点がこれとの関係でどう整理されるのかということになってくるのではないかという素朴な疑問がちょっと湧くんですけれども、いかがでしょうか。
【深海部会長】
いかがでしょうか、どなたか。
【野口課長】
非常に難しい問題で、効果があるのなら何でも備蓄したらいいじゃないかという意見も一方であるわけですけれども、我々の中で議論をしているんですけれども、金属鉱物、あるいはレアメタルというのは大変多鉱種にわたっておりまして、その中でプライオリティー付けをしながらやっていかなきゃいけないというのが1つあります。
もう1つは、国の予算全体の中でのこの政策にかけるプライオリティー付けというのがありまして、そういう意味で言うと、常にこのために予算を獲得し、なおかつどれに保険を掛けるかというのは、常に精査をしながらやっていかなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。
たまたまこれについては初めて確率論というのを導入いたしまして、千原委員が言われたように、絶対額で言えば、起こった場合のことを考えると備蓄はあったほうがいいし、これまでの効果の分析というのも30%削減したときにはどのくらい被害があるかというような形で、当然、大きい被害があるに決まっているわけですけれども、そこに確率論を導入して、保険料的なコストの掛け方について今回初めてやったわけでございます。これについては、今回初めてということもございまして、より精緻化した形でのものをこれからレベルアップさせていかなきゃいけないと思っていますし、また、その過程で先ほど言った鉱種ごとのプライオリティーがこういった分析の手法で付けられるのかどうかということもトライしていかなきゃいけないかなと思っているわけでございます。あんまり答えになっていませんけれども、最初のトライということで、今後ともこういったことを進めていきたいと思っている次第です。
【深海部会長】
ほかはよろしゅうございますか。何か御意見ございますれば。
よろしいですか。
そうしましたら、部会長としてまた発言をさせていただこうと思うんですが、まず第1点は費用の計算部分ですね。要するにストックを保持しているというところのリシリバーはあるんですけれども、ストックそのものの獲得したお金と、それから、実際に緊急時というのは値段が上がっていると思うので、それを処分したと。これはもちろん幾ら価格が上がるかという問題はあるんだけど、要するに備蓄そのものを放出したら代価が入ってくるわけですね。だから、その分をどういうふうに。これは、例えば2倍になったら放出するとか、そういうことはあろうかと思うんだけど、ここは保持することの費用が掛けられていて、もともと財政資金を投入して買ったわけで、それを放出するんだったら代価が入ってくるように思うんですけれども、もちろん幾らで売れるかということは言えないにしても、そういうようなことから言うと、ここで考えている備蓄の費用はもう少し、そっちを考慮すれば低くなる可能性があるのではないかというふうに思うんです。ですから、定量分析でやれというわけではないのですが、費用のところで、備蓄そのものを持っていて、それを売るわけですから、売った代価というのが入ってくるように思われるんですけれども、この点はどういうふうに考えるんでしょうか。
【近藤オブザーバー】
お答えさせていただきますけど、今回の備蓄の費用に関しては、購入額というのは実は入れてません。購入額に係る金利だけ入れています。購入額があって。
【深海部会長】
備蓄を持つ費用はわかった。だけど。
【近藤オブザーバー】
備蓄を放出するということは、その購入額に対して高い値段で売れるということなので、当然、利益が生じるわけなんですが、そこに。
【深海部会長】
僕は、幾らというんじゃなくて、それも考えれば、さらに費用は少なくなるというリファーが要るんじゃないかと、そういうことで、ここでやることは、幾らで売れるかということはわからないけど、少なくとも緊急時でこんなに物がなければかなり高値で備蓄を処分できるということなので、それを考えるとカレントな費用以外にコストを埋め合わせるある種のゲインがあるかもしれないから、そういうふうにリファーされたらいいんじゃないかと、そういう意味で、これがそういうことをしないからだめだということを申し上げたんじゃないんですね。
【近藤オブザーバー】
保守的にその全体を計算しようというポリシーでやっていましたのでゼロにしちゃったんですけど、部会長がおっしゃるとおり、そういう意味合いはあります。
【北川委員】
若干現実的な議論にお触れになる場合は、為替差損でどのぐらいの。
【深海部会長】
そういう面もありますね。それはそうなんだけど、丸々これが費用になるけど、実はそういう要素を入れると、さらに費用は軽減というか、少なくなる可能性があるんじゃないかと、そういう感じを持ったというのが第1点です。
第2点は、日本のニッケルの輸入構造でインドネシアが41%というわけですけど、その前の段階はもっと低かったわけで、5カ国の集中度という意味から言うと若干は高まってはいるとは思うんだけど、国別の変化があるわけですね。
それから、これは超越的なコメントになるわけですが、ここで確率の計算というのは、50年とか、80年とか、100年とか、150年で、これは、そういう行動とか、いろんなものが変わらないという前提でされていて、かなり変わっているんじゃないか。ですから、これは詳細に検討させていただくと、表1の原単位、原単位は実はここでは意味がないわけですけど、例えば自動車産業におけるニッケルの原単位の過去の変化であるとか、そういうことを考えると、この計算は計算としてはとても意味を持つと思うんだけど、悩ましさがある。なぜかというと、そこで確率計算は、50年とか、100年とか、150年という非常に長期を扱っていながら、それを置かない限り計算はできないわけですから何ですけれども、そういう面で、50年、100年、150年の議論をしているというと悩ましい点があるのかなと思ったのが第2の点です。
