経済産業省
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審議会・研究会

産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会商業部会合同会議(第3回) 議事録

平成16年10月21日(木)
於・経済産業省17階国際会議室

経済産業省


開会


○上原議長 本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。定刻になりましたので合同会議を開催したいと思います。


委員紹介及び配付資料の確認


○上原議長 早速でございますが、事務局から本日の合同会議に初めて出席なさる方の御紹介と配付資料等について確認の作業をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○河津流通産業課長 それでは、本日合同会議に初めて御出席していただきます委員の方々を御紹介させていただきます。
 東京大学大学院教授の浅見委員でいらっしゃいます。今日プレゼンをしていただきます。
 それから、青山学院大学経営学部教授の三村委員でございます。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の「配付資料一覧」の下に委員の皆様方には資料1から8までお配りさせていただいております。恐縮でございますが、傍聴の方々には7番までになっております。もし不足等がございましたら、事務局の方に御指示いただけますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
○上原議長 資料8は前回の議事録です。これは委員の方にのみに配付しまして、文言の修正等をしていただいております。内容につきましては既にそのときに御確認させていただいておりますので、これを公表してよろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕
○上原議長 それでは、公表させていただきたいと思います。よろしくお願いします。


本日の議題について


○上原議長 それでは、本日の会議について御説明させていただきます。
 まず、前回、藻谷委員によるプレゼンテーションがありました。その後、時間の制約がありまして御質問あるいは御意見等を聞く暇がなかったので、今回、事務局の方で簡単なメモをまとめております。まず、それについて事務局の方から御説明いただきたいと思います。というのは、藻谷委員は少し遅れて御出席になりますので、後の議論のときに藻谷委員にも参加してもらう、そういう形をとりたいと思います。
 続きまして、日本及び諸外国の制度等につきまして、まず浅見委員から「日本の制度等について」、次に中井委員から「イギリスの制度等について」、それから原田委員から「アメリカの制度等について」、それぞれ御紹介をいただきたいと思います。この3人の御紹介があった後、質疑及び講論を進めていきたいと思います。


前回の論点整理について


○上原議長 では、最初に、事務局から藻谷委員の前回のプレゼンテーションのメモについて御紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○河津流通産業課長 お手元の資料3でございます。「前回合同会議の論点整理について」ということで、恐縮でございましたけれども、藻谷委員にお願いいたしまして1枚の紙に整理をしていただきました。後ほどの質疑の際には藻谷委員も御出席でございますけれども、事務局の方から御説明をさせていただきます。
 「第2回合同会議におけるプレゼンテーションの内容を整理すると以下のとおり。」ということで、3点に整理されておられます。
 一つは、商業は、まちづくりを考える上での要素にすぎず、まちづくりを成功させるためには面的な再生ビジョンが必要であるというポイントでございます。
 「まち」の衰退の要因は多種多様であります。具体的には、そこに三つの例が書いてありますけれども、郊外に大型店がほとんどないのに衰退している例として木更津、あるいは富士もあるのだそうでございます。それから、住居や公共施設の郊外化により衰退をしている例として秋田市、佐賀市。それから郊外への大型店の出店が加速化したことにより衰退している例として横手市があるということでございます。
 それから、大型店対中小店の対立構造や道路と駐車場の施策が中心市街地活性化策だという意識が強調され過ぎている。大型店比率が高くても中心市街地が繁栄している例(山口市、熊本市)もあるということでございます。
 それから、商業という「花」を咲かせるためには、住居という「根」、あるいは企業の事業所という「葉」、病院・学校・役所等の公共施設という「茎」も必要である。郊外開発抑制を行うのであるならば商業施設よりも住宅を抑制することが重要であると、こういうプレゼンテーションでございました。
 それから、最後の方でございましたけれども、2点目、3点目のプレゼンテーションがございました。2番目は、地方自治体は、中長期的視点からの地方財政を勘案して施策を講じることが必要である。郊外に住む住民の目先の利便ではなく、欧米のように固定資産税を重視した地域施策が重要である。逆に言えば、日本の場合は以下の認識が地方自治体に希薄である。固定資産税は、地方税収の最大の稼ぎ手であり、市街地の建物の更新投資を促進することが重要だ。他方で、郊外に道路や下水道を敷くと、その補修コストは自治体の負担増になる。こういったことを考えて、長期的に税収という観点での地方財政を考えた施策が必要であるというお話がございました。
 3点目は、まちづくりの主要プレーヤーとして、これまではあまり認識されていなかったけれども、地権者というものを位置付けて、意識改革を求めることが必要である。商業床面積が過剰になっているのに、景気が回復すれば市街地の空き店舗にテナントが埋まるという期待から空き店舗のままにしておられる地権者がいるけれども、それは幻想であろう。空いたままにしておく、賃金を下げたくないというよりも、次のテナントを入れることを優先すべきである。すなわち、賃金を下げてもまず入れる。前回はたしか「損をして得を取れ」ということをおっしゃられたと思いますが、この大きく3点がポイントであるということで整理をいただいたところでございます。
 御説明は以上にさせていただきます。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告も後の議論の素材にしていただきたいと思います。


