経済産業省
文字サイズ変更

独立行政法人評価委員会日本貿易保険部会(第24回)-議事録

日時:平成21年2月4日(水)14:00~15:50
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

委員:
岩村部会長、阿部委員、清水委員、横田委員

独立行政法人日本貿易保険:
今野理事長、大林理事、加藤理事、西川監事、後藤総務部長、和田債権業務部長、塩次営業第一部長、村崎営業第二部長、竹上審査部長

事務局:
岸本貿易保険課長、横沢貿易保険課課長補佐、他

議題

  1. 独立行政法人日本貿易保険の第三期中期目標(案)について
  2. 独立行政法人日本貿易保険の第三期中期計画(案)について
  3. 独立行政法人日本貿易保険の業務の実績の評価基準(案)について
  4. その他

議事

岸本貿易保険課長
それでは、定刻となりましたので、これより「独立行政法人評価委員会第24回日本貿易部会」を開催させていただきます。本日は、委員の皆様におかれましては、お忙しいところご参集いただきましてありがとうございます。
本日の議題は、3つございまして、1.NEXI第三期中期目標(案)、2.NEXI第三期中期計画(案)、3.NEXIの業務実績の評価基準(案)を予定してございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
まず最初に、配付資料の確認をさせていただきます。資料1-1「NEXIの中期目標(案)の概要」、1-2「NEXIの中期目標(案)」、資料2「NEXIの中期計画(案)」、資料3「日本貿易保険の業務の実績の評価基準(案)」、そのほかに参考資料9点を配付させていただいております。
お手元に資料がありますことをご確認いただければ思います。万一不足がございましたら、事務局までお知らせください。
なお、本日伴委員は海外出張のため、ご欠席でございます。
それでは、議事に入りたいと存じますので、ここからの議事進行につきましては、岩村部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
岩村部会長
岩村でございます。議事に入ります前に1つご報告がございます。委員の変更でございますが、1月末をもちまして、木村委員が任期満了となりました。木村委員には設立当初から委員に就任いただいておりまして、大変お世話になりましたので、そのことも含めてご報告いたします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は、NEXIの第三期「中期目標(案)」と「中期計画(案)」並びに「業務実績の評価基準(案)」について、でございます。
今回ご議論いただいたことを踏まえまして、最終的な中期目標・中期計画(案)を固めさせていただいて、2月16日に開催される経済産業省の独立行政法人評価委員会において説明をして、承認を得たいと思います。
なお、本日の会議は非公開といたしまして、議事録のみ公開させていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「異議無し」の声あり)
それでは、そのように扱わせていただきます。よろしくお願いいたします。

1.独立行政法人日本貿易保険の第三期中期目標(案)について

岩村部会長
それでは、初めに中期目標の(案)について、経済産業省から説明をお願いいたします。
岸本貿易保険課長
それでは、中期目標(案)についてご説明させていただきます。お手元に資料1-2として中期目標(案)を配付させていただいております。資料1-1は、そのポイントをまとめてさせていただいております。
参考資料1では、第一期と第二期の中期目標と第三期の中期目標(案)を対比するような形でまとめさせていただいておりますので、そちらを見ながら簡単にご説明させていただきたいと思います。
まず、資料1-2でございます。恒例に倣いまして、前段、中期目標の期間、それから、内容という形で整理させていただいてございます。
内容につきましては、3つのポイントから成っております。「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」、「業務運営の効率化に関する事項」、「財務内容の改善に関する事項」ですが、こちらの項目立てにつきましては、第二期の中期目標と同様にさせていただいております。
次に本文でございます。資料1-2をご覧ください。前段に、前回の中期目標と同様に貿易保険制度が果たしてきた役割、独立行政法人日本貿易保険設立目的について簡単に整理しております。
ただ、昨今の国際金融情勢、サブプライム問題に起因する世界的な金融の影響につきましては、今回の中期目標を検討する上では極めて重要と認識しておりますので、第二段に最近の金融関係の状況について簡単に触れさせていただいております。
また、独立行政法人日本貿易保険につきましては、先の「独立行政法人整理合理化計画」におきまして、平成22年度末までに全額政府出資の特殊会社に移行するということになっておりますので、移行までの中期目標を立てております。
また、昨年前半に産業構造審議会貿易保険小委員会を開催いたしまして、貿易保険のあり方について検討を行いましたところ、その内容についても、可能な限り中期目標で反映させていくことが必要であろうということで、そのとりまとめを行った旨につきましても、触れさせていただいております。
なお、産業構造審議会の報告書につきましては、参考資料として配付させていただいております。前回説明させていただいたとおりでございますが、必要に応じご参照いただければと思います。
まず、「中期目標の期間」でございますが、独立行政法人通則法で3~5年の間で定めることとされております。日本貿易保険につきましては、第一期、第二期とも4年間ということで実施してきたわけでございますが、今回につきましては、3年間ということで策定させていただいてございます。
これは先ほどご説明しましたとおり、整理合理化計画で平成22年度末までに特殊会社に移行することとの関係で、できるだけ短い期間で策定するためでございます。
ただし書きにございますように、終期到来前に新組織形態へ移行した場合は、移行の前日までということになっております。閣議決定との関係で最大でも2年という長さになると考えております。
次に、本文の内容でございます。「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」ということで、利用者に対する利便性の向上、政策的な観点、民間参入への円滑化等につきまして、まとめさせていただいてございます。
まず、1番目が「商品性の改善」でございます。商品性の改善につきましては、これまでも組合包括保険制度に付保選択性を導入する等々の改善に取り組んできたということでございます。
1段目の最後に書いてございますように、引き続き「商品性の改善に不断に取り組むこと」とさせていただいてございます。特に産業構造審議会の審議などでもご意見が出ておりました「ストックセールス」のような最近の取引形態への制度的対応などについて、可能なものから実施すること。
それから、国際金融危機の下で我が国企業の貿易投資活動に関する資金供給の円滑化のための取組を行うということにつきまして、特記させていただいてございます。
2番目が「サービスの向上」でございます。サービスの向上につきましても、前期同様に3点に分けて整理させていただいております。
1点目、「利用者の負担軽減」につきましては、WEBサービスの拡充や海外貿易保険機関等との連携を通じたワンストップ化等を進めることについて、引き続き目標として掲げております。
さらに、昨年11月より開始いたしました保険事故前の輸出代金債権の流動化支援につきまして、利用者サービスの向上につながるように努めることを特記しております。
それから、パリクラブのてん補割れ債権につきまして、債権譲渡承認及び日本貿易保険への譲渡制度というものを前期の間に進めておりますが、こちらについても特記してございます。
2点目が「意思決定・業務処理の迅速化」でございます。こちらにつきましては、二期同様に数値目標を掲げまして、迅速な業務処理を行うという目標を掲げております。
こちらの目標については、第二期でも達成済みであると理解しておりますが、引き続きこの基準を満たすことによってサービスの向上に努めるとしてございます。
3点目が「業務運営の透明化とコンプライアンスの徹底」ということで、主に営業部門を中心に情報開示、情報管理の徹底に努めることを掲げさせていただいてございます。