第3の点は、この報告書全体を通じて今日の議論を位置付けてみますと、実はニッケルというのは、評価は次のところで出てくると思うんですが、安定的であって、御存じのように平常時売却をしようと。だから、備蓄量は21日でいいという議論が後ろに出てくるわけですね。だから、一番大事でもこれだけだという意味で言えばとっても迫力あるかと思うんだけど、全体のコンテキストの中で見ると、緊急時売却、しかも緊急時で売ったら補足するというような範囲でない鉱種がニッケルなんですね。だから、そういう面で言うと、ニッケルを取り上げたことは意味がないというわけではないんだけど、全体の報告書の中でどう位置付けられるのかなという点がやや気になったんですけど、これは超越的な話でありますので、方法がどうだとか、そういうことではない。
いろいろ議論がありましたように、結局、コストベネフィットを、あるいは費用対効果を数字できちんと出せというのは、ある意味では、ないものねだりとか、そういうことなので、それをできるだけ、縄田先生がおっしゃったように、確率論とか、そういうので、その過程において非常に納得できるものを作られたという意味で言えばとっても意味があることだと思うんですが、基本的にはやはりこの議論も、いろいろほかの先生からも話が出ましたように、ある種、この結果をどう受け止めるかというところに入ってくると何か、ないものねだり的なものを非常にうまく労作としておやりいただいたと、こういう感じがするのですが、縄田先生はどんな感じを。
【縄田委員】
あまり私がいろいろ申し上げると不適当で。
【深海部会長】
どうぞ。せっかく御指導いただいたので。
【縄田委員】
ただ、言えることは、野口課長のあれにありましたように、相対的な評価は可能だと思いますね。じゃあ次に、どの鉱種が重要であるとか、そういう評価は、絶対額はあれなんだけど、やっぱり効果が大きいものと小さいもの、事故の起こる確率と事故が起こらない確率が大きいもの、これはある程度こういう分析でも区別できるので、相対的な評価には非常に有効ではないかと思います。
第2点でおっしゃるようにいろんなネガティブな、便益が小さいんじゃないとか、どこかから出てくるんじゃないかということがあるので、すべて費用側は高目に見積もる、ベネフィット側は低目に見積もる。例えばこれは8.5%にならないと放出しないというシナリオですが、実際の供給障害が起これば例えば5%でも当然放出するわけですが、そういったものは考慮しない。つまり、すべてコストには有利なように、かつ金利も、今まで一定で金利を仮定しないような話でやっていたわけですが、今度は国債の金利等を用いて、しかも4%というかなり高目の金利まで想定しているというので、コストは高目、ベネフィットは低目に。当然、我々もそういう問題がありましたので、そういうふうに考えているということだけは、2点指摘したいと思います。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、まだ御意見があればお聞きしてもいいのですが、今のことで何かフォローする方。
よろしいですか。
それでしたら、次のテーマに移らせていただきたいと思うんですが。
【竹村委員】
ちょっと済みません。
【深海部会長】
竹村委員、どうぞ。
【竹村委員】
今の先生のお話で気が付いたんですけれども、需給の構造は数十年間変わらないという前提なんですけど、例えばタンタルだとかパラジウムなんかはもう、需要の構造も、供給の構造も随分変わってきちゃっているんですね。例えばタンタルなんかの場合には、一時あれだけの大騒ぎが起きて、その後、鉱山が開発されて、しばらくの間、もう供給障害は起きないだろうと、こういうようなことを言われている。それから、パラジウムなんかは、いわゆる多層セラミックコンデンサーの内部電極があっという間にニッケルに代わっちゃって、需要のほうが大きく変わってきてしまっている。というようなことで、この確率論を横展開する場合には、やっぱりそこら辺の需給の構造変化みたいなやつをかなり入れないと安易には展開できないんじゃないかなと、こういう気がいたします。一つの感想ですけれども。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
【野口課長】
そういった供給構造、需要構造の変化というのはなかなか見通せないところがあるわけでございまして、例えばここで100年のオーダーの長期ということになると不可能に近いと思いますけれども、そういう意味で、さっきちょっと私が申し上げたのは、先ほど縄田先生もおっしゃいましたけれども、絶対値の比較ではなくて、例えば期待値とコストの倍率、安全率みたいなのが、ニッケルの場合はこのくらいなんだけれどもタンタルだったら例えばどのぐらいかとか、そういうことをやっていって安全率が高いものから選んでいくとか、そういう手法に今後デベロップしていくと考えていくべきかなあというふうに考えているわけですが、ここの分析でどうしてもニッケルしかできなかったというのは、先ほど近藤委員からも話がありましたようにデータが拾えなくて、確率計算をするための十分なデータが得られなかったということでございまして、今後、そういったほかのものにどういうふうにこれをアプライできるのかというのも検討課題だというふうに思っております。
【深海部会長】
これは、ある意味では初めてこういう数値を出していただいて、それから、確率の計算なんていうのもきちんと入れ込まれたわけでありまして、御報告いただいた近藤さん、あるいは縄田委員に大変努力していただいて、ある種の相対的な比較ということとして見てみますと、初めての意味のある試みができたのではないかと、そういうふうに思いますので、よろしければ、終わりに当たって、皆様から拍手をもって送り出していただけたらいいんじゃないかと、そういうふうに思います。
どうもありがとうございました。
(拍手・近藤氏退席)
【深海部会長】