日本及び諸外国における関連制度等について
・浅見委員からのプレゼンテーション



○上原議長 それでは次に、浅見委員、中井委員、原田委員の順番で、20分程度で御説明をお願いしたいと思います。
 浅見委員には都市計画を中心とした御説明をお願いしておりますが、日本の都市計画法は極めて膨大な法典でございまして、私たちにとってなじみの薄いものですので、要点を絞って制度の本質について御紹介していただき、以後の私たちの議論の共有情報としたいので、そういう位置付けでお話をお願いしたいと思います。
 それから、中井委員にはイギリスの、原田委員にはアメリカの制度について御説明いただきますけれども、こうした制度には大きく国民の意識や文化がかかわっておりますので、そちらの方の理解も深めるような御説明をしていただければ幸いでございます。
 おのおの20分程度ですが、よろしくお願いいたします。それでは、浅見委員からお願いいたします。
○浅見委員 浅見です。よろしくお願いします。資料4をご覧になってお聞きいただければと思います。日本の都市計画制度について話せということで釈迦に説法という感じですが、実は宗教も宗派が変わればいろいろ変わってくるように、都市計画もある統一した考え方があって、それにすべて従っているというわけでもございません。そういったことも含めてお話をさせていただきたいと思います。
 まず「都市計画とは?」ということで広辞苑を引いていますけれども、随分広い範囲を扱うのだということがおわかりいただけると思います。我々が都市計画と言ったときには、最近は都市のマネジメント的な話も含めようという動きがございます。ただ、古くは物的な計画部分を指していたと思われます。
 どうして都市計画が必要なのかということを考えるためには、都市計画がないとどうなるかということを考えてみればいいと思います。例えば、ほうっておくと、必要な都市施設がない、十分な道路がない、公園がない、それから土地利用間の整合性が失われて外部不経済性が大きくなってしまう、あるいは無秩序な土地利用によって非効率な都市構造になってしまう、あるいはよりよい都市運営ができなくなるということになります。ここであえて1行空けておりますのは、最後の考え方はそれほど意識されていない、ないしは意識されていなかった部分だからということです。
 スライドの4ですけれども、こういった問題についてどうしたらいいのかということです。だったら当然計画的に供給すればいいということで、都市施設という考え方が出てくるわけです。それから、土地利用間の整合性がないことについては、何かしらの外部不経済を調整する手段として規制手段を設ければよい。例えばゾーニング、用途地域という形でそれを規制するということがございます。それから、無秩序な土地利用によって非効率な都市構造となるというのは、いわゆる線引き、市街化区域とか調整区域というような線引きをするとか、場合によっては再開発を行うといったことにもなると思います。よりよい都市運営ができなくなる、この部分もちょっと弱いということで、恐らく今回のような問題が起きているのではないかと思います。
 次のページをご覧いただきたいと思います。「(日本の)都市計画の枠組み」のところですが、都市計画では大きな方針としてマスタープランを定め、全体の方針を唱うわけです。そして、個々の手段としては、まず規制手段として主としては用途地域によって用途の規制とか建物の形態の規制をするわけです。それから、都市施設を整備するということで道路とか公園等の事業を行う。あるいは事業的に拠点的なところを再開発したり、あるいは区画整理をして市街地を広げたりといったことをいたします。
 こういったことを行うわけですけれども、特に、都市計画の規制の意義と事業ないし施設の意義をお話ししたいと思います。
 まず都市計画の規制の意義ですが、簡単に言ってしまえば都市においては外部経済性・不経済性がございます。例えば集積することによって都市ができて、それで利便性が増すとか、そういったことがございますから、かなりプラスの面もございます。だからこそ都市が存在するのだというのが都市経済学の大きな議論になっているわけですけれども、実はある程度集積すると逆に不経済性も発生してしまうわけです。外部不経済性がありますと、都市計画がないような形で市場に任せておいても必ずしも適切な土地利用にはならないということがございます。
 そこで次のページですけれども、外部経済性を減らす方法として、何らかの形で市場を補完することが必要になるわけです。例えば、外部経済性・不経済性を計測して、それを調整するような仕組み、これは実際にはなかなかございません。ある土地利用があったときに、それがほかに対してどれだけ悪い影響を与えているのかということは、今は単純には計測できないような形になっております。もう一つは、当事者に任せてしまう。実際に当事者が交渉して、場合によっては損害賠償等を請求したりして納得させてしまうこともございますが、どちらにしても膨大な社会的コストがかかることになります。
 そうしますと、次善の策として考えられるのが規制的手段でして、実際にはここの部分は低層の住宅地にしましょう、そして低層住宅地に合わないような土地利用はなるべく配置しないようにしましょうというような決めをするわけです。それによって外部不経済性が高くなりそうな都市活動の組み合わせを未然に防ぐということをやっている。これがまさに用途地域の内容になるわけです。
 次に事業の意義は何かということですが、都市においては多くの人々が使う施設がございます。公園とか道路といったものが大きな例だと思います。これはあえて言えば地方公共財的なものですけれども、これは一般に任せておくと、だれでも使えるわけですから、それに対する負担を求められたときに、本来、適切な負担料ほど負担しないという動機が発生してしまうために、どうしても過少供給になってしまうことがございます。それを防ぐために都市施設は公共的に供給する、こういった位置付けをすることができるわけです。
 次のページに地方公共財に分類し切れないかもしれないような事業も幾つか書いてありますけれども、大きく分けるとそういうところになるのだろうと思います。
 では、それを受けて都市計画はどういう仕組みになっているかというのが、4ページのスライド番号15からになります。例えばスプロールの防止とか土地利用配置の適正化、土地有効利用、住環境の改善、こういったことを目標としておりますが、歴史的にはスプロールの防止や土地利用配置の適正化といったところがかなり大きなものとして土地利用コントロールというものが生まれました。
 土地利用コントロールには、大きく分けてゾーニングと言いまして、ある一定の水準を満たせば開発を許可しましょうという比較的簡易な方法をとるものと、地区の詳細計画と言いまして、かなり計画を仕切って、そのとおりにつくっていきましょうといった手法がございます。前者の方は開発速度が速いといいますか、特に高度成長期の日本のような経済状況・社会状況ですと、かなりスピード速く対応しなければいけませんので、こういった画一的対応が社会システムとしても効率的になるわけです。一方で詳細計画というのは、開発速度が遅い場合に個別的対応ができます。ただ、これの良い点は、敷地ごとに審査するのではなくて集団的な状況としてどうかということが審査できますので、長い目で見ると社会的な整合性をより高めることもできる可能性があります。
 ただ、日本の場合、市街地の開発速度が速かったこともございまして、ゾーニングの手法をとってきたというのが現状です。もちろん地区計画という制度もございますけれども、どちらかと言えばゾーニングがメインだったというふうに考えていただけばいいと思います。
 5ページ以降に「日本の都市計画システム」というのがございますけれども、先ほど上原委員がおっしゃいましたように、よく御存じのことでしょうから、ここはごく簡単に申しますけれども、マスタープランをつくって、土地利用規制、都市施設、ないしは市街地開発事業を定めるということです。
 例えば土地利用規制としては、区域区分ということで市街化区域、市街化調整区域、ないしは地域地区ということで用途地域、用途地区、あるいは地区計画、それを担保するのが建築確認、場合によっては開発許可ということになります。
 用途地域については、スライド20にあるようなもので、これはよく御存じのとおりだと思います。それから、建築規制は、こういった用途地域に対応しまして、例えば容積率や建蔽率といったものを規定して、建物の形態についても規制をするということになるわけです。
 24のスライドだけ少しお話ししたいと思います。日本ではどちらかと言えば階層的な考え方をとっています。これは何かといいますと、都市計画がもともと発生したのがどちらかと言うと外部不経済性を未然に防ごうという動機ですので、外部不経済性の大きいものほど厳しく規制をしようという判断がございます。歴史的には工業が一番外部不経済性が高いと考えられていまして、次が商業だということです。
 ここに「住居〉商業〉工業」という形で書いていますが、これはどういうことかと言いますと、工業が一番規制が厳しくて、次が商業で、住居はほとんどどこでも立地できるということになります。ただ、こうしてしまうと矛盾が生じることがございますので、工業専用地域として住居系は不許可であるというような地域も定めることになっております。
 次のページには地区計画等がございますが、詳細は省かせていただきます。
 都市施設もこういったものがございます。
 都市計画システムの課題ということで8ページに6点ほど挙げておりますが、まず最初は参加です。最近、特に住民参加、パートナーシップという言い方をすることもありますが、いろいろな方々の参加が必要であるということで、歴史的にだんだん参加が広まってきております。最初は公聴会の仕組みをつくったり、パブリックコメントの仕組みをつくったり、住民参加のまちづくり協議会をつくるとか、あるいはインターネット活用の参加、こういったことが最近行われてきます。今後はもしかするとバーチャルリアリティ体験などもできるような形になっていく可能性がある。参加というのが一つの流れです。
 それから、「効力」というスライドがございます。もともと建築基準法などは3大ざる法などと言われていましたけれども、その効力を高めるような方向にいろいろと動いております。以前ほど建築確認を受けないような、そういったことが減ってきているところがございます。
 その次のページにまいりまして「アカウンタビリティ」というスライドがございますけれども、規制の合理性をかなり求めるようになってきました。例えば容積率規制でなぜ400%なのか。なぜ500%ではいけないのか。こういったことを以前は“決めたのだから”ということだったのですが、それに対する合理性が求められるようになってきた。そうしますと、どうしても理解しやすい、ないしは説明しやすい規制でなければいけない、そして実施しやすい規制でなければいけない。また、例えば住環境を守るなど、そういった政策目的に対して有効でなければいけない。しかも、市場性ということを考えると、価値を増大することに直結するような規制でなければいけない。こういったことが最近大分言われるようになってきた。
 それから、4)ですけれども、最近、特に規制緩和の動きがあります。この規制緩和の動きに対して都市計画の側で懸念されているのが、例えば住環境の悪化の懸念がございまして、このバランスをとるのにどうしたらよいかということが現在課題になっております。
 一例として私どもの行いました分析例がございます。実際に住環境の個々の日照が阻害されることでどれだけの経済的価値が失われているかということの計測は、最近は細かいデータが使えるようになってきましたので計算できるようになってきたわけです。
 その結果は書いてありませんけれども、その応用例の一つとして10ページの37というスライドをごらんいただきたいと思います。例えばこういった戸建て住宅地にミニ開発が行われるようなことはよくあるわけですけれども、例えばLot Aのような場合、計算してみますと、この単独の敷地では細分化した方が不動産価値は上がるんです。一敷地で考えると上がる。ところが、この街区全体で見ると下がるわけです。つまり、Lot Aが細分化したことによって、ほかのところでは通風性や日照性が阻害されますので、全体としては下がる。
 こういう場合に都市計画はどういう考え方をとるかと言いますと、全体としてプラスになるものはプロモートしよう、しかし、そうでないものについては不経済性を何らかの形でコントロールしようということになるわけです。だからこそ例えば敷地の最低規模規制が必要なのではないかという議論があったりするわけですが、この例が典型的な例を示しているのではないかと思います。
 それから、39のスライドに移りますけれども、集合性の欠如でございます。現在、都市計画では建築確認という形で敷地ごとには審査をしているわけですけれども、その敷地と周辺との敷地がどういう整合性を持っているのかということに対するチェックが必ずしも十分には行われていないことになります。「敷地主義」と書きましたけれども、これが都市におけるいろいろな不調和の源泉、近隣関係における不調和の源泉であろうと思われます。
 新たな対策としては、スライド41に書きましたけれども、敷地単位ではなく、街区ごとの何らかの審査ないし計画許可みたいなものも必要ではないかという議論もございます。そのためには、42のスライドにございますが、実はいろいろと技術的に難しい問題がありまして、そういったものがクリアされなければいけない、研究されなければいけないということになります。
 それから、スライド43で「適正な動機付け」とあります。今までの都市計画は、どちらかというと、こういう市街地であるべきだという規範的な像があって、それに近付けようというような考え方をとることが多かったわけですけれども、そういった市街地像に近付いていくために人々がどういう動機を持っているか、どういう動機付けをすればよいのかというところがやや弱かったわけです。そこの部分をシステムとして考えていく必要があるだろうということが現在大きな課題になっているということでございます。
 12ページ以降ですが、「大規模ショッピングセンターの立地」ということに関連して考えてみます。
 まず、都市計画の意義に立ち返りますと、計画的な都市施設の供給、土地利用間の不整合、外部不経済性の調整、あるいは非効率な都市構造、こういったことがあるわけです。例えば大規模なショッピングセンターが郊外にできた場合、もし大きな外部不経済性が発生していれば、これは都市計画において何らかの調整の必要がある。あるいは、ショッピングセンターが都市構造を歪めているということであれば是正の必要性があるということで、ここで都市計画と関連してくることになります。あるいは、都市運営上の障害。藻谷委員のお話にもあったようでありますけれども、そういったことがもしあるのであれば、より適した形態へ誘導する必要があるということになります。
 問題となりますのは、そういった外部不経済性がどのぐらいなのか。これは少し分析をする必要があるだろうと考えますが、例えば交通需要の偏在化があるとしますと、その部分を何らかの別の形で都市に貢献する仕組みが必要だろうということでございます。あるいは商業核の二分化ということが実際にあるわけですけれども、これに対しては、例えば中心市街地において創意工夫を生かせるような仕組みづくりが必要かもしれないと思います。
 それから、「非効率な都市構造」というところがございますけれども、都市域の不連続性ということの行政コストがどれぐらいであるか。もちろんコストが発生することはわかるわけですけれども、それがどのぐらいかということも考えつつ、これに対していかなければいけないだろうと思われます。あるいは、よくコンパクトシティということが言われまして、自動車依存型から徒歩依存型にということがございます。これに対しても、そういったスタディが必要ではないかということで、そういったスタディをした上でこの問題に対処しなければいけないだろうと思われます。
 最後は駆け足でしたけれども、大体20分になりましたので、これで終わりにしたいと思います。
○上原議長 どうもありがとうございました。短時間でよくまとめていただきまして、ありがとうございます。