3番目が「利用者のニーズの把握・反映やリスク分析・評価の高度化のための体制整備」というものでございます。こちらにつきましては、最初の3点、「広報・普及活動とニーズの把握・反映」、「リスク分析・評価の高度化のための体制整備」、「専門能力の向上」は第二期と同様でございます。
それに追加いたしまして、「内部統制の整備」、「情報開示による透明性の確保」の2点を追加してございます。これは独立行政法人整理合理化計画等での指摘で内部統制の整備に努めることということが指摘されていることを反映したものでございます。
また、産業構造審議会の審議でも岩村部会長からご指摘がございましたように、今後日本貿易保険としては、プロセスの管理を徹底していくことが重要であるというご指摘を頂戴してございますが、ご指摘をここで読み込むという趣旨でございます。
戻りまして、1~3点目につきましては、第二期とほぼ同様でございます。特に「リスク分析・評価の高度化のための体制整備」につきましては、世界的な金融危機の広がりに対応して、さらに与信枠の設置等のリスク管理手法の整備を進めていくということで強調しておくべきと考えてございます。
次に、4番目のポイントの「重点的政策分野への戦略化・重点化」でございます。
産業構造審議会でご指摘のありました重要なポイントに追加いたしまして、「金融危機への機動的な対応」というものを追加してございます。
1点目が「金融危機への機動的な対応」ということで、企業の貿易投資活動に関する資金供給の円滑化といった世界的な金融危機への対応について、積極的にイニシアチブをとっていくこと。その一環として、海外諸国の貿易保険機関との貿易保険ネットワークの構築を進めるということを掲げさせていただいております。
2点目が「資源・エネルギーの安定供給確保支援」ということでございます。第二期に引き続き中長期的な資源・エネルギーの安定供給の確保のために、資源エネルギー総合保険等を通じて積極的な取組の支援に努めることにしております。
3点目が「環境社会構築への支援」でございまして、昨年も佐野元委員からご指摘がございましたが、環境社会への対応については、日本貿易保険としてむしろ積極的に取り組んでいくべきではないかというご指摘がございました。
こうしたご指摘も踏まえまして、今年の1月より地球環境保険制度を実施に移しているところでございますが、こうした制度の活用により、省エネ・新エネを推進する我が国の製品の輸出やプロジェクトの推進に努めるということです。また環境社会配慮ガイドラインにつきましても、引き続き的確な審査を行うことを挙げさせていただいております。
4点目が「中堅・中小企業の国際展開支援」ということでございます。中堅・中小企業の利用拡大につきましては、各国貿易機関とも積極的に取り組んでいるところでございまして、日本貿易保険につきましても、昨年10月より信用調査料の免除等を通じて、中堅・中小企業の裾の拡大に努めているところでございますが、その点につきまして、目標の中での柱として掲げさせていただいております。
最後にその他ということでございまして、航空機、原子力発電所関係、サービス分野、サービス分野と申しますのは、第二期では著作権等のサービスが指摘されておりましたし、昨今では小売・流通業の海外展開を進めたいという方針がありまして、その中で貿易保険などが使えるのではないかという話も聞かれております。
それから、官民連携によるインフラプロジェクトの推進といったものについて取り組むことを最後に掲げさせていただいております。
5番目の柱は、「民間保険会社による参入の円滑化」ということでございます。金融情勢はやや変化しつつありますが、整理合理化計画又は政策評価・独立行政法人評価委員会などでも民間参入の円滑化については指摘を受けているところであり、そうした観点からこちらには2点、「協調保険の推進」、「民間保険会社に対する情報・ノウハウの提供・共有」を目標として掲げさせていただいております。
次に、「業務運営の効率化に関する事項」でございます。
「業務運営の効率化」につきましては、日本貿易保険は国からの運営費交付金によって運営されているものではなく、利用者から支払われる保険料等を収入原資として中長期的な収支相償のもと運営されているということでございますので、ほかの独立行政法人とはやや違う特殊な事情もあるわけでございますが、整理合理化計画等で指摘されている事項も踏まえまして、業務運営の効率化について、最大限の努力を図るという観点でここに5点ほど目標として掲げさせていただいております。
もとより中長期的な収支相償に立っているということでございますので、業務比率等を意識しながら、効率的な運営に努めることは当然のことと考えてございます。
1点目でございますが、業務費でございます。第二期の中期目標ではシステム開発関連、特殊要因、こうした経費を除きまして10%を上回る削減を行うということで取り組んできたところでございます。
第三期につきましても、こうした水準をきっちり守るという、第二期で達成した水準以下の水準にするということを目標として掲げてございます。
2点目が人件費の関係でございます。日本貿易保険は人員の削減につきまして、平成17年度の人員を5年間で5%削減するという目標になっております。これにつきましては、まだ第三期の期間においても引き続き効力を発揮していくものでございますので、こうした目標に従って削減の取組を行うということでございます。
3点目が給与水準の関係でございます。給与水準の関係につきましては、こちらで何度もご議論いただいたと思いますので、内容につきましては省略させていただきますが、給与水準の適正化に取り組む、検証結果や取組状況について公表することと書かせていただいてございます。
4点目が随意契約の関係でございます。随意契約の関係につきましても、昨年来議論がございましたし、単年度の業績評価において、ここは大きなポイントになったと理解しております。
日本貿易保険においては、原則平成22年度より一般競争入札に移行するという計画に基づいて、来年度から競争入札に移行していくという形で取り組んでいるところでございます。取組の結果においては、全契約の4%以下になるということになっておりますが、こうした計画に基づいて着実に取組を実施していくことを目標として掲げさせていただいております。
民間機能の一層の活用につきましては、民間委託について既に取り組んでございますが、今後とも民間委託の範囲の拡大を図るということで掲げさせていただいております。
2つ目の「システムの効果的な開発及び円滑な運用」ということでございます。第四期システムにつきましては既に開発済みということでございますが、今後組織の見直しに伴う会計、税制の関係、また、災害や事故等の緊急時の事業継続計画の対応等々、まだまだシステムの改善の余地はあるということでございます。そうした中で、業務運営の効率化・迅速化を実現しつつ、こうしたシステムに対応していくことは必要であると考えてございます。
指標といたしましては、第四期システムの具体的な効果、第四期システムの保守費用が第三期システムの保守費用を下回るよう努めることということで掲げさせていただいております。
先ほどご説明させていただきましたように、この第四期のシステムの開発等につきましては、業務費の全体の枠外となってございます。結果的に大きなシステムを運用しておりますので相応の開発費が必要になってきますが、全体としての収支相償の中で費用対効果や収支を意識して効率的に運用していくことが必要と考えております。
最後に、「財務内容の改善に関する事項」でございます。まさに今、最も重要な時期になると理解してございますが、項目につきましては「財務基盤の充実」、「債権管理・回収の強化」ということで第二期と同様でございます。
内容につきましても、概ね同じような文言でございますが、中身については、これまでとは全く違って非常にきめ細やかな対応が求められていると思っております。
「債権管理・回収の強化」ですが、数値目標といたしましては、信用リスクに係る保険事故債権について、目安として中期目標期間終了時において期間平均回収実績率20%を達成するよう努めることという数値目標を掲げさせていただいております。中期目標につきましては以上でございます。
それから、中期目標と後ほど日本貿易保険からご説明いただきます中期計画につきましては、独立行政法人通則法に従いまして、この後財務大臣に協議をするということになっております。その中で修正が図られることもあるということを申し添えておきます。以上でございます。