それでは、次の資料になるわけでございますけれども、大変慌ただしい審議をしてきておりまして、次回の来週の金曜日には中間報告書骨子というのをまとめることが必要でございますので、次に、中間報告書骨子(案)につきまして事務局から説明をいただくことにしたいと思います。
それでは、どうぞよろしく。
【沖嶌補佐】
資料3でございます。来週の金曜日、現在予定している中においてはパブリックコメント前の最後の委員会になるわけで、報告書(案)というのを作成いたします。そのために、その報告書の中に何を盛り込むのか、結論に近い取りまとめをこの骨子の中に入れてございます。
まず1ページでございます。四角の中には基本的考え方を記載してございます。
レアメタルの供給構造は依然として脆弱であるため、安定供給のための対応は今後とも重要であり、備蓄制度はその根幹をなすものである。しかしながら、備蓄制度の創設以来、国際政治情勢や生産の集中状況等の供給構造の変化など、レアメタルの供給の安定性・リスクにかかわる要因が変化していることから、これらを定期的に再評価し、備蓄制度の運営を実情に合わせて改善していくなど、きめ細かく対応していくことが必要である。
という基本的な方針を述べさせていただきました。
そして、今回のこの見直しの位置付け、審議の内容というものをその次に、総合資源エネルギー調査会鉱業分科会の付託を受けて、この3つのポイント、1つは備蓄7鉱種及び要注視10鉱種の需給動向分析と備蓄必要性に関する評価、もう1つは国家備蓄事業の費用対効果、最後に国家備蓄の機動的な放出について審議を行った。
そして、結果につきまして以下から、ポイント、骨子を記載してございます。
まず、1.備蓄7鉱種につきまして。これは第1回の部会におきまして御審議いただいたところでございますが、日本の国内需要、または供給安定性等に関しては、前回調査時(1999年)と比較して2002年の値というものに関しましては、国内需要に関しまして、クロム、タングステンはわずかに減少するものの、他の5鉱種は増加。さらに、現状、中国のレアメタル需要が増大している。中国の需要動向は今後とも国際市況に与える影響は大きいという事象が見られた。次に、供給に関しましては、地域偏在性は総じて大きな変化がないという事象が判断できる。変化がないということは依然高い状況にある。いわゆる安定性は増していないという状況にあると考えられることにおいて、現時点においては、この7鉱種については備蓄目標を維持することが妥当と判断するに至るという結論に、事務局案としてはしております。
あと、今、顕著に見られるような事例の(2)。経済発展の著しい中国における需給の動向、又はIT関連需要が比較的大きなニッケル、タングステン、コバルトに係るユーザー側の技術、これは製品ベースの代替性が1つの例として挙げられますが、及び海外移転の動向、つまり日本の電池メーカーによる中国への進出等、移転等における動向について注視する必要がある、ということで締めくくりたいと思います。
これらは要約でございます。
次に、2.要注視10鉱種でございます。これは第2回におきまして事務局から提示又は審議いただいた点でございます。
要注視10鉱種につきましては、供給安定性、国内需要・IT需要の動向及び代替性について評価を実施しました。前回、これらにつきまして、○、△、×というランク付けをしつつ、点数評価で相対的に論じたところでございますが、その結果、プラチナ、希土類、インジウムについては、相対的に備蓄に係る検討の重要度が増したと認められるということを審議いただきました。
そして、この3鉱種については、現在においては国際価格が高騰しており、直ちに備蓄する環境にはないものの、プラチナについては、投資及び装飾用として国内に保有されているものが高騰時に在庫として、バッファーとして機能し得ることということ。
これは委員の皆さんから御指摘いただいたところを踏まえて記載しているわけですが、希土類につきましては、多種の元素、16種の元素があるわけですが、元素によっては用途がかなり異なってくるという事実。及び希土類、インジウムについては、経年変化に関する技術的知見が不十分。いわゆる保管を行うにおいてもその技術的な問題があるということを踏まえた知見の蓄積というものが必要ということで、これら3鉱種については、リサイクルの動向を含めた詳細な需給動向、又は保管に関する技術的問題等について十分把握する必要があるという内容で記載してございます。
また、その他の鉱種ですが、パラジウム、アンチモン、ジルコニウムについては、代替が可能であり、相対的に重要度が低いと考えられることから、いったん「注視し検討を要する鉱種」から除外する、ということと結論付けたいと考えております。
また、その他の4鉱種につきましては、ここには記載してございませんが、引き続き「注視し検討を要する鉱種」として、今後とも需要動向、供給の偏在性といった追跡調査を実施する。これは、状況の変化がないものですから、骨子としては記載していないということです。
なお、これらプラチナ、希土類、インジウムの3鉱種及び追跡をまだ継続する鉱種についてですが、リサイクル等に関するデータの把握が困難である。備蓄を検討に当たって現状のリサイクルをどのように評価するのかというのは非常にキーになるという前回の御指摘がございましたので、これらにつきまして、生産者、需要者等の協力を得て可能な限りその動向の把握に努める必要があるという形でまとめ上げたいと、事務局としては考えております。
あと、費用対効果につきましては、本日の議論を踏まえてといいましょうか、その議論が行われる前に事務局としては想定させていただいたところでございますが、とりあえず今時点におきましては、(1)としまして、今回どのような分析を実施したのか。ニッケルの国内備蓄を放出した場合に期待される自動車産業に対する経済効果とレアメタル備蓄を行うための必要な費用、この2つを比較検討することによって費用対効果を求めた。