・中井委員からのプレゼンテーション


○上原議長 それでは、中井委員からの御説明をお願いしたいと思います。
○中井委員 私それでは、「イギリスの中心市街地活性化」ということでお話しさせていただきます。スライドも映りますけれども、ひょっとするとお手元の資料の方が見やすいかもしれません。資料5でございます。
 まず、「郊外」との対比で「中心市街地」と言うときには、イギリスでは大きく二つの地域がございまして、一つはタウン・センターと呼んでいる地域、もう一つはタウン・センターのすぐ外側に広がるインナー・シティと呼ばれている地域です。地域的な特徴を申し上げますと、タウン・センターはどちらかというと商業が中心になっている、いわば都市のまさに都心部といったような意味合いがございます。インナー・シティは都心部のすぐ外側に広がっております。これは伝統的な製造業を中心とした地域というふうにお考えいただければよろしいかと思います。今日は主にタウン・センターの方の話を中心とさせていただきたいと思います。それから、計画の手法についてはネガティブな手法とポジティブな手法がありまして、ネガティブというのは主として規制を通じた計画、ポジティブというのは事業を通じた計画というふうにお考えいただければよろしいかと思います。
 そういう仕分けで中心市街地の再生策が全体像としてどうなっているかということを示したのが、この表でございます。タウン・センター、インナー・シティ、それからネガティブ、ポジティブ、それぞれの計画手法において中心市街地再生策としてある。今日お話しするのはそのごく一部でございまして、主として左上の特定用途の立地規制というところに限ってお話をさせていただきたいと思っています。しかし、現実的には、開発誘導とか、あるいは先ほど浅見委員からもありましたような都市の管理の話とか、あるいは住宅の供給策とか、いろいろな策がトータルにパッケージとして行われているのがイギリスの中心市街地再生策の全体像でございまして、今日はそのうち左上のところに限ったお話、あるいはそこを中心としたお話とさせていただきたいと思います。と申しますのは、こういう全体像の中で、黄色で示されているところだけがいわゆる都市計画がかかわっている部分でございまして、それ以外のところは都市計画以外の手段を通じながら行われているわけです。
 これがそれをまとめたものです。特にこれから御説明いたしますけれども、イギリスの都市計画というのは規制を中心とした手段ですので、もともと規制というのは活発な開発圧力があるという前提で機能を発揮するような構造になっておりますので、中心市街地のように停滞あるいは衰退過程に入った地域、活発な開発圧力のない衰退過程にある地域では、規制手段だけでは極めて限定された役割しか担えないということがございます。したがって、イギリスの場合、規制を主たる手段とする法定都市計画は、郊外の立地規制を通じて中心市街地の活性化に寄与するということになろうかと思います。
 都市農村計画の基本的な構造をこれから御説明いたしますけれども、実は今年の夏にかなりの程度の改正が行われておりまして、これから御紹介するのは古いバージョンでございます。といいますのは、現実の運用はまだ古いバージョンが続いているわけですし、これまで行われてきた政策を説明するにも古いバージョンの方が適当ですので、少し古いバージョンで説明させていただきたいと思います。
 イギリスの都市農村計画は、もともと戦後の1947年にほぼ現在の体系がつくり上げられたわけですけれども、大きく言いまして二本柱からできております。先ほど浅見委員から日本の都市計画の体系は非常に膨大で複雑だというお話があったわけですけれども、それに比較いたしますとイギリスの都市計画は極めて単純でございまして、真ん中に書きましたように開発行為を個別に許可することによって都市をコントロールする、これがイギリスの都市計画のほぼすべての内容でございます。
 したがって、二本柱の大きな一本の柱は開発規制でございます。これは、すべての開発行為が地方計画庁-これは主として基礎自治体だとお考えいただければよろしいかと思いますが、地方計画庁からの許可(計画許可)が必要となります。
 二本柱の一本の柱は開発規制なわけですが、もう一本の柱は何かと申しますと、開発規制を行う際のある種の指針といいますか、基準に当たるようなものが必要なわけでございまして、これをデベロップメントプランと呼んでおります。これは地方自治体が策定することになっております。したがって、個別に開発行為が登場したときに、デベロップメントプランの中身に基づき、それを審査して許可するか許可しないかという判断を下す、これがイギリスの都市計画のほぼすべてというふうに考えていただいてよろしいかと思います。
 もう一つの特徴として、「都市計画」と申しましたが、実は正確には都市農村計画でございまして、国土のすべてを一本の法律体系でカバーするという形になっております。したがって、都市と農村部、非都市部と言ってもよろしいかと思いますが、これらすべてが開発規制によってコントロールされているというのがイギリスでございます。
 さて、二本柱の一本の方のデベロップメントプランですけれども、これは地方自治体の地域全域をカバーする都市農村計画のいわばマスタープランでございまして、開発規制の基準として機能いたします。ただ、日本の開発規制は、主に技術基準、つまり開発が満たすべき水準を定めたものですけれども、イギリスのデベロップメントプランというのは、技術基準的な部分も含まれてはいますが、それはごく一部であって技術基準ではないと言った方が適切かと思います。つまり、これは開発方針の文書でございまして、立地場所とか開発のタイミング、あるいは開発の内容をここで決めているというわけです。
 もう一つは、基準と言いますと、それを守っているものは自動的によくて、守っていないものは自動的にだめというふうにお考えになるかもしれませんが、イギリスで言う基準はそういった意味での厳密な拘束性はございません。あくまでも最終的には自治体が判断をする。これは非常に大きな判断の基準ではあるけれども、それがすべてではない。そういう立場をとっております。その意味では自治体に大きな裁量がゆだねられた都市計画の仕組みと言うことができようかと思います。
 したがって、これは開発の基本的な方針を決めている文書ですので、十分な社会的合意を得て策定されます。主に参加ということになりますけれども、通常、数年間をかけて何千件もの意見書を処理しながら策定していく。これについてはちょっと時間がかかり過ぎて、やや柔軟ではないのではないかという批判もありますけれども、今のところ、デベロップメントプランについては基本的にはしっかりとした参加を行うという社会的合意を得た文書であるので、これに基づいて後は自治体が個別に判断を下していくというのがイギリス型の仕組みになります。
 開発規制は、開発をやりたい人が許可を申請するわけです。ややテクニカルな話をしますと、概要許可と詳細許可があります。これはよろしいといたしまして、一つ重要なことは、開発という概念は極めて広範囲にわたっておりまして、大きな工事を伴うものはすべて開発ということになります。したがって、今日は小さいものの話はあまり関係ないのですけれども、住宅の塀の改修とか外壁塗装の塗りかえといったことも開発として許可が必要になります。
 申請をしたときには、「許可」「条件付許可」「不許可」の三つが判断としてございまして、「条件付許可」「不許可」の場合は国に不服申し立てを行うことができるようになっております。
 なお、今日は「イギリス」と申していますけれども、これはイングランドの話でございまして、スコットランド等は、似てはおりますが、細部についてはやや異なった仕組みをとっている場合がございます。イングランド全体で開発申請は年間200万件ぐらいの数で出てまいります。これを自治体の方が個別に処理をするということを行っているわけです。
 さて、開発をどう審査するかというところが非常に重要なわけですけれども、先ほど申し上げましたように、一番大きなものは自治体策定のデベロップメントプランです。それから、その他任意の重大な考慮事項がございまして、大きくは三つぐらいあろうかと思います。一つは開発の内容そのものに関する事項で、例えば密度、デザイン、公共施設の水準、開発のタイミングといったものです。2番目は当該開発が周辺に与える影響、これは公共施設への負荷、環境影響といった部分です。3番目が当該開発を取り巻く政治・社会・経済状況でございまして、国の方針、地方議会の方針、経済情勢等々でございます。
 さて、開発審査とデベロップメントプランは、基本的にはデベロップメントプランとの整合性が重要視されているわけですが、必ずしもそれに100%従わなくてもいいわけです。しかし、そのような開発提案を許可しようとする際には、中でも一部の開発は必ず国に届け出なければならないことになっておりまして、そのうちの一つとして、例えば1万平米以上の小売床面積を有する開発で、これがデベロップメントプランに記述されていれば構わないわけですが、記述されていないにもかかわらずこのようなものを許可しようとすれば、国に届け出なければいけない。国はそれを見ながら判断するわけです。
 さて今度はイギリスではこういう都市計画の仕組みを通じてどういう政策的な方向性が与えられているかというところに入ったお話をしたいと思います。基本的に1990年代の前半で大きく方向転換をいたしました。
 その方向転換のきっかけとなったのは、今ご覧いただいておりますトラッフォード・センターという巨大な商業開発でございます。これが事実上イギリスでは最後の巨大なショッピングセンターと呼ばれているもので、これを契機に国内で大きな議論が沸き起こりまして、それまでは促進とも抑制とも言っていなかったわけですが、郊外型の大規模ショッピングセンターについてはそれ以降急速に抑制の方向に向いていくことになります。
 このセンターはマンチェスターの郊外にございます。マンチェスターはこのように高速道路が環状に完成しているのですが、そのインターチェンジのすぐ近くにあります。巨大な床面積で、ご覧いただくとわかると思いますが、両端と真ん中に大規模店が入っておりまして、その他は専門店街となっております。中身はこういった感じの開発です。ヨーロッパで一時よく見られた開発だと思いますが、これが事実上最後のリージョナル・ショッピングセンターになりました。ここは駐車場が1万台ぐらいございまして、バス、コーチの駐車場だけでも300台ぐらいは停められる、フードコート3000席、そういう巨大なショッピングセンターでございます。
 これを契機に国の方針はかなり変わったわけです。先ほど申しましたようにイギリスの都市計画は地方自治体の都市計画なのですが、国はどうやって国の方針を地方自治体に伝えるかと申しますと、方針文書、特に計画方針というものがございます。通常「PPG」と略しているものです。それから、日本で申しますと地方ブロック単位の計画、例えば首都圏ですと首都圏の計画といったような地域の計画(RPG)、この二本立てでございまして、二つの国の方針文書を通じて国の方針を地方自治体に伝えるわけです。
 この国の方針文書は自治体には拘束義務はございません。ただし、配慮義務はございます。必ずこれを配慮しなければならないということにはなっております。今年の夏の改正で、この拘束義務がやや強められました。したがって自治体は、事実上、国の方針から外れたことを行うことはかなり難しいという状況が発生してきております。
 このPPGはテーマごとに発行されるのですけれども、郊外部の新規開発に大きく関係するものとしては、グリーンベルトというテーマと中心市街地と商業開発というテーマ、それから田園地域の開発、この中で農業との調整という項目がございまして、これも郊外の新規開発には大きく関係してまいります。
 そのほかに実はPPG1の「総論」という部分が非常に大きく関係してきておりまして、ここにおいて、先ほど少しお話がありましたけれども、コンパクトシティ型の土地利用政策をとらなければならないことが述べられております。さらには、PPG13に「交通」というものがございまして、そこにおいては新たに自動車のトリップを発生させるような開発を許可することは基本的には避ける、あるいは抑制すべきだということが書かれております。
 さて、グリーンベルトですが、グリーンベルトというのは御承知のように大都市の周囲にリング状に設定されております。ロンドンのものが一番有名ですが、実はロンドンだけではなく、全国各地でこれぐらいのオーダーで策定されております。緑色のリング状になっているところ、ここは基本的には開発ができないとお考えいただいた方がよろしいかと思います。可能なものとして農業関係の開発あるいはレクリェーション関係の開発が一部認められておりますが、基本的に緑色の部分の開発は原則禁止ということになっております。こういうふうに大都市のすぐ近辺にあって、非常に豊かな自然環境を提供する地域になっています。
 それから、商業開発につきましては、中心市街地のVitalityとViabilityという言い方をしておりますが、つまり活力と採算性を促進することは国の目標であると明言されております。新たな商業開発に際しては、量的、つまりそれだけの床需要が必要だということと、もう一つは質的、そういった最寄り品なり買い回り品といった新たな財に対するニーズがあるということが証明されなければいけないとされております。
 その上で、こういった開発を認める際には、中心市街地内でまずそれができないかどうかを考えよう、中心市街地がどうしてもだめなら、そのすぐ外側でできないかどうかを考えようというふうに、都市の内側から外側に向かって順に敷地利用の可能性を検討すること――これをシークエンシャル・アプローチと呼んでおりますけれども、これが明記、あるいは事実上自治体に義務付けているということになります。
 それから農業との調整です。イギリスは農業も大変豊かな国ですが、農地の格付けシステムが1960年代にできまして、全体で6段階に分かれているのですが、そのうちの上位の段階については原則として農地転用が禁止されております。さらに、下の3段階については、農地転用は行ってもいいのですが、もちろん一つはデベロップメントプランにきっちりそのことが書かれていなければならないというような仕組みになっております。
 開発規制についても、こういった農地の転用については比較的厳密にどういった手続を行ってやるかとか、あるいは面積的な基準も決められているわけで、農地は比較的厳密に保護されていると言ってよろしかろうと思います。
 それから、地方単位の広域の計画、例えばロンドンを中心とする広域の計画でこういうものが策定されています。非常にラフではありますが、これもかなり大きな影響力を持った計画になっておりまして、概ねどの地域に開発を誘導していくか。これは一自治体の地域の範囲を越えて、こういったリージョンのレベルでどの地域を開発誘導していくかといったことを決めている、大変重要な文書でございます。
 今年の夏の改正では、この文書がさらに地位を上げられまして、リージョン単位の計画、広域の計画がイギリスの都市計画では非常に重要な役割を担うようになり、最近は特にその傾向が強くなってきております。これはイギリスに限らずヨーロッパ全体でそういう傾向があるというふうに私は考えております。
 それでは具体的にどういう計画になっているかということを最後に少し御紹介しますけれども、ケンブリッジシャーというところの例を御紹介したいと思います。「シャー」というのは日本の都道府県に当たるものだとお考えください。人口が67万人ぐらいのところでございまして、ロンドンから北へ60km、電車で約1時間程度のところでございます。イングランドというのは南北の格差が非常に大きい国でございまして、ロンドンの周りは大変豊かな地域でございます。とりわけケンブリッジというところは、大学もございまして、新たな産業のインキュベーターとして成長の地域にあり、開発圧力が極めて高い地域でございます。
 これが県が策定いたします広域のデベロップメントプランでございまして、二つの拠点都市、南側にケンブリッジと北側にピーターバラという都市がございますが、この二つ、それから都市の人口の集積地を規定する。ただ、いろいろな斜線等が入っておりますけれども、良好な景観区域やケンブリッジの周りにはグリーンベルトがございまして、こういうものを規定することで広域的な開発可能性を規定しているわけです。
 広域計画の一つの特徴はこういうポンチ絵でつくることになっておりまして、厳密な意味での即地性のある計画を逆につくってはならないことになっています。といいますのは、こういう広域計画では個々人の権利の内容に直接影響を与えるような計画をつくることは好ましくないとイギリスでは考えておりますので、個々人の土地に直接影響を与えるような厳密な即地性については禁じられているというのが特徴になっています。厳密な即地性は都道府県ではなくてむしろ基礎自治体レベルでやりなさいということで、それは基礎自治体レベルでやることになっております。
 県の方針文書の中では、商業系開発についてはこういった方針が記述されている。既成市街地外の大規模ショッピングセンターはケンブリッジ・グリーンベルトの外側では許可しないということが明言されています。ケンブリッジというのは成長都市でもございますので、県内の市町村に対して1~2の大規模商業系開発の可能性はある。その場合は市の既成市街地の北端部、既成市街地のエッジが適切な立地と思われるというような記述がされております。
 これを受けた基礎自治体のプランでは、大規模な最寄り品店――これはショッピングセンターと考えていただいていいわけですが、以下の条件を満たしたものということで、公共交通と自転車等によるアクセスが可能な立地であること、交通混雑を起こさないこと、周辺住環境・景観に悪影響を及ぼさないこと、それから重要なこととして市の中心市街地の活力と採算性に悪影響を及ぼさない、こういったことをチェックした上で許可しますといった記述がなされております。
 時間もまいりましたので、以上で私の説明はとりあえず終わらせていただきたいと思います。
○上原議長 どうもありがとうございました。