2.独立行政法人日本貿易保険の第三期中期計画(案)について

岩村部会長
ありがとうございました。ここで質疑応答という考え方もありますが、今回のこの目標と日本貿易保険において作成されている中期計画とは表裏を成すものでございますので、引き続きNEXIから中期計画(案)のご説明をお願いいたしまして、その後で議論に入りたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議無し」の声あり)
それでは、よろしくお願いいたします。
後藤総務部長
それでは、NEXIの第三期中期計画(案)についてご説明させていただきたいと思います。
資料2が第三期中期計画(案)本体でございます。もう1点、参考資料(3)を出していただけますでしょうか。中期目標と中期計画のそれぞれの案が対比されてございます。これに基づいて説明をいたしたいと思います。
中期計画につきましては、先ほど岸本課長からご説明がありましたとおり、中期計画はこの中期目標を実現するための計画ということで設定されておりますので、記載内容につきましては、基本的に中期目標と同様の内容でございますので、私のほうから幾つか補足すべき点と強調しておくべき点を申し上げさせていただきまして、説明と代えさせていただきたいと思います。
参考資料(3)の中期目標案に、例えばストックセールス等新たなサービスへの対応ということで記載されており、中期計画でもストックセールスなど近年の取引形態の制度的対応についても検討し、可能なものからどんどん実行に移していくということで対応してまいりたいと思っております。
その中で国際的な金融危機への対応については、国際金融変動のセーフティーネットとして政府及び関係機関と連携し、お客様のビジネスニーズに対応し、円滑な資金供給が行われるよう金融環境の変化に応じ迅速に対応するとともに、積極的に制度の運用改善を図り、金融危機への対応もしっかりやってまいるということを書かせていただいております。
それから、本年の1月から事故前輸出代金債権の流動化を実施いたしました。制度としてはもちろんこれまでも可能であったわけですが、これを、よりお客様にとって簡易な方法、手間がかからない方法で利用できる方策を実現したところでございます。これをさらに充実してまいりたいということと、今般の金融危機を踏まえて新たにできることがあれば、これは随時実施していくという覚悟でございます。
次に、「内部統制の整備」でございます。これは新会社化に備えまして会社法で要請されている内部統制につきまして、新会社化以前であったとしても実現すべきものとして早速内部での検討に着手しているわけでございますが、これを明確な来期の課題として位置づけて実現してまいりたいと思っております。
次に「金融危機への機動的な対応」ということで、今日も別途NEXIよりご説明させていただこうと思っておりますが、現下の状況を踏まえてできる対策をどんどん打ち出しているわけでございます。ここに記載されておりますような、セーフティーネットとしての本来の役割を十分に認識しながら、こういうときだからこそしっかりとした引受を行っていくということで、1つ項目を立てさせていただいております。
その中でNEXI自身が他のECA関係諸国の輸出信用機関と連携して、また、その中でイニシアチブをとりながら必要な対策を講じていくということも具体的に記載させていただいております。
先般、昨年11月に東京でNEXI主催のアジア貿易保険機関会合を行いました。その中でアジア諸国のネットワーク、連携強化ということも打ち出されております。それを着実に推進、実現してまいるということでございます。
次に、JBICとNEXIが共同で検討してまいりました環境社会配慮ガイドラインの新たな改定バージョンが公表されることになります。こちらの着実な実施ということも含めて環境への対応をしっかりやってまいりたいと存じております。
次に、3の「(1)財務基盤の充実」です。
予算計画、収支計画、資金計画につきまして、独法通則法で要請されております3つの計画について記載されておりますが、このうち収支計画、これは企業で申し上げますとP/Lに相当するものでございます。この期間中のP/Lについて簡単にコメントさせていただきたいと思います。
まず、これまでの計画と異なっておりますのは、この3つの計画のところに柱書きとして3点ここに記載させていただいております。
・昨今の国際金融情勢は、世界的な金融機関の金融収縮、株価の下落などを背景とした深刻な危機に直面している。
・このような状況下において、公的輸出信用機関である日本貿易保険(NEXI)は、国際金融変動のセーフティーネットとして、お客様の貿易投資活動に関する資金供給が円滑に行われるよう、未曾有かつ不測のリスクに積極的に対応することとしている。
・今般、一定の仮定のもと、第三期中期目標期間(09-11年度)における収支予想を設定した。本収支予測は、現下の国際金融情勢とNEXIが講じた金融危機対策の対応結果が反映されるものとして巨額の保険金支払を想定しているが、なお、景気の先行きは不明瞭であり、今後3年間の収支状況は予断を許さない。
これは産業構造審議会でもご議論いただきましたように、私どもの機関の役割、ビジネスモデルの選出といったものを国民にきちんとわかりやすく説明しておくべきであるということを踏まえまして、まさに今回のような状況であれば、こういった注意書きをすることが妥当であるということで記載させていただいたところでございます。
収支計画の中で、正味支払保険金額があります。
390億円と設定されておりますが、これにつきましては、NEXIのネットの額でございますので、再保険特別会計の支払額はその約10倍ということになります。
すなわち、私ども来期の3年間については、現下の国際金融情勢の結果が顕著に反映される期間であると認識しておりまして、過去のアジア通貨危機の際の単年度の支払保険金額を若干上回って支払いが続くというような想定で、一定の仮定のもとこういった金額をベースにさせていただいております。この点だけ強調させていただきたいと思います。説明は以上でございます。
岩村部会長
ありがとうございました。それでは、議論に移らせていただきたいと思います。質問、ご意見、どのような形でも結構でございますので、お寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、前回の委員会から大分時間がたっておりまして、すぐに発言なさりにくいかもしれませんので、少し呼び水のようなことを申し上げます。まず、部会長としてではなく、委員としてお話しをさせていただきます。
私の認識では、世界の様子はこの1年間で本当に大きく変わってしまったと思います。そういう事情でありますので、私は日本貿易保険もいわば初心に返って全部の業務や経営の重点の置き方を見直す必要が出てきている可能性は、本当は非常に高くなっていると思います。
ただ、それを中期目標や中期計画に書けるかどうかということになりますと、今までの政府からの指示の蓄積もありますので、そうそう簡単にはできないわけです。新しく組織形態を変更して普通の会社になったときに株式会社になっていれば、株式会社のガバナンスの問題としても、新しい計画や経営陣の信念を示さなければいけないところだと思います。
しかし、それが今の独立行政法人という形態であるがゆえに従前の目標、あるいは計画との連続性と政府からの指示との関係の中で、こういう形の計画をお立ていただいていると認識しております。
初心に返ってと申し上げますのは、やはりこの10年間ぐらい、あるいはもう少し長い期間だと思いますが、例えば、「対米輸出は基本的に安全である。非常に特殊なケースを除けば安全である」という前提で、「民間開放をぜひ促進しましょう。民間でできるものは民間で」という言い方をしてきたわけですが、この場で若干の推測を交えていえば、民間の会社でできるような状況なのかどうかということがそもそも問題になってきていると思います。
民間開放の話は、行政の方針としては何も変更されておりませんので、政府機関の一端を成すものとしては、やはり中期計画や中期目標にこのように記載するし、この方向で努力はいたします。
しかし、大事なことは、日本の国力の基礎である輸出を支えることが日本貿易保険の最大の使命でありますので臨機に対応する必要がありますし、また新しいニーズが生じていないかどうかということも、今まで以上の緊張感をもって調査し、その策を講じていかなければならないといった時期に来ていると私は思っております。
もしも、委員の皆様のほうでもそういうことに関してのご見識、あるいは現状での事実認識がございましたら、この中期計画や中期目標を承認するかどうかということとはまた別に、まずはお話しいただきたいと思います。評価委員会でもどのような議論が出たかということは大事でございますので、いかがでございましょうか。
阿部委員
この予算計画ですが、一般論といいますか、感覚的にいいますと、やはりここに記載してありますように保険事故が増え、この円高ですと一般に輸出は落ちるであろうということです。
一方、輸出は落ちても今まで保険を掛けられなかった人たちが掛けてくるので、意外と財務への影響は少ないのではないかとみております。正味収入保険料というのは今までと比べてどんな感じなのでしょうか。今までほとんどなかった支払保険料というのは、明らかに大きく見積もられていますね。
後藤総務部長
元受保険料ベースで申し上げますと、前期で大体平均で年間350億円と想定しております。
今回は320億円を想定しており、まさに阿部委員がおっしゃったとおり、輸出が落ち込んでおりますが、一方でリスクアバターの方々が増えて、我々の保険に対するニーズもこれまで以上に増えてくることも予想され、一応このあたりを相殺し、若干マイナスと踏みまして320億円程度の平均をとらせていただいております。
一方で、支払保険金ですが、元受全体の保険料支払ベースで年間1,300億円ぐらいを組ませていただいております。ですから、3年間で約4,000億円前後ということでございます。