具体的な手法として、又はその結果といたしまして、ニッケルに関しては、国内備蓄の全量分の供給障害が発生した場合、自動車産業に与える影響額は1.56兆円で、供給障害の発生確率、例えば50年の発生確率をしていただいたわけですが、その発生確率は15.56%。この2つの数字を乗じて、「備蓄効果の期待値」というものに関しては、2,427億円というものが算出される。
一方、費用については、このような緊急事態に備えるための備蓄に係る年間費用を物価動向で補正し、その累積費用というのは、50年間では992億円になるとして算出した。
次の3ページでございますが、これら結果により「備蓄効果の期待値」と累積費用を比較すると、現在の備蓄費用の水準において、少なくとも80年から90年程度の間、その費用を掛けることは、十分国民経済的に合理的であると判断できるという結論で事務局としては記載しております。
ただし、この計算というのはあくまでも自動車産業のみで試算したところでございます。他産業を含めるとさらに備蓄効果の期待値が増加することになるのではないか、というコメントを付記してございます。
続きまして、4.機動的な放出につきまして。まず総論。なぜかという、この検討の必要性というところですが、国家備蓄の機動的放出は、供給障害や価格高騰の影響を最小限に止めるために極めて重要な課題である。現在の備蓄体制等を検証し、以下のとおり問題点を抽出し、それらへの対応の方向性を示した。
ということで取りまとめ、おのおの、以下3つの売却に関しまして、あるべき方向性、又は考え方というのを記載しています。
(1)緊急時売却。(1)としまして、供給障害発生の迅速かつ的確な把握。供給障害の発生又はそのおそれを的確に把握するため、資源機構は在庫量や入荷予定量等の情報を迅速かつ的確に収集できる体制を整備する必要がある。
(2)事務処理等の迅速化。国備及び民備の当事者であります資源機構及び特備協においては、民間備蓄の放出後、必要な場合には速やかに国家備蓄の放出ができるよう、迅速な手続に着手することが肝要である。方策としては、両者間の意思決定プロセスや指名競争と一般競争、これは売却されるときに2つの入札があるわけですが、2段階の入札手続について改善を図ることが挙げられる。具体的には、前回の審議の中では、同時並行的に事務手続を進めるということでございます。つまり、今現在の高騰時は指名競争を終えてから一般競争に入るという形ですが、緊急時であり国内の在庫が枯渇している状態であるということを踏まえれば、競争入札はもちろん先行するわけですが、その後、速やかに一般競争に入れるような手続の方法が考えられるということで、この点についてポイントを簡単にここで記載しています。
(3)物理的問題の解決。実際の搬出におきましては、その輸送手段の問題等が出てくるものと考えられます。これらに関して、現時点において問題点の抽出とその対応策を検討しておくことが肝要である。
(4)は、今までの3つと関係するわけですが、緊急放出については、現在、発動実績がないことから、机上では想定できない問題点が発生する可能性がある。そのため、資源機構は、特備協及び民間備蓄実施者などの協力を得て、備蓄放出のシミュレーションを行い、新たな問題点の抽出及びその解決策について検討を行い、その結果をマニュアルとして整備すべきである。もちろん前回は、このマニュアルの共有化、当事者間における共有化というものも指摘してございます。
次に高騰時放出ですが、「事務処理等の迅速化」及び「物理的問題について」は、緊急時と併せて検討を進めるという位置付けにしています。
(2)放出要件の検討。4ページでございます。価格急騰時の対応として、価格冷却効果をもたらすために、より迅速な高騰時放出が求められる場合もあり得る。そのため、現在の発動要件を基本としつつ、民間備蓄実施者の大多数が放出を要請し入札に応じる方針を示している場合などには、よりきめ細かな対応ができるよう検討することが望ましい、という今後の検討を指摘してございます。つまり、現在の発動要件は、直近5カ月の各月の月平均移動価格に基づきまして、その2倍を超えた場合に発動しております。前回の指摘では、おおむね1カ月継続しているときに対する指摘等を受けてございます。それらについての検討見直しが望ましいというとこら辺を記載してございます。
最後に、平常時売却につきまして、(1)売却損が生じる平常時売却の実施について。備蓄売却による利益が生じた場合、その売却益を備蓄物質売却による損失に当てることによって、取得原価を下回っても平常時売却ができるような手法の是非を検討するのも有効と考える。現時点におきましては取得原価を下回った場合には売却ができない制度となっておりますが、もし仮に下がっても、ある一定の条件、他のものによって利益が生じている場合に関してはそれを行えるということも検討すべきだという提言にしております。
(2)放出先の拡大等について。現在の入札資格者は、これは高騰時売却の放出の考えをそのまま踏襲しておりますが、「金属鉱産物またはその原料の供給を受けて生産活動を行っていると認められる事業者」に限定されています。この入札資格者を対象として放出を実施しても、なお備蓄物質に余剰がある場合は、備蓄量低減の観点から放出対象者を拡大し放出の円滑化を図ることについて、関係者間で検討を行うべきである。前回の審議の中での意見を踏まえまして、1つの条件を付けて更なる拡大化の検討ということにしています。その条件というのは、あくまでも入札資格者に対して放出を実施しても、なお備蓄物質に余剰がある場合という限定でございます。
続きまして、また、一般競争入札に準じた透明性のある売却制度、例えば商品市場やスワップの活用等について、今後、幅広く検討すべきである。
今回の報告の骨子の概要を説明させていただきました。以上でございます。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