・原田委員からのプレゼンテーション


○上原議長 では、原田委員、お願いします。
○原田委員 ただいま浅見委員、中井委員から体系的に日本及びイギリスのことについてお話がありましたけれども、これから私がお話し申し上げますアメリカについては必ずしも体系的なお話はできない。それは私の頭の中が体系化されていないということもあるのですが、同時にアメリカの国における諸政策が全く体系付けられていないということにも大きな原因があろうかと思います。
 それから、今の中井委員のお話に関連して申しますと、アメリカにおきましても、BIDやメインストリート・プログラムのように中心市街地活性化に絡む政策もありますけれども、本日は出店規制あるいは都市開発関係に絡む規制を中心にしてお話を申し上げたいと思います。
 アメリカの出店開発あるいは土地利用等に対する規制ということに対して考えますと、日本ではアメリカでは出店規制は一切なされていないという解釈が多いわけですけれども、これは全くの誤りです。なぜそういう誤りが生じるかといいますと、アメリカでは建国のときの経過から、連邦政府にはそういう権限が一切与えられていないわけです。つまり、連邦政府は、ホワイトハウスにしてもキャピタルヒルにしても、何らかの規制をやろうと思っても、その手段そのものが与えられていない。権限はどこが持っているかと言いますと、ステイト・ガバメント、要するに州政府が持っているわけです。ただ、フェデラル・ガバメントも間接的な規制を行う可能性は残っております。
 現実に郊外のショッピングセンター開発を間接的に規制したケースがございます。これは我が国でも考えなければいけないテーマだと思うのですけれども、1970年代末のカーター政権のときに、CCG(Community Conservation Guidance)という政策がとられました。これはどういうことかと言いますと、当時、アメリカではHUD(連邦住宅都市開発省)が、中心部の再活性化、中心部の再開発のために、UDAG(Urban Development Action Grants)という補助金を出しておりましたけれども、このUDAGの補助金を受けて中心部の活性化を進めている地域に悪影響を及ぼすような郊外のショッピングセンター開発を規制しようという発想であります。
 直接規制はございませんので、どういうことをやったかと言いますと、当時、ショッピングセンターにしても住宅開発にしても、新たな開発をしようとする場合、アクセス道路とかユーティリティ・ラインを引いてこなければならない。これは州政府がやるにしても、その下の市町村がやるにしても、当時アメリカではこうした道路の建設やユーティリティの建設について60%から80%が連邦政府からの補助金で工事を行っていたわけです。そこで、UDAGと矛盾するような郊外のショッピングセンター開発を行う場合には、関係省庁はそれに対する補助金を一切出してはならないという申し合わせ事項でありまして、これはもともとexecutive order(大統領令)として発布するはずだったんですが、ICSC(International Council of Shopping Centers)、要するに国際ショッピングセンター協会が猛烈な反対運動を起こしまして、ロビーイング活動を行い、エグゼクティブ・オーダーではなくて、ホワイトハウスのスタッフの申し合わせ事項という形に大分後退いたしました。
 なおかつ、カーターはイラン政策の失敗に伴って選挙で負け、レーガンに代わってしまいます。レーガン政権になると同時にこの政策は廃止されますので、わずか1年半という短命でありましたけれども、研究者の推計によると、この結果として全米で四つのショッピングセンター開発計画が中止になった。それ以外に例えば規模の縮小等の計画変更があったショッピングセンターはかなりになるだろうと言われておりますけれども、いかんせん二十数年前のことですので、正確なことはそれ以上わからないというのが実態です。
 そうした間接規制を除きますと、事実上、フェデラル・ガバメントというのは権限を一切行使できないわけでありまして、実際に出店規制や都市開発にかかわる規制を行っているのはステイト及びローカル・ガバメントということになります。
 規制制度といたしましては、そこに挙げておきましたように実に多様なものがございます。微に入り細に入りという形になります。その中で最も普遍的な規制制度はゾーニングと言ってよろしいかと思います。アメリカで開発問題は「ゾーニングに始まりゾーニングに終わる」という言葉もございますけれども、ゾーニングで行われている。
 このゾーニングがそもそもどういう思想でとられているかと申しますと、これまでのお二方の御報告とも非常に絡むわけですが、すべての開発行為は周辺・周囲にマイナスの影響を及ぼすであろう「負の外部性」を持っている。それを規制する。こうした負の外部性を規制する法律体系をアメリカではNuisance Lawと呼んでおりますけれども、その一環としてゾーニングがとられている。実はこのNuisance Lawというのは、先ほど申しましたようにフェデラルではなくてステイトがその権限を持っているわけですが、ここから先がさらに物事を複雑にしますのは、ステイト・ガバメントはゾーニングに関する権限をローカル・ガバメントに委譲しております。enabling actという形で各州で法律をつくりまして、ゾーニング設定権限をローカル・ガバメントに委譲する。
 アメリカでは、ゾーニングをつくれる立場にあるローカル・ガバメントが3万数千ございます。そのために、中にはゾーニングを一切つくっていない自治体もございますし、非常に細かいゾーニングを規制しているところもある。これは統計が全くございませんけれども、70%前後のローカル・ガバメントがゾーニングをつくっているだろう。大都市ではテキサス州のヒューストンがつくっておりませんけれども、それを除けば人口が1万人以上クラスの自治体になるとほとんどすべての地域でゾーニングがつくられているだろうということになっております。
 そのように、ローカル・ガバメントでつくっております関係で、内容は千差万別です。そのために、平均的なとか、これがアメリカの規制だという一本立てができるものはないと言ってよろしいかと思います。ローカル・ガバメントがゾーニング・オーディナンスとかゾーニング・バイ・ローと称してつくるわけです。日本でordinanceとかby Lawというのは「条例」と訳されますが、日本における条例とは全く異なって、まさに法律と言っていい、独自性を持った、ほぼ完全に自律的に自己完結的に制定・運用できるという形をとっているということであります。
 その根拠は、そこに書いておきましたように、Nuisance Lawの一環ということで、もともとはPolice Powerと称しておりますけれども、そのPolice Powerを発現するものがゾーニングである。Police Powerというのは別に警察権限という意味ではありませんで、一般的にはパブリック・ウエルフェア、あるいはパブリック・ヘルスとかパブリック・セーフティを擁護するものがポリスパワーである。ですから、日本で言えば保健所行政もポリスパワーに入るわけですけれども、その一環としてゾーニングが行われる。当然想像されますように、パブリック・ウエルフェアとかゼネラル・ウエルフェアと申しますと、非常にあいまい、抽象的、何でも対象になり得るということになりますので、後に述べますように、かなり広い概念で運用されることがあり得ます。
 実際のゾーニングは通常はTextとMapという形で、テキストには細かい規定が書かれております。テキストの厚さ自体は自治体によって違いますけれども、薄くても200~300ページ、厚いものになると1000ページを優に超えるという形で細かい規定がされ、同時に市なり地域のマップが掲げられて、その一筆ごと、ロットごとに、テキストで定められたどのゾーンに該当するかということがプロットされているわけです。ですから、あるロットを用途変更しよう、ゾーニング変更しようということになると、マップ変更というのはゾーニング・オーディナンスの変更、いわゆる法律改正になりますから、当然市議会で論議しなければならない。
 ゾーニング改正がどういう形でできるかというのは、これまた州及び市町村ごとに違いますけれども、つい先だってウォルマートの出店問題でもめていたシカゴのケースを見ますと、シカゴ市議会で絶対過半数をとらない限り変更できない。1回目の投票では相対過半数はとったのですが、絶対過半数に1票足らないということで、結局、この改正はなしになってしまいましたけれども、そういう形でかなり厳密な高いハードルが設けられていると言ってよろしいかと思います。
 同時に、このテキストにつきましては、先ほど浅見委員からお話のあった階層性ということにも絡むわけですが、戦前はEuclidean Zoningということで階層制を持っておりましたけれども、60年代以降はほとんどの市町村がNon-Euclidean Zoningという形で階層的な形にはなっていませんで、一つ一つのゾーンについてどういう用途がつくれるかということを具体的にリストアップした形をとっております。ですから、例えば同じショッピングセンターであっても大規模なショッピングセンターと小規模なショッピングセンターではゾーンが違うという形です。あるいは、小売施設であっても、一戸建てのビッグボックスのようなものとショッピングセンターでは違う。そういう形で全部細かい内容が決められているのが通常です。
 同時に、物理的な規制という意味で、セットバックとか駐車場の台数といったことまで全部決められている。アメリカでは日本と違って車庫証明が要らないと言いますけれども、車庫証明が要らないのは当然でありまして、大半の市町村のゾーニングでは多くの場合が戸数より多く要求していますけれども、例えば日本風のマンションで100戸あるマンションだったら150台分のパーキングを敷設しなければならないとか、一戸建て住宅の場合にはどこに車庫をつくらなければいけないというような細かい規制がゾーニングそのものに含まれていますので、わざわざ車庫証明は要らないという形になるわけです。そういうことまで細かく決められている。
 そして通常は、その条件を満たせば、ゾーニング変更をしなくていいということであれば手続論で済むわけですが、最近増えてきたのはSpecial use Permitという形で、特定条件のもとで許可をするかしないかを個別判断しますという形が、オーバーレイ・ゾーニングという形で、商業地域についても規模が例えば1万平米以上だったら特別審査をしますというような形が設けられているケースが増えてきております。ラージスケール・デベロップメントの大半は、このスペシャルユース・パーミットを要求しているケースが多いのではないかと思われます。
 ただ、アメリカの場合、このゾーニングというものがつくられた経過からして、19世紀の末から一部出始めておりますけれども、全体的なゾーニングという点では1910年代~1920年代以降普及するのですが、多くはプランニングなきゾーニングという形で、多くの場合が既得権の擁護という形です。つまり、我が家の資産価値を守る、我が家の隣に夜間営業のコンビニエンス・ストアなりカラオケボックスが出てきたら我が家が迷惑をします、資産価値が下がりますということのために、既得権を擁護するという発想が非常に強いということです。それは、先ほどのお二方の御報告とも絡むわけですが、外部不経済性というものについて非常に狭い範囲でとらえている、直近の範囲でとらえるケースが多かったということです。
 それから、最近大きな問題になってきておりますのは、ローカル・ガバメントで自律的にゾーニングで規制をするために、Fiscal Zoning、財政的ゾーニングなどと訳しておりますけれども、そういう問題が生じてきている。どういうことかといいますと、我が町の財政上、固定資産税が増えるような開発は認める。ただし、我が町の住宅街から少し離れたところに設けましょう、それが隣町にどういう悪影響を及ぼすか知ったことはございませんという発想です。そういう形で、地域全体にとってはマイナスになっても我が町にだけプラスになるのだったらいいよといったFiscal Zoningという発想が非常に強くなってきている。これが大きな問題になってきているかと思います。
 それから、ゾーニングによる小売業にかかわる問題で考えますと、2枚目の上の方に掲げておきましたように、ゾーニングそのもので経営とか営業に関する規制はかなり行えますし、実際に行っております。かつて私がフィラデルフィアに住んでいるときに、フィラデルフィアの非常に学識のあるゾーニング担当者と何度も話をしていたのですが、彼は日本の当時の大規模小売店舗法のことをかなり知っておりましたけれども、アメリカではゾーニングによって大店舗法以上の規制は幾らでもできますよと。事実、そのとおりだと思います。やるかやらないか、そこから先は住民を含めた政治判断ということになろうかと思います。
 現実に行われているものを見ますと、多くの都市でアメリカで言うガス・ステーション、日本で言うガソリン・スタンドですが、これは距離制限、あるいは都市内での総量規制、向こうでは平方フィートであらわしますけれども、トータル面積がどこまでというような総量規制を行っているのが一般的とされています。
 あるいは、カリフォルニア州のバークレーの場合には、すべての地域ではなくて一部の地域ですが、エルムウッド地区等で業種別割当制をとっております。これは約100店舗ほどの商店街ですけれども、その地域で、例えばブティックは何店舗まで、スーベニアショップは何店舗まで、金融機関は何店舗まで、最も大きなサイズでも1500平方フィート以下とか、そういうことを全部業種別に洗い出して何店舗までと。これは、広い商圏の小売業が進出をしてくると、マイカー客が増えることによって周囲の住宅に悪影響を及ぼす。環境を悪化させる。それから、ブティック等というのは、地価負担能力が高いですから、それが競争で進出してくるということは、その結果として最寄り品店が退出していく。それが周囲の住民の生活を悪化させるということで、Use Quotasと呼んでおりますけれども、業種別の割当制をとっている。これはバークレーだけではなく、カリフォルニアには幾つかそういう町がございます。
 それから、ここでは直接関係がないかもしれませんけれども、バークレーの場合には酒販店及び酒類提供店、要するにバーとか飲食店に対する規制をゾーニングで行っておりまして、ゾーニングコードの中で1000フィート以内、要するに約300m以内に既存の同種店、酒の販売店なら販売店、あるいはバーならバーといった類似店がある場合には、個別審査を行います。その場合には市のエコノミック・ヘルスがもう一店進出することによって促進されるのかどうか、あるいは犯罪が増加しないかどうかといった点を判断して、2店目以降の酒販売店を認めるか認めないかということを判断するということがゾーニングによって定められている。
 あるいは、同じバークレーで営業時間規制も行われておりまして、夜10時以降はだめだと。すべての地域ではありませんけれども、商店街によっては夜10時以降の営業はいけないといったようなことを定めている。