ちなみに、アジア通貨危機後の影響は単年度の支払いが最高額で、同じベースで600億円規模でございます。500億円、600億円という数字が3年間にわたって続いております。このインパクトを2倍強上回っているという設定を置かせていただいております。
阿部委員
わかりました。
岩村部会長
その確認をしておきたいのですが、別添1の予算計画、別添2の収支計画、別添3の資金計画と「別添」と書いてあるのは、これは計画の中として、この委員会で承認するとか、認識するといった性質のものなのでしょうか。ちょっと微妙な話ですが、確認しておく必要がありますのでお願いいたします。
後藤総務部長
もともと通則法30条の中で、この中期計画の中にこういう3つの計画を含めなさいということになっておりますので、計画の一部を構成していると考えていただければと思います。
岩村部会長
ということは、ここの委員会でも収支のこの数字が妥当に当たるかということとは別に、どういう考え方に基づいて収支を計画したのかについてはご認識していただいて、承認をいただく必要があるということですね。
後藤総務部長
そういう認識でございます。1点だけ補足させていただきますと、特に他の独法、交付金を受けているようなところでございますと、費用がどのくらいかかり、全体がキャッシュフローとして回るのかということも重要なポイントとして通常は認識されると考えているところでございます。
岩村部会長
また委員としての発言になりますが、こういう3年間の計画というものを、例えば民間企業の計画だとすると、中期計画ということでこういうものを示すことはあると思いますが、多くの場合、大きな環境の激変があれば常に切り替える可能性をもっているという性質のものだろうと思います。
また、同時に3年間であれ、5年間であれ、計画である場合には、普通は時期を切って、1年目、2年目、3年目と時期を切るから途中で計画を大きく変更する必要があるとか、とにかく中期計画もいったん中断して新しい計画に移行する必要があるということを決定する。そういう性質のものだろうと思います。
しかし、今は独立行政法人としての枠組みの中で3年間のグロスの計画をこういう形でお出しして、大きく違和感がないだろうかということをお尋ねする形になっているわけです。
ただ、いずれにしても、組織としての日本貿易保険の経営管理という観点からいうと、これでは多分委員の皆さんとしても、あるいは私も責任をもって納得したとはなかなか言い難いと思います。
そういう意味でのつけ足しとまではいいませんが、年度、あるいは四半期での計画策定が必要ではないでしょうか。なぜそんなことをするかというと、最初の目標と大きくずれているかどうか、そもそも考え方を切り替えたほうがいいのかどうかを管理するためにもそういうものが要ると思いますが、そういう意味での計画は現状ではお考えになっているのでしょうか。
後藤総務部長
お答えになっているかどうかわかりませんが、先ほどの資料2の「6.その他」で、特に近年のような状況のもとで3年度計画を立てるということの留保事項の意味合いの文を加えております。日本貿易保険は状況が変われば、対外経済の影響が大きいため、影響が大きくなれば計画を変えざるを得ないということも補足的に書かせていただいているところでございます。
横田委員
先ほどちょっとお話があったかと思いますが、計画を立てられるときに、やはり幾ら状況がわからないといっても、今の状況での前提が幾つかあるかと思います。
例えば、先ほどアジア金融危機のときの支出の2倍を想定しているというお話でしたが、ほかに前提条件のようなものがあればお聞かせいただけますでしょうか。
後藤総務部長
今の計画策定に一番大きく関係してまいるところは、何と申しましても保険金の支払い部分と保険ニーズとしてお客様から活用される場合、この2点について我々なりに苦労しました。
1点目につきましては、1つの前提として、まず、この景気がどこまで落ち込んでいくのか。実体経済にも影響は及んでいますが、これ自体は私ども自身でなかなか判断し得なかったものですから、IMFや世銀等の国際機関が現時点で予測している2010年には底を打つであろうというのが1つの私どもの前提でございました。それが1点でございます。
それから、支払額がアジア通貨危機の2倍強を想定してございますが、これにつきましては、最近私どもの組織に報告が来ている支払い遅延が積み重なっております。まだ事故には至っておりませんが、そういうものの積み上がり方といったものを踏まえながら、このぐらいの規模にはなってしまうのではないかということです。
ただ、2倍強と申し上げましたが、これは単年度の出が2倍強になっているに過ぎないと認識しております。どういうことかと申しますと、4年目、5年目まで影響が長く伸びていく、アジア通貨危機の場合、実は余り長く影響は残らなかったわけですが、今回この3年間の期間以降も支払いというのは急にゼロになるわけではなくて、引き続きあるだろうという前提に立っております。
横田委員
ありがとうございます。
清水委員
我々のような民間企業では、中期計画を立てるときに、ある意味で当然数値目標をそこに入れるわけです。それを公表することによって企業としてのコミットメントになるわけです。
そうすると、そのコミットメントが達成されたかどうかということで、企業そのものの評価、ステークホルダーから評価されるということにつながってくるので、当然のことながら、その目標の立て方に我々は腐心しているわけです。
例えば、私どもの場合、中期計画は5年ですが、以前は長期計画、もっと長い計画を立てておりました。しかし、とても10年先を見通して計画を立てて、数値を出しても、それはもう何の意味もありません。むしろそれは企業の評価を損ねるものであるということから、かなり前から長期計画というものはやめて中期計画、それも3~5年ぐらいのスパンでの計画ということで、いうなれば、社内に対する企業としてのコミットメントをしてきたわけです。
その間に事業環境が変化すれば、その数値目標がぶれるのは当然ですが、計画を立てるということは、それ相当の変化を折り込んでのことだろうという見方も一方ではされるわけです。
したがって、計画を立てたが、事業環境が変われば、この計画の目標値も変わりますよというような説明では世間はなかなか納得しないだろう。そういったときにこの独立行政法人というのは民間企業とは違うということで、受け手の理解が得られるようなものであるならば、それは「その他」のただし書きが通用するのかなという気がするのですが、少なくとも我々のような民間企業では、通用いたしません。あえてこのただし書きを入れる意味がどういう意味をもつのかというところがちょっと気になる点ではあります。
それからもう1つ、部会長もおっしゃっていましたが、特殊会社に移行するということで、もう一回原点に戻って見直すという、そこの部分がこの中期計画の中でどのような形であらわれているのかが私の読み込み不足もありまして、よくみえてこないわけです。
むしろ、そこはそのようなポジションに置かれてはいるが、やっていることはこれまでと変わらないということを中期計画で主張しようとしているのか。それともこういう特殊会社になるので、ここが変わりますよというようなことがこの計画の中できちんと示される、あるいは示していますよということなのか。その点が私にはよくみえてこないので、できればそこのところも説明をいただければと思います。とりあえず、その2点でございます。
岩村部会長
ありがとうございます。清水委員からのご意見は2点ございます。第1点は、中期計画の「その他」にただし書きがついていることについて、どのような覚悟ないし進め方をこれから考えていくのかというご質疑。もう1つは、株式会社に組織形態移行するということが中期計画の策定にどういう作用をもたらしているかについて説明してほしいというお話だったと思います。
まず、第1点目は今までの議論の続きだと思いますので、まず、それについて岸本課長ないし後藤部長からお話しいただければと思います。それでは、まず岸本さんからお願いいたします。
岸本貿易保険課長
まず、こちらにお諮りする前に、中期計画について後藤部長とも何回か議論をいたしました。こういった貿易保険の業態の場合ですと、予想シナリオというものが幾つかありまして、それに応じてこういう対応をするのだというものが本来つくられてしかるべきだとは思います。
ただ、フォーマットは定型でございますので、1つのシナリオに従って書いていると私は理解してございます。当然事故が増えれば保険金の支払いも増えますので、そうした場合には、幸いにも今日本貿易保険には相応の積立金がございますが、そうしたものを取り崩して対応し、また、仮にそれを超えるようなことが起こった場合には、それなりのことを考えなければいけないということですが、今のシナリオの範囲内ですと、そこまでやることはないのではないかというのが私の個人的な印象でございます。
保険料収入でございますが、こちらも幾つかシナリオがあると思っておりまして、これも景況によって左右されますので、そもそもこの時期にこういった中期目標をつくるのが果たして適当な時期なのかどうかという感じがいたします。
しかし、私の理解では、収入は当然業務費などに反映されるべきものと考えてございまして、今は一定のシナリオでこの業務費が入っているわけでございますが、保険料収入が下ぶれるようなことがあれば、業務費についても不要不急のものは先送りして、絞り込めるものは絞るということも必要になってくると思います。
また、幸いにも保険料収入が一定の水準にとどまるということであれば、システム開発のニーズというのは多々あるということでございますので、早め早めの対応をしていくといったことも必要になってくるでしょうし、それは幾つかのシナリオがあるのではないかと思っております。
そうした幅のある中で、今回の1つのシナリオのもとでこの数字が示されている。定型のフォーマットですので、わかりやすい、わかりにくいといった議論はあるかと思いますが、そうした位置づけのものということで、そういうシナリオの想定のもとに変わるという趣旨が中期計画の末尾に書かれていると理解しております。