私どもが第1回、第2回、そして、先ほどまでの第3回までで検討を行いました内容に関して、こんな形で要約ができるのではないかという意味で、事務局で苦労しておまとめいただいたものでございます。今の説明に関しまして、委員の方々から御意見、御質問等々をいただきたいと思いますし、御覧いただいて、御発言の趣旨はこういうことだったとかいうようなことも含めまして、しばらくの間、御意見、御質問をお出しいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。この検討に基づきまして、次回に一応、中間報告をまとめる。こういうことだと思います。
どなた様からでも構いませんけれども、いかがでしょうか。
【寺町代理】
事務局に考え方を伺いたいんですけど、レアメタルの備蓄ということで7鉱種ありまして、この7鉱種というのは、私が話を伺っているときに、それぞれの鉱種ごとにいろいろ考えるときと、どうもセット的になっているというような感じがしてならないんですよ。どういうことかといいますと、特に先ほど近藤先生がいろいろやっていただいた費用対効果のところで、今回いろんな工夫をして、新しい取り組みをして、精度が上がったと思うんですね。精度が上がっただけに違和感があるんですけど、要は、ニッケルは費用が2,000億円弱で効果が2,400億円と。かなり保守的に見てもそうだから、7鉱種全体で見れば、仮にある鉱種で損をしていても全体でメリットがあるからやろうじゃないかということなのか、どうなのかといいますか、それぞれ考えるべきでないかと私は思うんですけれども、若干あいまいに感じるものですから、そこの考え方をちょっとお伺いしたいんですけど。
【深海部会長】
事務局、よろしくお願いします。
【沖嶌補佐】
今回の7鉱種につきましては、基本的には備蓄を実施しています。そのために、それら個別に代替性であるとか供給偏在性というのは相対的に論じているように見えますが、1回目の審議のように中国の動向も個別に審議してございます。その中での1999年との比較。例えば、それが安全サイドに向かっているのか、又はそうでないものもあると。そしてまた、近似の国際価格というよりも中国の動向の中で不安定要因が増しているというところを論じて、7鉱種につきましては、これは個別な議論を事務局としては提示させていただいたと考えております。
費用対効果のこの7鉱種の関連ですが、御指摘の点は確かにあります。ただし、データ的にその確率論に論じるにおいても、非常に限られたものでしかない、又は実施が少ないというものもございます。例えばそれを確率論と比較合わせたときに7鉱種が果たしてどうなるのかというのは今回してございます。ただ、先ほどの発表にもありましたように、表の中では、もし供給障害が発生した場合、今ある備蓄量を放出した場合、自動車産業に限った場合はどれだけの額のインパクトがあるのだということは一応、各7鉱種ともに触れさせていただいています。
【寺町代理】
今の御意見は分かったんですけれども、そういう意味でいきますと、費用対効果のところに自動車産業のみで試算したときはこうだというふうに、要はほかの産業の効果がまだ期待できるからいいんだというふうに書かれていますけど、ニッケルでやった場合こうだから、ほかの鉱種についても同じことが言えるというようなことを骨子に書く必要があるのではないか。要は今回の結論としてですね。そういう判断を骨子に書くべきではないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
【沖嶌補佐】
御指摘のとおりだと思います。そこは明確にしておかないと、確かにニッケルのみを安易にとらえているのではないかという形になるかも分かりませんので、その辺は入れるという形にさせていきたいと思います。
【深海部会長】
よろしいでしょうか。今のは配慮するということでございます。
【寺町代理】
はい。
【深海部会長】
ほかはいかがでございましょうか。
【千原委員】
第2回目をサボっていて、そこの議題について言うのもちょっと恐縮なんですけど、要は4ページの平常時放出ですね。これの(1)について、もうちょっと遠慮しないで、積極的にできるという方向を打ち出したほうがいいんじゃないかというのが私の提案なんですけど、ニッケルの例でものすごく簡単に言いますと、これは、私は分かりませんよ。げすで申し上げますけど、今の備蓄の単価が120万だとすると。マーケットが110万に来たと。簿価より低いから、今だったら全く手足が出ないわけですな。ところが、平常時放出と言いながらも、これはある程度高騰時をねらっているけど、簿価より下だということで私は理解しているんですけど、そこで110万で売って10万損しますよね。ニッケルの過去のトレンドから見ると、そのうちまた60万というようなことがあるわけですね。その60万でもう1回備蓄量を賄えば、会計的に言えば、すぐに金を貸したり、返したり、借りたりしているわけじゃないですから、間違いなく税金のお金の、国家備蓄の金としてはトータルの必要資金量がぐっと抑えられる。ということで、トータルとしてはものすごい効果がある貢献度だと思うんです。したがって、そういうことで、平常時売却というのは、簿価は超えないけど限りなく高くなってきていると。じゃあ、誰が高いと判断するか、誰が安いと判断するかというのはありますけど、これは、資源機構なり、特備協さんなり、それから、我々民備に参加している人たち、業界としてそれなりのコンセンサスはあるわけですから、がんじがらめでマニュアルを書くよりは、ある程度自由を持たせてそのときにやれると。そういうことをやったほうが、野口課長がおっしゃる、最終的に大きな金を使って備蓄をやっているというんです。お金を最大限有効に使うと。そういう意味でここらあたりを考えないと、どんどん費用が重なるだけだというような気がします。
ということで、(3)の(1)についてはもう少し積極的に自由度を求められたほうがいいんじゃないかというような気がします。
【沖嶌補佐】
御指摘ありがとうございます。ただ、前回の議論の中で、1つは、今ある制度、これは備蓄目標量、目標日数にかかわる問題なんですが、国家備蓄42日。平常時売却できるものは21日にしていると。その目標の設定の在り方というところにもかかわる問題を実は含めています。