 あるいは、オレゴン州のポートランドの場合にはコンビニエンス・ストアの規制が行われていまして、これではコンビニエンス・ストアの建設予定者は400フィート(約120m)以内の住民及び不動産所有者の了解を事前にとらないと申請することを認めない。どういう形で了解をとるかといいますと、コンビニエンス・ストアを出店しようとする者は、グッド・ネイバー・プラン(Good Neighbor Plan)をつくる。そのグッド・ネイバー・プランの中では、犯罪をどのように防止するかとか、ゴミその他の処理をどうするかとか、酒類の販売についてどういう形で行うとか、深夜営業をすると不良のたまり場になる可能性があるので、それをどう防止するかといったことを定めて、それで周辺住民の了解を得ない限りコンビニエンス・ストアをつくることの申請をすることを認めない。そういう形もゾーニングで行われております。つまり、ゾーニングによってかなりの営業規制がもともとできるということであります。
 こうしたゾーニングによる規制について、これまでの司法判断はどうなっているかと申しますと、アメリカで言うダウンタウン(中心部)、あるいはCBD、こういうものの小売施設を維持することがゼネラル・ウエルフェアとなり、特定の小売業者、原田商店を保護するというようなことを直接の目的としていない場合、郊外のショッピングセンターやビッグボックス等の開発・出店規制は、ほぼ合憲・合法という形になっております。
 後で触れられれば触れますけれども、カナダとの国境に近いところにありますバーモント州のセントオルバンスというところで、ウォルマートの出店が拒否されたケースがバーモント州の州裁判所の最高裁まで行きましたけれども、そこで1997年に出た判決の中では、ダウンタウンの地価がゼネラル・ウエルフェアに関係していると。つまりダウンタウンの地価がその自治体の固定資産税に関係するわけです。ダウンタウンの地価が下がるということは固定資産税が下がる。郊外にウォルマートができることによってダウンタウンの商店街が打撃を受ける、そうすると不動産価値が下がる。その結果、固定資産税が下がる。これはゼネラル・ウエルフェアに関係してくる。そのために、ダウンタウンの不動産価値を維持する政策は競争の維持促進政策より優先するというような司法判断も下されておりますけれども、これが多分アメリカでの一般的な考え方かと思います。
 ゾーニング以外の主たる規制としては、これまた先ほど列挙したようにいろいろあるわけですけれども、例えば環境保護法(Environmental Law)の中で郊外開発を規制するというのは当然あり得るわけです。代表的な例としてそこへ挙げておきましたのが、バーモントのAct250、Land Use and Development Actという1970年につくられた法律ですけれども、この中でバーモント州の一番大きな町であるバーリントンの郊外、隣々町のウィリストンという町にピラミッドモールという巨大なショッピングセンター開発計画がありまして、1976年に開発申請がされるのですが、それに対してAct250(環境保護法)によって州政府はこの開発計画を不許可といたします。裁判にも持ち込まれますけれども、結局、最高裁までは行きませんでしたけれども、1998年まで20年間にわたってもめ続けた。最終的には大幅な計画変更をしたものが認められたのですが、結局、資金がつながらないで、この計画は実現しておりません。
 それから、先ほど言いましたセントオルバンスのウォルマート出店拒否も、1993年にウォルマートが出店申請をして、州政府によって不許可となり、裁判となり、州最高裁で却下されるという形で1997年までもめましたけれども、簡単に言えば、先ほど申しました中心部の商店街が郊外出店によって競争に負ける、それが不動産価値を引き下げる、それは固定資産税を引き下げる。他方、郊外に出たものに伴う固定資産税の増収がございますけれども、このプラスとマイナスを天秤にかけるとマイナスの方が大きい。つまり、全体として税収減になる。そのために、これは経済的な環境に悪影響を及ぼす、経済社会環境に悪影響を及ぼすという形で、環境保護法によって却下するというケースが出ております。また、セントオルバンスの場合には、ウォルマートが出店することによって地域全体の雇用が減少するということも根拠とされております。
 それ以外のグロス・マネジメント等についてはここでは省略いたしまして、時間もありませんので、最近の大きな動きをつけ加えておきたいと思います。3ページのⅣになります。
 最近、ビッグボックス、ウォルマート等に対する規制が非常に強まっております。それはなぜかと申しますと、ウォルマート等のいわゆるビッグボックスが進出することによって地域経済・地域社会にどういう影響を与えるかということの評価がいろいろなされるようになった。事前アセスメントも事後評価もいろいろなされるようになりまして、ビッグボックスが出ることによって、よく言われる税収増というよりは税収減になるケースが多いと。それから税支出も増大する。それから雇用は減少する。こういうような調査がいろいろ出るようになりました。
 その結果として、新たな規制手段がいろいろ採用されるようになったわけです。一つがRetail Size Cap制と言われているものであります。これはリテール・サイズの一定規模以上は許可しないということをゾーニングそのものに定めてしまうものでありまして、多くの場合中小都市で採用されておりますが、大都市の中では例えばサンフランシスコの一部地域で採用しております。
 そこで最近のケースとしてはBozemanというモンタナ州のケースがございます。これは、BozemanのUnified Development Ordinanceというゾーニング条例の中で定めているのですが、1テナントで7万5000平方フィート以上、ですから7000㎡弱、六千数百㎡以上の小売開発は一切認めない、一切不許可だと。そして、4万から7万5000平方フィートについては、デザイン・レビューを行って、個別審査の結果として、許可・不許可・条件付許可を判断するということです。
 ただ、デザイン・レビューというものも我々日本人の感覚とはかなり違います。例えば景観、あるいは歩行者とフレンドリーであるかどうかということもレビューするのですけれども、ボズマンが全米でも初めてかと思うのは、マルチ・テナント・リユースに可能な設計になっているかどうかということが判断されることになっているわけです。アメリカでも最近は大型店が退店した後の空き店舗が大きな社会問題になっておりまして、それに対応するために、1テナントで4万から7万5000平方フィートのものが将来退店した場合、その後はマルチ・テナント用にコマ割りして多くの中小業者が再利用できるような設計に最初からしろと。それが一番問題になるのは配管の問題ですね。配管、エアコン、出入り口、ファサード、こういうものがマルチ・テナントでリユースできるような設計にしていることを条件にするということで、これをデザイン・レビューすることによって出店を認めるか認めないかを考えますという二段構えです。7万5000平方フィート以上は一切だめだと。これを7万5000にするか10万平方フィートにするか、小さいところになると2万平方フィートというのもありますけれども、その多くはいわゆるビッグボックスのサイズを認めないという発想からできているということです。
 それから、別の手法として出てきているのがCIR(Community Impact Report)もしくは(Community Impact Review)というものであります。これは開発者の負担によって出店した場合に地元の経済社会にどういう影響を及ぼすかをレポートして、それを開発許可のための資料として一緒に提出しろと。ただ、デベロッパーの側が自分の仲のよいところに調査させたのでは意味がないわけでありますので、市が指定した調査会社に委託をして調査をする。
 古いところでは、これは日本でも一部報道されましたので御存じの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、1991年の6月にマサチューセッツ州のグリーンフィールドというところで、地元住民の反対運動でウォルマートの出店を拒否した代表的ケースがあります。グリーンフィールドの場合には、2万平方フィート以上(約1800㎡以上)もしくは自動車交通発生量が500台以上になるものについては、交通問題とか景観などと同時に町のエコノミーにどのような影響を及ぼすかということをレポートして提出しなさいということです。
 ごく最近では、これは日本でも一部不完全な形で報道が流れましたけれども、ロサンゼルスが8月の市議会でこのCIR方式を採用しまして、10月4日から施行されております。もともとロサンゼルスは去年からさんざんその論議をしてきていて、当初はリテールサイズキャップ制をとる予定にしていたようで、今年の1月~2月はそういう原案で審議をしていたようですが、6月にCIRに方式が変わりまして、CIR方式ということでこの10月4日からスタートしております。これは、10万平方フィート以上、なおかつその店舗面積のうちの10%以上がNon-taxable merchandise(非課税商品)、要するに食料品ですが、10%以上の売り場で食料品を売っている10万平方フィート以上のスーパーストアについて、エコノミック・アシスタント・エリア――エコノミック・アシスタント・エリアというのは、これまで中心部活性化のために連邦政府・州政府及びロサンゼルス・シティが投資をした地域ですが、エコノミック・アシスタント・エリアとそこから1マイル以内にスーパーストアを出店する場合にこのインパクト・レポートをつくることを義務付ける。その場合には、出店地から半径3マイル以内で既存店の退店があるかどうかとか、雇用が増加するか減少するか、あるいはシティのタックス・レベニューが増えるか減るか、あるいは、非常に一般的な表現ですけれども、エコノミック・インパクトがあるかどうか、こういうことについてレポートをして、それを受けてゾーニング上でスペシャル・パーミットを認めるかどうかを判断しますという形です。このエコノミック・アシスタント・エリアがどのぐらいになるかということですが、新聞の推計ではロサンゼルス・シティのほぼ半分ぐらいがこれに該当するだろうと推計されております。
 なお、ついでに言いますと、これとほぼ同じ流れで、カリフォルニア州議会で、カリフォルニア州のすべてのローカル・ガバメントにCIRを義務づけるという法案が9月初めに通ったのですが、最終的に、これはシュワルツェネッガー知事がveto(拒否権)を発動しまして、9月の半ばに葬られております。これを再びひっくり返すのはかなり難しいのではないかという気がします。
 それから、別の方法として出てきているのはFormula Business Ordinanceでありまして、これも幾つかの都市でとられておりますけれども、ごく新しいケースではサンフランシスコで今年の4月から採用されております。それはどういうものかといいますと、これはレギュラーチェーンとは限りませんで、フランチャイズも含みますけれども、全米で11店舗以上を有し、類似の商品構成とか、ユニフォームが同じであるとか、ファサードが似ているとか、いろいろな項目を上げているうちの2項目以上が同じものについて、飲食店からサービス業から全部含みますが、広い意味でのリテールについて規制をする。
 これはゾーニングで定めておりますNeighborhood Commercial Districtsだけが対象となりますので、サンフランシスコのマーケット・ストリートやユニオンスクエア周辺のような大繁華街、大中心部は対象外です。フィッシャーマンズワーフなども対象外ですが、住宅地に近いところにあるコマーシャル・ディストリクトでは、個別のロットごとに定められているのですが、ある地域ではフォーミュラー・ビジネスは全面的に出店禁止、ほかの地域においてはデザイン・レビューを行う。デザイン・レビューについては既存の空き店舗率等いろいろ経済状況も判断する。考え方としては、サンフランシスコの独自性・固有性を確保するという点でフォーミュラー・ビジネスは好ましくない、あるいはフォーミュラー・ビジネスというのは地元で得た利益が本社の所在地に流出してしまうという点から、フォーミュラー・ビジネスを規制するということです。
 その他は省略いたしまして、こうしたものを見ていますと日米間で大きな差があろうかと思いますので、そこにまとめました。ただ、重要な点を二つほど漏らしたので追加させてもらいます。
 一つは、小売業だけではなくて、住宅開発から何から、あらゆるものを含めてですけれども、開発利益と現有・既存の資産価値との関係について、日本ではどうも開発者の権利を優先している傾向が強いような気がするのですが、アメリカの場合は現有資産、既存の資産価値を保全するという思想が非常に強いということがほぼ全国に共通するかと思います。
 それから、エコノミック・ヘルスとかエコノミック・エンバイロンメントという視点が入っているケースが多い。先ほど言いましたように全米で統一しているわけではありませんから千差万別ですけれども、そういう傾向は非常に強い。事実、先ほど申し上げましたバーモントのAct250の裁判をめぐる解釈の中でも、物理面での規制と経済活動に関する規制は絶対に分離できるものではない、相互に密接に関係しているものだという解釈がアメリカでは一般的になされている。
 そのほかで言いますと、強制力、執行能力はアメリカの方がはるかに強いと思いますけれども、逆にマイナス面を考えますと、ゾーニングが郊外化、スプロール化を促進してきた。アメリカの学者の中には、アメリカでショッピングセンター等の郊外化が60年代~70年代に進んだ最大の理由はゾーニングにあるのではないか、商業者の経営努力よりもゾーニングの方が大きかったのではないかという評価をしている人もおります。というのは、先ほどちらっと申しましたように、アメリカのゾーニングは極めて狭い範囲でのマイナスの外部性を考慮しておりますから、既存の住民なり既存の商店のないところへ出た方が問題がないわけです。トウモロコシ畑や小麦畑に出れば、だれも反対する人はいないわけです。農家も、ショッピングセンターの用地やウォルマートに売ってしまった方が農業を続けるよりはもうかるということで、そのためにゾーニングがスプロール化を促進してきたという評価はかなり出ているかと思います。
 ただ、最近はアメリカの「プランニングなきゾーニング」というものに対する反省が出てきて、それがグロス・マネジメントその他にいろいろつながってきているということかと思います。そうしたグロス・マネジメント等々になってきますと、規制政策と振興政策は非常に連動している。「非常に」とは言えないかもしれませんけれども、連動するという発想はアメリカの方が持っている。それは先ほどのCCGなどにも出てきますし、ロサンゼルスのCIRの中にも出てくるわけですけれども、規制政策と振興政策の連動という発想がアメリカでは見られるけれども、残念ながら日本ではそれが非常に弱いのではないかという気がいたします。
 時間をオーバーしてしまったかもしれませんけれども、質問がございましたら、またお受けすることにしたいと思います。以上です。
○上原議長 どうもありがとうございました。