まさに、こういったものについて、こういう独立行政法人の計画のような形で示すのがわかりやすいかという議論がありますことから、特殊会社化という議論にもなったのではないかと理解してございます。
岩村部会長
その話は後でやりましょう。今の点について後藤部長はいかがでしょうか。
後藤総務部長
私も岸本課長の説明と基本的には同じですが、1点だけ補足いたしますと、私どもは、この中期計画をベースに毎年度、毎年度、年度計画を策定するわけでございます。その中でより精緻な分析、時々の状況を踏まえたものを反映させていくのが基本だと考えております。
この「6.」、それから、先ほどの収支計画の記載はエクスキューズとして書いたというよりは、産構審でご議論いただいたような私どものビジネスモデルをあらかじめ国民にわかりやすくきちんと表記しておくべきだといった視点から記載したものでございます。
岩村部会長
いかがでございましょうか。一応ご納得いただけたでしょうか。
清水委員
そういうことは、あるシナリオありきで、そのシナリオに基づくとこのような収支資金計画になりますよ。しかし、このシナリオが狂えばこの限りではないといった理解でよろしいのですか。
そうだとすれば、そのような書きぶりというのもあるかと思いますが、いうなれば、1つのこれまでの書き方からいって、こういうフォームの中でこういう言い方をしていますと。ただ、そこで意味するところは、そういうことなのですよといった理解でよろしいのでしょうか。
今野理事長
ここのところは大変難しいところで、私も部内で随分議論したところですが、このフォーマットがまず独立行政法人は皆横並びで、皆同じであります。
これはどういう法人を頭に置いてこのフォーマットがつくられているかを推察いたしますと、国から交付金を受けているのが基本的なパターンでございまして、これから一体どれだけ国に予算の負担をかけるのかということがわからないと独法の管理としては一番困るわけで、それを頭に置いて作成されているフォーマットではないかと思います。横並びのフォーマットであるものですから、とにかくこのフォーマットに合わせて策定しなければいけないということです。
他方、清水委員がおっしゃいますとおり、民間企業の場合ですと、これは株主からお金を預かって経営者は経営をするわけです。そうしますと、お預かりしたお金をどのように使って、どのような生産物をつくって、どれだけの業績を残しますということをやはりコミットしないと、人からお金を預かれないわけです。それは当然のことです。
少なくともそういうコミットメントとしての中期計画というのはあるのだと思いますが、貿易保険の本質がそういう予測が立て難いリスクを扱う。したがって、企業ができないので国がやっているものであります。
実際、今のこのような金融情勢の中でこの世界経済が一体どこまで落ち込んでいくか。一言でいうと、だれに聞いても「まだ底がみえない」と言っている状況です。貿易保険の歴史を振り返りましても、一番大きいときは1年で3,400億円の支払いがございました。ここでは1,300億円といっていますが、1年間で3,400億円、保険料収入の約10倍をお支払いしているわけです。それに近い状況が10年以上続いたことがあったわけです。
そういう実態、結局世の中のこの大きな国際経済の金融サイクルというのでしょうか。そのしわを国に寄せる。そして、企業がある程度安定して貿易投資ができるようにするための世の中のインフラの仕掛けですから、そのしわ寄せをとると「それでは、来年は一体どれだけ保険金を払うつもりなのだ」といわれても、これは本質的には出ないものなのです。
一方で、そういう企業経営でもなじまないような大きなリスクということと、フォーマットは非常に定型的な、国の予算として今後一体どれだけの負担をかけるのかということを頭に入れてつくられたフォーマットを何とかして満たそうと思いますと、やはり一定のシナリオを立てて記述するしかないのかというのが実態でございます。
岩村部会長
いかがでしょうか。それでは、部会としての議論の聞き取りをしたいと思います。
実は、やはりこの項目が出てきて部会としてどういう考え方で予算計画、収支計画等を了承したのかということはきちんと腹を固めておく必要が今回は特にあると思いましたので、あえて議論を提起させていただいたわけです。
まず、こういう形で計画に記載すること自体、これが一番いいかどうかは考え方次第ですが、私はこれが多分妥当な線ではないかと思っております。
今のご説明にもありましたように、独立行政法人のフォーマットは統一されておりまして、一方で日本貿易保険については、これからの議論の点でもありますが、特殊会社化、株式会社形態への移行が予定されております。移行にかかる法案の調整スケジュール等が、恐らくそれらがいまだ完全には見え切れない状態でございますので、そこであえて一石、二石を投じるよりは、差し当たっての計画として行政の普通のルールに従って、現状では最もあり得るであろうと思われる表を記載しているということで、まず、委員会としてこの表自体は承認したほうがいいかなと私は考えております。これはいかがでしょうかということでございます。
それから、2番目に清水委員からもご指摘がありましたように、これでいいのかという点でございますが、私の提案は、むしろ「6.その他」の文章にあるとおりでありまして、NEXIさん自身が適時適切に見直しを行うことがあり得ると書いていただいてもよかったのではないかと思います。
しかし、むしろその適時適切に見直しが行われているかどうか。適時性や適切性が担保されているかどうか。それから、これは次の論点とも少しかかわりますが、例えば、普通の公開会社であれば、予算の経費見通しが大きく変化して、売上や利益の見通しが大きくというよりも、最近は相当厳しいですから、ちょっと大幅に動いたぐらいでも直ちに開示をしないと、それ自体開示義務違反になります。
日本貿易保険の場合は、株式を上場しているわけではありませんので、そういう問題は差し当たっては回避できると思います。しかし、一方では国が100%の株主であるということは、擬似的に考えれば国民が株主であると考えるべきものだということもできますので、適時適切に見直しを行うこと。
それから、非常時であるという認識から、1年の終わりを待たず、適時適切に見直しを実施する必要があると思います。
それから当委員会もそうですが、経営を監視する役割を担っている組織、仕組みに対してはご開示いただきたい。それがこの計画を了承するときの条件というと角が立ちますが、前提として私たちの委員会がもつ認識であるということで、この話をお受けしたらどうかと思っておりますが、いかがでしょうか。
(「結構です」の声あり)
よろしゅうございますか。それでは、そういうことで、やはりこういった時期でございますので、新しい施策も次々に打ち出す必要があると同時にその施策の効果や、さらに、その通常の業務に何か別の問題が起こっていないかということを、もしかすると、これからかなり長い期間、日々、あるいは月々、今までよりもずっと強い緊張感でぜひ監視していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それから、2番目の点で株式会社形態への組織移行に伴って中期計画をつくる上で変化させたところや、留意されたところがありますかというご質問ですが、お答えいただきたいと思います。
後藤総務部長
まず、この中期計画自体は独立行政法人としての法人格をもつNEXIの計画だという前提に立っております。しかしながら、何点か委員がおっしゃったような株式会社化を念頭に置いた事項ということが当然ございます。
幾つか例示でご説明させていただきますと、1つは、先ほど申し上げました内部統制、これは会社法に基づく内部統制のレベルを達成することとして既に着手しておりますが、独法機関内であってもそれを実現するというものが1例でございます。
その他、例えば、システムあたりで申し上げますと、税などは現時点では全くの非課税法人でありますが、一部の税について支払いが生じることを前提に置いたシステムの設計といったところも入ってございます。
また、先ほどの岩村部会長のお話とも若干関連しますが、昨年度より決算についても四半期ベースで民間企業と同じように常に試行的にやっております。当然財務システム、会計システムも、その四半期決算を行っていくことを前提としたものでくみ上げていくといったようなところに具体的に反映されております。以上でございます。
清水委員
民間保険会社との関係においては、これまでどおり変わらないと考えてよろしいのでしょうか。
後藤総務部長
例えば、参入促進のためのノウハウの移転や、そのための業務委託の推進、協調保険等について書かせていただいておりますが、基本的にはこれまでのラインを踏襲したものにしております。
清水委員
わかりました。
岩村部会長
四半期決算を試行的に実施されているという話ですが、その四半期決算というのはどのくらいの時間差で、締め日からの時間差で算出されているのでしょうか。いわゆる決算調整や何かも行った決算でいらっしゃるかどうかをお聞きしたいのですが。
大林理事
今四半期決算と申しましたが、正確に申しますと今は半期決算でございます。私どもは四半期決算も半期決算の義務もございませんが、やはり株式会社化をにらんで、少なくともきめ細かく決算ができるように努力をしているということで、現在試行している段階でございます。
現在3月末の決算につきましては、ご高承のとおり、作業そのものは5月に終わって会計監査を経て6月には確定ということになっておりますが、中間決算につきましては、9月末の状況が11月末、あるいは12月の頭に大体確定するということで試行中でございます。これが現状でございます。ご報告申し上げます。
岩村部会長
ということは、四半期については係数のとりまとめを行って、決算としての処理を施したものは年に2回行うという理解でよろしいわけですか。