もう1点は、これの実施に当たりましては、もちろん皆様方のコンセンサスとともに、当局といいましょうか、財政支援をしている財務省内との調整をも含めてございます。ここでそういう問題も含めまして手法の是非の検討という形で記載しておりますが、我々としては、皆さんの御意見を踏まえつつ、そういう方向で持っていきたい。また、そういう方向でコンセンサスを作れるような形で次回の、あと1年後に来る見直しに向けて議論を構築させていきたいという意味で、その是非を検討するというような表現にさせていただいたところです。
【深海部会長】
ほかにはいかがでございましょうか。
【増田委員】
レポートの内容をどうこうするという議論じゃないんですけど、今日の議論にありました費用対効果の分析、この分析が一体どういう位置を占めるのかなというふうに考えると、高騰時放出とか平常時放出とは実はあまりかかわらなくて、緊急時放出というのをあくまでも念頭に置いて、そういうことを想定して費用と効果というのを見ているんじゃないかなという気がちょっとするんですけど、そういう意味で、レポートをどうこうというんじゃなくて、3と4の関係というのを、おそらく今後の議論だと思うんですけど、例えば費用対効果の分析をする場合に、高騰時放出というものを念頭に置いて今後進めるとか、そういうことも必要になるのかなという気がします。先ほどの北川委員の議論に触発されて、ちょっと申し上げました。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
【沖嶌補佐】
確かに費用対効果の問題につきましては、緊急時放出を想定してやりました。その他、御指摘にありましたように高騰時における価格冷却効果に対する効果もあると考えております。現に、近似のモリブデンではそういう冷却効果を示したと考えています。その点は、おそらく定量的には表せないと思いますが、概念的には表せる。その辺をこの報告書の中に盛り込むかどうかはちょっと検討が必要かと思いますので、その点に関しましては整理し、次回、報告書の案を提示するところで整理したいと考えます。
【深海部会長】
どうぞ、北川委員。
【北川委員】
二、三、ちょっと申し上げたいと思います。
まず、1ページ目の備蓄7鉱種のところで、中国の需要動向が今後とも国際市場に大きな影響を与えると、こういうのを1つの論拠にされておられます。従来は備蓄制度の本来の発生史的には供給途絶という問題に対してどう対応するかということであったわけで、中国の需要動向が与える国際市場の影響というのは、需要が増えて国際マーケットがタイトになって価格が暴騰するなどの影響はあるわけですけれども、それは、供給途絶は基本的には関係なくて、バランスが崩れているということだけなので、それをもって備蓄の必要性というのを論じるということに対する制度的な位置付けというのはもう少し明確にしていただきたいというふうに思います。
それから、今お話がありました費用対効果という分析そのものは、備蓄制度を検討する中での位置付けというのがやはりもう少し明確にされる必要があるのではないか。現実の世界が80年、90年変わらないという前提のシミュレーションを前提に、国民経済的に十分合理的であると判断し得るというまとめということになるのかどうかということについては、少し御検討があったほうがいいんじゃないかというふうに思っております。
それから、一番最後の平常時売却のところで商品市場等の活用というのがありますが、これはおそらく前回のLMEなどのことを概念として頭に置かれているんじゃないかと思います。こういうことになると、例えば海外への売却なども可能なのかどうかということに対してもう少し明確な御指摘が必要かなというふうに思っています。
それから、前回申し上げましたけれども、これは国家備蓄の制度についての御検討なので直接は出てきませんけれども、7対3という関係で申し上げますと、民間備蓄の在り方というのは当然、次の検討のときに議論の対象になるというふうに理解いたしております。
【沖嶌補佐】
第1点目の中国の動向ですが、確かに今の現象において価格の上昇という形になるわけですが、動向というのは、例えばタングステンとか、一部の鉱種については中国が生産及び消費の第1位を占めるようなところにおいては、その構造が現状で言えば変わり得る危険性を持っている。つまり、安定した輸出ポジションであったものが、国内消費の増加によってその輸出量が減り得る危険が出てくる。また、それに基づいて日本への供給という問題も生じ得るという点に関しましてはやはり、供給サイドから見たというところでもアプローチできるんじゃないかなと考えている次第です。
それと、費用対効果の位置付けについては、先ほど増田委員からの御指摘もありましたように、そこは明確にする必要があると考えます。
あと、最後の、平常時売却における相手先、商品市場でございますが、基本的に本備蓄制度は前回も報告しましたように海外への売却は前提としておりません。LMEも一つの手法ですが、LMEの中の使い方によっては国内だけに限るという場合もあるかも分かりません。それらについては、勉強も含めて今後の検討という形にしたいというのが事務局の考えでございます。
【中村委員】
先ほどの議論からもありますように、縄田先生のほうから示されたのがニッケルだったものですからいろいろ議論されていますけど、例えば材料として使う場合から考えると、備蓄7鉱種というのは基本的に、コバルトを除けば、ほとんど鉄の添加合金ですね。じゃあ、これが変わるかどうか、70年、80年、100年どうかということなんですけど、鉄の素材としての存在価値を考えれば、ある程度はもつというふうに理論武装されていいと思いますね。これを簡単にひっくり返すというのは、逆に言うと日本の経済構造が全く違うと。世界の材料のシステムが全くひっくり返っていると。経済的なことを考えれば、ノーベル賞が幾つか出るような研究でも行わない限りあり得ないですから、そこら辺は理論武装されてもいいんじゃないか。コバルトはちょっと違いますので、そこはまた考えなきゃいけない。