質疑及び討議


○上原議長 ただいま3人の方から御報告がありましたけれども、事務局がつくった藻谷委員の前回報告のメモも含めて質疑応答等を展開してみたいと思います。藻谷委員も来ておりますので、ぜひ参加していただきたいと思います。藻谷委員については、先ほど事務局の方から要約を皆様方に御紹介しておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、矢作委員どうぞ。
○矢作委員 海外の事例について原田委員と中井委員から御説明がありまして、多分ドイツなどもおもしろいと思いますし、北欧諸国ではCAP制度とか、あるいは大型店についてはモラトリアムになっているところもありますし、私の印象としては、ここ15年ぐらいで日本は多分先進国で大型店の出店が最も自由な国になったのではないかという印象を持っておりますが、お二方に御感想を伺えるとありがたいと思います。
 それから、浅見委員が日本の都市計画制度についてコンパクトに御説明されましたけれども、私は計画と開発の関係が大変問題だなというふうにいつも考えておりまして、まず計画があって、そこに開発を落とし込むというのがルール、基本原則であります。しかし、日本の制度の中には、都市計画法も、あるいは都市計画法がカバーされていないところも含めて、計画が必ずしもないというふうに言っていいところがあると思いますが、そこに開発が来る。これが一つ問題。
 もう一つは、計画があるにもかかわらず、開発のために計画を変更する。すなわち、計画に開発を落とし込むというルールが逆立ちして行われている。そこのところはアカウンタビリティが問われるのではないか。したがって、そういうアカウンタビリティの問われる行為が繰り返して行われている中で、現状の郊外のスプロール型の開発がたくさん行われてきたのではないかと考えているのですが、浅見委員の御感想を伺えるとありがたいと思います。
○上原議長 それでは、まず浅見委員からお願いします。
○浅見委員 ヨーロッパでは「計画なくして開発なし」という言葉がございますけれども、日本ではそういう言葉はございません。これは多分市街地に対する一つの考え方だと思うのです。どちらかというと都市部が、変な言い方ですが、公共財といいますか、公共のものである。したがって、公共のものに対してある私的な開発を行うときには当然計画どおりに行わなければいけないというような思想が基本的な背景としてあると思うのです。日本はそれよりむしろ開発を抑制するための計画ということですから、計画にとってはややマイナスといいますか、開発の抑制要因として計画がとらえられているところがございます。そういった意味で、計画というものをともすると開発側はなるべくオーバースルーするといいますか、そんなところがあるということは確かです。
 実際に日本では計画がないところで開発がかえってできてしまう。例えば、都市計画区域外の開発とか、都市計画区域内であっても必ずしも十分な規制がないようなところでの開発がございます。これは、日本でもともと用途地域をつくったときに、典型的には白地地域があったんですけれども、これはどういう地域に定めてよいかがわからない地域を白地地域として白地にしていたというところがあります。大分前のことですが。そういったところは今後の市街地を見極めるために最も弱く設定するというような、そういう形だったんです。恐らく日本ではそういった市街地の様子見的なところが一つはあったのではないか。それから市街地像が定まってから計画を決める。そういう意味で、むしろ開発が先行しているところがございますけれども、市街地像を見るために様子を見るという意味では、そういうものを許容していた面もあるのではないかという感じがあります。おっしゃるとおり、そういった傾向があるということは確かだと思います。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 そのほかに、ここ数年は日本の方が大型店の出店が一番容易になっているのではないかという質問についてはどうですか。
○矢作委員 出店しやすくなっているんです。
○上原議長 それに絡めて私からも関連質問ですが、例えばアメリカあたりは、ここ数年を見てもどんどん新しい業態が出ている。このような事象とと規制との関係はどうなっているのか。
 それとの関連でお聞きしたいのは、確かに規制はあるけれども、規制の理念と実行との間にかなり自由度があるのではないか。その辺についてお聞きしたいのですが、原田委員から簡単にお願いします。
○原田委員 上原さんの質問の意味がよくわからないんですが、規制の……。
○上原議長 こういうことを規制してよいと定めてありますが、しかし、その通りには実行されていないのではないか。そこには個別に対処せざるを得ないこともあり、かなり運用面では乖離があるだろう。それが質問の一つです。
 もう一つは、それと関連して、ここ数年、アメリカのいろいろなところへ行っても、かなり新しい業態、大型の業態が出ている。そのこととの関係はいかがかということをお聞きしたいということです。
○原田委員 その前に矢作委員からの質問に絡んで申し上げますと、ヨーロッパ、北欧などがCAP制を敷いているのもそのとおりですし、全般的に言えば日本が先進国の中で一番規制が緩いという可能性は十分あろうかと思います。ただ、アメリカの場合には、最初にも申し上げましたとおり、基本的な規制がローカル・ガバメント単位で行われておりますから、そのローカル・ガバメントごとでかなりの差がある。極端に言えば中には何の規制もやっていないところがあるのも事実です。そうすると、アメリカすべてをひっくるめて日本と規制がどうのこうのということは非常に言いにくい。ただ、アメリカの「主要な地域」という表現がよいかどうかはわかりませんけれども、大きな流れとして見ると日本より規制が厳しいということは言えるのではないか。
 そこで上原さんの質問に絡みますと、レジュメの最後にもちょっと書いておきましたけれども、実行力に関して言うと日本よりはるかに強いと思います。その先、実際に制度が決められたら、ほぼそのとおりになる。さらに言いますと、アメリカの場合には、ケース・バイ・ケースでステイトなりローカルによって違うから、ここで全部のアメリカの話ですというふうには言いにくいのですが、申請が出てから制度をつくって規制するということもあり得るわけです。現実にそういうことがありまして、申請してからゾーニングを変更してしまうようなこともあります。そういうことになってくると一番最初に申し上げたとおり体系的な話ができなくなるわけですが、それを含めて考えたときの実行力はかなりございます。
 では、それがアメリカで新しい業態等がいろいろ出てくることと関連付けて考えるということになってきますと、もちろん経営サイドから言えば、日本も最近はかなり画一的ではない、消費者の姿が多様化してきたとはいってもアメリカに比べればはるかにまだ同質性・画一性を持っている。アメリカの方が分散的な消費者像があるということに対応するという問題もあるでしょうけれども、規制がらみで言うと、先ほど言いましたとおりローカルごとで違いますから、ある地域では不可能な業態が別の地域では可能である。A地域で可能なX業態がB地域では不可能、しかしB地域ではYが可能だけれどもAでは不可能みたいなことがあり得るわけです。極端に言えばアメリカというのは50の独立国以上で3万数千のローカルごとに違うところがございますから、規制との絡みで言いますと、それぞれにあわせて新しい業態が生まれてくる可能性は持っている。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 中井委員、浅見委員、いかがでしょうか。
○中井委員 矢作委員のお話のように、大規模店という意味でいきますと、日本は恐らく先進国の中では一番規制が緩いことは事実だろうと思います。ただ、イギリスの場合、逆に言うと中心市街地の中ではほとんど規制がないわけですね。逆に郊外は大規模店に限らず住宅地開発などもかなり厳密に規制されている。少なくともヨーロッパはそういう状況だろうと思います。
 この意味でいくと郊外対中心市街地というのが大きなアジェンダであって、大規模店対個店というのは、その次、あるいはアジェンダの後ろにある問題だろうと思います。EUは全体的な広域の環境政策に非常に熱心だということが一つあって、これはEU全体で決めている方針ですから、EUの加盟国はすべてそれに従わなければいけない。イギリスに限らず、どの国にもそういうことがあろうかと思います。
 ただ、もう一つは、ヨーロッパは元をたどればギリシャの文化であって、これはつまり都市の文化なんです。ヨーロッパで都市というのは、郊外のスプロールした地域は都市ではありませんで、既成市街地、しかもコアのところが都市と認知されてい部分であって、ヨーロッパは都市同士の競争ということでいくと、既成市街地、とりわけ中心部がどれだけ活力を持っているかということが競争に勝つための条件になりつつあります。そのためには、大型店等に限らず、あるいは商業に限らず、都市の中心部に住居なり文化的活動なり、さまざまな経済活動を集積させてくることが激烈な都市間競争に勝つための最も有力な戦略であるというのが恐らくEUの都市にとっては共通の認識になっているのだろうと思います。
 その意味で、中心市街地が衰退するということは、都市の競争力が落ちると同時に、ヨーロッパが何千年にわたって繰り広げてきた文明そのものが溶融している、融解しているといった極めて強烈な危機意識が共通認識としてあるのだろうと思います。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 浅見委員、いかがでしょうか。
○浅見委員 先ほどの御質問について幾つか御指摘したいと思います。
 まず一つは、日本では土地利用規制というのは最低限の水準を確保するための規制というところがある。建築基準法のもともとの考え方がそれであるわけです。ですから、なるべく過剰規制になることは避けようとしてきた。そういったものに対しても消極的だったということがございます。
 それから、これは必ずしも大規模店に当てはまるというわけではなく、むしろカラオケ等に当てはまったのですけれども、どちらかというと日本では禁止される用途を列挙して、許容される用途を列挙することを避けてきた。そのために想定外のものができたらどこでも建てられるようなところがございました。「どこでも」と言ったら言い過ぎですが。
 もう一つ、先ほど政策的という話がございましたけれども、日本ではある時期から技術的な基準に置きかえようとしてきたところがございます。一つには、自治体の方がある種の戦略性を持とうとしてこなかった。少なくとも都市計画においてはそういったものをつくろうとしてこなかったようなところがあると思います。そのために、迷惑をかけなければいいという意味での技術基準に終始してきたために、そういったものに対する強い規制とか逆に強い促進策はとりにくかったというところがあると思います。
 もう一つ、これは当たっているかどうか自信がありませんが、日本では、調整区域などでも、ある程度規模の大きいものはつくってよいということになっている。つまり、ある程度規模の大きいものは計画的につくられるのだという幻想といいますか、ある種の実態もあるのですが、そういったところもあったのではないかという気がしております。最後の点は推測にすぎないので、もしかしたら間違っているかもしれません。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 原田委員、お願いします。原田委員、先程の私の質問は、規制の実効性ではなくて、規制として書かれたものとその実行とではアメリカではかなり異なるのではないかと、そういう質問です。実施するときの力を言っているのではないので、その辺も御説明をお願いしたいと思います。
○原田委員 その前に中井委員からのお話に絡めて、大型店規制なのか地域間の問題なのかということで考えますと、先ほど来強調しておりますようにローカルごとに違いますので、私のかなり印象的な答えになってしまいますけれども、90年代はダウンタウンを擁護するために郊外の大型店出店を規制しよう、むしろ大型店が出店するのだったら中心部に誘致しようという地域間の問題というとらえ方が大きかったような気がします。
 ただ、最近になりましてウォルマート等が出店することが地域の経済・社会にかなりマイナスになるかもしれないという話が出てくる。そういう中では、中心部に立地するかどうかではなくて、むしろビッグボックスが出てくること自体を禁止しよう、あるいは制限しようというケースが出始めている。これはすべての地域ではございませんけれども、ここで例を出したロサンゼルスにしてもサンフランシスコにしても……。
 それから、今日はシカゴの場合は触れませんでしたけれども、今年の1月にウォルマートが2店舗シカゴ市内に初めて出店するという申請を出して、いずれもゾーニング上の変更、リゾーニングが必要だったのですが、5月の市議会で一つは通ったのですが、もう一つが通らない。もう一つが先ほど言いましたように絶対過半数に1票足らなくて、それが再度投票にかけるというペンディング状態のまま来ている。その間に、実はシカゴで新しい規制をつくるという話が出てきた。それは何かと言いますと、minimum wage ordinance、最低賃金法なんです。
 今のウォルマートの賃金は一般の小売業に比べて安いということで、それよりも高くすると。安い賃金ということは最終的には社会的なコスト負担になるということで、そのためにそのオーディナンスが現在審議中でありまして、8月末から9月のウォルマートの反応では、もしそのオーディナンスが通ったら一つ出店が認められた地区についての出店も取りやめるという声明を出していますが、そういう形で、大型店が中心部か郊外かではない問題が新たに生まれてきたということがあろうかと思います。