大林理事
おっしゃるとおりでございます。
岩村部会長
適時適切にというのは、技術的な決算調整をどう処理するかということではなくて、例えば支払いがあったときに当期の損金として計上すべきか、まだ確定していないから送るかどうかということを決算調整のときには考えなければいけないのだろうと思いますが、予測して様子を認識しながら適切に業務計画の見直しや業務基準の見直しを行っていく。
あるいはその資金調達とか、財務の問題を管理するという点でいいますと、決算調整というものが終わらないと何も考えられませんという体制では、それこそ民間の会社と同じようなコンプライアンスとか、説明責任、プロセスという点で私はむしろ困ると思うわけです。
そういう意味でいえば、簡単な日計表を集約したようなものでもいいから、ぜひ細かい間隔で管理していただいて、それから、この委員会で報告したり、説明していただくかどうかは状況にもよりますが、やはり説明する必要が出てきたと認識される状況のときには遅滞なく部会を招集する必要が、部会長としてはあると思っておりますのでご認識いただきたいと思います。
今野理事長
部会長のおっしゃるとおりでございまして、実際どうなっているかということをご参考までに申し上げますと、実際の収支に影響する出入りというのは数が限られておりまして、1つは引受、1つは保険金、もう1つは資産の運用ということです。
資産の運用は国債等で非常に安定的にやっておりまして、これは大きな変動がないものですから、毎月この引受の実績と支払いの実績、それから、支払いにつながる決済自体の報告の統計は毎月締めております。
それをベースに関係者の間でこれをどうみるかを検討いたしております。これは営業の現場の者も入れて、まさに現場の感覚を聞きながら、毎月この数字は相当詳細にフォローいたしております。
岩村部会長
ありがとうございました。それでは、その認識でこの中期計画中の計画その他については承認するということにしていきたいと思いますが、ほかにございますでしょうか。
横田委員
よろしいでしょうか。些末かもしれないのですが、目標の「広報・普及活動とニーズの把握・反映のための体制整備」というところで第二期と変わったところとして、ニーズ調査を定期的に行うというのが第三期で入ったわけです。
これがどれくらいの規模で、どんなことを変えて、あえてこの目標として掲げられていらっしゃるのか。
今までは聞き取り調査などをなさっているという話を伺っているわけですが、あえてここで「定期」という言葉を入れるということはお金もかかるのではないかと思われます。それには何か意味がございますでしょうか。
岸本貿易保険課長
中身については、実は変わっておりません。毎年1回調査をしているわけですが、その書きぶりが必ずしも正確ではなかったということで、利用したことがない利用者と既存の利用者について年に1回調査をしているということでございますので、それを正確に書き下したと理解いただければと思います。
清水委員
「(4)重点的政策分野への戦略化・重点化」という項目ですが、従来から資源・エネルギーの安定供給確保支援というのは項目がございました。それから、環境社会構築への支援が新たに入ってきたわけですが、我々の認識としては、環境対応は以前から項目があったと思います。
ここに来て、これまでにはなかったポイントとしては、その金融危機への機動的な対応だと思われます。
事業環境認識としまして、もう1つ、国内市場が非常にシュリンクしてきており、その裏返しとして日本の産業の海外展開がクローズアップされてきているという面があるかと思います。
企業統合等にそれが反映されているという面もありますし、海外にどんどん現地の子会社をつくっていく。あるいは現地のローカリゼーションというものと、ある意味でそれは表裏一体の関係なのかもしれませんが、そのような市場環境というものがここに来て大きく特徴づけられてきている。
そういうものが重点政策の中でどこかに反映されているだろうかとみたときに、資源・エネルギーの安定供給確保支援や、中堅・中小企業の国際展開支援等がある意味でそれに相当するのかもしれないのですが、もう少し国内市場の大きな変化、人口減であるとか、競争環境といった観点から企業がどんどん海外展開していくことに対する保険としての重点的な政策対応という部分がどこかで読み取れるともっと良いかなと思います。
また、原子力の海外展開というところで、「米国等」と入れた意味は何でしょうか。現実には、日本の原子力政策として海外展開を非常に積極的に行っておられますが、中近東やアジアなども対象に活動しておられると承知しておりますので、あえて「米国等」と入れる意味についてお聞きしたいと思いました。
岩村部会長
2点承りました。1点目は、書きぶりや目標の位置づけの仕方そのものについてのお考えですので後で議論することにさせていただいて、2点目の「米国等」と入れたところは岸本課長から説明をお願いいたします。
岸本貿易保険課長
政策的には、一昨年来、日米の原子力協力の枠組みの中でアメリカの原子力発電所設立に対して日本も協力していくといった大きな政策目的がございまして、その枠組みでアメリカとの協力というのは政策的にもかなり重要性の高い位置づけになっているということでございます。
それから潜在的なということでございますが、現実にも実際の付保ニーズを伺いますと、アメリカというのはかなり大きな市場として企業の方からも格別な関心があるということでございますので、決してアメリカに限るわけではございませんが、「米国等」という形で特記させていただいた次第でございます。
岩村部会長
よろしいでしょうか。それでは2点目ですが、お答えいただく前に委員としての私の意見を少しだけ申し述べさせていただきたいと思います。
その点について、私も実はこの案をみたときに全く考えなかったわけではないのですが、ただ、現在の情勢をみますと、国内における雇用確保の問題が大変大きな政策課題に持ち上がっていることは確かであります。
そのときに国内の事業環境の悪化を受けた海外での事業展開を支援するという言い方を余り大きく掲げるのはいかがなものかなと思います。ほかの政策目的の中で吸収できればそれでよろしいのですがというように思いましたので、私は事務局にもNEXIさんにも何も意見を申し上げなかった点です。これは委員としての意見でございます。
岸本貿易保険課長
一般論といたしまして、やはり国内市場の成長が大きく見込まれない中で、海外市場展開を図っていくという政策ニーズがあるということは理解しておりまして、おっしゃるとおり、中堅・中小企業の国際展開支援や、環境関係、そもそも貿易保険自体がそういう制度であろうと認識しております。
簡単にしか書いてございませんが、サービス分野と新たな国際展開が期待される分野の対応というものも、先ほど例として示させていただきましたように、小売・流通業などが国内市場はもう成熟市場ということで海外進出をいろいろと検討しているようでございまして、その中で貿易保険の支援というものが使えるのではないかといっているということで、全体として、すべての項目にそうした要素が入っているのではないかと思っております。
そういったものをどこかに書き込む点につきましては、書き込んでもいいかという気もしていたわけですが、岩村部会長がおっしゃったように、まさに金融危機の中で各国とも国内産業保護であるといった慎重な配慮が要求されるような状況になっておりますので、殊さらにそれを書くのがいいのかどうかというのは、部会長の話などを聞きながら感じたところでは、あえてそこまで特記する必要はないのではないかと考えている次第でございます。
岩村部会長
そのように私も経済産業省も考えております。よろしければ、この案のままで了承ということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
清水委員
そこまで思いが至っておりませんで、失礼いたしました。結構でございます。
岩村部会長
清水委員のお立場からはそのようにおっしゃっていただくべきであるし、おっしゃっていただかなければ困るという面がございますので、ぜひそれはご発言として尊重させていただきたいと思っております。そのようにご理解くださいませ。よろしくお願いいたします。
岸本貿易保険課長
あと1点補足させていただきますと、そのサービスのあたりに「官民連携によるインフラプロジェクトの推進」ということも書かせていただいております。
これは読んで字のとおりですが、まさに世界経済が縮小していく中で、アジアのインフラ整備などで世界の需要を支えていくことが重要ではないかということが政府内で議論されておりますが、そうしたことを今後政策的に応援していくこともあるのではないかということも念頭に置きつつ書かせていただいたくだりでございまして、そうしたところも、まさに清水委員のご指摘につながってくるところではないかと思っております。
岩村部会長
ありがとうございました。論点は一応一通りいただいたと思いますので、審議といたしましては、NEXIの第三期中期目標(案)、中期計画(案)につきまして、本案どおり了承ということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
それでは、先ほど事務局から説明がありましたとおり、中期目標(案)及び中期計画(案)については、財務省と協議することになっているとのことでございますので、もう一度今日の議論を振り返って、字句、表現、趣旨などについて補足や整理すべきことがあれば、それも取り入れた上で事務局と調整したいと思いますので、調整についてはご一任いただいたと理解してよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございました。それでは、ご異議がございませんでしたので、本日議論いただいた案を当部会の案としたいと思います。
今後の手続につきましては、親委員会で議論していただくことになりますが、委員会での説明の仕方もご一任いただければと思います。