何を言いたいかというと、例えば、備蓄7鉱種とか、要注視10鉱種などと言われて、一くくりにはなっているんですけど、それぞれ違うということは分かる。だけど、よくよく考えてみると備蓄7鉱種の一くくりというのは鉄の添加合金が基本になっていますので、その辺りをどこかで明示されて、特に費用対効果を出されたときの最初か何かにちょっとそういうことを入れておかれたほうが。読まれる方は一番そこを突かれると思いますね。70年、100年とか言って、将来、本当にその材料を使うんですかと聞かれたときの根拠というのは非常に重要で、根本から崩れてしまいます。これは車をお作りになられているところは非常に悩ましい問題ではないかと思うんですけど、材料をずっと見渡しているような立場からすると、これをひっくり返すというのは並大抵のことではないというような理解をしております。その辺りをお考えになったらいいのではないのかなと。したがって、何度も言うようですけど、単に鉱種がぽんと決まっているのではないんですよと。そういうことを言われれば、先ほど議論されていることは少し違ってくるのかなと思います。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、縄田先生。
【縄田委員】
ちょっと北川委員の発言にあれされました。今までは供給サイドで、今度は需給を表に出しているというんですが、私の解釈としましては、今までは供給がタイトでなかったので、ある意味で供給余力があったと思うんですね。ところが、今は供給余力が非常になくなっているから、そこで何か障害が起これば、本当の障害になりますよと。供給余力がたくさんあるときに多少障害が起こっても、10%も世の中の設備が遊んでいるときに障害が起こっても、それは障害じゃないと。それこそどこかから出てきて売っちゃうわけですね。ところが、今は需給がタイトで、本当になくなるとそれが消えてしまうと。そういうことじゃないかと、私は個人的に解釈しているんです。だから、ある意味で需要動向というのも供給障害を考える上で非常に重要なファクターになると。これは私の意見です。
【深海部会長】
どうもありがとうございました。
ほかにはいかがでございましょうか。きょうの議論を踏まえた形で来週に一応、中間報告といいますか、報告をまとめるということになっておりますので、もしいろいろな御意見があれば、お出しいただければと思います。
【縄田委員】
前回発言しましたプラチナに関しまして、投資用及び装飾用の記述があります。そうしますと、これを機能させるためにはやはり、そういったときにそれを回収しやすいシステムなり、税制なり、そういう制度・税制でちょっと考慮してやれば、プラチナというのはわざわざ備蓄しなくても産業界に十分、緊急時には放出されるということになるので、その辺の御検討をいただければと思います。
【千原委員】
ちょっと無理があるんじゃないかと思うんですよ。プラチナに関しましては、私、もうちょっと調べてきますけど、高騰時になったら出てくるかというと、そんなものじゃないという感触でいます。ですから、ここで、高騰時になったらプラチナの投機用とか装飾用が出てくるような、レギュレーションまではいきませんけど、ちょっとそういうのは非現実的じゃないかなと。プラチナを扱っているプロテストローンの立場から言いますと、私はどちらかというとこの文章は消してもらったほうがいいんじゃないかというような気持ちでいます。
【縄田委員】
言葉を返すようですが、装飾用はともかく、投機用は当然、上がれば。
【千原委員】
正直言いまして、金に比べて、プラチナを投機用にというのは、そこまでのマーケットができておりますかね。
【縄田委員】
そこはよく。
【千原委員】
金は間違いなく認めます。大量にあります。
これについては次回までに、私のほうももう少しプロの意見を聞いていた上でコメント申し上げます。
【深海部会長】
それでは、お2人の意見は分かりましたので、次回に何らかの形でね。
野口課長、よかったらどうぞ。
【野口課長】
ほかに御意見が。
【深海部会長】
今井委員。
【今井委員】
前回、途中で、重要なところで中座させていただいたので、もう議論されたことなのかと思うんですけど、3ページのところの「指名競争と一般競争の2段階入札手続等に関して改善を図ること」というのは、含まれていることは、これを1本にするというようなことなんでしょうか。2段階を1段階にするというようなことなんでしょうか。
【沖嶌補佐】
それはありません。2段階の中で、今、高騰時におきましては、先行で指名競争入札を民間備蓄実施者等にしているわけですが、それが終わります。終わった後、もし仮に売却されなかった量が出た場合、それと本来一般入札にかけるものを合わせて、再度、一般競争入札の実施を行う。高騰時売却の例で2段階放出を説明しますと、今、指名競争入札の量は、日本の全消費量を母数としまして、そして、民間備蓄実施者の量、この分を指名競争入札します。一般競争入札にはその残りをかけるという形になっています。ただ、順番的に、まず指名競争入札をやりまして、民間備蓄実施者のほうから入札を行う。それで応札がなかったりすると、その残余分と本来一般に行く分を足し合わせて一般競争入札にかけるという制度になっています。緊急時の場合、その辺が明確になっていなかった。本来であれば2つの入札制度があるんだけど、明確になっていなかった。けれど、緊急時というのは、既に物がない状況の中でそのような売れ残りというのは想定されないだろうということで、事務手続的に、競争入札の場合は、指名競争ですので、社が限定されておりますので、それをやるぞと言ってから入札日までは比較的、5日なり6日なりの時間的に短い期間で実施している。ただ、一般競争入札の場合は、広報しなくてはならないものですから、時間が掛かってしまう。もし緊急時の場合に高騰時のやり方と同じようにやれば、指名競争入札をして、それから事務手続に入って、売れ残った分を何ぼだと確定して一般競争入札に入りますから、すごく時間が掛かってしまう。それじゃあ緊急時にならないですねということで、事務手続だけにおいて手法を検討すべきと。