 ですが、一切そういう規制をしないで、積極的に誘致しているところもあります。つまり、分権化されて市町村ごとになっていますから、自分のところは固定資産税が入るけれども、リージョンとしては減少する。そういうときに自分のところだけは誘致するという形、これがフィスカル・ゾーニングの形ですけれども、そういうケースはあります。
 そこで話を上原委員長の御質問に絡めて言いますと、自由度という点になると確かに行政担当者の裁量権がある程度は認められますけれども、一般的に言えばアメリカのゾーニングあるいはゾーニングその他の環境保護法にしても何にしてもそうですけれども、いわゆる法律そのものに細かい規定を設けている。だから、裁量権はもちろんゼロではございませんが、裁量権が日本より多分狭められているということは事実だろうと思います。
 それと新業態と絡めて言うと、逆に地域ごとに規制が違うということも先ほど言いましたけれども、規制があるから、その規制を回避するといいますか、逃れるといいますか、規制に対応するといいますか、それで新しい業態を開発するというケースもあろうかと思います。
○上原議長 わかりました。
 御質問をどうぞ。
○岩﨑委員 先ほどちょっとお話が出ましたが、私もICSCのスプリング・コンベンションに毎年出ているんですけれども、中小都市の市長さんが出席される数が年々増えてきて、何を言うかといいますと、SCをものすごい勢いで誘致するんです。税金をまけますよ、行政手続はどんどん促進させるようにします、手続の進行具合を情報開示しますよということで、すごい誘致をするんです。原田委員もおっしゃいましたけれども、都市縁辺、エッジ部分までSCを誘致することによって町全体の活性化を図ろうということではないかと思いますが、そういうものを見ている限り、アメリカが規制しているという感じは全くないんです。今日の話は非常に意外だったんですが、恐らくウォルマートも、初期の段階は、田舎のどちらかというとフリーウエーの交差したようなところに立地をして、100kmぐらい向こうから人が集まるなど、外部に対する不経済性は全く与えないような時期がずっと続いてきたのだろうと思います。最近は場所によってウォルマートが近くに立地することに反対の運動が起こっているということは聞いていますけれども、全体としては日本に比べると極めてフリーだなという感じがするのです。
 だから、今のようなことでやると、大きいものができると外部に不経済性が生ずる、したがって規制するということになると、日本の場合も今は余りにもフリーではないかという感じになるんです。その辺、もう少し実態を把握する必要があるような気がするんですが。
○上原議長 御報告なされた方も、お答えするというよりも議論の中に参加するという形でお願いしたいと思います。
 それでは、川島委員、よろしくお願いします。
○川島委員 原田委員と一部は中井委員も御指摘されておられるのですけれども、日本との違いで大型商業施設が出ることによるネガティブな要素の一つに資産価値の比較がございました。それと同時に雇用の問題について指摘をされておられますけれども、実際に大型商業施設が出ることによる中心部と郊外との比較で、大型商業施設が雇用する雇用の絶対量の増減でちょっと日本と違和感のある印象を受けたのですが、これはどういう理由でございましょうか。
○上原議長 では、原田委員、お願いします。
○原田委員 その前の御質問とも絡むことですけれども、ここは新たに集権が分権化したのではなくて、もともと分権なわけですけれども、分権化が進むことによって、小さなローカル・ガバメントごとにかなり自立的にやっているということになってきますと、その一つの町なり村で考えると、そこにショッピングセンターでもウォルマートでも出店すると、そこで新たに雇用が発生する。それと同時に、今までは野原であったところにショッピングセンターなりウォルマートができますから、その結果として資産価値が上がって固定資産税が増える。その町だけで考えると、事実、そのとおりなんです。
 ところが、当然ショッピングセンターなりウォルマートが10マイルなり30マイルなりの商圏を持ちますから、その商圏全体で考えると、そこにはかなりの数のローカル・ガバメントが含まれてきます。一般的にこういうものが新たにできるのは、もともと商店街も何もなかったような農村地帯につくるわけですね。そうすると、それに隣接した中心都市の中心部の商店街の商業が打撃を受ける。その結果として、その商店街で閉店が出ることによって失業が発生する。これがまず一つ雇用問題です。だから、リージョン全体として雇用をとらえるとどうなるか。
 これについては、アメリカでもいろいろな研究がなされております。手元には持ってきていないのですが、ある大学の委員が計量経済モデルで行っていて、これは2~3年置きに次々と新しいバージョンに変更していますけれども、ごく最近のものでもリージョン全体でとらえると雇用効果はほぼゼロで、よくて若干名増大があるかどうかだと。これはモデルからの推計です。
 それから、いろいろな地域で実際にショッピングセンターなりウォルマートが出店した後に事後評価をしている。事後評価をした場合にかなり難しいのは、中心部の商店街が撤退するのは、その新規出店の影響だけなのか経済状況の影響なのか他の要因なのかということは非常に分離しにくいわけです。だから、完全にはできないけれども、どうも減少しているようだと。
 そういう感じで、例えばペンシルバニア大学のウォートン・スクールのアントレプルヌールの研究センターの所長をずっとおやりになられたシルズという現在名誉所長兼名誉教授がまとめたシルズレポートという分厚い報告書がありますけれども、それなどでは、ウォルマートやKマート、ターゲットが1店舗出ることによって、1人のパートタイム従業員が増大するのに対して地域全体では1.5人のフルタイムの従業員が減少するという推計結果を引用していまして、そういういろいろな推計結果が出ているということです。
 先ほどICSCの大会ではというお話もそのとおりだと思うのです。つまり、彼らはホスト・コミュニティと呼んでいますけれども、誘致する地区・町だけで考えると、そこは非常にプラスが出てくる可能性がある。そのために、リテール・コーポレート・ウエルフェアと申しますけれども、誘致のために税金免除とか補助金を出したりということがかなり行われています。それによって誘致合戦が行われているのは事実です。ただ、それがリージョン全体としてプラスかマイナスかということは別の問題だということだと思います。
○上原議長 永井委員、どうぞ。
○永井委員 今の御報告を伺っていての感想みたいなものですけれども、原田委員が御報告になりましたCIRというのが私は非常に印象に残りました。日本の場合は行政がアセスメント的にどうなるかということをやっているのでしょうけれども、行政だけではちょっと弱い。そして日本の場合も住民参加ということで呼びかけるのですが、いつも集まってくる人は同じなんです。実は高学歴の人がじっと黙っていて、しかし悪い変化が起これば住居を移す。そういう悪循環になっているわけです。ですから、市が報告する研究者・調査所を決めて報告させるというのは、行政がやるよりははっきりと物が言えて、アームスレングスといいますか、ちょっと置いたところで報告書が出てくると、そういうものを参考にしながら本当に個性的にまちづくりを進めるべきだと思います。一律で。
○上原議長 住民参加ですね。
○永井委員 今は、道路を敷けば道路の建築基準法で商店街が発展するというふうに、ただひたすら分断するようなまちづくりになっておりますので、大店舗法がどうだとか小売がどうだとか中心街か郊外かという問題以前に、そういうところがあるので、CIRという手法をぜひきちんと取り入れていただきたいなというのが私の意見です。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 三村委員、お願いします。
○三村委員 先ほどのお話の中で私は中井委員と浅見委員を比べて大変興味深かったのですが、中井委員の最後のところで、いろいろ大きな問題がありますが、一つだけポイントを絞りますと、交通問題が相当に大きいだろうというふうに感じました。
 そこで中井委員に一つ教えていただきたいのは、例えばケンブリッジのローカルプランなどでアクセスの問題が基本的に非常に重要であるということがありますので、それが具体的に例えば定量化されるような話があるのかどうかということ。
 もう一つ、浅見委員にお伺いしたいのは、今度は中心部の問題になりますと、郊外と都心の問題というふうに分けたときに、日本においてはゾーニング規制があって、それはある意味で大通りに面していますので大型店の出店は可能である。しかし裏は実は住宅地であるという状況があって、結果として、そこの交通量の増量はどういう形で考えるのか。あるいは裏から入り込んでくるようなところまで含めて、交通問題が大店立地法上いろいろなところで問題があると思うのですが、都市計画の立場からそういう問題についてどうお考えなのか。
 この2点だけ、お願いします。
○上原議長 それでは中井委員からお願いします。
○中井委員 大きな開発になれば、交通量の予測あるいは影響調査は当然なされるべき、配慮されるべき事項なので、開発申請者の側はそれによって影響がないことを立証する義務がありますので、それを出す、そしてそれを担当の行政官が客観的にチェックするということだと思いますので、少なくとも自動車についてはかなり定量的に行われているというのが私の知る範囲です。
 ただ、どうしても代替交通手段は必要なわけですね。これは都市によっていろいろな政策をとっています。場合によってはパーク&ライドみたいなことをやっているところもありますし、バス等の公共交通機関を積極的に整備していくところもありますし、逆に、徒歩とか自転車の範囲に商圏がおさまる程度の規模にしてくれというような場合もございます。
 これは多分雇用との関係も多少ありまして、アメリカもそうかもしれませんけれども、郊外というのは一般的に裕福な地域なので、消費購買力はそちらの方が高いので大型店はそちらへ出たがるわけですけれども、雇用機会が求められているのはむしろ中心市街地の方なんです。結局、郊外に大型店で大きな雇用機会をつくると、今度はどこにその雇用者を求めるかということで、イギリスあたりではまだ階級社会のなごりがややあって、その雇用者をどう調達するかというところでまたいろいろな交通手段が必要になる。主に自動車になっていくわけです。
 そういうことからも、どうしても中心部にそういうものを立地した方が、雇用機会の上からも、中心部に向かっての公共交通網は比較的整備されているので、立地上も都市政策上も中心地に位置させることが好ましいという考え方だと思います。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 それでは、浅見委員からお願いします。
○浅見委員 いろいろなレベルがございまして、結構行っているところもあれば、そうでないところもあると思うのですが、最低限のレベルということになりますと前面道路の幅員との関係で決めるという単純なものもございますし、あとは駐車場の規制ということもございます。それだと周辺に対する影響はないじゃないかということで確かにおっしゃるとおりですが、最近ではアセスメントみたいなことも入れようとしているところがございます。
 ただ、先ほどおっしゃいました住環境がどうだというのは、クオリティ・オブ・ライフのところまで入っているかというと、そこはなかなか入っていない。そういう意味で、日本では定性的にある程度はチェックするのですが、定量的なチェックが弱いのかもしれないという気がします。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 では、簡単にお願いします。
○遠藤委員 先ほども浅見委員をはじめ中井委員から海外の都市計画について聞きまして、日本では大分遅れているなと。都市計画がもう少し一つの大きなビジョンを掲げて取り組んでいく必要があるのではないか。
 余分な話かもしれませんけれども、たまたま藻谷委員の方からいただいた資料の中にもたまたま富士市が出ていまして、私は富士市の出身なものですから、つくづく考えるのです。私もTMOの方に少し参加しているのですけれども、これは筋道が外れている部分もあろうかと思いますが、例えば焼却場をつくる場合、どこへ持っていっても焼却場は大体住民が反対です。賛成する人はなかなかいない。ですから、逆にそういうものを都市の真ん中、市役所の横へつくったらどうかという発想で言うわけです。
 そうすると、そこで発生するいろいろな環境問題がありますけれども、住民が生活する付加価値のための温水をはじめとしたエネルギーとして利用すれば環境問題も十分活用できるわけです。そういう部分にもっと投資をしたり……。また逆に富士の町の商店をどうしたらよいかという話があって、私は一度ブルドーザーで全部押して更地にしたらどうだという話もするのですけれども、そういう中で施設をつくり、町の中心に人が集まっていく。
 私はホームセンターを主としてやっておりますから大きな敷地が必要なのですけれども、同じホームセンターでもある部分のカテゴリーに特化した部分では、そういう商店街に出ても十分いけるよとか、あるいは郊外立地の中でやらなければならない部分も多分にあることも事実です。ですから、使い分けと言っては何ですけれども、そういう部分でできるような都市開発、そして生活環境というものを見ていく必要があるのではなかろうかと思います。
○上原議長 どうもありがとうございました。
 いろいろ御意見等があると思いますけれども、これからもまたこの合同会議で議論していくこともありますので、今日は大体この辺にしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。