3.独立行政法人日本貿易保険の業務の実績の評価基準(案)について

岩村部会長
それでは、次に議題3でございますが、「独立行政法人日本貿易保険の業務の実績の評価基準(案)」について、経済産業省からご説明をお願いいたします。
岸本貿易保険課長
お手元に資料3、「独立行政法人日本貿易保険の業務の実績の評価基準(案)」をお配りしてございます。
こちらにつきまして、先ほど清水委員から特殊会社化を念頭に置いていろいろご指摘がございましたが、独立行政法人の評価基準(案)として作成させていただいております。
中には特殊会社で必要とされるようなことも反映させて、内部統制等々評価項目に入れてございますが、あくまでも独立行政法人である日本貿易保険の評価のあり方ということで作られたものでございます。
したがいまして、枠組みについてはこれまでとは余り大きく変えてございません。総合的な評価の基準、各項目別の業績評価の基準ということで整理させていただいてございます。総合的な評価の基準につきましては、業績を総合的に判断して評価を行うということで、考慮事項としては段階ごとの評価をするとともにそれを総合的に評価することとなっております。
特に前年度評価でもさせていただきましたように、監事による監査と連携した評価を行うため、監事からの監査結果を聴取した上で評価を行うということ。また、政策評価・独立行政法人評価委員会からの勧告の方向性等を反映した評価を行うということでございます。
各評価の判定の仕方でございますが、客観性を増すために「総合評価方式」というものを採ってございます。
まず、各段階評価については、Bを基準といたしまして、AA、A、B、C、D評価をしていくということでございます。
それから、各評価につきましてはウェイトづけをいたしております。最後のページにつけてありますとおり、これまでと同じく各項目、業務運営の効率化について20%、サービスその他の業務の質の向上に関する事項について60%、財務内容の改善に関する事項について20%ということで、ウェイトづけをして評価の客観性を高めるという方法を採るということでございます。
項目別業績評価の基準につきましては、これもまた前年度とほぼ同じでございますが、共通事項、中期目標上の各項目に対する評価の基準の詳細ということで、評価の基準の詳細につきましては、サービスの向上、業務運営の効率化、財務内容の改善それぞれにつきまして、本評価のポイントを書かせていただいております。
内容につきましては、これまでのとおり、内部統制や、業務の効率化に関するものについて書いてございます。以上でございます。
岩村部会長
ありがとうございました。説明によれば、要するに従前と基本的には同じである。株式会社形態への移行は予定されており、中期計画も切り替わっているが、差し当たって独立行政法人としては従前と同じ方式で評価を行い、評価基準を設置したいという提案でございますが、よろしゅうございましょうか。質問も含めてご発言いただければと思います。
これは深く議論する性質のものでもないと思いますので、今ご説明いただきましたNEXIの評価基準案につきましては、これで部会として了承、決定させていただくということでよろしいでしょうか。
(「異議無し」の声あり)
それでは、そうさせていただきます。
次にその他参考資料として配付しております「金融危機に対する貿易保険の新たな対応」につきまして、経済産業省から説明をお願いいたします。
岸本貿易保険課長
お手元に参考資料8「金融危機に対する貿易保険の新たな対応」についての資料を配らせていただいております。簡単にご説明させていただきたいと思います。
3つの対策を講じることといたしております。今年1月より実施しておりまして、いずれも海外の日系企業の3月末、又はそれを超えた運転資金支援を念頭に置いたものでございます。
まず「1.我が国企業の海外子会社向け貸付支援」ということで、3つの制度改正を行っております。
1点目が「海外子会社向けの運転資金支援」について、これまで海外資金の保険、銀行からの貸付保険の対象につきましては、設備資金を念頭に置いて保険の付保を行ってきておりますが、今金融危機のもとで運転資金が非常に厳しいということで、1年以上の運転資金につきましても支援対象とすることとしております。
2点目がその際の信用付保率ですが、海外子会社につきましては、これまでは設備資金であっても信用付保率は50%ということで、親会社が半分リスクをもっているものだという考え方で運営させていただいておりましたが、付保率については90%ということで大きくカバーすることとしております。
これは親会社支援というよりは、銀行が貸付をする際に貿易保険がついておりますと、自己資本比率の算定上のリスクアセットとしてカウントする、ウェイトがゼロになるということで、銀行としては貸付が非常にしやすくなり、銀行からの資金が出やすくなるようにということで、付保率を上げたというのが主な狙いでございます。
3点目が親会社の保証つきの場合の貸付に対する付保でございます。親会社の保証がついている場合については、基本的には親会社が保証しておりましたのでこれまでもニーズがなかったものですから、貿易保険の付保はされておりませんでした。
ただ、こうした金融危機のもとで親会社の保証をつけることによって安い料率で迅速に貸付が行えるということで、こうしたものについても貿易保険を付保する形にさせていただいております。
運用については後ほど日本貿易保険からもご説明があると思いますので、省略させていただきます。
2つ目が「貿易保険付保債権の流動化」というものでございます。これまでも貿易保険付保債権については流動化したいというニーズがあって、個別承認のもとで認めてきているわけでございますが、先ほどと同じように、特に銀行のリスクアセットの問題から貿易保険の付保がついた債権について、債権譲渡を受けるような形で融資を受ける、資金の回収を行うということで、銀行にとってもリスクアセットのカウントが軽くなります。
それから、輸出者にとってみると資金の回収が円滑にいくことから、金融を活性化することができるのではないかということで、いろいろと知恵を絞っているところでございます。
債権譲渡の場合には回収義務をだれが行使するかが問題になるわけでございますが、輸出者と銀行が連帯して回収義務を行うことを前提といたしまして、そうした個別承認を定型的に行えるようにするというのが趣旨でございます。
3つ目が「サプライヤーズ・クレジット等におけるJBICとの協調支援」ということでございますが、サプライヤーズ・クレジットにつきましては、これまでJBICでは実施されておりませんでしたが、今般の金融危機の対応として、JBICでもサプライヤーズ・クレジットを復活するということでございます。
それに対応いたしまして、日本貿易保険といたしましても、輸出者からの延べ払い輸出につきまして保険の引受けを行わせていただいているところでございます。以上でございます。
岩村部会長
ありがとうございました。以上が経済産業省として、今コミットしている政策についてのご説明だと思います。