お分かりいただけましたでしょうか。
【今井委員】
分かりました。
【深海部会長】
ほかはいかがでございましょうか。もしございましたら。
特にございませんでしょうか。どうもありがとうございました。
本議題については一応、各委員からの意見はここで終了したいと思いますけれども、事務局より補足説明があるということでございますので、よろしくお願いをいたします。
【野口課長】
今日は貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
費用対効果の位置付けにつきましては、多くの委員の方から御意見をいただきましたので、もう一度、表現を検討させていただきます。
それから、装飾用のプラチナの備蓄的効果については、ちょっと個別に縄田委員と千原委員に御相談させていただきたいと思います。
あと、千原委員からの、平常時の売却益を使って売却損を埋めるという考え方でございますが、基本的には、明らかに売却をしたほうが長期的に、あるいは中期的にコストが安くなるという場合にはそういう可能性がかなり高いんじゃないかと僕は思っておりますけれども、それも含めまして、実は売却益というのはほかにもいろんな使い方がありまして、ほかの備蓄コストをそれに当てるという考え方もありますし、元本に当てるという考え方もあります。いろいろな使い道があるわけでございますので、そういったことも含めまして、全体的にどういうやり方があるのかというのを検討したいという趣旨でここに書いてございます。
そういうことでございまして、もう一度申し上げますと、費用対効果のところ、それから、プラチナのところについて、事務局でもう少し検討をさせていただきます。
【沖嶌補佐】
今、課長に整理していただいた点につきまして、事務局の中でもう一度考え直したい。また、それを反映した形で見直したいと考えます。
実は、来週の委員会が1週間後でございます。今、これは報告書の骨子でございまして、来週は報告書(案)を審議していただく形になるんですが、その時間的な中で審議が円滑に行われなくてはならないと考えるところでございまして、今御指摘いただいた点についてはまだ反映してないんですが、報告書の未定稿の素案というのを事務局としては作ってございます。本日の議論は抜きにしまして、前回2回までの議論につきましては、一応整理した中で報告書の素案を未定稿としてまとめてございます。それにつきましてここで委員の皆様に配付させていただきまして、今日御指摘いただいたのは当然抜けているわけでございまして、それは見直しをしなくてはならないところでございますので、それは事務局として進めますが、次回、金曜日の審議のために先生方に御一読をお願いしたい。で、所要の修正があれば御指摘をいただきたい。そこの点をクリアにするため、次の委員会で御指摘していただいても結構なんですが、事前にお気付きの点等がございましたら、その中に書いてありますが、来週の水曜日の午前中をめどに、とりあえずお気付きのところでも結構なんですが、御意見等を事務局のほうにいただければ、それを反映した形、又は次の議論において議論できるポイントとして注視することができますので、その辺をちょっとお願いしたいと考えるところでございます。
【深海部会長】
もう1回クリアにしたいのですが、今配られました未定稿ではあっても報告書(案)、これを御覧いただいて、先ほど野口課長から説明がございました部分については改めて、ペンディングというか、そういう形になる。それらについては、場合によっては。
【沖嶌補佐】
書き込めるところは書き込みます。ただし、そこは明確にするようにいたします。ここは前回の指摘で受けたところです。また、議論するべきところは、それが分かるような形で提示したいと思います。
【深海部会長】
それでは、皆様方に大変お手数をお掛けいたすことになりますけれども、この案、先ほどの問題のポイントはペンディングにしておいていただきまして、ほかの部分は一読いただきまして、何か御意見等々がございますれば、先ほど沖嶌課長補佐から話がございましたように、水曜日の午前中までに事務局に連絡していただければ、議論がスムーズに進むのではないかということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。慌ただしく、かつ皆さん方に宿題を出すようなことで大変恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお取り計らいのほどをお願い申し上げます。
一応、今日の議事次第に書いてあります議題は、まだペンディングのところはございますが、終わったことになって、議論したことになっているわけですが、しかし、次週、報告書をまとめることでございますので、もし、これまで御指摘いただいた点も含めて、レアメタル政策全般について何か御質問とか御意見があれば、しばらくの間、御発言いただきたいと思っているのですが、いかがでございましょうか。何か、言い残した点とか、そういう点。
もうよろしゅうございますか。
それでは、お願いばかりで申しわけないのですが、どうもありがとうございました。
以上をもちまして第3回のレアメタル対策部会を終わらせていただきたいということでございますが、事務局、あるいは塚本審議官、御発言はよろしいですか。
【沖嶌補佐】
深海委員長からのペーパーを委員の皆様にお配りしておりますが、次回は、来週金曜日、6月4日、14時半からこの場所においてでございます。ひとつよろしくお願いいたします。
【深海部会長】
一番最後にこの会合のあれがついておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。これをもって散会させていただきます。

以上

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