その他


○上原議長 事務局の方から今後の予定をお話しいただきたいと思います。
○河津課長 時間も過ぎておりますので手短にお話しさせていただきます。資料7で今後の予定を書かせていただいております。
 以前御案内しておりました日程で申し上げますと、実は第5回の次に第6回として11月15日を予定しておりました。そこで専門調査会で検討しております指針の見直しのテーマについて、その見直し状況を御報告させていただく予定にしておりましたが、実は専門調査会での検討が、多方面からいろいろ御意見をいただいているということがございまして、検討の回数を増やすということになってまいりました。したがいまして、事務局の段取りが悪くて大変申しわけないのでございますが、11月15日のタイミングでは専門調査会からの御報告がいただける状況ではないということで、11月15日の会合はキャンセルとさせていただきまして、専門調査会からの御報告につきましては第6回の場で御報告をさせていただきたいと思っております。
 なお、その関係で、第7回につきましては、従来はこの紙では第6回になっております12月22日に年明け以降の会の進め方について御相談というふうに申し上げておりましたけれども、とりあえず第7回といたしまして2月ごろをめどに皆様方の日程調整を事務的に進めさせていただきたいと思っております。その後、8回以降につきましては改めて御相談、お諮りさせていただきたいと思っております。
 急な変更で申しわけございませんが、専門調査会の方の検討にもう少し時間を要するということでございますので、御理解を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。
○上原議長 どうもありがとうございました。日程の変更をお認め願いたいと思います。
 それでは、今日の会議はこれで閉じますけれども、次は11月1日、10時から同じ場所で会議が行われますので、よろしくお願いします。
 皆さん、今日はどうもありがとうございました。


閉会
 

 

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最終更新日:2004.11.24
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