4.その他

岩村部会長
ここでNEXIから、どういう考え方でこの状況に対処されようとしているのか、理事長からご説明をお願いするべきではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
今野理事長
この国際的な金融危機の、いわば真っ直中にあるわけですが、こういう中でNEXIの現場ではどういう気持ちでこれを受けとめて、どういう対応をしているかということについて一言ご説明申し上げます。
私どもとしましては、これは非常事態ということで、セーフティーネットとしての日本貿易保険にとりまして正念場だと考えております。この正念場の中でどのような具体的な方針で臨むかということですが、3点に集約して申し上げられると思います。
1点目は当然のことでありますが、リスク管理をきちんとする。2点目は、そうしながらも引受は積極的に行う。3点目は、グローバルな危機でございますので、国際的な連携を強化するといったこの3点に集約して申し上げてよろしいかと思います。特に1点目と2点目について、少し具体的に申し上げたいと思います。
この危機が起きまして、特に去年10月以降、状況は本当に変わってきております。数字で申し上げますと、2007年度の1年間と今年度の12月末までの9カ月の事故報告の状況を比較いたしますと、件数で2倍以上の事故報告が上がってきております。金額でいいますと、7倍程度の報告になっております。
しかも、件数、金額とも昨年の10月以降急速に上がってきております。なおかつ、内容が深刻になってきております。私どもはこの種の事故報告を今回第1段階、第2段階、第3段階と分けて内部で議論をいたしております。
第1段階は、資金繰りの問題で支払いが滞るというものでございます。今回の危機はクレジットクランチという形で起きましたものですので、当初の事故は、例えばバイヤーが銀行側の融資が滞ったのでちょっと支払いを待ってもらいたいという話。あるいは途上国の銀行は自らL/Cを発行して実質決済をしたにもかかわらず、L/Cの期限が来てもお金を払ってくれない。銀行がお金を払ってくれないというのはとんでもないことですが、結構こういうことがございました。こういう資金繰りの問題で決済が遅れるというケース、これが第1段階でございます。
この種のものは、お客様と協力しながら四方八方連絡をしたり、支払いの督促をしたりいたしますと、時間はかかりますが、いずれ決済がなされる場合がほとんどでございますので、保険金支払までには至らないケースがほとんどでございます。
これが第2段階になりますと、実際に今度はバイヤーの経営不振ということでございまして、例えば、自動車を輸入しているバイヤーが自動車を売れない。したがって、経営が行き詰まった。あるいは半導体を輸入しているバイヤーが半導体を売れない。したがって、経営が行き詰まったといった、こういう種類の事故でございまして、これは時間がたてば解決するというものではございませんので、結局保険金支払事故になります。去年の10月以降はこの第2段階の事故に入ってきております。
第3段階として、これは余り議論はしたくないところでありますが、大型のプロジェクトが世界の経済の先行き、需要の見通し、その他が変わって立ち往生するというようなケースになりますと、これはもう大変でございまして、非常に巨額の支払いに至るわけであります。
今のところ、第3段階の事故に至りそうなものはまだありません。ありませんが、こういう状況でございますので、私どもの現場では非常に神経を尖らせて、モニターレベルを上げてきております。
よく船を例えにして内部で話が出るわけですが、普通の天気晴朗なときは甲板で見張りをしている人が何時間に一回か「異常なし」と報告すれば良いのですが、あらしになりまして三角波が来ているときは、直ちに三角波がこちらに向かっているということを報告してもらって、舵を切りまして三角波を除けませんと船が沈没するわけであります。
今はそういう状況でございますので、内部は非常に緊張度を高くして世界じゅうの情報を収集し、かつ、内部での流通、分析を迅速に行えるように努めているところでございます。
引受ですが、もちろん輸出が急速に落ちておりますので、短期の輸出保険引受は減ってきております。減ってきておりますが、先ほど委員からご指摘がありましたように、リスクも大きくなってきているものですから、従来保険を掛けていただいていないお客様、あるいは従来のお客様ではありますが、保険を掛けていない範囲の案件などの付保の要請が多くなって来ております。
また、中には民間参入に伴いまして、今まで民間保険会社にお願いしていたが、突然できなくなった。枠が狭められたので、またNEXIの保険を使いたいというお客様もございます。これはもちろん積極的にお引き受けをいたしております。
それでも短期のそのような輸出保険の引受の金額は全体としては減ってきております。ただ、中長期貸付の件等を含めて全体をみますと必ずしもそうではございませんで、こういう危機の中で、これを1つの重要なビジネスチャンスとみておられるお客様も多くございます。
非常にリスク管理は厳しくしながらも、資源の利権、国際的な利権、あるいはM&Aといいますか、海外の経営資源を買収するといったことについては、何しろ海外の相場は下がっており、かつ、円高でございますので、このチャンスをきちんと物にしないと明日の発展は図れないということで、脇をかためつつもチャンスをねらうといった企業姿勢のお客様も多くございます。
これに対しましては、私どもはむしろ積極的に背中を押すというと言い過ぎかもしれませんが、そういったことをしなければいけないと考えております。
実はその辺の案件のお申し込み、ご相談は大変増えてきております。もちろんこういう危機の中でございますので、玉石混淆の面があろうかと思います。私どもの現場ではお客様とじっくりご相談しながら、見極めながら、しかし、とにかく背中は見せないように、ひるまないように一つ一つお引き受けするという態度で臨んでいるところでございます。
それと同時に、こういう危機の中でありますと何が起きるかわかりませんので、お客様に対して積極的に情報を集める、ご要望を集める、あるいはいろいろな懇談会をするといった努力をいたしております。
その中で今回のような対策が出てきたわけであります。先ほど岸本課長からご説明がありましたように、今回の対策の背景にありますのは、やはりこの「liquidity crisis(流動性危機)」でございます。
これは日本と海外の状況は非常に違っております。欧米諸国では銀行間の取引そのものが凍結状態にありますので、お金そのものがないわけでございます。
ところが、日本の場合には日本の三大銀行は、幸いサブプライムローンそのものには余り大きく傷ついておりませんで、お金そのものは欧米のように本当に枯れてしまったということではない状況のようでございます。
ただし、最近になりまして、株価が下がり、実体経済も悪くなったため貸付先の経営状況が落ちてくるということでリスクが上がってきております。そうなりますと、このバーゼルIIとの関係でリスク自己資本比率の問題で、リスク損を非常にとりにくくなっているというのが今の日本の銀行の状況のようでございます。
他方、海外の日本関係企業の状況をみますと、従来はアメリカならアメリカの中で日本の子会社は運転資金等を調達しておりましたが、アメリカでもヨーロッパでもそういう銀行のシステムがうまく動かなくなった、市場でも資金調達ができなくなったということで、運転資金の貸しはがしのような状況になっているようでありまして、運転資金についての応援要望がどんどん本社に来ておりました。
本社は、もちろんメインバンクに相談するわけであります。ところがそのメインバンクは、それは貸したい。お金もある。あるけれども、リスクがとれない。非常にとりにくい。そこがネックだということでしたので、従来私どもは運転資金としての信用をとらないことにしていたわけですが、今回は方針を変えまして、1年以上の運転資金について、むしろ積極的にお引き受けしましょうということで、今回の対策案を発表したところでございます。
早速非常に殺到してきております。1兆円の枠と申しましたが、この年度内に多分過半が消化されるのではないかと思っております。
この効果でありますが、1例を申し上げますと、某日本の大手メーカーが、去年アメリカでは社債を新規発行できなかったようであります。
この大企業ですら困っていたようでありますが、1月になりまして、やっと7,500億円をちょっと引いたぐらいの社債を発行することができた。いろいろなタームで発行したようですが、それでも金利といいますか、利回りはLIBOR +300bpぐらい出さないと集められなかったということであります。
今回岸本課長からご説明いただきましたこの制度を利用されますと、LIBOR+100bp以内に収まる範囲で多分資金の調達をしていただけるようになると思います。これは非常に大きな効果があろうかと思います。
そういうことでございますので、これはとりあえず1兆円ということで様子をみたいと思いますが、このマーケットの状況をみながら今後どうするかということもまた考えていかないといけないと思っております。
これが1例でございますが、私どもは先ほど申し上げましたように、底がみえないというのが率直な状況でございますので、損害防止、損害の軽減、新たな引受の拡大の両面で緊張感をもって臨まないといけないといったことで臨んでいるところでございます。
損害防止と申し上げましたが、やはりこれはどんな事故でも少しでも早く把握して対策がとれれば、お客様にとっても損害額が少なくなりますし、また保険金を支払った場合でも後々の回収がずっと容易になります。このタイミングは非常に大事でございますので、後で後悔しないように現場の人間はみんな緊張しているところでございます。これが現在の状況でございます。
岩村部会長
ありがとうございました。ご質問等ございますでしょうか。
清水委員
最後のサプライヤーズ・クレジットのところのただし書きにおいて、政府L/G付与条件と記載されておりますが、これはビジネスの実情からいきますと、最近は政府L/G案件というのが非常に減ってきていると認識しております。
これはやはり従来どおりの運用ということなのか、それともこういうある意味での緊急対応ということで復活してきたサプライヤーズ・クレジットであるがゆえに、この辺の運用は従来よりももっと柔軟に対応するとか、その辺について差し支えなければお聞かせいただきたいと思います。
岩村部会長
これはNEXIからお答えいただいたほうがいいと思います。
後藤総務部長
結論から申し上げますと、サプライヤーズ・クレジット(S/C)については、従来どおりのラインで運用してまいる所存でございますが、政府L/G案件のみということではございません。
若干要約して書いたもので誤解を与えて申しわけございませんが、1件1件、お客様からのご相談を伺いながらとれるリスク、とれないリスクを判断してまいる所存でございます。
岩村部会長
よろしゅうございますでしょうか。それでは、少しまとめます。多分委員の皆様方と意識を共有できると思いますが、今回のようなケースは多分初めてではないかと思います。貿易保険は国の貿易保険だった時代にも大きな支払いをしたことがありますが、それはいわゆる政府リスクをバックとした大規模プロジェクトだったと思います。
繰り返しになりますが、今回は本来の貿易保険の対象である貿易そのものに大きな下方圧力がかかっているという事態での活動を求められております。
しかも、私の認識で多分間違っていないとは思うのですが、例えば経済学の教科書に出てきているように、先方の輸入業者がお金を払ってくれなくなったときに、それを場合によっては政府が保険でてん補しましょうということで運営してきたわけですが、多分この20~30年の間に日本の輸出構造というのは大きく変わってしまい、現地法人を設置して、現地法人が販売店の管理から金融に至るまですべて面倒をみるというスタイルに変わっています。
それに必要な資金は円投するのではなくて、現地で調達して為替リスクを最小限に抑えるというのが、むしろ今や貿易の基本的なスタイルになって、昔の教科書に出ていたような輸出手形をもらって、それが決済されるかどうか不安ですというような業務ではなくなっている。
しかし幸いにもというべきでしょうか。この20~30年間、世界経済は、特にこの10年以上はとても好調でしたので、貿易に対してそういう深刻な不安を覚えることはなかったと思うわけですが、それが今吹き出しているという事態になっていると思います。
そういう観点からいいますと、今までの枠組みにとらわれず、もちろんその法の枠や国際的な協定、あるいはルールの枠を逸脱してはいけないのでしょうが、今までの行きがかりや業務の基準にとらわれずに新しいスキーム、新しい方式を考えていただくべきであろうと私は思っておりますし、おそらく評価委員の皆さんもこれは認識として共通されていると思うのですが、いかがでしょうか。
それでは、そういう意見が委員からありましたということで、このお話を承ったことにしてよろしゅうございましょうか。ありがとうございました。
それでは、本日の議題はすべて終了いたしましたので、これで部会を終了させていただきます。事務局からご連絡をお願いいたします。
岸本貿易保険課長
本日ご審議いただきました中期目標(案)、中期計画(案)につきましては、この後財務省と協議をいたしますとともに、2月16日に開催されます評価委員会で岩村部会長にご出席賜り、趣旨説明をいただく予定でございます。
この後修正がございましたときには岩村部会長と相談の上、調整させていただきまして、皆様にもご連絡させていただきたいと思っております。
次回の貿易保険部会の開催につきましては、また改めて部会長とご相談の上調整させていただきますので、その節はよろしくお願いいたします。以上です。
岩村部会長
それでは、本日は活発なご議論ありがとうございました。
以上をもちまして、「第24回日本貿易保険部会」を閉会いたします。まことにありがとうございました。

――了――

 
 
最終更新日:2009年8月14日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.